自転車ときどき世界1周

2018年03月

 チリ51日目 道路脇〜コジャイケから南南西に約190km コクランの町

 アウストラル街道20日目。素晴らしき快晴の空。両手を上げてすぐにでも飛び出したい気持ちだが、晴れてるってことは早朝猛烈に寒いということでもある。

 物価の高いチリでは基本3食自炊であり、つまり水作業が必要だということが言えるのでして。アウストラル街道で水に困ることはほぼないが、氷点下になろうかという気温で川の水使って食器や洗濯物洗うのは相当キツい。

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 地形的に朝日が差し込まないのもあって

 寒さに震えるというよりも、四肢の末端が痛いという状況。何かしらの作業する時ってのはグローブなんぞ付けてられないため、冬キャンプってのは朝の起きぬけが1番寒いと思う。

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 やっとこ10時前に出発

 昨日の湖とは異なり本日は流れる川の側を走る道。同じような土地の水ではあるけども、ここら辺の水は揃ってエメラルドグリーンの独特な色合いをしてるのが面白い。雪解け水が流れ込んでることが原因とは思うけど、こういう景色を前にすると「空の色が湖に落ちてきたんだよ」みたいな回答をするのが正解。ロマンチストなのです。

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 自転車乗りなんて大体ロマンチストだ

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 道も同じようにアップダウンばかり

 遠目に見える山々がほとんど雪化粧するようになると、いよいよパタゴニア深部へと足を踏み入れた感じがして嬉しい。実際のパタゴニア地域って山岳地帯は一部だけで、多くの場所は風が吹きすさぶ大平原地帯なのだけども。このイメージを植え付けたのはアウトドアメーカー「パタゴニア」のロゴがフィッツロイであることが大きいと思う。

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 なお北部が森林地帯ということは来てから知った

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 何というか作り物みたいな景色と思ってしまう

 それは悪い意味ではなくて、流れる水が現実味を帯びていない色から来る違和感が原因だと感じる。私はそうした景色を写真や映像ではない自分自身の目で見てみたかったので、この景色を本当に嬉しく思っている。

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 できれば坂道登らず見たいけど

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 ここまで自走してくるから良いのだというのは分かる

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 景色に見とれて何度立ち止まったことか

 でも地味にアウストラル街道で、チャイテン手前の峠道以外は自転車押して登ったことはない。斜度のキツい坂は短いし、標高の高い峠は緩やかなので案外自走できてしまう。

 要するに未舗装路とは言っても路面の状態が良いので、速度を気にしなければ脚力ある人なら自走は難しくない道なのだ。南米におけるもう1つの自転車が走りたがる「宝石の道」と難易度が大きく異なるのはこの点が大きい。

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 あと補給が簡単なのもポイント高い

 そうした点からアウストラル街道は「自転車で楽しく走る」という点で大変に優れた道だ。まだ走りきってないけどそう断言できるほどに。そりゃ多くのサイクリストが走りたがるワケだよ。

 50km走らずでコクランの町に到着し本日終了。アウストラル南部における最大の町とのことで、コペックではないペトロブラスというもう1つのガソスタがあったことが印象深い。

 チリのガソスタといったらコペックとシェルの2大巨頭なんだけど、シェルって人口多い地域しか進出しないからね。そこらへんコペックはチリ国内メーカーだけあって、人口過疎区域のガソリン供給を一手に担っているイメージだったので。それだけでもコクランが大きな町だということが分かるな。

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 パルケも立派

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 ビール+ワインの豪華夕食 

 入ったキャンプ場は利用客私1人で嬉しかったのに、後から続々と他の客が来てしまい残念。人が多くなると騒がしくなるのが常なので、夕食済ましたら早々にテント内へと移動し就寝。久しぶりに星がよく見える夜だ。

 2018年3月24日(土) 走行距離51km 累計76906km
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 チリ49・50日目 トランキーロの町〜コジャイケから南南西に172km地点 道路脇

