2019年12月2日〜12月31日
 走行日数30日間
 累計走行距離1428km(105008km〜106436km)

◎道路
 シナイ半島を除けば全面的に平坦な土地で、特にナイル川流域は1000km走っても100m登らないほどである。この国でアップダウンの心配はしなくて良い。なお右側走行。
 また道路の幅員をかなり広く取っており、酷い運転が蔓延するエジプトという国でもそれほど怖い思いをせず走れたのはこのポイントが大きい。ただ道路それ自体はしっかりしてるワケではなく、ちゃんと中央線が引かれてた道は全体の2〜3割だったと思うし、車道外側線にあっては1〜2割ってとこじゃなかろうか?
 とにかく速度を落とさせるための段差が多く、その種類も多岐にわたっている。良くないのが段差にペンキ等で色が塗られておらず、一見すると普通の道に見える段差が多い点。かなり大きく自転車でも相当速度を落として入らないと転倒するレベルの段差でコレがあると非常に危険なのですが。速度を落とさせるのが目的なのにコレじゃ罠仕掛けてるのと変わらんじゃないか。
 主要道路を走ればほぼ舗装された道が続くが、何故か割と大きな町の中なのに未舗装路が出てきたりすることもある。結構頻繁に工事を繰り返してるのか、アスファルトの質もガタガタな場所もある一方で鏡面状態で非常に走りやすい所もあったが、カイロの周辺は全体的に路面状況悪い。交通量が多すぎるんだろな。
 あと警察の検問とか村へと続く三叉路みたいなポイントも総じてガッタガタのアスファルトになっており、コレはワザと路面を荒れさせて車両の通過速度を落とすための措置だと思ってる。余計なことしおる。
 後半ふと思ったことで南部では道路脇とかに溝や排水口を見た記憶がとんとない。そもそも雨が降らないから必要ないので取り付けてないのだと思われるが、その割にエジプト人は道路に水分は好きなだけブチ撒けばいいという考えがあるらしい。汚れ水だろうが何だろうが平気で撒き散らしてるので町中だとたまに水浸しの道があったり、まぁすぐ乾くのだろうけど。なおゴミに関しては流石にマズいと思うらしく、道路の上ではなく道路の外に捨てる。

◎治安
 決して良いとは思わないが、町中で夜中に歩き回るとかそういうのは特に問題ないと感じる。少なくとも警察の追走は治安の悪さが原因だとは思えないし、警官本人たちも「エジプトは危険じゃない」と同じこと言っていた。その一方で警察による検問は多いし、銀行とかにはデカい銃構えたガードマンとかも見たしで物々しい雰囲気もあった。
 ちなみにこの印象はエジプト本土に関してで、東部シナイ半島に関しては現状でテロ組織の隠れ家があると目されてる地域でもあり、更にいえばこの地域には強盗も頻発するのだそう。私はダハブで「今の時期にシナイ半島を走るのは絶対やめるべき」と言われ走行を断念したが、実はこの地域を自転車で走ったサイクリストも何人かいる。なので「走れない」のかは何とも言えない場所。むしろほとんど砂漠だから治安的には悪くないとすら思うのだけど。
 あとエジプト人は割とすぐケンカする気質みたいで、かなり頻繁に取っ組み合いとかしてる光景を目にした。商売人の半数以上が吹っかけてくるような国なので必然的に言い合いとなることもあると思うが、程々で納めとかないと怪我したら馬鹿を見る。

◎ビザ・出入国
 入国時にアライバルビザを25米ドルで購入した。手続きは無いも同然で、料金支払ったら適当なシールを1枚パスポートに貼られその上からスタンプ押されただけで終了。エジプトにはeビザがあるので事前にネットから取得することも可能だが、この簡単さから鑑みるにわざわざeビザを利用するメリットは薄い。まぁ入国国境によってはアライバルビザが取れない国境もあるらしく、そういった場合には有用かもしれん。なお滞在日数は30日間。
 ネイバのフェリー港は外国人のみ先に手続きを済ませることが可能というサービスがあるようで、そのため長時間並んだりする等の面倒はない反面、フェリーの到着時刻が深夜帯であるためむしろ船内で寝かせてくれよ・・・という気持ちも。しかも私の場合は外に出ようとしたら「寝場所が決まってないなら外に出るな」と朝まで建物から出してくれず待合室椅子の上で仮眠した。
 なお荷物は全てX線通してのチェックがあったが中身を確認することはせず。審査も適当でお定まりの質問2・3応答したら簡単に通してくれた。
 あと普通なら簡単に終わる出国手続きが係員の対応遅い&パスポートを渡しても直ぐにスタンプ押してくれないという酷い対応っぷりで、たっぷり3時間ほど待たされた。しかも謎の手数料100ポンド及びイミグレーションカード15ポンドを徴収してくる嫌らしさ。タイミング悪くてバスの団体客とバッティングしてしまったというのはあるにせよ、かなり時間取られることは間違いないため十分な時間的余裕を持ってスーダンとの国境は臨んだ方がいい。

