2023年3月8日〜4月6日
 走行日数30日間
 累計走行距離1614km(127435km〜129049km)

◎道路
 道路脇の側道幅が大きく取られており自転車走行においても安心感がある点が素晴らしい。内陸部では普通に2000mを超えるような高所もある一方で最大都市のダル・エス・サラームが港湾都市として海沿いに位置している起伏の大きな国であるが、全体的に激しい斜度のアップダウンがあるというよりは緩やかな坂が連なって構成されている。なお日本と同じく車両は左側走行。
 一応は自転車での走行が走り易い国であるといえるが、交通量の多い道路だと側道がボロボロになっておりマトモに走れない区間があったりするので注意が必要。これが人気の高いミクミ国立公園内やその周辺で多く、路面が気になっておちおち周囲を確認できないという問題が。せっかく野生動物が生息する場所なのにさ、タンザニアは分かっていないと思う。

◎治安
 都市部の商店とかだとケニアと同じく鉄格子で仕切りを分けてるほど厳重な警戒してるし、ちょっとお高そうな建物敷地には塀の上に電流を流したりしてるのでやっぱり治安悪いんだろうな・・・と思ってしまう。
 しかしそれとは別に私個人が受けた印象ではタンザニアは割と人の雰囲気が緩やかであり、アフリカ諸国では比較的治安状況がマシなように思えた気がする。
 それでも宿の情報を調べてると頻繁に「空き巣に入られた」等の報告を上げてる人がおり、タンザニアの宿における窓は必ず鉄格子が付いてるけれど、それでも私は必ず窓に鍵掛けていたし自転車等の荷物も窓際に置かないよう心がけていた。
 首都のダルエスサラームに関しては東アフリカにおける3大凶悪都市なんて話を聞くが、私は行ってないのでよく知らん。とりあえず自転車でタンザニアを南北縦断するルートの場合、無理してダルエスサラームへ向かわなくとも走行ルートは色々ある。

◎ビザ・出入国
 入国にはビザが必要な国ではあるが、アライバルビザが国境で発給されるため事前に必要なのは50米ドルのみ。なお新札しか受け付けてくれないのは他のアフリカ諸国と同様なので注意されたい。
 あと本旅行を始めて以来、遂にここで黄熱病摂取証明書、通称イエローカードの掲示を求められた。求められたけど畳んだ紙を開きもせずに一瞥しただけで「はいOKね」と言われたのはなんか悔しい。
 ビザは係員から手続きの用紙をもらい、同建物内にある銀行にて米ドルと一緒に渡せば領収書くれるため、それを持ち帰って渡せばOK。完全にお使いイベントという感じ。ちなみにケニアと同じく入国・出国時には両手の指10本分の指紋を機械でスキャンされる。別に問題あるわけじゃ無いけどこういう手続きは嫌なイメージ受けるし、タンザニアの治安が悪い(外国人が何かしらのトラブルに巻き込まれることが多い)のだろうなぁ・・・と感じさせる。
 なお他国のようにビザシールが貼られるといったことはなく、スタンプの押印がビザという扱いらしくて「まさかビザシール貼り忘れてるんじゃ・・・」という不安が付き纏う。問題なかったけど。

◎交通事情
 これは酷い、酷すぎる。なまじ道路状況が良好であり軽車両が側道にエスケープできるからと大型車両が完全に我が物顔で無茶苦茶な運転をしている状況。すぐ脇を全く原則せずに100km近い速度で当然のように運転するし、追い越しで車間距離を開けるとかそういった配慮が一切感じられない。反対車線に自転車がいようと全く関係なく追い越しを仕掛けてくる上、それがこちらの側道まではみ出している状態で迫ってくるので下手すりゃ正面衝突だ。特に大型バスはクラックションを鳴らせば全て解決すると思ってるクソボケ運転であり、こんな運転するタンザニア人に車を持たせるなんて100年早いというのがこちらの感想。
 この評価でダル・エス・サラームを走っていないのだから恐ろしいというか、まず間違いなく首都の交通状況は輪をかけて酷いことが想像できる。
 ケニアと比較して車両の数自体が少ないため、主要道路を走らなければ車両に遭遇する割合自体が低いためストレスの少ない走行が可能であり、タンザニアで楽しく走りたいなら真面目にマイナー道路を選択する価値があると思う。

