自転車ときどき世界1周

2023年11月

 アルバニア11〜13日目 ジロカストラの町

 ダメだった。激しい腹痛でマトモに眠れず最悪の状態。とりあえず宿に延泊のお願いしてひたすらベッドの上で横になる。

 熱や吐き気といった症状は全く出ておらず、胃の中に食べ物が入ると痛みだしそれが完全に消化しきると痛みも治る・・・というパターンであることに気づいたので、食当たりというよりは胃か腸のどちらかが炎症でも起こしているのかと想像するが。

 とりあえず体調マシになったタイミングで1度買い物に出向き、スーパーでフルーツジュースとか飲み物中心に買い込んでおく。これで暫く胃を休める方針でいきましょう。


 翌日。昨日の晴天から再び天候悪くなってしまい、そもそも宿の敷地から1歩も出てない私にゃ関係なかったが。丸24時間以上水分のみで食事取ってなかったため、そろそろ大丈夫かと夕食にホットミルクでオーツを作って食べてみた。

 このまま影響無いようなら回復したものと思ったが、日付の変わる0時前に再び激しい腹痛が襲う。そのまま痛みでほとんど眠ることもできず明け方までのたうち回っていた。


 更に翌日。流石にこのままでは不味いと判断し、オーナーに話してジロカストラ唯一の病院へ行くことに。心配したオーナーが車を出してくれたのは本当に有り難かったし、病院ですら英語の通じる人がほぼいない状況だったので色々説明してもらえたの助かりました。

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 点滴中

 心電図とエコー検査を受けた後に点滴打たれて2時間ほど待機。点滴終わったら病状の説明して薬とか処方してくれるのかな?と思いきや「問題なかったよ!お大事に!」と言われ終了してもうた。

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 マジかよ

 とりあえず薬の処方だけでもしてもらえるかと思ってたけど、そういうの一切なし。後で聞いたらエコーというのは腎臓とか中身の詰まった臓器に対して行う検査であり、そもそも胃腸の問題で実施するものでは無いそうだ。まぁアルバニアの田舎病院はこれくらいのレベルだということか。

 迎えに来てくれたオーナーに「とりあえず胃薬だけでも買いたいのだけど・・・」とお願いしたら「俺が持ってる薬をあげるから心配するな!」と言われてしまい宿に戻る。

 無茶苦茶寝不足だったので昼寝した後、不安で仕方ないけど夕食としてお粥を作ってみた。これでお腹が痛まなければとりあえず明日には出発したいところ。

 2023年11月23日(木) 走行距離0km  累計143717km
 2023年11月24日(金) 走行距離0km  累計143717km
 2023年11月25日(土) 走行距離0km  累計143717km
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 アルバニア9・10日目 ジロカストラの町

 ジロカストラにて再び雨停滞。なんで最近こんな雨ばかり降るのだろうと調べてみたが、この辺は地中海性気候なのだそうで冬の時期にこそ雨量が増える土地だった。

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 だからかなるほど

 地味に2023年はスペイン・南アフリカ・バルカン半島と多くの地域で冬の地中海性気候に翻弄される旅程となってしまった茶壺さん。

 昨日も書いたがギリシャ入国したらのんびりしている余裕は無いのであり、休息と共に天候回復してくれることを祈っております。

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 一応天気予報では23日から晴れるみたい

 午前中はまだ雨も降っていないためジロカストラの町を観光しようと思う。先日のベラトに続いてここジロカストラも世界遺産認定を受けてるアルバニア有数の観光地。歩き回ってみようじゃないか。

 宿が旧市街の山の中腹に位置しており、オマケに石畳エリアという自転車でアクセスするには最悪の場所だったけど、山頂にあるお城へアクセスしやすかったり悪いことばかりじゃない。

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 とはいえ個人的には麓に宿ある方が良い

 非常に狭くて急斜度の道だが、そんな場所でも普通に集落が広がり人々の生活があるのは不思議な気がする。だって100m坂を下れば広大な平地が幾らでも広がっているんだぜ?

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 住めば都なのかもしれないが

 そういうのは旅ガラスの長期旅行者にはなかなか理解しづらいのだろうか?向こうからすれば東京の狭い土地でバカ高い家賃支払って生活してる姿は滑稽に見えるのかもしれないし。

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 ただ観光地だけあって客引きが多い

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 昨日現金尽きたのでお城の入場料払えず入口までの1枚

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 道だけでなく家屋の塀もほとんど石積み

 車両はルートを選べば一応この辺にも侵入できるみたいだが、現代における石壁の補修工事ですら重機も入らず人力作業が主となっている。そういうの目撃しちゃうと町を建築した当時の苦労を想像してはゾッとする。

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 大変すぎる

 ゆっくり一通り見て回り、最後に坂の下にある新市街まで降りてお買い物。一応坂の上の旧市街エリアにも個人商店とかあるのだが、普通に2倍近い料金吹っかけられたの昨日の話。ヨーロッパでぼったくりに遭遇するとはなかなか貴重な体験だ。

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 その時も断ってわざわざ下まで買い出しに来た

 現金枯渇した関係でカード払いとなるのだが、地味にカード対応のスーパーが少なく苦戦する。ようやく買い物済ませて宿に戻り、一息ついたタイミングで雨降り始めたので割とギリギリだったな。