 アウストラル街道18・19日目。雨でした。お休みです。やる気が出ないのです。


 翌日。晴れました、出発です。心の底から自転車を楽しめるという気がします。安い人ですね私。

 というか昨日も断続的に晴れ間が見えたりしたのだが、一旦走らないと決めてしまうと出発決心が鈍るというか。ちょっと晴れ間が見えるからと気持ちグラついてテント畳もうとすると「それはフェイントDAZE」とばかりに雨が降ってきて翻弄されてるワケでして。傍目に見てたら可愛いかもだが、本人は割と大真面目に「滅びろ」とか思ってる。

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 朝日が眩しいね

 湖沿いの町なので湖面に沿っていけば平坦路が続くのでは・・・という期待は一昨日のツアーでとっくに砕かれている。マーブルカテドラルの上を通っている道路を走るため、坂道登らされるのは仕方ないにしても町出て50mも走らず上り坂がスタートするとは思いもしなかった。

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 以後ひたすら湖沿いのアップダウンが続く

 1本1本の坂は大した高さではないのだが、割とキツめの斜度で際限なく上り下りさせられるため割と大変な道。丸2日も休息取ってるので余裕ありありの走行だけど、これ雨の中だったら早々に切り上げてテント張ってフテ寝しててもおかしくない。

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 良い色してる湖

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 あんまり木々が生えてない

 というか緑の深さという意味で、コジャイケ以北のアウストラル街道の方がすごかった。多くのサイクリストがアウストラル街道は南に行くほど景色が素晴らしいものになると言ってたが、私は今のところ北部の方が好きだし素晴らしいと思う景色が多かった。

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 でもこんな色した湖はなかったが

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 なおチリで最大の大きさを誇る湖なのだそう

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 道に釣り合ってないやたら立派な橋を渡る

 お昼休憩あたりから青空は雲に隠され曇天模様の走行に。まぁ雨さえ降らなければ御の字だと考えて、天気を信じて先へと進む。信じられなかろうと進むしかないのだが。

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 そんなにロープで遊びたいなら消防勤めれば良いかと

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 暴走族(チリ)

 ところで今日の道は最初から最後まで地面がコルゲーション(洗濯板状の凸凹)で波打っていた。ボリビアとかのそれと比べればそこまで凶悪ではないものの、この道は地面が固くて自転車が乗っかったくらいじゃコルゲーションの凹凸がビクともしない。

 つまり小さな段差をひたすら乗り越えながら走っているようなモノであり、手が疲れるとか色々あるけど自転車への負荷が大きそうで、それが1番のストレスだ。

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 ややキツめの坂の上、ここが景勝地なのだが

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 見事に見晴台が壊れてるというね

 70km弱のポイントにベルトランドという小さな集落があるのだが、ただでさえ物価の高いアウストラル街道でも群を抜いて値段の高い場所であった。ワインも2ℓ入りしか販売しておらず、アルコール無しの夜が確定である。僻地だから仕方ないのか。

 町抜けて500mほどのポイントが、他のサイクリストに教えてもらった極上野宿ポイント。広いし川すぐそばだし焚き火やりたい放題という良物件。残念ながらこの辺は割と雨が降り続いてたらしく、木が湿ってて焚き火できなかったけど。

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 少しでも地面が乾いてそうな場所探す

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 普段通りの夕食(ワインなし)

 最近は真っ暗になるのも20時過ぎと早くなってきた。それは十分遅い時間だと言われるかもだが、チリはその分朝明るくなるのが遅いので。日照時間を7時半〜19時半とすれば約12時間なのであり、確かに3月後半の平均的な数字だ。

 朝早く起きるのが嫌でこうしたタイムゾーンに設定したのだとすれば、チリ人こそが南米で最もラテンの気質を持つ国民だと言える気がする。

 2018年3月22日(木) 走行距離 0km 累計76784km
 2018年3月23日(金) 走行距離71km 累計76855km
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 チリ48日目 トランキーロの町

 アウストラル街道17日目。私は割と岩とか洞窟が好きなタイプであり、このトランキーロにて実施されているマーブルカテドラルのボートツアーは結構楽しみにしていた。

 自分の足で行けるなら恐らく自力で行っただろうが、湖からボートで接近するタイプの洞窟なので、ツアーに頼るより他に方法がない。そういうアクセス困難な方がワクワクしてしまうのもまた確かだけど。

 昨日予約した際には私1人しか記帳されておらず、ツアー最低施行人員の6人なんて本当に集まるのか不安だったけども、訪れてみればツアー最大人数の10人を超える人が集まっており、2艇のボートに人員ふり分けるほどの盛況であった。

