2025年2月28日〜3月4日
走行日数5日間
累計走行距離308km(164318km〜164626km)
◎道路
非常に良い。サウジアラビアと似ているようで都市部における走りやすさが全然違う。ドーハの町中でも自転車道が様々な場所に設置されており自転車に対しての配慮が(サウジと比べて)大分感じられる。とはいえ車両のために造られた計画都市であるためドーハ市内中心部へ向かうにはA〜Gまでのリングロード(環状線)を越えなくてはならずこれが非常に大変だった。ある意味地図では向かえるのに実際走ってみるとマトモに通れない道というのが多くて慣れてないと迷うこと必死。
そもそも国全体の面積が小さい上にドーハ都市圏以外は規模の小さな町しか存在しておらず、砂漠に関してはほとんど高速道路上を走行することになるため広い側道と滑らかな路面で問題となるようなことはない。この国で苦労するのはもっと別の点だ。
◎治安
良いのは間違いないが、サウジアラビアと比較すると出稼ぎ労働者の雰囲気や態度が悪いのが気になった。サウジアラビアが非常に保守的な国なのに対して、カタールは猛烈な勢いで経済成長している上にサウジより開放的な面があるのでより多様な人間が集まる故だと思っていた。サウジアラビアでは一切見なかった路上で寝ている浮浪者も見かけたりしたので、ドーハの場所によっては治安の悪いスラムみたいなエリアがあるのかもしれない。
◎ビザ・出入国
日本人ならノービザで90日までの滞在が可能。国土を鑑みるに時間的な問題となるようなことは全くない。それよりサウジアラビアとの陸路国境は2ヶ所あるように見えるが、実際は西部に位置するサルワ国境しか開いてないため注意が必要だし、ドーハから空路入国でない場合はかなりの距離同じ道を往復する必要がある。
なおイミグレーションでは自転車の存在が珍しいのか警察車両が入国管理室、荷物検査場、出口と先導してくれる。審査自体はほとんど質問もなく簡単に終わったが、多くの人が車両で出入国する際に車両の情報が書かれた用紙を提出するようでそれを出せと言われて驚いたりした一幕がある。
◎交通事情
非常に悪い。ときどき「目が見えてないんじゃないか?」と思うような運転するドライバーがいるし、クラックション鳴らすことも数多い。こちらが横断歩道を渡っているにも関わらずクラックション鳴らしまくって「どけ!」と威嚇してくるのはドライバーのレベルが低いと思わざるを得ない。
特にトラック等の貨物車両は周辺国からの移民労働者がドライバーである場合が多く、カタールにおける移民の多くは南アジア諸国やエジプトやイエメン、イランといったアラブ系の国の人たちであり、自国を出て職を手にすることおが出来るという意味では上澄の人たちなのだが、それでも国民性なのかクソみたいなドライバーが多い。
ドーハでは極力自転車道から外れないよう走行していたが、それを徹底するといつまで経っても目的地に辿り着けず仕方なく車道に出ることがままあったが、脇スレスレをぶっ飛ばしてくイカれポンチと遭遇して肝を冷やした場面も。
基本的に自転車や歩行者に対しての配慮という考え方は存在してないので、優先道だろうが何だろうが常に気を張って集中してないと危険。とはいえ都会がドーハしかない国なのでドーハの中心部から半径30km超えてしまえば特別気にするようなことは起きないが。
◎特徴
アラビア半島に幾つかある首長国の1つ。首長というのはイスラム社会における君主(アミール)のことを指しており、カタール以外にもクウェートやアフガニスタンといった国も首長国。アミール(Amir)を英語表記にするとEmirからEmirateとなり、UAEは7つの首長国が連合しているからUnited Arab Emirates(アラブ首長国連合)となる。
首長が絶対的な権力を持つタイプの国だけど、バーレーンとかオマーンみたいに首長国から王国へと変更した国もあるように、地域を治める部族の長(とその家族)で首長国、と国を収める家族の長とで王国と考えると国としては大して違いないような気もする。現にサウジアラビアは元首が王と名乗っているので王国だし、オマーンは元首がスルタンと名乗ってるのでオマーンスルタン国が正式名称。というかこれ別にカタールの特徴じゃないな。
◎気候
3月初旬なら晴れててもまだ気温は20度代前半で過ごしやすい気候だといえる。国土の大半が砂漠の国なのでとにかく風の影響が大きく常に風向きに気を配って走行していた感じ。全体的に冬の時期は北からの風が吹く傾向にあると思うし、私がカタール滞在中は8割そんな感じだったけど最終日は東風が吹いたりと常に安定して吹くわけでもなさそう。
やはり夏の時期は気温が高すぎてマトモに外で活動できない暑さになるらしく、自転車で走るのなら冬の時期を選んで訪れるのがセオリーの国である。
◎言語
