モロッコ65日目 タルファヤの町
砂漠に降る雨で停滞。モロッコ北部は地中海性気候なので、冬の時期だとそれなりに雨降ることもあるのだが南部はほとんど雨の降らない砂漠気候。この地域ならばギリギリでステップ気候に属している境目の場所と言っても良い。
ともあれ基本的に雨が降ることは少ない地域であり、正直ここタルファヤでの雨停滞は予期していなかった。でも連日の向かい風で私の両足が満身創痍の状態であったことは間違いなく、この偶然には大層感謝している。
半日ほどベッドの上でゴロゴロして過ごし、お腹が減ったので外へ。そもそも弱々しい雨だったけど、上手いこと雨脚が弱まってきたのは有難い。
傘はともかく1つ気づいたのが、町の何処にも排水溝みたいな設備が存在しないということ。ブラジルのベレンでスコールの後に道路大冠水していたの印象的で覚えているが、あっちは排水設備の能力不足が原因だったのに対し、タルファヤの水たまりは「そんな事態を想定もしていない」ことに起因する現象だ。
そりゃまぁ誰だってこんな砂漠の町に排水設備なんて無駄な物は作らない。砂漠に雨が降るというのはそういうことなのだと変な感心をしつつ。
というのも町から5kmほど離れた場所にスペインの船が座礁して放置され廃船となり、そのまま観光ポイントにされた場所があるらしい。1日ネットしてるのも何だしちょっと行ってみようかと。
空身の自転車でもキツいと思ってしまう。今日フルパッキンで走っていたら確実に途中で動けなくなって終了していたであろうことを予感させる。
調べたところでは海岸沖にあるスペイン領土のカナリア諸島とを結ぶ定期船が、悪天候とこの強烈な風の影響でタルファヤの町に緊急停泊をするため向かっていたところで座礁したらしい。
この船がそのまま放置されたまま現在に至るらしい。普通に考えりゃスペイン側(の企業)が責任取って回収するとか動きを見せなきゃならないだろうし、モロッコにしても漁場の環境悪化とか問題になりそうな点ありそうなのだが。
流石にモロッコ側としてもこの状況を利用して観光地にしようと考えている訳ではなさそうで、周辺には軍隊っぽい建物が1軒あるのみで普通の海岸線だった。私以外にもこの船を見にきた酔狂な車が1台いたけど。
適度な運動もしたし、宿の設備が良くてもう部屋から出たくない。モロッコの安宿は部屋までWi-Fiが届かないことも多いんだけど、この宿そういう心配がなくてシャワートイレも個室に併設。しかも熱々のお湯が出ると素晴らしいレベルなのです。
ここを出て砂と風の世界に戻るのが嫌になってしまいそうだ。いつも心の隅にそういう気持ちを抱えつつ、しかし自転車旅行をしているのだ。なんだかんだ好きなので。
2022年12月8日(木) 走行距離12km 累計121628km