◎特徴
 アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロを抱える国である。歴史的にはケニアとの国境線上にあったらしく、当時植民地支配していたドイツが測量の結果アフリカ大陸最高峰ということが判明したためケニアを支配していたイギリス側に打診して国境線を引き直したとか。よくあのイギリスがそれを認めたな・・・みたいなこと思ってしまうエピソードがあるらしい。
 ともあれ特別な登山技術を持たなくても登れるアフリカ最高峰ということで登山者人気の高い山であり、それを良しとしてか猛烈な高額ツアーでないと登れないルールを作っている辺りが本当嫌らしい。年々キリマンジャロ国立公園の入場料は増加しており、今後も登山料金が上がることはあっても値下がりする可能性はほぼ無いのであり、南極ツアーと同じく一昔前と違って「せっかくタンザニアに来たから」なんて理由ではチャレンジするのが躊躇されるレベルとなっていると感じる。詳しくはキリマンジャロ登山についてを参照のこと。

◎気候
 3〜5月がタンザニアにおける雨季らしく、特に5月は降雨量が多くて1日中雨が降り続けることもある・・・といった話を聞いてたため、かなり不安を持ってタンザニアを走ることとなったのだが結論から言えば3〜4月ならそこまで心配せずとも大丈夫。想像通り雨季といっても午後の一定時間帯に雨を降らせておしまいというパターンがほとんどで、1月近く滞在して丸1日雨に降られた日はなかったんじゃないかな。
 自転車的にはむしろ東海岸から吹く風の方が問題で、この風は全体的に北寄りに向かって吹く関係でルート的に南進するサイクリストはモシの町以降で正面から風を受け続けることが多い。
 赤道に程近い国なので基本的に季節関係なく暑いのだが、内陸部は標高が高くて割と涼しい一方で東部の沿岸地域は湿度の高さも相まって非常に不快指数の高い暑さが待ち受ける。暑い場所だと宿に扇風機が無くては夜中寝るのに難儀するレベル。

◎言語
 国の国語はスワヒリ語で日記中にも述べたが、各部族で異なる言語を統一するために選ばれたという歴史がある。つまり部族同士では独自の言語で会話しているということでもある。
 かなり高い割合で英語が通じるため、田舎の食堂や宿であろうが数人いればそのうち1人くらいは英語が話せる人がいて通訳してくれるので非常に楽である。尋ねる内容は定型なのでその程度なら正直どうにでもなるのだが。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 料金の安さに対して宿のレベルが非常に高いというコストパフォーマンスに優れたタンザニア。この値段でこれほどのレベルはベトナム・エチオピアくらいしか記憶にない。
 ただし全肯定できるかというとそんな事はなく、特にタンザニア宿はベッドの形が悪いのか縦幅が短くて普通に寝ると足が飛び出してしまう謎仕様だったりする。仕方ないので対角線上に沿って斜めに寝る事で対応していた。
 マラリア罹患率が非常に高い国だけあって標高の高い土地にある宿以外は全て蚊帳が設置されているが、蚊帳の質はピンキリで酷い物だとそこら中が穴だらけで蚊の侵入を防ぐという役割を全く担っていない物も散見される。
 料金は最低で5000シリング(約280円)という宿もあったが、基本的には1〜2万シリング(560〜1120円)くらいと思っておけば良い。観光地や都市部だと全体的に値段が上がる傾向にある。その代わりWi-Fiの設置率も正比例して高くなっていくので一長一短というところか。
 ネットに関してはかなりWi-Fi設置率が低く、都市部や観光地のややお高めの宿でもないとネット利用ができる事はほぼ無い。反面速度自体は満足できることが多く、モシのホステル以外で速度不足に悩まされる事はなかった。これはアフリカではかなり驚きの結果と言える。
 なお初日からネット環境には悩まされる&タンザニアは1月近い滞在をするだろうと踏んでいたので初日にsimカードを契約していた。会社はVodaComという所でsimカード購入にアクティベート手続き・データチャージ全て含めて2500円の30日で18.5G使用可能というプラン。多分少々ボラれてるけど。
 よほどの田舎でもない限りは電波が立たないという事もなく便利に使えたのであり、タンザニアでsimカード購入する意義は大いにあると思う。

◎動物
 ミクミ国立公園というサファリに使われるエリアが幹線道路として通っているため、そのポイントでは冗談でなく肉食動物との遭遇危険がある。何しろライオンも生息してるらしい。
 とはいえ国道1号線で交通量の多い道であるため普通に考えて襲われるような危険性はほぼ無いと考えて良いと思う。むしろライオン見れたら相当ラッキーだと聞くし、そこを心配する必要はない。
 それ以外だと牛飼いが群れをコントロールしてる場面には最低でも1日1回くらいは出会う。ヤギやロバといった動物もそこそこいるが、タンザニアにおける大型動物は圧倒的に牛のイメージだ。
 あとこの国はアフリカ内でも特にマラリア罹患者の多い国として知られており、日が沈むと宿内に何処からともなくマラリア原虫を媒介するハマダラ蚊が現れるので要注意。

