自転車ときどき世界1周

2022年02月

 場所:アスワンの町から砂漠を280Kmほど走った先にアブシンベル神殿観光のために作られたといっても過言ではないアブシンベルの町があり、その町の最奥に神殿は位置している。ここまでのアクセスは完全1本道なうえにアブシンベルの町がエジプト最南端に位置してるわ、アブシンベル以南は道がナセル湖で断絶されてるし、隣国となるスーダンは入国に日本大使館のレターとスーダン大使館でのビザ取得という手順が必要になるため、アブシンベル神殿のみを観光するなら他のルート選択肢(除く空路)が実質存在しない。というかアブシンベルだけを観光するような外国人はまずいない。
入場料:2019年12月当時の料金で240ポンド(約1770円)だった。エジプト物価的に相当高額な遺跡であることは間違いないのだが、そもそもここに来る時点で多大な手間と金銭を使っているので多少料金が高かろうと関係ない。向こうもそれを分かってて強気な金額設定にしてると思われる。

 他のエジプト遺跡と違ってナイル川流域から離れ、砂漠の中を300Km近く走った末に突然出てくる町と遺跡。このシチュエーションが遺跡の魅力を増してると思う。
 巨大な像が4体鎮座している景観がハイライトとして語られやすい遺跡だが、世界遺産という制度が作られるきっかけになった建築物だったりと、ちょっと歴史を調べておくと色々感慨深く見学できる遺跡でもある。1時間かそこらで一通り見て回ることができるため、意外と時間が余ってしまい私は観光後にサッサと町を抜けてしまったクチなのだが、どの観光地行っても面白かったエジプトで最後にアブシンベルを訪れて良かったとも思ってる。なお文中で遺跡という単語を用いているが、正しくは副題にも表記しているアブシンベル「神殿」である。

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 前回「海外は分からん、信用ならん!」と語った私だが、その一方で自転車で走破するのに厳しい土地であればあるほど大切なことは「その土地を信じること」だと思っている。こういうのを「舌の根も乾かぬうちに・・・」というのだろう。

 とはいえ異国の自転車走行には信頼感が大切だ。最悪のパターンも想定した上で、なるようになるさという楽観的な観測と思い切りの良さを持って行動しなくては、そもそも自転車旅行はできない遊びだと言い換えることもできる。

 私の経験だとアラスカにある北極海へと抜けるダルトンハイウェイという道がある。片道800Kmで半分以上が未舗装路、道中に食糧を補給できる箇所もほとんどないこのルートを走ると決めたとき、当然だが途中でリタイアする可能性を考えなかったワケではない。

 というか仮に走り切れたとしても、ダルトン終点からフェアバンクスまで戻ってくるだけの食材を積載しなかった(そもそも容量的にできなかった)時点で、ある意味確信犯というかアラスカという土地を信頼していたのだ。

 それを言葉で言うなれば「不確定な要素を信じて身を任せる」ことなのだろう。

 結果的に私は終点のデッドホースまでたどり着き、そこでトラックをヒッチハイクして町まで戻った。ここで「ヒッチハイクできたのは運が良かったから」というのはその通りだし、次善の策としてバスに乗って帰るというプランも建ててはいた。

 ただこのルートを走るバスは近日の予約は連日満席で席が取れない状態で、ゴールに到着する日程が読めないどころか半分くらい「リタイアするかも・・・」と考えてた私にとって「確実に帰還できる保証」は無かった。

 つまりどう転んでもダルトンハイウェイは「運が悪けりゃフェアバンクスの町に戻れない」可能性を含んでいた走行だったのであり、これは無事に走り終えた今でもそうだったと思っている。

 現実的なこといえばアラスカの人も住んでいない北部の荒野で自転車トラブルに遭遇し立ち往生していればそれなりに助けてくれる人はいると思うし、実際私は道中エンジントラブル起こして動けない車の修理を手伝った。

 だが確率で語るならばダルトンハイウェイ自転車走行で野垂れ死ぬ可能性は日本より遥かに高いだろう。それはオーストラリアのアウトバックもそうだしアンデス山脈やパタゴニア、アフリカの奥地も同様だ。

 そうしたリスクは自転車で遊ぶ者として可能な限り減らしできる対処もしていくが、どうやっても0にはならない。絶対安全な旅行がしたいなら家から出るな、なのである。

 だからチャレンジな道を踏み出す1歩は信頼だ。その土地をどんなに調べても実際に訪れた経験がない以上、言ってしまえば何もわかっちゃいないのだから。

 最後は信じて「きっと大丈夫、どうにかなるさ」と願うのは、思考放棄ではなく人事を尽くして天明を待っているのだと思う。いやいや、走る前から全力尽くしてどうすんの。
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