2020年2月21日〜3月13日
 走行日数22日間
 累計走行距離1432km(109952km〜111384km)

◎道路
 北部・南部で大分様相異なるが全体的に路面状況は良いし、主要道路を選ぶ限りはアスファルトが続く程度にはしっかり道が作られている。なんと日本と同じく左側走行なのは歴史的にイギリスの植民地だったからなんだろな。
 北部は側道がほとんど無かったりあっても砂利道でとてもじゃないが走れない場所が多いけど、そもそも交通量がほとんどないので問題にならない。これがイシオロの町を超えた辺りから交通量が増え始めるのに合わせて側道の路面状態が良くなり走るのに問題ないポイントが増えてくる。上手くできてるよ本当に。
 ただこの側道を渋滞時等に無理矢理走るアホドライバーがいるようで、そうした車両対策に一定間隔で側道だけ段差が作られてる道が結構ある。この段差がかなり大きくて普通に走ると乗り越えるの難しかったりするため、段差を避ける度にメイン道路へエスケープすることになって非常に危険だったりする。ナイロビが近づくと道路も片側2車線以上の大きな道となるのでむしろ安全になるのであり、中途半端な距離にある交通量が多くて1車線の道路が最も危険だと言える。これとは別に町の出入口にも坂道の途中にも道路上にはかなり大きめの段差が敷かれており、ケニアではこの段差に対してかなりストレスを感じていた。
 南部はかなりの山岳地帯で場所によっては3000mを超える標高まで登らされる。高い標高で安定してるということは少なく起伏に富んだ地形となっているものの、坂の作りは基本非常に緩やかで距離をかけて登らせる道が多いためそれほど困窮することは少ない。同じ東アフリカの山岳国家であるエチオピアと比較すると坂の規模が大きなエチオピア、数が多いケニアみたいなイメージかもしれない。それほど変わらん気もするが。

◎治安
 かなり悪い。エチオピアまでは一切見られなかった小売店で鉄格子を挟んでの売買が増えたが、このスタイル他の国では治安の悪い中米諸国でしか見たことないんだけど。
 ただ北部のエチオピアに続く道路は数年前まで少数民族同士の対立から争いがあったり、通行中のバスを襲ったりと非常に危険視されてた地域だが、現在では警察の検問及び巡回の成果でこのルートに関してはほとんど問題なく走れるようになった。ただし北西部トゥルカナ湖沿いを通るマニアックなルートとかは現在でも治安的に自走が不可能レベルの場所があるらしい。
 大型の商業施設では入場時に警備員が金属探知機みたいな棒で危険物チェックするのは当たり前だし、銀行系の建物では常に複数人のガードマンが待機して(暇そうにスマホを弄って)いた。警察の腐敗が問題になってる国なので、自分の身は自分で守るという考え方なのかもしれないが、それにしても仰々しいし不安に駆られる。
 町の規模が大きくなると治安的な危険度も大きくなるのはどこも同じだが、東アフリカで経済を引っ張る立場にあるケニアはそれ故に貧富の格差が非常に激しく、それが犯罪を引き起こす温床になっているとされている。少なくともナイロビにおける格差のコントラストは今まで訪れたどのアフリカの町より激しく見えた。
 あとナイロビといえば日本人が集まるニューケニアロッジが宿として有名だが、この宿はダウンタウンバス乗り場目の前というナイロビ内でも最も治安が悪い一角に位置してるので利用するのは要注意。私は夜に隣の商店まで飲み物買いに外出たのだが、娼婦が軒下にずらっと並んでるの見て「こりゃ夜中に異国人が歩く場所じゃない」と実感した。スラムは近づかないことで自衛ができるが、ダウンタウンはそうもいってらんない場所なので。
 割と田舎でも金品目当ての強盗殺人が発生することあるという話も聞いたのであり、南部の人が多い地域では野宿をするの躊躇われるところがあった。田舎の雰囲気はそんな悪くないし防犯レベルも都市部と比べて随分低いと思うけど、流石に夜中ウロつこうとは思わなかったし田舎で夜に歩いてる人はほとんどいない。

◎ビザ・出入国
 ビザが必要な国だが国境にてアライバルビザが取れるため、そこまで手間や面倒があるわけではない。なおケニアビザの料金は50USドルだが、ケニア・ウガンダ・ルワンダの3ヶ国を一まとめにした東アフリカビザというのがあり、上記3ヶ国全てを訪れるなら単独で取得するより20ドルほど安価でビザが入手できる。
 入国時に両指の指紋を全てデータに取られるのは国によってままあるが、ケニアは出国時にも同じようにデータを取られたのが印象的。やっぱ犯罪率が高いからの処置なんだろうか?

