自転車ときどき世界1周

2017年12月

 アルゼンチン5日目 廃墟〜メンドーサから北北東に約960km サルタの町

 実は2017年における走行は本日が最終日だったりする。まだ本年10日以上もあるのにこの体たらく、流石4年近くも仕事してない人間は自分を甘やかすのが上手い!・・・と褒めそやしたい。

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  テント張るのだけは上手くなった

 ということで人がいないのを良いことにテント張った廃墟で朝食済まし、残った下り坂を全て消費すれば終了となる走行の始まりである。今年は主にアンデス山脈でキツい走行が多かったと思っているが、最後はこうした楽できる行程が待っているのであり、こんなんで精算取れるとか思うなよ?

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 それでは本年ラスト走行 

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 なお走行距離はかなり少ない

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 毎日2000mくらいの下り坂なら良いのに

 昨日の曇り空も強風も何処へやら。素晴らしく整備された道路と青空に映える山々を背景にして、ほとんど力を入れずともスピードに乗ってグイグイ速度を上げる我がロシナンテ号。

 自転車旅行って汗水垂らして空気の薄さに喘ぎながら、終わらない未舗装路を永遠走り続ける過酷な遊びではなく「楽しい」ものだったのだと思い出させてくれる道だ。

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 楽しい 

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 気持ち良い 

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 実際のところ楽しさにも色々あるとは思うけどさ

 そんな私はラクで楽しいのが好きでなのである。よって本日の道は最高に「良い道」として認定できるのであり、多くのサイクリストにこのルートを是非とも楽しんでほしいと願うばかりだ。楽しくなるまでに鬼の5日と1日が待ってるけれどまぁ誤差みたいなもんだ。

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 嘘はついてない

 しかしラクで楽しいはずのルートは突然に終わりを告げるモノだと相場が決まってる。あれほど完璧な路面だった道路が突然にガッタガタの未舗装路となり、ハンドルを取られまいと必死に走行していたら、脇を走ってた野生の馬が眼前で車に轢かれてしまったり。なんちゅうモン見せるんじゃい。

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 言うほど酷くはないけども 

 それでもどうにか山を抜け、気づけばサルタの都市圏へと突入である。ところで途中から気づいてたけれど、あえて無視していたことで「やたらと暑い」のだけれども。これはヤバいレベルなのではないかと我慢できなくなってきた。

 これが都会の景色か

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 アルゼンチンってすごい先進国だと思わせる景色になってきた

 かなり早い時間でホステルへと投宿し、しかしここからが本番でもある私。でもまぁとりあえずアルゼンチンですることなんて「牛肉を食べる」こと以外にないのであり、ウキウキのスーパーにてアルゼンチン牛ゲットですよ。

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 900gで500円以下、凄すぎる

 思わず大瓶2本空けてしまったりして満腹だわ酔っ払ってるわで何もしたくないのですが。本番とやらが始まるのは何時なのか?

 ほろ酔い加減と評するにはフラつき過ぎだと思いつつ、自転車のキャリアに違和感あるなと調べてみたらキャリアがポッキリ折れていた。

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 ちょっと待て待て

 一般販売されてる中では恐らく最高の耐久性能を誇るチューブス社のキャリアなのですが。ぐうの音も出ないくらい完全な破損には酔いも一気に冷めるというか。

 本年最後にとんでもない課題を残していったキャリアさんは、ある意味でタイミング良いのかと思ったりしつつ、本当コレどうしたものか。

 2017年12月20日(水) 走行距離87km 累計72231km
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 アルゼンチン4日目 サン アントニ オ デ ロス コブレスの町〜メンドーサから北北東に974km 廃墟

 色々連絡取りたくて宿泊したWi-Fi付きの宿なのだが、昨夜は速度が遅すぎてメールの1つ送るのにも一苦労する始末であった。ならばと利用客が少なそうな早朝を狙って朝からPC抱えて食堂へと向かうワケでして。私は何をやってるのだろうと疑問に思ってしまう。

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 ネットしてたので出発は遅くに

 コーヒーと小さなパン2枚で「朝食サービス」というのは誇大広告もいいところ。そんな朝食ではエネルギー足りるワケもないのであり、しかしこの状況を事前に予測していたくらいには私も旅行経験が長くなってきたのであります。

 昨夜のうちに準備したシリアルと牛乳・バナナでお腹を満たし、しかし今日の行程はほとんど下り坂となる予定で、果たしてこんなにエネルギー摂取の必要あったのか?

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 ありますとも

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 初っ端に150m登らせる道だし

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 30mで速度は45km/h落とすべし

 コブレスの町からようやく道路がアスファルト舗装へと変わったのであり、つまりはシコ峠を越えるチリ〜アルゼンチン間の国境通過ルートは既に走り終えたようなものである。次の目的地であるサルタの町までまだ2日の距離であるため、まだ気を抜くには早すぎるのだが。

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 こんな楽な道では仕方ないよ

 ボリビア後半戦から未舗装の道か厳しい上り坂ばかりを走ってきた身としては、ちょっと力を入れただけで20km/hとか出てしまう道路なんて楽すぎて愛おしい。アスファルト先生に足向けては寝られんな。

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 お昼前には峠の山頂へ

 思ったよりも時間かかったが、ここ4200mから先はひたすら続くダウンヒル。7月のコロンビアでアンデス山脈に突入して以来、ほとんどの期間を3000m超といった高地で過ごしてきた私。

 ここから先はアンデスも走りはするが、山脈とその周辺での走行も増えることになり、ある意味ではアンデスとの別離を意味している。お前ほどキツさと楽しさを両立させてくれる存在はいなかったよ、ありがとアンデス。

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 喜びとちょっと寂しさの入り混じるダウンヒル

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 楽である 

 下り坂とはいえサルタの町までは山頂から100km以上の距離である。斜度も徐々に緩やかになってくるし、反比例するように向かい風が強くなってきて走行ペースは落ちてしまう。

 宿のオッちゃんが「サルタまで自転車なら1日で行く人もいるぜ!」みたいなことを言ってたのだが、それをフルパッキンの自転車旅行者にオススメしないでほしい。そもそも本日10時スタートの時点で辿り着くことは諦めている。