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 早速乗り込んで出発

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 久しぶりの一眼大活躍

 15分ほど離れた場所にある洞窟ポイントへ。思ったよりも小さなそれは、私が想像するような洞窟奥深くへ入って動き回るモノではなかったが、それでも外から入り込む太陽の光が大理石に反射し光って綺麗。

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 こういう場所って写真撮影するのが本当楽しい

 意外に水深は浅く、エメラルドグリーンの色した湖面を覗くと底まではっきり見える。観光地化された湖なんてその透明度は残念になるのが当たり前の状況で、よくもまぁこれだけ透明度高い水が残っていると驚くわ。あんまり意識ないけれど、トランキーロの町って超が付くほどチリでも抜群に田舎でアクセス困難な土地だった。

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 そう考えると貴重な経験してるわ

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 首都のサンティアゴから自転車で1ヶ月もあれば余裕で着きますよ

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 そんでツアーは1時間半だけども

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 これ1本だけが目的だと流石に費用対効果が悪すぎるな

 ツアーなので船頭がいろいろ説明してくれるワケだが、不思議と彼のスペイン語は分かりやすくて何言ってるのか大体把握できた不思議。説明能力の高い人って色んな情報を言葉もそうだが他にも散りばめているのかと思った一幕。

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 恐らくやっつけ英語説明が混じってたからだけど

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 犬の頭・・・らしい

 本当に目の前10cmまで寄れる・・・というか洞窟内では屈まないと頭をぶつける狭さだったりして、そういう意味で直接的な体験が楽しめる良いツアーだったと思う。これでホステル1泊分の値段と思えば私は十二分に楽しめました。

 ただし帰り道は風上に向かって移動したため、波しぶきで全身ビッショビショになったけど。

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 楽しかったです

 このまま午後から出発するというのも有りとは思うが、もっとアウストラル街道をゆっくり楽しみたいという理由で却下。そんなに慌てても仕方なかろうし、午後から天気崩れるし。

 もっと言えばアウストラルゴールの町から就航するフェリーは3〜4日に1本のペースであり、逆算して進まないとゴールしてから3日近く待機しそうな雰囲気でして。ここで出発する意味が薄い。

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 キャンプ場のキッチンスペースでネット

 時間的余裕があるとフリースとかの大物衣類を洗濯するのだが、洗い終わったところで雨に降られるのは何なのよ?走行してたらと思うとむしろ運が良かったとも言えるわけだが、これじゃあ洗濯物が乾きません。

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 とにかくじゃがいもありゃ良いんだよ!という夕食

 さて明日の降水確率は50%と難しいところ。まあ私が出発するか停滞するかも2択なのであり、ある意味同じようなモノだと思うのだが。どうなるかは神のみぞ知る・・・なんてのは嘘であり、私のやる気次第だけども。

 2018年3月21日(水) 走行距離0km 累計76784km
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 チリ47日目 道路脇〜コジャイケから南南西に約130km リオ トランキーロの町

 アウストラル街道16日目。朝から猛烈に寒かったのは放射冷却現象が原因か。温度を対価として提供した代わりに青空が広がる等価交換。嬉しいけれど、寒くて動きたくないレベル。

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 洗濯物が凍ってたので氷点下だったのは確実

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 綺麗だけど寒い 

 ここまで気持ちのいい青空が広がったのはチャイテンに到着する日以来のことで、気持ちとしては早く出発したいのだが寒さで体が動かない・・・というか動きたくないというべきか。

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 走れば暖かくなると信じて出発

 ちなみに昨夜の野営地点は峠道の途中である。まぁ大した上り坂ではないし、未舗装路とはいえかなり整備された道であるこの周辺では走行するのにそれほど苦労はない。

 そんなのより厳しいのは下り坂なのであり、流石に今日は冬用装備でタイツを履いてる私だがグローブはしっかり穴開きタイプだったりして、日陰の中で下り坂走ると指がちぎれるかと思うほど冷たく痛い。

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 写真撮りたくても手が動かないほど

 そんな環境ではあるが、ダートの路面からふと視線を上げれば山頂に雪を被った山々が佇んでおり、思わず見とれてしまう美しさ。そんで道のギャップにタイヤはまって大慌てになるんじゃ駄目だけども。

