自転車ときどき世界1周

2019年12月

 エジプト23・24日目 ルクソールの町〜カイロから南南東に約590km エドフの町

 まだ復調したというには程遠い状態で今日も宿に延泊お願いする。そろそろエジプトの滞在期限が迫っているためあまりゆっくり出来ないのだが、とはいえ体調悪いまま無理して走ってもロクな結果にならないのは間違いない。

 まぁ私もそれなりに自転車旅行続けてきて、国境までの残り距離さえ分かればエジプトの土地や路面状況から何日間で走りきれるかはほぼ確実に予測できるから多分大丈夫だろう。予想外のことばかり起きるのがエジプトって国なんだけどさ。


 翌日。完調したとはとても言えないが出発準備を行いルクソール脱出をば。流石に4日連続寝込んでいるのもアレだし単純にホテルの部屋缶詰状態に飽きたというのもある。もうYou Tubeは向こう1年見なくて良いって気持ち。

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 最初はやはり両腕に違和感あり

 とりあえずルクソールの郊外にある検問で再び警察の追走が始まると思っていたが、理由は分からんけどスルーされた。交通量多かったから私にまで注意が向いてなかったという説を推したい。

 ともかくおかげさまで暫くは自由の身だ。1度追走を始めた警察車両は管轄外で交代するからちょいちょい入れ変わるけど、警察が付くのは割と大きめの検問エリアで自転車を止められた時である。何なら隣でパトカーが通り過ぎようが何の問題にもならない。

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 つくづく何のためにやってるのか分からん

 あと重要なのが警察が追走してくるのはどうやら「任意での行為」ってとこ。要するに彼らは旅行者の行動を侵害する権利までは得ておらず、あくまで「外国人旅行者を監視する」という業務であるため仮に私の姿を見失ってもそれは彼らの業務怠慢であると言い張ることができる。

 これを裏付けてるのが警察に付き添われ町歩きしてても彼らは「そっちに行っても何もない」とか「そんなとこ行くな」とは言うものの、私の移動を制止することはなかった。要するにその権限がないのだろう。

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 これはすごく重要な点

 私も異国のルールや法律を犯すつもりは毛頭ないのであり、こうした「ここまでならやっても良い」というラインの見極めは割と重要視している。自分に与えられた権限の中で最大限それを活用するというのは、旅行じゃなくてむしろ仕事に重要なスキルだと思うけど。

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 50kmポイントの検問で止められた

 ということで晴れて警察車両を後ろに付けての走行開始。1週間ぶりだし感慨湧くかな?とか私が思うハズないのだけど、今回の検問は警官の対応が非常に紳士的だったので此方も気持ちよく応対できた。すると不思議に後ろから追ってくる警察車両にも嫌な気持ちは受けないのだから、人間の心理ってのは複雑だ。いや、単純か?

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 左手は完全に砂漠が迫ってきた

 ふと気づいたことで、周囲から呼びかけられる言葉の種類が「ハロー」「ワットユアネーム」「マネー」の3種類に限定されるようになった。これがルクソールだと「チャイナ」とか「ニーハオ」といった言葉が多数混じっていたのだが、そうしたセリフが消えてしまう辺り如何に中国人が観光地にあふれているかという証明かと。

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 本当どこからでも声かかってくる

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 自転車だと追いかけてくる子も多い

 最初は「このまま警察出なかったら野宿で」と思ってたけど、予想通り途中から追走始まったのでルクソールとアスワンのちょうど真ん中に位置するエドフの町にて走行終了とする。というかルート的にこの町以外は道中多分宿がない。

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 4軒も見て回った末に

 最初のホテルが1番条件が良かったという自転車旅行あるある。面白かったのが3軒目のホテルで言われた「ウチのホテルはエジプト人も日本人でも料金同じだぞ!」とオーナーの台詞。

 アメリカとかじゃ国とか人種の問題ってすっごくナーバスだというに「外国人でも差別しないぜ」ってのがアピールポイントになるんだからねエジプトは。この言葉ってつまり「普通のホテルや食堂では差別が横行してる」と言ってるワケでさ。

 人類は未だ時を遡ることはできてないけれど、アフリカにやって来ればある意味で50年前の時代を体験することができるのかもしれない。なにそれすごくイヤ。

 2019年12月24日(火) 走行距離  0km 累計105861km
 2019年12月25日(水) 走行距離118km 累計105979km
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 エジプト21・22日目 ルクソールの町

 明日から走行再開だとベッドに入って2時間は経過しただろうか。私は謎の腹痛と関節の痛みで寝付くこともできずに悶え苦しんでいた。

 朝の時点で全身の倦怠感と激しい下痢から「こりゃ今日走行するのは無理だ」と延泊申請し大人しく部屋で横になって過ごす。

 そのまま日が落ちるまで休んでいたが、一向に体調回復する兆しを見せず。ホテルのオーナーと話す機会があったのだが調子が悪い旨を告げると「そういうことならこれを飲め」と薬をもらい、その後レモンティーをたくさん頂いた。