アラビア語。英語の使用者はかなり多く、地味にカタール人と話した場合はほぼ全員が英語で会話してくれたような気がするレベル。もっと地方の田舎行けば違うのかもしれないが、そもそもカタールにそこまで地方や田舎といった存在があるのか怪しいほど小さな国だし。
英語を話せない人で多かったのは出稼ぎ労働者の人で、かといって彼らアラビア語で会話してるのかと思ったら母国語使ってるという人も多かったな。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
ドーハに安宿ないのかネットで調べてみたけど表示された最低価格が1泊7〜8000円とかだったので、カタール国内に安宿は存在しないということで結論付けても良いと思う。ということで全泊野宿のつもりでいたが、地味にこの国野宿が難しくこの点が自転車旅行者にとって難易度高かったように感じる。
これは主に道路周辺に柵が張られており道から離れることが難しい点と、サウジアラビアと比べて風除けに利用できそうな廃墟だったり人工物が乏しく、あってもちゃんと人が近づけないようフェンスで囲われていたりするから。ということでカタールでテント泊するなら事前に目星となるポイントを見繕っておいた方が良い。私もi-overranderみたいなサイトで記されたテント泊エリアを事前に調べておいたクチだが、何が原因か1度も記された場所でテント張ることは無かったのだけど。基本的には国土狭いので2〜3箇所も調べておけば全て利用する頃には出国してると考える。
なおWi-Fiに関してはかなり優秀でネット利用で困ることは少ない。ただ今回ラマダンの最中に訪問したこともあり、チェーン店系のファストフード店でも「今は持ち帰りしか利用できないよ」と店内で充電&ネット作業をしたくても断られることがあったりしたため注意が必要か。運も悪かったといえる。
◎動物
ラクダとヤギしか見てねー。砂漠なのにハエが出なかったのは驚きだなそういえば。短い滞在だとこんなもんになりやすい。なお犬は1度も姿を見せず。
◎自転車店
ドーハ市内には複数スポーツ系のショップがある。品揃えもなかなか良く、私が訪れたショップはとてもフレンドリーに接してくれたのもあって非常に印象が良い。物価の高いカタールだけど、自転車部品に関しては大体許容範囲の価格帯だったし。
ただ全体の半分近くはスポーツバイクというよりはシティサイクル系の用途に使われるお店であり、品揃えも大したことなかったな。計3店しか覗いてないからあまりはっきりとしたことは言えないけれど。
確認したわけじゃないけど恐らくドーハ以外に自転車を扱うような専門のお店はない。そもそもドーハから最も遠い場所で100km程度しか距離がない国なので、カタール国民は何か必要に迫られた買い物があればドーハに行くのだろう。
◎物価・食事
非常に物価高と聞いていたが正直サウジアラビアとほぼ変わらん。むしろ物によってはカタールの方が安いくらいだし、カタールのお店では必ず値段表記が成されているので「買ってみたら異様に値段高い商品だった」という罠にかからない分サウジアラビアより買い物しやすい。
少なくとも私が訪れた全てのお店でカードによる支払いが可能だったこともあり、カタールではこの国の現金を1度も拝むことのないまま出国した。短期滞在ならこれで十分やっていける。
ただ旅行者が買うような食料品なんかは安かった反面、嗜好品に当たるコーヒー豆は250gで65リヤル(約2700円)という恐ろしい価格を出されたのであり、1番安い豆でこれかよ!と仰天した。100gで約1100円ってなかなかお目にかかれない高級豆だぞ。
ということで単純にスーパーで食材のみを買って過ごすのであれば案外安くイケるが、一般的なツアーだとか買い物といった旅行をするのであればバカ高くつくのは避けられないんだろうなと思ってる。自転車旅行はお得な旅行スタイルだ。
◎総括
滞在期間は短かったが面白い国だったなと感じる。アラビア半島の大部分を占めるサウジアラビアとはまた違った雰囲気があり、しかしUAEほど開放的ではなくとはいえ石油に大きく依存している産業的にはサウジ寄りの国。やっぱり大部分が砂漠なので風次第で大きく左右される国だけど、国土が小さい関係でサウジほど走行難易度が高くなく、アラビア半島において自転車旅行をするなら最初に訪れやすい国の1つだったと思う。
その上でアラブの雰囲気とイスラム教の人たちによる文化や親切心を多々感じることも出来たので、小さな国土に魅力がギュッと詰まったという意味で旅行しやすい国だった。物価も一般食材に限ればそこまで高額ではないため値段表記が徹底されてる分サウジよりも安定して活動できる。
日本人ならみんなが知ってるドーハの悲劇の舞台でもあり現地に赴き思いを馳せるのも一興だが、それだけではない国でした。