自転車ときどき世界1周

2021年05月

 旅行中に野宿する最たる理由は「節約」なのだが、それはそれとしてテント泊は好きである。ただ同じ「テントで宿泊する」という行為であっても、キャンプと野宿という間には超えられない壁が存在している。

 一口にキャンプ場といっても様々で、近代的な設備の整った立派なキャンプ場がある一方で、トイレも水場もない単なる空き地と変わらないキャンプ場なんかも存在しており、そういう立地や設備的な意味で野宿と大差ない場合もある。むしろ周囲に人のいない快適な野営地の方が寝心地も良く快適であることも少なくなかったり。

 では何がこの2つを決定的に分けているのかと言えば「テント張ることを認められているか否か」という点に尽きると思う。これは法律的な観点でも良いし、もっと単純に周辺住民の人でも良い。

 夜を凌ぐため止むに止まれずゲリラ的にテント設営するのが野宿であり、言ってしまえば緊急避難的な意味合いが強い行為だ。そこには「トラブルが起きても頼る術がない」という側面が付随する。

 いやまぁキャンプ場だって何か起きたら助けてくれるなんて期待してるワケじゃない。アルゼンチンのキャンプ場では深夜3時とかまで大音量で騒いでた上、トラブル起こして警察に連行されてた人がいたけど管理人何もしてなかったし。

 要するに「私がこの場所にテント張ってるのはちゃんと第3者にOK貰っているのですよ」・・・というお墨付きがあるかないか。これが野宿とキャンプを分けるポイントだと思っている。

 野宿とはそもそも見つからないことが大前提なのだが、そうはいっても周辺何十Kmにも渡って遮蔽物が一切出てこない隠れようがない場所とかあるように、運と状況次第で人と出くわす可能性はある。

 そうして出会った人のほとんどは普通に会話し出自とテント張る理由を告げれば納得して去っていく。のだが、稀に「ここでキャンプをするのはダメだ」と警告する人もいるワケで。

 ここで「いや誰某に許可を貰った」と抗弁できるのがキャンプ、「これはどうもスミマセン」と受け入れるのが野宿ということだ。少なくとも野宿していて宿営地の撤収要請に言い返すというのはあり得ない。

 こうした違いがあるため、野宿というのはある種の経験というかテクニックを必要とする側面があるのは否めないところで、無用なトラブルを避けるためテントの設営場所を考えるという行為は、野宿を繰り返した自転車旅行者は自ずと身につけている。

 1つ大切なのが、その野宿技術というのは「緊急避難的な行為を実施するにあたってトラブルを避けるために実施している」という前提に立ってあるものなので、推奨される技術ことではないということだ。

 「こうすれば快適な野宿ができる!」というのは黒に近いグレーな行為を積極的にオススメしているのであり、いやいやその前に「こうすれば野宿にならない!」と自転車旅行者は説くべきだろう?・・・という話だ。どんなに野宿を繰り返して旅行していてもスタンスとしてはそうあるべき。

 故に茶壺さんとしても野宿という行為を推奨はしない。海外自転車旅行なんて自己責任の極致みたいな遊びだが、自己責任というのは「何をしてもいい」とはならないということ。

 似たような考えで、大麻みたいな国内では違法となってる薬物を他国でやる・・・みたいな行為も私は否定的だ。いやまぁ個人で楽しむのは勝手だけど、それは声高に宣伝したりひけらかすようなことではない。

 みんな節度を守って野宿とならないようキャンプをしよう!・・・・とかのたもうて、当の本人は「いや〜、今日も緊急避難的に野宿となっちゃいました!」というね。大人はズルい生き物である。
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 日本が島国という地理的要因もあってか、海外自転車旅行者というのは国内自転車の普及率を鑑みると非常に割合が少ないよう思う。なんのかんの異国というのはハードルの高さを感じるし、実際国内を走ってるだけでは直面しない出来事があるのは事実で「海外を走ってみたいけど・・・」と二の足を踏まれている方もいるのではなかろうか?