 後で調べたところエジプトでの腹痛は感染症パターンであることが多いらしく、その時にエジプトではレモンティーを飲んで対処するのだそう。

 自分自身でも抗生物質を飲んでとにかく睡眠を・・・と思ったのだが両腕が筋肉痛みたいな感じで張ってる状態で、横になると内側からジワジワと痛みが広がってくため2日続けてロクに眠れない。最後に時計見たの4時過ぎだったと思う。


 翌日。全く体調回復しておらず更に延泊。今年はブラジル・ヨルダン・エジプトと体調崩して動けなくなることが多いな。この間に走ってるヨーロッパ地域では全く体調不良となることがなかった辺り、やっぱり衛生状態が悪い土地なのだろうと思う。

 良い機会なので私の病気に対するスタンスに対して語っておくと、食事や飲み物は「現地の人が食してる場合は自分も食べる」というのを一定のラインとしている。

 そもそも後進国の田舎となると安全な物のみを口に入れて旅行を続けるというのは現実的に不可能で、まして自転車となればエネルギーも水分も人一倍多く補給しなくてはならない。

 こうした状況で食べ物を選んでなどいられないのであり、今回みたいに食あたりして動けなくなってしまうことは半ば「仕方ない」くらいに割り切っている。薬飲んで安静にして、それでも回復しなけりゃ病院行けば良いさと。

 そういう意味で今回はルクソールというエジプトでも主要な大観光地で体調悪くしたの不幸中の幸いであった。どうにもならない田舎だったら無理して自走するなり、バスで都市までワープするなり対応しなくちゃならんかったし。

 2日続けて夕方日が暮れたあたりで夕食に外出、食後はまっすぐ宿に戻りまた部屋に篭って待機する。この2日間で部屋の外に2時間も出てないな。

 21時の時点で腹痛は治まってきたが、未だ両腕の関節が痛むのだが。明日出発できるか微妙なところだ。

 2019年12月22日(日) 走行距離0km 累計105861km
 2019年12月23日(月) 走行距離0km 累計105861km
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 エジプト19・20日目 ルクソールの町

 とりあえずこの宿チェックインで3泊取ったのだが、間にある2日間は「元気あったら初日に観光、無かったら休息」という考えでいた。観光するのもそれはそれで疲れるので。

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 割としっかりした無料朝食が

 んでこの食事終えてから次にアクション起こしたの13時半。私は自分で思ってた以上に疲れてたのかもしれない。

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 お腹空いたから動き出した説

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 折角なのでルクソール神殿を写真撮りつつ

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 町中心部のすぐ側にあんだよねこの神殿

 宿に戻って自転車の整備作業をば。イスラエルからそれほど長期間経ってるワケでもないのに相当な汚れっぷりには私もビックリというか、多分この汚れ原因ほとんどはカイロ出発した日のにわか雨なんだよね。ひと時の雨はとんでもないお土産を残していった。

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 3時間弱で終了

 案の定動き回ることなく休息日となってしもうたが、最低限掃除関係を終わらせることができたので良しとしたい。むしろ観光というのは「楽しくてやること」なのに対し掃除は「やらなければならないこと」であり、面倒な方の作業を先に片付けた私はエライ!そういうことにしておこう。


 翌日。そんなわけでルクソールにあるカルナック神殿へ向かうことに。ここルクソールにはカルナック神殿以外にも市内にあるルクソール神殿やナイル川対岸にある王家の谷、果ては5000円以下で乗れる格安気球ツアーなんてのもある大観光地。

 全て見学してたらそれこそ時間もお金も足りないのであり、そうした中で私が1番興味を引いた場所がカルナック神殿である。というかルクソール神殿は敷地の外から昨日見たし。

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 ということで神殿へ向かう

 このルクソール神殿とカルナック神殿はもともと参道で繋がっていたらしく、今でも写真のように両端にスフィンクスが鎮座した道が残されている。この道が邪魔で反対側へ渡るの苦労したとかそんなこと言わないよ。

 片道たっぷり1時間かけてようやくカルナック神殿に到着する。こんなに距離あると知ってれば素直に自転車使って来たのだが、昨日あんなに時間あったにも関わらずそういう重要な情報は何1つ調べていなかった私。

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 良いのだちゃんと着いたから!

 「神殿」とされるだけあって、基本は1つの大きな建築物である。それでもなお最初は様々な場所に建物が並び立つ「遺跡群」だと思ってしまうほどにその規模は大きく、数千年の時が経ってもなおその姿を残している。

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 そりゃ復元されてるのが大多数だろうけど

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 この光景には胸躍らせますよそりゃ

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 石柱が並び立つメインホール

 こうした柱の1つ1つにヒエログリフが刻まれてるのが面白いところで、改めて見てもこれって「絵」なんじゃないかと思うんだけどさ。私みたいな人からしたらアラビア文字とかもその形が格好いいと思うし、似たようなところで外国人には漢字が人気だと聞く。

 でもこのヒエログリフは正しい意味で芸術と文字としての情報を伝える言葉として非常に珍しいのでなかろうか。絵が文字としても扱われるって発想は、大量の情報を簡易に残す文化がなかったからこそ作られたのか、少なくとも現代ではあり得ない考え方だよな。

