自転車ときどき世界1周

2019年05月

 ドイツ2日目 ドイツ第3の都市 ミュンヘンの町


 こんな狭いバス車内で眠れるワケがないだろう・・・とか思ってたのに、ウトウト寝こけていたようである。人の適応力って凄いな!とか感心したくなる。とはいえ浅い眠りで夜中に何度も目を醒ます感じだったが。


 とはいえ無事に朝6時半、ミュンヘンのバスターミナルに到着した。何をそんなに急いでるのか、荷物を取り出して即出発してしまったバスは後部に括り付けてる私の自転車ちゃんと外したか確認しなかったし。あと15秒自転車取り外すの遅れてたら色々大惨事になるとこだったぞ。


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 そして雨降ってるドイツ


 というか私がここミュンヘンまでバス使ってワープしたのは、ここに住んでる友人の家に行くためである。だから何故にバスなんだよ?といえば、ミュンヘンのフライト予約日が明後日なのであり、その航空便で私は日本にちょっと帰らなければならないのだ。


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 とりあえずレインウェア着て移動開始


 だが3週間ほどでドイツに戻ってくる身としては、フライトに自転車諸々の荷物を積み込む苦労と超過料金が惜しい。ということで友人宅に自転車一式を預かってもらうため、ここまでワープしてきたのである。


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 しかしすげぇ綺麗な町並みだ


 とりあえず友人の仕事が終了する夜までの間に私は自転車ショップへ向かう。この一時帰国は妹の結婚式に出席するためで前々から予定を組み込んでいたのだが、その中で最大の重要案件が「新しいホイールを作る」という点にある。


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 雨降ってなけりゃもっとゆっくり見て回ったのに


 前回アメリカのオクラホマシティで新しいホイール組んでもらったのが2016年の11月。そこから早2年半、距離にして43000km程度を走ったワケだが、既に2代目のリム部分に亀裂が入り寿命は時間の問題となっている。


 とはいえ南米でフルパッキンの自転車旅行に耐えられる頑丈なリムを入手するのは難しいと思っていたため、ここヨーロッパにてリムを新調する機会を伺っていたのだ。日本で新しくホイール組んでも良いが、持ち運びが色々面倒なことを考えるとミュンヘンでゲットするのが1番楽だし。


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 ちなみにリムってのはこの部分


 これにハブとスポークを組み合わせた物がホイールで、スポークの組み方や本数及び締め付け強度等によってホイールに振れが出たり転がり感が変わったりする。このホイールの組み方にビルダーの腕が大きく関わってくるとのこと。


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 下調べしてきたショップがこちら


 店員にビルダーがいるとのことで、私の要望に応えて無茶苦茶強力なリムとスポークで組んでくれるとのこと。なお現在私が使用しているリムは長距離旅行自転車という狭い世界の中で有名な「サンリングル社・ライノライト」という製品なのだが、これはもう日本で取り扱いをしてないし聞いたところでは既に生産中止になってる商品らしい。


 つまりタイヤやバックみたく圧倒的な実績のある商品が無くなっているのが現状で、私もメーカー名と料金を確認して長距離ツーリングに耐えられそうな逸品かを確認してみることにする腹積もり。時間的余裕があるとこういう時に強い。


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 旅行始めてから犬より猫派になった


 ここ以外にも3つほどショップを回ってみたのだが、ミュンヘンでしっかりしたリムが欲しいならGUTEN BIKENが1番かなという印象。やっぱり専門のビルダーがいるお店は同じプロショップでも一段レベルが違うというべきか。


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 どのショップ行ってもマラソンプラス取り扱いしてるの笑える


 一段落したところで友人と会う時間まで図書館へ避難。もっとミュンヘンの町を観光したいとこだけど、雨だし寒くてちょっとそんな気持ちにはなれないし。


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 ドイツは図書館内にゲームあるんか


 その後スーパーにて物価調査してみたのだが、案外イギリスと変わらないのね。西欧の中では比較的物価安と聞いてたドイツだったが、こと食料品に関してはそこまで値段の変化があるワケではないようだ。これは今後も同じような食事メニューが続きそうだ。


 21時。無事に友人と合流しミュンヘンビールで乾杯しつつ。南米アコンカグアを一緒に登山した時以来なので1年半ぶりの再会となったワケだが、この期間を「案外短いな!」とか思う程度には旅行期間が長くなってきた私。明後日、4年半ぶりの日本です。


 2019年5月21日(火) 走行距離19km 累計93378km

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 2019年4月25日~5月19日
 走行日数25日間
 累計走行距離1391km(91925km~93316km)

◎道路
 ヨーロッパの道路は自転車に優しいと聞いてたので期待してたのだが、割とガッカリした。というのもイギリスの道路は基本的に路側帯というものが存在せず自転車が走るの非常にストレスかかる仕様。アルゼンチンと同じくらい側道がない・・・といえば、分かる人には分かってもらえると思う。誰もわかんねーよ。
 ・・・とまぁこれは郊外の話であり、都市部は流石に自転車が走りやすいよう考えられた道路設計が成されている。自転車専用路も数多く通っているし、ロンドンでは横断歩道でわざわざ自転車用の道が歩行者用と別に作られてたの見て驚いたりしてる。
 また一般道路を走る分には自転車に優しくない国だが、自転車における移動というのが確立されているので国中にナショナルサイクリングロードという自転車走行に適したルートが無数に広がっている。車両の交通量が少なく景色の良い走って楽しい道を通れるよう、ちゃんと考えられて構成されてるので非常に有用。曲がり角毎に電柱等にサイクリングロードを示すステッカーで進行方向を示しているので迷うこともない。予算もかからないだろうし日本も同様のサービスやったら良いのにとか思わずにはいられなかった。
 全体的に高い山がなく標高低い国なのだが、特に細い道では鬼のような斜度した坂が出てくることも多くむしろ走るの大変な方の部類に入る国。平坦路を選ぼうとすると主要道路でストレスかかる走行となり、気持ちよく走りたいと思うと幾多の山越えを余儀なくされる、私のイギリス道路はそう言ったイメージだ。なお日本と同じく左側通行である。