◎交通事情
 他の東アフリカ諸国とそう変わりはしない自分勝手な運転をする国だけど、ケニアは車両の総数が他のへっぽこアフリカと比べて非常に多い関係か、走ってて危険と感じる事が非常に多かった。特にトラック車の身勝手さが酷くて本気で轢き殺そうとしてるんじゃないかと思わせる運転をするアホが結構いる。
 基本的に「並んで待つ」という行為をしようとせず、渋滞してようが何だろうが隙あれば側道や反対車線に入って抜いていこうとする傾向が強く、それを対向車がいようがいまいが行うので性質が悪い。どちらかというとナイロビ市内はマトモな方で、その周辺にある衛星都市とかがより運転マナー悪かったと思う。
 交通量の多さが如実に結果として現れてる感じなので、イシオロ以北の田舎道では全然怖いと感じるような運転する車両を見た覚えがない。やっぱ数が増えると馬鹿な運転するドライバーも増えるというのは仕方ないところで、ただアフリカは全体的にそういうドライバーの割合が高いという事なのだと思ってる。

◎特徴
 環境保護の一環として入国の際にビニール袋を持っていると没収されるという制度がある。もちろんケニア国内で商品を包むのにビニール袋は使われておらず、荷物が多い場合はレジ奥に積まれている段ボール箱を利用するとか有料のバッグを購入することになる。
 制度も考え方も理解できるし先進的だなとも思うんだけど、ケニア人の意識が全然追いついていないのが惜しい点で、彼らのゴミをそこら辺の道端に平気で投げ捨てる常識の方を矯正させないと、いくらルールを改正しても町中に積まれてるゴミ自体は全然減ってないのではと思うんだけど。
 ちなみに私は入国時にビニール袋を衣類入れてるスタッフサックの奥底に押し込んで「没収されたら仕方ない」くらいの気持ちで望んだが、そこまでしっかり荷物チェックを受けることなくスルーされた人。

◎気候
 北部は標高が低いので無茶苦茶暑い上に雨があまり降らず乾燥している。ケニアで山岳地帯が始まり涼しくなるのは私の走行ルートだとイシオロの町以降であった。ただしイシオロ以降のポイントでは同時に雨もよく降る地域になる。なおケニアは3〜5月が多雨季のシーズンとなっており、短時間に大量の雨を降らせるスコールが多い。なお北部は雨が降らないため水が非常に貴重な土地な上、上水道が整備されておらず食堂等で出される水差しの水も鉱物を含んだ物で不味いし身体にも良くないらしい。んなもん普通に出すなよ。
 イメージ的には午前中の方が天気安定しており、午後の遅い時間になると空が雨雲で覆われることが多かったと思うけど、まぁイメージでしかないです。なお雲は基本東から西へと流れる。
 2500mを超えると天気次第ではかなり冷え込む場所もあるが、雨にさえ降られなければ夏スタイルの格好でも特に問題はない。アースキャンプ場なんかは寝るときシュラフを使う程度には寒かった。1番暖かい時期が2〜3月と言われたので、時期によってはもうちょい寒さに対応できる服装が必要だと思われる。

◎言語
 アフリカで使われてる言語で最もイメージしやすいスワヒリ語が公用語。だけど無茶苦茶英語の通用度が高くて「ジャンボ」という挨拶以外1単語も覚えていない。この国では地方食堂のオバちゃんが普通に英語を理解してくれたりするので意思疎通における苦労はほとんど覚えがない。そもそも英語での意思疎通が怪しいという問題はあるけどさ、お互い英語ヘタクソだと簡単な単語や文法に終始するからむしろ分かりやすいんだよ多分な。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 北部の本当に小さな集落は別として、基本的に規模の小さい町でも宿があるのが有難いケニア。田舎なら500〜1000円くらいが相場で、町の規模が大きくなるに比例して宿の値段も上がる傾向がある。1000円くらい出すと朝食サービス付いてたイメージかな。Wi-Fiは田舎で値段が安くなるほど設置率が落ちるけど、それでも3日以上ネットに接続できないことはケニアでなかった気がする程度には優秀。
 人がほとんどいない北部はともかくやっぱりケニアは少々治安が悪い感じするのと田舎でもそれなり程度に殺人事件とかあると聞いたのであり、値段も安いし後半は野宿をする気は全くなかった。リスクの割にリターンで得られるものが少なすぎる。
 標高が低い宿では大概ベッドに蚊帳が付いており、しかし冷房はもちろん扇風機すらないのが普通である。このため比較的暑い場所では蚊帳が廃熱を遮断して結構寝苦しい。でもマラリア危険地域でもあるため蚊帳外して寝るのは怖いし。あと田舎ではシャワー室はあっても水が引かれてなかったりして、バケツの水汲んで体洗うパターンが結構あったな。
 東アフリカで先進的な国というのを最も感じたのはそのネット普及率の高さと速度で、中規模程度の町ならWi-Fi使える宿を見つけるのはそこまで難しくないし、どこのWi-Fiも動画見る事ができるくらいの速度を誇っていた。これがあったのでケニアではsimカード購入しなくても良いやと判断してたりする。