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 書き残すの手間だもん


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 このやたら縦に長い棒がオベリスク

 この名前もやっぱり遊戯王で覚えた私だけど、あの漫画ほとんど勢いと語感の良さでこの単語を使っていたのがよく分かる。古代エジプトでは無数のオベリスクが作られたとあったけど、要するに細長い石棒を無数に立てたということ。

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 しかし古代エジプトの技術はすごいわ

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 よくまぁ当時でこんだけ立派な神殿作ったよな

 満足したので再び1時間歩いて宿まで戻る。間違いなく定期バスとかが運行してるハズだが、探そうとしても声かけてくるエジプト人は「バスなんかこないぞタクシー乗れ」と嘘ばっかついてくるのであり、余計なストレス抱えてバス探すより素直に歩いて帰ろうと思っただけ。

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 多分歩いた時間と見学した時間は同じくらい

 宿戻る前に昼食摂って、ビール買って。サボってた日記とブログ3日分一気に書き上げる。やっぱり多少動いたりした方が何事にもやる気が出るというのは真理だね。

 2019年12月20日(金) 走行距離0km 累計105861km
 2019年12月21日(土) 走行距離0km 累計105861km
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 エジプト18日目 キナの町〜カイロから南南東に約500km ルクソールの町

 カイロから休まず走行続けて今日で8日目。珍しいことに体力面よりも精神面が疲弊してる感じではよ休みたいと思ってる。自転車旅行で体力よりも精神疲れさせるとか凄い国だなエジプト。

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 大体警察のせい

 普通に出発準備し宿の入口まで自転車持っていったのだが、何と警察は待機してなかった。宿の従業員も特に連絡する様子はなく、久しぶりに自由を手にエジプト走行の始まりだ。

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 まぁ15kmの命でしたが

 3つ目の検問からしっかりパトカーが私の後方に着いて来るようになったものの、無意味に止められることも無かったし、私に要らん指示して来るでもないならまぁ良いかな。頼むから旅行の邪魔だけはしないでほしいという気持ち。

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 観光地が近いからか目に見えて花が増えた

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 こういうトンネル風の道もエジプト初

 ちなみに今まで何度か「どうして警察が着いて来るの?」と質問したことがあるのだが、1番マトモに回答してくれた人の説明が「ここは別の国の人が暮らし、あなたたちとは異なる文化だからだ」という旨のことを言っていた。

 うんそうだね、誰においても自分の国以外は全て同じ条件だと思うけど、警察車両が後ろを着いてくるのは今のところエジプトだけなんだけど。治安が悪いから、とか理由がハッキリしてるなら私だってそんな文句言いませんよ。

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 でも警察たち曰く「危険じゃない」

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 結局誰もマトモに答えられないというね

 後進国の警察なんてその程度というのは経験上理解してるつもりで、私もちゃんとした説明が受けられるなんて思っちゃいないけど。ただこうした人たちへ下手に権力持たせるとロクなことにならないというのはよく分かる。

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 というのもさ

 ルクソールまで残り10kmというポイントでやや大きめの検問が出現し、自転車止めさせられお定まりの質問タイムとなったのだが。

 ルクソールではどの宿に泊まるんだ?と聞いてきたので、下調べしといたホテル名を答えるのだが「そんな名前のホテルは知らん!」とかヌカしおる。いや知らないのは貴方の知識不足であってそれは別に良いけどさ、その責任を私に求められても困るんだけど。

 腹立つのがさ、コイツら業務で宿泊先を残しとくとかそういうのじゃなく「ただ質問してる」だけなんだよね。その返答内容が「自分の知らないホテルだから通さない」とかさ。地図見せても納得しないしどうすりゃ良いのさこの馬鹿は?

 とか問答あったけど面倒くさくなったのか結局「もういい、行け」と解放された。こんなイベントがしょっちゅう発生してるから精神すり減らすんだよなエジプトは。

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 やっとルクソールだ

 町に入る直前から警察の追走がなくなり自由の身に。これは他のサイクリスト情報で知ってたので驚きはしなかったが、町中至る所に外国人の姿が溢れ道端にゴミが無くなったのはビックリした。

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 完全に別世界

 最安値の宿でも良かったけれど、ルクソールの滞在主要目的は「休養」なので評判良いちょっとだけお高めの宿に投宿することにした。それでも1泊1000円とかそんなモンだけど。

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 大変だったから余計にビールが染み渡る

 このままダラダラとルクソールを過ごしたいの山々だが、とりあえず厚物衣類の洗濯と自転車整備というタスクがあるんだよね。これをやっつけねば緩やかなルクソールの日々は送れないと思いつつ。ビール3本飲んでしまった私は「まぁ次の日やろう!」とか言ってます。ダメなパターンだぞコレ。

 2019年12月19日(木) 走行距離72km 累計105861km
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 エジプト17日目 ナグ・ハマディの町〜カイロから南南東に約460km キナの町

 久しぶりの狭くて窮屈な部屋だった宿だが、問題なのはそんな狭い部屋にも関わらず蚊がウヨウヨいたことだ。おかげさまで深夜2時をすぎてもなかなか寝付けず絶賛寝不足の朝である。

