どう説明しようとも自転車による海外旅行というのはニッチなジャンルである。別にその事実は何ら問題になる事ではないし、むしろ私は一般的な長期海外旅行スタイルとなるバックパッカーみたいな形態と違い、必要となる時間も金銭的負担も大きくなりがちな海外自転車旅行は始めるハードルが少々高くても良いとすら思ってる。

 ともあれ特に日本語という括りにおいて、海外自転車旅行というのは未だその大部分が未知の知られざる世界だといえる。こんだけネットで情報乱立している時代にも関わらず、旅行情報で「知りたくてもその情報が全然出てこない」なんてのは珍しいのであるまいか?

 例えばパラグアイ西部に広がるチャコ地方の自転車走行記録なんてのは、調べても茶壺さん以外の情報皆無ですよ。私が走行した土地だけでもそんな場所はゴロゴロある。

 現代において普通にネットを利用していると「拾いたくない情報まで目に入ってきてしまう」という弊害があり、これは一部の事前に情報入れてワクワクを無くしたくない系の旅行者にとって悩みの種だったり。

 ところがちょっと有名ルートを外してみると日本人が走った記録のないルートってのは溢れてるのであり、そうした未知のルートを存分に楽しめたり世に広めるパイオニアとなることも可能。そう、海外自転車旅行における新規ルート開拓は未だブルーオーシャンの市場なのだ。

 これは「旅行を楽しむ」という側面からは非常に高い魅力であると私は考えていて、昨今のバックパッカー的旅行が他者の情報に依存し評判の良い場所をなぞるある種の「手堅い旅行」とは対極に位置する、自分で考え経験と想像力そして根性で攻略をしていく冒険寄りの旅行が楽しめるといえよう。

  もちろん自転車旅行にも定番と呼ばれるルートがあって情報も充実しており、実際そこを走って「なんて素晴らしい道だ!来て良かった!」と思うことも多々あるのだが、そうした道を少しズラし好き勝手に進路を定めることを簡単に選ぶことができる。これは人力での移動手段である自転車ならではの利点だと思う。

  日本に戻って結構経つがやっぱり世界は未知で溢れていて、私はそれを全然知らないと実感するばかりだ。せめて自転車旅行は自分が満足できるまで走りたいと思いつつ、海外旅行が普通にできる日はいつになるのかなぁと思ってます。