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 登りたくなる

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 有名な自転車乗りの野営ポイント

 ちょいちょい急斜度のアップダウンが登場するが、基本は平坦で川沿いを進む道。アウストラル街道はその多くが未舗装路で走行大変だとか色々聞いたけど、このレベルで整備されてる未舗装路であれば恐るるに足らず。速度にして舗装路の8割で走れる未舗装路なんて「素晴らしすぎる」の評価が下されますよ。

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 ぺルーやボリビアなんてそれはもう

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 ついつい写真撮ってしまう景色

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 ひゃっはー

 暖かくなってくれば唯一の残念ファクターである「寒さ」という問題も解消されて、いよいよ完璧なコンディションに。走ってることが気持ち良いと感じさせる道は、自転車旅行冥利に尽きる。

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 湖が凄い色してる

 結局道中の苦労もほとんどなくリオ・トランキーロの町へと到着する。恐らくアウストラル街道の中では観光地として最も有名な町であり、氷河の上を歩いたり洞窟内をボートで見学したりとアクティビティが盛んだ。

 私も割とここの洞窟クルーズを楽しみにしてきた人であり、キャンプ場にチェックインした後ツアー会社へ申し込みに行く。

 余談だがツアー会社近くのキャンプ場に行った際、洞窟ツアーに関して「今から最後のクルーズ出発するよ!明日は雨だから今行かないと損するよ!」とかやたら営業かけてきたのであり、私はこの手の考える暇を与えさせない手法で迫ってくる営業が大嫌いである。ツアーもそうだが、そうしたキャンプ場には泊まりたくもない。

 結果として明日の天気は晴れるみたいだし、その後にクルーズに出ているボートを2艇は見かけた。

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 なお泊まったキャンプ場でマテ茶をご馳走になる(3杯)

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 町中でも最近は夕食がパターン化してるな

 こんな天気が毎日続けばアウストラルはもっと楽しい道なのに・・・とか思う一方で、雨や未舗装路が多い道だからこそ、こうした天気に感謝し喜んで走れるのかもしれないとも思う。普段が悪環境だと「普通」に感謝できるようになる法則。

 2018年3月20日(火) 走行距離75km 累計76784km
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 チリ46日目 道路脇〜コジャイケから南西に70km地点 道路脇

 アウストラル街道15日目。猛烈な風は良いとして、起き出して朝食の準備してる途中で雨降ってくるとか勘弁してほしい。すぐに降り止むかなと待機するも、お昼になっても一向に天候回復する様子を見せないでござる。

 次の食料買える町まで丸2日かかるとして、今から出発するとかなり厳しい行程となってしまう。しかも雨天走行。

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 完全に読み誤った

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 道路から見えないのが幸い 

 そんな無理したくも頑張りたくもないのであり、仕方なくセロ・カステージョの町まで戻って食材調達し明日改めて出発することにしようと思い始めた12時。このタイミングで晴れ間が出たと思ったら、一気に青空広がりおった。

 どうするべきか悩んだが、良い天気なのに走らないという選択肢はアウストラルにおいて考えられない暴挙なのであり、あたふたとテントを畳んで出発準備に取り掛かる。

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 なおテント内で読んでた本は「パタゴニア」

 セロ・カステージョ以降は再び未舗装路へと戻り、それだけなら構わないのだがキツめのアップダウンも帰ってきたのは困り者。久しぶりに後輪が空回りする感覚にバランス崩れないか不安になりつつ坂を登る。

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 山は雲がかってるのがちと残念

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 やっぱり晴れてこその自転車だと思う

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 湖のようで川 

 幾つかの峠を越えてしまうと、湖と言っても差し支えないほどの横幅となった川に並行して進んでいく。完全平坦路な上に道中には野宿に適したスポットが盛りだくさん。こう言う景色を見ると、この地域の緑の豊かさを実感する。

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 路面状態も悪くない

 後半になると川から離れ、西側へ進んでいた道は再び南へと方角を戻す。同時に峠越えが始まるのであり、別に構わないけどわざわざ坂道登らせるのならもっと河口まで進ませるとか、若しくはカスティージョの町から直接南下させるとかあったんじゃないか?中途半端に40km近くも西へ進んだ理由は何なのん?

