自転車ときどき世界1周

2019年11月

 ヨルダン3・4日目 アンマンの町

 休息日。とにかく疲れていたこともありひたすらベッド上で横になって過ごす。値段安いにも関わらず2人部屋だし、ブルガリアキャンプ場以来休息日を設けることもせず走ってきた自分に対してのご褒美だと思いたい。Wi-Fiもバッチリ使えるのでダラけるにも最高の環境だし。

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 ただ同室のインド人はマナー悪い

 昼・夕方にそれぞれ食事で外出したものの、それ以外はほとんど寝て過ごしてた私。この先のルートとか考えたりもしたけれど、自分でもビックリするくらい睡眠取ってたと思われる。

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 ちょっとくらい町中歩き回ったりもしたけれど

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 すげーな村上春樹ってアラビア語にも翻訳されてんだ


 翌日。何にもしてないので日記の内容も薄い。とりあえず多少はアンマンの町中を観光してみるのも良いかと思い、宿の真上に位置する遺跡を見学しに行ってみようかと思う。

 階段登ったり入口が分からず敷地をぐるっと1周したりしつつも到着した私だが、そこで言われたのは「今日はフェスティバルの関係でお昼から閉鎖だよ」という一言。すぐ隣にいた西欧人が「今はまだ11時前じゃねーか!こんなに沢山の観光客が入ってるのにどういうことだ!」とまくし立てていたの見て、なんか私の方は冷静になるというか若干引いてしもうたというか。

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 まぁどうにもならないよねと思ってしまった

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 ということで入口から1枚だけ

 そもそもアンマンの町にこうした遺跡があることすら知らなかった程度の思い入れなので、そんなに凹んでないのです私。せっかくなので支払うことのなかった入場料分でちょっと贅沢なお昼でも食べようか・・・とか切り替えられる程度。

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 ちょっといいお昼

 ちなみに明日はイスラム教の休日金曜日なのでやっぱり閉鎖されてるとのことで、まぁ縁がなかったのだと思う。アンマンは本当に食べて休んだのみで終わりそうだな。

 というのもアルコールが禁止されてる国だからかこの町には甘味所が非常に多い。そうしたお店に大勢のオッさんやねーちゃんが寄り集まっていて、そんなにこのお菓子は美味いのか?と私も食べ歩きを楽しんでみたり。

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 これで100円ちょっと

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 ウマウマ 

 ガッツリ砂糖系の甘さながら奥にチーズが仕込んでありアマくてトロっとする濃厚系のお菓子。でも口当たり良い感じでコレは癖になりそうだ。アンマン滞在中に食べまくって増量しとこうかな。

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 1回くらいと思ってビールも飲んでみたけど

 これの値段が600円とかするのであり、流石イスラム国はアルコールの値段が高い。流石にこの先ヨルダンでビールは免税エリアでもない限り飲むことはなさそうだ。

 2019年11月20日(水) 走行距離0km 累計104456km
 2019年11月21日(木) 走行距離0km 累計104456km
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 自転車旅行という行為は誰にでもできることだと私も思うし、実際特別な技能だとかそうしたモノは必要ないと自分の立場から断言できる。しかし自転車で旅行を続けるという話になると、それは簡単なことではないとも思ってる。

 基本的に旅行が長期化するとある程度日々の行動もパターン化するのは否めない点で、そうして定形化した旅行の日々に対し楽しみを見出せないタイプは早晩自転車での旅行を辞めてしまうことになる。

 勢いだけで旅行が続く期間はせいぜい1年やそこらだし、ルートでいえば日本1周が良いとこだろう。それ以上の長期的な旅行を継続するのであれば、自転車に乗るということに対して喜びや楽しみを感じていなければ難しいと私は考える。

 ときどき「自転車は旅行するための単なる手段」という人がいる。この考え方自体は尊重すべきだし、それが自転車を好きか嫌いかも別問題ではある。でも「自転車に乗る」という行為を楽しんでないのであれば、早晩その自転車旅行が瓦解するのは避けられない。


 そもそも自転車という乗り物は割と人を選ぶというか、万人にオススメできる乗り物ではないと思うのだ。技術を必要としない上にすごく楽しいし気持ちのいい趣味ではあれど「多少の苦労や苦しさを楽しみ・喜びに変換できる」だとか「そもそも苦労を苦労と感じない」といったタイプでないと楽しめないと思う。マラソンとか登山は同系統の趣味だよな。

 自転車に乗るという行為そのものに喜びを見出すという事は、どうあれ自転車が好きな人だろう。自転車好きにも色んなタイプがいるけども、自転車で旅行するということそれ自体を好きでない人間は長期間自転車と共に旅行をする事はできない。

 何故なら自転車旅行はその多くを移動する事で占められているからだ。そこに付随する要素というのは様々だけど、基本的にキツくて大変で疲れる上に満足に飲食を楽しめる機会は少なく、オマケに危険性も若干高いというのは自転車だからこそ得られるメリット以上にマイナス点ではないだろうか?

 そこに自転車が好きで自転車で移動するのが楽しいというファクターがない場合、徐々に旅行それ自体が苦痛になってしまう。何しろ1日活動時間の大半をサドルの上で過ごすのだ、他に面白いことがあろうともそれが瑣末な点となるのは想像に難くない。

 そして結局「自転車が楽しくない」とか「その国が面白くない」と言って自転車での旅行自体を否定してしまうのはただもうひたすら不幸だと感じる。厳しい言い方をすれば、自転車での旅行を選択しておきながら、旅行を楽しめない考え方の甘さがツマラナイのだと私は言いたい。

 人には向き不向きがあるし、自転車でなくとも海外を旅行する事はできる。ただそうした中で敢えて自転車旅行をするというのは自転車でしか味わえない特別な魅力があるからだ。でもその魅力を享受するにおいて、それなりに適正だとか自身の性格はちゃんと考えた方が良いと思う。


 地味に自転車世界1周と評して旅行を始め、途中でリタイヤしてしまうサイクリストは存外多い。その理由は様々だろうし私がどうこう口を出す問題でないのも分かる。

 だが個人的に自転車で年単位の海外旅行をするというのは、人生全体でも限られたチャンスであるのは間違いないことで、それが「合わなかったから」と潰えてしまうのはあまりに忍びない。

