自転車ときどき世界1周

2015年11月

 オーストラリア68日目 カーンブレイクレストエリア〜パースから南に約260km マンジマップの町

 不器用である。生き方とか性格といった話でなく、私はスポーツにおける技術的なセンスがない。小学校でサッカークラブにいた時も、とにかくボールの扱いが下手糞でベンチ要因の人間であった。

 それを自覚したので、以後の本格的に行ったスポーツは陸上・水泳・自転車・登山・トライアスロンと、センスよりもまず体力勝負となるものばかり。私はそうした個人競技で黙々と作業を繰り返す方が性格的に向いているのだと思っている。

RIMG1849
 そういう意味では自転車旅行は相性がいい

RIMG1853
 周囲の木々がどんどん大きくなってきた

RIMG1854
 かと思えば木がなくなり牧場になったり

 さてやって来たのはペンバートンの町。何故いきなり私のスポーツ遍歴を語りだしたのかといえば、ここペンバートンの周辺では「木登り」ができる巨木があるからである。

 木登り・・・良いじゃありませんか。上へ上へと登っていくやりがいと、登った後の達成感。子供の頃は友人と木に登って果物取っては食べたりとかしていたものだ。育ちは都内にもかかわらず。

 木登りのように単純な遊びならば、私はそれを思い切り堪能することができるのであり、オーストラリアに来たらここは外すことができないスポットとして楽しみにしていた。うはははは!さてどんな木なのですかな?

RIMG1858
 でけぇ!

 高さにして50m以上、超大型巨人を越えてくるビッグツリーなのであり、こいつあワクワクしないって方がオカしいというもの。高いところは大好物なのです。

RIMG1860
 自己責任でよろしく

RIMG1862
 うっひょ〜っ気持ちいい

 木に取り付けた鉄棒を梯子のように伝って登っていくため特に難しさとかないのだが、それでも自分の足下を見ると豆粒のように小さくなっている光景はゾクゾクする喜びを感じる。アレか?支配者の気持ちってこういうことか?


 上まで行くのは割と疲れる

 いや〜、これは楽しい遊びでした。大満足で再び自転車をこぎ始める私。実はこのペンバートン周辺はオーストラリアでは珍しくップダウンが連続する山中なので、やれ疲れること甚だしい。早いとこ山岳地帯を脱出せねば。

RIMG1865
 って、何で私はパースへ逆走してるのん?

RIMG1866
 そして到着するは2本目の巨大樹

 どんだけ木登り好きなんだよ!と問われれば、パンバートン周辺にある3本の巨大樹のうち2本くらいは登っておきたい程度には好きなのである。まぁ通り道にある木登りスポットならば、そりゃあ寄りますよ登りますよ。

RIMG1867
 記念でサインする人が多い

RIMG1872
 登ってる途中に下を見れば何とも素晴らしい景色が

RIMG1871
 頂上は簡易の見晴し台になってる

 2つの木登りを満喫し気分良く最寄りの町へと到着する。さてここで買い物をば・・・と思ったら、タッチの差でスーパー閉店してるじゃねえか!木の上で昼寝とかしてるからこうなるんだよ!

 午後5時に閉まってしまうスーパーとか早すぎだよ・・・いやむしろオーストラリアで日曜にスーパーが営業してることの方が僥倖なのか?どっちにしても、私が買い物できない事実は変わらないのだが。

 んなこと思いつつスーパーの前でガックリ来ていると、オバちゃんが「5分だけオマケしてあげるわ」と店に入れてくれる。ありがとうオバちゃん!これで今日も肉が食べれるよ。

 ボトルマートは営業していたので、しっかりビールもゲット。大変な行程を走った夜は、やっぱりビールと肉で1日を終えるのが正解だ。

RIMG1880
 これで明日も走り続けられるね

 2015年11月22日(日) 走行距離110km 累計24939km
    mixiチェック

 オーストラリア67日目 マーガレットリバーの町〜パースから南に247km地点 カーンブレイクレストエリア

 徐々にインナーシーツだけでは寝ていて寒いと感じるようになってきた。いよいよ海外に出て以来、1度も使用することなくバッグの中で肥やしとなっていたシュラフを活用する日も近い。そう思うと感無量の気持ちであり、実際のところ本当に使う気は未だない。

RIMG1818
 隠れるようにしてテント配置するのは基本

RIMG1819
 出発直前まではフリース着てた

 朝夕の気温がやや寒いとはいえ、日差しの強さは変わらず健在であるため、太陽が昇ってくるととてもじゃないが上着なんぞ着てられない暑さになる。よくまぁ現地の人達は長袖着て平気な顔して歩いてると感心するわ。