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 この山を気持ち良く見るため・・・かな

 出発お昼過ぎだったこともあり、18時半まで走行続けてようやく走行終了とする。これくらい距離走っておけば、まぁ明日町に到着するのはまず大丈夫という目算である。

 別に予備の食材持ち運んでるので1日程度予定が合わなくとも全く問題なのだが、個人的にパスタを2食3食続けて食べるのが嫌なのだ私は。できることなら1日の終わりはそれなり程度に食事の体を成した食べ物が良い。

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 それなり

 そんでもって近くに川があって体や服も洗えれば尚よしなのだが。アウストラル街道だとこうした条件に合致する野営スポットが割と簡単に見つかることもあり、思わず「もうちょっと走れば完璧な野営地あるかも!」とズルズル走ってしまいかねない。ちなみに今日は完璧なスポットでしたが。

 2018年3月19日(月) 走行距離50km 累計76709km
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 チリ45日目 コジャイケの町〜コジャイケから南に63km地点 道路脇

 アウストラル街道14日目。買い物も済ましたし、ここからはアウストラル街道も後半戦である。噂に違わぬ雨っぷりで、なかなか先へ進めなかったりレインウェア着ての走行を余儀なくされたりとしているが、今日は朝から気持ち良い青空が見える天気。

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 張り切っていきませう

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 !

 アウストラルっぽくない緩やかな上り坂で徐々に標高を上げていく。特にコジャイケ周辺は森林から草原へと景色も変わり、遠くまで見渡すことのできる丘陵地帯という印象が強い。

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 景色は良い・・・けどさ

 この手の景色はアメリカ大陸でいくらでも味わうことできるというか、むしろ日常的な光景なのでして。アウストラルに入って何に感動したって、その森林地帯がいつまでも続いていることに感動したのだ私。

 これは特に砂漠地帯を何ヶ月も走り続けてきたサイクリストだからこそ強い喜びを感じるというか、やっぱり滅多に見ない風景に出会えると嬉しいもの。単純に緑の豊かさという点においてなら、日本はまったく負けていないと思うし。

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 もの凄い追い風で進む進む

 風が強くて有名な場所はパタゴニアでも南部の平原地帯なのだが、ここいらでも十分に強風だと思う。基本的には北からの風が吹くため楽して走ってる私だが、時おり北上しているサイクリストに会ったりすると同情を禁じえない。

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 途中から右に曲がって追い風じゃ無くなったが

 午後からは明らかに山の合間を通る道へと突入していく。アウストラルでは最も高い標高まで登らされるということで覚悟していたのだが、本当にヤバかったのは1本目の峠を越えた後の下り返しだったけど。

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 ラグーナ・ベルデって宝石の道にも同名の湖あったな

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 そんなに危険な道なのん?

 実際のところ、坂自体は全く緩やかで問題ないのだが、前述の強風が山に当たって跳ね返るのか不規則な方向から襲いかかる。1回ハンドル支えきれないほど強い横風に煽られて、右車線の中央からガードレールまで押し出されてしまった。

 ガードレールなかったらこの寒空で川へとダイビングでしたよ私。

 坂を下りきるとピタリと風が止み、750m地点から2本目の峠がスタートする。1本目にも増して緩い坂であり、どこから本格的に登るのか・・・とか思っていたら、最後までこの調子で拍子抜けだわ。

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 峠の頂上っぽくない 

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 国立公園ならでは

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 チリもペルーみたいな道造れるんじゃん

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 国立公園の名前でもあるセロ・カスティージョの山

 上り坂と違い一気に坂道を下らせるのであり、最下点に位置するセロ・カスティージョの町へと到着する。ここでキャンプしても良いのだが、天気悪くない感じなので町から1〜2km進んだ場所で野営。まさかこの判断が残念な結果になろうとは、全く思ってなかったワケではない。

 2018年3月18日(日) 走行距離102km 累計76659km
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 チリ44日目 コジャイケの町