◎治安
 非常によろしい。ロンドンみたいな大都市の一部には雰囲気悪い場所もあると聞いたが、まぁ南米から来た身としては何処に行っても「これはヤバい」と感じる場所がなく、というかコレって危機察知能力が鈍ってんじゃね?と不安になるレベル。
 ただ自転車の盗難は非常に件数多いことが伺える感じで、それを示すかのように自転車の防犯レベルは皆さんしっかりされていた。私もロンドンの市内では鍵かけててもロシナンテ号から長時間目を離すのが怖くて博物館などの見学には公共交通手段を利用したという事情がある。
 まぁ出会うにしてもスリとか置き引きとかの軽犯罪だろうなというのが私の感想。そういう事件なら遭遇しても良いのか?というワケではないが、銃の危険をそれほど考慮しなくても良いのは有難い。

◎ビザ・出入国
 世界でも有数の厳しい入国審査があると聞いて戦々恐々の思いだった私だが、ヒースロー空港の入国審査に並ぶ長蛇のハズだった列は5分も待たなかったし、3つ4つの定型的な質問を受けただけでアッサリ入国することができた。
 私はこの入国審査に備えて前日のうちに髪を切りヒゲも剃ったし、滞在先の住所から銀行残高のコピーに出国用フェリーチケットの控え、あまつさえイギリスの訪問予定を記載したカンニングペーパーまで用意してたのだが、これらは全て使われないで終了した裏事情がある。
 ちなみに当初はアイルランドも合わせて訪れようと考えてたのだが、その場合ルートの都合上イギリスに2回目の入国をすることとなってしまい、これはリスクが高いかな?と判断して取りやめている。滞在日数25日程度ではイギリス国内のみで半分も回れたか怪しい結果だったので、訪れる時間的な余裕は無かったと解釈すれば結果オーライと思っているが。

◎交通事情
 非常に紳士的なドライバー多し。道路幅が狭い関係で対向車がいるから反対車線に出られず私の自転車を先頭にして何台も車両が並ぶ・・・という状況が割と頻発したが、無理して狭い隙間を抜いていこうとかそういう運転はしない。あんまり慎重に追い抜きするので、むしろこちらの方が申し訳なるほど。
 交通弱者に対する配慮が出来ているので横断歩道で歩行者が止まっていたら停止して道を譲るし、それは自転車に対しても同様に配慮した運転をしてくれる。そんで「ありがと」と片手を挙げると向こうもサインを返してくれるというね。これがお互いに譲り合い感謝しあう心というモノですよ!何年ぶりかな、こういう感覚味わったのは。

◎特徴
 1、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国という正式名称に示す通り、4つの地域がそれぞれ連合して成立している国である。ちなみにこの国において「イギリス」という単語は存在しない。ユナイテッドキングダムを省略して「UK」若しくは「ブリテン」と呼ぶのが一般的。私はイングランドとウェールズしか走行しなかったが、この区域を通過しても別段何も変化はないのだし同じ国でいいじゃん!とか思うのだが、そこはまぁ人様の国なので。
 2、アメリカ同様一部の単位があまり目にしない基準のモノを使用している。要するに道路の距離はマイル表示なのだがイギリスの看板には町までの距離を通常数字のみで表記するため、この事実を知っておかないと「数字以上に距離ある気がする」というパターンに陥ることになる。
 なおほとんどの道路に道路ポストはないのだが、私が見つけた主要道路に設置されてた道路ポストはキロメートル単位のポストだった。何で統一して使わないのかな?
 余談だが物の重量単位はポンドではなくグラム表記。これはイギリス通貨(ポンド)と混同して混乱を招くからではないかと私はニラんでいる。

◎気候
 まだ4月は寒かったイギリス。最初は自転車旅行に人気らしいスコットランド地域を旅行しようとしていたのだが、これを却下した2大理由の1つが「より北部に位置するスコットランドはさらに寒い」と教えられたため。なおもう1つの理由は普通に時間的余裕がないから。
 イギリス人曰く「今の時期は寒くも暑くもなくて自転車で走るのちょうど良い季節だよね」とか言ってたが、ちょっと感覚オカシイんじゃねーの?と疑ってしまう程度には寒いぞ。気温にして日中でも15度とかそんな程度までしか上がらず、鼻水出すぎて鼻の頭が痛くなったりした。
 ちなみに雲が少ない日ほど放射冷却現象が強烈で朝晩の冷え込みが激しくなる。朝起きて出発する前はフリースの上にジャケット羽織って活動してもまだ寒いという日も多かった。
 ところが5月も中旬に入ると一転して陽光が降り注ぐ暖かな日が続くようになったのであり、まさに今がイギリスの季節の移り変わる時期であったことが伺える。ちなみに暖かい日に彼らはTシャツとかで行動していたのを多数目撃しているが、割と寒さに強い私でも「それは勘弁」と思える寒さだったことを鑑みるに、やっぱり白人とは身体の耐寒性能が違うのだと感じる。
 なお寒さが厳しい地域の先進国なのでカナダ等と同じく公共施設や公衆トイレ、何処のお店でも水道から熱々のお湯が出る。大きな声では言えないが、洗濯したり頭とか洗う時にこれは非常に都合が良い。