RIMG1820
 ワイナリーもそろそろ見納めか

 さて、現在走っているのは国道10号線。この道はオーストラリア最南西部の町ことオーガスタへと繋がっている。通じる道はこれ1本のみのため、分かれ道まで同じ道を戻らされることにはなるが、端っこ大好きの私としては行かずにはいられないワクワクスポットである。

RIMG1823
 やってきましたオーガスタ

 町から更に10km弱を走ればオーストラリア南西の端に当たる灯台へと辿り着く。同じ海ではあるが、実に1000km以上を走って横に見続けたインド洋が切り替わるポイントを見れるのは、なんだかちょっと嬉しい気がしないでもない。

RIMG1827
 この灯台がものすごい観光ポイントになってた

 別に観光地として売り出すのは構わないのだが、たかが灯台へ登るのに20ドル(約1700円)とかいわれたので海だけ見て引き返す。オーストラリアの観光地入場料はどこも高過ぎると思う。

RIMG1829
 バイバイ灯台

RIMG1831
 それでは25km戻りまするか

 T字路の分岐点まで戻ってきて、以後これからは基本進路を東へと取ることになる。いよいよオーストラリアの都会区域である東海岸へと足を踏み入れることになると思うと、私も気を引き締めてかからねばと思ったり。

RIMG1835
 まだ3〜4000km先の話ですが

RIMG1837
 植林なんてこの周辺でしか見てないなぁ

RIMG1841
 やたらとハーレーの対向車が多かった

 すれ違うバイクの総数は200台近くあったと思われ、何かしらのイベントでもあったのかもしれない。そういえば今日は土曜日なんだよなぁとか気付くことは、町でお店が日中から閉まっているのを見たときくらいなのであり、「これは貴重な経験なのである」とアクティブニートであるH氏の弁。

 2日続けて100km超走ったのはいつ以来だったか・・・とか思ったりしつつ、レストエリアで本日は終了。ちなみに日記の最初に書き出している現在地ポイントの文は、町で投宿する場合は「町から(方位)に約○○km 〜〜の町」と表記しているのだが、レストエリアに関してはあまりにもピンポイントなので「町から(方位)に○○km地点・・・」という書き方をしている。こういう意味のない部分にこそ拘っていきたい。

RIMG1846
 飛び出すテーブル

RIMG1845
 確かにトイレって色々と考える

 昼に調べた時には明日の天気がやや雨模様だったのだが、そもそもこのレストエリアには電波も何もありゃしないため、下手に情報収集して思い悩むことがなくそれはそれで悪くない。とりあえずテントと自転車に雨が降った場合の処置をして何も考えず動物の鳴き声を聞きながら就寝。


タイトル元ネタ

 2015年11月21日(土) 走行距離116km 累計24829km
    mixiチェック

 オーストラリア66日目 バンベリーの町〜パースから南南西に約230km マーガレットリバーの町

 走る気のない一昨日の夜は21時前に寝てしまったというのに、今日1日走る前日に何時まで経っても眠らず翌朝辛い思いをする無計画な茶壺です。いや、計画は立てていたのだ。それが実行に移されないだけ。

RIMG1766
 他の宿泊客の方から肉とか野菜とか色々頂いて豪華な朝食に

RIMG1769
 色々な旅行者と話せるゲストハウスも面白い

 オーナーに厚くお礼をいって出発する。向こうは「オマエが来たら、また無料で好きなだけ泊めてやるよ。」とかいってくれたりして心苦しい限りであります。流石に次の機会があったらキチンと料金出しますよ、そういうところ気にするタイプなんです。

RIMG1771
 しかし背の高い木が増えたと思う

RIMG1773
 すごい!100km以内に町が4つもある

 追い風に乗って素晴らしいペースで走る私が向かう先はバッセルトンの町。ここには1マイルジェッティという線路を敷いた桟橋があり、ジブリの「千と千尋の神隠し」で海の上に立っていた駅のモデルになったとかそうでもないとか。

RIMG1778
 それでは往復3.2km行ってみよ〜

 何が楽しくて3km以上も歩かされる桟橋に入場料金まで取られなくちゃいかんのかと思いはするが、雲1つない快晴の中をスタンドバイミーするのはなかなか楽しいものである。オーストラリアもここまで南下してしまえば気温が暑すぎて大変ということもなし、実に楽しい桟橋散歩だ。

RIMG1783
 この列車は更に追加料金が必要

RIMG1787
 手すりないのがむしろ素晴らしい

RIMG1789
 ようやく先端まで到着だ

 何とも良い景色を楽しませてもらって言うのもなんだが、こんなに長い桟橋にする必要ないだろうに。ここからまた帰り道を歩くと思うと、何だかもうやってられない気持ちにさせられるぞ。他に逃げ道がない1本道というのは大変である。

RIMG1795
 んで映画のシーンをほとんど覚えてないのだが、似てるのかね?