 やってみなくちゃ分からないというのは確かにその通りではあるけども、長期的な海外自転車旅行を考えている人はもう1度自身の胸に手を当てて「何故自転車なのか?」「自転車でないとダメなのか?」という点を吟味した方が良いと思うのだ。

 ・・・というのが私が言える自転車旅行をする上で現在の考え方かな。自転車旅行には何が必要でしょうか?という質問があって「自転車が好きという気持ち」というのを掘り下げていくと1本ブログの記事ができたという話である。
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 ヨルダン2日目 畑〜ヨルダン首都 アンマンの町

 死角とはいえ道路からすぐ脇でテント張ってた割にしっかり眠れた夜。怖くないのか?といえばそりゃ危険度高いであろう場所だが、ここ周辺をトゲトゲの木々で囲まれたポイントなので深夜に人が近づくと物音するし傷だらけ間違いなしということもあったので。

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 誰も来れないだろうとは思ってた

 荷物まとめて出発し、僅か数km先のT字路を左折する。南北に長い死海を有する低地帯を走ってきたワケだが、いよいよ地上部分へと脱出である。今日はこの坂を登り終えたらほとんど終了みたいなモノ。

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 それじゃ行きましょか

 最初の1kmこそ淡々と登って行けたのだが、そこから一気に急斜度へ切り替わりギアを最軽にしても進むのが厳しいレベル。14〜5%くらいあったんじゃなかろうか?

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 奥の山が酷い斜度でして

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 海抜0mでもう満身創痍

 幸いなことにこの0m地点の後からは斜度も多少落ち着いたようで、継続的に乗り続けていけると思える坂が続く。

 基本私は上り坂においてギアを1番軽いのより1つ上(重たい)に合わせることが多い。コレは要するにキツい状況でも「まだもう1段ギアを下げられる」という精神的余裕を持ちたいからであるのだが、今回は序盤の激坂で余裕も何も無くなった状態となってしまいずっとギア最軽のまま。

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 余裕はない

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 2時間弱で800mアップしたし

 この数字はフルパッキンの自転車クライムでは相当良いペースで登っていると思う。その割に両足の疲れがそれほどでもなく「やるじゃん私!」とか思ってたのだが、おそらくイスラエルで交換したリアスプロケットが歯数の多い山向きのタイプだからなんだよね。

 やっぱ重量ある旅行用自転車であるほど上り坂のギア比は大きな影響が出るんだな・・・という普通に考えれば分かることを経験してようやく理解する茶壺さん。賢者は歴史から学び愚者は経験から学ぶというが、私は賢き者になれそうもない。

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 合計1300mちょっとで頂上に

 スタート地点では暑かった気温もここまで来ると肌寒いほど。ここから首都アンマンの都市圏に入り道路も複雑化してくるため、マックのWi-Fi使って地図確認してたのだが。

 それだけで「お前どっから来た?」とワラワラ質問されまくるのがヨルダン。旅行者を放っておかない人当たりのいい国ではあるが、こうした外での作業は全然進まない難点もある。

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 ここら辺は高級住宅街っぽい

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 多分新市街エリアなんだろな

 私が向かうのは安宿が集まる旧市街のエリアであり、あるポイントから突然高層ビルが無くなりボロっちい建物や廃墟が増えたの見て「旧市街エリアに入ったか」と判断した。治安とかどうなんだろ。

 下調べしといた宿が1泊4ディナール(約610円)と格安になったこともあり、ようやくここでしっかりとした休息をと流べきだと3泊お願いする。気軽に連泊って物価安い国でないとできないからなぁ。

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 夕食も外で食べようかと市場に向かう

 すると屋台の前で「お前旅行者か!ここの飯は美味いぞ食べてみろよ」というオッちゃん2人組と遭遇す。出会って3秒でこうしたお誘い受けるの初めてではないが、この後でもの凄い金額請求されるんじゃ?とかやっぱりちょっとドキドキしてしまう。

 2人買い物に来ていたとのことで、そのまま一緒に市場内を散策ししつつモスクで礼拝を見学させてもらったりした。私この時点でハーフパンツにサンダルという服装のため、モスクに入るレギュレーション違反してるから追い出されそうになったんだけど「こいつは俺の友人だから!」と説明してもらい同伴してたりする。

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 中での写真撮影はしてません

 1時間ほど歩き回りお礼言ってお別れした。「この後ウチに寄っていくか?」とお誘い受けたのだが、流石に疲れ切ってて早く寝たかったので。勿体無いことしたかな?

 何はともあれ暫くアンマン滞在だ。

 2019年11月19日(火) 走行距離50km 累計104456km
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 2019年11月7日〜11月18日
 走行日数12日間
 累計走行距離594km(103757km〜104351km)

◎道路
 素晴らしい。主要道路には広くてしっかりした路面の側道が作られており、走行する分には全く危険を感じることがないレベル。どっちかと言えばその主要道路がどれも高速道路チックで景色的な変化に乏しいとか道路じゃないところに文句が出てしまうほど郊外の道ではノンストレスでの走行が可能。
 よく分からなかったのが、高速道路って世界共通で緑地の看板で一般道路は青地看板だと思ってたのだが、イスラエルではこれが混在していたと思われる。明らかに一般道路なのに緑地の看板が出てくると「ここって高速道路なんか!?」と不安になるのでよろしくない。あと高速道だったとしてもイスラエルは側道を自転車で走ることは問題ない国らしい。ネズミ捕りしてる警察車両の前を普通に走ってて何も言われないどころか手を振られたくらいだし。
 大きな町になると側道が消えて歩道を走らなくてはならない道が増えるのだが、ときどきスロープ状になっておらず歩道への乗り降りが大変だったりする。あとイスラエルの信号機は中央分離帯を挟んで手前と奥の信号が別のタイミングで切り替わるため、信号を一気に通過できないことがある。
 死海の標高が低いのもそうだが、それ以外にも割と山あり谷ありの国で地中海沿岸部から離れると結構な山岳地帯が多い。私が登ったところではエルサレム周辺で標高800m程度だったが死海からのアップとなると−400mスタートなので数字以上に登らされるので注意。

