自転車ときどき世界1周

2022年12月

 モーリタニア2日目 ヌアディブの町

 しっかりした説明がなされないまま案内された家は、結局家主が帰ってくることなく朝を迎えた。とりあえず私としても今日中に済ませたい作業があるのでそちらに集中することに。

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 自転車のサドルにうっすら砂が堆積してる

 といっても主要なタスクはATMで現金を入手するだけ。簡単に終わると思うでしょ?これが無茶苦茶難航したというか、過去一現金入手に苦労したかもしれない。

 腐っても国内No.2の都市なので町中に銀行は結構な数見つけることが出来、脇に設置してあるATMも7割くらいは普通に稼働していた。言い換えると3割くらいは動きもしないか室内に入れもしなかった。

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 ところがどっこい

 カードを入れても対応できない機種なのかそのまま返却されるパターン。金額を入力することは出来ても機械内部に現金がないのかエラーが発生するパターン。そもそもフランス語のみ表記で全く理由もわからず弾かれるパターン。

 徐々に不安が募っていった10軒目だかにようやく現金が排出されたのであり、思わず札束握り締めてガッツポーズしてしまった。自分で稼いだお金を手数料まで支払って引き出してるだけなのに。

 とにかく最大の懸念を払拭できたとニコニコ顔で表に出ると、そこで私に手を振っているのはイギリス人。聞けば彼も自転車旅行者らしく、先日タイヤのスポークが折れてしまいこの周辺で修理できるお店がないか探していたところ、私の自転車を見つけたという。

 なるほど、貴方はとてもラッキーですよ。上手いこと私はスプロケットを外せる工具を携行しているのであり、ちょうど今やるべき作業も終えた完璧なタイミング。

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 んじゃ行きましょうか 

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 自転車ごと車の荷台に乗せて彼が利用してる宿まで移動

 なお途中でもう1つのタスクであったモーリタニアSIMカードをゲットしアクティベート作業も済ませてもらった。フランス語の通訳してもらえて助かりました。

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 町を抜けて半島東部の道に出る

 ヌアディブは半島に沿う形で南北に長い町であるのだが、町の北東部は更に独立した村となっているようでコバヌという地域らしい。んでリゾート的な遊びをする外国人はこの周辺に宿泊するのだそうだ。

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 町の喧騒から離れて落ち着く

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 この青い家の裏側らしい

 ちなみに町の中心部からは距離があるためオーナーが出してくれた車に乗って来たらしい。地元民じゃないのに車に乗って現れたのはそういうことだったのか。

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 ということで一緒に修理作業

 お前が居てくれて本当に助かったよ!と大層お礼言われたけれど、私も今まで多くの人に助けてもらっている身なので。こうして他の旅行者の一助になれたのなら私も嬉しい。

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 そのままオーナーが釣ったという魚をご馳走になる

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 しかし立地も雰囲気も素晴らしい宿だな

 行きがけに聞いた限りでは料金も大層安いらしく「1泊150ディラハムくらい」とのこと。日本円に直すと約1900円となり、宿泊費が無茶苦茶に高いモーリタニアでは非常に良心的な値段だといえる。

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 Villa Maguelaという宿

 今なら日本人の宿泊者第1号になれますよ。オーナーから「お前がここに来た初めての日本人だ!」と言われたので間違いない。連絡付けばオーナーが車で送り迎えもしてくれるらしいのでサイクリストだけでなくバックパッカーの利用客も多かった。

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 自然を楽しめるタイプならオススメ

 そんなことしてると「折角だからボートに乗ってみないか?」とのお誘いが。大喜びで同乗した私たちが向かうは北の離れ小島みたいな場所。この辺が釣りのメッカらしく、他にも竿を垂らしてる人がいたり、かと思えば離れた場所ではジェットスキーで爆走している人の姿も。

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 かなり日差しは強い

 私は上陸して砂浜の生物探したり海で泳いで遊んだり。よく考えたら今日はクリスマスイブなんだけど、雨は夜更け過ぎに雪へと変わるどころか砂漠の海で泳ぎ回ることになるとは。

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 シオマネキが何百匹もいる

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 追いかけて写真撮って遊んでた

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 良いフォルムしてるよ本当に

 十分堪能して帰途につく。というか私は宿泊客でもないのに自由に楽しみすぎだな。17時を前にして、そろそろ戻らねばと宿を後にして町へ戻ることに。正味10km程度の距離だと思ってたけど、道間違えたりでかなり無駄に走った気がする。

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  迷いようのない道で迷うとは 

 宿泊先のお家へと戻り、明日出発に備えて荷物の準備したり。結局家主の人とは直接対面することが出来ずにここを出発することになりそうで、それだけが心残りである。

 2022年12月24日(土) 走行距離27km  累計122811km
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 モロッコ80日目&モーリタニア1日目 国境手前〜ヌアクショットから北北西に約340km ヌアディブの町

 やたらよく眠れたガソスタテント泊はのんびり8時起床。ここのイミグレーションが何時に開くのか調べてないが、あんまり早くに突入しても仕方がないし・・・というのは私じゃなくて同行者の弁。

