2025年1月24日〜2月28日 3月4日〜3月6日
走行日数39日間
累計走行距離2835km(1回目2688km・2回目147km)(161630km〜164318km・164626km〜164773km)
◎道路
郊外にあっては95点付けても良いくらいどんな道にも幅広の側道が付いてて自転車的には安心して走ることが可能。マイナス5点分は交差点とかの手前でやたらバンプが多いのと、古い道路に亀裂が多くてガタガタ道となってることがある点。まぁ寒暖差の激しい砂漠という気候でこれを改善するの難しいのは分かる。
んで問題となるのは都市部の道だ。サウジアラビアは完全なる車社会となっており、道路の造りも自転車のことは一切考慮されていない構造であるため非常に走りにくい。道の向こう側へ行きたくても信号機や十字路を減らして車両が停車しなくても済む構造になっている変わりに回り道をさせるスタイル。車なら1〜2km大回りしても構わないだろうが自転車としてはそんなのが連発してたまったものではない。なので毎回道路を横断するのに中央分離帯の段差を乗り越えるという無駄が入る。町中でも車が極力速度を落としたり停車することが無い方向に全振りされてる道路構造のため、中規模の交差点でも基本ラウンドアバウトだし大きな道同士だと立体交差点となっている。
形だけ自転車道があっても全く自転車の使い勝手を考えておらず、しょっちゅう段差へ乗り上げが必要だったりレーンの上に車両が駐車してたりお店の荷物が置かれて通過できないとかあるためかえって走りにくい。
そんな状態に加えて都市内の道が非常に入り組んでいるため目的地まで移動するのに最も支障ないのが幹線道路を使って付近まで移動することなのだが、市内の道路は側道が無い所も多く尚且つ立体交差点を多数乗り越えて進む必要に駆られ、交通量の多い中で内側の車線へ切り込んでいく必要があったりと何に付けてもストレスが多い。郊外に対して市内の道は精々5点というのが私の感想だな。
なおサウジアラビアという国は国土が広いためか急峻な山が無いのだろうか、斜度の厳しい坂というのがほとんど出てこない。私が走った場所で1200m、国内には2000mを超える道もあるらしいが、緩やかに上り坂が続いていくためヒルクライム的に大変なことはほぼない。
◎治安
これは素晴らしく良い。首都クラスの町中でも嫌な雰囲気を感じる場所がほとんど出てこないレベルで、国民の格差が少ないことを実感する。一応外国人の出稼ぎ労働者で南アジア諸国やイエメン・エジプトといった国の人には一部粗暴な雰囲気を醸し出す者のがいたものの、それでも何か犯罪に遭遇する・・・という可能性は極めて低いと思う。
ただ犯罪絡みはともかく厳格なイスラム教の国であり、それに加えて国民が旅行者慣れしてないことから良くも悪くも「普通じゃないな」と感じることがそこそこあった。上手く言えないのだがこちらが想像だにしてない事でトラブルへと発展するような雰囲気を感じたことが何度かあって、久々に「こちら(日本)の常識が通じない何が起きるか分からない理の世界にいるのだ」という怖さを思い出した国でもある。
まぁ基本的に何処で野宿しようが全然危険を感じることがない程度には安心感があったし、これほど国民から「この国は安全な国だよ」と言われたのも珍しい。実感としては日本よりずっと治安良いなと思っている。
◎ビザ・出入国
2019年に観光ビザが解禁された国であり、それまではイスラム教徒でない一般旅行者がサウジアラビアを観光するのは不可能に近かった・・・というのは日記でも述べたのでこれ以上は割愛。
とりあえずサウジアラビア入国には事前にeビザでネットにおける手続きが必要で、内容入力等は他国のeビザと比較しても簡単な部類に入るし、データ送信すれば5分もかからずにビザが発給される爆速っぷり。ただしネックとなるのは他の旅行保険に加入していようが関係なく強制的に保険に加入させられる点で、この料金が結構お高くビザ代と併せて2万円近くになる。今まで訪問した国の中でも断トツでビザ代高い国だったぞ。
ビザさえ取っておけば出入国の審査自体は簡単で、ほとんど質問を受けることもなくアッサリスタンプ押してくれる。というかビザをプリントする必要すらなかったし、何ならスマホに残されたビザのデータすら確認してないレベル。マルチプルで90日間の滞在が可能のため1度取得すれば周辺国との周遊で使っても十分間に合うのが救いか?
