自転車ときどき世界1周

2021年02月

 一口に自転車旅行といってもそこには様々な要素が含まれている。それはどんなジャンルでも同様だと思うけど、何か1つの物事に特化した知識や経験を持っていても「自転車旅行」が上手くできるワケではない。

 自転車の知識だけがあっても駄目だし、キャンプや野営だけが上手くとも自転車旅行は成立しないということだ。まして海外での走行となると、必要とする知識や持っておいた方が無難な技能は更に増える。

 これは別に自転車旅行という遊びのハードルを上げようとかそういう意図は持ってなくて、どんな物事でも総合的知識や実践経験ってのは大切だよね・・・という極々当たり前のことは自転車旅行にも当てはまる、という話。

 じゃあ何でこんな文章書いてるのかというと、旅行というジャンルにおいても経験豊富な人が語る物事の「深み」みたいなモノは知識や経験に大きく影響すると言いたいから。文章とかでも書き方の巧拙ではない懐の深い文章ってのがある。

 ちなみにバックパッカーなんかと比べると自転車旅行の記録ってのは圧倒的に少ないといえるが、それでも一定数の自転車旅行記はネットに限らず色々な媒体で読むことができる。

 そうした様々な旅行者の中には自転車それ自体に興味が無かったり、自転車で旅行する上で避けては通れない様々な点に全く無頓着な人もいたりするのであり、そういう人が綴る自転車旅行記というのもまた面白いし旅行の記録という意味で良いのだと思う。

 だけど最近私が書いてるような「自転車旅行」という物事を自分の意見で語るならば、やっぱりそれなりに自転車旅行の経験を積んだ上で物申すべきなのだろうと考える。

 たとえ海外自転車旅行のワンイシューを論ずるにしても、自転車旅行全体を知っている人間が1つテーマを書くというのと、旅行経験の浅い人間がそこだけを調査して「調べて書いたことしか知らない文章」は別物だからだ。

 そのジャンルのことを広く深く理解していて、そこから必要なことを選び抽出して書かれる文。色々語れるけど必要なことを上手に抜き出して述べる言葉っていうのは何というべきか・・・文章に余裕がある?とでもいうべきなのか。

 旅行も続けていくと他に多くのサイクリストと邂逅があり、割と好きなスタイルで自由気ままにやってる(特に海外の)人たちを見ると「自転車旅行は本当に千差万別なんだな」ということが実感として出てくるのものでして。そうした「自分の旅行スタイルは特別でない」という感覚を持ってるサイクリストの書く文は読んでて気持ちがいい。

 自転車旅行という遊びの宿命で、経験を積めば積むほど旅行の仕方に正解なんてないと思い知らされるのだが、それを理解した上で自分の旅行における主義や主張を語れるようありたい・・・と最近はそんなことを思っている。

 なお偉そうに語ってるけど私自身の自転車旅行スキルだが、経験は兎も角として知識なんかはまだまだ未熟であるのは間違いない。

 まぁそういう背景があるため、駄文コラムに書くテーマは自転車旅行の様々な面を切り込んで多角的・総合的に語っているつもり。別に私が飽き性で1つのテーマを長く続けるのが面倒とかそういうことではナインデスヨ。
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 道については本編の日記でもちょいちょい語っている。これはもう自転車旅行者の業みたいなモノであり、道に対して言及が全く無いサイクリストなんて存在しないのだから仕方ない。

 舗装状況に一喜一憂するなんてのは序の口で「アスファルトの含有成分で走りやすい道路がどーのこーの」とか言い出す自転車乗りという存在は、傍目から見ると意味不明なのかもしれないとは思う。

 それはともかく人の住むところにゃ必ず道が存在し、道というのはそれだけで様々な特徴や情報を含んでいる。国の違いを最初に感じるポイントが道であることは多いし、道路の状態から国の国力は察せられたりもする。道というのは非常に興味深く面白い対象なのだ。

 「そうは言っても道路なんて先進国は立派で後進国になるほど駄目駄目なんでしょ?」と完結してしまうは早計で、一つの面としては正しいがコトはそんなに単純な話じゃない。

 例えばアメリカ国内の道は主要道でも案外ボロボロだったり未舗装の割合が高い。あんだけ車社会の割に路面状態は千差万別で、特に内陸部は走行に苦労する場面が多々あったりする。

 州の予算差と公共事業に対する割合、道路の新旧・交通量辺りが関連してくるのだと思われるが、アラスカみたいに交通量極小でも完璧な路面が続いたりすることもあるのが面白いところ。

 へっぽこな国でもよほど僻地でない限り主要道路で全く舗装されていない道というのはあまりないが「とりあえずアスファルトにしときました」という、その後の補修を全く行っておらず結局下手な未舗装路より走りづらいガタガタの道というのは存外多い。後進国で他国のODAにて造られた道路なんかはこのパターンに陥りがち。

 南米やアフリカで多い道路のパターンとして、郊外は綺麗な道なのに街中に入ると路面ガッタガタ・・・というのがある。交通量の多さがそのまま路面にダメージを与えているためで、交通量が増える街中ほど路面状況が悪くなってしまうのだ。

 このためひび割れや陥没してる路面を見かけると「そろそろ街中に入ったな」という指標になったりする。

 ちなみに排水設備がバッチリ整っている道というのは珍しく、大雨の後には都市部なら冠水したり過疎地域では道が川になるといった変化が見られたりする。しかし砂漠地帯で道路が砂に埋もれてしまうというのは基本発生しない。

 「道の構成」という点にもお国柄は出る。分かりやすいのが坂道の作り方で、急斜度の坂を直線的に延ばす国とつづら折りで緩やかな角度で登らせる国とがある。日本なんかは前者に属しており、グアテマラやチリにも匹敵する急な坂道の国。

 後者の代表的な国はアメリカやペルーが思い浮かぶ。特にペルーなんかアンデス山脈を内包している関係で非常に標高差があるにも関わらず急斜度の坂が出てこないため、そういう意味では自転車に優しい道の国とも言える。ちなみに冗談でなく99回くらいUターンさせる「九十九折り」の坂道が出てきたのもペルー。

 ところで国の面積や国力によって特徴が出ると書いたワケだが、日本という国の道路は他のどの国にもない特徴がある。それは「異常なレベルで道路が多い」ということ。

 ハッキリ言ってしまうと不必要な道路が多すぎる。海外にも蜘蛛の巣の如く縦横無尽に道路が広がってる都市は多々あるが、日本は交通量が少ない田舎でもアホみたいに道路を作りまくりなのであり、政治家と土建屋の関係を思わずにはいられない。道とはちょっと違うけどトンネルの数も他国と比較すると面積比100倍くらいあるし。

 ・・・とまぁ、ちょっと舗装路のこと書いただけでも止まらなくなるとは思わなんだ。気分が乗ったら未舗装路についても色々と書いてみたいと思うけど、道をテーマにすると思ったことがバンバン書けるのでまとまりのない文章になりがちなのは問題だ。
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