2025年3月6日〜3月21日
 走行日数16日間
 累計走行距離1046km(164773km〜165819km)オマーン飛び地約10kmを含む

◎道路
 郊外は最高、市内への乗り入れは最低最悪という極端な構成してる。要するに自転車の長距離移動を全く考慮に入れておらず「自転車は近距離の移動かスポーツのための道具」として扱われている。本当に自転車の有名プロチームを多数抱えてる国なのか?と疑いたくなってしまうし程度には。
 具体的に郊外は実質道路が高速道しかなく、これに伴い側道が幅広であるため走りやすい。そんで市内もそこそこ自転車専用レーンが設けられており、突如消えて無くなったりとかあるもののアラビア半島の国ではかなり頑張っている方。なお車両は右側走行。
 問題なのは町へ突入する道が極端に偏っている点で、特にドバイの南から町へ向かうと100%交通量の多い高速道を掻い潜って市内へ突入する必要がある。東京に自転車で向かうと首都高からしか入れないようなもの・・・といえば想像しやすいだろうか?
 そういうイカれた構成なのでドバイへの出入り経験があるだけでこの国の道路事情はすこぶる印象が悪い。他にもちょいちょい文句を言いたくなるようなポイントあったけど、ドバイへの道が突出して怖かったのでそれだけで印象最悪な感じ。一応北東部に山岳地帯があってこのエリアはアップダウンが存在するが、車のことしか考えてないため斜度はキツめで直線的な道の構成をしていたりする。

◎治安
 非常に良い・・・のだがこの治安の良さはUAEという国が非常に厳しい法律を強いているが故の治安であり、ドバイ周辺から離れるほど浮浪者だったり素行に不安を覚える感じの人も見かけたりする。要するにシンガポールととても似ている雰囲気で、私も普通に旅行してるだけなのに警察ですらないセキュリティの人間に何度もパスポート確認受けさせられたりと印象は悪い。
 ルールで縛った治安の良さなので、旅行者に対しての寛容さがある感じではなく居心地の悪さを覚えることが結構あって、そういう意味で面倒だなと感じることが多かった。

◎ビザ・出入国
 日本人ならノービザで90日間の滞在が可能。聞いた話では飛行機で入国すると無料でSIMカードが配布されたりするらしいが陸路国境だとそういうサービスは無い。
 出入国の手続き自体は特に面倒なかったが、入国時に「上司に確認するから」と2時間近く待ちぼうけ食らったのでUAEのイミグレ職員は決定的に信頼していないというのはある。それと出国時に「出国税」として35ディルハム(約1400円)料金徴収されたのだが、これが現金は一切受け付けずカード払いのみと言われた辺り融通効かない国だなと思う。レシート(だと思う多分)もアラビア語しか書かれていない用紙しか貰えず後からカードの支払い請求でやっと料金確認できたのであり不親切感が強かった。

◎交通事情
 他の中東諸国同様に車中心の社会で自転車のことを全く考慮してないドライバーが多い。一応大都市の中心部になると西欧化が進んでいるのか自転車・歩行者優先の意識を持ったドライバーが出てきて横断歩道とかで止まってくれることもある。なお車両は右側通行。
 だがこの国の商業ドライバーは多くが南アジア(主にインド)系の人たちなので、国外出稼ぎに出れる上澄みの人たちとはいえ運転マナーは推して知るべしといったレベル。そういう「ちゃんとしたドライバー」とインド人が混ざり合っているので「このタイミングなら車が止まってくれるだろう」みたいな予測すると裏切られることがあるため要注意。自転車に関しても完全なスポーツバイク(ロードとか)乗ってる人はマナー守ってる印象だったが、普通の自転車や電動スクーターとか乗り回してる人の運転はロクでもないことが多い。そのクセ自転車用ヘルメットは着用してるアンバランスさが際立つというか。
 これは国のルールが厳しいことが関係してるっぽくて、赤信号を守らず突っこむ輩とかも少なかったのが印象的。逆走してくる自転車は多いのにそこはちゃんと守るんだね、と嫌味の1つでも言ってやりたい。

