食というのは自転車にしても海外旅行においても、楽しみや興味を抱く筆頭項目であるといえよう。
そんな旅行に限らず人生においても大きなウエイトを占める人が多かろう人の三大欲求でもある食事だが、実は「自転車」と「海外旅行」が混ぜ合わさると絶妙な化学反応で「我慢」だとか「苦痛」といったスパイスが加味される。え、ナニそれどういうこと?
人が住んでいる土地である限り、そこには必ず生活するためのインフラと食料が存在する。だから現代において、後進国であろうと首都クラスの大都市や観光地では、食べられる物がなくて困るということはまずない。
しかしちょっと人口密度の低い田舎に入ってしまうと状況一変、お店やメニューを選択できる段階で躓く地域というのはかなり多かったりする。食堂は営業してるのに「食べ物なんてないよ!」と言われるとかさ。それじゃあ私はどうしろと?
ともあれ「健康のため1日に30品目の食品を」・・・というふた昔くらいに前よく聞いた言葉だけど、この内容を実践できる環境下にあるのは一部の先進国の僅かな人だけであり、世界中結構な地域で人は毎日・毎食同じ食材を食べ続けているのが現実。健康なんざ知ったこっちゃねぇ。
冷凍されてる肉が売ってりゃ御の字(パタゴニア)の場所もあれば、日中は電気が通ってるので冷たい飲み物だけは飲める(砂漠・人口過疎区域)という地域や、そもそも電気が通ってないため自給自足と物流に頼り肉・魚に至っては生でしか取り扱いがない土地(アマゾン川流域)とかもあった。
そうした環境では「食べられるだけありがたい」・・・というのが現状で、種類や味といった点で妥協が必要になるのは必然だと言える。山の上で豪華な食事を摂るのは難しいのと同じ理屈だ。なお現地の人には悪いが、あんまりな食事環境に「移動を続ける旅行者で心底よかった・・・」とか思ったことも少なくない。
これの重要なポイントがあくまで「満足な食事を摂るのが難しい地域での話」という点で、こうした場所を脱出してしまえば食事事情というのは改善することが可能なのである。
しかし自転車×海外旅行ではそうはいかない。移動速度が遅い自転車だとそうした地域を通り抜けるのに時間を要するのは仕方のないことで、その間の食事はひたすら「エネルギー補給」と割り切って栄養を摂取することとなるのでして。
これがね「味があんまり美味しくない」とかそういうのだったら(良くはないけど)いいんですよ。過疎地域ってのはさ、つまり人が生きていくのに大変苦労をする環境下であることがほとんどで、そういう土地を自転車で走るってのは私としても限界ギリギリだったりするのでして。
そんな場所で疲れ切った体に「油まみれのフライドチキン」とか出されるとね。しかも同じメニューが毎日、ひどい時は昼・夜と続くとか・・・キッツいですよ30代後半にもなったオッさんには。
結局、食事ってのは「楽しむべき場所で楽しむ」モノだと私は捉えていて、自転車における長期移動で過疎地域を通過する時なんかは「基本は自炊!食堂でおいしいもの食べれたらラッキー」くらいの感覚でハードルを下げに下げて対応している。
余談だけど食事情の悪化でよりダメージを受ける人種は圧倒的にアジア系だと思う。アジア圏ではどんな僻地でも美味しく食事を摂ることができたのであり、ギャップの大きさに衝撃を受けるのは欧米人の比ではない(偏見有)。だってアイツら茹でた塩パスタで「サイコー」とかいうし。
そンなアジア系で一定数の海外自転車旅行者がいる国は圧倒的に日本である。一応数は少ないけど台湾・シンガポール・インドネシア人の海外サイクリストには会ったことあるが。
つまり日本人ワールドサイクリストというのはさ、世界で1番旅行中の食事に対してのっぴきならない思いを抱えている人たちなのだ!そう私は声を大にしてお伝えしたい!
その割に何処でも「美味い美味い」言いつつバクバク食べまくってるように見えるけどさ、ニコニコ顔の裏側で私も大変な思いをしてるんだよきっと。
その割に何処でも「美味い美味い」言いつつバクバク食べまくってるように見えるけどさ、ニコニコ顔の裏側で私も大変な思いをしてるんだよきっと。