2020年1月19日〜2月21日
 走行日数34日間
 累計走行距離1892km(108060km〜109952km)

◎道路
 アディスアベバを中心として北は路面状態が良く南は悪い。山岳国なのでアップダウンが多々あるが、思いもかけない場所に速度落としの段差が設置されてたりするため注意が必要。一般的な道路を走ってても標高3000mくらいまで登ることもあり、聞いたところでアフリカで最も高い道もエチオピアにあるらしい。なお右側走行。
 スーダンに比べて道路幅をかなりしっかり取っているためアディスはともかく多少の大都市に突入しても走行に不安を感じることはそれほどない。これは大いに誇っていいことだと思う。その道路の多くは日本含む他国が支援で造ってるらしいけど。
 南部の町は割と未舗装路が目立つ場所もあったけど、絶賛工事中だったり作りたてっぽい道路も見受けられたので、それほど遠くないうちにアスファルトへと移行するかと思われる。

◎治安
 窃盗みたいな軽犯罪は田舎の町でも頻繁に発生するだろうし、エチオピア人は人の物を平気で盗む輩だと思っていたので私は絶対自転車から目を話すことはしなかった。小さな町でも明らかにヤバそうな風体の人間が露骨に私の跡つけて来たこともあったし、大都市以外でもやたらと浮浪者が多く、そういった人間がかなりアグレッシブに外国人見つけると「金くれ」と迫ってくる。
 普段歩きでも常に棒を携行してるのが特徴だが、性質の悪い地域だとふざけ半分で自転車に対しそうした獲物で殴りかかってくる真似したりする輩がおり、個人的には本気で襲いかかってくる奴がいても不思議ではないと思ってた。
 何処にでも人がいるので強盗だとかそういった事件は起こりにくそうな気がするが、そのため夜間にひっそりとテント張るという行為が非常に危険を伴うと感じ、宿の安さも相まってエチオピアでは全然野宿しなかった。
 ちなみに首都のアディスアベバは明らかに治安悪いです。建物の防犯設備の力の入れようから貧富の差を強く感じる中心部とスラム街がほど近くに位置してる点、大型商業施設には必ず出入口にガードマンが常駐していたし、アディスアベバの町周辺では軍隊や警察が相当力入れて荷物検査も行なっていた。そういう町でした。

◎ビザ・出入国
 eビザでネットからの手続きも可能だが、私はエジプト・カイロのエチオピア大使館にて取得した。1ヶ月ビザ(40米ドル)と3ヶ月ビザ(60米ドル)を選ぶことが出来たのだが、ビザが発給された日から滞在期限が迫ってくるタイプであったため、カイロからでは自転車の場合1ヶ月ビザでエチオピア旅行することが実質不可能であり3ヶ月ビザを取るしか選択肢がなかった。なおカイロの大使館では手続きも簡単で午前中に訪問すれば即日でビザを発給してくれる。私は午後に受付したので翌日受領となったけど、対応も非常に丁寧でこの時は「エチオピアはレベル高いなぁ」なんて思ってた。知らぬが仏。
 後に聞いた所でスーダンのハルツームにあるエチオピア大使館では3ヶ月ビザは発給してくれないらしく(未確認)、これが事実だった場合はハルツームからでも1ヶ月ビザだとエチオピアを走り抜けるのは滞在期間的にかなり厳しい。かといってスーダン国内ではeビザ取るにもネット環境が非常に悪いし、ネット上とはいえスーダンでクレジットカードを使うリスクは避けたかったし。エジプトでビザ取っといて良かったと今は思う。
 入国審査は適当の一言だったが、その後に掘っ建て小屋みたいな場所で荷物検査が待っており、これが全てのバッグを開けて中身までしっかり確認するかなり入念な検査だった。

◎交通事情
 意外にもそんなクラックション鳴らしまくる国ではない。もちろん喧しいくらいに五月蝿いアホ車両もいることはいるが、アフリカということを考えると許容範囲かなと。
 郊外だと大型バスおよびトラックがかなり無茶な運転で追い抜きをかける一方で、町中では三輪タクシーが縦横無尽に走り回っており、コレが急停車・急加速はもちろんのこと周囲を全然見ず路肩から道路へ飛び出したり突然Uターンしたりと迷惑千万な動き。しかも数が多い。
 でもエチオピアで本当に危険なのは、周囲を全く確認せず道路上に出てくる歩行者や動物かもしれない。道路脇を歩いてると思ったら突然フラフラと反対車線へ横断始める人がやたら多く、これを結構交通量のある町中でも平気でやる。特にエチオピアの小〜中規模の町では周囲の子供が悪さしてきたりといった点にも注意を払って走行してるため、とてもじゃないが全員の動きを注視なんてできやしない。必然的にペース落として対応することになるのだが、そうすっと周囲の人間がしつこく迫ってくるという不条理。

