2019年9月6日〜9月10日 2023年8月18日〜9月3日
走行日数22日間
累計走行距離1407km(1回目458km・2回目949km)
(99682km〜100140km・138086km〜139035km)
◎道路
西欧の国と比較すると自転車道の数が少なかったり、あっても段差が多くて走り辛かったりとややレベルの低下が気になるものの全体的には非常によろしい。一般道路に関しては農道のように規模の小さな道が国内無数に走っており、こうした道を選べばほとんど交通量のない道の走行も可能である。そんな道でも割と路面状況が整っていることが多く、ポーランドは慣れれば慣れるほど「走りやすい国だな」と感じるようになった。
都市部への突入には主要道路を選べばしっかりした自転車道があるし、ヨーロッパ特有の旧市街石畳の弊害も少なく都市・郊外と場所を問わず走りやすいのが素晴らしい。感覚としてはヨーロッパ全体でもかなり上位の自転車フレンドリーさを感じる。
これの一員となるのがド平坦な地形で体力的な苦労がほぼないから・・・という点にあるとは思う。チェコとの南部国境付近ですら標高500mとかその程度。国全体が標高低いのに暑くもないし走ってる分にはストレスを受ける要因が非常に少ない。ただし景色はかなり単調で飽きが来る人も多いかと思うが。
◎治安
かなり良いと感じる。意外だったのが首都のワルシャワですらほとんど浮浪者の姿を見かけなかった点で、その代わりというか何というか平日昼間っから飲んだくれてヘベレケになっているような人を見ることは割とある。
ワルシャワで私が宿泊した宿はしょっちゅう周辺で警察車両が屯っていたし、なんだか揉めているっぽい状況にも遭遇したので割と治安の悪い地域だったのかもしれない。
◎ビザ・出入国
シェンゲン加盟国なので同加盟国地域における国境はノーチェックで出入国が可能。シェンゲン協定に入ってる国としてはポーランドが東端の国の1つであるため、自転車旅行的にはポーランドからシェンゲン区域がスタート又は区域を脱出する・・・という人の割合も多かろう。
私の場合は2019年にウクライナへと抜ける形でポーランドを出国したが、現在(2023年)はこのルートがほぼ利用できず、かといってベラルーシへの入国も現実的ではないと考えるとシェンゲン協定における境界線という一面は機能してないことになる。北から南下してきた場合はハンガリーまで進まねばシェンゲン協定圏から抜けられないということで、ただでさえペースの遅い自転車旅行者にとって現在の状況はかなりルートを選ぶ上で制限となりえる。
◎交通事情
横断歩道で自転車通すためにほぼ確実に車が止まってくれるし、基本的に自転車フレンドリーな交通社会といえる。ただ大型のトラックでクソみたいな運転する輩が増えたし、そういうアホがクラックション鳴らしてきたりと途上国レベルの行動をしてくることも有り。
郊外はラウンドアバウト方式の交差点も数多く、都市部では信号だらけだが自転車用のレーンがしっかり造られてるので車両に対して恐怖を覚える事はほぼない。
ということでやっぱり幹線道路でもローカル道でもない中途半端な大きさの道が嫌だったな。こ雨した側道ないけど交通量はそこそこあるレベルの道で大型車両が通過しようとすると自転車抜くために煽ってくる場合があるためか。
とはいえ全体的に走りやすくてマナーも良い紳士的な国ですよ。そこら辺は流石自転車に理解があるヨーロッパの土地だと思う。
◎特徴
東西ヨーロッパの架け橋とも言える超重要な土地であり、歴史上常に戦果に晒されてきた国でもある。ヨーロッパはどこも似たような事情があるとも言えるが、19世期に独立した後もポーランドは第二次世界大戦においてドイツ軍によるユダヤ人虐殺の舞台として世界的な注目が集まった土地である。その後も社会主義国の台頭で板挟みに遭いつつなんとかやってきた苦労の多い国。そうしたゴタゴタあって現国名となったのも1989年とかなり最近。
そんなワケでドイツ人に対するヘイトがかなり強いと聞いたけど、少なくとも私が出会った人で特別そういった雰囲気は感じなかった。流石に「ドイツ人のことどう思ってるの?」みたいな直接的な質問できなかったので真意は分からないけれど。
◎気候
今年(2023年)が特にそうなのか知らないが、夏のポーランドは割と雨が多かった。割と短時間にドバッと降るスコール的な雨が多いのだけど、天気予報では1日中雨が降り続ける・・・みたいな表記のされ方してることが多く、この辺をうまいこと見極めないといつまで経っても雨ばかりで進めなくなってしまう罠。
緯度が高いこともあって8月の後半は早くも秋の様相を見せ始めており、ちょっと風が吹くと色づいた落葉が舞い落ちる秋の風景が出てきたり。単純に気温も日中で25度を下回る日が多く、天気が悪いと上着が欲しくなるレベルに。
なお国内が森林地帯ばかりなのもあるのか、風に関してはほとんど気にせず走ることができる。
◎言語
ポーランド語である。使用文字がラテン語らしいのだが、これが読み方すら全くわからないレベルであり看板の都市名すら類推するのに苦労するレベル。
そして英語の通用率が一気に下がったことで久しぶりに意思疎通で苦労することが増えた国でもある。首都や観光地を除くと英語の通用率は40〜50%位のイメージかな。英語を話せる人もいるっちゃいるけどポーランド語なまりが強くて何を言ってるのか解読するのに苦労が多かった。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
ほとんど人のいない北欧並みに野宿がしやすい国である。そこそこ大きな町でもちょっと走ればすぐ森林地帯が出てくるし、その木々の地面も落ち葉等柔らかい土で敷き詰められててテントが実に張りやすい。
