2025年4月23日〜4月30日 6月29日〜7月4日 8月8日〜8月25日
 走行日数32日間
 累計走行距離1987km(1回目637km・2回目495km・3回目855km)(167646km〜168283km・171892km〜172387km・173854km〜174709km)

◎道路
 非常に広大な国土の割に路面・側道共にしっかりしてるなという印象。そもそも走った場所が南部の国境付近ばかりでより冬の寒さが厳しく人口密度が低い北部や中央部はインフラ状況が低下すること考えられるので、この限りではないけれど中央アジアでは文句なしにNo.1だと思う。
 ある程度大きな幹線道路ならしっかり側道がついてて自転車が安心して走れたのもポイント高いし、意外と坂道が多い国だったが斜度が緩やかで走りやすいように造られていた点も評価が高い。都市部になると側道が消失する代わりに自転車レーンが出てくるためそちらの走行を推奨するかな。自転車道自体は不可解な段差が多かったりちょこちょこ言いたい点もあるのだけれど。なお車両は右側走行。
 全体として国内西部ほど人口密度が低く、東部へ向かうに従って都市間にも集落の数が増えていくため補給に関しても楽になる。西部では一部ずっとガタガタのアスファルトを走り続ける場所もあったりして苦労した。この国を走るのであれば持ち運ぶ食料はやや多めに。

◎治安
 非常に良い。というか都市部を除いて全然人がいない系の国なので危険もクソも無いという感想になるのだが、それでも似たような人口密度のナミビアなんかは治安が悪いと感じることが多々あったのに対してカザフスタンでは都会だろうと危険を感じることがほぼなかったあたり、そもそもの治安の良さをおしたいところ。
 一応アルマトイは最大都市だけあって若い子中心に深夜面倒臭い絡み方をしてくる人に少数あったかな。

◎ビザ・出入国
 日本人ならノービザで30日間までの滞在が可能。ただ出入国に伴う審査は結構厳しくて1度目の滞在時には入国・出国時どちらも全てのバッグを中身確認される念の入れようだった。それぞれフェリー・鉄道という通常とは異なるパターンだったのが影響してるかもしれないとは思う。
 それと中国との国境に関してだが、私が利用したホルゴス国境は北に位置するローカル道の国境が一般旅行者では通過できず、南の高速道路上の国境でないと駄目(らしい)という自転車的にフェイントとなりやすい状況のため要注意。国境に通じる高速道路自体は自転車が走ること構わないらしいし、何なら警察に道聞いたりとかして「高速道を走れ」と言われたし。
 そのホルゴス国境だが中国とのボーダーだからかカザフ出入国の中で最も厳しいチェックだったと感じた。出国審査なのにすべての荷物をX線検査した上に中身の確認まで実施されたし。
 それと他の車両利用者はカザフスタンイミグレ建物内の待合室で中国行きのバス待ちするのだが、自転車の場合は自走することをアピールして係員の許可を貰わないといつまで経っても建物から出してもらえないため注意が必要。

◎交通事情
 まぁまぁそこそこ。とはいえ中央アジアの中では断トツの運転マナーで、ドライバーは無茶な逆走もしてこないし無意味にクラックションを鳴らされることもごく僅か。むしろ中央アジアでカザフスタンの運転マナーを最初に経験し「この地域はこんな感じか」と基準を置くと、近隣国が軒並み酷い運転するためギャップに驚くこととなる。これで大型トラックが常識的なら文句なったんだけどな。
 それと広大な土地がある割に信号付き交差点の割合が高くラウンドアバウトがあまり出てこない。カザフみたいに人口(車両の数)が少なく土地が広い国でこそ活躍する方式だとおもうのだが、都会の外れでもないと出てこなかった印象だ。そんでカザフスタンの信号は切り替わりのタイミングが早い上にドライバーがせっかちなので、下手に点滅してる信号を走り切ってしまおうと無理して突っ込むとかなり危険である。