◎交通事情
 久しぶりにひっどい交通マナーと、アホみたく鳴らしまくるクラクションが織り成すクソみたいな国である。信号機の表示にはみんな従うのだが、そもそも信号機がほとんど無いしあっても壊れてることもしばしば。無茶な運転する割に周囲をしっかり見てないヘタクソが多く、道路脇で人を乗せたミニバスは自分の気分で道路本線に戻るため追い越す時は絶対に安全マージン取って抜かさなくてはならない。
 車両の追い越しにあっては対向車両に自転車は存在として含まれてないらしく、パッシングやクラクションを鳴らしながら猛然と突っ込んでくるし、そもそも道路の路肩部分は結構な割合で逆走する3輪タクシーや馬車を見ることができる。そんで平気で突っ込んでくる。
 完全車優先社会なので、交通量の多い道路は無理矢理出て行って車を止めさせないと永久に横断できないし、そういった道でも歩道橋や信号機といった安全に移動できるポイントが設置されてることは稀。
 そもそも10歳そこらの子供が3輪タクシーとか運転してる時点でドライバーに対して「止まってくれるだろう」とかそういう期待を持たない方が良い。むしろ自転車見つけると嬉々として並走したりとか始めるのがいたりして、いや本当止めてほしい。
 ただ幸いなことに町さえ抜けてしまえば交通量がガクンと落ちるので、幅広の道路もあってそれほど緊張しなくても余裕を持って走行することが可能。カイロは色々な意味で地獄なので頑張って走り抜けましょう。

◎特徴
 日記本文でも散々書いてるが、ナイル川の周辺を走行する場合は漏れなく警察による監視体制下での旅行となる。これを避けたい場合はナイル川流域を大きく迂回するルートを選べば良いのだが、現実的な道が2つくらいしかなくてしかも両方砂漠が続く道。なので多くのサイクリストがこのエジプト警察に(大きな)お世話となっている。
 単に追いかけてくるだけなら害は少ないが、2〜30km毎に管轄地域が変わるのか追走してくる警察車両も交代する。これの連絡が上手くいってないと交代車両が来るまで自転車も合わせて待たされたりする。要するに自由行動が許されないため、野宿しようとしても駄目出しされるし、面倒くさいタイプの警官だと宿にチェックインした後もずっと行動を監視される。
 このため走行プランニングも宿のある町まで走りきることが前提となるし、途中で目についた場所へ寄り道するだとかちょっと一休憩で停車しても逐一「どうした?何かあったか?」とか言われてウザい。
 なお自走にこだわらない人ならば、車両に自転車一式載せて運んでくれるのでエジプトほとんどの区間を車両ワープして飛ばすことも可能ではある。
 警察車両が付く具体的な場所はカイロの南約90kmの検問からアスワン手前の検問まで。ただしルクソール周辺においてはこの限りではない。これはルクソールが超観光地で外国人だらけなことに起因してると思われる。

◎気候
 12月に走って大正解だったのだろう。日中は程よく暖かで夜になると肌寒さ感じる程度。道ゆくエジプト人はほぼ全員が長袖長ズボンという服装だったが私は普通にTシャツやハーフパンツで過ごすことが多かった。コレに関してはイスラム教の服装レギュレーションが関係してるのかもしれないが。
 ダハブの海も海パンで普通に泳げる程度だったし、かといってアスワン以南の砂漠地帯でもそれほど多量の水分補給は必要としない程度。人が居住する場所なら何処でも水が飲めるエジプトだが、結局私はこの水を利用した記憶がほとんどない。
 北部で天気が悪かった時に何度が上着を着て対応したこともあったが、基本的に自転車で走るなら夏スタイルの服装で丁度いいくらい。
 湿度は非常に低く、洗濯物は室内干しでもすぐ乾く。というか外に出しとくとせっかく洗った服に砂塵が付着しそうで嫌だったし。その割にエジプトでは大量の洗濯物天日干ししてるのよく見かけたけど。気にしないのかな?
 基本的に北からの風が多いが場合によっては南からの逆風となったこともありこの点過信しないほうが良い。アフリカの強烈な北風はもうちょい南部で本領発揮するのだとか。あ、雨は降りません。1回降られて酷い目にあったけど、それでもまぁ1月滞在して雨が降ったのあの2時間だけだったから。どんだけ運悪かったのだ。