 とはいえ「自転車で旅行する」という行為に違いがあるワケではないのだ。だから自転車旅行の経験ってのはそのまま海外でのツーリングに生かせるし、海外自転車旅行というジャンルに関してならば海外旅行スキルよりも自転車旅行スキルの方が重要だと私は考える。

 そんな妄想と偏見で出した話だが、実際海外を走ってみて国内では気にしてなかったポイントで注視すべき事柄があるのも事実。というワケで今回はそんな「海外で」「自転車旅行ならでは」の注目点を挙げてみたい。


◎生水が飲めない

 水道自体が少ない、たまにあっても水が出てこない、水は出ても飲料水じゃない、川の水は生活排水で汚れている、綺麗な川でも細菌がいるので飲めない等々。無料で飲める水を確保できる機会が大きく減るため水に対しての扱いがシビアになる。水の最大積載量が増えるしキャンプで水の使用量に気を使う。

 でも人間が生きていくための必須要項でもあるので飲料水は必ず安価(又は無料)な調達方法がある。それは宿のウオーターサーバーかもしれないし、井戸水のこともあれば水の配給車から安く買うこともある。もっと原始的な手段で川の水を煮沸(場合によってはそのまま)して飲むこともあったり。

 そもそもビールばっか飲んでるし走行中は「コーラは究極の飲み物」とか言ってる私だが、飲料のみでなく何にでも利用可能な水は常にストックされていた。国内と比較して水の重要度は飛躍的に高まったといえよう。


◎野宿の第一課題は治安

 様々な場所で野宿したが、国内では「寝心地の良さ」とか「雨に降られても濡れないポジション」といった環境要因を主として野営地を選定してたのに比べ、海外ではとにかく「人目に付かない」とか「襲われても直ぐに助けを呼べる」といった安全面こそがテント張りのポイントとなる。

 初めて訪れた国で右も左も分からない状況において野宿はリスクが大きいし(実際私は第3国での入国初日は極力野宿をしていない)、ある程度その国を掴んだ!という段階においてもやっぱり勝手知ってる自国とじゃ緊張感が違う。

 過去に幾度かテント設営後に(嫌な予感がする)・・・という漠然とした理由で野営場所を移動したことがあるが、この全てが深夜に人がやってくるかもしれない不安感を覚えたからだ。これは日本で走ってた時には全く感じることのなかった感覚であり、なんのかんの海外は緊張しますよ。


◎ルートプランニングは食料(水)の確保が優先事項

 面白そうな道を見つけた場合、とにかく「道中でどれだけ食材補給ができるのか?」というのが最大の注目点となってくる。その次に路面とか獲得標高みたいな「道の状況」を気にするかな。

 地図で確認してルート上にレストランなり商店がどれだけ点在するのか?次いでフル積載の自転車で1日何Kmくらいは走れそうな道なのか?この2点から1日における積載食料(と水)の計算をして走破までの期間とその分の食材分量を仮決定するのが基本。

 これを考えるルートってのが私の場合「次の町まで距離200Km以上又は日数概算5日以上」・・・くらいを目安としている。

 この前提条件から国内で補給をメインにして走行計画を練るということはあり得ない。北海道の田舎地域ですら100Kmも走ればコンビニやれ補給できるお店の1つくらい出てくるのが常なので。


◎パーツは「消耗度」を逆算して所持

 自転車も機械なので、使い続けていれば部品は磨耗しマシンは適切なパフォーマンスを発揮できなくなる。その中でも特にチューブ(及びゴムパッチ)・ブレーキシュー・チェーンの主要3大消耗品は、定期的に交換を余儀無くされるアイテムで、使ったのなら何処かで補充の必要がある。

 ところがへっぽこ後進国や地理的に自転車の需要が低い国や地域では当然ながら自転車ショップも少ない。仮にショプがあってもこうした部品の扱いがなかったり。

 とはいえトラブルを恐れて余りにも多くの予備パーツを持ちまくるのも現実的ではないため、走行地域と部品寿命の兼ね合いから適切な量の予備パーツを厳選することになる。

 西欧や北米ならそんなの何処でも補充できるので考えなくて良い反面、アフリカなんぞ走るのであればおよそ思いつく全ての部品をストックするくらいしても罰は当たらないだろう。

 私の場合、チェーンだったら7000Km、タイヤは15000Km以内での交換を目安としているし、チューブは通常なら予備を1本、入手困難地域では3本(パッチは常に20枚以上)、ブレーキシューは山岳&降雨量が多い地域では3セット、それ以外の土地ならば2セットを常備してる。