◎言語
 まごうことなき英語。ただ学校で習うアメリカ英語ではなくイギリス英語なのでややクセを感じはする。とはいえ他国と比較して自分の意思を伝えられるし、相手が何言ってるのか大体理解できるというのは本当に楽。余談だが英語ができれば世界中どこの国行っても何とかなるなんて大嘘で、少なくとも超観光地以外の英語を第一言語としてない国では英語も全然通用しない。
 そういう意味でも超ど田舎だろうがとりあえず英語が通じるという環境は非常に気が楽だと言える。別に英会話能力なんかほとんどないと今でも思っているけどそれでも。
 ちなみにウェールズ領ではウェールズ語が英語と同様に主要言語となっており、あらゆる場所で2ヶ国語が並んで表記されているのを見かけた。でもまぁ出会った人とは全員英語で会話したし特別問題にはならなかったが。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 割と野宿して見つかってもフランクな感じで「良いキャンプを!」とか言われることが多かったが、流石にこれは町中ではなく郊外で野営してるからだと思う。なおイギリスの町構成として割と郊外に出ても点々と牧場が散見する傾向が強く、町と町との間に全く人が住んでないエリアが続くことは少ないと感じた。国土小さい国ほどこうした傾向が強いのだが、イギリスレベルの規模でこれほど人のいない土地が出てこない国は初めてかも・・・?と思ったけど、我が国日本がそうだったな。
 テント張るのに適した森林地帯は場所によって30km走っても続いたりする一方で、どれだけ走っても姿を見せないというパターンがあるためチャンスを逃すと泣きを見ることも。まぁロンドン周辺でもなければ幾らでもキャンプ場が営業してる国なので、料金さえ厭わなければ泊まる場所が見つからないということはない。なお私が利用した限りで料金は5~10ポンド程度。設備もWi-Fiまで完備してる場所から電源コンセントもない場所まで色々あったが、何処でもホットシャワーを利用することはできた。
 ちなみにFreeWi-Fiは割とシビアな印象で、図書館を除くと大型チェーン店スーパーのTESCOが非常に便利だったが、それ以外では確実なWi-Fiスポットというのはあまりお目にかかってない。喫茶店さえ使えば何処でもネットできるといえるが、そうしたお店利用で安く済ませる代表格のマクドナルドは携帯電話番号を持ってないとネット利用ができない方式をとっているため、私はこのパターンではCOSTAというコーヒーチェーン店を利用していた。速度は何処行っても爆速で使っててストレス一切ない。フランス行きのフェリーで使えたWi-Fiですら十分な速度が出たし。ただ場所によってはアップロードが全くできず、ブログの写真1枚すら上げることができないというWi-Fiもあった。

◎動物
 特に問題となるような生き物はいない。この時期のイギリスで有難いことは「蚊が出ない」という点で、このためテントの入口全開にしながら作業することが全く気にならなかった。寒い国では調理をテントの前室で行うのが常なので、地味にテント内に虫が入ってこないかは気になるのだ。
 犬?この国には私の知ってる「犬」は存在しなかった。

◎自転車店
 当然作業工賃とかバカ高いけど、ちゃんとした部品を取り扱ってるし作業場の備品レベルも高い。ヨーロッパ圏内だからといってカンパニョーロ系の部品ばかりとかそういうこともない。というかSHIMANOばかりでカンパの部品を見たことの方が少ないレベル。
 ロンドンに2回訪れることが分かってたので、この時間を利用してヘタってるリムを新調してもらおうかと考えてたのだが、最初に訪れたショップが人の話をマトモに聞きもしない最低の店だったのでアホらしくなって辞めた。この印象が強いためやや偏った見方をしてるとは思うが、ロンドン市内のお店は総じて値段が高く店員も対応が今一つであり、地方のショップの方が印象良かったイメージがある。
 とりあえずかなり小さな規模の町でも専門的なショップがあるし、町と町との距離も近いしで走行不能になるようなことはまずないだろうというのは分かる。
 とにかく私の場合はヨーロッパでショップに頼る回数は極力減らそうと、フライト前のブラジルでガッツリ気になるパーツを新調したり修理してきたこともあり、イギリス国内ではショップにお世話となる機会がなかった。事前準備大事な。

◎物価・食事
 そりゃまぁ高いよヨーロッパだもん。ただ食事に対する費用としては工夫次第でかなり安価に済ますことが可能であり、私が目を剥いたのはむしろ交通費や宿泊料金の方だった。もちろんホテルなんぞに泊まることはなかったが、どんな小さな町でもB&Bがあるこの国で宿の利用を続けて旅行するというのは、ある程度自転車乗りでも需要があるのだろうなとも思う。
 ちなみに郊外ホテルの看板で歌っていた料金でよく見かけたのは1泊49.9ポンドで約7000円となる。先進国と考えれば普通なのか知らんけども。それなりの中核都市や観光地ならばホステル系の安宿も見かけたのであり、でもまぁ私は利用できてもキャンプ場だよなぁ・・・という思いから確認することもせず。
 さて食材に関してだが自炊を続けさえすれば、ビール飲みまくっても1日1000円以下を継続することは難しくないくらいの物価。やはりスーパーのホームブランド商品がコスパの面で強く頼りになる。よく利用してたスーパーがテスコ・セインズベリーズ・リディル・アサダ・モリソン・アルディ・アイスランドとかで、後者2つが異様に安い。ただこの2店舗は業務スーパーみたいな感じでホームブランド商品はあまり置かれておらず、4本パックで1ポンドの激安ビールは前5店舗でそれぞれ見かけることができた。なお普通のビールは1本で1.2ポンドくらいからある。
 レストランは初日に従兄弟と1回入ったきりだからなぁ・・・。噂通りイギリス料理は不味いのか体験してみたかったのだが、どこもかしこも高すぎて入る気すら起きなかった。よく道路脇のパーキングエリアとかで車両の移動販売型軽食店とかあるのだが、そんな店でもハンバーガー5ポンドとかそんなレベル。そりゃ自炊しますよ仕方ない。