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 こんだけ狭くても蚊を見つけ出すのは難しい

 幸いなことに今日は無理せず距離短縮した楽できる日。とりあえず不足してる睡眠時間を取り戻そうと9時過ぎまで寝てるつもりだったのだが。こういう時に限って警察が「いつになったら出発するんだ?」とかドアを叩いて起こしに来る。ワザとやってるとしか思えない。
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 そんな感じで10時出発

 カイロからここまでずっとナイル川は左岸側を走ってきたのだが、ここで橋を渡って右岸側へと移動する。別に川の両岸どちらにもずっと道路は続いてるのだが、地図の雰囲気的にここより先は反対岸がメインの道路になってそうなので。

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 割と低い陸橋を渡っていく

 世界最長の川だけど川幅自体はそれほど大きくないし雰囲気的にはそんな圧倒される感じを受けないナイル川。これは比較対象がアマゾン川になっているからで、あれと比べたらそりゃ迫力不足に見えるのも仕方ない。

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 ワールドクラスの川となるとついアマゾンと比較してしまう

 ところでこのナイル川もやはり直線的にはなっておらず、ところどころ蛇行している。今日の走行ルートはそのカーブして北東に向きを変えたポイントから、再びカーブして南へ向きを戻すまでの間ということになる。アルファベットの「N」を鏡文字にした形で想像してもらえれば大体正解。

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 ずっと線路と平行に走ってるけどここまで接近したのは初

 このルートが何を意味するかといえば、2日前より恒常的に北から吹いてた追い風が私の邪魔をする存在へと変わったということ。

 お陰様で今日は走行ペースもガクンと落ちるしペダルも重たいのなんの。昨日無理して走らなかったのはこの逆風による悪コンディションでの走行をやりたくなかったからでもある。

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 色々考えて予定は決めてるつもり

 川の反対側に移ったことでか、それまで定期的に現れてた町があまり姿を見せなくなった。代わりに左手遠くにテーブルマウンテンみたいな山が立ち並び、心なしか農地の向こう側に広がる砂漠地帯も近づいてきたように思う。

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 エジプトでは結構人を撮ってるな

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 ミャンマーでも見た水分補給用の壺

 この壺に入ってる水って何時の時点で補給されたか分からないため、よっぽどの状況でもなきゃ飲むの不安に思っていたけど、実はエジプト初日の朝にトラックがこうした壺に補給するのを目撃している。

 どうやらこうした水は何ヶ月も放っとかれるワケではないようで、本当エジプトは水に関してすごく気を使ってるというか、今まで走ってきた道では必ず定期的に飲料水用の機械なりこうした補給用の水が用意されている。

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 ということでキナの町へ

 大観光地ルクソールが近いからか、ここキナの町も随分と賑やかだしアラビア語でない英語表記の文字を多々見かける。何しろKFCの店舗もあったのだ、キナはツーリスト寄りの町だと私は言いたい。

 そんな旅行者向けの筈だったキナの町だが、何故か宿探しが難航する。というのも町に入るなり警察が「ホテルまで連れてってやるから後について来い」と先導するのはよくあるパターンで、まぁ私も知らない町だし自力で探すより楽だから・・・と素直について行ってたのだが。

 何故か毎回ホテルのフロントまで連れて行かれた挙句に引き返すという謎行動。恐らくは満室だとかそういう理由と思うのだが、警察は私に何1つ説明してくれないし遂には「今日中にルクソール行けよ」とか勝手なこと言い出す始末。2時間連れ回して16時過ぎてからそのセリフはない。

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 結局5件目のホテルでようやく投宿

 なんかもうね、どう転んでもエジプト警察とは上手くやれない気がしてきたよ私。多分根本的なところでウマが合わないんじゃないかと思うのだけど。やっぱ前職の関係で「公務員は市民の前で適当な対応してはならない」と心のどこかで思ってるんだろうな。

 私自身そんな立派な職員じゃなかったと思うけどさ、エジプト警察の仕事ぶり見てるとやっぱり一言物申したくなるもん。

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 まぁ今日は宿で解放されたので良しとしよう

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 バルコニーから立派なモスクが見える

 そういう意味では非常に立地の良い宿かもしれないが、それってつまり大通りに面した場所ということなんだよね。夜になってもクラックション鳴らしまくりでうるさいエジプトの町だが、どこも当然のように防音設備が貧弱というかこの宿に関してはベランダ窓の鍵が壊れて施錠できないという。

 今日もやかましいエジプトの夜は、神経図太くないと休むことすらできやしない。

 2019年12月18日(水) 走行距離66km 累計105789km
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 エジプト16日目 ソハグの町〜カイロから南南東に約460km ナグ・ハマディの町


 カイロから連続走行も6日目。いくら平坦基調の楽な道とはいえ流石に疲れが溜まってきたか、朝になってもなかなか起きられず。もういっそここで延泊しようかと迷ったのだが、昨日警察に「8時から9時の間には出発する」といった手前、時間過ぎても私が現れないと部屋まで踏み込んでくるのだろうなあの人たちは。