 この他だとスプロケット(前後)をチェーン交換2回に1度の割合で交換、BBは2〜3万Kmくらいから調子を気にして走ってるかな。ついでに言うとスポークは2種類それぞれ20本ほど予備がある。バーテープは適当で千切れたら交換。あくまで目安ではあるけれど。

 この他に各サイズのネジやボルトは勿論、オルトリーブのアタッチメントなんかも割と壊れるので予備パーツで一式持っている。自転車部品じゃないけどテントの交換用ポールとかガソリンストーブのポンプカップもあると心強い。

 ちなみにタイヤは割と後進国でも見つけやすいパーツだったりする反面、聞いたこともない謎ブランドのタイヤではフルパッキンバイクだと1000Kmも保たないというのが私の感想。見つけるの難しくとも15000Km走れるマラソンプラスを購入する意義は大いにあると思う。

 後進国が多い地域では大まかな走行ルートを考えて、途上の大都市など自転車ショップがありそうな町で交換時期に来ているパーツを物色しつつ買い足している。どうしても欲しい部品が見つからず困り果てることもあるけどさ、まぁ確率の問題だ。


◎天気予報を信頼しない、何なら感覚の方が信用できる

 天気予報自体はどの国でも見れるし調べることもできる。しかし海外での天気予報は精度が低かったり範囲が広大すぎて当てにならなかったりするため、あんまり信頼しなくなってしまう。というか現地に住んでる人から「天気予報なんて意味ねーよ」とか言われることが多かった。

 そもそも海外では天気を「雨がよく降る土地」だとか「雨季のシーズン」みたいな捉え方をしている土地も多く、そうした地域では1〜2日後といった短いスパンでの天候の良し悪しは「大勢に影響なし」と判断することが常。雨が多い地域なら普段の走行ペースよりも予定日数を5割増しで算出して計画立てるとか。

 過疎地域だったら目視で雨雲の動きが遠目から確認できるし、ジャングルみたいな土地だと空気の湿り具合や雨の匂いで降雨の訪れを察知できる。そんなわけねーだろ!とか思う方がいるかもだが、アマゾン川でイカダ下りしてた時なんか3人が3人とも「空気が湿っぽくなってきたからそろそろ雨降るね」とか話してたのであり、然るべき環境下で生活してると人間は天候の変化を感じ取れるようになる。

 なまじ日本だと情報が正確な上に意識せずともお天気情報が勝手に飛び込んでくるため、自身の感覚などという曖昧模糊な方策で天気を探ろうなどと考えもしないのだと私は考える。文明は人の能力を減退させるのだ。


◎犬は敵

 海外走行経験が豊富になればなるほどサイクリストは犬嫌いになる。極端なこといえば「犬から酷い目にあって自転車旅行者として1人前」という論法が成り立つと思う。それほど犬には追いかけられる。

 国にもよるが野良犬の数はどの国でも日本より遥かに多いのに加え、日本では根絶された狂犬病が海外ではまだまだ現役の病。しかも発症すれば致死率ほぼ100%という凶悪さ故に、ちょっと見識がある旅行者は海外で野良犬見かけても構おうとはしない。君子危うきに近寄らずである。

 でもそんな犬が自転車見かけると吠えまくって追いかけてくるときたもんだ。しかもコイツらタイヤでもバッグでも御構い無しに齧り付いてくるイカれっぷり。人間を狙われても大問題だが自転車なら大丈夫というワケにもいかない。

 しかもタチの悪いことに犬は徒党を組んで襲いかかってくる。1匹だけなら犬叩き棒を振り回して撃退することもできようが、複数相手じゃ勝てないよ。逃げるしかないじゃない。

 こうした犬に追い回される結果サイクリストは犬を敵視し、果ては普通の飼い犬にまで警戒心を出すようになる。犬が好き!なんて意見は、牙を抜かれた愛玩動物の飼い犬しか見たことない者の言葉であり、奴等の本性と嫌でも対峙させられるサイクリストにとって、犬とはまごうことなき大敵なのである。


 ・・・とまぁ、国内ではなかなか気にしないポイントを挙げてみたつもり。何も考えずテキトーに旅行してるよう見える茶壺さんだけど、こうして色々考えてるフリして自転車旅行してるのですよ。
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