◎総括
 ヨーロッパとはこういうものだ!とイメージしてた姿を存分に見せてくれる町並み。前半とにかく寒くて往生したものだが、暖かくなり過ごし易い気温となると「これほど自転車で走るのに適した土地というのもそうあるまい」と思える土地でもあった。自転車走るということに対しあらゆる点でレベルが高く便利に揃ってはいるが、野営の難しさは残念なところ。
 なおイギリスの自転車旅行といえばスコットランド地方という風潮が強く、そこからフェロー諸島を経てアイスランドやノルウェー・デンマークへと移動する方法もあるらしく、まだまだこの国は走り足りない。物価の高さと夏の時期でないと走行が難しいことが最大の難点だが、地方ごとに大きく姿が異なるイギリスという国は一夏を使って全土を回ってみるのも面白いかもしれないと感じさせる。なんにしても1ヶ月程度じゃ全然周り足りない魅力の詰まった国でした。
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 フランス2日目&ドイツ1日目 空き地~バス車内


 別にフランスは走りたくないとかそういう趣旨はない。というかツール・ド・フランスが開催される舞台として自転車乗り的に興味があるし、何より美味いワインの産地と聞くこの国を色々と自転車で回ってみたいというのは大いにある。


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 でも本日中に脱出


 というのも私はカレーの町からバスに乗ってドイツへと向かわなければならないからだ。人にはそれぞれ予定というものが存在し「そんなものは母親の腹ん中に忘れてきちまったよ」とか豪語する遊び人自転車乗りにも外すことのできないスケジュールに縛られてたりするもんだ。


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 何はともあれ町まで残り5kmを移動


 あっさりカレーの町に到着したところでフェリーポートに寄り道する。というのも昨日イギリスからフランスへ入るにおいて、入国審査無かったことがまだ不安で仕方ないため。他の人から「イギリスからフランス入国では審査もスタンプも無いのよ」とか言われたけどさ、それってヨーロピアンだけなんじゃね?とか疑いだしたら夜も眠れない思いだったので。


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 とにかく確認してみるか


 イミグレまで移動し職員に「いやはや昨日入国した時スタンプ貰ってないんだけど大丈夫なのかな?」・・・と話したら血相変えて上司呼びに行った時には私も冷や汗ものだったが「大丈夫、日本人はスタンプ要らないんだよ」と回答貰えたことでようやく安心した。心配性なんです私。


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 これで心置きなくカレーの町に


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 フランスの町並みはイギリスとはまた違う


 とりあえずバスの乗車場所を確認してから観光及び食材調達することに。まだ出発2時間前にも関わらず既にバスは停車しており「ずいぶん早いんだな」とか思ったが、周囲に誰もいないしそのまま近くの教会やれお城を見て回る。


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 この時は余裕綽々だったんだ


 そのまま近くのスーパーでバス車内で食べる分の食料を・・・とか思いつつ走ってると時計台の数字が目に止まる。それが11時30分とか表されており、バスの出発時間は11時45分。


 全身にゾワッと嫌なものが駆け巡り、全力で来た道引き返す私。時差か!まさかイギリス~フランス間には時差があったのか!


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 あります


 バスに戻るも周辺で待ってる乗客は1人しかおらず「何だよ、やっぱり時計の方が間違ってたのか・・・」とか思ったのだが、車掌がチケットの確認し始めたの見てやっぱり時差があったのだと再確認。っていうか乗客2人とか採算取れてんのかこのバス会社。


 そんな人数だからか明らかにバッグの数が超過してても追加料金一切なし。というか私が荷物積載モタついて時間押してしまいチケットのチェックすらしなかった。適当だな、有難いけど。


 約6時間。途中でベルギーを抜けてドイツのケルン空港にて別の便に乗り換えるため下車。ちなみに私はフランスもベルギーも走行する気満々の人ですぜ。ちょっと今回は縁がなかっただけ。


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 とりあえず離れた場所で夕食をば


 買い物する時間なくてどうしようかと思ったが、こんな時のためにちゃんと非常用に食料準備している私は偉い。こんなことしてるから荷物が重たくて仕方ないのだとも思うけど。


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 出発予定3分前にバス到着


 今度は他にも大勢乗客がいて、荷物のチェックもしっかりするし自転車は車両後部のラックに外付けだしと、同じ会社でも路線によってずいぶん違うんだな。そしてちゃんとしてる此方ではしっかり荷物超過料金支払うこととなった9ユーロ。


 ともかく無事にバスは出発したのであり、私は狭い座席で膝を屈めて眠ります。しかしこんな窮屈な場所で一晩ずっと缶詰とかさ、バス移動ってのは本当にストレスしかないな。


 2019年5月20日(月) 走行距離16km 累計93378km

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 イギリス25日目&フランス1日目 道路脇~パリから北に240km地点 空き地


 目覚ましかけたワケでもないのに何故か異様に早く目が覚めた朝。年取ったということかもしれないが、私としては早朝からテントを雨粒がボツボツと叩く音に反応したためという説を推したい。


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 幸い出発前には降り止んだ


 予約したフェリーの出発時刻は14時で、港までの距離はざっと40kmほど。意図せずして早起きしたこともあり、普通に走れば余裕持って到着できる状況だと言える。そうなるように昨日頑張ったのだし。


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 とはいえ油断は禁物


 素直に高速道路みたいな国道2号線を寄り道せず突き進むことにする。ここで下手な考え起こして脇道入り、道に迷ってしまうような愚は犯さないですよ私は。フェリー代金無駄になるし。


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 ということでドーバーの町到着


 そのままフェリーポートに行くのではなく、とりあえずスーパーにて細かなイギリスポンドを使い切ることに。普段なら残金と1日の使用金額を調節して最終日にお金全て使い切るのだけど、イギリスは初日に下ろした500ポンド(約7万円)を使い切らず余らせてしまったので。そういう意味では意外にお金を使わず終えたな。