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 ちょいちょい小さな集落見かける

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 学校とかこんな辺鄙な場所に作らなくても・・・と思ったり

 時刻は16時だが、あまりの強風でこれ以上走り続けるメリットないと判断し、近くに見えた廃墟へとエスケープ。若干小雨も降り始めていたため、屋根付き物件にテント張れた結果はむしろ運が良かったのだと考えたい。

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 ただしやたらと馬が多かった

 今日スタートしたコブレスが3770mで現在の標高が約2800m。サルタの町ではこの数字が1100m強まで下がるとのことで、明日町へと到着したら暑い気候に冷えたビールとワインで最高に楽しい夜が待っているのだと今からワクワクが止まらない。

 2017年12月19日(火) 走行距離79km 累計72144km
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 アルゼンチン3日目 オラカパトの町〜メンドーサから北北東に約1000km サン アントニ オ デ ロス コブレスの町

 お世話になった施設はどうやら病院だったようであり、そんな場所に宿泊お願いするとは元消防職員のクセにふてぶてしい精神だと自分でも思う。病院って単語が全く無かったワケで、そんなの分かるはずもないじゃないか。

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 キッチンも使わせてもらい有り難き幸せ

 昨夜雷雨からのにわか雨が降ったことで非常に驚いた私だが、どうやらこの周辺からは悪天候というファクターを鑑みた自転車旅行をすべきかもしれない。雨が降ったらお休みで〜ってヤツですね。

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 休んだら餓死する道ですが

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 恐らくは鉄道駅舎が作られたことでできた町

 恐らくは当直医である先生にお礼言って出発する。出がけに「サルタへの道上で起きた土砂崩れは通行止め解除したよ」と教えてもらい心底ホッとした。もう今年は予備として使える日が1日もないタイトなスケジュールでしたので。

 心配事がなくなって気持ちは軽く、ペダルは重たいまま。いい加減アルゼンチンでアスファルトの上を走りたいと思うのですが、これは贅沢というものですかね?

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 標高4000mなんかにアスファルト作るの無駄ということかな

 今でも列車が走っているのか定かでない線路と平行して延びる道。そんなの作る前にコルゲーションと深砂だらけのクソ道路を整備すべきだと思うのだけど。1時間に3台くらいは車両が通る、割と交通量の多い道なんですよココ。

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 その度に砂埃にさらされるワケで

 既にチリ側国境で4600mの峠を越えてるのだし、後は緩やかに下っていく道なのだろうと勝手に解釈していた道は、緩やかに登っていくとか予想外の一手をカマしてきおる。アンデス山脈はボリビアを過ぎてもまだまだ健在だ。

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 どこまで続くの上り坂よ

 ちょっと嬉しかったのが峠の山頂にキチンと看板が残されていたこと。未舗装路の峠なんてのは基本的に苦しいとかキツいというのがほとんどで、そういう苦労を伴って到達する山頂にある記念ポイント的な看板の存在は感無量の喜びなのである。

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 そりゃ記念撮影もするさ

 余談だが私が嫌いな峠のパターンは山頂目前にしてトンネルを通らされ、そのまま下り坂へと突入してしまうタイプである。こうした山道が日本という国は無茶苦茶多く、本当に自転車旅行者に対して優しくないと思うのだが。

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 下り坂の方が景色良いと思う

 ちなみに平行して走っていた線路も同様に4500mの大台を超えていた。エクアドル以降は高い場所に延びている線路を数多く見てきたが、それでも4500mを超えて続く線路は始めて見たのであり、別に鉄道好きじゃないけども「この路線が現在も使われますように」という気持ちを強く持った。

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 なんか嬉しいじゃん

 それなりの規模であるコブレスの町へと近づけば、道もアスファルトへと切り替わるだろう。そう思ってたのに、町まで残り5kmの看板が出ても全面未舗装でバリバリのコルゲーションで波打った路面状況が続く。アルゼンチン政府にとってこの道は整備する価値のない区間ということか。

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 線路を潜ればその先で

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 コブレスの町が出てきます

 とにかくお金降ろしてスーパーにて食材の調達だと思ったが、ATMの手数料で1200円はいくら何でも吹っ掛けすぎだろうと憤慨したくなる。どうにか他の手段を取りたくても、両替商なんてコブレスの町には存在しません。

 まぁ5日間ほとんどお金使わなかったのだし・・・と、自分に言い訳するような買い物は物悲しい限り。早いとこ牛肉食べてアルゼンチンの本気を味わいたい。

 2017年12月18日(月) 走行距離64km 累計72065km
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 アルゼンチン2日目 イミグレーション〜メンドーサから北北東に約1000km オラカパトの町

 施設もベッドも使わせてもらってはいるが、普段と同様に寝袋を使っての就寝でもある。しかしキチンとした建物とテントでは、こうも外気温に差が出るのかと思わざるをえない暑さ。結局寝袋は足の先にかける形で全く問題なく眠れた次第。アルゼンチンは暑い国かもしれん。

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 職員は誰も使っていない謎施設

 キッチン使わせてもらった関係で、朝からコーヒー2杯に飽き足らず非常用食材のマッシュポテトも丸々1袋開けての豪華な朝食。お陰様で出発する前からやや気持ちが悪いのであり、阿呆としか言いようのない人ですな。

 職員の人にお礼を言って走り出す地は、ひたすら未舗装のみが続く荒涼の風景。まぁ標高4000m出し景色は仕方ないとして、問題なのは未舗装路の方である。

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 どこまで続くのか見当もつかない

 イミグレーションを過ぎたら若干路面が整備されたようで、これなら良い感じで走行できるじゃないか!とか喜んでいた私だが。

 コンディション良し・砂地・砂利道の3種類が区間毎に入れ替わってくる嫌らしさ。ずっと厳しい状況ならば、こちらも覚悟決めて自転車押して進むところだが(そしてそれは最悪ではあるけれど)、なまじ未舗装にしては楽に走れてしまうポイントが頻発してくる分、精神的な覚悟が定まらない。

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 難儀な性格とか思う

 景色の変化も極端に少ない土地であり、午前中で30km以上走ったのに1つの山を迂回しただけという事実は精神的によろしくない。先へと進んでいるのに移動してない気になってくるし。

 あとお昼休憩での食事がパンとバターのみというメニューで3日目突入しているのであり、これは一重にアタカマの物価が高すぎて極力安価な食材だけで乗り切ろうとした結果なのだが。食事の貧しさは自転車旅行の貧しさであると実感している日々である。

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 こんな場所じゃ仕方ないけども

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 送電線とか必要なのかね?