◎特徴
 こんなに特徴がありまくりな国も珍しいくらい独特な国だと言える。子供ばかりか大人ですら外国人を見かけると「マニー」とお金をせびってくるのだが、これが一般後進国の100倍くらいの頻度だし無視して通り過ぎると後方から石を投げてくるという悪癖がある。これについては日記で散々語ったのであまり書かないが、この他にも簡易な荷物を引っ掛けたり洗った洗濯物を干しながら走行してると子供が盗んでしまうため、こうした小物も全て必ずバッグ内に収納しなくてはならない等、エチオピアを走るなら事前に対策と覚悟をしておく方が良い。
 他に変なポイントでエチオピアは独自の暦と時間を採用してたりする。この国で1年は13ヶ月あるし朝の6時はエチオピア時間で0時となる。特にエチオピア時間はローカルな場所だとこちらが外国人ということを気にせずエチオピアの時間で話してくるため、こちらがエチオピア時間を把握しておかないと混乱する要因になる。なお国際時刻(東アフリカ時間帯)とは6時間のズレで、時計表示からー6時間した数字がエチオピア時間だ。
 食事や言語の特徴は他の項に回すとして、エチオピアでは乗合バスも夜間帯に走ってはならないというルールがあるとのこと。自転車的には関係ないが、そうしたルールのため早朝の日が昇らない時間からバスターミナル開門と同時に椅子取りゲームに興じるというのがエチオピアのバス移動らしい。
 なお通貨のエチオピアブルもスーダンポンドと同じく非常に価値が低いため、国外へ持ち出してもほとんどの国で両替ができないしケニアとの国境でも非常に悪いレートでしか交換してくれない。国民もそれを十分理解しているらしく、米ドルとの両替えは1割ちょっとくらい通常レートより良い利率で交換することができる。
 エチオピア正教というキリスト教系の宗教で占められてる国かと思いきや、全体の2〜3割くらいはイスラム教の人たちで、特に北部ではムスリムの服装した人の割合が多かったように思う。まぁスーダンが近いからなんだろうけど。エチオピア正教自体はエジプトで少数派のコプト教が起源を同じくする宗教らしい。旅行者的に影響が出るところで週の水・金曜日は肉を食べないというルールがあるらしく、お店に行っても肉料理を出してくれないことがある。自転車的には郊外の教会やシンボルの前で途上に立ってる教徒がアグレッシブにお布施を要求してくるイメージが強く、私はこの教会敷地で野宿をお願いしようという気にはなれなかったな。

◎気候
 3月から5月にかけてが雨季らしく、2月も中盤ごろから結構空を雨雲が覆う日が増えたと感じる。赤道に近い国でありながら国土の大部分が山であるため暑さで困窮することはほとんど無かった。標高2000m強が最も過ごしやすくて南部に入り2000m割るようになると結構汗ばむ日が多かったかな。結構湿度も低くて1度唇が荒れたことがあった。
 風は全体的には北から吹いてることが多かったと思うけど、スーダンからの強烈な貿易風はエチオピアですっかり姿を見せなくなった印象だ。南部では向かい風に悩まされることも多かったので、その辺が風の変わり目なのかもしれない。
 なおエチオピア人にとってこの気温は若干肌寒いと感じているのか長袖長ズボンのスタイルが多かったが、私はTシャツハーフパンツの夏仕様で快適だった。太陽光が強いので日が沈むと標高高い場所では肌寒くてフリース着ることもあった。