 しかし残金両替したくても日曜日。小さなお店は全て閉店してるためどうしようもないのでもうフェリーターミナルへ行ってしまうことに。明日にでもフランス側で両替すれば良いか。


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 これがドーバー海峡か


 晴れた日ならば対岸のヨーッロパ本土が見えるというが、あいにくの天気で対岸どころかフェリーターミナルを覆う堤防すら霞んで見えるという有様だ。一昨日からまた一気に曇り空のイギリスに戻ってしまったな。


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 ちなみにこの崖は有名な観光ポイントらしい


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 上にはイギリス最大の城、ドーバー城もあるとのこと


 手続き済ましたらちょっと上まで寄ってみようかとも思ったのだが、カウンターのお姉ちゃんが「14時発じゃなくて、あと20分で出航するフェリーに変更できるわよ」というので思わずお願いしますと言ってもうた。待たずに乗れるのならそれに越したことはない。


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 2輪車レーンで5分ほど待つ


 問題なくフェリーへと乗り込み、フェリーが出航してイギリスの地を離れるその瞬間。私はといえばFreeWi-Fiが飛んでるのを良いことにネットに集中していて目もくれなかった薄情者。ちょっと調べ物が色々あるんよ。


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 じゃあのイギリス


 1時間半ほどの間に買ってきた昼食済ませてしまい、準備万端でダンケルクの港へ到着する。ちなみに私が行こうとしていたのは同じくドーバーからの定期フェリーが就航しているカレーの町であり、じゃあ何でダンケルクにいるんだよ?と問われれば「予約を間違えた」からである。


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 ということでカレーの町まで走る


 ちなみにフェリーから降りたは良いのだが、道なりに進んだらそのまま一般道路へと抜けてしまい「イミグレーションで手続きしなくて良いの!?」と不安になって来た道逆走してたりする。


 いやイギリスからの入国ではスタンプ要らないんだよと言われたのだが、本当に大丈夫なんだろか?シェンゲン協定の日数カウントどうやって確認するんだろ?イギリス出国スタンプには年月日が示されてなかったし。


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 細かいことは知らん


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 日曜だからかフェスティバルやってる


 再び右側通行に戻ってしまった道路を走りつつ、やっぱり日曜で閑散としている町中を抜けていく。大型スーパーも13時には終了してしまうようであり、イギリスの方が祝日営業に関しては熱心だったのだ(日曜は16時までが多い)と驚くというか何というか。


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 ゴーストタウン状態だし


 どうにもならないのでカレーの町手前まで移動したところで、木々の裏手にあった草地にテント張って終了とした。キャンプ場たくさんあったけどユーロ持ってないから利用することできないぞ。


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 なのでアルコール無しの寂しい夕食に


 お昼のスーパーで食材購入した時「ビールはフランスで!」とか適当なこと考えなけりゃ良かったわ。どうせEU圏内で関税撤廃されてるからヨーロッパ中のビールが販売されてる、つまりイギリスとラインナップはそう変わらないことが読めてるのに。


 雨降ってきたためテントの中で悔しがる茶壺さん。まぁフランスは明日で一旦抜けてしまうのでチャンスが今日しかなかったということもある。そんなビール飲まないと落ち着かないほどアル中じゃないですよ。


 2019年5月19日(日) 走行距離86km 累計93362km

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 イギリス24日目 ロンドンの町~ロンドンから東南東に86km地点 道路脇


 それではイギリス脱出に向けてドーバーまで移動しようと思う。ところでイギリスからの陸路移動といえば、海底にあるユーロトンネルが思い浮かぶ人も多いかと思われる。


 このトンネルを走る列車に自転車を乗せて移動することも可能であり、私も当初はこの方法でドーバー海峡を渡ろうと考えていたのだが。調べてみると、なんか予約手続きが面倒だったり自転車は輪行袋か専用の箱に収納しなくてはならないといった点が嫌で素直にフェリーを使うことにした。そのまま自転車載せればいいだけのフェリーが1番楽なのです。


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 従兄弟にお礼言って出発


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 とにかくロンドン市内を抜けてしまわなくては


 特に考えてたワケではないが、土曜日の早い時間帯ということもあってかかなり交通量が少なく都会にしてはストレスの低い走行ができている。それでも無数の信号機によってストップ&ゴーを繰り返させられ「もう勘弁」とか思いはするが。


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 自転車道がしっかりしてるの有難い


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 ちょっとそのビル左にズレてるよ?


 まだロンドン都市圏ではあるが、一応郊外と言える場所まで移動してきた25km。しかしロンドンを去る前にちょっと寄ってみたい場所があり、小高い丘の上を目指して進む。


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 アイツが目的地


 これがロンドン郊外に位置するグリニッジ天文台で、世界の経線はこのポイントを起点として定められている言わばイギリス権力の象徴とも表現できる建物なのだ。


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 その割には地味な時計だな


 ちなみに子牛線が引かれたモニュメントは有料で入れる天文台敷地内にあるのだが、流石にそんな線の上で記念撮影するだけのために2000円以上も出したくない。何より敷地の外側に子牛線描かれた場所があるんだよね。


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 ということでそれを撮影して終了


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 中国人の観光客だらけだった


 どこの観光地に行っても中国人はいるけどさ、周囲の他人の迷惑全く顧みず何時までも写真撮りまくって動かなかったり、平気で立入禁止の場所に入り込む人の割合が間違いなく多い。だから私は中国人団体のツアーと被るとなるべく近づかないようしてしまうので。


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 さっさと出発しちゃった


 このグリニッジを過ぎるとようやく迷路のように張り巡らされてた道路の数が減って分かりやすくなる。つまりは迷いなく目的地へと向かえることを示しており、特に明日の昼にはフェリーへ乗り込む余計な寄り道してる暇がない今の私には非常に重要なこと。


 ちなみにロンドンからドーバーまでの距離が約150kmで自転車なら1日半の距離。ということで私は19日の昼便を予約した人なのだが、実際イギリス走って今日まで1度も100km/日を達成してなかったりする。