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 それは気分悪いのでやっぱり出発する


 エジプトでも12月だと朝晩はかなり冷え込む気温だったが、今日は出発時から暖かくて上着が必要ないほど。なんだかんだカイロから400km近く南下してきたことで、冬でも暑い地域へ突入し始めたのではないかと思われる。


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 今日は出発する前に朝食済ましておいた


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 ソハグの先に町がなさそうだったから


 なお朝食を食べずにどの程度まで走るの許容できるか?というと、私の場合は20kmがいいとこかな?というイメージ。昼や夜は多少遅くなろうが最悪食事にありつけなくても乗り切れるが、朝だけは食事摂らないと身体が動かなくなるよ。


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 ときどき大音量の音楽流してこんなトラックが町を彷徨いてる


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 この国の子供はみんないい笑顔するよね


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 せめてメインの重要な看板くらいは英語表記混ぜてほしい


 警察車両も切り替えも待ち時間0で順調だし、偶にひっどいボコボコの路面が出てきたりするものの全体的には楽して走れてる。これでエジプト人の最悪な交通マナーとそこら中に設置されてる速度落とさせるための段差がなければエジプトもっと楽しく走れるのに。


 というか道路に段差を作る国ってのは、前提として車のスピード超過が蔓延してる国なのだろう。当たり前のルールが守れないドライバーばかりだから、強制的に町中や出入口に段差を作って速度を落とさせると。


 スーダンビザ取得のため推薦状もらいに日本大使館行ったとき、職員の人から「エジプトの交通マナーは酷いので十分注意してください」と言われたのだが、これはかなりオブラートに包んだ言い方だったのだと今は思う。


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 アラブで水タバコは「シーシャ」と呼ぶ


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 1日で200回くらいは声かけられてるかな


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 全力で追いかけてくる子供も数人いる


 追い風も手伝って15時にはナグ・ハマディの町に到着し、今日はここで終了としたい。あともう30kmほど余計に走り、翌日もう100kmほど走れば明日中に一応の目的地であるルクソールへ到着できるけどさ、流石に疲れてそんな頑張れそうもない。刻んでいきましょう。


 ということで宿にチェックインした後で町を歩き回ろうとしたのだが、思いっきり後ろを警察が付いてくんの。しかも「何しに外出るんだ?」だとか「そっちには行くな」みたいな余計なこと言いまくり。腹立つのが向こうも英語なんか喋れないため理由を聞いても何1つ答えられないという点で。


 結果何しても「NO!」「NO!」とわめき散らしてくる鬱陶しいだけの存在に。エジプトは町中の大通りを歩くのが悪いのか?パン屋を覗くのが駄目なのか?自転車見つけて入ると問題になる国なのか?


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 もう本当に面倒臭い国


 とりあえずルクソール着いたらこの鬱憤を晴らすべくビール飲みまくりたい。エジプトもイスラム教の国なので、観光地でもないと酒類を販売してるお店がないのです。


 2019年12月17日(火) 走行距離93km 累計105723km

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 エジプト15日目 アシュートの町〜カイロから南に約390km ソハグの町

 個室で100ポンド(約680円)と素晴らしい値段にも関わらず、Wi-Fiもあったしやっぱエジプトはコスパ良い国だと思い直してきた最近。ただアシュートなんて町に普通バックパッカーが来ること無いだろうし、観光地ならばホステル系の安宿が乱立している。

 そうした外国人の旅行者をアテにするには微妙・・・という立ち位置の町にあるこうしたホテルは経営方針も地元客を対象としたモノになるのだろう。具体的には英語喋れるスタッフが居ないとか。

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 正確にはエセ英語できる人が2人いた

 ちなみにエジプトの田舎は英語できる人の割合1〜2割のイメージで、じゃあそれ以外の人とはどうやって意思疎通してんの?となるのだが、そりゃもう勢いと押しの強さで乗り切るですよ。

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 朝はちゃんとエネルギー取らないと

 相変わらず後ろに警察車両が付いてくるが、昨日の警官とは既にメンバーも違うし一晩経って私も頭が冷えたこともあり、まぁそれなりに付き合っていこうと思い直す。何よりずっと怒り続けるってエネルギー要るからそんなに持続できないよ。

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 お、ナイル川の傍に出た

 その警察だが初日・2日目と違い短距離で交代を繰り返すようになってきたのが頂けない。事前に車両待機してることが多く荷物も私が全て積載してるので引き継ぎ自体はスムーズなのだが、毎回新しい警官に「名前は?」「どこから来たんだ?」「どこに行くんだ?」の3点セット繰り返し答弁するのアホらしくて。

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 何で毎回こんな応答してんだろ・・・と考えてしまう

 昨日からフォローする向きへと変わった風は、今日になって完全に後方からの追い風となった。エジプトのどフラットな土地を合わせると、これほど自転車で走るのに楽な道はないのでありお昼の時点で70km強。それで全然疲れてない程度には楽ができる。