◎動物
 あちこちに国立公園あるしサファリツアーも豊富で野生動物王国の一角を担う国であるケニアだが、普通に幹線道路を移動してる限りはそれほど大型動物に出会ったりすることはない。特に肉食獣に関しては基本「狙って会いに」行かないと遭遇できるものではなく、その可能性がある土地はそもそも自転車での立ち入りが許可されていないのが普通。
 私が走ったルートではセレオリッピ〜アーチーズ間が像の生息域だったのと、ナイヴァシャ湖畔西部の区間でシマウマ・インパラ・イノシシ・キリンと遭遇する事ができた。後者に関しては狙って向かった結果であり、ここは自転車で走ることを許された野生動物と相対できる数少ないポイントである。
 ちなみに家畜動物という意味で牛やヤギに羊といった輩なら何処でも見る事ができます。犬は総じて大人しく危険に思うことはない。

◎自転車店
 首都のナイロビにはいくつか先進的なショップがあると聞いたが、治安悪いのと教えてもらった店がショッピングモール内に店舗があるという関係で訪問することはしなかった。地方都市のショップはスポーツ自転車の部品を取り扱ってるような雰囲気皆無の店しか見ておらず、多分実際そういった店はないのだろうと考える。
 一応ナイヴァシャ湖畔で見たレンタサイクルはMTBタイプだったし、イテンの町では自転車トレーニングしてる人を見たのであるところにはそうした需要に応えたショップがあるのかもしれない。

◎物価・食事
 ケニア入って食事関係1番嬉しかったのが米食文化が入ったこと。歴史的な関係でイギリス文化の影響が強いためか、朝食のメニューはミルクティーとチャパティというパン1種類しかない事が多かったが、お昼は炒飯によく似たピラウというのを好んで食べていた。
 肉は牛や鳥の他にヤギが多い印象で、豚肉はほとんど扱いがない。やたらスジ肉を好んで使うため、歯の隙間に肉が挟まって取れないという事が多かった気がするケニア。海の近くは知らんけど、大きな湖や川沿いでは大抵魚もメニューに記載されている。
 ナイロビは種類も豊富だがやはり物価が高く全体的に1.5倍くらいの料金となってた印象あるかな。ケニアは大都市の場合、料金の値上げが割と激しかった。
 南部に入るとアフリカ特有のウガリが米に変わって主食となることも多かったが、あまり味に特徴がなく量だけは多いというのが私の感想である。イメージは紅白饅頭から中身を抜いて食べてる感じか。
 肉や魚の入ってないメニューなら1食50〜100円程度だし、肉が入ってても250円すれば高い方で非常にお安く食事ができる反面、ビールはロング缶1本が200円前後と食事に比べて割高であると思う。なおアルコールは一般商店では販売できないようで、酒店だったり大型スーパーのアルコールコーナーで別会計での購入、もしくはバーに行って飲むというのが基本。
 なお飲み物を冷やさないという慣習があるらしく、小さな町だとジュースもビールも全く冷やしておらず選択肢が常温の飲み物しかないという事がままある。これがバー等でも同様だったりして、その脇に設置してる冷蔵庫は飾りかよ!と思わず文句の1つも言いたくなるのは私だけか。なお北部の村では単純に電気が通じておらず飲み物がヌルいという事が2回ほどあった。

◎総括
 気候や土地の特徴、人の良し悪しとどれを取っても一筋縄ではいかない国だけど、私はケニアを割と楽しく走れたと思っている。その最大の要因となるのが、インフラレベルの高さと高いネットの普及率によるのは自転車旅行者としてやや情けなくも感じるけれど。
 ともあれ東アフリカを走行するにおいて中間地点となるケニアが過ごしやすくてレベルも高く、オマケに米ドルも降ろせるというのは非常に重要な点だし私個人としても有難かったといえる。特にトラブル会うことも無くてラッキーだったのもケニアの印象を良くしてるとは思うけど。
 北部の半砂漠気候に対して南部の山岳地帯と、1つの国である程度の期間ハッキリ異なる環境を走ったのは珍しい。他に思い出せるところでボリビアくらいじゃなかろうか。とりあえずケニアという国の奥深い一端を味わえたのだと思っておきたい。
 割と直線的に南下してすぐタンザニアへ行ってしまうサイクリストが多いらしいが、個人的にケニアで面白かった区域はナイロビ以降に走った南西部だったのであり、多少回り道になろうとこちらのルートをオススメしたいかな。