 午後の走行になってから周辺にワイナリーが幾つも現れるようになる。というのも本日の目的地であるマーガレットリバーはオーストラリアのワイン産地として有名な地域なのだ。私もそうしたぶどう畑の中を走ってみたいという思いから、回り道にも関わらずマーガレットリバーへと進んでいるのであり、早いとこワイン飲ませろコンニャロー。

RIMG1803
 ぶどうの木って背が低いんですね

RIMG1800
 そこら中ワイナリーの看板だらけ

RIMG1804
 ぶどう泥棒にはこんなヤツが出てくるのだろうか?

RIMG1812
 町に到着早々目を奪われた光景とその音色

 オーストラリアに似つかわしくない坂道の中にあるマーガレットリバーの町で、私がすることなんてスーパーでの買い物ですよ、いつもと一緒。

 さんざん値段と財布の中身とで逡巡しながらワインを1本購入する。ワインの名産地でその地元ワインを飲む。良いじゃありませんかブルジョワな感じで。まぁ飲んでる場所は公園のテーブルだったりするのですが。

RIMG1817
 父親から「いつも同じような食事だな」といわれたのだが、まぁ私もそう思う

 2015年11月20日(金) 走行距離109km 累計24713km
    mixiチェック

 オーストラリア65日目 バンベリーの町

 久しぶりのベッドが気持ち良いのである。いくらマットを2枚重ねてるとはいえ、寝返り打つと大地へと落っこちてしまうテントでの睡眠とは寝心地が違う。正直言えばテントで寝ても問題を感じることはほぼないのだが、そうはいってもベッドで睡眠を取れることは嬉しい。

RIMG1740
 つーかドミトリー部屋とか久しぶり

 そういう意味では無料の朝食を食べるのも久しぶりといえるかもしれないが、こちらに関しては沢山の親切な人達に朝食を頂き続けてきたため、割とよくある出来事だったりする。

 そんなワケでパンにバターやれオーストラリア調味料のペジマイトやれを塗りたくった朝食を終え、10時にやってくるという新聞記者を待つことに。流石に適当な私でも、待ってる間に1ケ月以上放っておいた髭を剃ったり比較的痛みが少ないウェアに着替えたりと身だしなみに気を使う。元が良くてもそれだけでは駄目なのですよ。

RIMG1741
 んでその後は紅茶を飲みつつ日記書いたり

 約束時間キッカリに現れた記者と何故か同席しているゲストハウスオーナーと三者面談的な感じで取材開始。まぁ色々聞かれるわけだが、こうして長期間旅行していれば多くの人に出会い、その都度質問される内容は似通ってくるため必然的に答え方もパターン化してくる。

 どんなルートを通って来ただとか、今後の予定といった通り一遍の質問を答えた後は、何故かゲストハウスのオーナーが私を泊めた経緯から始まり自身の旅行経験やゲストハウスを開いた経緯について大いに語っていた。私の取材じゃなかったんかい。

 正味1時間の取材を終え、出来上がった記事は私のメールアドレルに送ってくれるとのこと。オーストラリアも片田舎までくると自由気侭な自転車旅行者でも取材価値があるんですね。楽しみにしておきます。

RIMG1743
 ということで午後はバンベリーの町を観光して回る

RIMG1747
 こんなんあったら登らないわけにはいかないでしょう

RIMG1750
 オーストラリア西海岸もそろそろ終わりかぁ

RIMG1743
 こんなオッチャンの仕事に憧れる

RIMG1754
 モデルの人もさぞや嫌がってることでしょう

 さて半日も自由時間があるのだ。バリ島で切って以来、放ったらかしにしていた髪の毛であるがいい加減伸びすぎて嫌になっている私である。ここいらで一丁バッサリと散髪しようじゃないかと町の床屋を見て回る。

 ・・・回るのだが物価高のオーストラリア。最低料金が20ドル(約1760円)とかであり、とてもじゃないが手が出せない。何しろ東南アジアでは100円とかで散髪していた記憶が残っており、実は前から床屋を見つけてはその値段の高さに挫折してきたりする。

 とはいえ髪の毛切らないのはもう限界だ。悩んだ挙げ句に私が取った行動とは・・・

RIMG1760
 バリカン購入した(27ドル=約2380円)

 とりあえず2回散髪すれば元が取れると思えば安いやすい。こうしてまた無駄な荷物が増えることになるワケだが知ったことか。早速ゲストハウスの洗面室を借りてマイセルフ散髪の開始である。