 アウストラル街道13日目。目を覚ましても体が動かないとはコレ如何に?雨の中走り続けたのに休みもせず夜更かししたツケがやって来たということか。

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 結局動き出したのは11時になってから

 動き出してしまえば速い・・・というワケではないのだが、貴重な休日を惰眠だけで過ごしてしまうほど私はのんきな性格ではない。というかコジャイケに来たのは一重に必要な物品を調達するというファクターがあるからだ。

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 他に肉を食べるとか

 ということで買い物へと出発する。アウストラル内では最大の都市ではあるが、みたとこ人口数万程度の規模であり町の中心部は徒歩でも十分歩いて回れる規模である。

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 最初にホームセンターへ

 ため息出るほどの大型店舗ではあるけれど、案外品揃えは悪いというか大した部品の取り扱いがない。この手のお店を見ると、本当に日本という国における物の充実度合いは素晴らしかったのだと実感する。

 とはいえ欲しいアイテムが無くて嘆いているワケにもいかない現実。こんな時にAmazonが使えたら・・・とか思うことは多々あるけれど、実はAmazonってそのサービスを享受できる国は僅か20ヶ国以下なんだよね。たとえ住所があろうと関係なかった南米。

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 とりあえず目抜き通りを物色

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 サザエさんのOPにありそうな・・・

 たとえ情報にあふれた現代であろうとも、こうした土地で何かを探すにゃ自身の足と勘が頼りなのであり、これは平たく言ってしまえば「しらみ潰し」とか「無軌道」みたいな言葉で代用できる。

 そんなローラー作戦が通用してしまう規模のコジャイケの町。アウストラル街道という土地ならではで、アウトドアの専門ショップだけで4つも店舗を見つけたのであり、当然のようにパタゴニア専門ショップがあったのはなんか可笑しい。

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 大したショップじゃなかったが

 なんだかんだで必要な物品は一通り買い足すことができたのであり、これでパタゴニアもなんのその!と気持ちを新たに準備を整える。整えるって書いたけど、実際にはビニール袋から取り出したくらいで何にもしてないのだが。

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 フルーツ盛り合わせ頂く

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 そんで夕食は天ぷらを

 限界まで揚げ物食べて大満足なのである。作ってる途中でつまみ食いしすぎて、いざ食べ始めるとそれほど食べれないという点を除けば何処でも簡単に作れる優秀な料理として重宝している。野菜何でも良いってのは有難いですいや全く。

 ちなみに本日新たに補充したアイテムは「盗まれた箸などを入れる袋」「道中で落としたガソリン予備ボトル」「ぶっ壊れたサイドバックのバックル」「タイヤチューブ」「壊れた予備の財布」といったところ。

 どれも使用道具一覧に載せるまでもない物なのだが、こうした細々とした物品があるとないとでは旅行の快適度合いが全然変わってくるのですよ。小さな物からコツコツと。

 2018年3月17日(土) 走行距離0km 累計76557km
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 チリ43日目 マニグアレスの町〜アウストラル街道中間地点 コジャイケの町

 アウストラル街道12日目。目を覚ますと聞こえる絶望の雨音。何だかんだ今までアウストラル街道走行日で朝から雨に降られた日は無かったのだが。私の運も尽きてしもうたのかと嘆きつつの朝。

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 朝食はキッチンのある小屋で

 雨降ってるなら停滞して翌日出発すれば良いのだが、大都市コジャイケにはチェーン店のスーパーが存在しており、つまりは物価高いアウストラルにおいて比較的安価に色々な商品が購入出来る唯一無二のポイントなのである。

 ここに合わせて各種調味料からボディソープまで計画的に使い続けてきており、ほとんど全ての消耗品が枯渇している状態でして。なにがなんでも今日中にコジャイケにたどり着きたいそんな気持ち。

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 なので出発しますとも

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 ちゃんと三脚使って撮影しろ

 上下にレインウェア着るのは仕方ないとして、こういう天気だとアップダウンの連続は非常に大変だ。上り坂では暑くて下りでは寒くなるのがレインウェア。アウストラル街道という地形にでは平坦路は非常に稀な存在なのであり、何かもうどうしたもんやら。

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 10kmちょいで分かれ道

 一方は短くて未舗装の峠道、もう一方はその逆の特徴となっており、雨で未舗装路走らされるのはゴメンなので遠回りルートを進むことにした。峠登っても景色見えないだろうし。

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 とはいえこっちの道も細かなアップダウンの連続

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 とりあえず雨雲どっか行け

 最近の昼食スポットであるバス停にて昼食を済まし、後半戦になってようやく天気が回復してきた次第。朝の時点で徐々に天気が良くなるという情報掴んでいたのと、道路が完全アスファルトだったことが出発の気持ちを後押ししてくれたのであり、ここからが本番ですよ今日の自転車旅行は。

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 今までは・・・助走みたいな?