◎自転車店
 スポーツバイクの修理を期待しちゃダメ。日本から大量に輸送されたシティサイクル(ママチャリ)が使われているのも関係してか、自転車の乗車率はかなり高いし、そうした需要に応えて青空自転車修理店は結構ある。
 でも使用しているパーツが規格違いなのでチューブの1本ですら見つかるかは怪しいというのが私の感想だ。タンザニアを走るのであれば消耗品は自分で携行すべきだし、運悪くトラブルに遭ったのならば症状が軽ければケニア、ある程度専門的なパーツが必要ならもうナミビアか南アフリカまで移動することを覚悟すべきと考える。
 ただ今回Vブレーキが破損した際、マカンバコという中規模の町で代替え部品が何処からともなく出て来た事例もあるため、必死になって対応すれば案外埋もれている交換部品とかあるのかもしれないと思うようになった。

◎物価・食事
 スーパーワンパターンのメニューで米(又はウガリ)・ぶつ切り肉・葉野菜の炒め物・煮豆を1つのプレートに乗せて出てくるのがタンザニア料理の基本にしてほぼ全て。シチューみたいなスープやパスタも何度か食べたけど、小さな町であればあるほど米・肉・葉・豆のスタイルが増えていく。
 一応肉の替わりに魚を使用するパターンもあるが、その調理方法は油で丸揚げした物ばかりのため、それほど美味しかった記憶がない。
 救いなのは味自体が悪くなく、日本人的には米食が何日続いた所でしんどさを感じにくい点であろう。米は塩と油で下味をつけており豆や肉汁と絡めて食すると実に美味い。量に関しても1食で2合とか3合分くらいドカ盛りしてくる傾向があるため、サイクリストでも「物足りない」とまではならないのが嬉しい。
 他にはケニアと同じく飲み屋では必ずフライドポテトと焼き鳥(串)が売られているが、ケニアのチップスマヤイというのが濃厚なソースをかけて食べる方式だったのに対し、タンザニアのチップスマヤイはポテトを玉子と一緒に閉じてオムレツ風にする料理である。
 全体的に物価がすこぶる安い国で、こうした食堂での1食が基本2〜3000シリング(110〜160円)程度だし、ビールも観光地意外なら500mlの大瓶が種類を問わず1本2000シリング(約110円)である。私はキリマンジャロ・セレンゲッティ・サファリの3種類のビールを好んで飲んでいたが、もう2種類ほどタンザニア産のビール自体はある。
 暑い国だったので炭酸ジュースもよく飲んだが、種類を問わず350mlの瓶は6〜700シリング(約34円)、500mlペットボトルは容量20%増量されており1000〜1200シリング(約56円)である。全体的に南部の方が物価安いしボッタクリしてくる人も少ないイメージ。
 販売されてる野菜の種類も少ないのだがその値段はどれも格安であり、アボカドが1個500シリング(約30円)で売られているため私は朝食を自炊するときはいつもアボカド醤油ご飯を作っていた。なおタンザニアの朝食メニューはチャパティ又はドーナツに生姜入りチャイというのが定番。

◎総括
 これぞイメージしていた「THE アフリカ」という世界を走行できたのが嬉しい反面、現地の人間の面倒くささにゲンナリしてしまうことも多く、車両の酷い運転もあってタフさが求められる国だったと思う。
 とはいえすこぶる物価が安い上に宿の質が良いため、他国と同じような予算で大分楽な旅行ができるのも間違いない。ということでタンザニアでの自転車旅行を楽しむコツは「慌てず怒らず緩やかに」ということなんだろな。私の場合は南部地域に入ったくらいからこの国の人との付き合い方を掴んだ感じで、それ以後はあまりストレスを感じることもなく改めてタンザニアという国を楽しむことができたと思ってる。
 アフリカ大陸で大型の野生動物と邂逅できる道路は幾つかあるけれど、ミクミ国立公園はそうした中で進路的にも最も訪問しやすい場所だと思うし、行けば何かしらの大型動物を見ることはできると思う。ケニアやボツワナのそうした道が僻地・過疎区域だったり未舗装を含む走りづらいルートであることを考えると、タンザニアでの自転車サファリは(道路状況さえ良くなってくれれば)オススメですよと私は言いたい。