RIMG1757
 ビフォー

RIMG1759
 アフター

 丸刈りとか超簡単。始めて髪の毛を切った経験がオーストラリアの地方都市とか良い経験じゃないですか!頭もスッキリしたところで夕食を済まし、他の宿泊客達と一緒に遊んだり色々と話を聞いたり。

RIMG1763
 ビリヤードって多人数でも遊べるんですね

 するとウルグアイ出身の兄ちゃんが「あのバリカンは君のだろ。俺の髪の毛もカットしてくれないか?」とか言い始める。

 私、数時間前に始めて髪の毛切ったばかりの人なのですが。それも丸刈りで失敗しても問題ない髪型だからこそのチャレンジでしたが・・・・・面白そうだからやってみっか!と引き受ける私にはいつか天誅が下ると思う。

RIMG1764
 失敗したら笑って誤摩化そう

 しかし他人の髪の毛を切るのはなかなか面白いね。向こうも向こうでブラッドピッドの写真を見せて「こんな感じのヘアスタイルで頼む」とか無茶振りにもほどがあることいってくるし、「よっしゃ任せろ!」と応じた私に何の罪があろう。

RIMG1765
 大体終了

 どうにか納得してくれたみたいで一安心だ。聞けばウルグアイでは髪を切ってくれた人は一生の友人となるのだそうで、あぶね〜危うく日本とウルグアイの関係悪化に一役買ってしまうところだった。彼もガッチリと握手してくれたし、これで今後も友好的な関係が築けると思うと私も面白可笑しく散髪の任を買って出た甲斐があったというものだ。

 その後も宿泊している他の日本人やれイタリア人やれと話を続けていたら23時過ぎに。テントで1人星を見ながらの夜も楽しいが、知らない人と会話を続ける夜もまた楽しい。

 2015年11月19日(木) 走行距離8km 累計24604km
    mixiチェック

 オーストラリア64日目 オールドウィッテイカーキャンプ場〜パースから南に約150km バンベリーの町

 目が覚めた時には雨が降っていたので、現実から目を背けて2度目を決め込む。再び目を覚ましたら見事に雨は止んでいたのであり、「良かった、雨なんてなかったんだ。今日も自転車旅行が楽しいぜベイビー!」と朝食の準備に取りかかる。

RIMG1713
 テントは濡れてたので日向で干しますが

 朝御飯を食べ終わり、テントも乾いたところで収納作業に移ろうとしたら降ってきたよ雨ですよ。結局ぐちゃぐちゃに濡れてしまったテントをガッカリ気分で収納し、朝から喜怒哀楽が激しい茶壺さんの出発時刻は9時を越えた。

RIMG1716
 出発して10kmのR.Hで雨は降り止みレインウェアも離脱

RIMG1721
 フェイントの激しい空模様である

 まだまだパース南部の人口集中区域ことボーナスステージが続くため非常に気軽な走行である。水を15ℓも積載してたのと同じ国とは思えない程、気候も周辺環境も違うのでありオーストラリアという国の広大さを感じざるを得ない。ずっとこの環境が続いても私は構いませんことよ?

RIMG1719
 郊外でも普通にカフェがあるし

RIMG1720
 美しいスプリンクラーの舞をご覧下さい

RIMG1723
 ランドセールって書かれると広大な土地を売り出してると思わないかね?

RIMG1729
 ポッサムってもっと可愛い生き物かと

RIMG1732
 オーストラリ・・・ンド?

 天候が不安定なので今日は無理をしないで短い走行とする・・・という誰に対する言い訳をしてるのか分からんが、50km先のバンベリーの町で今日は走り終えることにしたのであり、おっと!そういえば昨日はバンベリーに住むゲストハウスのオーナーに「ウチに来て泊まっていけよ。」といわれたのであり、いやぁ偶然だなぁ、ちょっとだけ寄って行こうかなぁ。

RIMG1735
 こういう芸風を何ていうんだっけ?

RIMG1734
 ゲストハウスはキャサリン以来 

 オーナーは「好きなだけ泊まっていけば良いよ!」といってくれるのだが、慎み深い私は遠慮して2泊と申し出る。旅行者だからといって人様の好意に甘えてるばかりでは駄目だと思うのですよ。(ツッコミ待ち)

RIMG1736
 買い物行く途中で虹が

RIMG1737
 よく分からない野菜だが97%引きに惹かれて購入

 ところでオーストラリアの肉は日本よりも若干高め程度の値段設定が多いのだが、下処理されていない「骨付きの肉」だとその値段は一気に下がる。具体的には肉1kgで3ドル(約260円)とかになるため、最近はこの肉ばかりを選んでいる私。

RIMG1738
 骨外す手間はあるけども

RIMG1739
 キッチンがあると夕食が豪華になって嬉しい

 半分は貰い物で構成されている夕食を食べているとオーナーから「明日の10時から新聞記者が来て、Youのことを取材するってさ!よろしくな。」とのこと。一瞬脳内を過去の悪事の数々が駆け巡ったが、道端に落ちてる小銭を拾う程度の小悪党をわざわざ報道するわけない。