◎治安
 単純な暴漢に襲われるといった点に関する治安はそれほど問題ないと思う。ただエルサレムを筆頭にやたら緊張感が高い雰囲気を感じる国で、やたらと沢山ある検問所だったりエルサレム旧市街の住宅街では1階部分に窓が存在してないとか町中が監視カメラだらけ等々警戒心が異様に高い。市民が自らに危険が降りかかる可能性を現実的に直視してるのだと思わせる意味では「治安は悪い」というべきなのかもしれない。エルサレム旧市街の何かが崩れたら一気に危険なことになりそうな独特な緊張感は確かにあると思う。
 あとはパレスチナ区域だけど、ガザ地区はともかく死海に向かうとヨルダン川西岸地区の一部区域に突入することとなるので気になってたけどさ。少なくとも死海沿岸部と国道1号線に関しては他の場所と違いはないように思った。

◎ビザ・出入国
 これは面倒臭い。入国時に聞かれたのは通り一遍のことだったけど、係員の態度がやたら横柄で「マジで入国拒否されるんじゃ?」と一瞬とはいえ思わせる雰囲気があった。あと現在ではイスラエル入国に関してパスポートにスタンプは押されず、代わりに顔写真が印刷された証明書みたいな用紙を渡される。これを出国時に返すというシステムである。
 これは有名な話だが、イスラエルの入国履歴があると敵対してるアラブ諸国に入国できなくなるという問題があるためで、これを回避するため一昔前まで「パスポートにイスラエルのスタンプ押さないで」とお願いするのが世界周遊旅行者の常套手段だった。この問題を解決するための措置ではないかと私は考える。
 なお日本人の場合ノービザで30日間の滞在が可能だが、国を抜ける際に出国税として合計107シェケル徴収された。なんか出国する国境によって料金が違うという話もあるらしいが詳しいことは知らん。
 他の国境は知らんがシェイクフセイン橋の場合は国境を自力で越えることが出来ず、イミグレーションに付随してるバス停で待つ必要がある。300mとかその程度の距離で5シェケルか1ディナール(約150円)とアコギな商売してやがると思うし、バスがどのタイミングで来るのか時刻表もないし私の場合は1時間以上待たされたことからそれほど頻繁に行き来してないことが伺える。何から何まで面倒臭い出国となったが、これでも中央のキングフセイン橋国境より随分とお値段安くて審査も簡単らしい。

◎交通事情
 アラブ系の人たちは遠慮なくクラックション鳴らしまくり。狭い隙間に突っ込んでくるし無茶な運転なんのその。それに対してユダヤ系の人たちは多少クラックション鳴らすクセがあるものの、歩行者優先だし安全な運転をしてくれる。
 つまり運転マナーの良い人たちと悪い人たちが混在している国のため、テルアビブのマナーが良いからとそんな気分で気軽な運転を続けてると危ないということでもある。普通1つの国でここまで運転マナーが異なることって無いと思うだけに、油断しやすい環境で普段以上に注意が必要だよなコレ。
 あとテルアビブの町だと電動バイク系が平気で歩道爆走したり信号無視や狭い隙間をすり抜ける危険運転してるため、車両よりもコイツらへの危険が高い。電動なのでエンジン音しなくて近づいてきてるのかも分からないのであり、こんな厄介な乗り物普及させるなよ・・・ってのは自転車乗りの意見なんだろな。

◎特徴
 キリスト・ユダヤ・イスラム3つの宗教における聖地を内包しており、特にエルサレムの町にそれが集約されている。これに先住民であったパレスチナ人の問題もあったりと、国として様々な問題を孕んでいるのは間違いない。それを体現してか警察や軍隊の人間を異様に多く見かけるし、イスラエル人は男女問わず国民全員兵役の義務がある(除くアラブ系)。パレスチナ地域では小さな村の出入口でも検問所があったりと警戒してる様子が様々な点から伝わってくる。
 なお基本的にユダヤ人の国なので、祝日が金曜の午後から土曜の日没までとやや珍しいタイミングで行われる。土曜日の夜になるとそれまで閉まってた商店が営業始めるのはちょっと面白い。 

◎気候
 基本砂漠の国なので11月の乾季で雨が降る心配は要らない。ちょっと内陸部に入ると一気に乾燥した低湿度となるため気温が高くても割と凌ぎやすくある反面、水分の消費量が跳ね上がったな。
 かなり強い風に吹かれていたが地中海の沿岸では地中海側から、それ以外は東からや北からの風が多かった。死海の地形的な影響とかもあるのかもしれん。
 標高高い場所では日が落ちるとかなり冷え込むため、夏スタイルの服装で呑気に過ごしていると驚くほど寒くなり慌てることになる。やっぱりね、標高による気温の違いってのは如実に出るものなんだって思ったよ。死海の標高で野宿した時には寝袋使わずに寝てたくらいだもの。

◎言語
 公用語がヘブライ語とアラビア語。テルアビブ及びユダヤ人が住んでる地域なら多くの人が英語も話せる。逆にアラブ系の人が住んでる地域だと英語通用度はガクッと落ちる。
 道路看板等には公用語2種類の他に英語表記もされてるので何とかなるが、一般商店とかだとヘブライ語のみというのが多いため何書かれてるのか全く理解できない。基本的に大都市や観光地ほど英語表記率が上がるため、僻地だったり小さな町に行くほど難易度が上がる。
 そうはいっても国土小さな国だしある程度移動すれば大きな町がある感じで、よっぽど僻地にでも行かない限りは英語1本で平気だと思う。何だかんだアラブ系の町でもユダヤ人見かけたし。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 主要観光地にはホステルが散見されるけどまぁ値段的に安くはない。テルアビブのホステルなんか最安値で1800円オーバーだったし、完全に先進国でも高い方の料金だよな。サービスも良いのでコスパ的に悪いということはないと思うけど、周辺諸国と比べてイスラエルだけが異色であることは間違いない。
 そんなワケでインフラにしても設備にしても無茶苦茶整っているためネットも速かったし、主要な町では町のサービスでFreeWi-Fiが飛んでたりもした。アメリカと密な国なのでハイウェイ沿いによくマックがあり、こちらでもネット利用できるし。一般的なカフェやれレストラン系の施設にはWi-Fiサービスあるようだが、とにかく物価高くてそういった店に入ることなかったため、この点についてはよく分からん。
 そうそう野宿についてだが、やっぱり危険なイメージつきまとう国ということもあって不安を覚えていた側面があったものの、テルアビブとエルサレム以外の就寝を全て野宿で済ます程度には平気だった。墓地の脇で野営した時なんかは朝に管理人が来て見つかったけど「全然問題ないぞ、良い旅行をな!」とか言われたのであり、割と旅行すること自体に寛容なイメージを持った。無料のキャンプ施設もあったし。