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 その代わり景色の変化は少ない

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 のでポーズ決めた子供を撮ったり

 好奇心旺盛というか外国人見かけると声をかけずにはいられないのがエジプシャンらしく、とにかく沢山の人が寄ってくるんだけどさ。後ろの警察がそうした人たち「あっちいけ」って散らしてしまうので、私はあんまり地元っ子と交流できないのでございます。虎の威を借ってる狐のポジションは寂しい。

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 食堂で囲まれた時の1枚

 お昼休憩ではお店のオーナー(と思う多分)が英語できたので注文から雑談まで色々話すことができたのだが、支払い時に「わざわざ日本からマラガの町まで来てくれたんだ、お金はいらないよ」と料金受け取ることなく無料にしてくれた。

 実はこのお店に来るまで2件連続して私を見るなり料金倍額に値上げする(それも警察の前で!)といった食堂に当たっており「じゃあ別の店行くよ!エジプト人はこれだから・・・」と腹立てる一方で、こうして見返りを求めない親切を送ってくれる人もすごく多い。

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 エジプトというのはそういう国なのだと思うようになってきた

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 15時にはソハグの町に到着

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 自転車ショップがあるとつい見学してしまう

 どちらにしてもエジプトを自転車で走るならば、強靭なバイタリティーと精神力が必要だと私は思う。嬉しいことも腹立つことも怒涛の如く押し寄せてくる国であり、1時間ほど町を散歩しただけで女児5人に取り囲まれ「金くれ」と言われる謎イベントがあったとして、私はどうすりゃいいのんか?

 2019年12月16日(月) 走行距離103km 累計105630km
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 エジプト14日目 ミニヤーの町〜カイロから南に約320km アシュートの町

 エジプトの物価は驚異的な安さで食事は選べば1食50円切りで食べれる反面、観光地でない町の宿は1泊1000円を超えてくる。食費と比較するとちょっと宿の値段が高すぎると思うのだ。

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 個室だし朝食も付いてて良い宿なんだけど

 フロントで待ち構えている警察に合流し、やっぱり今日も付いて来るのか・・・と若干テンション下がりつつ。今日の行程でキャンプできないと非常に面倒なことになるんだけどな。とか思いつつ出発準備してたのだが、どうやら警察が荷物を運んでくれるとのこと。

 そもそも初日から「自転車ごと車に乗せろ」と言われたのを拒否して走っていたのであり、向こうにしてみれば自転車一式乗せてサッサと管轄外まで運んでしまいたいというのがあるのだろう。

 なので警察にとってはメリットのない「荷物だけ運んでもらう」という行為だが、私にとっても荷物一式を質に入れたことになるため気持ちとしては遠慮したい。警察が私の荷物を盗んだりしないだろうか?という不安が付きまとうの嫌なのだ。

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 色々思うところあるけどお願いした

 というのも空身の自転車は巡航速度が違う。先日と変わらぬ「やや向かい風」というコンディションだが、平均速度で7〜8km/hも差が出るというのは無視できない要素なので。これなら130km離れたアシュートの町まで1日で辿り着ける。

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 何も問題がなければ、ね

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 トラックに人間が過積載

 ロシナンテ号ことロングホールトラッカーはそれほど高速域を走るよう設計された自転車ではない。それに加えてフルパッキンで走ることを想定したギア比にしてるため、この状態だとアウタートップ(1番重いギア)に近い状態でちょうどいい踏み具合だったりして普段とは異なる乗り味だ。

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 スポーティな感がある

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 吊るし切りって絵になるよね

 ガンガン走って70km。ここからアシュート県に突入するらしく追走してきたパトカーが別の車両に交代する。するのはいいが、その車両がいつまで待ってもやって来ない体たらく。なんで私が引き継ぎ業務のあおりを受けなきゃならんのか。

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 無意味に30分以上待たされつつ

 待たされたことで時間がややシビアとなったため、ちょっと気合入れてペースを上げて走ろうかと思った矢先にパンク。すげぇデカい釘踏んだので一瞬でタイヤベコベコになってしまったが、こういうパンクの方が原因はっきりしてるためかえって修理は早かったりする。

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 敷地お借りした家の皆さんと警察と

 このパンクポイントを前後して道路の進行方向が南東へと切り替わる。今まで吹いてた風の向きが西からだったため、ここから追い風となったことで諸々の停滞をチャラにする怒涛の追い上げ。

 この後も検問でちょいちょい警察の交代によるストップを挟むのだが、100km地点で交代しアシュート郊外までを担当した車両がスタートするなり私を放って先へ行ってしまった。

 いやちょっと待て、これ道1本でも違えたら私の荷物は最悪全てロストという結果になるし、そもそも先行って待ってるなら「警察の護衛」って名目は何の意味もないってことじゃん!こっちだってそれを理解してるから基本的には合わせて走っていたというに。

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 荷物持った車が消えたという恐怖感はかなりのモノ

 結局20km先にあった検問に車は待機してたのだが、この行為のせいで徐々に作られた警察への信頼は0に。もう彼らに対する不信感いっぱいなので、荷物は全て回収し存在完全に無視して走ることとした。交通渋滞で追いついてこれなかろうが知ったことか。

 適当に見つけた宿にチェックインし夕食へ。どうせ宿の方で勝手に警察へ連絡入れると思ったら案の定で、荷物運び入れたタイミングでパトカー来てた。

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 ここも県都の町らしい

 何か文句言ってきたら思いっきり喧嘩してやる気分だったが、翌日の出発時間を(ホテルに)確認したらサッサと引き上げていった。話しかけちゃマズいと思わせるほど怒った顔してたのだろうか?