国内に大小無数の川が流れている上、地形が平坦なこともあって汗をかく夏の時期でも川の側にテント張って水浴びすることが容易なのが非常にありがたい。雨に降られることも多かったけど、この条件にプラス屋根のある場所を追加しても割と普通に野営地が見つけられる驚きよ。
ちなみにキャンプ場も豊富にあるしホステル系の安宿も大都市や観光地には無数に存在する。1度目(2019年)訪問時には1泊1000円するかしないかという料金だったと記憶してるし、キャンプ場は500円とかその程度だったけど、2度目(2023年)の訪問では物価上昇と円安のダブルパンチでワルシャワのホステル1泊2000円近くした。野宿が楽過ぎるのもあってほとんど利用しなかったが、ヨーロッパの国としては非常にお安く宿泊できるの間違いないため、利用するのも良いなと思ってた感じ。
Wi-Fiはどこのスーパー入ってもFreeWi-Fiが飛んでたオーストリアやドイツと比べると1枚落ちるものの、それでもネット環境に困るという事はほとんどない。私はポーランド滞在中1日1回以上のペースでネット環境にありつけていたし、ファストフードのお店以外にもWi-Fiサービス提供してるお店は普通にある。特にドラッグストアのROSSMANNというお店はお世話になりました。
観光地の中央広場とかにもWi-Fiあるし、ポーランドは適度な距離に中規模程度の町が点在するのでそこで大型スーパー(カルフランドとかカレフール)行くなりすれば事足りる。わざわざSIMカード買う必要はないと感じたかな。
◎動物
特別気になった生き物は居なかったかな。森林でテント張ると場所次第で凄まじい数の蚊が襲来してくるとか、水分求めてテントにはナメクジがたくさん付着するとかあるけど他のヨーロッパでも同じだし。
犬は自転車見つけると結構な勢いで吠えて追いかけてくるけれど、奴らが敷地内から出られないようなってるポーランドでは気にするような存在でもなし。
農地が凄まじく広い割に家畜動物である牛の姿は割と少なかったと思う。馬を飼ってる牧場とかもあったけど、どちらにしても畑の割合に対してそこまで多くない印象。牧畜よりも農作物を栽培する方向に力を入れてる国なのかもしれない。
◎自転車店
自転車人気も高いし先進的なプロショップもたくさんある一方で、やはり所得の高い西欧とは違い低グレードの部品を扱うようなお店の割合が増えた。これは私みたいな旅行用の自転車使ってる者にはありがたい点で、例えば西欧ではカセットスプロケットも現代だと11速・12速とかが主流で取り扱われてて8速・9速といった規格は数少ない傾向だった。
ところがポーランドではこうした低グレードのパーツを数多く取り扱ってる店を見つける機会が多くて非常に助かった。特にフロントスプロケットの30〜32枚歯の部品はドイツじゃAmazonで在庫探しても出てこないほどレア部品だったのが普通に店頭売りしていたり。
ということで長期的な自転車旅行してて、低級グレード部品の交換を考えてる人なんかはポーランドという国はむしろ西欧諸国よりずっと選択肢に幅を持って探すことができる国だと思う。そりゃマラソンシリーズのタイヤとかは見かけなかったけどさ。そういうのはドイツで探せば良い。適材適所だ。
◎物価・食事
西欧からやって来るとポーランドで物価がグッと安くなるのを実感できる。長期旅行者でも多少の外食してみようかと手を出せる価格になるし、安宿も2000円を切る(2023年時点)ところが登場し始め実際利用することもあったワケで。
普通に野宿&自炊をする自転車旅行スタイルだと1日の予算もビール含めて1500円程度にまで落ち着くため、金銭的な面での苦労が少ないヨーロッパにおける落ち着ける国だ。
ただしビールだけはチェコの方が安かったのであり、1本平均で3〜4ズウォティカ(約105〜140円)くらいしてた印象。
野菜や加工品の値段に比べて肉の料金がやや割高だなと感じることが多く、ポーランド語が理解できない者にとってはスーパーでの割引セール表示が曲者で、会員カードを持っていると40%引き!とか、2つセットで購入すると1つの価格は○ズウォティカ!・・・みたいな内容を誤解して、レジに持って行ったら想定してたより値段ずいぶん高いんだけど!という失敗を何度かやらかしてる。
あと日曜日は基本的にスーパーが完全休業する国で、その場合の代返手段としてコンビニみたいな小型店舗を活用していたが、もちろんこうした店舗は値段もかなり割高なので要注意。
なお普通のスーパーでもかなり日本食材が流通している国であり、大型スーパーのアジアコーナーなら味噌も取り扱っているほど。うどんや蕎麦も購入できるため、この国では割と安価に日本食を楽しむことが可能である。
◎総括
入国初日は人の対応も素っ気無いし、町並みものっぺりしていてあまりワクワクしなかった印象があったポーランド。それが日数経過していくにつれれ、この国の人の優しさと誠実さを感じどんどん好きになっていた国である。
4年前(2019年次)に「また再訪するから!」ということでサラッと東部地域のみを走っていたのだが、改めてこの国を訪れて本当に良かったと思っている。特にヴロツロフをはじめとする都市部の雰囲気はヨーロッパ全体でも特筆するほど好きだった。ポーランドという国はどうしても歴史的な点からマイナスのイメージが想起されるけれど、そうした点を気持ちよく打ち破って新たなイメージに塗り替えてくれたことが嬉しい。
隣国ウクライナが戦争状態にあることで、難民が大量に押し寄せたり等の治安的不安を覚える方がいるかもだけど、そういった点での不安や怖さを感じることは無かったのでポーランド旅行を考えている方はあまり気にせず楽しんでいただければと思う。