◎動物
 砂漠地帯ということもあってかハエが多い。ザ・大都会という感じのテルアビブでも普通に周辺をハエが飛び回って来る。それ以外に郊外だと蚊と蟻が結構な数いるため、特に野宿する場合はテント張る場所と食料の置き場を注意してないと蟻にたかられることとなる。
 あとイスラエルの人はやたら猫が好きで、それだけなら別に構わないのだがホステルなんかでも普通に猫を飼っていたりする。そういう境遇の猫なので宿泊者たちからおこぼれ貰いまくっており、食事してるとせがんでくるし剥き身で食事を放置してると取られてしまう可能性がある。可愛いからって何しても許されると思うなよ?

◎自転車店
 ユダヤ人が多数を占める町なら先進的なショップが数多くある。テルアビブで足回りのパーツを一通り交換したけどスタッフ親切だったし腕も良かったと思う。なおシェワルべのタイヤもちょいちょい見かけたけどトルコでマラソンプラス揃えてしまったので細かいタイヤの種類までは確認していない。シュワルベ直営店もあるみたいなんだけどね。
 なおイスラエルの大都市では電動キックボードや電動式自転車の需要が高く、そうしたバイクに強い傾向のショップも多数見かけた。この手のお店はスポーツバイクへの対応全然できない感じのため、全体的にショップレベルの差が激しいと思う。ちゃんと住み分けができているとも言えるか。

◎物価・食事
 高すぎる。物価安い国の周辺で1カ国だけ高い国というのは幾つかあるが、この国は「周辺諸国と仲が悪い」という特徴からかなり色んな面で割を食ってると思う。周りが産油国だらけなのにガソリン回してくれないのだろうことが想像できる料金とかさ。
 恐らく物流に関してもアメリカ頼みになってる部分が強いのではという気がする。というのも技術力が高かろうと国土の大くが砂漠であるイスラエルでは自国で生産できる農作物がそれほど多くないだろうし、物価高い先進国で頼みの綱となるスーパーのホームブランド商品という物がほぼ存在していない。輸入に頼るしかないのかな〜と思っちゃうよね。まぁ北欧ほどではないにしても、西欧よりよっぽど物価高の国であった。
 なおビールは最安値で1本150円強から見かけたが、アラブ系の商店では当然扱っていないしあんまり飲む機会に恵まれなかった。ということでイスラエルではコーラばっかり飲んでた印象が強い。
 ちなみに自転車ショップで交換したクランクセットは値札表示699シェケルだったのを299シェケルにまけてもらったので購入したのだが、クランクセットの値段ってDeoreで1万円ちょっとくらいのイメージであり、大幅値引きしてもらって約15000円というのは何とも恐ろしい。

◎総括
 日本からすると国際ニュースでしょっちゅう騒ぎを放送している危険な国という印象を持ってたが、多様な民族が混在しつつも危ういバランスで成り立ってるという、他の国ではなかなか味わうことが難しい独特な国であった。
 そうした背景もあって出入国を始めとした面倒な点も多い国ではあるが、小さな国土の割に観光も宗教も人の良さもギュッと詰め込まれてるイスラエルは非常に印象深い国となった。物価の高さ故に急ぎ足での旅行となってしまったが、それでも有名どころを一通り回れる程度のコンパクトな国というのは自転車的にも相性良いと思うのですよ。
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 イスラエル12日目&ヨルダン1日目 道路脇〜アンマンから北西に37km地点 畑

 深夜2時に謎の機械音で目を覚ましたのだが、こんな時間にテントのすぐ側で大型農業用機械が稼働していた。何もこんな時間に作業しなくても・・・と思いつつ様子を伺っていたのだが、小1時間エンジン鳴らしまくった挙げ句に機械をそこに放置して作業員は全員引き揚げてしまった。何かトラブルでもあったのか知らんが、とりあえず私の睡眠時間を返して。

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 そして早朝、普通に機械は動いて消えていった

 よく分からんけどそれは置いといてイスラエル最終日。残るは下り坂ばかりとなった道を進み、5kmほどで出てくる国境沿いのベト シェアンの町へ。昨日も金銭調整で買い物したけど割と小銭が余ってしもうたので使い切ろうかと思います。

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 町中に古い闘技場があった

 スーパーで小銭キッチリ使い切れそうな商品ないかと物色してると店長が「何か探し物か?」と声をかけてくる。話してたら商品割り引いてくれるどころか「コレも持って行きな!」とコーヒーまで頂いてしまう。

 ありがとうございます、特にイスラエルではコーヒー豆が高すぎたり買うタイミング無かったりで買い逃していたんです。

 ちなみにここでお礼言ってた時に「ウェルカム トゥ イスラエル」とこの国で初めて言われたのが何だか可笑しい。今からイスラエル出国するんだよね。

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 それではイミグレーションへ行きましょか

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 ヨルダンの看板出てきた

 下り坂を降りきったヨルダン川の手前がイスラエルイミグレーション。イミグレ敷地に入場する前から守衛が1人1人チェックしており物々しい雰囲気満載だ。あと手際が悪くてこのゲート潜るだけで15分以上待たされたし。