◎言語
 アラビア語ですハイ。かなり重要な道路看板とかでもアラビア語オンリーだったりすることもあるのがやや困るかな。英語の通用率は観光地で半数強、田舎なら2割もいないという感じ。警官と話す機会は多かったけど、彼らがいう「英語話せる」というのは7割くらいアラビア語混じりの英語だったりして、要するに最低限の意思疎通がギリギリできる程度。というか勘の良い人相手ならジェスチャーの方が伝わってる気すらするレベルが多いのであんまり期待しないほうが。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 警察が野宿を許してくれない関係でほぼ宿ばかり泊まってたエジプト。ナイル川沿いは大体100km毎に宿のある町が出てくる感じで、相場は1泊100〜200ポンド(680〜1360円)くらい。観光地だと探せばもっと安いホステルもある。100ポンドの安宿でもない限りは部屋にエアコン付きだったので、今の季節はともかくもっと暑い時期は非常に助かると思われる。ちなみにシャワーに関してはかなり優秀で、ほとんどの場所で熱々の湯量十分なお湯が浴びられた。後進国のしかも暑い国でこれは珍しい。
 Wi-Fiは付いてたり無かったり。速度は何処も十分だと感じたが、部屋まで電波が届いてないホテルもあったりとかはある。なおホテル以外でネット環境得ようとしても観光地でないとかなり厳しい。県都クラスの町でもカフェにWi-Fiないとかザラなので。まぁどうせナイル川沿いじゃ野宿できないので素直にホテル内でネットして下さい。ちなみにアスワンは町外れのホステルに宿泊してたが、宿もカフェも速度が遅すぎて使い物にならないレベルだった。町中のネットは普通に使えたことから町の中心地でないとWi-Fiはあまり用をなさない可能性がある。

◎動物
 ほとんどナイル川沿いを走ってたこともあり、家畜という意味での馬やロバ、あとラクダを見たことがあったくらいでそんな珍しい動物は見ていない。なおエジプトは歴史的に猫を大切にしてきたことから現代でも猫の数が非常に多く、この国では珍しく犬より猫の方が数多く見かける。非常に良いことだ。
 あとアフリカということで気になるのがマラリアを媒介する蚊だが、一応エジプトはマラリア流行地域から外れている。まぁ外れてるというだけで蚊がいないワケではないし、マラリアの発症例が無いというワケではないのだが。

◎自転車店
 コレは期待しちゃ駄目。カイロではスポーツサイクル見たので先進的な自転車ショップがあるかもしれないが、他の町にあるショップは全てスポーツ用でない自転車を扱う店ばかりだった。チューブはやたらと売ってたので、調べたらサイズ合うやつ見つけたもののまさかの英式バルブというね。今になってダハブのレンタル自転車ショップで扱われてた適合サイズのチューブを買っておけば良かったと思ったり。アフリカ予備チューブ2本で足りるかな?
 恐らくはアフリカでレベル高い方のエジプトでこの程度。要するにアフリカ大陸を自転車走行するときは、事前に十分な準備をしてから走りましょうということだ。

◎物価・食事
 炭水化物ミックスのコシャリとアエーシと呼ばれるパンの原型みたいなのを使ったサンドイッチ、運が良いと鳥を焼いたお店がある程度。これがエジプトの田舎で見られる食事メニューの全てと言っていい。むしろコシャリですら取り扱いがない町も多い。
 ということで後半は完全に飽きが来てた感じで、ちょっと大きな町に行くと観光客向けに選べる食事の内容増えるのが何より楽しみだった。別にコシャリもサンドイッチもマズくはないのだが、エジプト全土何処に行っても同じ味ばかりで変化が薄かったので。なお料金は安いとサインドイッチで5ポンド(約40円)とかだけど、平気でこの10倍の料金言ってくることもあるので相場把握が難しい。コシャリなら10〜15ポンド、サンドイッチは具材3〜4種類で15ポンドくらいが妥当だと思ってた。
 イスラムの国は何処も同様かと思うが甘味関係に結構力を入れていて、ケーキがワンカット10ポンド(約70円)とかで食べれるのでよく利用していた。味もまぁアフリカ大陸だということを考えれば悪くはないと思う程度。それ以外だと水タバコことシーシャカフェが幅を利かせていて何処の町でも見かけることができる。都市部ならWi-Fiも設置されてるので利用価値は割と高い。
 なおイスラム教の国なのでビールは都市部と観光地にしか取り扱い店舗がない。絶対とは言えないけれど私が訪れた町ではダハブ・カイロ・ルクソール・アスワンの4都市でしか飲めないと思われる。なおダハブはビールに限らず全ての物価が1〜2割ほど高くなっている。まぁリゾートなので。

◎総括
 結構文句を言ってるけど、それ以上に親切で色々と助けてくれた人が多かった国でもある。良くも悪くも強烈な印象を残す国だったと思うがそれは別に悪いことではない。もうちょっと人を騙してくる悪者が少なければ・・・とか思う一方でまぁエジプトという国はこれで良いのかもしれないとも思ったり。
 観光面では遺跡に関して本当に世界一とすら思える程、面白い建物が多数残されているのでそっち方面が好きなら勿論、大して興味がない人でも十分に楽しませてくれる懐の深さを携えている。それに乗っかって小遣い稼ぎをする小悪党の多さも合わせてエジプトという国なのかな、と今は思う。
 とりあえずね、エジプトという国自体は自転車旅行に向いてないです。この国ではバックパッカーの方がよっぽど自由に旅行できると思うし制限も少ない。自転車という乗り物に対しての国民の理解もないし、やたら走りづらい段差ばかり設置して気持ちよく走らせてくれる道も多くない。
 そんな不自由な国だからこそなのか、この国を訪れて自転車で走って良かったと思ってる自分がいる。別に私はマゾではない。