2024年5月11日〜5月27日
走行日数17日間
累計走行距離634km(150572km〜151206km)
◎道路
アルメニアと比較して劇的に路面状況が改善したのは嬉しいのだが、相変わらず側道はほとんど存在しないため交通量の関係で大きな道はむしろ走りにくいと思ってた。ただ私の走ったルートではほとんどアップダウンが出てこず体力的な面では非常に楽。ジョージアという国自体は山々に囲まれた国なので、今回みたいに国の中央部ではなく南部を横断すれば相当な山岳地帯を走ることも可能という意味で選択の余地がある分優しい国だといえる。なお車両は右側走行。
都市部に入ると自転車道も出てくるが、バトゥミの海岸線を走るロード以外はおよそロクなもんじゃ無い自転車道ばかりであり、むしろ自転車道を走る方が危なかったりするレベル。道路事情に関してジョージアという国は完全にアジア寄りの国であったといえる。
◎治安
基本的に危険を感じるような雰囲気はなく良い。・・・のだが今回は「ロシア法」の成立という時期に重なった関係でジョージアの主要都市ではデモが開かれニュースにもなっていた。特に首都のトビリシでは警察官がデモを行う市民に対して暴行行なった動画が出回ったりと壮絶な光景が広がっていたらしく、実際トビリシの中心街では昼間から軍や警官が装甲車と並んで物々しい雰囲気を醸し出していた。夜中には絶対近づいちゃ駄目だと感じたし、この近くにあるバスターミナルでは夜間発着するバスが危険だからと別のターミナルに急遽変更してたとか色々。
まぁこうした大都市さえ離れてしまえば基本牧歌的で野宿してても全然気にならない程度には安心感がある。最低限の注意をしてれば田舎は全く問題ないと感じた。
◎ビザ・出入国
国名をロシア語読みの「グルジア 」からラテン語読みである「ジョージア」に変更した際、ノービザ入国でありながら365日間の滞在が認められるルールを改定して現在もそれが続いている珍しい国。というかノービザ滞在1年可能な国って多分ジョージアだけだろな。
でも小さな国なので滞在日数の長さより入国審査がザルというか適当でアッサリスタンプくれたことの方が個人的には嬉しかった。
とはいえこの点に関しても、地理的に隣接してる国がトルコ・ロシア・アゼルバイジャン・アルメニアと現在の状況ではトルコとアルメニア以外の国へ陸路入国するのが躊躇われる国のため、ジョージアに長期滞在するような人ならともかく自転車旅行だとルート的にも何度も出入りするような国でもなくあんまりメリットとしては生かしにくいなぁとか思うた。
◎交通事情
悪い。アルメニアと同じく自転車に対しての意識がそもそも薄いと感じたが、単純に車両の数が増えたことで酷い運転するドライバーに遭遇する確率が上がってるため相対的にアルメニアよりイメージが悪い。クラックションもそこそこ鳴らすしさ。
特に後方を確認せずバック始める車が多かった感じで、危うく接触しそうになったことが2度ほどあったし、その際必死に車叩いて気付かせたらドライバーは謝るかと思いきや凹んでないかを確認した後、私に一瞥もくれず去っていった。そんなことがあるためジョージアドライバーの印象はすこぶる悪い。
平野にある道路はかなり直線的な造りが多く、そのため側道もない片側1車線の道であっても凄まじい速度を出す車が多くて気が休まらない。ジョージア走る場合は小さなローカル道かいっそ割り切って高速道路や国道1号線レベルの主要道を走る方が安全なのだけど、そう思って走った主要道が側道のない狭い道な上に交通量が多かったこともあったため難しい。
◎特徴
南オセチアとアブハジアという未承認独立国家を2つ抱えている。反ロシアを掲げるジョージアという国の中にある親ロシア派が多い地域らしく、ロシアが軍事的な援助をして独立すべく戦争をけしかけたりとか聞いた。
現在においても扱いの微妙な土地らしく、ジョージアではなくむしろロシア側からであれば入国することも可能だとか。でもジョージアにとってはこの2地域は「自国領土である」と表明してるため、ロシア側から入国すると「ジョージア不法入国」ということで逮捕されたという事例があった・・・ということまではニュースで調べた。