 そんな距離稼げない国だと分かっていたら、私も余裕ある時間に合わせて出港予約したんだけどな。この作業をしたのはイギリス到着直後のロンドンなのであり、その時の私が「いけるっしょ!」と調子乗ったばかりに今日はひたすら全力である。


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 ナショナルサイクリングロード1号線らしい


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 55kmじゃなくて55mile(88km)だから


 最初はこのサイクリングロード使ってドーバーまで走り続けようか思ってたのだが、自転車が走りやすい道を選んでいるサイクリングロードは余りにも回り道が多すぎる。時間に追われてない時は良かったが、今回の場合はロスが大きすぎると途中からエスケープ。


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 んでゴールに向かって直線的な道を走る


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 デザイン担当自転車に興味ないんだろうな


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 突然日本語の説明文があって驚いたウィル・アダムスの町


 案外楽勝で100km突破した16時半。ロンドン東部はどうやらアップダウンが少ないとはいえ、ちょっと真面目に走るとこんな簡単に距離走れてしまうのは良くないな。


 もっと苦労した方が「イギリスはアップダウンが多い国だから・・・」とか色々言い訳できるのだが、これじゃあ私が毎日フラフラ適当に走行していたようであり、先の距離稼げない発言が嘘ついてるみたいじゃないか。


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 フラフラ適当に走ってたことは否定できないけど


 18時過ぎには道路脇の森林地帯へ自転車突っ込み走行終了。いやはや結構走ったな。これがオーストラリアやパタゴニアだったら普通のことだけど、ここイギリス東南部の都市部と言える土地ですから。都会であるほど距離が稼げなくなる法則。


 2019年5月18日(土) 走行距離116km 累計93276km

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 イギリス23日目 ロンドンの町


 ちょっと調子乗ってネットやり過ぎてしまい、睡眠時間が普段の半分以下になってるのだが。精神的な充足はともかくとして、肉体的な回復には睡眠って最重要項目だと思うんだけど。そんなの知ったことか状態である。


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 洗濯物が清々しい


 ロンドンにはもう1箇所寄ってみたい場所があるのだが、とにかく今日は日本食材の補給こそが唯一にして最大のミッションだ。オマケで今朝切らしてしまったコーヒー豆を補充しなくてはならないのだが、そこら中にカフェが立ち並ぶロンドンでコーヒー豆買うのは何の苦労も要らないし。


 南米の地方都市ではコーヒー豆を補充できるタイミングって首都だとか超観光地といった一部の場所に限られてたからかな。どんな場所行っても粉末ではないコーヒー豆入手出来るという事実こそが、私にとって最も「物が豊かに揃ってる」ことを感じさせたりする。


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 日本食材店へ


 国際都市ロンドンだけあって、町中の至る所に日本食レストランも見かけるし他に日本の食材を扱うお店もあるらしい。だがこのショップはそうした他店と比較し極めて良心的な価格で日本食材を扱っていると教えてもらったのであり、やっぱり現地在住してる日本人の情報ってのは有難い。


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 味噌は2ポンド(約290円)


 安い価格につられてついつい納豆とか他の食材も購入してしまうワケでして。というか明日には出発するのに納豆4パック入りとか買って私はどうすんだ?


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 とか思ってたけど1食で4パック使ってしもうた


 朝から天気悪かったのだが、買い物終えた帰り道には雨まで降り出してきたのであり、休養日に限って雨が降るとか実に運が良い。完璧なパターンでスケジュール組めたと思うと嬉しくなってしまうよね。


 これで明日になっても雨降り続けてたらお笑い種も良いとこだけど、大丈夫きっと明日は晴れるから!という気楽な予感を信じていますよ茶壺さん。フェリーの予約日明後日なので、日程的な余裕が全くないから雨降っても移動しなくちゃならないけど。


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 フレンチプレスで淹れたコーヒー雑味が少なくて美味い


 2019年5月17日(金) 走行距離0km 累計93160km

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 イギリス22日目 駐車場近く~戻ってきました ロンドンの町


 草地で木の根元に緑色したテント設営したとしても見えるものは見える。だが闇夜に紛れてしまえばテントはほぼ完全な迷彩として発見されないのであり、朝になってテントが見つかり何か言われたところで撤収してしまえばいい。


 要するに野宿におけるテント泊というのは、如何にして「日が沈む前を見つからずにやり過ごすか」という点こそが重要視されるのであり、だからこそ緯度の高いイギリスの夏は大変である。


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 やっぱりテントあるって分かるもん


 しかし今日はロンドンへと舞い戻るのであり、再び従兄弟の滞在先にて厄介となるため野営も何も気にしなくて良い。本当に町まで走りきれば何も気にしなくて良い、この事実がどれほど有難いかは野宿を繰り返すような旅行者ほど強く実感できると思う。


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 走ることだけに集中出来る


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 看板にもロンドンの表記が出てきた


 徐々に農村部の小さな道から交通量が多い主要な道路へと移り変わっていくのは仕方ない。イギリスにおける高速道路は頭文字がM、主要道路だとAの後に道路番号が表記されている。これはアメリカやオーストラリア等の国でも同様だった。


 これに対して私が狙って走ってた道は頭文字Bの道路が中心で、Bの4桁道路か若しくはそもそも数字が割り振られてない細かな道こそが自転車を走らせるべき道といえたのだ。


 しかしロンドン都市圏に入るに従いこうした小さな道は無くなってしまい、住宅街を迷路の如く網の目状に広がる道の合間を縫って進むか、交通量が多くても我慢して主要道路を走るか・・・という2択になってしまう。