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 人が住んでない村は丁度いい休憩ポイント

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 こんな砂漠じゃ町も続けられないようで 

 この辺りから俄に天気が悪くなり始めて驚くというか、この周辺地域は年中雨が降らないような気候なのだと思ってたですよ。そもそも前回雨に降られたのはボリビア通り越してペルー滞在中での出来事だし。

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 乾燥地帯を抜けるのも近いということかな

 鉄道駅があるので何かしら人工物もあるだろう・・・程度の認識だったオラカパトの町は、学校施設から商店まで一通り揃った町だった。

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 てっきり廃村なのかと

 とはいえアルゼンチンペソを持ち合わせていない身としては、とりあえず見かけた公共施設っぽい建物にテント張らせてもらえないかお願いするのみである。早いところATMでも両替商でもいいから何か出てきてくれんかね。

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 まさか建物内で休ませてくれるとは

 感謝しつつ色々とアルゼンチンの情報について教えてもらうワケですが。この先向かう予定の道が土砂崩れで通過できないという恐ろしい状況であることを聞いて慄然とする。ちょっと所用があって、21日までにサルタという町へ到着したいのですが私。

 どうしようかと悩みつつ、現状どうしようもできないので割り切って寝てしまえる性格は、長期旅行者にとって重要なスキルだと思うのです。問題の先延ばし違う。

 2017年12月17日(日) 走行距離64km 累計72001km
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 チリ7日目&アルゼンチン1日目 キャンプエリア〜メンドーサから北に約1020km イミグレーション

 絶妙のポイントであるキャンプ地は、しかし東の空が岩壁に覆われておりやや寒い。数日前にアタカマの町で「暑くてやってられんわ!」と文句タラタラだったのに、ほんの1500mも登れば寒さに身を震わせる日々である。ちょうど良い気候にならないものか。

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 今年は前半暑くて後半寒かった感じ

 出発準備を済まし、メイン道路へ戻ってしまえばキチンと舗装された路面がお出迎えである。どうやら国境までの道は区間ごとに舗装工事が成されているようで、今日はアスファルトからスタートすることができるようだ。ゴールまで続いても良いんだよ?

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 そんな簡単にはいかなかった

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 この道も塩湖をよく観れる

 既に2日間に渡って坂道登り続けているのだが、それでも道は天を目指すが如く登っていく。斜度が緩やかなことは救いだが、標高が4500mを越えてもまだ登り続ける点は救われない。

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 早いところ工事完了させて頂きたい

 4600mの峠を登りきったところでようやく一段落の下り坂。疲れてるし楽ができるようのんびりと走りたいよね・・・とか思っていたワケですが。

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 猛烈な急斜面で怖くて仕方ない

 80km/hオーバーとかそういうのはもっと路面が綺麗で安全が確約されてる場所で、無理なく出したいものである。こんな強風下で自転車ぶっ飛ばしたら、次の瞬間には私がぶっ飛んでいるかもしれないので。

 下ると再び4500mまで登り返しと来たもんだ。どっちが示されていたシコ峠なのかは最後まで分からなかったが、とりあえず国境自体は峠を過ぎた先にあることが分かった。山のてっぺんで国を跨ぐ方が楽しいのにと思いつつ。

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 ながーい下り坂を走った先に

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 出てきましたよ国境が

 しかし笑ってしまうくらいアルゼンチン側とで変わる路面状況。ひっどい未舗装路の道を自転車ガタガタ鳴らしながら、イミグレーションがある11km先の施設まで移動する。

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 見事に周囲何もないでござる

 懸念事項だったチリの出国スタンプも一度に押してもらい、晴れてアルゼンチン入国ができました。でもこの強風&砂漠でテント張るのは大変なのであり「この敷地内にテント張ってもいい?」とお願いしたところ、職員の人が使ってる寮なのか施設を使わせてくれることに。

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 ありがたいことです本当

 シャワー浴びて洗濯物を片付けて、ついでに伸びまくってたヒゲも綺麗に剃ってと忙しい。厳しいシコ峠ルート後半戦の前に、こうした場所で一息つかせてもらえるのは明日への活力となりまする。まだアルゼンチンペソ持ってないので何1つとして買い物できないし。

 とにかく残り食料2日分が尽きる前に、どうにか町で補給をしなければならない事実。事前に日数計算して食材積載しているし予備の食料も一応持っているとはいえ、こうして考えてみると自転車旅行って結構綱渡り的な要素のある遊びだと思う。

 2017年12月16日(土) 走行距離68km 累計71937km
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 チリ6日目 ソカイレの町〜サンティアゴから北北東に1098km地点 謎のキャンプエリア

 寝床に使わせてもらっていた今はもう使われないっぽい教会は、しかしツアーの観光ポイントに指定されているらしく朝から人がひっきりなしなのであった。朝一でサッサとテント収納してたから良いものの、お食事中にバッチリ噛み合ってしまい色々質問攻めとなる朝の一幕。面倒くせぇ。

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 テント張ってること自体は問題にすらならない小さな町

 この先しばらく商店は存在しないので、出がけにコーラを1本買っておく。僻地にある田舎町なので無茶苦茶値段高いのだが、まぁ仕方がない。これが有ると無いとでは1日終了時のテンションがまるで違うし。

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 そんじゃ出発

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 昨日の上り坂はまだ続く

 この辺りでアルゼンチンへと抜けるルートには、私がボリビアから抜けてきた道路の「ハマ峠」と、現在走行中の「シコ峠」という2つが存在する。アタカマの町から一直線に抜けることができるハマ峠の方が一般的なルートであり、シコ峠はその一部区間が未舗装ということもあってかここを通過しようとする旅行者は少ない。