 どうやら自転車で世界中を旅行していることについて取材したいらしく、単なる旅行者を記事にしたいとは世の中物好きがいるものだ。良いよ、もちろん良いですよ。ただし私の英語力でどこまで受け答えができるかは謎なのである。

 2015年11月18日(水) 走行距離59km 累計24596km
    mixiチェック

 キャンプ用品と登山用具における最も大きな違いは道具の「容積と重量」であると思っている。ザック1つを背負って険しい山道を歩き続け、滞在するためにはできる限り荷物は軽く少なくした方が良い。そのため登山用具というのは基本的に軽量でコンパクトの物が大半を占めており、そうした利点から自転車旅行者にも登山用具の愛用者は数多い。

 とはいえ自転車はアルピニストほど荷物の容積や重量に対して意識をしていない。バッグを4つも5つもぶら下げてるし、その重量は自転車が肩代わりしてくれる。実際、グラム単位で荷物を減らそうとする登山家はいても、自転車旅行者でその域まで達すると「変態」と呼ばれること待った無しだと思う。


 さて本題。ガソリンバーナーが壊れた関係で、新しい部品が見つかるまでの代替え品として、登山用ガスバーナーを準備した私であった。いやね、ガスバーナー楽なんだわ。着火した瞬間から最大火力で炎が燃え上がるし、汚れるということが全くない。分かっちゃいたけど使いやすさではガソリンバーナーであるウィスパーさんは足下にも及ばない。

RIMG1714
 とにかく小さくて邪魔にならない使い勝手の良さ(重量85g)

 いっそキャンプ大国でガスカートリッジの入手容易な先進国ではこちらをメインにして行ってやろうか!とも思ったのだが、ガソリンバーナーのもう1つの利点である「燃料が安い」という点の違いは想像以上に大きかった。

 この手のバーナーはいわゆる「ブタンガス」という円形カートリッジを使う事が一般的なのだが、なんとカートリッジ1つに1000円以上の価格が表示されやがった。ガソリンの約10倍の値段でありながら使用時間は短いとか、全くもって酷いコストパフォーマンスではないか。

 余りにもランニングコストが悪いので、いわゆる携帯用ガスコンロに使用する安い円柱型のガスカートリッジを使うことができるアダプターを購入した。このガスカートリッジならば1本250円くらいで財布にも優しく、アダプターの代金分(約1400円)は遠からず返済できることだろう。

RIMG1715
 これで何も怖くない

 良かった良かった一件落着と喜んでいたのだが、そのタイミングでガソリンバーナーの壊れた箇所の代替え部品が見つかった。

 ということでこれからはバーナー2つ持ちという無駄極まりない形での旅行をすることになった。まぁへっぽこ途上国ではガスバーナーはバッグの奥に仕舞い込んでおけば良いし、時間かかる夕食等の調理の時には燃費とランニングコストの良いガソリンバーナーを、簡単に済ませたい時にはガスバーナーをと使い分けが可能だ。

 こんな贅沢な使い方ができるのも荷物を大量積載できる自転車旅行者ならではであり、こうした感じで次から次へと新しい物を背負い込んでいくから、大抵の長期自転車旅行者は必要以上に荷物をぶら下げているのである。
 

 なおバーナーは同製品が見つからなかったので似たようなものをリストアップ


 <世界半周終了時感想>

 ガソリンバーナー買い直してから全然使ってないけれど、ところがアコンカグアのハイキャンプ地で大活躍したのであり、捨てなくて本当に良かったと思ったことがある。
 

 もしガソリンバーナーが壊れたとしても、結局カートリッジ購入しなくちゃ用をなさない品物だけど、まぁ一応持っておこうと思っている。 
    mixiチェック

 オーストラリア62・63日目 ビーリアーの町〜パースから南に113km地点 オールドウィッテイカーキャンプ場 

 泊めてもらったアンディ夫婦も旅行が好きな人たちで、これからの走行予定に着いて語っていたら「この場所に行かないなんてもったいない」とか「ここは是非とも訪れるべきだ」と増々魅力的なポイントを教えてくれるのであり、昨日にも増して先へと進む道が悩ましい。というかこれ昨日の書き出しと同じこといってるぞ。

RIMG1686
 なおアンディのお家

 やや遅い起床ではあったものの、荷物をまとめて出発しようとしていた私であったが、そこでアンディから差し出されるのはキンキンに冷えたビールである。ハイ、延泊決定!