◎言語
 国内における民族がそれぞれ独自言語を持っているということらしいが、最大公約数の言語としてアムハラ語というのが使用されている。使用文字もラテンやキリルではなく独自文字が使われてるため事前勉強しないと解読不能。更に言えば9つの県だかで分かれているそれぞれの地域で同じアムハラ語でも別々の言葉が使われているのだとか聞いた。
 何にしても話してる言葉は全然分からないのだけれども、挨拶で「サラーム」とアラビア語に近い単語を言われたことがあったので、系統としてそちらに近い言語なのかもしれない。
 割と英語の通用率が高く、田舎の食堂等でも他のお客の内1人くらいは英語を話してくれたりするため思った以上に買い物や食事での苦労が少なかったと思う。後半は注文するメニューある程度覚えてたし。
 なお学校で英語教育に力を入れてるのが英語の通用率高い理由だそうで、子供がひたすら「マニー」とか「ユー」とか言ってくるのはここら辺に原因がありそうな気がしないでもない。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 エチオピアの宿は南京虫の巣窟だし宿の質も非常に悪いとか聞いたけど、私は全然文句無かったな。1月以上滞在したけど蚊はともかく特に対策も何もしてないが南京虫には1度も遭遇していない。このことから南京虫に関してはあくまでバックパッカーが集まる宿での話であり、エチオピア全体の事象ではないと思われる。
 田舎だと1泊300円を切る値段でも宿があったりする安さで、一般的な安宿だと高くても500円くらいで宿泊できる。設備にシャワーがない宿も多いが、水桶借りて体を洗うか近場にシャワー屋があったので全く体洗えなかった日は1、2度くらいしかない。
 これに対して観光地や首都では料金もグッと高くなり、最安値でも1000円近くからとなる。私の場合はゴンダールとアディスアベバがこれに該当する町だった。両都市ともホステル泊だったけど、キッチンが使える事以外は特に設備面で田舎宿と比べ優れてたとも思わないし、長逗留したのはバハルダールやアワッサといった町だった。
 宿に付随してレストラン兼バーとなってる建物が多く、敷地内でビール飲めるし良いことじゃん!と思いきや、音楽を大音量でガンガン流しまくるため、部屋の位置によっては営業終了する0時近くまで大騒ぎされて眠れたものじゃない。どの宿でも大抵好きな部屋を選ばせてくれるので、食堂棟から離れた位置取りの部屋を選ぶと吉。
 小さな町でもちょっと立派な宿だとWi-Fi使えるパターンもあるが、やっぱりそうした宿は若干値段が高い。ちなみに多くの宿で室内トイレ・シャワーの有無を選べるのだが、これの値段差が結構大きい宿もあり場合によっては料金半額とかになる。自分から言い出さないと普通は高い部屋に案内されるので注意。
 首都のアディスアベバを含めてWi-Fiは全体的に脆弱で、1つのルーターを複数人が利用してるともうマトモに動かない速度となってしまうのが多かった。スーダンの反省を生かしてエチオピアでは序盤にSIMカードを購入したのだが、何故か途中から使えないアプリが出たり開けないホームページがあったりとあんまり便利には使えなかった。そこらの商店でSIMカード変えるしチャージも同様にお店でコード購入できるのだが、結局サブ使用としての域を出なかったと思ってる。

◎動物
 アフリカで最大の牛肉生産量を誇る国だけあって国土全体で放牧されてる牛を見かける。面白いのが他国と異なり家畜と人間との距離が近いというか普通に人の生活圏、例えば家の庭だとか町の商店前にも牛やヤギといった家畜の姿をよく見かける点。鶏はまだしも大型哺乳類が玄関ドアの前で繋がれてもおらず自由に鎮座してる光景は、エチオピア以外じゃそんな見ないと思うけど。あんまり手綱やロープを使っている姿を見かけないし、牧場にもほとんど柵が作られておらず「よくこれで管理できてるなぁ」というのが私の感想だ。
 これとは別に馬やロバといった動物が労働力として多々扱われているが、こうした動物も別の方向に向かおうとしたら木の枝とかで鞭のように引っ叩いて方向強制させてたりする。要するにしっかり手綱を握って管理しておらず、しかも道路上で荷車を引かせているので自転車とバッティングする機会は非常に多い。かなり大きめに安全マージン取って抜いた方が無難で、私は目の前で突然方向転換されて危うく衝突しそうになったことが1度ある。
 ちなみに牛肉大国だからかこの国では鶏肉よりも牛肉の方が安価で入手もしやすい。ただ割と厳しい土地で生きてる牛なので、肉は赤身が多いしかなり硬いと思う。ちなみにエチオピアでは牛肉を生で食べる習慣がある。
 ちなみに犬はビックリするほど大人しい。まぁこの国では子供がある意味動物みたいなもんで、ウザいし直接的な迷惑をかけてくるため結果としては犬が大人しくてもそれ以上に問題はある。