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 仕方ねーんだけどさ


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 町が途切れなくってきた


 イギリス到着した初日は都市部でも「なんて走りやすい道なんだ!」と感動したものだが、それは自分の中にある比較対象が南米の都市だったためで、既にイギリスの農村部をこれだけ走り回ってきた私にしてみれば「人と車が多過ぎて走りづらいよロンドンは!」といった評価になる。


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 神経使う走行だわ


 それでも事前に地図で比較的走りやすそう且つ迷いにくい道をピックアップしてルート考えてたのが良かったか。自分で思ってたよりもスムーズに移動することができ、15時半には無事従兄弟の住むアパートに戻ることができた。


 とにかく大量の洗濯物を洗わせてもらいつつ、自身も暑いシャワーを浴びることができて人心地ついたといいますか。従兄弟には感謝してもし足りないですよ。


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 味噌も補充できるからと茄子味噌炒めで使い切ってしまう


 とにかく疲れきってることもあり、明日はキッチリ休みますとも。ここで1日休養入れることも鑑みてのホーリーヘッドから列車ワープしたのであり、正に計算通りのロンドン到着なのである。今日の午後から天気崩れ始めてしまい、その計算は大崩壊する可能性があったのだけど。


 とにかく終わりよければ全て良し。まるでイギリスの走行が終わったかのような物言いだが、ここからドーバーの港までまだ100km以上走るんだよね。勝手にイギリス編終わらせないで。


 2019年5月16日(木) 走行距離84km 累計93160km

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 イギリス21日目 教会脇~ロンドンから北西に70km地点 駐車場近く


 夜中にゾンビが湧き出ることもなく静かな夜であった教会の敷地。なお私の「教会から這い出るゾンビ」というと未だにマイケル・ジャクソンのスリラーPVが思い浮かぶのだが、昨今のゾンビ事情がどうなってるのか気になるB級映画好き。


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 テント乾かしてる最中


 完全に5月の良い気候に突入したらしいイギリスは今日も青空が広がる自転車びより。この国では本当に毎日沢山のサイクリストとすれ違うけれど、彼等は暖かくなったから走り始めているのか、冬の間も走り続けて今の時期に入ったのかがちょっと気になる。ちなみに私の場合は日本でも季節を問わずに自転車乗ってたけど。主に通勤で。


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 ラグビーの町だからか駅前にラグビーボールが


 このラグビー以降を小川に沿って作られてる小さな道で走ろう!とか思ってたのに、実際行ってみるとそれは道路というよりケモノ道という状態であった。ちゃんと地図にも記載されてる道で酷い罠ではないですか。


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 後半は轍1本分の幅になってしまうし


 5kmほど走ったところで普通の道路にエスケープ。結局アップダウンがあってもイギリスでは車両交通量の少ない小さな道路を走るのが1番良いのだという結論に。


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 変な道を選ぶんじゃない


 ところで南北アメリカというのは自転車旅行的には王道コースというのが存在していて、多くのサイクリストがそのルートを大きく逸れずに走ることになる。これには南米でのアンデス地域には選べるほどルートが多くないという側面があって、こうした点でヨーロッパは事情が大きく異なる。


 とにかく無数の道路が網の目状に伸びており、先進国ならではのサイクリングに適したコース情報が溢れている。こうしたことから自転車人口は桁違いに多くても、荷物満載の自転車旅行者と遭遇することはそれほど多くない印象だ。


 私にしても「従姉妹が住んでるから」という安直な理由でイギリスをヨーロッパの出発国としたワケだが、この後にどういったルートを走るかはなかなか楽しみで仕方のないポイントである。シェンゲン協定(EU圏内の滞在期限)さえなければ、ヨーロッパを1年くらいかけて色々走り回ってみたいものだ。


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 とりあえずお昼休み


 ここでサイクリングロードの標識が出てきたので、これに従って走ってみたら大失敗。食料買い込んで重くなった荷物と激坂を繰り返すアップダウンの連続する道で10kmで早くもグロッキー。ちょっと油断するとすぐこんなアホな道を織り込んでくるイギリスよ。


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 シルバーストーンという町を通過したら


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 サーキット場があった


 ずんずん進んでバッキンガムの町へ。かの有名なバッキンガム宮殿は、同名のこの町と何らかの関係でもあるのかと気になったので立ち寄ってみたのだが、別に普通のイギリス地方都市だった。


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 ただこの協会は良かった


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 やたらしっかりしてる自転車用側道が


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 ウォーリーを探せって本で見たことあるぞキミ


 昨日はやたら遅くまで走ってしまったことを反省し、17時そこそこにはピットインならぬ野営地の確保に成功する。基本的に野宿ポイントが見つかるかは運なのだけど、やっぱり本気になって探してる状況ってのは良いポイントが向こうからやってくるものなのですよ。


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 スピリチュアルなこと言っておく


 再びロンドンが近づいてきたためか、夜中になっても走ってる車の多いこと。こんな時間に無理して走っても良いことないよ、素直にテント張ろうぜ?


 2019年5月15日(水) 走行距離89km 累計93076km

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 イギリス20日目 森林~ロンドンから北西に135km地点 教会脇


 そんじゃイギリス脱出に向けての走行開始としましょうか。最近はずいぶん暖かくなって実に自転車旅行に適した気候となってきただけに悔しい思いもあるが、夏のヨーロッパは短い。イギリス1ヶ国だけで終わらせる気は無いのだ私は。


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 速度の遅い自転車旅行の悩ましいところ


 既にウェールズからイングランド領へと戻ってきており、やたら主張が激しかったウェールズ国旗にも採用されてる怪獣も姿を見せなくなり寂しく思う。写真に撮っておけば良かったと思う時は、決まって被写体がその姿を消してからなんだよね。


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 おいおいアマゾンは南米だろ?


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 こういう独特な形状した工場大好き


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 どうやってUターンするんだろ?