 とにかく指示された通り建物内入り出国税の支払いをば。下調べの通り107シェケル(約3360円)だったのはいいが、その後に「ヨルダンディナールあるの?無いならここで両替しなさい」とか言われ、いや私は自転車だから必要ないんだけど・・・という訴えは無視されて、半ば強制的に酷いレートで残してた50シェケルは両替されてしもうた。

 というのもどうやらイミグレーションの手続き後、国境を越えるにはバスを利用しなくてはならないようで。お金さえ支払ってしまえば出国手続き自体は何1つ聞かれることなくカード渡されて終了し、その先にあるバスターミナルで1時間以上待たされる。

 んでこのバスの運賃が1ディナールだったんだけども。別に5シェケルの支払いでも構わないとか言われてしまい「あのオバはんにハメられた!」とこのタイミングで気づいた。

 バスは300mも走らずにヨルダン側イミグレーション前で降ろされる我々乗客。イスラエルって国の面倒くささは色んなところで感じたけれど、この出国する一連の流れが最高潮だったな。やっぱイスラエルってちょっと普通じゃない国だった。

 最初にアライバルビザの申請窓口に行ったのだが「オマエはビザ必要ないから入国審査行け」と言われ、素直に従ったらスタンプ押されてしもうた。ビザが必要だと聞いたからこの国境を越えてきたんだけどな。手続き簡略化されてるだけなのか?

 その後に荷物検査があったことは完全に誤算というか、バスに自転車載せるタイミングで1度全て荷物を取り外しヨルダンイミグレーションの前でパッキングしたんだよね。僅か30mでもっかい全ての荷物取り外すことになろうとは。

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 この時点で12時半

 とにかくお腹空いたので敷地出て最初に出てきたレストランへ。郊外にも関わらず大型バスが止まってるレストランだし観光客相手の料金で大丈夫かな?と不安だったので「現金6ディナールしか持ってないけど・・・」と財布見せたら「まぁいいや、食べな!」と案内された。

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 ビュッフェスタイルだった様子

 イスラエルじゃこの倍支払っても食べられるか分からないのであり、ヨルダン来てよかった・・・と早くも喜んでいた私。

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 まさかメインが後から来ようとは

 面白いのがここからでマネージャーが「オマエ自転車だからたくさん食べるだろ!」と他のお客が残した料理を勝手に私のテーブルへと運んでくる。いやまぁ食べるけどさ、それってある意味失礼な行為だとは思いませんかね?

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 食べるごとに増えてく昼食

 他の団体客も私にペットボトル渡してきたりで最終的に魚料理3皿、ペットボトル9本とかテーブルに並んでいた。食事はともかく水は飲み切れないので半分ほど持ち運ぶことに。

 そんでお店出ようとするとマネージャーが「ペットボトルの代金支払え」とか言ってくる。私はしつこく「お金これだけしかないけど大丈夫か」と確認したのにさ、勝手にサーブして料金取ろうとするところが最高にアラブだと思う。

 ない袖は振れないのであり、何か最終的には幾つか手持ちのペットボトル渡して出発することになった。入国して1時間で既に濃ゆい体験してるな。

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 ヨルダン川沿いはまだ緑が点在してる

 走っていてもイスラエル比で20倍くらい住民から声かけられまくる。素直に応援してくれる人もいれば私を見かけるなり「マネー」と叫んで進路を塞ぎにくる挙げ句、最後は自転車引っ張って邪魔するクソガキまで多種多様。

 先進国では味わうことのなかった面白くもあり面倒でもある「放っておいてもイベントが勝手に向こうからやってくる」感覚を全身で味わってる。南米以来だなこういう気持ち。

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 本格的に何書いてるのかさっぱり

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 自転車乗ってて「止まれ!写真撮れ!」って言われることは普通ない

 1つ誤算だったのがヨルダン川沿いのこの道は、結構大きな町もある割にATMが極端に少ない。10km走ってようやく見つけたATMはカードが合わないのか現金引き出すことができないのであり、ほとんどの商店でカード支払い未対応のヨルダンでは現金がないと何1つ買い物ができない。

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 モスク撮ってる場合違う

 結局40Km近く走ったところで運良くカード対応してるスーパー見つけて事なきを得たんだけどさ。そこから僅か200m先にあったATMで現金引き出せた私の気持ちは複雑というか何というべきか。

 しかしヨルダンでATMがある町というのはかなり規模が大きいことを意味しており、日が落ちかけてるにも関わらず人家が続いて野宿できそうな場所が見つからない。その割にホテルも姿を見せないし、そもそもアラビア語でホテルって書かれていた場合は判別することもできやしねえ。

 結局道路脇に広がる畑へ降りていき、死角となる場所にテント張ってやり過ごすことにした。隣の土手の上にある家からは丸見えなんだけど、事情話したらOK貰えた(と思う。何しろ全く言葉通じない)ので良しとしよう。

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 イスラム国だからビールはあんまり飲めなそう

 2019年11月18日(月) 走行距離63km 累計104406km
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 イスラエル11日目 墓地の脇〜テルアビブから北東に76km地点 道路脇

 かなり見晴らしの良い場所で野営してたため朝の時点でかなり風が強く吹いてることはわかっていた。昨日は法学的に追い風となる方向へ走ってたので、どれだけ強く風吹いても構わなかったが今日は東の国境へ向かうので風が強いの勘弁してほしい。

 昨日はごく僅かの微風で今日は良い感じの強風とかさ、どういう嫌がらせだよ!?と思うワケです。

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 反対側が墓地

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 今日はしんどい走行になりそうだ

 20kmほど北上したところでぶつかるT字路からが今日の本番か。北東方向へと向きを変えた途端に真正面からぶつかる風に耐え進むことになろうとは、そりゃ朝出発する前の時点でわかっちゃいたけども。

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 どうにかなるまいか

 ただ幸いだったのが、1本軽めの上り坂を越えた後は基本下り基調であった今日のルート。スタート地点の標高は100mにも満たない高さだったけど、イスラエルの東部は海抜0mを下回る程標高地帯が南北に長く続いているらしい。

