自転車競技は機材スポーツという側面があり、重量を減らすという一側面に対しメーカーがしのぎを削り軽量化しては国際自転車競技連合(UCI)が重量規定を変更し軽量フレームが使えなくなる・・・みたいなイタチごっこしてたりする。最近はもうそんな単純な話じゃないけれど。
ともあれそういった風土が影響するのか自転車旅行においても「軽量化」という点に情熱を掛ける向きのある人は一定数いる。単純に軽けりゃ楽だし。
これの最も分かりやすいのがバイクパッキングというスタイルで、これは自転車のキャリア等に重量物を取り付けるスタイルではなく自転車フレームへ直接バッグを付ける積載方式だ。簡単にいうと「自転車が軽くて走行性能が高い」自転車旅行。
こういうスタイルってのは個人の考え方なので私がそれの是非をどうこうと野暮なことは言わないが、茶壺さんのツーリングスタイルというのはバイクパッキングとは対極に当たる「超重量級」である。ウルトラライトならぬウルトラヘビー。
これは私のギア選定基準が「とにかく丈夫で壊れにくい物」を第一に考えているからで、壊れにくい部品ってのは必然的に径が太くて重たいものになるため自明の理だが。
もっとも長期で自転車旅行なんかやってると、その最中に使用するギアも経験からブラッシュアップされるし経年劣化し使用不能となる物も多数出てくるのは仕方のないことで、そういった過程を経て使われてるサイクリストの自転車なりギアというのは乗り手の趣味嗜好も見えてくる感じで非常に興味深い。
そんでこうした道具の選定で大切なことは、自転車にしてもギアにしても「己を知る」ことだと思うのだ。こんなご時世なので長期で自転車旅行には何が必要か?とか調べてみれば、雨跡たけのこの如く情報はいくらでも出てくるワケでして。
そうした情報を探ることはもちろん悪いことではないが、その情報はあくまでも情報提供者が感じた感想であり、誰もが同じ恩恵を受けることができたり同様の評価をすることはないということ。そんなのごくごく当然の話ではあるが、未知の世界へ飛び込む時にゃ何が自分に合ってるとか分からないからさ。
ということで新しいギアを選ぶ際には「揺るがない指標」に沿って判断するよう心掛けている。自分が旅行に対して何を大切に思っているのかを考え、その希望に沿った方向性を見出すことが大事かと。
なので私は重量が多少重くなろうとも広くて快適な空間のテントが良いし、旅行の直接的な役に立たずともコーヒー関連用品を手放すことはしない。こういうポイントがブレると無駄に重たいバッグやカメラを使いながら「このテントは重量2kg以下の超軽量タイプなんだぜ!」みたいなチグハグな意見が出てきたりする。
別に自転車の走行にこだわらなくても「できる限り日本製のギアを使う」とか「ランドナーのスタイルを追求する」みたいな方針に1本芯があると、一見バラバラに取り揃えた道具類がちゃんと繋がっているように感じるのだ。別に騙されてない。
そうした自分の好みを分かっており、それに伴う考え方を構築するというのが私が考える「良い道具の選び方」だと思う。少なくとも「万人に共通する間違いない便利アイテム」なんてモノは存在しないし、そんなことを声高に宣伝する輩は詐欺師か自転車旅行を分かっていないか、だ。
・・・とまぁ強い言葉を使って断言したが、私のことだし自分の道具紹介ページに「自転車旅行するなら必携の一品だ」くらい平気で書いてそうな気がする。だから人の意見なんて鵜呑みにしちゃ駄目なんだぜ!