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 エジプトにもグラタンがあった

 此方がお願いしたことだし結果的に何もなかったことでさ、それに対して腹を立ててるの自分でも狭量だなとは思うけど。そっちが適当にやるのなら私もクソ真面目にルール従う義理ないよね?とか言ってしまいたくなる。

 でもまぁ警察を頼りにした私が悪い。頼ったのなら向こうが問題起こしてもそれを含めて自己責任だ。その覚悟無く大切な荷物を預けた挙句に文句言うとかさ、今日で海外出て丸5年になるけどまだまだ見極めが甘いという証明だなこりゃ。

 2019年12月15日(日) 走行距離140km 累計105527km
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 エジプト13日目 マガーガの町〜カイロから南南西に約220km ミニヤーの町

 まだ夢の中だった朝6時前にドア叩く音で起こされる朝。普通に考えて寝てると思うだろうに、何で警察さんはこのタイミングで「何時に出発するんだ」とか聞いてくるのかな?昨日逃亡許したことの意趣返しだったりして。

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 地味にWi-Fiもあるし良い宿だった

 ホテル前にパトカー停車して万全の体制で待ち構えており逃げられない。あ〜あ、今日から下手するとエジプト脱出まで警察引き連れての大名旅行か。他の国では滅多に経験できない特別な体験だ・・・くらいに思っとこう。

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 なるべく無視して走ります

 そういえばカイロ周辺では常にガスがかかったような色してた空だけど、最初は「砂漠の国だし砂塵が舞ってるのかな?」と思っていた。だがカイロから離れるにつれて透き通るような青空が広がったことから、単に排ガスが酷かった・・・というのが正解のようだ。

 中国の上海とかも似たような理由で酷い環境だったと記憶してるが、アッチは10億の人口パワーを誇る物量の国だからね。いくらカイロが大都市とはいえエジプト人約8000万で中国と同等の酷さを作り出せるとは。アラブの人間も相当環境に対しての意識が低い。

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 まぁ道端こんなだし

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 農地は綺麗に区画されてるんだけどな

 穴だらけの考察は置いといて、右は農地・左にはナイル川から引いた用水路及び列車の線路という景色がかれこれ丸2日続いている。全く高低差のない道ということもあって、走り続けても前に進んでいるのか不安になってくる始末。

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 定期的に大きな町が現れる

 カイロ出発してから変わらないという点では「ひたすら南西からの風が吹く」というのも勘弁してほしい。そもそもアフリカの北部は地域的に強い北風が吹くとされる土地で、アフリカは大陸の東西に関わらず南下する場合この強い追い風の恩恵を受けることになる。

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 だというのにどういうことかな、これは?

 不幸中の幸いというべきか、今走ってるのはナイル川沿いの道であるため結構な木々や建物で風を散らしてくれてることがある。もしカイロから南西に進む砂漠ルート走ってたら私は発狂してたかも知れん。

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 お昼休憩すると警察も一緒に食べる

 散々警察に対して文句言ってるけど、1番腹立つのは彼ら基本「良いヤツ」ということなんだ。結局向こうもルールに従ってやりたくもない自転車の追走という仕事をしてるだけのこと。

 確かに無茶苦茶な時間帯にやって来て叩き起こされたし、人の話は聞かない上に勝手に物事を解釈する向きもある。車だって無茶苦茶な運転するし平気で嘘もつくけどさ。これは一般的なエジプト人みんな一緒なので。

 だからまぁそんなにプリプリ怒っても仕方ないよね、とか彼らの食事してる姿みて思った。その直後に昼食料金吹っ掛けられてお店の人と喧嘩してたのだが、それ見て警察笑ってた。やっぱダメだコイツらは。

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 あと警官の前でも平気で吹っ掛けてくるエジプト人は精神力すごい

 距離やや短いがミニヤーという県都の大きな町が出て来たので今日はそこで終了。下手に小さな町だと「この町にホテルはない先に行け」とか言われて揉めた初日の再現になるのが嫌というのもある。

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 すごくちゃんとしてるホテルだけど値段は普通

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 時間あるので町中歩いて回る

 今日は宿に到着したら警察引き上げたため、1人で自由行動できるのが嬉しい。単独でエジプト普通の町を歩き回るの何気に初というのもあってかなり楽しいな。

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 ダハブやカイロは「普通の町」ではないからなぁ

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 イスラムの国と思ってたけど教会もあった

 あとで調べてみたらエジプトは人口の1割ほどがキリスト教(コプト正教会)らしく、しかしこうしたイスラム教主体の国で異教を信仰するのは肩身が狭いだろうし、色々軋轢がありそうだと思ってしまう。実際、この教会は敷地をぐるっと高い壁で囲われており、たいそう防御力が高いことを感じさせた。

