2023年11月13日〜11月26日
走行日数14日間
累計走行距離486km(143261km〜143747km)
◎道路
すごく良かった。結構路面が悪い道もあるけど全体的に側道を取ってくれてる割合が多いため不安なく走れるという点が大きい。その一方でちょっとローカル道走ろうものなら酷い未舗装路となってしまうのも事実であり、アルバニアにおいてはヨーロッパよりも少々途上国での道路選択方をセオリーとする(基本的にルートは幹線道路をメインに考える等)のが正解だと思う。なお車両は右側走行。
地形的にかなりアップダウンのある国で、内陸部を走ったり国内を東西に横断しようとすると山登りは避けられないし、ベラト以南の土地は内陸部だとほとんど舗装路が通ってないレベル。ただし山の高さはそこまで凶悪な程ではなく大体1000mをマックスだと考えておけば良いと思う。斜度に関してもかなり緩やかに造ってくれてる場所が多いため、難しいというほどではない。
楽なルートとしては海岸線に沿った道も延びており、こちらならば多くの場所を平坦路で走ることも可能だったりとなかなか懐の深い国という印象だ。
◎治安
入国早々にトーチカの残骸目にして物々しい雰囲気なのか・・・?とビビったが、実際のところアルバニアの雰囲気は非常に緩やかで治安に不安を感じることは少ない。というか首都のティラナ町中ですら住民が家のドアを開けっぱなしにしていたりするし、私が泊まったホステルも同様なので盗人が入ったりしないかとドキドキしたぞ。
そんな感じで牧歌的な国だなと思ったし、田舎に関しては全然気にするような危うさはなかったけれど、ゴミを漁ってる人を日常的に見かける等の貧困さは所々で感じるため油断しすぎるのは禁物か。
◎ビザ・出入国
少なくとも陸路国境の出入国に際しては、スタンプを押さないという謎の制度を取っているっぽい。確かに隣国の出国スタンプ日時を確認すればある意味アルバニアのスタンプは必要ないかもしれないが、よく分からんことやってると感じたし単純に不安なのでやめてほしい。
審査自体は無茶苦茶適当であるため特別気にするようなことはなかったかな。
◎交通事情
この国に来て車両がクラックション鳴らす割合が大きく減り非常に好印象。民族的な点からコソボ と似たような感じと想像していたが良い意味で裏切られた。
そもそもの交通量が少ないということもあってか、自転車を追い抜く際にも反対車線まで大きく距離を取ってくれる運転手が多いし、逆走や信号無視といった蛮行を行う輩を見なかったことも素晴らしい。
褒めばかりだが凄まじい速度で一般道を爆走するヤンチャな車両もいるし、狭い道路で自転車の脇ギリギリを追い越す無茶をするトラックにも遭遇した。まぁ全体的な傾向としては非常に素晴らしいという感じ。
◎特徴
これほど特徴の多い国も珍しいと言えるほど尖った国のアルバニア。1990年という近年まで鎖国政策を実施しており「ヨーロッパの秘境」なんて呼ばれ方していた。これにより国境付近には外敵から身を守るための無数トーチカが建設され、1度も使われることのないまま現在でも残り続けている。
他にも国家無神論政策という国内にはいかなる宗教団体も存在しないと国が宣言した(現在どうなってるのかイマイチ分からん)りと、なかなか強烈な舵取りをしていたホッジャ首相の独裁政権が終わり、鎖国政策が解かれたと思ったら今度は国民の3分の2以上がネズミ講に参加してしまい、というかむしろ政府がこのネズミ講に加入するよう推奨していた始末。
当然程なくしてネズミ講は破綻してしまい、多くの国民が文無しとなり暴徒化。そのまま紛争状態に突入してしまい、近隣国の助けを得ながら治安回復した後も現在ヨーロッパ最貧国として知られている・・・という近代史だけでも波乱万丈すぎる。
でもその割にアルバニア国民は自国の国旗プリントされたグッズとか大好きだし、その手の土産物屋も数多いんだよね。そんな唯一無二の独自性を持ってる国なので、面白いかと問われればそれはもう無茶苦茶面白い国ですよ。
◎気候
地中海性気候にあたる国のため、この時期は雨が多いということに途中で気づいた。実際この時期のアルバニアは最長で3日間しか晴れた日が続いたことがなく、結構な割合で雨を降らせてしまうためルートを考える際に困りがち。
風は全体的に北から吹いてた印象で、このため南下している私には基本追い風となって助けてくれることが多く楽ができた。その代わり吹き付ける風は非常に冷たいもので、いよいよアルバニアからは服装もラフな夏服から冬服に切り替わった感じがある。なおテント泊すると朝にはペットボトルの水が凍ってたりしたので気温も氷点下まで落ちていただろうし、日中もティラナを散策してる時には24度まで気温上がったことがある一方で、それ以後は最高気温も15度前後で推移していたため丁度季節の変わり目であったのかと想像する。
◎言語