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 なのでゆっくりと準備

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 10時に3人とも動き出す

 が、向かう先は国境ではなく近くのカフェ。「ビザの料金とかをちょっと情報収集しときたい」って言われたけどさ、私なんかは怖くて事前に色々調べまくって尚ビビっているのに。この辺の感覚の違いは驚くというか、彼の場合は多分自国語(フランス語)が通じる分気安さとかもあるのだと思う。

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 そんな感じで11時にイミグレへ

 長蛇の列作っている車両を一気にぶち抜いて先頭まで行き、即出国手続き済ませてスタンプ押してもらう。特に途上国ではイミグレーションで長時間並んでる車両が多くなるけど、こうした車両を気にせず進めるのは自転車の密やかな喜び。

 スタンプ押すまではあっという間だったが、そこから3回もパスポート確認してようやくイミグレーション脱出。4kmほど向こうにあるモーリタニア側のイミグレーションまで緩衝地帯を進む。

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 なおこの緩衝地帯

 2020年の秋にサハラ解放戦線の部隊が銃撃戦を行なったことにより国境が閉鎖。その後しばらくはマトモに国境渡ることも出来ず、週1で護送車だかに乗せられて国境を渡るとかそういう状況になっていたそう。

 私もこの辺の情報が日本じゃ全然掴むことできず、かといってヨーロッパで西サハラの状況を聞くと「モロッコは旅行しても大丈夫。でも西サハラは戦争中で国境閉鎖してるよ、多分ね。」みたいな曖昧な話が多く、ここを通過すべきか迷っていたのだ。

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 とりあえず現在では問題ないです

 結局モロッコ入国後にここの国境を越えてモーリタニアへ渡った人から連絡もらい、大丈夫だと確信した経緯がある。行ってみて「駄目でした」って言われたとしてさ、ゲルミンまで1500kmサハラ砂漠戻るんかい!となるので気軽にゃ決められない。

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 モーリタニア側に入ると未舗装路に

 というか現在でも領土紛争における干渉地域ということで、モーリタニア側と表現するのが正しいのかも怪しい。聞けばこの周辺にはまだ地雷も埋まったままになっているらしく、道路が無いからといってあんまり好きなルートを走るの怖い場所。

 そんな感じでモーリタニア側のイミグレ手続き開始。最初に謎のパスポートチェックの建物で「パスポートの写しを出せ」と言われたけど「いや持ってないわ」と答えたら普通にスルー。

 続いて奥の建物でモーリタニアのビザ発給手続きをば。ここの支払いが米ドルではなくユーロ払いのみということで、事前に金策するの大変だったですよ茶壺さんは。別にここらにいる両替商に頼んでユーロ用意しても良かったのだけど。

 ちょっと情報上げとくと、ここの料金55€は1〜2€のコインは受け付けしてくれないが、60€を札で支払えば普通に受理してお釣りを返してくれる。事前準備ができなくてもどうにかなります。

 最後にビザ貼り付けたパスポート持って別の建物にて入国審査。ここは言葉が通じるフランス人サイクリストが3人分のパスポート抱えて一括で対応してくれた。私は外で遊んでた。

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 合計2時間くらいかかった

 今日の山場を越えてようやく一息つけた気持ち。イミグレーションすぐ脇の食堂でお昼休憩でもしたいところだけど、2人とも「それじゃあ行こうぜ!」と走り出すので思わずつられてしまった私。

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 強烈な向かい風を受けつつ

 首都ヌアクショットと第2の都市ヌアディブへと向かう三叉路に到着する。私は近くのヌアディブに向かう予定だが、2人は寄り道せずそのままヌアクショットへ向かうためここでお別れ。

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 おかげで助かりました!

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 ということで1人に戻った

 何故彼らがヌアディブに行かないのかと言えば、この町が半島の先に位置しており、そこまでを45kmの1本道が繋いでいるからである。

 だから自転車的には合計90kmもの寄り道となる上、三叉路に戻ってくる時は強烈な向かい風に逆らい続けなくてはならない。極力「行きたくない場所にある町」なのだけど、ここを逃すと次の町は400km先。

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 つい先日全く同じことを書いた気が

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 ダフラへの道よりアップダウンが多い

 かなりヘロヘロになりつつヌアディブ到着。んでこの町にはモロッコでお世話になったミッチェルの友人がいるそうで「良かったら尋ねてみてよ」と言われていた。まぁ駄目だったらその時はその時で!・・・くらいの気持ちで教えてもらった住所に向かう。

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 これは一気にレベルが落ちたのを感じる

 対応してくれた人もフランス語しか話せず上手く意思疎通もできず「まぁ突然言葉も喋れない外国人が訪ねて来て困るだけだよね・・・」と諦めかけたタイミングで上手いことコンタクトが取れたらしく、よく分からない場所へ連れて行かれる。

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 ここでゆっくりしててくれとのこと

 どうすりゃ良いのか分からないが、21時まで待っても誰もやって来る気配がないので外出して夕食取ることに。流石にこの状況でキッチン使う気にはなれなかった。

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 これで70ウギア(約250円)