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 すげぇ!空が青い

 遠回りルートは山を迂回するためひらがなの「く」の字みたいな形で南下していくのであるが、左右に切り立った崖を眺めながらの走行は晴れているとその頂までハッキリと目視できて面白い。私は割と山あいを走る道が好きみたいだ。

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 ここから峠を1本越えていく

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 トンネル

 結構な期間海外を走ってるつもりだが、未だ異国でトンネル通った数は日本1周と比較して1/10以下である。まぁトンネルなんて側道なくなるし危ないしでメリット1つもないギミックだと思っているので全然構わないのだけども。余りに珍しいのでついつい写真撮ってしまったりはする。

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 ほぼ頂上で朝に別れた道と合流

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 パタゴニアの風力発電はさぞや良い働きするでしょうよ

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 ちょっと待て、コジャイケの付近ものすごく天気悪そうなのだが

 峠の坂道下りきったらゴールと思いきや、キッチリ登り返されて町中到着である。フラフラ走り回っていたら先の雨雲が本気出してきて雨降らし始める。慌てて近くのホステル兼キャンプ場へと逃げ込みチェックを済ませて一息つくと降り止んでるとかね。弄ばれてるな。

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 とりあえず鶏じゃない肉とビールとワイン

 とりあえず色々買い物するため明日は1日休養日。これで明日の天気良かったりしたら浮かばれないというか、残念すぎると思わずにはいられないのだが、見上げる夜空には星が瞬いている。

 2018年3月16日(金) 走行距離91km 累計76557km
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 チリ42日目 アメングアルの町〜コジャイケから北に約50km マニグアレスの町

 アウストラル街道11日目。ネットで調べた降水確率は100%だったが、昨夜ホステルのおばちゃんが「明日は今日より良い天気よ」と言ってたので割と晴れるんじゃないかと思ってた。

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 流石です

 とはいえ起き抜けには雨が降ってたので、薄氷を踏むような綱渡り的状況であることは違いないが。目を覚ました時には「今日は止めちゃおっかな」って思いかけたし。

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 お世話になりました

 昨日に引き続いて虹が出ている景色を眺めつつの走行開始。でも虹って現象は雨が降った後とかでないと出現しないのであり、美しさの裏側には常に雨に降られる危険をはらんでいるのが怖いっちゃ怖い。恐れてばかりではこの時期のアウストラルは何時までも移動できないけれど。

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 路面は濡れてる

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 でもまぁ山は綺麗だし道も楽しい

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 青空を眺められることに感謝だな

 ちなみにこの青空だが、左右に広がっている山々が上手いこと雲を遮って作り出している絶妙な状況である。右見ても左見ても雨雲が広がっている空は、しかし上に太陽を覗かせているのであり、私の日頃の行いの良さが存分に発揮されてる結果なのだとしたい。信じることは自由だ。

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 あと今日は追い風も強くて走るの楽チン

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 割と平原地帯も多いなこの辺

 この調子ならイケるとこまで走り続けちゃろう!と意気込んでいたのだが、お昼休憩を境に一気に悪天候急転直下。14時過ぎにマニグアレスの町へとたどり着き、とりあえず様子を伺うも降り始めた雨は勢いを増すばかり。

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 こりゃ駄目だわ

 やる気無くしたためそのままキャンプ場へと移動し本日走行終了である。まぁ最初から天気が崩れたらこの町で終了しようと目論んでたので予定通りっちゃそうなのだが。

 目の前の急変する事態に対して臨機応変に対応する・・・とかそういうの自転車旅行に望んでないからさ。ただ気ままに走って疲れたらテント張って休み、お腹が空いたら飯作って食べる。そういう本能に根ざした旅行ができると思ってたアウストラル街道。