 起伏はあったとしても緩やかで走るのに支障ない坂道しか出てこない楽な道が続く。散々イギリスの急斜度激坂に苦しめられてきた私だが、もしかすると私が好んでそういう坂がある土地に向かっていただけでやっぱりイギリス自体は平坦な国なのかもしれない。


 真相は置いといて到着したのはリッチフィールドの町。そのまま通過しようとしたのだが、ふと目に飛び込んできた尖塔があまりにイケてる感じだったので建物見学してみることにした。


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 正体は教会でしたか


 建物内も自由に見学できるとのことでちょっと入ってみたのだが、私が今まで訪れたどの教会よりも「荘厳」という言葉が似合うというか、教会内部の格調高さと空気感に圧倒されたと感じたのは始めてのことだ。


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 教会ってこんなに面白いモノだったっけ?


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 建物でここまで感動したのは久しぶり


 やっぱり本場ヨーロッパの教会は一味も二味も違うということだろうか。割と南米辺りから教会に関しては食傷気味というか「どれも似たようなモンじゃないか」とそれほど興味を示さなくなっていた私だが、リッチフィールドの教会はその考えを改めさせられるほど強烈な姿であった。


 見学してよかったと思いつつ先へと進む。割と時間的余裕がないためのんびり町を観光してる暇はないハズで、それを示すようにこの先の有名どころに関する情報は一切調べていない。だからかな、こうした偶然の邂逅が余計に嬉しく感じるのは。


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 謎の半円の建物は


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 豚ちゃんの家でした


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 時間はないハズなのに喫茶店寄ってる場合かよ


 いやまぁ私としても昨日休んで割りかし元気な今の状態でティータイムしたいとは思ってないのだが、先の予定で予約とか確認しとかにゃならない事項とか色々あるんよ。決してネット使って遊んでいたワケではなくてさ。


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 写真トリックってのもあるけどこの国で雲1つない青空初めてじゃね?


 カフェって走らなかった分を取り返すべく19時前まで走行続け、人口100人満たないくらいの小さな村にあった教会の裏手にテント張らせてもらう。というかそんな小さな村なのにちゃんと石造りの立派な教会があるって凄いよな。自転車旅行者の寝床も提供してくれるしキリスト教は偉大だ。


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 しかし代わり映えしない夕食が続くな


 2019年5月14日(火) 走行距離82km 累計92987km

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 イギリス19日目 ホーリーヘッドの町~ロンドンから北西に186km地点 森林


 休息日。連日の走行が響いてか両足が痛くて仕方ない。面白いのは「自転車で使用している筋肉のみ」が疲弊してるという点であり、割と普通に歩いたり階段上り下りすることは苦にならない。


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 とはいえ全身ダルいし倦怠感すごいが


 このままテント内でのんびり過ごしたいところだが、そうもいかないのはイギリスの滞在事情が絡んでいるため。私が予約したフェリーの出航日時に合わせて港まで辿り着かなくてはならず、このまま普通に走行していたのでは確実に間に合わない。


 否、連日120kmくらい走り続ければ多分到着できるのだけど、既に満身創痍の状態だというのに走りきれる気がしない。これを一言で表すならば「計算が甘かった」となるのだが、一応私も事前にこの状況を想定していたのでして。


 ヨーロッパ特有の「列車に自転車をそのまま載せて移動できる」というのはサイクリストにとって憧れを抱く話であり、私もこの地域に来た際には列車に自転車乗せるスタイルの輪行を経験してみたかったのだ。


 そんなワケで休息日に合わせ列車移動をしてしまう・・・という強行軍によってスケジュールを確保する作戦である。今思えばイギリスの滞在日数をもうちょい増やしておくべきだった。


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 駅行く前にちょっと寄り道しつつ


 折角なので大西洋を望む灯台でも見てから行くか・・・と島の西端に位置する崖まで行ってみる。最後に1km満たない距離で70mくらい坂登らされたのだが「案外ラクだな」とか思ってしまったあたり、イギリスの斜度が如何に無茶苦茶であるかが分かる。


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 最後は歩道を歩いて


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 良い感じにラスボス住んでそうな灯台


 踵を返してホーリーヘッドの町中へ戻る。歴史的な町とか港とか曰くあるらしいがスルーして私が向かうは駅舎。本当にホーリーヘッドの町自体では何にもしなかったな。


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 終点の駅なので既に列車が待機中


 キャンプ場のスタッフに「ドーバーの港まで無理なく行ける距離にある駅」という割と無茶な要求して、それでも快く調べてくれた結果スタッフォード行きのチケットを購入。なお50ポンド(約7140円)と安くはない。


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 自転車置くためのラックがあった


 大量の荷物は全て外して座席エリアに移動させたが、荷物が多い人のためのバッグ置き場はあるし座席の脇にコンセントはあるしと至れり尽くせりのサービスには思わず私もニッコリですよ。日本の新幹線とかも同様のサービスなのか知らんが、この列車は単なる地方線だし。


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 途中で1回乗り換えする


 これが自転車先進国か・・・とため息をつきたくなってしまうのは、駅舎内に自転車持ち運ぶ人が無数に闊歩していること。日本の列車における自転車事情の遅れっぷりをまざまざと感じずにはいられない。


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 駅構内に工具セットや空気入れがあるんですぜ


 スタッフォード駅に到着したのはホーリーヘッドからで約3時間ほど後のこと。とりあえず駅舎を脱出してスーパーに寄って買い物済ませ、そのまま町の郊外へ向かうことに。


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 野宿は町中じゃ難しいから


 5kmほど走った場所に出てきた森林区域は「鹿に注意!」との看板がやたらと目に付くのだが。これが熊だったら私も大いに緊張することころだが、鹿なんぞ寄ってきたら晩飯の具材にしてくれるわ!程度の気持ちですよ。実際に対面したらどうなるか分からんが。


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 移動したのは直線距離で200kmくらいでした


 2019年5月13日(月) 走行距離20km 累計92905km

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