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 つまり死海はこの低地の一部に溜まった湖というワケだ

 お昼過ぎにイスラエル最後の大都市となるアフラの町へ到着し、昨日使ってしまった予備チューブの他幾つかの消耗品を残金ある程度残るよう調整しつつお買い物。イスラエルはビザ要らない国だけど、脱出する際に出国税を支払わなければならない国らしいので。

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 他に予備のチェーンも買っておこう 

 ちなみにここアフラの町からちょっと北上すると、イエスが幼少期を過ごしたとされるナザレという町があり、その町もキリスト教の聖地とされているらしいけど。正直エルサレムでお腹いっぱいという気分なので、ナザレには寄らずそのままイスラエルは脱出しようと思う。最初に走行ルート考えてた時には訪問予定だったんだけど。

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 町中の公園にピアノあるとか洒落てんな

 一通り買い物済ませて町を抜けたの16時前。この時点で既に太陽は地平線へと沈みかけてる状態であり、ちょっと手間取るとすぐ暗くなってしまう11月のイスラエルは忙しなくていけない。

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 はよ寝る場所探さないと

 主要道から離れた場所に木々が広がっていたの見つけそちらへエスケープ。上手いこと暗くなったタイミングで木々の中に今は使われていない矢倉があったのでそこで終了とした。何故「今は使われてない」と言えるのかだが、上に登ってみようとして階段が取り外されてることに気づいたからだ。

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 イスラエルはビール飲める機会が少なかった

 なおこのタイミングでルーマニアでゲットした味噌は全て使い切った。この先も南下するとなれば暑くなりそうだし早いタイミングで使い切って良かったとも言えるけどさ、次に味噌汁が飲めるのはいつのタイミングになるかと思うと気が重いよね。日本人だもん。

 2019年11月17日(日) 走行距離84km 累計104343km
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 イスラエル10日目 エルサレムの町〜テルアビブから北北東に30km地点 墓地の脇

 さてイスラエルを抜けてお隣ヨルダンへと行きたいのだが。イスラエルとヨルダンには陸路で3つの国境があり、素直に進むなら先日登ってきた坂を逆走しキングフセインという橋を渡る国境が1番近いことになる。

 だけどこの国境はヨルダンが領有権を主張している場所に当たり、本来国境で取得できるハズのヨルダンビザが発給されないという弊害がある。ヨルダン側にしてみれば「そこは俺の土地なので国境越えてきたことにならない。故にビザもここでは発給しない」という理屈。そういえばモルドバと沿ドニエストル共和国でも同じ問題があった。

 とにかくそういうワケで、私はキングフセイン橋国境ではなく北部のシェイクフセイン橋からヨルダンへ向かおうと思う。同じ道を走るの楽しくないのでむしろこのルートのが都合が良い。

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 そんじゃ出発

 人でごった返すエルサレム旧市街を出てそのまま大通りを北上する。2日前みたく下手に狭い道走ってまた壁にぶち当たるの嫌なので、素直に町を抜けるまでは主要道路だ。

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 面白かったよ

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 エルサレムの町を抜けていく

 それほど苦労せず国道1号線へと入り、さぁここから一気に町を抜けるぞ!と思ったところでまさかの雨。この時期にイスラエルで雨が降るなんて思ってなかったけども、エルサレムは山の上だからそういうこともあるのかな?

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 まぁいいや行っちゃえ

 ちょっと向こう側に青空広がってる景色から、雨雲エリアから逃げ切れるだろうと考えた私の考えは正しかったけどさ。雨に降られた5分間がずっと急斜面の下り坂でしかも両側を山に囲まれた谷底の道。必然的に雨水が道路へと流れ込んできてしまい、全身バッチリ濡れてしもうた。

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 そんでこの天気だもんなぁ

 しかもこの道路側道部分にやたらガラス片が散乱してる。トンネルを通過してる途中で後輪がパンクした時も「この路面状況じゃ仕方ないよなぁ」と思ってしまったんだけどさ。何か間違ってる気がする。

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 かなり大きな穴で修理手間取る

 結局チューブ1本交換して対処。「アフリカだと何処でチューブも入手できるか分からないし」と予めイスラエルで予備チューブ購入してたのだが、そのアフリカ到着する前にチューブ使うことになろうとは思わなんだ。

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 一気に山を降りて

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 イスラエルスタート地点の空港脇を通過していく

 ルート的には一旦西へと移動しテルアビブ付近まで戻ったところで北上する・・・という随分遠回りである。これはエルサレムから直接北上するとパレスチナのヨルダン川西岸地区ど真ん中を突っ切る形となってしまい、流石によろしくないだろうという判断のため。

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 危ない橋は避けていく派

 土曜日なので多くの商店が閉まっているのは先週経験済み。とはいえテルアビブでは個人商店がそれなりに営業していたし、まぁどうにかなるんじゃね?という楽観的な考えでいたのだが。

 どうやらテルアビブの町中のみが例外らしく、他の町では個人商店から大型のショッピングモールまで全ての店が完全閉鎖中。これではマトモに食料買うこともできやしない。

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 最悪ガソスタで何か買うけどさ

 かなり不安だったがようやく営業してるお店を見つけ、入ってみるとなるほど経営者がアラブ系の人だった。土曜の安息日はユダヤ教のルールだもんね。

 しかしアラブの人ってのは面倒くさいことも多いが親切である。この時も「まぁコーヒー飲んで行けよ」と誘われてしまい「そろそろ日没だから早めに野営地見つけたいんだけど・・・」と申し出を断りきれない茶壺さん。

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 結果完全に日が暮れてしまった

 悔しいのが日没になるとそれまで閉まってたお店が営業始めるということ。土曜日の日没とともにお店が開くとは聞いてたけどさ、それってレストランとかのサービス業のお店で小売店系は営業しないと思ってたんだよね。普通にスーパーとか八百屋が開いてたのには驚いた。

 変な時間帯に町中入ってしまい、なかなか野営地を見つけられないままズルズル先へ進む。テント張れそうな郊外の姿隠せそうなポイントをようやく見つけててみれば、そこは墓地だった。ちょいと一晩お邪魔しますと敷地隣にテント張らしてもらい、ようやく一息つけたの18時半。