モルドバの沿ドニエステルみたいに観光客が気軽に入れる地域ではないのでスルー推奨なのだけど、素直に国道1号線を走っていると南オセチアとの境界線まで1kmしかない場所を通ったりとか割と物理的な距離が近い。これくらい近いとフラっと野宿場所探す際に寄ってしまう気もするし注意が必要か。
◎気候
雨の割合が多かったものの、気候的には最高の環境だったといえる5月のジョージア。早朝は肌寒くて気温も一桁まで下がることがあるが、日中には20度少々まで暖かくなるし、黒海沿岸まで行かなければ湿度も低くて爽やかである。風は西から吹くことが多いものの、森林が豊富な土地というのもあってか厳しいと感じるほど強い風には吹かれなかった。
まだ北部南部の山岳地帯には雪を被った山々が見えるし相当気温も低そうな感じだったがジョージアは山と平野部とで走行ルートを選べる国なので、夏本番になっても山岳走ることである程度快適な環境を維持できそうな気がする。なお首都であるトビリシの標高は精々4〜500m程度であるためそれほど標高における気温差を考慮しなくても平気。
◎言語
私は「グルジア語だ!」と聞いたのだが、これは要するにジョージア語と捉えて良いと思う。英語の通用率はかなり低く、都市部や観光地でない場合は英語よりロシア語の方が話者が多い。日本人的にはとても困るし、何なら博物館とかの表記でも英語がなかったりとかあってどうにもならなかったり。
基本的な看板等には英語が併記されているため地名レベルで困ることは少ないが、スーパーの商品とかは全く理解できない状態で毎回見た目と勘で商品購入していたレベル。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
これは安いし値段の割に設備も良くてコスパも良い。どんな宿でも熱々のホットシャワーが安定して出てくる程度にはレベルが高い。でもベッドのサイズが小さくて寝にくかったことが1度あったかな。ともあれ都市部でしか利用してないが、このご時世でまだ1泊1000円以下の宿が選べるほど豊富に揃っているというのは素直に凄いと思う。
その一方で安宿には長期滞在している徴兵逃れのロシア人が無数におり、彼らのマナーが基本悪いため当たり外れが激しい印象を受けた。あまりに長く滞在続けてると自分の家みたく使い始める輩というのがいて、人の食材や調味料を勝手に使ったり相部屋なのに深夜大声で電話したりと文句言い始めるとキリがない。私はこれが嫌だったので料金的には最底辺よりちょっとお高い感じの宿を利用するようにしていたし、そういう宿で出会ったロシア人は常識的な人ばかりで平和に過ごすことができた。最終日の前日以外は。
Wi-Fi環境は速度も良好である一方、町中にてFreeWi-Fiをキャッチできることは滅多にない。精々トビリシとバトゥミの中心地くらいで、実際ジョージアではネットに触ったのトビリシ・クタイシ・バトゥミの宿に滞在した時がほぼ全てだったように思う。ゴリのスターリン博物館とかもあったけどさ。そうした都市間の距離が短いため2〜3日に1回触れれば充分というなら大丈夫だが、毎日Wi-Fi使いたいというのであればカフェなりレストランといった施設を利用する方が正解かと思う。
◎動物
とにかく犬が追いかけてくる国だった。1日あたりの犬に追いかけられた回数ならペルーにも負けてない程。これは「史上最悪レベル」という意味である。悪い意味で犬叩き棒が大活躍だったぞ。
それ以外に家畜の数が多いというか、ジョージアは家畜をちゃんと管理してない向きがあり、ちょっと田舎だとそこら辺を牛や豚がほっつき歩いてるし、何なら道路の真ん中で立ってたりしてとっても邪魔。耳にタグとかつけてたりするので野生化したとかではない筈だけど、ロープや鎖とかで管理されてる訳でもなく、かといって放牧というには余りにも自由すぎるというか囲いも何もない土地で草食ってる家畜が多い。ただ馬は重要動物なのか1度も単独で好きに歩いてる姿は見なかったな。種類で言うと牛を筆頭に豚・羊・ヤギを見ることが多い。
