2023年9月9日〜9月13日
走行日数5日間
累計走行距離325km(139512km〜139837km)
◎道路
自転車道の割合が減ったし、仮にあっても路面状況が良くないパターンも多く、行き先を考える時にも「とりあえず自転車道を探す」というスタイルではなく素直に一般道路を走行するように走っていた。幸いなことに道路自体は側道の幅をしっかり確保してくれてる割合が高く、走ってても恐怖を感じることは少ない。
ブラチスラバを抜けるとひたすら平原が続いてスロバキアはそういう国なのか!と思っていたが、国の中央部分に差し掛かると徐々に山の姿も出始めて普通にアップダウンのある道も。ただ全体的にアルプスみたいな標高の高い山はそれほど多くない。ポーランドとの国境が高い山脈だと聞いたので、そちらから出入国する場合は本格的なヒルクライムがあるかと思う。
◎治安
特に不安とか危険に相対すること無く過ごせた国。滞在期間が短いので何とも言えない所はあるが、首都のブラチスラバを除くと地方都市では実に牧歌的な雰囲気で危険な出来事に巻き込まれる雰囲気は感じない。
だが全体的に貧困を感じさせる点も多く、そうした影響で日中から飲んだくれや浮浪者の姿を見かける機会は増えたと感じる。特にブラチスラバでは路地裏とかに人相の良くない人の姿を見かけたし、私はダウンタウンで自転車から目を離して買い物するのは躊躇われる程度に不安を感じていたのも事実。隣国オーストリアのウィーンみたく、無数の観光客が屯っているが故の危険性はあまり感じないが、別種の危険意識は持ち合わせておくべきだと思うかな。
◎ビザ・出入国
シェンゲン協定加盟国なので、西部に位置する他国との陸路移動はビザなしイミグレーションなしと何も気にすることはない。
割と面白いのが首都ブラチスラバの位置関係で、一国の首都を有する県にオーストリア・ハンガリーと複数の国が隣接している状況は珍しい。だから首都のすぐ側なのに軍隊の敷地が広がってるのか?
このためオーストリアのウィーンからブラチスラバへ日帰り観光したり、物価の安いスロバキアへ日帰りで買い物する人が多いのだとか。ハンガリーがどうなのかは知らん。
◎交通事情
道路状況の良さに反してドライバーのマナーは大分悪くなった。少なくともスロバキアのドライバーは横断歩道で自転車・歩行者が立ち止まっててても滅多に停車してはくれない人達だといえる。
全体でいえばクラックションも鳴らさない節度ある運転をしてるのだけど、他に自転車道があるワケでもない道で何度か追い抜き様にクラクッション鳴らされたし、自転車の脇ギリギリを猛スピードで走り抜けてく輩の割合も増えたように思う。
なまじ道路状況が良いから許せるというか気にならないけど、スロバキアの運転手はヨーロッパにおいてかなり残念な印象を持たせたというのはある。
◎特徴
日記本編でも述べたが1993年にチェコと分離独立した国である。それ以前はロシアの社会主義国の枠に入ってた時期もあるのだが、町中の無機質なビル群を見るとそうした歴史の影響がちょいちょい見え隠れすることも。
チェコとは流血も戦争も無く平和な形での独立を勝ち取っており、現在においても特別表立った問題はなく2国間の出入国も気にせず通過できる。東欧では現代でもなお禍根を残し、国境問題でも揉めまくっている旧ユーゴスラビア諸国の国々があるためスロバキア・チェコの間柄は割と貴重に感じたかな。
◎気候
滞在時期全日程で雲1つない快晴の天気が続いた幸運。気温も9月上旬で30度に届くほど暑く、走ってて汗が噴き出ることも多かった。風が吹くと遮蔽物のない農地が広がっていることもあり露骨に走行ペースが変わるので大変なのだけど、残念ながら毎日東若しくは南から吹く向かい風で苦労させられた。
深夜の気温は10度そこそこまで下がる感じで、朝にシュラフから這い出るのがちょっとだけ気になる程度。そこから30分もするとぐんぐん気温が上がり始め、すぐにTシャツ1枚になっていたが。総じて川で水浴びするのも気持ちいいし、かといって暑すぎて消耗することもない快適な時期に訪問できたと思う。
◎言語
スロバキア語である。チェコでの項にも同様のこと書いたが、元は同一の国だったチェコ語とは言語的にかなり近いらしく、お互いの言葉はかなり通じるらしい。日本人の私にゃどちらにしてもサッパリ分からんかったけど。