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 1時間半くらいナイトランしてたワケだ

 死海は夜でも暑く、エルサレムは日が落ちると寒かったのだが、海抜ほぼ0mのこの場所は暗くなっても涼しげで気持ちのいい適温だ。地中海沿岸に人口が集中する理由も案外そんな点にあったりして。

 2019年11月16日(土) 走行距離104km 累計104259km
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 イスラエル9日目 エルサレムの町

 ここエルサレムこそがイスラエルの首都であるとされているが、日本を始めとした多くの国がコレを認めていない。私個人としてもこの土地は3つの宗教聖地が混在する場所として、他の概念を持ち込まないほうが良いと感じる。

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 それくらい一触即発の危険性を孕んでいると思う

 そんな多様さが聖地巡礼者だけでなく多くの観光客をも引きつける要因になってるエルサレム。早速色々見て回りたいとは思うけど、両足の筋肉痛と全身の倦怠感からなかなか動き出すことができず。

 とはいえ物価の高いイスラエルで更に超観光地でもあるエルサレム。ここで1日休養を取るという選択を仕切れないのが私の貧乏性たる所以。

 実際のところ宿泊してるHebron Hostelは1泊40シェケル(約1250円)と、イスラエルでは超格安で泊まれる施設なのだが。如何せん食事をするのが面倒臭い。

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 宿出て10秒で市場が並ぶけど

 経営してるのがアラブ系だからなのか料金表示がなく平気でぼったくって来る。最近はぼったくりというか相対する人間によって料金が違うというのは、その国の文化であり考え方の違いだから悪いことではない・・・とか思うようになってきたけどさ。その品物を買う買わないという選択権はこちらにあるのだし。

 ただもう細かな交渉がひたすらに面倒臭いのであり、かといってメニューがあるようなレストランは1食でホステル1泊分を超えるお値段徴収されてしまう。ホステルのキッチンは午前中しか利用できない制限があるため価値が薄い。

 一言で語れば「滞在するのに向いてない町」なのだ。なので見るべき場所見てサッサと次の土地へ行こうと動き出すことにした。

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 そんな消極的な理由で出たけども

 悔しいことにエルサレムの旧市街は面白いのだ。狭い旧市街の中もキリスト地区・ユダヤ地区・ムスリム地区・アルメリア地区と4つの区域に別れており、宗教と民族の違いがハッキリと見て取れる。

 そんな中で各宗教の聖地と観光客を当て込んだ土産物屋が混在しているのだから、これはもう混沌とでもいうべき様相を呈してる。クソみたいな商品法外に売りつけようとしたお店の向こう側ではキリストが亡くなったとされる場所に信者が手をついて嗚咽してるんだ。

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 聖墳墓教会へ

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 イエスが墓に入ったとされる場所とのこと

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 聖書読んだ人なら色々思うところあるのだろうな

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 私の場合は「装飾が豪華」という愚にもつかない感想に 

 そのままイスラム教聖地である神殿の丘、及び岩のドームへと向かったのだが、なんとこちらは立入禁止で追い返されてしまった。どうやらイスラム教の安息日である金曜と土曜日はイスラム教以外の人は入る事が出来ないらしい。タイミング悪いな。

 入れないものは仕方ないのでユダヤ教の聖地である嘆きの壁へと向かう。なお金曜日の午後からが最も多くの人が祈りに来るというので夕方に合わせて訪問してみた。

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 人混み嫌いだけど頑張った

 物凄い数の黒トレンチコートに黒シルクハットという格好した正統派ユダヤ人が壁に手をついて祈りを捧げているのは宗教という感覚が薄い日本人の私でも圧倒される凄みを持つ。

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 これが嘆きの壁か

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 なおこれ以上近くでは撮影禁止

 実際には多くの人が笑顔でピースサイン出しながら撮影しまくってたけど、当のユダヤ人はどう思ってるんだろな。聖地でも観光地でもそこを訪問するのなら一定のマナーとリスペストは必要だと思うのだけど。

 荘厳さと信者の熱心さ、それに加えて観光客の無茶苦茶加減を見ていると、いつの日かイスラム教みたいに信者でないと入場禁止措置取られちゃうよと私は物申したい。涙流して祈り捧げてる人を勝手に撮影とかしてるから嫌われるんだよ中国人観光客とか。

 ちょっと文句もいったけど、この場所にしかないであろう独特の雰囲気を味わえたのは喜ばしかったし興味深くもあった。ということでそろそろイスラエルも脱出しましょかね。

 2019年11月15日(金) 走行距離0km 累計104155km
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 イスラエル8日目 死海の側〜テルアビブから東南東に約50km エルサレムの町

 十分死海を堪能しすぐ側にヨルダンへと抜ける国境もあるワケだが、イスラエルという国に来たからにはエルサレムという町をこの目で見てみたいのは仕方ない。

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 むしろイスラエルといったらエルサレム 

 キリスト・ユダヤ・イスラムの3宗教における聖地が同一の土地に存在し成り立っているという世界唯一の町。そんな宗教に思い入れもなければ造詣が深くもない私だが、やっぱりエルサレムという土地がどんな姿をしてるのかというのは興味深くある。

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 そのために1200m登るんだけど

 出発と同時に上り坂。というか昨日の走行終了時点で登ってる途中だったのでこれは仕方ない。とにかく今日は坂を登りきったらそこで終了みたいなモンだ。ギア軽くして焦らず進もうか。

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 登れば多少は涼しくなるだろうし

 序盤にややキツい斜度の坂道があったものの、そこを過ぎると後は一定の緩やかな坂が続く道。今回はリアスプロケットをかなり歯数が多いタイプ(ペダルが軽くなる)に変えたので、多少は厳しい斜度でもイケるんじゃないか?と思っていたのだが。

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 あんまり活躍機会がないまま進む

 海抜0mを越えても景色は変わることなく道路が続いてる。思ったより良いペースだし調子よく登れてはいるけどさ、全身汗まみれだし連日走行で両足絶賛筋肉痛でもある。はよ終われと思いながらのクライムだ。

 20kmも過ぎたところで道路が2又に分岐する。素直に進むなら国道1号線だろうけど、そのルート上にはトンネルもあるみたいだしあまりに大きな主要道路で走るの怖いな・・・と思い別のルートを進むことに。これが後の大失敗に繋がる。

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 別に普通の町中と思うんだけどさ

 地図上ではエルサレムまで繋がってる筈の417号線だが、市内へと突入する直前で何故か道が途絶えてしまい、代わりに出てくるは軍隊の基地である。なんか知らんがエルサレムの市内へ入るには主要道路に設置されてる検問所を通らなくては入れないらしい。

 あとで調べた所ではパレスチナ地域と隣接しているエルサレムの町は、その境界線に壁を作って移動を制限しているとのこと。そういうことするからアラブの国と険悪になるんですよイスラエル君?