 結構な量食べれて味もそこそこ。コーラ1ℓに50ウギア(約180円)って言われた時には早くもこの国出たくなったけど、食に関しては楽しめそうな気がしてきたモーリタニアでございます。

 2022年12月23日(金) 走行距離69km  累計122784km
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 モロッコ79日目 バルバスの町〜ダフラから南南西に279km モーリタニア国境手前

 ということでモーリタニア国境まで本日がラストランとなる。一応表記では「モロッコ○日目」と歌っているが、私はこの西サハラ地域をモロッコ領土とするかは懐疑的な見方してる人なので、この地域を表すのに「モロッコ」と表現したことはない、ハズ。

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 過去の日記も微妙にボカした書き方してる

 せっかく質の良い宿に滞在してることもあり、チェックアウトギリギリの12時前まで施設を堪能してから出発する。というのもモーリタニアとの国境は日中の時間帯しか開いてない時間指定タイプ。

 ビザの取得作業もそうだが西アフリカの国境なんて面倒臭い輩が巣食うロクデナシの魔窟。残り時間が無く焦って手続きしようとするも失敗に終わる・・・というならまだマシで、小悪党に騙されて余計なお金を取られた挙句、何も為せずじまいとか勘弁なので。余裕を持った対応が求められるのだ。

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 だから今日は国境の手前で終了し

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 明日朝1番で入国手続きとしたい

 あと地味に今日の風は東からの横風なのだ。予報では15時くらいから風も弱まるみたいなので尚のこと急いで進む必要がない。世は情報社会、これを活用して上手いこと楽して進むのが現代人の自転車旅行者ですぜ。

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 いざとなったら逃げ込むための建物とか

 楽できたのは進路が西寄りだった最初の15kmだけ。後はひたすら横からの風が砂つぶを巻き上げて私の身体を打ち付けるいつものサハラ。トラックが通過する度に口の中にまで砂が入ってくるし。

 50kmほど走った場所の電波塔に見覚えのあるフルパッキン自転車が。実は昨日も宿の前で彼らと出会っており、しかし「宿代高いから俺らは野宿するよ!」と行ってしまった一幕があったのだ。

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 この砂だらけの土地で毎日野宿は大変だと思う

 ちなみにこうした電波塔には常駐している管理人がいるのだが、フランス語が通じる強みか彼から色んな話を聞き出して教えてもらえた。1ヶ月この何もない電波塔に勤めて貰える給料は400€だってさ。しかもここは砂漠の真ん中で特別手当てが入るため、他より割が良くての金額だ。

 こういう話を聞くとアフリカの人間が命を賭してでもジブラルタル海峡渡ってヨーロッパへ亡命する理由がよく分かる。比較的給料形態の良いモロッコでこうなのだから、他の国は推して知るべし。

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 3人で国境へ

 そうしてみると落ちぶれたとか評されようが、日本という国が如何に恵まれているかよく分かる。途上国にいると方々から「日本で働きたいから紹介状を書いてくれ!」とか(初対面にも関わらず)言われること多いのだけど、まだこちらじゃ黄金の国ジパングなんですよ。

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 ようやく国境の集落に到着

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 意外と大きくて宿もある

 ただ物価はバカ高いのであり、水とスプライトだけで26ディラハム(約330円)取られた。モロッコ相場の約2倍といったところか。

 手持ちの現金も残り僅かでモーリタニア入国後の両替用にある程度残しておきたいのもあり、近くのガソスタ裏手にテント張らせてもらう。隣の水タンクも使わせて貰え「素晴らしい場所だな!」と3人で喜んでた。

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 営業してない施設で建物が砂に埋れかけてる

 明日すっごい久しぶりの国境越えだ。1人だと色々不安だけど、サイクリスト3人一緒だしフランス語堪能な人がいると思うと心強い。これはフラグではない。

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 毎日夕日見てるな 

 2022年12月22日(木) 走行距離86km  累計122715km
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 モロッコ78日目 食堂〜ダフラから南南西に約200km バルバスの町

 早朝の気温下り方が凄くてなかなか動き出せず。寝入る際に「暑いから寝袋要らないわ!」とかいってインナーシュラフ1枚で寝ようとしてたらお店の人が「寒いからコレ使え」と毛布を貸してくれた一幕が思い出される。

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 店員さん流石分かってらっしゃる

 準備済まして出発しようと挨拶する前にはもうお店も営業してボツボツお客さんも来ていた。昨夜23時過ぎにお客のオッちゃんたちに大型タジン鍋作って仕事して(私は混じって一緒に食事してた)、片付け諸々終えて0時前の消灯だったのに。仕事時間長くて大変だ。

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 いくら9割暇しているとはいえ

 出発してすぐ分かった本日は追い風である。というか昨日より微妙に北の方向から風吹いてるだけなのに、平均速度も疲労感も段違い。西サハラは風に翻弄される土地。

 何だか朝からサングラスに違和感があるよう感じて調べてみたら、案の定フレームが駄目になっていたようで軽く力入れたらポキリと折れてしまった。これを見越して?今回のサングラスはフレーム2本セットのタイプを購入していたので良いけどさ、この砂漠のど真ん中でサングラス無しになったら割としんどかったと思う。