余談だがイスラム教徒以外にはある種の鎖国政策みたいなことしていた関係で、これだけ海外ツーリズムが盛んな現代においても国民の大半が外国人に対してスレていない。特にアジア系で日本人はやたらと人気で会う人会う人喜んでくれるのだけど、もう何年かして外国人旅行者が増えて定着するとこうした反応も薄れていくかと思われるのでサウジ旅行するなら早い方が楽しめるように思う。
◎交通事情
この国を先進国として見るならば相当悪い。冬の時期でも暑い場所の多いサウジアラビアは夏季ともなると車両以外の移動手段なんてほぼ考えられないのだろうと想像する。そのため道路は完全なる車社会であり、歩行者や自転車といった存在をそもそも想定していないという感触が強い。
だから危ない運転したりクラックション鳴らしてくる車両というのも、途上国的な自分勝手な運転の結果というより「そもそも軽車両がいる際の運転の仕方を知らない」というのがしっくりくるかな。自転車的にはどちらにしても危険と感じるのは変わりないのだけれど。なので横断歩道で自転車や歩行者が待っていても基本的に車が止まって道を譲ってくれたりはしない。レアケース過ぎてその場合どうするべきかを分かってないから。ドアを開けたり発信する際にもまず後方確認とかしない(エンジン音がしないで車道の後方から車両が来るということを考慮してないと思われる)ので、そうした車を追い抜く際には充分な安全マージンをとっておく方が良い。
郊外の幹線道路だと最高140km/h制限という道路があったし、片側1車線のローカル道でも制限速度100km/hとかの道はザラにある。そんでそうした道を120〜130kmでぶっ飛ばすのが当たり前であり、いくら側道が広いとはいえ日が沈んで視界が悪くなったらマトモに走れたものではない。基本変化の少ない単調な道ということもあって、ドライバーは普通に電話しながら運転する上よそ見もわき見運転もなんでもありというのが普通なので。ただし飲酒運転してるアホはサウジアラビアでは完全に存在しない。
総じて道路状況の良さに助けられてる感じがあり、そうした環境が悪くなる町中だと危ない場面に遭遇する機会も増える。町中でも大きな通りにはしっかり側道が作られてることが多いので、下手に狭い道を走るよりもかえって安全だったりすることもある。道の走りにくさも含めてこの辺の道路選択が重要かなと。
◎特徴
イスラム教発祥の地であり、それ故非常に厳格なイスラムの教義が敷かれている。なので飲酒は当然できないし国内で売ってもいない。異教徒の服装であっても膝を出すような格好はよろしくないとされており、サウジアラビア滞在中はずっと長ズボンを履いていた。
ラマダンの時期と一部被ってしまったが、やはり飲食店は日中閉鎖している所が多く自炊しない人には相当厳しい環境だし、自炊するにしても日中人前で食事してる所を見られるのは良くないため気を遣う。
こうした反面、イスラムの教えにあるらしい旅行者に対し親切にせよという教義があるのを非常に強く感じた。特に砂漠で水の貴重さを分かっているためか、多くの人から水を頂く機会があったし宗教系の施設には冷水機やフリーで持ち出し可能なペットボトルまで常備されていることも多々あった。私は異教徒なので最初遠慮してたのだけど「お前みたいな旅行者が利用すべきだ」って彼らが持ち切れないほど渡してくれるんだよマジで。
ということでイランと並んで人様による親切を最も強く実感した国の1つでもあり、イスラム教という宗教について色々調べたり考える切っ掛けを与えてくれた国でもある。
◎気候
真冬のサウジアラビアは想像してたよりも寒い場所が多かった。国土が広い上に標高的にも2000mを超えてくる土地とかあって、同じ1月でも30℃を超える暑い場所がある一方で雪が降ったりする場所もあるらしい。
アラビア半島を横断すると内陸部の標高高い場所では結構な寒さで、明け方には氷点下まで気温が下がることもあったので注意が必要ではある。夏の時期には平気で45℃を超えてくるような気温となる国ため、旅行的には12〜3月がベストシーズンとされているのだとか。
そんで国土の大部分が砂漠であり町を抜けると砂が広がる世界が続くため、自転車的にはとにかく風に翻弄される国である。ところがサウジの風は一定方向に吹き続けるような土地ではないのか、日によって風力・風向もバラバラであるため運次第で酷い目に遭う。風力が強い時はパタゴニアに負けないほどの爆風となることもあり、しかし砂漠の道中で食料が限られてる状態だと停滞することも難しい・・・という状況に陥るとかなり悲惨なので、この点の見通しよくするためだけでもサウジでSIMカードを購入する価値はあると思う。私は持ってなかったけど。