 では何故そんな道を行くのかといえば、同じ道を往復したくないという点が1つと、このシコ峠ルートもまた宝石の道と同じように美しい湖を携える風光明媚な道であるからだ。

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 今はまだ茶色が広がる景色だけど

 そんな景色を見れるのならば、多少の苦労は厭わないというのが自転車乗りであろう。できれば苦労なくして楽しく走りたいのだが、そんな道がアンデスにあるハズもなく。

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 赤道から結構南下してきたからか、5000m峰でも冠雪が

 そんで未舗装となる道なのだが、地図で確認すると太い黄色の道から明らかに頼りない細い道へと変化するポイントがあって「間違いなくここだな」と覚悟を決めていたのだが。

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 何というアスファルトでしょう

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 完璧ではないですか

 明らかに最近になって造られたと思われる色合いをしたその道路は、今まで路面状態を理由に避けてきた旅行者を向かわせるに十分なコンディションに変わったと言える。

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 工事の人から水を頂く

 まだ全ての区間が完全舗装に変わったわけではないけれど、それでも近い将来に全面舗装となるのは確実な雰囲気で、これは嬉しいことだと思いきや、どうせアルゼンチン側に入ってしまえば工事されてない未舗装の道になってしまうのだろうと現実的なことを考えたりもする。

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 町から59kmより未舗装開始

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 こっちの湖も見応えある

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 写真じゃ緑色の湖面が分かりづらいのが悔しいな

 湖沿いにキャンプエリアがあるとのことで、半信半疑で探してみると岩に囲まれた素晴らしい一角がありました。4000mまで標高上がったせいか、再び午後には強い西風が吹き付けるようになったため、こうした風除けがあるポイントは大歓迎なのである。

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 キャンプとはこういうモノだ 

 ここを作った前任者に感謝をしつつ、アグアスカリエンテス=暖かな水・・・と表示された湖なのに、温泉が存在しないことに落胆を隠せない茶壺さんであった。

 2017年12月15日(金) 走行距離69km 累計71869km
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 チリ5日目 サンペドロ デ アタカマの町〜サンティアゴから北に約1130km ソカイレの町

 一緒に宝石の道を走った久保さんとアタカマの町で再開してから先へと進む腹づもりだったのだが、ちょっと年末の予定に間に合わなそうなので出発することにした。自転車旅行者のクセにタイトなスケジュールを気取ってるなんて生意気だと思いませんか?

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 計4泊したキャンプ場は実はホステルも併設している

 このままアルゼンチンへと抜ける場合、アタカマのイミグレーションで出国スタンプを貰うのだと調べた情報では歌っていたのだが、職員に聞いてみたところ「3年前国境近くに新しくイミグレーションができたからそこでスタンプもらってね」とのこと。

 こちらのスペイン語読解力の低さもあり、最悪アルゼンチンの入国拒否された場合に3日かけて戻ってこなくてはならないのでは?という不安でいっぱいなのですが。というか戻ってる途中で食料尽きて倒れる危険性すらあるですよ。

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 とか割と悩んだものの、行くしかない

 アタカマの町さえ抜けてしまえば、地平線まで続くかと思わせる直線的に延びた道路が広がる快走路。左手には先日脇を抜けてきたリカンカブールを始めとするアンデスの山々が連なっている。

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 そして景色の変化は絶望的に少ない

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 天体観測関連の施設っぽい

 というのもアタカマ周辺は世界で最も乾燥している地域であり、そのため空気の揺らぎが少なく星の観測に最適な場所である・・・というのはちょっと天文関連好きな人なら周知の事実。

 実際アタカマにもその手の博物館だとか、大型天体望遠鏡を備える施設見学のツアーだとかも多種あるのだが、お金ないのと興味ないのとで向かうことはなかった。そういえば昨夜は流星群があったそうだが私はチリワイン飲んで酔っ払ってたのでアッサリ寝てしまった人でもある。

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 星を見ること自体は好きなんだけどさ

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 躍動感に溢れてます

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 いい感じの石

 40kmほど走った所に出てきた町でお昼休憩。入口看板に町に住む人の数が表示されてたのも驚きだが、その数800人強でも立派な中央公園や設備が揃っていることも驚きである。公園水道の水がそのまま飲めるし。

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 これが先進国クオリティってヤツか

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 こういう遊び心を見るのも久しぶりだ

 山に沿って南下しているのだが、アルゼンチンへと入るためには嫌でもアンデスの山へと向かわねばならない事実。どこで山に向かって舵を切るのかとドキドキしてたのだが、距離にして70km前後から本格的な上り坂がスタートする。

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 それもかなり急な斜度

 ギアを際軽にまで落とし、低速にもほどがある速度でヨタヨタ進んでいくワケだが、ふと気づくと額からの汗で目がしみるではないか。なんだかんだでアンデス山中を走ってた時は日差しが強いとはいえ標高4000mオーバーの世界。

 流石に汗が吹き出ることはなかったのだが、ここは3000mに満たない低地である。必然的に気温も上がり、私も汗をかくのだ。ようやく南米は夏真っ盛りだということを実感したよ。

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 結局3400mくらいまで登る

 というのもこの道最後のまともな規模したソカイレの町があるからだ。3日もダラけていたからなのか、やたらと疲弊した行程だったのであり、とにかくコーラを飲まねば明日から頑張ることができないレベル。

 全身に炭酸を巡らせながら、サマータイムのせいで20時になっても真っ暗にならない空を見て、テント設営を待ちつつ先に夕食を作るのである。この制度、旅行者にとってはシエスタ文化と同じくらい迷惑にしかならないのですが、どうにかならないもんですかね?