それと野宿する際に「蛇に注意しなよ」と言われたことあったのだが、実際草むらに入って行こうとしたら1m以上ありそうな巨大な蛇が動いてたの発見したことがあり、あんまり背の高い草むらの中にズンズン入っていくのは躊躇われるところがある。
◎自転車店
やはりショップの数自体が少ないものの、アルメニアよりは多少マシ。完成車しか展示しておらずチューブすら部品売りしてないようなショップが多いものの、主要都市に行けばそれなり程度にはスポーツバイクを扱ってるしっかりとしたショップも見つかるし、バトゥミで梱包用の段ボールをもらったショップは自転車街の一角に位置してるショップで修理専門店とか色々あったのを覚えてる。
ただまぁ全体的にレベルは低いというのが実情なので、できるならば隣国トルコまで行ってあれこれ対応する方が良いと思う。この辺もヨーロッパというよりアジアなんだよな。
◎物価・食事
ジョージアにおいての評判で数多く聞いてたのが「物価の安い国である」ということ。特にコロナ前は普通に生活してても1日1000円使わないし、ビールも安くて最高だと聞いていた。
しかし2024年現在においては物価上昇と円安のダブルパンチでジョージアはそこまで物価安の国ではなくなった・・・というのが私の感想だ。一応宿泊施設なんかは割安の印象があるものの、食関連やビールといった嗜好品の値段はむしろ「高いじゃんか!」というのが第一印象なくらい。ちなみに首都トビリシは全体的に物価が高く、全体的に料金他の地域の2割増しくらいの印象。
値段はともかく割と食の種類が豊富であるのが嬉しいところ。アルメニアでも好んで食べてた「ヒンカリ」はジョージアの伝統料理だし、パンとチーズを活用したファストフード系のメニューはお手頃価格ながら非常に美味い。私が食べたハチャプリ以外にも結構色々なパン料理食べていた。かと思うとケバブ系の料理も強く、安価なファストフード系のメニューにおいても豊富に選べてかつおいしいというのは相当レベル高いよな。今思うとトルコより良かったかもしれない。
なおビールは3ℓの超大型ペットボトルが販売されていたりと、随所にアルコールに対する熱を感じて嬉しいのだが、これ1本が6〜800円とかするので東欧みたいに毎日気軽に手を出せる程ではない。ワインに関しては散々「ワインルート」と表記されてる道を走ったのだが最後まで現地販売されてる物を見つけることができずガッカリ。そんな長期間熟成させず秋になれば何処でも販売されてたのだろうか?
全体として「ジョージアは物価の安い国だ!」という意識を持って訪れるとガッカリするが、その前提で考えなければ「全体的なレベルの高さに対して値段が安く旅行しやすい国だ」と言える。ただまず間違いなく今後も激しいインフレを起こしていくことが予想できるため、物価的な面での期待はほどほどにしといた方が良いのだろうなぁ。
◎総括
とにかく気候が良くて気持ち良く過ごせたというのが1番に出てくる国。訪問前は物価の安さやワインの産地という情報からそちらを期待してたのだけど、正直そうしたポイントは時世の移り変わりもあってそれほど実感しなかった一方で、晴れた日のジョージア走行が想像以上に楽しかったことが強く印象に残っている。
地理的にヨーロッパとアジアの境目として両方の特色を持っている国と評されることも多いが、自転車的には交通マナーの良さみたいなヨーロッパの良い点が消えてるのに対し、アジアの良いところである人のアクティブさが薄かったり前述した物価も上がっている関係で、ジョージア独自の魅力というのが見出しづらいところはあると思う。
それでも田舎に行けば牧歌的でフレンドリーな人たちとの邂逅も多く、外国人スレしてる人の多い都市部や観光地での滞在よりよほど楽しめたというのが正直な感想かな。
結構厳しい意見となったが宿泊施設やインフラ具合も充実しており、なんだかんだ物価も安い国であるため滞在期間の長さもあって、長期旅行の最中にゆっくり滞在する国としてはこれ以上ない国だよなと思う。