 さて、明日の走行だけど100km圏内で確実にホテルがある町がないんだよね。こちらとしては野宿で全然構わないのだが、確実に警察と揉めることになるしそれは私としても勘弁なんだけどな。どうなることやら。

 2019年12月14日(土) 走行距離79km 累計105387km
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 エジプト12日目 ワスタの町〜カイロから南南西に約160km マガーガの町

 アフリカで首都や観光地でもない町の宿泊施設に期待は持たぬようにと思ってたのだが、このホテルはエレベーターも付いてるしWi-Fiも完備されてるレベル高い施設だった。まぁパーティ会場が併設されてる立派なホテルだったのでここが特別なだけかもしれない。

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 そんなホテルに泊まれたのは警察が料金交渉して値下げさせたから

 準備済ませて出発しようとすると、ホテルのオッちゃんが「ちょっと待て、セキュリティが云々〜」と言いだして電話かけ始めたのでこれは昨日の警察に電話してると思い、隙を見て逃走した。警察と一緒じゃ楽しめる旅行も楽しめない。

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 無事逃げ切ったの図

 完全に撒いてしまえばもう隣をパトカーが抜けていこうが何も言われることはない。どうせ次の検問で捕まることは確実だけど、ひとときの自由を謳歌しようと思って走る。

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 写真撮るのはともかくとして

 警察がいると気軽に自転車停止するのもままならないというか、立ちションするのだって気を使う。自転車旅行の自由さというのは突き詰めて言えば「好きな時に止まれる」ことだと思うのに、それができないのはストレスでしかないし。

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 道路脇はずっと農地が続く

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 みかんの木とかあるんだ

 エジプトはこのナイル川流域を除いてほとんどが砂漠地帯だそうで、必然的に主要都市もナイル川沿いに集中している。だからこのルートを走ってる限りは補給の心配要らないし、人や集落が途絶えるということもほとんどない。

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 ここベニ スーフもナイル川沿いにある主要都市の1つ

 そうは言っても日本じゃないので町を抜けてしまえばポツポツと畑の間に家が点在する程度なんだけどね。海外に出ると日本が如何に人口過密かということがよく分かる。

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 エジプトは結構この段差が多い

 こいつのせいで毎回町の出入口等でスピード落とさなくてはならないため、今日みたく向かい風が吹き続けるコンディションだと巡航速度まで戻すの大変。かといって向かい風でペース保つのもそれはそれで大変なんだけどさ。

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 エジプトヨタ

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 動物が道路闊歩するのは後進国あるある

 適当な町のジュース屋で一休みしたのだが、お代はいいよとサービスしてもらう。カイロから離れるにつれこうした親切を多々受けることが増え、主にカイロで植え付けられた「エジプト人信用できん」という気持ちが徐々に溶け出してきたと思う。

 そんなタイミングで検問登場。やっぱり警察に引き止められて再びパトカーに追跡されながらの移動に。警察にイニシアチブ握られると無茶苦茶な距離走らされると分かったので、俺は次の町で終わりにする。それ以上は走らない!と繰り返し主張してからスタート。

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 それがこのマガーガの町

 それでもなお町の中心部へ入ろうとすると「もっと先へ行け」とかトンチンカンな指示出してくるアホ警官。先に進んだら町を抜けてしまうでしょう?

 恐らくだが彼らの立場からすると、私が自分の管轄地域から出てしまえばそれで仕事お仕舞いのため、何かにつけて先を急がせようと追い立てるのだろう。車からしたらやたら遅い自転車をいつまでも追走するなんてアホらしいことだろうし、誰も幸せにならないこの制度は一体誰が作ったのだ?

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 踏切の手前で地元っ子に囲まれる

 面白かったのが英語喋れる人がいて雑談してたら「ホテル探してるなら案内してあげるよ」と助け舟を出してくれたのだが、これに警察が食ってかかる。

 アラビア語なのでどんな会話してるか全く分からないのだが、彼は結構な勢いで警察と応対してるし私は360度興味津々なエジプト人に囲まれてるし、他の警官はそうした人達を追い払って大わらわだしと混沌の中心部で私が1番状況を把握できてない。でもこの事態の原因は間違いなく私。なんぞこれ。

 結局一般人に言い負かされたのか「こいつの後に付いてこい」と私に説明する警官。いや、最初から彼に案内してもらうって方向で話をしてたんよ。どうして自分の手柄みたいな言い方してるのかな?

 場所知ってなきゃ見つけられたか怪しい場所にあるホテルへ案内してもらい、案内してくれたアフメッドにお礼言って別れる。Facebook交換しようとしたのだが、何故か彼の名前検索しても該当人物が出てこず連絡先交換できなかったのは痛恨の極み。

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 とりあえず夕食に

 この時もホテルから警察車両が引き上げたの確認して外へ出たのに、しっかり見張りの歩哨が1人残って私に同行してくるとは思わなんだ。1人で飯食べに行くこともできんのかエジプトは。

 この調子だと明日より先は隙を見て逃亡なんてもうできなそう・・・と思うとちょっと気落ちしてしまう。自由への渇望。

 2019年12月13日(金) 走行距離97km 累計105308km
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