◎特徴
 世界最大の内陸国である。その面積はアルゼンチン(世界8位)とほぼ同じで日本の約7.5倍。これでカスピ海を除く海からのアクセスが存在しないため、物流に関しては鉄道網がかなり頑張っている印象だ。意外と海産物を見る機会も多い国だけど、そのほとんどはカスピ海とアラル海から取れた品を郵送していると聞いた。
 んでその広大な土地の多くが半砂漠みたいな土地なので、馬や羊に砂が多い土地だとラクダといった家畜を連れた遊牧生活している人も多い。キルギスと同様にユルト式テントを利用した人たちも見たが、全体的な標高が低いためかそれほど数は多くなかったかな。

◎気候
 国境挟んで南のキルギスだとヒマラヤ山脈等の山々が影響してか雨降ることも多かったが、カザフスタンまで北上すると雨に降られる確率は非常に低くなる。それでも春の5月とかには西部で少々雨に降られたが、長続きしない程度のレベルだったし。
 海から離れた大陸性気候に加えて高い緯度も相まって4月とかではまだ寒い。しかし夏の時期になると日中は猛烈な暑さとなる(しかも標高低い土地が多くて凌ぎにくい)ため、割と訪問時期がシビアだったりする。
 これに加えて全体的に偏西風の影響を受ける地域に位置しており国内何処でも西風が吹きやすい。ちょっとでも町を抜けると地平線まで何もない系の道が多いため、進路とルート次第では洒落にならないほど風の影響を受けて楽にも大変にもなるので要注意。私みたいに西→東のルートを走ってるサイクリストは恩恵を受けることが多くて楽しめることが多いぜやったね。

◎言語
 カザフ語らしいがロシア語も一般的な言語としてよく通じるらしい。そして英語はあまり通じない中央アジアらしい言語構成といえばそう。使用文字もいわゆるキリル文字(スラブ文字)なのでアルファベットと違いすぎて読むどころか発音すらままならないレベル。
 ただその割にカザフスタンではコミュニケーションで苦労したという印象が少なくて、これはカザフの人たちが謎言語話す外国人に対して理解するよう汲み取ってくれたり翻訳ソフトを使ったり(この発想がない国の人はかなり多い)と助け舟出してくれる機会が多かったから。
 とはいえ何もない平原が大部分を占めるカザフスタンは言語的に難しい方の国というのは間違いない。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 中央アジアでは頭1つ抜けて値段が安く、しかしながらサービスの質は変わらないという意味でレベルの高い印象だ。嬉しいのが都市部や観光地でなくとも安価な宿がそこそこ点在してることで、しかもそうした町に旅行者なんぞほぼ来ないからドミトリーだろうと1人で独占できるパターンがほとんど。田舎でもちょいちょい宿泊施設利用してたけど、1泊1000円以下の値段がほとんどだったように思う。泊まった全ての宿にWi-Fiが設置されてて苦労もなかったし、ガソスタにもFreeWi-Fiが設置されてることが多く、キャンプメインの生活でもネット環境が見つからずに苦労したことはほぼない。何なら最大都市のアルマトイで宿を探し回ってる時がWi-Fiに最も接続できず困ってた気がする。
 都会を離れてしまえば何処でもテント張れるけど、国境沿いの南部地域から離れると極端に水場が少なく地平線が広がってる環境のため、治安とかよりも「風を防げる場所がない」という点で苦労する。吹かない時は全然だけど、風が強い時は本当に洒落にならないので。

◎動物
 馬とラクダを多数見かける面白い国。というかこの両者の生息区域って重なるんだ!?という印象が強かった。広大な土地に多数の家畜が放牧されてる系の国なので他にも牛・ヤギ・羊といった動物の姿も多々見かける。なんだかんだイスラム教徒が多数占めてる国だからか豚の姿は全く出てこない。
 嬉しかったのは蚊に悩まされることが全くといって良いほどなかった点。カザフスタンに限らず中央アジアでは渦巻きスタイルの蚊取り線香が販売されておらず「どうしよう・・・」と思っていたが、なるほど需要がないのですね。それ以外だと路面にトカゲがやたら多かったのが印象的。
 なお犬は非常にアグレッシブに追いかけてくるようになり攻撃性が高い。牧羊犬として動いてるヤツとかは無意味に自転車へ吠えかかったりとかしないのだけど、田舎の家屋の前を通り過ぎる徒党を組み猛烈な勢いで追いかけてくるので怖い。
 自転車でこの国を走ろうとすると滞在日数30日ではとてもじゃないが横断できる広さではないため、現在の情勢的に南部のキルギスかウズベキスタンを経由しつつ日数リセットを繰り返すのが現実的だろう。