 2017年12月14日(木) 走行距離91km 累計71800km
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 チリ2〜4日目 サンペドロ デ アタカマの町

 何というかペルー・ボリビアという2ヶ国で3ヶ月以上を過ごしてきたため、チリのレベル高さには驚くばかりというか、物価の高さに早くも絶望的な気持ちである。

 とはいえ私はか弱い普通の人間なので、宝石の道を抜けて来た身としてそのまま休みも取らずにぶいぶい走り続ける気概も体力も有りはしない。というか砂まみれとなってる自転車その他の掃除作業が急務でもある。

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 とりあえず午前中に衣類とバッグを洗っておく

 もちろん自炊の昼食を挟んで午後から自転車整備となるのだが。あらゆる場所に砂が付着してるのであり、これを掃除のやり甲斐がある!と考えられるほど私はお気楽な性格はしていない。ただひたすらに面倒くせえ。

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 4時間かかった

 働かなくなってたガソリンバーナーを沖野君に教わりつつ修理したりと、ひたすら作業が続いた本日。これだけ忙しかった割に、初めてキャンプ場の敷地外へと出たのが18時というのはどうなのだろうとも思う。

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 買い物しなくちゃ夕食も作れないし

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 チリには町中にこんな立派な公園も

 しかしこれだけ観光に全力振ってる町って久しぶりに見たよ。ぶっ壊れてる自転車パーツが欲しいと思っていたのだが、町中にある自転車ショップはことごとくレンタルバイク屋。苦労してボリビアを抜けて辿り着いた自転車旅行者にとってアタカマの町はあまり優しくないと感じる。とにかく物価高いし。

 とにかく大量に食べたいサイクリスト2人。ということで鶏肉1匹と大量の野菜で唐揚げ&天ぷらという油にまみれた夕食作る。無茶苦茶大量に揚げたので食事始めた時刻が22時とかだったのだが、シエスタ文化圏入ったチリではこのくらい普通ですよ。

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 タコス頂く 

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 どうせ夜更かしするし


 翌日。余りにも夜更かしやりすぎた午前4時過ぎの就寝なのだが、8時半には目が覚める。日が出るとね、暑くて眩しくて寝てらんないのであり、全くもって健康的な生活だと思う。

 作業的なことは昨日一通りやり終えているため、今日はひたすらダラけるというかPCの前にてネットしながら情報収集して遊ぶ。マジで1日何もしないために昨日大量の天ぷらを作ったのであり、朝・昼食を昨日の残り物でやり過ごし建物内から不動の構えである。

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 キャンプ場だけどもWi-Fiあるので

 ネット作業に精を出しつつ、考えてるのは今日の夕食について。物価の高い頭かの町で如何に安く満足できる食事を作るかと考えると、これはもう鶏肉を使ってどうにかするしかないのであり考えた結果が親子丼と鳥&トマトスープなのである。

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 貧困な発想とか言うな


 さらに翌日。そろそろ元気になってきたことだしアタカマの町を出発すべく準備を始める。というのもこの先も数日間に渡って無補給地帯が続く道を走ることになるため、食材の大量購入が必須なのである。

 各種野菜に保存できる食材を求めて幾つもの店を巡って回る・・・ような面倒はかけないけれど、それでも小さな商店を2つも3つも巡るのは面倒ではある。素直に大型スーパーを作って欲しいものですが。

 買い物を終えた後も町中で観光とかするワケもなく。前述の通りアタカマの町は観光に特化した町の作りであるため、お金を持たない旅行者には眩し過ぎるというか立ち寄ることすら許されない雰囲気を感じてしまいまして。

 結局宿に戻って250円のチリワインを飲みつつ遊んでいるのが私に許された行為であるのかと思ってしまう。

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 本日の夕食はグラタンにしてみる

 流石に明日出発する身として今夜はアホな夜更かしもしない。しない代わりにワイン1ℓも飲んでるのであるが、これは乾燥した区域を走り続けて乾いた体に潤いを与える措置なので仕方ないのだ。・・・という苦しい言い訳を自分に記して、明日から走行再開である。

 2017年12月11日(月) 走行距離3km 累計71709km
 2017年12月12日(火) 走行距離0km 累計71709km
 2017年12月13日(水) 走行距離0km 累計71709km
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 宝石の道は海外を走るサイクリストにとって有名だし割と情報も出揃っている土地ではあるが、それでもこうして情報をまとめておいて悪いということはないだろう。ウトゥルンクに登ったサイクリストで日本語の情報を残している人は現状で皆無だし。


 ◎宝石の道

 【基本情報
 ボリビアの南西部に位置する広大な未舗装路区間で、ボリビア国道701号線はアロタの町、若しくはその先から突入しチリへと抜けるまで200km強に渡って続く道である。

 名前が宝石の道とされているが、別に鉱物が豊富に採れるとかそういうことはない。英語ではラグナーズルートと呼ばれるのが一般的で、道中にはメインルートだけでも大小10近くの様々な湖が点在している。ただしそれらは全て塩湖であるため湖の水を直接飲むことはできない。

 高い標高とその独特な景観からチリへと抜ける(又はその逆)ツアーが近隣の町で豊富に開かれており、そうしたジープに乗って2泊3日で観光名所を走り回る車両も多い、割と人気の観光ポイントでもある。

 【特徴】
 ケテナチコの町を除いて人が住んでいる町はない。途中に観光客のためのホテルや国立公園入場施設の職員が滞在する小さな集落がいくつか点在している。これらの多くでレストランがあったり小さな商店が存在している。また自転車旅行者に敷地内でテントを張らしてくれることも多い。

 中央部に位置するコロラド湖の北部に国立公園の入場ゲートがあり、ここで公園入場料150ボリ(約2500円)と安くない代金を支払う必要がある。ただし曜日や時間帯次第では職員がいない可能性があり、この場合は最南端ブランカ湖畔に位置する出口側のゲートで事情を説明し支払いすることが可能。滞在日数は特に制限はない。

 また宝石の道は1本道ではなく、いくつかのルートを選択することが可能である。大まかには数字の8の字をしており、メインルートと呼ばれるのは北西部188kmポストから突入しそのまま一直線に南下するルートである。この場合は必要日数が8〜9日ほど。私の通った回り道ルートでは休養日を含めて12日を要した。


 ◎宝石の道の状況

 【道路状況】
 完全に未舗装路である。それほど距離のない宝石の道において、走破にこれほどの日数を必要とさせるのはほぼ全てこの路面状態の厳しさに起因するといって過言ではない。