雨の心配は全くしないで良いかと思いきや、地味に降られることがあり聞いたところで「以前は1年で1〜2回程度しか雨降らなかったけど、ここ最近は雨降ることが多くなった」とのことで、気候変動の影響とかあるのかもしれない。
◎言語
アラビア語。だけど看板だったり商品の情報には英語に算用数字も併記してくれることが多く、他のアラビア語を使う地域よりは楽だった印象。田舎に入るとそうも言ってられない場合も多いが。
イランと同じくとりあえずアラビア語の数字で0〜9までは覚えておいた方が賢明。これが分からないと道路標識で次の町までの距離すら把握できないことも多い。
英語の通用率は3〜4割といったところか。話しかけられる機会が多い国なので意思疎通に苦労することは多いけど、サウジアラビア人はちゃんと「相手が理解できるよう考えてコミュニケーションを取る」人たちなのでそこまでストレスは無い。インドよりよっぽど英語話者少ない筈だけど、インドよりよっぽどコミュニケーション取りやすくて最初の頃は驚いてた。
先進的な国なので大型スーパーで買い物するとレシート発給されるのだけど、これが全てアラビア語での表記であるため後になって物の値段を確認しようとしても何が何だか全く分からず、値段と個数で「恐らくこの商品はコレ」・・・みたいな確認してたことがある。アルファベットじゃない言語は推理の取っ掛かりすらないため難しい。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
非常に野宿がしやすい国である。土地のほぼ全てが砂漠なので町を離れてしまえば何処でもテント張り放題!・・・かと思いきや、砂漠は遮蔽物が無い環境故に風が強くなりやすい。そうすると細かい砂粒がどんどんテント内に堆積するためメッシュテントの方が不利になる土地である。私はフルメッシュのテントだったけど。
ということでテント設営には最低でも砂丘みたいな防風できそうな場所か人工物の風下を利用してテント張っていた。サウジアラビアはそうしたテントの張りやすい人工物や廃墟が非常に多く、そういう意味で野宿のやりやすい国といえる。ちなみにサウジには基本「安宿」という宿泊施設が存在せず、観光地や首都だろうが普通のホテルしかないためテント泊ができないと非常に苦労する。
ちなみにWi-Fiも見つけるのに苦労した国で、先進的な国だと思って甘く見ていたと後に反省した。チェーン店の施設的にはマックとコスタコーヒー、スタバには100%Wi-Fiが付いてたが、マックだとコンセントが併設されておらずPC作業的なことをやり辛いのが難点。他の2店舗は数が少なくて州都クラスの大都会でないと見つけるのが難しい。サウジアラビアを走行するならsimカード購入してこの辺の問題を潰しておく価値は大いにあると思う。何気に町と町の距離がそこまで離れていないため、電波の通じるエリアもかなり広いとのこと。
◎動物
危険な生物では砂漠らしく蛇や蠍がいる。私も走行中に蛇を見かけたことがあったので、あまり安易に砂の中を駆け回るのはオススメしない。まぁ現地の人が車停めて駆け回ってたりしてるの何度も見てるので気にし過ぎかもしれないが。
大型動物ではラクダの他に羊とヤギの姿も目立つ。いずれも家畜として運用されてることが多いが、ラクダに関しては野良としか思えない個体をかなりの頻度で見かけたし、そこら中に「ラクダ注意」の看板がある通り道路を平気で闊歩してたりする。なお自転車が近づくと全力で逃げていくので接近して写真撮るのは難しい。
乾燥地帯特有の都市部じゃない人が住むエリアにはハエが飛び回っているが、田舎でも衛生的にしっかりしてる国だからか本気でウザいと感じるほどの数に晒されたことはなかった。加えて海沿いの町でもないとほとんど蚊が出てこないのが嬉しい感じで、珍しくその手の生物で困ることの無かった国である。昆虫というならフンコロガシを見かけることは実に多かったな。
それと犬は結構アグレッシブな奴が多くて何度か追いかけられた。怒りの鉄槌でしばき棒をぶっ叩いてやろうかとも思ったけど、自転車の間際まで走ってきて戦闘モードの個体は見なかったので敷地に入ると反応して吠えまくるタイプばかりだった印象かな。
◎自転車店