 それはともかく目の前まっくらですよ。分岐点の標高400m弱で、必死になってここまで登ってきたというのにUターンするとかさ。現在標高690mなのであり、返してください私が登った300m。

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 そんで分岐点まで戻って再び上り坂を駆け上がる

 なんでエルサレムって土地が山のてっぺんにあるのか?と、この時はそればっかり考えてたよ。距離的には10km程度のロスなのに、東京タワー1本分登って降ろされるとか体力的にもそうだが精神にキツいぞ。

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 それでも何とかエルサレム市内へ

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 旧市街は壁で覆われてる

 最初は壁の外側にあるホステルで泊まろうと考えてたけど、どの宿も料金高過ぎたため慌ててネット使って情報収集。結局旧市街の中にある格安ホステルにチェックインとなった。

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 狭い道自転車通すの一苦労だ 

 疲れて動き回る元気もないし、観光は明日に回すことにして今日は素直に休みましょう。元気ない割に町中歩き回ってATM探したんだけどな。こんなに早く手持ち現金がなくなるとは想定外だった。

 2019年11月14日(木) 走行距離49km 累計104155km
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 イスラエル7日目 死海の側〜テルアビブから東南東に73km地点 道路脇

 一晩中北からの風が吹いてて寝苦しい夜にはありがたいことである。走行中はただの邪魔者でしかない風だけども。

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 干上がった川のカーブ地点でした

 8時には走り出したのだがこの時点で既にアツい。ふと思ったのが、ここ半年ほどヨーロッパを周遊しててそれほど暑さに悩まされることがなかったのであり、すっかり私の身体が暑さに対して弱くなってしまったのだと思う。また1から暑熱順化して身体慣らしていかなくては。

 しかしペダルが重たいのは暑くてへばっているからではなくスローパンクのせいだった。せめて日陰となる場所でパンク修理したいけど、そんな余裕もなくタイヤがベコベコになり始めたため炎天下の元に佇むゴミ箱の脇でパンク修理。

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 ここでドライバーの人からパン貰った

 修理終えて改めて先へと進む。ところでイスラエルにおける死海沿岸部は基本、多くの人が居住しているような町は存在せず観光客を目当てとしたリゾート地区が点在してるのみである。

 しかし極僅かに植物園を有する集落や工事施設の拠点として作られた村が散見され、そうした人たちのために個人商店も存在している。私もここで食料買い物しようと思っていたのだが、何故か崖側の高い場所ばかりを拠点として村が構成されてるため、アホみたいな坂を登らなくては買い物1つできやしない。

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 エグい斜度だった

 なおこの町の入口にはゲートがあり入場者を逐一チェックしていた。色々と問題抱えてるパレスチナ地区の最寄に位置してる村だからと考えるが、対応した係員は非常に親切で「暑くて大変だろ!水飲むか?」とそのまま守衛室色々ご馳走になってしもうた。割とゆるい雰囲気なのかもしれない。

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 こういう自転車に優しいポイントは全てリゾートエリア

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 でもここで格安の折りたたみマット買えた

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 そんなー418mも下がってないと思うけどな

 ちなみにイスラエルというとパレスチナという名前がよくニュースを賑わしているが、ざっくり言うとユダヤ人がイスラエルを建国した際、その土地に住んでいたパレスチナ人が住む場所を失い逃れた場所である。名前でいうとイスラエル国内の「ヨルダン川西岸地区」と「ガザ地区」が該当する。

 個人的には歴史的に国を追われたユダヤ人がこうしてイスラエルという国を得ると、パレスチナ人に同じことしてるというのは色々モヤモヤするとこがあるけど本題と外れるので割愛。

 とにかくことの成り立ちは置いといて、ヨルダン川西岸地区においては現状イスラエル人が統治しイスラエルの人々が普通に生活するちょっと軍隊による検問が多かったりするだけの地域だ。少なくとも死海の沿岸ではそう感じる。

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 そんなことよりアップダウンを無くしましょうよ

 実はこの近くに温泉があるという情報得ており、死海を眺めながら湯船に浸かれるなんてなんと贅沢な!と非常に楽しみにしてたのだが、いざ該当箇所に来てみたら死海の一部分で湧いた温泉に入れるというポイントであった。しかも近くに施設も何にもない場所。

 つまりあのヌルヌル水を浴びた後でシャワーも浴びれない死海温泉なのであり、流石に入るの辞めといた。駐車場の時点で硫黄の臭いがしてワクワクしてたけどさ、全身塩まみれの状態で自転車走らせたくはない。

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 ちなみに駐車場がここ

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 残念無念

 死海の北部へ行くに従い徐々に平坦な道路となり、不思議と風も弱まりペースが上がる。15時過ぎには湖(死海は湖)の北端まで走りきり、そのまま低標高地帯からの脱出を図る。

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 この崖の頂上くらいが海抜0m

 とはいえ0m地点までならまだしも、この道を進んで到達するエルサレムの標高は約800mときた。つまり合計1200m近い登りなのであり、そういうのは明日に回して今日はもう休みましょう。

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 ラクダもそうしろって言ってるよ

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 食材消費して少しでも軽い状態で登りたいし

 まだほとんど上り坂に手をつけてないが、何故だか昨日よりだいぶ涼しい。やっぱり死海の近くというだけで暑くなる、何か要因でもあるんじゃないかと思うんだけど。単なるプラシーボ効果かもしれない。

 2019年11月13日(水) 走行距離67km 累計104106km
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