アルバニア語である。区分としてはルーマニア語やブルガリア語と近しい言語らしい。地理的にイタリアと近いためか、割とちょいちょいイタリア語で会話している人を見たのが印象深い。
英語の通用率は5割といったところだろうか。学生くらいの年嵩の子がよく英語で声かけてくれることが多かったイメージで、学校における英語教育に力を入れているのかもしれない。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
主要都市や観光地ならホステル系の安宿で1泊10€の予算を見繕っておけば大丈夫かな?という感じ。何処も設備は一応整ってた・・・っていうレベルなのだけど、バラトで利用したホステルは完全に1段上といった印象。ここだけ朝食サービスも付いてたしね。
意外と小さな集落が点在していて人がいないエリアというのは少ないのだが、野宿もほぼ気にすることなく出来る雰囲気だし何なら宿泊地を提供してもらうこともあった。都市間の距離が微妙に遠いので、普通の町にある宿泊施設を利用しない場合は安宿のみを繋ぐのちと厳しいため割とテント泊も多かった気がする。それとジロカストラでは体調崩して宿の方々に大変お世話になりました。
なお町中におけるFreeWi-Fiの設置率はかなり低い。なんだかんだガソスタで2度Wi-Fiをゲットしてるのだけど、基本的にアルバニアではFreeのWi-Fiを当てにするより素直にカフェみたいな施設を活用した方が良いと思う。飲食関係のお店は料金安いので懐もそれほど痛まないし。
◎動物
いつもの家畜シリーズでヤギや羊、馬を見ることが多かった反面、牛や豚の姿は目にした記憶がない。基本的にはイスラム色の強い国だから豚は分かるが牛に関しては忘れてるだけかも?
寒くなってきたので蚊を始めとする小さな虫に困らされることが減ったことが有難い。またアルバニアでは隣国と比較して割と犬の攻撃性が低く、また敷地内の柵がしっかりしてるため余り犬に追いかけられることが無かった点も好印象。でも1〜2回くらい追いかけられたが。
◎自転車店
意外だった点でアルバニアは首都ティラナを中心に割と自転車需要の高い国であること。きたマケドニアよりは少ないものの、しっかりしたスポーツバイクに乗ってるローディを複数回見たしティラナ の町中に自転車商店街があったことも驚いた。ここでマラソンプラス取り扱ってるショップもあったし、思ってるよりアルバニアは自転車関連の部品が充実してるのかもしれない。
なおティラナを離れるとロード乗りも自転車ショップも見かけることは無くなったので、この国でトラブル発生した場合はとにかく首都へ向かうのが間違いない対処法だと思う。
◎物価・食事
最初ティラナで買い物した時は「アルバニア無茶苦茶物価高いじゃねーか!なんだこの国!?」とか驚いたが、基本的にティラナの物価が非常に高いこととアルバニアは商品によって値段の上下幅が異様に大きいため、物を選んで買い物するということが大切だと段々分かってきた。
例えば肉類は普通に購入すると日本より高いことが多い一方で、冷凍されてる肉ならば非常に安く購入することができる。
ちなみにビールは相当値段が上がり、1.5ℓタイプのペットボトルで200レク(約320円)というのが多分最安。バルカン半島の国で1番お高いのではないかと思われる。
面白いのが対人関係の食堂やレストランといったお店はむしろヨーロッパでも最安値に近い料金で楽しめる点で、私はお昼によくファストフードのケバブ屋とか利用してたが安けりゃ1食120レク(約190円)とかの料金で楽しめる。
ということでアルバニアでは自炊による金銭的なメリットが薄いため、もうちょい積極的に食堂とか利用しても良かったかな?という気持ちもある。ティラナの中央広場すぐ側のレストランですら生ビール100レク(約160円)とかで飲めたので、アルバニアにおける飲食関係の人件費が気になってしまうレベルだ。
◎総括
いや面白い国だったなアルバニア。情報だけ調べるとその特徴的な歴史や政策にばかり目が行くが、この国の素晴らしさは人たちのフランクさと親切心にあるというのが私の感想で、(他地域と比較して)あまり旅行者に対して積極的に話しかけてこないヨーロッパとは思えぬアグレッシブさ。田舎町で見知らぬ子供に声かけられたり挨拶されたかと思えば、そんな彼らが私を指してギャハハと笑ってる(おそらくは中国人だと嘲笑っている)そんな光景がこの土地で見れるとは。
そういう意味でアルバニアはこちらが特別アクションを起こさずとも向こうからイベントが押し寄せて来る系の国といえ、悲喜こもごも良い経験をさせてもらいました。
自転車で走るには内陸部ほど未舗装割合が増えて難しくなる一方で、海岸線ベタ付けルートならそうした問題からは解消されると両極端。私はちょうどその中間くらいをルートプランニングした印象。
ヨーロッパでは他国とちょいと異なるテイストが味わえる国だと思うので、ある程度欧州回ってから訪れてみるとより楽しめるのではないかと思います。