 未舗装路と一言にいってもその道の状態は様々で、深砂で全く自転車に乗ることができない場所から、固く締まっておりほとんど苦労なく乗車して走れる場所まで多種多様なパターンを体験できる。したくないけどさ。

 全体的にはコロラド湖以南の道は砂地が減って自走可能な区域が増える傾向にある。このため全体的な難易度では突入して4日目までが厳しく、それ以後は車重が軽くなっていくこともあり難しいと感じることは少なくなる。

 深砂利の道における走行だが、これは走行可能割合が自転車の車重に大きく左右される。総重量が少ないほど自転車に乗ったままでの移動割合が増えるため、とにかく宝石の道を走り抜けたいというだけならば、ウユニなどでツアー会社にこの地を走る車両から決められたポイントで食材をデポしてもらうという方法が取れる。大体150〜200ボリくらいでこのサービスを実施してくれるらしい。

 これ以外に車両が通ったことで生じる路面が洗濯板状に波打つ「コルゲーション」が非常に多い。自転車でこれを乗り越えながら走り続けるのはかなりの労力を必要とし、かつほとんどスピードを出すことができない。とはいえ基本的に車両が走った轍の跡を追って走っていくため、このコルゲーションを避けること=深砂にはまるということでもある。

 ここの車両は割と好き勝手に道無き道を走り回る傾向があり、メインの道以外にも多数の轍があみだくじのように広がっている。こうした轍の中から深砂やコルゲーションが少ない比較的走りやすそうな道を選択していくことが宝石の道では非常に重要といえる。

 【食料搬送】
 南下する場合はウユニの町で食材を揃えるのが最も都合が良い。宝石の道へと突入するにはウユニ塩湖から直接南下するようなルートもあるためこの限りではないが、この周辺で最も食材の充実している比較的規模の大きな町がウユニ意外にないというのがある。

 気温もそれほど高くなく乾燥地帯であるため、生野菜等を長期間常温保存で搬送してもそれほど問題にはならない。ウユニから国道701号線を進む場合には100km弱先のサンクリストバルにメルカドが、更に約50km先のアロタの町に曜日によっては移動式トラックが来て野菜を販売している。

 なおウユニから私の突入した188kmポスト入口へ行こうとすると、速くて丸2日ほどの日数を要することとなる。この区間は宝石の道ほど状況の悪い路面ではないが、それでも未舗装な上に午後から強烈な西風に向かって走ることとなる。なので結果的にこの区間を加算した食料をウユニの町で持ち込むことになる。

 私の場合はウユニで10日分の食料を買い込み、更にサンクリストバルで3日分を買い足す形で宝石の道に突入した。結果的にケテナチコの町でも野菜や米といった主要食料品が補給できたため食材は余ったのだが、こればかりは事前情報がほぼない状態だったので仕方ないかと考えている。

 【補給】
 エディオンダ湖畔のホテル・タイカホテル・コロラド湖畔のホテル村・ケテナチコの町・サラダ湖の温泉施設・ブランカ湖畔のホテルといった場所には飲料やお菓子といった簡単な商品が販売されている。なお上記の全てで無料で飲料水を補給することが可能だが、その品質等においては保証はできない。私はガブガブ飲んでたけど。

 1つ注意点として、エディオンダ湖畔のホテルでは蛇口から自由に水を補給して構わないのだが、ここの水が若干塩分を含んでおり飲めないことはないが非常に不味い。出来ればここに来る前の国道701号線は150km付近に存在するレストランで水を補充しておき、ここでの水は調理用に使うよう心がけ飲み水にしないほうが良い。

 上記の施設で野菜や米・パンといった食材が購入できるのはケテナチコの町のみである。ケテナチコでは水曜日にトラックが食材を運んで中央広場で市場を開いているのを確認している。それ以外の日で野菜を調達したかった我々は宿のオバちゃんに聞いてみたところ、ジャガイモ・玉ねぎ・人参・トマトに関しては備蓄分を販売してもらえた。この他、パンに関しても家で焼いたパンを直接売ってくれたのであり、ケテナチコ自体にパンを販売している店は存在しない。

 良い塩梅に補給地点が散らばっているため、丸3日に渡って水が補給できないという心配がないのが有難い。私は合計で8ℓ弱の水を運んでいたが、この水が完全に消費されたことは1度もなかった。

 あとガソリンについてだが、宝石の道前サンティアゴの町を最後にチリへと抜けるまでガソスタは存在しない。なのだが、コロラド湖の集落でツアーのオッちゃんにガソリンを売ってくれないか?と頼んだら簡単に了承してもらえた。おそらく他の地域でも同様の方法でガソリン入手することは難しくないと思われる。

 【宿泊・野営地点】
 治安的な心配がほぼないため好きな場所で野宿ができると思いきや、この地でテント張るために重要なのは「風除けできる場所があるか否か」という点であるため、好き勝手にテント設営すると酷い目にあう。

 補給の項で記載したホテルは一部値段が高すぎてとても長期旅行者では利用できそうもないホテルもあるが、多くは40〜50ボリ(約650〜820円)程度と良心的な価格なため私は割と利用していた。ブランカ湖畔のホテル以外は何かしら身体を洗うことが可能な設備があるため、砂だらけになった全身の汚れをリセットできるだけでも有難い。

 野営に関しては湖の周辺や景勝地であれば何かしら人工物が設置されていることが多く、そうした物を風除けに利用する形でテントを張ることができる。峠のてっぺんにも石垣が積まれてたりしてどうにかテントを張ったりもしたが、これは自分の中では他に選択肢がなかったからの手段である。設営に1時間とかかかったし、内部も砂だらけでした。


 ◎環境

 【気温】
 割と標高差が大きい地域で、4200mと5000m付近ではかなりの気温差がある。それを踏まえた上でだが、日中は風がなく天気良ければTシャツ1枚でも問題ないほど暖かかった(12月前半)。14時前後の風が強くなってくる時間帯になると気温も下がり始め、夜間は氷点下まで冷え込む日がほとんど。目が覚めたら2ℓのペットボトルが完全凍結していたこともあった。後に聞いたらその日の最低気温は−10度まで下がったとのことで、まぁ真夏の12月でもそれくらいに気温が下がることはある。