 そのまま奥さんが運転する車でショッピングモールへの買い物に付き合ったり、ビール飲んだり夕食にBBQするというので肉を買いにいったり、ウイスキー飲んだり、酔っぱらって昼寝したり・・・と実に忙しい時間を過ごす。日記書こうと思っていたけど、アンディの娘がアクティブでそれどころじゃない。子育てするお母さんって大変だよなぁ。

RIMG1687
 週末は営業してない店が多いので月曜日はやたら買い物客が多い

RIMG1689
 夕食でこれでもか!というくらい肉食べた

RIMG1688
 昨日の戦利品


 翌日。仕事に出かけるアンディに合わせて朝7時に自転車を準備して出発とする。お別れの挨拶しようと自転車を裏庭から車庫前へと移動させたのだが、その間にアンディは仕事へと出発してしまっていた。おおぅ!アッサリとした展開になってしまったな。

 アンディの奥さんと子供達に分かれを告げ、私も後を追うように出発する。こうした居心地の良い場所を離れて1人寂寥感に包まれながら自転車をこぎ始める瞬間はやっぱり寂しい気持ちがある。

RIMG1691
 とりあえず国道1号線に復帰しなくては

RIMG1693
 1号線に戻ったところで奥さんが作ってくれた鮭ご飯を頂く

 結局パースとその周辺に合わせて5泊した私であるが、これくらい都会に滞在していると、気持ち的にはそろそろ地平線が恋しくなってくる。もはや私にとってオーストラリアとは「何も無い土地にひたすら道路が延びている」という国なのだ。

RIMG1695
 場所はいえない、何しろシークレットだから

RIMG1696
 パース南部に入って背の高い木々が増えた

RIMG1697
 変なオブジェも増えた

RIMG1699
 何だかボルネオ島を思い出す風景だ

 パースから100km程離れ周囲の景色に建物が見えなくなってきたものの、それでも都会近郊の地域である。道路の脇には綺麗に自転車道が敷かれており、ストレスを感じること無く走行することができる。脇で平行して走ってる道路も片側2車線で大きな路側帯がある立派な道路だなぁ・・・とか思ってたら、どうやらこれ高速道路みたいですよ。

RIMG1700
 オーストラリア西海岸で高速道路要らないだろうに

RIMG1701
 やたらと気の早いトイレ表示

 追い風を受けて走る快適な走行だったのだが、空模様が一変し雨が降り始める。大したことない雨足なので、少々先のレストエリアに逃げ込んで雨が止むのをのんびりと待つ。

RIMG1704
 このロシナンテ号の脇にて

 すると車から出てきた人が「君はこの後どっちに向かう予定なんだい?」と聞いてくるので「南西よ!南西!」とか色々話していたのだが、「そういうことなら明日は私のゲストハウスに泊まれば良い。場所はメールするよ。」と誘った後に去って行った。明日のルートが決まった瞬間である。

RIMG1703
 ありがとー!明日よろしくね〜

 雨も止んだので、もうちょっとだけ先のポイントにある無料キャンプ場まで走行して本日は終了。久しぶりに100km超の走行をしたのだが、休養日の後&追い風だったこともあり体は元気いっぱいだったり。

 キャンプ場に着いた後も周辺をウロついたりするものの、その周囲に何も無いのがオーストラリア。大人しくテントを設営し、夕食を作った後は寝るしかないのである。

RIMG1709
 この辺の蟻は全長2cmくらいあって怖い

RIMG1710
 やや天気が不安なので珍しくペグでフライシートを固定してる図

 2015年11月16日(月) 走行距離  0km 累計24427km
 2015年11月17日(火) 走行距離110km 累計24537km
    mixiチェック

 場所:前者はボルブドゥールの町中央、後者はジョグジャカルタ中心部から約20kmの位置
入場料:ボルブドゥールが24万ルピア、プランバナンは22万ルピア(なお変動あり)だが、2つの遺跡を36万ルピアで回れる共通券もある。ただしこのチケットは有効期限が3日間なので、ご注意をば。

 ジャワ島中央部に位置するインドネシア有数の観光地。共通券が存在することでも分かるように、距離的に近くツアー等でもこの2つの遺跡を合わせて見学するものが多いのだが、遺跡の雰囲気自体はかなり異なっている。なおボロブドゥールは1つの巨大な建物なので、「遺跡群」ではない。

 ジョグジャカルタから程よく離れた位置に点在しているため、アクセスも良好でありなかなか満足度は高いのだが、嫌がらせとしか思えない外国人料金制度と大量のウザい土産物屋が評判を下げてると思う。