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 一応まだフレーム捨てないでおこうかな

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 砂だらけと思いきや割と緑色も点在している

 この緑色の植物なのだが、謎に水分含有量が多く葉の部分を指で潰すと含んだ水が飛び散るほど。こんな砂漠に生息するラクダはこういう植物から水分補給しているのかもしれない。

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 触り心地はプニプニ

 道中は軽いアップダウンと少々のカーブが出てくる程度。偶に電波塔が姿を見せては通り過ぎていく土地で、それでも道路はひたすら延びている。よくまぁこんな場所にアスファルト敷いたと感嘆せざるを得ないな。

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 走ってるだけでも気が遠くなるよ

 ちなみに地平がフラットであればガソリンスタンド等の大きめの建物は6〜7kmくらい手前からその存在を確認することができる。町であれば12〜3kmくらい前でも分かるかな。

 車両に関しては相手も動いているため距離が測りづらいのだが、3〜4kmくらいの距離ならトラックが走ってるの気付けるかと思う。人間の場合は距離2kmまで近づけば確実に発見できる。

 そんな感じで対象物を見つけては距離測って遊んでいるのだが、バスバスの町は10km以上前からハッキリと姿を見つけることができて「ダフラ以南に町は存在しない」と断言していた自分の発言を訂正するほどの規模じゃないか!

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 大都会バルバス

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 あれ・・・大都会? 

 町の中入ってしまえば化けの皮が剥がれるというか、それほどの町ではなかったのだが、出てきた宿は外観からしてこの小さな町に不釣り合いなほど立派な建物。何というかドギマギしてしまう。

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 中庭がとても素敵

 今日のコンディションなら一気に国境まで走ることも不可能ではないが「現代より30年は時代が遅れている」とか称されるモーリタニアへ行く前に快適な環境で心身共にリラックスしておきたい。

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 Wi-Fi速いしホットシャワーだし

 今度こそマトモに補給ができるこの国最後のポイントだとして食材を簡単に買い揃えたり。流石に町中歩いても見どころがあるようなことはなく、宿に戻ってPC弄って遊んでた。

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 中庭じゃないとネット遅いのが難点ではある

 併設していた食堂や商店が閉まって私1人が残ってもしつこくネット。心ゆく迄遊び倒して明日以降に備えます。

 2022年12月21日(水) 走行距離87km  累計122629km
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 モロッコ77日目 チカの町〜ダフラから南南西に122km地点 食堂

 ガソスタ敷地内ということで今回もトラックのエンジン音に悩まされつつ「でも風除けがないとマトモに野宿出来るか怪しいし・・・仕方ないんだ!」みたいな感じで自分を納得させる夜だと思っていたが、至って静かでよく眠れた。

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 もうここより南にマトモな町なんて無いからか?

 まぁサハラ縦断第3チェックポイントであるヌアディブの町も隣国モーリタニアに位置している。もう国境まで爆走してモーリタニアで諸々やれということか。国境まだ250kmくらい彼方だけど。

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 お世話になりました

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 つまりこの景色もまだまだ続くワケだ

 景色が変わらないのは仕方ないとして、問題なのが今日の風向き。前日にも増して強い風が吹き荒れる西サハラだけど、昨日のように北東風ではなく東から吹いてくる。

 この道はひたすら南下を続けているのであり、つまりは側面からの横っ風だ。これでは追い風による恩恵を受けられないではないか!

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 次のサービスステーションまで160kmもあるのに

 というか追い風を計算に入れた上で今日の走行距離は160kmだと考えていたのだが。いくら砂漠で止まる機会が少ないとはいえ、フルパッキンで風に邪魔されながらそれだけ走るのは難しいぞ。

 10kmちょっと走ったところで道路が東へとカーブする区間があったのだけど、ここの向かい風となる数kmを抜けるだけでもう全て投げ出して今日は走るの辞めたくなるレベル。昨日のオランダ人サイクリストは毎日こんな気持ちで走ってるのか、超人だな。

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 私はヘタレなので

 30kmを過ぎた辺りから石や岩石といった姿が無くなり砂と少々の植物ばかりが増えてきた。つまり礫砂漠から砂砂漠へと変わってきたのだと言えるが、見た目は綺麗でも強烈な横風の砂砂漠なんて最悪の環境でしかない。

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 滅茶苦茶に砂粒が私とロシナンテ号を叩く

 左半身は耳の穴まで砂だらけ。整備したばかりの自転車もギアを切り替える度にジャリジャリ音が鳴って気が気でない。偶に通る車は盛大に砂を巻き上げて、それが風に煽られ私を打ち付ける。なんだよこの地獄の道は!?