 【乾燥】
 特に太陽光が強くて影響の大きい地域であるため、天気によって気温も大きく変わるといえる。これに付随して乾燥度合いが酷いため、珍しく私のお肌もボロボロ剥がれた。それだけなら良いのだがとにかく唇が荒れてしまい、まともに飲み物飲むことすら難儀する羽目に陥ったので、リップクリームを始めとする紫外線対策は必要以上に準備した方が吉。

 これだけならまだしも、道中に全力で自転車を押し続ける状況が頻発するため、潤いを失った両手で力を入れ続けた結果、指先の皮膚がパックリ裂けてしまうことがある。最終的に私は右手3本・左手1本の指が切れてしまい、結構な出血を伴ったり傷口が砂まみれになってしまったりと酷い目にあった。でも水は貴重で洗い流せないため放っておいたのであり、完全治癒するまでにかなりの期間を要した。

 【風】
 決まって14時前後から強い西風が吹く。これはそのまま日没後の20時頃まで続くのだが、その後はピタリと吹き止んで無風状態になるのが不思議なところ。かといって毎日午前中は無風というわけではなく、道中2日ほど朝から風が吹いていた日がある。しかも東風で驚いた。

 この風は相当な強風で、フルパッキンの自転車だと下手すりゃ横風で倒される程の威力であるため、できることなら風が強くなる前に走行終了するプランを建てたいところ。

 まぁ実際には前半戦で30km前後移動しようとすると、14時なんかで走り終えるのは到底不可能で毎日風に体を丸めながら必死に耐えている状況が続いていたのだが。

 【標高】
 通常ルートを進む限りでは5000mすら到達することはない。宝石の道入口が大体4200mくらいで、ここからアップダウンを繰り返して進むことになるのだが、基本的に湖がある場所は窪地となっており標高も下がる。そして湖を過ぎると1ないしは2つくらい峠を越えて再び別の湖へと要項を下げる形をとる。

 ウトゥルンクを除くと4900m強が最高標高となる。全体的に南部の方が標高高くなる傾向にあるが、路面の状態が良くなるため上り坂に対する厳しさはそれほど感じることはない。最もキツいのはオンダ湖からタイカホテルまでのルートを進んだ2日目で、深砂の道に加えて500m近くの上り坂を進むことになる。これは半端なくキツい。

 なおウユニの町の標高は3600m強くらいで、ここから宝石の道まで徐々に標高を上げて入口に移動することとなる。ただし途中で4400近くまで登った後に4200まで下るのであり、釈然としない気持ちがあるのですけど。


 ◎ウトゥルンクの山へ

 【ウトゥルンク山】
 標高6009mとされるボリビア南部の山。特徴なのは、登山口までの道が現時点で一般車両にて到達できる世界最高地点に存在するという点。つまり自転車で行ける世界で1番高い場所ということでもあり、その標高は5780mとされている。

 如何にもサイクリストに人気が出そうな道なのだが、宝石の道メインルートから外れているからか、そもそもケテナチコの町まで行くこと自体が大変だからなのか、意外なほどこの道の存在は知られていない。

 外国人サイクリストが何名かこの山を自転車で登った記録をネットに上げていたが、日本人サイクリストでこの登山口まで自転車走らせた人では最初の1人じゃないかと思う。そうだったら嬉しい。

 現在も活発に活動している活火山でもあり、6000m峰として世界でも容易に登ることができる山でもある。そりゃ登山口から300mも登らず山頂に着けるのだし。

 そんな割と面白そうな条件が揃っている山ではあるが、ここに登山へ来る人はほとんどいない。やはり最寄りの町まで来ること自体が非常に難しい環境にあるからだと想像するのだが、果たして。

 【ケテナチコ】
 メインの南下ルートから外れてコロラド湖から東へ進むと1.5〜2日の距離でケテナチコの町へと辿り着く。宝石の道及び国立公園内に存在する唯一の町であり、まともな補給ができる貴重なポイントでもある。なおアロタの町から南下するルートで進むと、ここケテナチコの町へと来ることになる。

 町中には3〜4つの宿の他、幾つかの商店もあるものの生鮮食料品は販売されていない。私が確認した限りで水曜日の移動トラック市場から野菜やフルーツ等を購入することが可能。

 ウトゥルンクは同じ道を往復するルートであるため、このケテナチコの町で必要ない荷物は宿に置かせてもらう方法を取ることが吉。また私が宿泊したアンデスロッジの宿ではキッチンにガスバーナーがあり自由に使わせてもらえたため燃料の消費を気にすることがなくかなり助かった。

 またコロラド湖のホテルでは電気が貴重でモバイル機器しか充電させてもらえなかったのに比べ、ケテナチコでは24時間好きなだけ充電させてもらえたのであり、これは北部から南下してくるサイクリストにとって地味に重要なポイントだと思われる。宝石の道入ってからエディオンダ湖畔ホテルでも充電できるチャンスはなかったので。

 【行程】
 ケテナチコの町からウトゥルンク登山口までは30km弱の距離となる。この内13km地点まではほとんど平坦な道となっており、その先から斜度にして5〜7%程度の坂道が続く上り坂となる。

 だが前半部分の路面状況は酷いもので全体の4割くらいしか乗車して進むことはできない。これは宿にほとんどの荷物をデポして空身に近い自転車であった状態での話であり、この道を走ろうと思うならガチのMTBでもないと相当苦労することになる。

 対して上り坂に入った後半では路面がやや締まり進むこと自体は難しくない。そうは言ってもガレだったり砂だったりの路面状況で割と厳しい斜度で迎えてくるウトゥルンクの山道はほとんど乗車して登ることができなかった。結局この上り坂は9割以上を押して進むことに。

 上り坂に入ってしまえば1本道だが、そこに辿り着くまでは幾つかの分かれ道がある。特に橋の架かっていない川を渡るポイントがあるのだが、この川を過ぎた所の道で別方向に向かってしまい回り道をしてしまっている。