 実際には常に天気の状況を気にしつつ、疲れてなくともテント張って休み、お腹が空かずとも飯は食べてるしワインも飲みまくり、というか遊びまくりの現状況に「こんなハズじゃあなかった」とは言いません流石の私も。

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 寒いと煮込み系の食事が欲しくなる

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 キッチン小屋の中なのが有難い 

 でもまぁ今の私が細やかに願い事をするならば「明日は晴れますように」みたいな可愛らしいことを祈る前に「肉・肉が食いたい!それも鶏じゃなくて豚とか牛の肉が!」とか煩悩丸出しの欲が出てくるのですが。

 物が少ないってことは、工夫の余地が生まれるとか色んな解釈ができるかもだけど、とりあえず食事のレパートリーが減る。ということは覆せない事実なんだと思いつつ。

 明日到着予定のコジャイケで何が楽しみって、大型チェーン店のスーパーがあることが最大の楽しみ。

 2018年3月15日(木) 走行距離63km 累計76466km
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 チリ41日目 プユワピの町〜コジャイケから北に約90km アメングアルの町

 アウストラル街道10日目。目を覚まして屋根を叩く雨音がしなかった時の喜びは意外と大きい。私はそんなに自転車乗りたかったのか?といえば、「とにかく外に出たかった」という感覚が心情的に強い。

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 青空が眩しいね

 ウッキウキで出発準備し、他のキャンパーがようやく起き出したタイミングで出発である。なんだかすごく早い出発をしたように思えるが、普通に9時過ぎで皆さんお寝坊なだけですよ。

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 雰囲気の良い町だった

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 ガードレールを木製にしてる場所が多いアウストラル

 しばらくは湖沿いを進む道。途中で土砂崩れでもあったのか工事区間があったりするものの、舗装されてアップダウンも少なくて風光明媚でと文句の付けようがない。それでも文句を探してくると「寒い」ってのがあるかな。

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 隊列は縦に組めよ

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 何が見えるん?

 20kmほどで未舗装路に切り替わった道は、しかしそのうちここも舗装工事されるのだろうというのが分かる。これは悪いことではないのだけども、アウストラルを好んで走りに来るサイクリストにとってはそれほど賛同されないのではとも思う。

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 未舗装路の方が景色も映える気がするし

 昼食休憩直後からが峠道のスタートだった。ちょっと雲行き怪しくなってきたのでレインウェア着用したのが大正解。良い感じに雨が降り始めたのであり、上り途中で着替える手間を考えると空恐ろしい。素晴らしい予見だった。

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 峠自体は斜度緩いので大したことない

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 500mで頂上に

 むしろ雨の未舗装路は下り坂が怖いのだ。相当気を使って降りないと重量級自転車が生み出す下り坂の勢いは、時にブレーキの制動力をぶち破って暴走しかねない。

 幸いなことに山の向こう側では雨が降っておらず、かなり良いコンディションでダウンヒルができたため問題なかったけども。

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 坂を下りきったらアスファルトって・・・

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 楽していきましょ楽して

 ちなみに本日の降水確率は大体70%ほど。そんな数字でも案外青空が見えたりするのであり、要するにこの地域は天気予報が余り当てにならない場所だと言える。

 むしろ70%という数字を「チャンスだ!出発だ!」くらいに捉えないと3月のアウストラルでは一向に先へ進めないと考えるべきなのか。

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 よく見る自転車乗りの簡易休憩所(違う)

 アメングアルの町手前に小さな峠が1本あって、まぁ別に大したことなかったのだが下り坂で一気に大雨に降られて濡れ鼠の状態にてゴールイン。何という悲劇。

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 そして到着と同時に晴れ間と虹が

 雨降らないなら野宿で良いのだが、降水確率100%とかいう数字を持ち出されちゃあ私も屋根の下で眠りたい。偶然にも町入口にて自転車歓迎の宿があり、キャンプ場と変わらぬ料金で利用できるため使わせてもらうことにした。チリでまたホステル使うことがあるとは思わなかったよ私。

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 目印 

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 有難いことです本当に

 一応明日は雨降ってても進むつもりなのだけど、できることなら100%をひっくり返して雨降らないでと願うのです。絶望的な確率の向こう側を信じて祈る。

 2018年3月14日(水) 走行距離90km 累計76403km
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