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 しかも全然進まない

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 初めて西サハラが大変な場所だと思うたわ

 73km地点にポツリと見えるは小さな食堂だ。当初は午前中にここまで走り、昼食休憩して後半戦でお代わり90kmだと考えていたが、時刻は既に14時前。日暮れ前にそこまでたどり着くのは難しい。

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 ので今日はここで終了とする

 外にテント張らせてもらえるか聞いたのだが「そこの奥の部屋で寝て良いよ」と大変有難いお言葉を頂く。距離的には短かったが相当疲労困憊だったようで、食後一休みしたらあっという間に眠ってしまった。

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 すごい世界だよなぁと思う

 こんな辺鄙すぎる土地でも夜になると何処からともなく人が集まってくるようで、お茶を飲みながら談笑している。電気すら通ってない砂漠のど真ん中にもちゃんと人の営みは存在してるのだ。

 2022年12月20日(火) 走行距離73km  累計122542km
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 モロッコ76日目 ダフラの町〜ダフラから南南西に約60km チカの町

 案の定寝坊した朝8時。目覚ましをかけてないので当然といえば当然の結果だが、流石に私も旅行の最中にそういう時間管理のタイトなスケジュールを組みたくない。仕事の時だけで十分です。

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 でも出発10時は流石に遅いと思うた

 1つ幸運だったのが本日の風。午前中に限っては風力が弱い上に風向きも東からで、40kmに渡るダフラ交差点までの道を助けてくれそう。

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 風向き1つでここまで違うか

 そう思えるほどに気楽な走行であり、出発が遅かった分はここで大体取り戻せた気がする。負債が0に戻っただけなのに何という晴れやかな気分であろう。

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 町から25kmくらいの場所に無料キャンプ場が

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 久しぶりにラクダ以外の注意看板見たな

 12時過ぎに交差点まで戻ってきたので近くのガソスタでお昼休憩。ここからが今日の本番というか、本当の意味でのスタートである。

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 ダカールまでは1430kmくらいなのでしょう

 後半戦走り出そうとしたそのタイミングで数日前にペアランしたアルゼンチン人サイクリストと出くわすのだが、此奴テレビカメラの前で何やってんのさ?

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 どうやら自転車旅行者対象にした撮影らしい

 ということで流れで私もインタビュー受ける。綺麗なおねーさんが応対してくれるのなら私も張り切ってしまうのだが、カメラマンのオッちゃんが1人でインタビュアーまで兼ねるとかさ。もうちょっと人員増やすべきではダフラTVさん?

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 「ちょっと向こうから走ってきてくれ」とのことで

 そんな感じで先へ向かおうと思ったら、今度は昨日の山内君がヒッチハイクでスタンバイしてる場面に遭遇す。いやこれ私のアワアワした受け答えもバッチリ全て見られていたんじゃないか?

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 砂漠でヒッチハイクは大変だと思うよ本当に

 イベント盛り沢山のサハラだが、本格的に走り出してしまえば地平線ばかりが続くいつもの世界。強いて違いを上げるならダフラ以南の道はアスファルトの質が悪くなって道幅も側道が無くなり狭くなった。

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 そのクセ交通量は変わらない 

 交差点から30km・40km地点にそれぞれ補給可能なガソスタや村が存在したものの、他に何があったのか今日のことなのに思い出すのが難しいくらいには虚無の世界。確かカイトサーフィンの施設が1つあった気がする。

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 船があれば10kmの距離なのに〜 

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 40km地点の村は良質なキャンプポイントがあるらしい

 午後になって風向きは北東からに切り替わり、さらに風力もいよいよ強さを増して絶好の環境となったため、こんな所でストップするのは勿体ない。このまま一気に先へ進むぞ私はよ!

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 ヨーロッパ、アフリカ縦断

 というかこの道を北上するサイクリストがいるとは思わなかった。聞けば「こんな北風が吹きまくるなんて知らなかった」とのことで、多分ゲルミンまで1000kmくらい向かい風続くと思うと言ったら泣きそうな顔してた。情報収集は大切。

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 久しぶりにラクダ見たな

 100kmちょっとの場所に北回帰線の看板が。変化の少ないサハラにおける大ウケポイントなのだろうか、ライダーやサイクリストのステッカーで埋め尽くされてるぞ。

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 北緯23度27分に位置する夏至の時期に太陽が真上を通過する最北ラインです

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 どこかの国で南回帰線も通過したのだけは覚えてる

 時間が経つほど風はどんどん強くなり、普通1日の最後は疲れてペースが落ちる筈なのにむしろ速くなっていく不思議。結局130km強を走ってチカという謎の集落にポツンと佇むガソリンスタンド到着し本日終了。

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 タジンも食べれてめでたしめでたし

 実はこのチカの町より数km手前にも町があるのだが、そこでは警察が検問していて「この町でのキャンプは禁止だが、あそこに見える(5kmくらい先は普通に見える)ガソリンスタンドでキャンプ出来るぞ」と教えてもらったりしてる。

 しかし人が住んでる気配のない場所だな

 西サハラ入ってからやたらと軍隊や警察の検問が増えた上に、他地域ではスルーしていた自転車にまで一々身元確認で止めさせられるからイライラするのだけど、警官個人に関しては揃いも揃っていい奴ばかりなんだコレが。今回も「水がないと困るだろ?」とボトルを丸1本頂いてしまったし。