 早朝に出発すればギリギリで登山口まで日帰りできる感じだったが、これは非常にリスキーな行為であったとは思う。私の場合は偶然にも3人パーティで登ったので、1人が何らかのトラブルにあってもリカバリすることが可能な状況にあったが、このウトゥルンクの道は全く車両が通過しない道であるため時間的な余裕を持っていないとトラブル対応できなくて非常に危険である。

 テントと食料を持って登坂する場合5100mあたりに風が遮れそうなポイントがあり、久保田さんはそこにテント泊して翌日に山頂アタックをしている。

 なお帰り道ならば基本的には乗車して走行することが可能。途中でメイン道でない道をショートカットしたりもしてるのだが、そうした路面状況に難ある道でも下り坂だと苦とすることなく移動が可能。

 私の場合は6時45分にケテナチコを出発し、14時15分に何とか登山口へと到着できた。ここから引き返して再び町へと戻ってきたのは18時半を越えてたのであり、大体19時に完全日没してしまうこの時期を鑑みてもギリギリのペースであったことが分かる。

 また体力的にも相当厳しい行程となっており、特に私は帰り道の平坦区間に入ってからヘロヘロで倒れ込んでしまうのではないかと思うほどに消耗していた。テントを持ってなかったため、とにかくケテナチコまで戻らなければ!という気力で移動していた節があり、個人的にウトゥルンクへの日帰り移動はオススメしない。

 ◎まとめ

 ということで事前情報をきちんと調べてメインロードを進んでいく分には無茶苦茶厳しい道ではないと私は考える。もちろん必要以上の体力・気力が必要だし、簡単ではないのだけれど。

 ここの道に来る人はそれまでにもアンデスの山々を時間かけて走り続けているような人が多いし、そうした道を走っている関係で高度障害で悩まされる危険は少ない。南部から北上してくる人は知らんけど。

 また動物的な危険がなく、ツアー車両が多いため行き倒れてしまう可能性がほとんどないこともあり、とにかく時間をかけてゆっくり進んでいけばその道中に広がる美しい湖や不思議な奇岩、たくさんのフラミンゴを堪能することができるため、走行における満足度は非常に高い。

 南米における最難関の道とされているが、まぁボリビアの僻地なんてのは何処も似たり寄ったりのクソ道路だったりするのであり、そうした道の中で心から感動できる風景を誇る宝石の道はなんかはむしろ「此処に来て良かった」と思える、素晴らしい来訪するに値する場所だと言えなくもないと思うのです。
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 ボリビア33日目&チリ1日目 ブランカ湖畔〜サンティアゴから北に約1200km サンペドロ デ アタカマの町

 宝石の道12日目にして最終日。というか私の中で宝石の道は昨日で走り終えており、今日はウイニングランというか考えているのはチリに着いて何を食べようかということばかり。

 というかここ3日くらいの私と沖野君の会話なんて、その8割が「チリに着いたら○○を食べたい」という本能に忠実すぎる内容で占められており、自転車旅行者なんてちょっと食事上の悪い土地が続くとそんな程度なワケですよ。

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 テント泊でないと出発準備が楽なこと

 国立公園の事務所でチケットにスタンプ押してもらい、アッサリと公園を後にする。高額な入園料だったのに、出て行く時にはチェックすらスルーしかねない適当っぷり。ボリビアのね、そういう適当な仕事っぷりは嫌いじゃないけどトラブル起こりそうな気がして怖い。

 地味に200m近く登らされつつも見えてくるのは僻地にポツンと佇むイミグレーション。ロケーションとしては最高にゾクゾクさせるのだけれども、その建物周りに30台くらいツアーのランクル車が止まっているので雰囲気台無しなのだが。バーベキューは他所でやってほしい。

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 宝石の道、完全終了

 職員がナチュラルに「手続き15ボリ(約250円)ね」とかボッてくるのであり、現状で(冗談ではなく)1ボリすら持ってねーよと言い返したら、あっさりスタンプ押されて返却されるワケですよ。そういう適当な仕事っぷりは嫌いじゃないけども!

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 とにかくチリへと入国だ

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 路面からもチリのレベルの高さを感じる

 しかしチリ北部の入国には1つ問題がある。というのも45kmほど先のアタカマの町まで移動しないと入国イミグレーションが無いのだ。チリにしてみれば無人地帯にイミグレを作る無駄を省くと利口な選択なのかもしれないが、自転車乗り的にはここから東進してアルゼンチンへと進みたい場合、無駄な往復90kmを走らされることとなる。

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 しかも2000m以上の超ダウンヒルの道

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 景色が良いのが何というべきか

 ブレーキをかける必要もない緩やかなカーブは時速60kmとか出るのであり、これまで宝石の道ではその1/10とかで移動してたのにギャップの大きさに驚いてしまうわ。

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 あっという間にアタカマへ

 イミグレーションには1人も待機している職員いないレベルの適当っぷりの割に、手荷物全てをチェックするという気合いの入れように少々驚いた。手荷物チェックなんて行った国は既に思い出せないほど前なのだが。

 集合場所として決めてたキャンプ場にネット設備がないとのことで、どこか適当な場所を探して町中フラついてると一昨日出会ったサイクリストが声かけて来て、そのままオススメの場所を紹介してくれるとか旅行あるある。

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 5000ペソ(約870円)はアタカマで考えれば激安

 とりあえず食べたい物ということで、毎度代わり映えしないがトンカツを作るのだ。肉を揚げた食べ物が美味くないわけないのであり、とにかく物価の高いチリでは気軽にレストランなど行けるはずもなく自炊に精を出そうと思う。

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 久保さん来るまでここでゆっくり滞在ですな

 2週間ぶりに触れるネットは人を一瞬でダメにするようで、気づけば時刻は深夜2時。まだ自転車の整備も大量の洗濯物も、宝石の道でぶっ壊れた数々のアイテムの修理や新規購入の目処すら全く立っていないというのに。時間というのは残酷である。

 2017年12月9日(土) 走行距離54km 累計71706km
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