自転車ときどき世界1周

2020年12月

 自転車競技は機材スポーツという側面があり、重量を減らすという一側面に対しメーカーがしのぎを削り軽量化しては国際自転車競技連合(UCI)が重量規定を変更し軽量フレームが使えなくなる・・・みたいなイタチごっこしてたりする。最近はもうそんな単純な話じゃないけれど。

 ともあれそういった風土が影響するのか自転車旅行においても「軽量化」という点に情熱を掛ける向きのある人は一定数いる。単純に軽けりゃ楽だし。

 これの最も分かりやすいのがバイクパッキングというスタイルで、これは自転車のキャリア等に重量物を取り付けるスタイルではなく自転車フレームへ直接バッグを付ける積載方式だ。簡単にいうと「自転車が軽くて走行性能が高い」自転車旅行。

 こういうスタイルってのは個人の考え方なので私がそれの是非をどうこうと野暮なことは言わないが、茶壺さんのツーリングスタイルというのはバイクパッキングとは対極に当たる「超重量級」である。ウルトラライトならぬウルトラヘビー。

 これは私のギア選定基準が「とにかく丈夫で壊れにくい物」を第一に考えているからで、壊れにくい部品ってのは必然的に径が太くて重たいものになるため自明の理だが。

 もっとも長期で自転車旅行なんかやってると、その最中に使用するギアも経験からブラッシュアップされるし経年劣化し使用不能となる物も多数出てくるのは仕方のないことで、そういった過程を経て使われてるサイクリストの自転車なりギアというのは乗り手の趣味嗜好も見えてくる感じで非常に興味深い。


 そんでこうした道具の選定で大切なことは、自転車にしてもギアにしても「己を知る」ことだと思うのだ。こんなご時世なので長期で自転車旅行には何が必要か?とか調べてみれば、雨跡たけのこの如く情報はいくらでも出てくるワケでして。

 そうした情報を探ることはもちろん悪いことではないが、その情報はあくまでも情報提供者が感じた感想であり、誰もが同じ恩恵を受けることができたり同様の評価をすることはないということ。そんなのごくごく当然の話ではあるが、未知の世界へ飛び込む時にゃ何が自分に合ってるとか分からないからさ。

 ということで新しいギアを選ぶ際には「揺るがない指標」に沿って判断するよう心掛けている。自分が旅行に対して何を大切に思っているのかを考え、その希望に沿った方向性を見出すことが大事かと。

 なので私は重量が多少重くなろうとも広くて快適な空間のテントが良いし、旅行の直接的な役に立たずともコーヒー関連用品を手放すことはしない。こういうポイントがブレると無駄に重たいバッグやカメラを使いながら「このテントは重量2kg以下の超軽量タイプなんだぜ!」みたいなチグハグな意見が出てきたりする。

 別に自転車の走行にこだわらなくても「できる限り日本製のギアを使う」とか「ランドナーのスタイルを追求する」みたいな方針に1本芯があると、一見バラバラに取り揃えた道具類がちゃんと繋がっているように感じるのだ。別に騙されてない。

 そうした自分の好みを分かっており、それに伴う考え方を構築するというのが私が考える「良い道具の選び方」だと思う。少なくとも「万人に共通する間違いない便利アイテム」なんてモノは存在しないし、そんなことを声高に宣伝する輩は詐欺師か自転車旅行を分かっていないか、だ。

 ・・・とまぁ強い言葉を使って断言したが、私のことだし自分の道具紹介ページに「自転車旅行するなら必携の一品だ」くらい平気で書いてそうな気がする。だから人の意見なんて鵜呑みにしちゃ駄目なんだぜ!
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 私も旅行者なので特に自転車旅行を主とした旅行関連の情報は色々目を通しているが、特にブログというジャンルでは「旅行というのは自己満足の行為であり、それを記した旅行記ブログも同様である。故に多くの人に見てもらう必要はない」・・・といった論調をよく見かける気がする。

 それはある種正しい事象なのかもしれないけれど、私はそれを事実だとか真実だとは言いたくない。世の中における大概のことは人生の役に立ったり糧にはならないかもしれないが、それを「無駄」と切り捨てるのは寂しいじゃないか。

 この世界には私の知らない土地が広がっており、日本と全く異なる人や建物や自然や文化といったものが無数にあることをとても興味深く感じるし、世界には未知があふれていると思うとワクワクする。

 そうしたワクワクを自らの知恵と体力を振り絞り、自分の足で現地を踏みしめ、自らの目で見つめ、己の手でその世界をかき分け、その地に住む人の話を聞いては土地の歴史に想いを馳せる。それをせざるにはいられない、ネットや本で見たり読んだ知識だけでは満足できない、そういう人が綴る旅行の記録。それはとても面白いモノだと思う。


 他の旅行形態は分からないが自転車の世界1周というのは一般的に出発するまでの準備で年単位を要するんですよ。ちゃんと旅行を完遂するためには大人としてキチンと働きお金を稼ぐ必要があるということ。

 これってさ、社会人として大人の分別を持ち、大人の立場に立って、大人としての責任を負わされるという経験を経てもなお「子供の時のワクワクを捨てる事ができない人」だと思うんだ。子供の心を忘れていない大人なんだ。

 それはある意味どうしようもない社会のクズと言えるかもしれないけれど、多分、歴史的に社会を新しいステージへと導いていったのはそういう場所を嘱望し渇望して探検してきた人たちだったのだ。

 そりゃ大航海時代と今じゃ時代も意識も違うけど、むしろ私はこうした時代だからこそ自分の力で旅行する記録を残す存在が必要なのだと思う。誰もが自転車で世界1周をできるワケではないのだから。

 だから私は旅行ブログは必要だと感じるし、もっと多くの人がそうした媒体から海外自転車旅行というモノに触れて興味を持ってほしいと思っている。自転車で異国を走るあの気持ちを感じて欲しい。

 ということで私は「旅行ブログは絶対に必要なのだ!」と声を大にして言いたい。私も数ある海外自転車旅行ブログという世界の片隅に籍を置いて、その一翼を担うことができればと思っている。
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