1つ面白かったのがガソスタやれカフェといった建物の看板に「Non Stop」と書かれていることが多く「お店の駐車場に止まれないんかい!」と1人でツッコミ入れてゲラゲラ笑ってた。なお最後までスロバキア語でどういう意味を持つのか調べてはいない。
なお英語の使用率は非常に高く、田舎でもそこまで意思疎通に苦労しなかった。体感で8割近くは英語イケるんじゃないかという印象かな。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
滞在中全て野宿で済ませたワケだが、それが全く苦にならない程度には野営しやすい国である。首都さえ抜けてしまえば基本農地が広がる土地ばかりで、そうした場所にポツポツと森林地帯が点在してるため、そこを狙っていく感じ。
初日こそ川の水が綺麗じゃなくて残念に思ったけれど、どうやらその状況はブラチスラバ周辺のみらしく、町から30kmも離れてしまえば以後見かける川は川底までバッチリ透き通った綺麗な川ばかりでした。水温も適度に冷たくて、この時期なら行水が最高に気持ち良いレベル。
ちなみに宿泊施設は知らないが、キャンプ場に関してはそれほど姿を見かけてないため、そこまで需要あるのか怪しい感じ。走行ルートと私の記憶力にも依るのだけど、他のヨーロッパ諸国に比べたらキャンプ需要は少ないんじゃないかなと思う。
でもWi-Fi自体はそこらのスーパー行けば簡単に接続できるし、ブラチスラバでは市内のFreeWi-Fiもあった。何ならガソリンスタンドでもFreeのWi-Fiが飛んでたりして大変お世話になりました。なのでこちらに関しては気にする必要はない。
◎動物
特に西部の農村地帯で顕著だったがネズミの数がやたらと多い。正確には道路上に轢かれたネズミを多く見たということだけど、1日に数百匹単位で見かけたので相当な数のネズミなりモルモットが生息していると思われる。野宿する際に食料の置き場所は気を使ったほうが良いかもしれん。
それ以外は他のヨーロッパ諸国と大差ないかな。犬はテリトリーに入ると吠えまくって来る奴が一定数いるが、いずれも敷地内から出られないため気にする必要はない。
◎自転車店
お店2つしか入店してないのだけど、無茶苦茶お世話になったし商品のラインナップも充実していた(シュラルベのマラソンシリーズが取り扱ってた!)ことから個人的な評価は非常に高い。
単純に自転車人気も高い国だし、チェコとの関連性(過去の流通事情が引き継がれているとか)を鑑みると商品のレベルの高さも納得いく感じかな。
お世話になったショップは、2人の店員のうち1人が何とか英語を話せる程度だったので、この国では場合によってはトラブル状況を全てジェスチャーなり根性で示さなくてはならないかもしれない。それは実はあんまり難しいことじゃないんだけどさ。
◎物価・食事
そこまで高いというワケではないが、隣国ポーランドと比べると1段値上がりする感じかな。東欧の国は独自の通貨を活用してる国が多く、片別れしたチェコもそう(チェココルナ)だけど、その点スロバキアはユーロを採用してるので欧州走行してる者にとっては面倒がなくて有難い。
食材は肉類を除けば安価でビールもロング缶で6〜70円から色々出て来る感じだが、観光方面の値段が強気な傾向があり、結局私は行かなかったがハンガリーとの国境に面する巨大鍾乳洞の入場料がハンガリー側より倍近く料金高くて閉口する気持ちになったのはある。ボイニツェ城だって入場料13ユーロはともかくカメラ持ち込みで追加6ユーロというのは結構阿漕な商売だと感じたぞ。
なおスロバキアでも全日程を自炊で済ましてしまい、食に関する点では感想がある筈もなく。私だって自分で食事作らずその国の名物とか色々体験してみたいけどさ、こればっかりはもうちょい物価の安い国行かねば厳しいかなという気持ち。
◎総括
首都のすぐ近くに国際都市としても観光地としても有名なオーストリアのウイーンがあって、そうした場所と隣接していることから旅行的な印象はやや薄かったスロバキア。でも実際この国を走ってみると、西欧と比較し程よく物価も抑えられつつ自転車に対するフレンドリーさも残っており、走ってみると実に回り甲斐のある国だということが分かる。そういう意味でヨーロッパにおいても全体的なレベルが高い割に旅行しやすい国だといえる。通貨もユーロで面倒がないしさ。
もっと色々回ってみたいなと感じる魅力を持ち得ていたが、残念ながらシェンゲン協定の期限が迫っている関係で足早に出国することになってしまった国でもある。残念無念。