◎ボロブドゥール遺跡

P7310454P7310434P7310428

P7310449P7310440P7310429

P7310448P7310453P7310427

P7310433P7310452P7310445

P7310432P7310446P7310426

P7310451P7310431P7310425

P7310450P7310439P7310430

P7310444P7310458P7310424

P7310438P7310437P7310442

P7310443P7310456P7310422

P7310436P7310441P7310435


◎プランバナン遺跡群
 
P8030480P8030476P8030467

P8030478P8030465P8030463

P8030461P8030474P8030490

P8030489P8030479P8030477

P8030473P8030481P8030466

P8030475P8030471P8030468

P8030464P8030462P8030460

P8030459P8030483P8030485

P8030487P8030491P8030488

P8030486P8030484P8030482
    mixiチェック

 オーストラリア61日目 パースの町〜パースから南に約20km ビーリアーの町

 ダーウィンからここパースまでの道は、ルートで語るならば精々2〜3つくらいしか存在しないため大して悩むこともなく走行して来ることができた。しかしパースの南部においては網の目のように道路が行き交っているため、走行プランをかなり自由に計画することができ、寄り道ばかりの茶壺が本領発揮し始めそうで怖い。

 ジャックに近くの行ってみたい場所を告げ、ルートを考案してもらったりしたわけだが、その途中で
「あの町には面白いオブジェがあるぞ」
「行くわ」
「この町の海は最高に綺麗だぞ」
「行くわ」
 とかなってしまい、いつまで経っても先へ進める気がしない。とりあえずパースの町を出発すべく準備をし、お世話になったジャックにお礼をいって記念撮影。

RIMG1657
 楽しい日々でした

RIMG1655
 なおジャックからの餞別品 

RIMG1659
 市街は立派な自転車道を使って移動

RIMG1660
 海沿いの道を走って南下する

 20km程走ってフリマントルという町へ。ここでは週末に開催されるマーケットがあるとのことで、ダーウィンで見た土曜の屋外マーケットとはまた違う風景を見ることができそうで楽しみだ。

RIMG1667
 お疲れさまです!

RIMG1669
 分かりやすいオレンジ絞り機械

RIMG1670
 しかし整然としたマーケットだ

 今まで見てきたマーケットの大半が東南アジアの混沌とした市場だったこともあり、先進国の整然とした美しいマーケットは一味違ってまた面白い。この町は「カプチーノ通り」というストリート沿いにズラッとコーヒーショップが軒を連ねる区域があり、そういうおシャンティな場所に私とロシナンテ号は大層似合っていること甚だしいためコーヒーを楽しんでみたり。

RIMG1672
 何処でもお洒落とは私のようじゃないか

RIMG1673
 なおコーヒー1杯の値段はベトナムの10倍

 軽く町を見学して出発する予定だったのに、気付けば時刻は12時過ぎ。町こそフリマントルだが、まだパースの町のお膝元だ。今度こそパースの町を脱出するべく走行再会して約10km。私の目の前に車が停車したのであり、出てくるは日本語ペラペラのオーストラリア人。

「自転車旅行の日本人か!今日は何処で泊まる予定なんだ?」
「どこかいない場所でブッシュキャンプ(オーストラリアでテント張るキャンプの意)するよ」
「よっしゃ、そういうことなら俺の家の庭にテント張れば良い。そんでこの後釣りに行くんだが、オマエも一緒に行かないか?」
「行くわ」
 とかなってしまい、やっぱりいつまで経っても先へ進める気がしない。そのままアンディのお家へと直行し、彼の弟と3人で夕釣りへ。

RIMG1684
 今回の釣りはちゃんと竿を使いますよ?

RIMG1682
 ゲットした魚を狙う悪者

 4時間粘ってどうにか1匹ゲットすることに成功した。私は釣りを趣味としてないので、殆ど始めてといえる魚を釣り上げた経験となったワケだが、これはなかなか楽しい遊びである。活動の結果が如実に現れ、しかも取った獲物を食べることができるというのは満足度高いですよ。ハマる人が多いのも頷けるというものだ。

RIMG1685
 結局夜10時前まで続けていた

 家へと戻り夕食となったのだが、アンディの奥さん(日本人)がわざわざ私のために日本食を作ってくれて大感激である。米とみそ汁をメインとした食事は美味くて安心する味だ。

 そのまま夜中の0時過ぎまで話に花が咲き、私が寝たのは1時過ぎ。パースから先へと進むのは、なかなかに大変である。

 2015年11月15日(日) 走行距離39km 累計24427km
    mixiチェック

 オーストラリア59・60日目 パースの町

 オーストラリアという国は旅行者が多いためなのか、町は勿論のこと郊外であっても宿泊施設は非常に充実している。増してやW.A州最大の町であるパースの町中には10や20じゃ利かないほど多数の安宿も乱立しており、寝床を探すことに苦労はしない。

 にもかかわらず私がテントを使っているのは「宿泊する費用をビール代金につぎ込んでやるぜうほほほ〜い!」という崇高な考えがあるからであり、本日も朝日とともに快適な目覚めである。近くにBBQコンロ台はあるし、テーブル・水道・コンセント完備の素晴らしい物件だ。良きかな良きかな。

RIMG1631
 良いわけない

 さて大都会パースに到着したのであり、このタイミングで壊れたガソリンバーナーの部品を探そうではないか。私が使っているMSRというメーカーは、アメリカの有名アウトドアブランドであるため、オーストラリアならば割と簡単に代替え部品が見つかるだろう・・・という考えのまま、気付けば2000kmくらい入手不能の状況が続いていた。今こそ勝負のときである!