 大概の途上国で警官というのは横柄で横暴な上に自分が偉いと勘違いした輩が大半を占めているのだが、モロッコの警官は本当に親切で人当たりが良い。モロッコに関しては警官ではなくこちらを察することのできる「警察官」と表記すべきだった。

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 夕暮れのガソスタでそんなことを考えつつ

 2022年12月19日(月) 走行距離133km  累計122469km
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 モロッコ75日目 ダフラの町

 ということで今日は正しい意味でダフラの休息日としたい。とはいえブラヒムは日曜日でも関係なく仕事とアフリカの人間らしくない忙しさ。今日も8時に家を出てしまうため私も一緒に放出される。

 なのでブラヒムのお宅は今日で退居させてもらい、改めて宿で1日宿泊してリフレッシュしたらダフラ出発しようかなと思う。1人でダラダラする時間というのは砂漠を走るにおいて結構大切な要素なのです。

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 んで外の広場で

 早朝から1人ひたすら自転車整備をしてたのは私です。朝8時にホテル行ってもチェックインできないどころかオープンしてるかも怪しいと踏んだので。砂漠を走って色々心配だし、このタイミングで自転車整備しとくの悪いことではあるまい。

 どうせこの先の砂漠でロシナンテ号が砂塗れにされることは火をみるより明らかだけど、少しでも良いコンディションを保つことは間違いなく自転車のパフォーマンスを上げるし故障やトラブルの防止に繋がるさ。

 そんな感じで3時間半。一通り作業終えて時間もいい感じなので安宿地区へと向かう。両替に関しては日曜日でお店も開いてないだろうと半分諦めている。

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 国境で替えますよそれでいいですよ

 時間的余裕があるため条件厳し目に探したのが悪かったか、いつまで経っても納得できる宿が見つからず疲れてしまった。休息日のハズが何やってるのだ!と思いなおしてチェックイン。高かったけど仕方ない。

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 お昼食べたの14時前

 一息つくほどゆっくりできずにW杯決勝戦である16時が迫ってきており、昨日一緒に観戦した山内君とカフェにて落ち合い今日も旅行話とかしつつ試合観戦に勤しむことに。

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 お客はアルゼンチン派が多かった印象

 ビックリするほど面白い試合で途中からPCも合わせて・・・なんて器用なことが出来るはずもなく試合に見入ってしまった。スポーツは言語が全然分からなくても楽しめるのが良い点だと思う。

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 試合終了

 アルゼンチン・フランス共に楽しんで旅行した身としては、どちらかに肩入れ難しいところがあったりもしつつ。優勝おめでとうアルゼンチンと言えるのは、5日前にペアランしたアルゼンチン人のサイクリストが隣のカフェで観戦していたから。「優勝おめでとう!」

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 ということで山内君と夕食に

 彼は移動を基本ヒッチハイクでこなしながら旅行を続けているらしく、正直ヒッチハイクにあまり良いイメージが無かった私。その言い分は「人様の親切に乗っかっているのを当然としているから」

 だったけど彼の話や体験談、考え方はすごくリスペクトできることが多く、私はそうした旅行者に対する考え方の了見がすごく狭かったのだと反省した。こういう旅行者と話ができることはすごく貴重だと思う。

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 珍しく時間を忘れて話し続けてしもうた

 まだまだ話し足りないし色々聞いてみたいこともあるのだが、お互い明日にはダフラを出発する身。また何処かの土地で会いましょうと握手して別れるのが旅行者の良いところなのだと思う。

 連絡先も交換したし、彼のブログも教えてもらったので時間がある時に見てみようとか深夜1時を過ぎて考えつつ。休んだようなそうでもない気がするダフラの休日でした。

 2022年12月18日(日) 走行距離8km  累計122336km
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 モロッコ74日目 ダフラの町

 さてダフラ滞在中何するかといえば、次の町に辿り着くまでの準備をしなくてはならない。普段ならば精々食材買ってハイおしまいなのだが、次の町とはモーリタニアに入国することを意味している。

 んでモーリタニアはビザが必要なのであり、しかもその金は米ドルですらなくユーロでの支払いが必要とのこと。面倒くせーな全く。

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 まだ外真っ暗の7時前

 家主のブラヒムは土日関係なく仕事とのこと。そんで困るのが彼はムスリムのため奥さんが残っている家に私を置いとくわけにはいかないらしく、ブラヒム出勤と同時に放出されてしまい18時まで戻ることはできない。

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 とりあえず海沿いまで来たけど

 朝の遅いイスラム系の国では8時に開いてるお店なんか無い。暇なので町中サイクリングするのも良いが、せっかくなのでダフラの町から更に南下し半島の先端まで行ってみようかと思う。

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 道はあるみたいなので

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 釣りのメッカっぽい

 15kmほど走ると半島の先端に。一般人は入れない敷地内に灯台があり、軍隊だろうか彼らのキャンプ施設が見える。その脇を抜けて奥に見えるはバラック小屋とエンジンの付いてないボート。

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 どうやら漁場として使われてる模様

 漁師っぽいオッちゃんたちが魚網を整備してたからそう思うけど、普通に見た分には完全スラム街の見た目だよここ。出入口の近くじゃゴミの山が燃え盛ってたし。

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 用具小屋なのかな? 