州都クラスの大きな町ならプロショップが幾つかある。私もボロボロのバーテープを新調したくて訪れようとしてたのだけど、見事にサウジアラビアではショップが潰れていたり閉まってたりして入店することは叶わなかった。これには運もあるけどサウジの個人系店舗だと日中13時ごろから16時まで営業してないという形態の影響が大きかったところもある。
なので外から覗いた印象でしかないが、全体的に専門店というより一般シティサイクル等の販売割合が大きい店が多い。日本でいうとサイクルベースあさひみたいなタイプの店。
働いてる店員も南アジアやエジプト・イエメンといった周辺諸国からの出稼ぎ労働者がほとんどで、特段自転車の知識や技術を持ってる人でない(そのくせ彼らは自信満々に「知ってる・できる」と答える)のでトラブル対応に関しては慎重に対応した方が良い。
あとジェッダの町にはデカトロンの店舗があり結構品揃えも良かったので最低限交換部品を揃えるだけならこちらを利用するのも有り。確認してないけどリヤドの町にも同店舗あるだろうし。
◎物価・食事
かなり高い。一般的に先進国は食材関係に限れば自社ブランドの展開とか国内企業の商品に関してはお手頃だったりと「高い中にもお買い得の商品がある」というパターンが多いのだが、国土が砂漠でるためかそうした自国産の商品というのがデーツくらいしか見当たらず「普通に高い」商品と「輸入品で無茶苦茶高い」商品とで区分されてる感じ。
ただ西欧ほどガチガチの物価高では無く日本とどっこい程度のイメージだし、肉に関してはサウジの方が確実に安い。なので自炊を続けてる限りはそこまで金額的に厳しく苦労することは案外少なかったりする。なお石油産出国だけあってガソリンは1ℓで80円ちょっとと非常に安い。
むしろこの国では宿泊施設関係とかレストランが値段高いこともあり、自転車旅行でテント泊を繋げていくと実際に使用する金額は驚くほど少なかったりも。私は初日に1500リヤル(約6万円)を降ろしたのだが、約40日間の滞在で400リヤル残った状態でサウジを終了した。つまり1日あたり1000円ちょっとの金額だったと換算できる。これはこの国で滅茶苦茶たくさんの人から食事を共にしたり助けてもらった故の結果ではあるが、案外安く旅行できる国だったなというのが私の感想だ。むしろビザの代金で2万近く取られたこと石油産出国で裕福なイメージが強かったこと、初日で調味料からコーヒー豆や日本食材の購入に8000円くらい使ったことで想像以上に物価高という感覚が抜けず、後になってみたら「あれ?意外と物価高くない・・・」と感じたというのが正直なところか。
結構な回数地元の人たちと一緒に食事をする機会があったのも嬉しい点で、伝統的なサウジスタイルの場合は大皿を囲み素手で食するのが基本。米料理のカブサは熱々の状態で運ばれてくるため指を火傷しそうになったりもしつつ食べていた。
特にラクダやヤギの肉を食する機会が多かったが、どちらも肉が繊維質で噛み切るのに難儀するため圧力鍋使って何時間も煮込みトロトロの状態にして提供していたのが印象的。骨まで食べられるほどである。それとラクダのレバーなんかも頂いたが、コリコリ歯応えが良く臭みもないので大変美味しく内臓系が苦手な私も大変満足できた。総じて煮込み料理が多かったのと肉料理ばかりでレパートリーは少ないものの、サウジアラビアの料理は満足いくものばかりだったな。
◎総括
元々は2024年にイランからフェリーでホルムズ海峡渡ってUAE経由で訪れようと思っていた国なのだけど、当時色々トラブルあって訪問延期したため「ようやく訪れることができた国」でもある。今にして思うと4月や5月にサウジアラビア走るのは気候的に厳しすぎる環境だったので、むしろベストシーズンである1・2月に訪問できたことは幸運だったと思っているが。
この自転車旅行を始めた頃にはまだ外国人旅行者が入国できなかった国であり、そのため私自身も興味薄かったのだけど2019年のルール変更と幾つかイスラム教国を訪れたことで「是非とも行ってみたい」という国に変わったワケだが、本当にサウジアラビアを走ることが出来て良かったと思っている。
酒は飲めないし砂漠が続いて正しく「ドライカントリー」なのだけど、いつだって沢山の人たちが助け力を貸してくれるこの国は全然ドライなんかじゃない。こんなにも人に対して感謝ばかりが思い起こされる国というのは流石に少なくて、どれだけこの国の人たちによくしてもらったかを噛みしめながらこの文章を書いている。本当にお世話になりました。