◎自転車店
 結構自転車に乗ってる人は見かけるのだが、ある程度大きな町でもスポーツ用の商品を扱うショップは全然見つける事が出来なかった。予備チューブ切らした関係でここら辺かなり重点的に探してみたのだが、英式バルブ扱ってる店はあっても米式バルブ取り扱うショップは見つけられず。走ってる自転車に米式バルブ使ってる割合そこそこあるので流通が全く無いとは思わないんだけどな。アワッサで購入したチューブも店頭販売してた品では無かったし。
 アディスのショップではスポーツ系のバイクを販売してる店があったものの、見た限りで完成車しか取り扱ってない感じだったし、エチオピアのショップレベルはその程度だと考えておく方が良いと思う。

◎物価・食事
 インジェラという世界でもエチオピアでしか主食にしてないクレープ状の酸っぱい皮が料理の下に敷かれてるのが基本スタイル。この酸っぱさに合わせるためか全体的に唐辛子をガンガン入れた辛い食べ物が多く、私はインジェラよりそっちの方が難儀した。実は料理によってインジェラかパンかを選べるメニューもあり、インジェラが合わない人でも何とかやり過ごすことは不可能ではない。小さな町レベルだとメニューがインジェラしかねぇってのは普通にあるけど。
 1食は150円くらいからで、肉系の料理だと安くて300円くらいから選べるかな。アフリカ最大の肉牛生産量を誇るだけあって鶏肉の姿をほとんど見ない一方で牛肉はどこでも食べれる。ただし全体的に肉は固め。宗教の関係らしいが曜日によって肉を提供してくれない日がある。バイヤナットというインジェラの上に複数種類のおかずを並べた料理が安いし美味くてお気に入りだった。
 歴史的な関係でイタリアの影響が強く、レストランには厨房とは別にコーヒー淹れるエリアが独立して存在しており1杯15円とかで豆から挽いたコーヒーを飲むことができる。ただし無茶苦茶砂糖入れるのでブラック飲みたいなら事前に砂糖はいらないと断り入れる必要あり。他に小さな集落でもパスタを食べることができるものの、完成したパスタをわざわざナイフ等で刻みまくって一口大まで小さくしてから提供される。この国では基本スプーンやフォーク等の食器を使用せずインジェラを一口サイズにちぎっておかずを包んで食すので、それに合わせた形になったのだと想像する。
 どんな僻地に行ってもビールがあるというのがエチオピア最大の美点で、しかも多くの場所に瓶だけでなく生ビールまで用意されている。値段は同額で1杯45円ほど。日中でまだアルコールが飲めない場合は瓶コーラ(30円)飲んだり、やや大きな町だとアボカドジュースが売っており、これがクリーミーでお腹にも溜まるし好んで飲んでいた。これはエチオピア来たら是非とも飲んで欲しい逸品で、場所にもよるが高くても100円以下で飲むことができる。なお正確を期すならアボカドジュースは飲むより食べるという表現が適切。
 フルーツ類の単品販売も非常に安く、アボカドが500gで45円とかなので好んで買っていた。これバナナやパパイヤと同額なんだけど、フルーツが簡単に取れる国だと価値に違いが出ないのだろうか?

◎総括
 いや〜腹の立つことが多くてストレス溜まる国だった。国としての魅力は多様にあり、物価も安いし気候もよく見所も多い国なのに、エチオピア人そのものが最悪なのでこうした利点を全てスポイルして「エチオピアは酷い国だ」と言えてしまう。せめて石を投げてこなかったらそれだけでも随分違うと思うのだけど。
 前半戦の時点でエチオピアの印象は地に落ちていたが、ある程度滞在すれば最初は見えてこなかった別の面が色々出てくるかもだし・・・というのはある意味正しくて、南部に向かうにつれ金銭関係でのトラブルも頻発するようになり本当どこまでいってもエチオピアだった。
 この国の人から結構親切も受けたし楽しい思い出も作れたけれど、私はエチオピア人が外国人見ても嫌がらせしないよう変わらない限り、もう1度この国を訪れたいとは思わない。そしてエチオピア人がそんなマトモになることはきっと今後もないんだろうなぁ。