 長居しても面白い場所では無いし満足したので引き返す。帰り道は完全向かい風だったけど、荷物付けてないのでそれほど苦労することなくダフラ戻れて一安心。

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 そろそろ両替屋探さねば

 普通に見つけたけど両替するにはパスポートが必要といわれ撃沈。既に50ユーロは工面できており、ビザに必要な残り5ユーロだけのはずがなかなかどうして上手くいかない。

 どうにもならず諦めてカフェ入りPC作業とかしつつ。実は昨日ダフラに滞在中の日本人旅行者と偶然バッティングしており、せっかくなので飯でも食べつつW杯3位決定戦でも観戦しましょーと話してたのだ。

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 観戦中・・・

 面白かったのがモロッコ人に混じってサラウィーと呼ばれる西サハラ現地民の人たちが観戦しており、彼らが完全なアンチモロッコ。彼らにしてみればモロッコ人は「無法者の侵略者」なので気持ちは分かるのだが、対戦相手のクロアチアを応援してるとかでもなくひたすら「モロッコの負けや失敗」を喜んでいたのが印象的。

 ちなみに嬉しかったのはカフェで珍しく女性がいたこと。モロッコのカフェはオッさん率100%の世界で、毎回オッさんに挟まれながらタバコ臭い中、野太い歓声を耳にしてW杯見てたのだけどダフラは一味違う。若い娘がキャッキャ喜びながら観戦してる空間の方が私も楽しい。

 そんな感じでモロッコ敗北で幕を閉じたワケだが、ほとんどの客が試合終了のホイッスルを聴かずしてお店の外へ出て行ったのは興味深い。まぁそうだよね、負けた試合は興味無くなるよね。

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 勝った時のイベントを想定してたんだろなぁ・・・ 

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 ついでにダフラの教会とやらを見学したり

 なお日本人旅行者の山内君だが2014年に旅行を始めた人で、同じ年度に出発した旅行者すっごい久しぶり。コロナ禍をどう過ごしただとか、やっぱり納得しないと旅行終われないだとか色々共感するところが多くて面白い。

 とりあえず明日の決勝戦見てスッキリしてから出発したいと思うのであり、山内君も同様とのこと。多分明日もカフェで雑談しながらテレビ見てます。

 2022年12月17日(土) 走行距離40km  累計122328km
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 モロッコ73日目 ガソリンスタンド〜何故半島の先にある ダフラの町

 意外にも0時過ぎるとお店も消灯し割と静かだったガソスタの夜。それでもトラックはトイレ休憩にエンジンかけっぱなしで停車するし、決して朝まで熟睡出来たワケではなかったが。

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 もっと全然眠れない可能性を考えていたので

 9時半にはスタッフにお礼言って出発する。今日も変わらぬ北北東からの風が私の走行を助けてくれるため、こりゃ本日中にダフラ到着は間違いない。

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 今日も砂漠と地平線

 私は景色の変化が少なくても割と平気な方のサイクリストだと思っているが、流石にこの光景にも飽きてきた。「飽き」の何が危険かというと、周囲に対する集中力の低下が起きること。

 実際走っていてもその間はほとんど別のことを考えていたりして、心此処にあらずというヤツだ。何考えていたのかといえば「地球上の緯度1度ってのは距離にすると何kmくらいなのか?」みたいなこと。

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 111kmくらいと(私の中で)結論が出た

 余裕でダフラに到着できるのだが、以前メラアの町でお世話になったブラヒムはこのダフラに住んでいる。「ダフラ来ることがあったら連絡くれよな!」とのことで、事前に話をしていた私はデキる子。

 ただ遊んで旅行してる私と違い向こうは仕事で忙しい身。あんまり早い時間帯に到着しても直ぐ彼と会うことは難しいと踏んでいた。

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 なので動画で自撮りしたりしてる

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 久しぶりに集落を見たな

 70km地点でダフラへの交差点に到着。というのもダフラの町は突き出た半島の先に位置しており、そこまで40kmの1本道が繋いでいるのだ。

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 交差点です

 だから自転車的には合計80kmもの寄り道となる上、交差点に戻ってくる時は強烈な向かい風に逆らい続けなくてはならない。極力「行きたくない場所にある町」なのだけど、ここを逃すと次の町は500km先の彼方。

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 いくしかないのか〜

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 湾はリゾートビーチになってる

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 せめてダフラから本土に定期船作ってくれればなぁ

 左を見ると僅か10kmそこそこの距離に陸地があるというのにさ、あそこへ行くのは80kmの大回りか・・・という切ない思考をしながらこの国最南端の都市であるダフラの町に到着す。

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 砂漠の真ん中にこれほど新しい町があるなんて

 ブラヒムは仕事が終わり次第連絡をくれるとのことで、カフェでネットしながら待つ。もう彼と会ったのも1ヶ月以上前のことなのかと思うと感慨深いな。モロッコは思っていたよりずっと大きな国だった。