◎特徴
 人口の半分以上が異国からの労働者で占められている極端な人口構成をしてる国。かといって移民制度とも違い出稼ぎ労働者はある一定の年齢を超えるとビザが降りなくなるため自国へ帰国せざるを得ず、常に生産年齢が多数となっている若い人が多い国。
 特にドバイなんか場所にもよるのだろうがパッと見で9割以上が南アジアからの出稼ぎ労働者で溢れており、もうUAEじゃなくてここはインドと言っても過言でないレベル。
 こうした多数の移民による影響か法律による規制が非常に厳しくルールに対して面倒な印象を受けた。普通に旅行してる分には問題ない話じゃんと私も思っていたのだが、ドバイで宿泊する際に自転車は何があっても建物内に入れちゃ駄目と言われて余計な手間とお金を使ったように、思わぬポイントで影響してくる可能性がある。

◎気候
 まだ季節的には本格的な暑気を迎えていない3月だと思うけど、暑い日には平気で35度を超えてくる気温となる。それでもアブダビより北部は町の間隔が短くなりどうにかなるが、南部砂漠地帯は下手すりゃサウジアラビアより補給できる場所が少なかったりするので要注意。
 特に砂漠の走行時強い風に吹かれることが多かったが、灼熱の暑さに加えて砂粒が常に当たり続ける環境は本当に厳しいものがある。何気に海が近くて湿度もあるので汗ばんだ全身に砂が付着しザラザラになるのも不快指数高い。風はある程度運が絡んでくる要素だと思うが、道中寄ることが可能な町の少なさと宿泊費の高さから風待ちで数日滞在する・・・というのが少々難しいのが難点か。冬ならもっと内陸部を狙って走ることも出来そうだが、もっと暑くなる夏のシーズンは自転車旅行するような環境の国ではないと思う。3月はギリギリ大丈夫ってイメージ。

◎言語
 アラビア語が公用語らしいが特に都会だと英語の通用率が非常に高いのでそれほど言葉で苦労しない。田舎を走ってると結構英語が話せないという人出てくるのだけど、そういう人も顔見るとインド系なことが多いのでアラビア語じゃなくて母国語を喋っているだけという可能性ある。
 アラビア半島の国ではかなり開放的な国だけあって様々な標識とかにも英語表記が併設されてることがほとんど。スーパー等の商品もよっぽど小さな個人商店とかでも無い限りは値段に算用数字が併記されてるのが有難い。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 アブダビとドバイにはホステル系の安宿がある。なおドバイの安宿に関しては極狭で自転車を置かせてもらうことすら出来ず付近の地下有料駐車場に料金払って置かせてもらっていた始末。私が泊まった所は宿というよりアパートの一室で、看板とかも出てないためネットで事前予約してないと普通に辿り着くのはまず無理だし、仮に辿り着けても管理人が居らず手続きできない。要するにネットで事前予約するのが前提の宿なのだけど、自転車的には置き場所問題がついて回るため非常に面倒くさい。それでもアラビア半島の国は極端に安宿が少なかったこともあり疲れ切ってて長逗留したが。管理人もマネージャーも出稼ぎのインド系だったし利用者も大体出稼ぎの人ばかりだったが、その割には常識的なマナーを持ってる人が多くそこまでストレスは感じなかったかな。ドバイのルールが厳しいからかもしれない。
 なお宿を含めてWi-Fiはアクセス可能なポイントが多く優秀なのだが、電話番号にパスコード送るスタイルが多くSIMカード持ってないと結局Wi-Fi使えないということも多い。結局マクドナルドが安定してて優秀だった印象だが、一部のガソスタでFree Wi-Fiを使えたこともあったりして重宝した記憶が。速度はどこでも高速だったのでよっぽど重たい作業をするでもなければ大丈夫でしょう。というか速度は速くても1日に使える容量制限があったりするのでそっちで引っかかってしまい使えなくなるWi-Fiとかあるので注意。