RIMG1635
 と、思ったらスポーツサイクル店があったので見てみる

RIMG1634
 この棚にあるタイヤ全てマラソンプラス(アジアではシンガポールにしかなかったのに)

RIMG1636
 首尾よく発見する

 発見するまでの経過を省いているが、通り沿いに自転車店が3店舗、アウトドア店も4店舗は確認した私であり、一極集中が激しすぎやしませんかオーストラリア?

RIMG1637
 発見したのは3店目の店

 ともかくこれでガソリンスタンドさえあれば何時でも燃料補給できる環境が戻ったのであり、正直ガスカートリッジがスーパーですら販売されているオーストラリアでは大したメリットが無かったりする。べ、別に良いのだ。今後はもっとへっぽこ地域や国を走ることもあるのだし。

RIMG1638
 図書館でネット使ってPC作業

 実は先日からネットで新しい試みを始めたのであり、それが「Warm Showers」の本格活用である。これはいわゆる旅行者用のSNSサービスというヤツで、利用者同士が助け合いホストが無料で旅行者に宿泊先その他諸々を提供するネットサービスだ。

 このSNSは有名どころでバックパッカーが多く活用している「カウチサーフィン」というのがあるのだが、ウォームシャワーは利用者が全員自転車乗りという特徴がある。お互い自転車旅行者として必要なものを理解しているためなのか、私が過去に出会った自転車乗りで、カウチサーフィンを勧める自転車乗りは1人もいなかったが、多くの人がウォームシャワーをお勧めしてくれたものだ。そりゃまぁ自転車乗りだもんねぇ。

 と、いうことで連絡していたホストから返信メールが。「ウチで泊まれば良いぜ!」と言ってもらえる嬉しさは直接でも文章でも嬉しいものですな。公園でテント泊?バカなこというなよ、浮浪者じゃないんだから。

RIMG1645
 ということでジャックの家にて宿泊

RIMG1644
 彼の好きなビールがまさかのスーパードライ!


 翌朝。ジャックは土曜の半ドン(という言葉を今でも使うことがあろうとは!)仕事で出かけてたので、私は家に残って自転車の整備をば。半日だけ仕事して終了するくらいなら完全休日にしてしまえよ・・・という意見も多かろうけれど、私も小学生の時には土曜日の半日授業(給食なし)を経験しており、あの何ともいえないワクワク感は分からないことも無い。なお、仕事であったならばゴメンだと思う。

RIMG1644 1
 庭で清掃作業

 いくら路面状態の良いオーストラリアであっても2000とか3000kmに渡ってノーメンテナンスで走行続けているのであり、走行中に異音はするわチェーンには砂やら泥やら様々な汚れが付着し見てられない様相であったりする。

RIMG1646
 余談だが、この家ではスーパーファミコンが現役 

 そんなロシナンテ号を綺麗にメンテナンスした後、ちょっと作業してるとジャック帰宅。それじゃあビーチに行こうぜ!と彼の車に乗ってシティビーチへ繰り出す我々。

RIMG1649
 大都会パースから5kmしか離れてないのにこの綺麗さ

RIMG1650
 なんというか・・・・ズルいよパース

 遊び終えて帰ってきた後も夕食の買い出し等色々と世話を焼いてくれるジャック。ビールくらいは私が用意しようとしたのだが「家に俺のビールがあるからそれを飲めば良いよ。大丈夫!俺は稼いでいるからさ。」という台詞を6つも下の人にいわせてしまっている絶賛無職の茶壺です。

RIMG1653
 今度自転車で台湾1周旅行をするとのこと

RIMG1654
 食べれる時に食べとこうと思ってスーパーハイカロリーの夕食に

  何だかんだで都会は良いですな。道中で「そのうちどうにかしよう・・・」と目を背けてきた面倒事も大体片付けることができ、大層満足しております。明日からまたペダルを漕ぐ日々の始まりだ。

 2015年11月13日(金) 走行距離10km 累計24388km
      11月14日(土) 走行距離 0km
    mixiチェック

↑このページのトップヘ