 首尾良くブラヒムと再会しそのまま車の後ろに付いてく形で彼の家へ。汚れたまま洗うことも出来ずに溜まっていた衣類を洗濯させてもらい、私もシャワー浴びてリフレッシュ。これだけでもダフラに来た意味があったと思う。

 なお夕食も頂いたのだが、例によって23時とか遅い時間帯から。そんで食事終えると即就寝というのはやっぱり慣れないと感じる日本人であります。

 2022年12月16日(金) 走行距離117km  累計122288km
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 モロッコ72日目 ガソスタ裏〜ダフラから北東に102km地点 ガソリンスタンド

 8年前の今日、私の海外自転車旅行はスタートした。途中でパンデミックという思わぬトラブルが発生し、一時は中途半端なまま旅行が潰えてしまうのか・・・と思ったこともあったけど、何とかこうして続けられてることに感謝をしつつ、今日もサハラの走行です。

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 起きてびっくり

 天気が曇りなのはまぁ良いけどさ、砂漠なのに湿度90%超えてるんじゃないかというほどビッチョビチョ。テントも自転車もリアボックスもあらゆる物が水滴だらけ。

 何が困るってここが砂漠であることだ。実はサハラのほとんどは砂砂漠ではなく礫砂漠なのだが、そうはいっても基本砂地の地面である。そこで水浸しのテント諸々を畳むというのですか?本気で?

 15分ほど格闘してどうにもならなかったので諦めてグショグショのテントを仕舞い込む。そうでなくとも朝食で使ったコッヘル収納するのにも四苦八苦してるのだ。テントのことは一旦忘れよう。

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 そして気にしないでおこう

 というかガスっててかなり視界も悪いな。側道がしっかりあるから普通に出発したけどさ、側道無かったら天候回復するまで待機してたかもしれないレベル。砂漠で晴れるのを待つってさ、冗談かよ。

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 20kmも走らず晴れてきた

 曇り空に翻弄されて忘れていたが、本日待ちに待った北からの強風である。こいつを背中に受けて一気にペースアップし爆走する予定なので。

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 景色もあんま変わらないし

 調子良く追い風を受けていると最大の恐怖は「カーブ」となる。もちろんこんな僻地に交差点はおろか、曲がり角すら出てこない。でも道路は常に真っすぐではなく微妙にカーブが混じっているのでして。

 カーブして僅かに進行方向がズレるだけで先の追い風が猛烈な横っ風となって自転車を襲う!今日の風向きは正確には北北東から吹いており、ちょっと南向きの道が南東方向になるだけで速度は5km/h以上低下する。オマケに私が超疲れる。

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 そんな感じで55km地点のレストラン

 ここで昼食摂らずにもう30km先へ。珍しく今日は本気なので距離稼いでおきたい。

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 この辺ちょっと地形が変わって面白い

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 撮影した時は狐だと思ったんだけど犬っぽい

 ということで85km地点ガソスタにてお昼休憩。町から相当離れている僻地の割にタジンが35ディラハム(約450円)と非常に良心的な価格。ちょっとした観光客相手のお店は平気で80ディラハムとかふっかけてくるというのに。

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 流石にコーラはちょっと高かった

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 すっかり青空が戻って暑い

 基本的に追い風を受けていると私自身は無風に近い状態なので暑いんですよ。あとハエが風に乗ってずっと纏わりついてくるのが嫌といえば嫌。とはいえ向かい風に比べれば細やかな問題ではある。

 16時には135kmを走って名前があるのかも怪しい小さな集落へ。でも私はこのポイントをすごく楽しみにしていた人で、というのもここでは温泉に入ることができると教えてもらったから。なんかサイクリストの間では有名な場所らしい。

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 出会った人に聞いたら案内してくれた

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 これはなかなかの秘湯

 丸2日シャワーもなく砂漠を走り続けた身体にこれ以上の喜びがあろうか?私はこのために西サハラを走って来たのだ!と思わず断言してしまいそうになるほど素晴らしい温泉。地味に西サハラは温泉湧き出るポイントが沢山あるようで。

 サッパリしたところで管理人のオッちゃんが「泊まる場所あるぞ」と案内してくれる。が、ここで宿泊すると後からかなり高額な料金を請求される・・・と合わせて聞いてたので謹んで辞退。入浴料だけ支払って先に進むことに。

 6km先に軍の施設があってそこにテント張れると聞いたけど、すぐ側にスラム街みたいなバラック小屋が並んでおり、嫌な予感するのでスルー。もう3km先のガソスタまで走って本日終了。

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 結構走ったな

 でも全然疲れた感じないどころか温泉入って感覚的にはリフレッシュしたと思ってる。ここでもタジンを夕食に・・・というか多分西サハラのガソスタ食堂にタジン以外のメニューはない。いや私は全然構いませんが。

 「ここにテント張れば良いぞ」と敷地の隅に案内してもらったが。大変有難いけど多分ここ深夜もずっとトラックとかのエンジン音で煩いのだろうな。ガソスタ外は野良犬&ゴミだらけだったのでどっちもどっちかもしれないけど。

 2022年12月15日(木) 走行距離147km  累計122171km
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