◎動物
 いつものラクダとヤギだけかと思いきや、割と犬猫の姿を見かけることもあって「愛玩動物を飼育するような環境なんだなぁ・・・」と思ったことがある。なお犬は吠えられたことは何度かあるが、追いかけて来られたことはないので問題なし。
 その他に木々のある場所だと鳥の囀りが聞こえてくることが多く、その心地よさに砂漠という土地を忘れそうになったりも。悪い面では蚊が結構飛び回っておりハエと共にキャンプ中に邪魔して来てウザいし痒い。砂漠だとそうした問題はないのだが、環境面の厳しさが高いのでどっちもどっちといったところか。

◎自転車店
 ちゃんとしたプロショップには寄らなかったが町歩きしてて普通に見かけるショップは子供用とかルック車といった粗悪品とまでは言わないが品質の良くない自転車を取り扱ってる店が多く、これを出稼ぎの労働者たちが購入して利用している印象。
 それとは別にドバイでは何人かロードに乗ったサイクリストを見かけたので、この国における自転車は完全に二分して分かれている状態だと思う。行かなかったけどアブダビとかドバイにはデカトロンの店舗があるので安価な部品はそちらで代用することが可能ではある。

◎物価・食事
 サウジアラビアを基準にすると郊外はやや高め、都市部はやや安いという感じ。何となくUAEって無茶苦茶に物価の高いイメージがあったけど、ドバイを始めとして南アジア等の出稼ぎ労働者たちが多くを占めている関係でか食材を始めとした生活必需物資は安い。散髪とか5ディラハム(約200円)で出来る店がたくさんあったし。
 もちろん高い物は無茶苦茶高いお値段になってるし、世界唯一の7つ星ホテルとかも存在する国なのだけど、長期旅行をする人にとって必要となる物の値段は総じて高くないというのが私の結論。
 ただしレストランは「金持ってる人が行く施設」のポジションなので普通に高いし、そうした人たちが利用するのはチェーン店系のファストフードとか中東らしくケバブ店とか。私もネットと充電の関係で複数回マックを利用しているが、注文してたのは毎回2ディラハム(約40円)のアイスクリームだけだった。UAEで働いてる人は基本的に賃貸アパートのキッチンを使って自炊してる印象だ。まぁラマダンの時期だったので日中は多くの飲食店がシャッター閉めており余計にそう見えただけかもしれんが。結局この国で自炊以外に食べた食事ってラマダンで配布されたサウジアラビアでもよく食べたカブサという炊き込みご飯だけ。
 ちなみにイスラム教の国だが一応リカーショップで酒類の販売が行われていたりする。私もビール飲みたかったのだけど、場所も見つけづらいし調べた限りで値段も高いらしく「ムスリムの国でビール飲むのも良くないよな」みたいな良いこと言ったつもりで飲まずに終わった。

◎総括
 ドバイを始めとする都市部は完全に別の国という印象で、文化も宗教も全て投げ捨て「都市の発展」という点に全改造されたという印象。なのでこの国において「UAEらしさ」というのは町から距離を置かないと見えてこないというのが私の感想だ。ターミネーターが誕生するとしたらこういう町からなのだろうな。
 都会じゃなくても全体的に歴史や文化をスポイルして国の存続のために調整された感が強く、それ故無数の移民が入り込んでそれを縛るための法律が強化されて・・・というスパイラルに国という生物が生きていく強さを感じもする一方で、国とはそこに住む国民あってのもではないのか?とも思った。シンガポールに大きな土地を与えるとこういう国になるのだろう。
 面白い場所や出来事がなかったワケではないが、人や自然を求めるのならば他のアラビア半島にある国々で事足りる。自転車旅行で積極的に行くべきな国ではないかとも思う。