◎自転車店
 アルマトイの町にはしっかりしたスポーツバイクを扱うショップが複数存在する。現在私が利用してるアトラスのリムを吊るしてるショップもあったので中央アジアでリムトラブルにしっかり対処するならアルマトイだろう。私はキルギスのビシュケクで対応したけどさ。
 他に最西端に位置するアクタウにも複数自転車ショップがあった。こちらは直接店舗を確認してないのでラインナップ等は不明だが、この町のショップで梱包用の段ボール入手しフライトしてる自転車旅行者がいるのでそれなりに信頼できるお店だと推測できる。
 それ以外にも大きな町ではちょいちょいショップの姿を見かけはしたが、所謂「街の自転車屋さん」といった風情で完成品を販売してるだけのタイプでプロショップの姿は見なかったかな。それでも他の中央アジアの国よりは質・量共に都市部じゃなくても最も期待できる雰囲気ではあった。まぁトラブル起きたら素直にアルマトイまで移動した方が正解だとは思うけど。

◎物価・食事
 かなり安いし品物の揃えも中央アジアで最も良い。中国が隣接してる関係なのか中華系の食品の他にも日本や韓国系の食材が大きなスーパーだと普通に販売されていて、割と安価で蕎麦やうどんの乾麺が入手できる。余談だがコーヒーの紙フィルターが欲しければ大型電気店に行けばコーヒーメーカーとかのコーナーで販売されていた。普通のスーパーではまず発見できない品なので、これに気づいた時は結構テンション上がった茶壺さん。
 んで食事に関してはカザフスタンだからという点で特筆するようなことはなく。アルマトイ近郊の町でびっくりするほどしょっぱく不味い店に当たった(しかも高かった)ことがあったけど、それ以外では普通にプロフとかラグマン食べたりマンティ楽しんだりしてた。1食は300〜500円くらいが相場。
 むしろカザフで嬉しいのはビールの方で、この国ではアルコールの専門販売系のお店に大型のペットボトルにビールをその場で注いでくれる販売方式がある。これが普通に販売されてるビールと左程値段が変わらないのに抜群に美味しく見つけた際には好んで飲んでいた。なお他の中央アジア諸国と違ってカザフスタンではペットボトルのビールは売られておらず、缶か瓶での販売方式が一般的。ビールを缶で販売できる国は割と国力が高い傾向にあるため、この辺からもカザフスタンの立ち位置がやや高いことが窺える。

◎総括
 中央アジアにおいて最も発展している国。それは経済的な面のみならず、人々の生活面や車両の運転マナーといった様々な点においてレベルの高さを感じさせると共に、旅行者に対してすごく親切な人々が多く個人的な実感としても滞在してるのが楽しかった国だ。
 中央アジア諸国って観光資源が充実してるウズベキスタンに注目が集まってしまうところがあるし、自転車乗り的にはパミールハイウェイが走ってるタジキスタン、日本人宿がありノービザで60日間滞在可能なキルギスといった国々に対してややパンチに欠ける印象のあったカザフスタン。
 だが実際にこの国を走ってみて「カザフスタンは是非とも訪れるべき国だよ!」と自信を持って言える程には好きになれた。それはこの国の人たちが私を多々助けてくれて親切にしてくれたからだ。
 なので出来れば滞在日数上限を30日ではなくもうちょい引き伸ばして欲しいです本当に。国土が広すぎて隣国への出入りを繰り返さなくてはカザフ自転車旅行は難しいのに隣国割とクセのある国(トルクメニスタン・ロシア・中国・アゼルバイジャン)多くて出入国の難易度高いからさ。どうしてもウズベキスタンやキルギスといった国の近くを走るルートとなってしまいがちなの難しいポイントである。