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 夕食はひたすらコロッケ揚げてた

 この夕食後くらいから謎に腹痛が始まって、全身の倦怠感が出てくる症状が。流石に揚げ物で食あたりになったとは考えづらいのだけど、アルバニアの野菜なんて平気で傷んでる物売りまくってるので油断はできない。


 翌日。腹痛は激しく痛むというほどではないが、ずっと鈍痛が続いている状態でひたすらベッドで横になる。雨激しく降ってるのでどうせ外にも出れないし仕方ない。

 夕方に多少調子良くなったため、試しに夕食パスタ造ってみたが食後数時間で再び腹痛が。どうにもならず再びベッドとトイレを往復する状況に。こんな調子で明日出発できるのか?

 2023年11月21日(火) 走行距離0km  累計143717km
 2023年11月22日(水) 走行距離0km  累計143717km
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 アルバニア8日目 道路脇〜ティラナから南に約140km ジロカストラの町

 非常に寝心地よかった場所だけど、家畜の放牧エリアっぽくて油断するとヤギだか羊の糞の上にテントを敷いてしまう危険性がある。昨日は明るいうちにテント設営できたから事前確認できたけど、日が暮れた後の野営はそこら辺が難しい。

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 テントに霜が降りるようになってきた

 平野で日当たり良好だったので出発前にテントを乾かしておく。今使ってるテントは内側完全メッシュ生地のタイプだけど、それでも最近は当然のように夜露で濡れるようなってきた。

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 気温低いが日向ならまだ余裕

 川に沿って進む道のためそれほどアップダウンは無いと踏んでいたが、思いの外小規模な上り降りが連続で襲ってくる。道路を川にビタ付けにせず、ちょいちょい川から離れて山へと向かうのだから当然なんだけどさ。

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 何故そんな道を造った?

 ただこの道は側道がしっかり確保されて自転車的には全くストレスを感じず走れることが有難い。天気も素晴らしく、左右に聳え立つ山々を眺めながら走るアルバニア田舎のなんと素晴らしいことよ。

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 途中で訪れたテレペナの町

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 そのちょっと先にはやたら天然水を推してる場所が

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 おお、完全に鏡面状態の湖

 お昼休憩を挟んでも13時半には目標地点としてたジロカストラの町に到着する。なんとなく分かってたけど川の両側に聳える山の斜面に家屋が造られており、自転車で走りたく無いタイプの筆頭みたいな町だ。

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 しかも宿は旧市街エリアだから石畳だろうし

 案の定、直線距離ではもう300mも離れてない場所から強烈な上り坂となる。オマケに路面もゴツゴツの石畳で滑りやすく、フルパッキンの自転車押して上がるのですら厳しいレベル。

 この区間だけで30分近く使い、ようやく安宿チェックイン。ジロカストラの観光は明日に回すとして、今日の内に衣類の洗濯やれ食材の購入と作業的なことを済ませておきたい。

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 もちろん徒歩で行きますよ

 かなり手間取ってしまい宿に戻ったときには真っ暗となってしまったが、帰り道から見えた山の稜線に佇むジロカストラ城の姿はなかなか荘厳であった。

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 ライトアップされてて綺麗だし

 一般家屋のキッチンを使わせてもらえるタイプの宿だったけど、このお家のキッチンがかなりレベル高いタイプで驚いた。多分奥さんが相当料理好きなのだろうと想像する程度には。

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 ということで夕食頂きまして

 ここでしっかり休んでおき、再びギリシャから滞在期限(シェンゲン協定)との追いかけっこに備えようと思う。ヨーロッパも残すところ僅かだ!・・・と思うのは些か時期尚早か。

 2023年11月20日(月) 走行距離52km  累計143717km
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 アルバニア7日目 馬舎跡地〜ティラナから南に101km地点 道路脇

 なかなかの冷え込みで寝袋から這い出るのに気合が必要な朝。毎回これを経験すると「冬の到来だなぁ」とか思ったりするが、気持ちと裏腹に呑気なテンションでは居られない。

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 はよ暖かな土地に移動せねば

 ストーブの調子が悪くて整備に時間を要したが、そもそも急いでないし太陽が昇ってからの方が気温も上がって活動しやすくなるので有難い。難しいのは冬の時期だと日照時間が短い関係で、遅い出発だと走行時間が短過ぎてちっとも距離走れない点。

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 今日は9時半過ぎに出発

 坂を下ると大都市ヴロラに到着するのだが、町に入る直前で海岸方面へと進路を変える。というのもここの湾になってる場所に小さな島があり、そこへ桟橋を伝って移動できるというワクワクな地形が存在してるのだ。

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 それが見たくてここまで来た人

 防風林の中伸びる道を10kmほど進むと3日ぶりとなるアドリア海が。この旅行中にもう再開することはないだろう・・・とか書いちゃったけど、如何に私の予定が適当であるかを示している。

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 予定は未定だからさ

 木々を抜けて小さな集落を越えると見えてきたのは小島とそれに繋がる木造の橋。堪らないよねこういう景色。間違いなくあの島には重要アイテムが安置されてるぜ。

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 なお島内は撮影禁止らしく

 島に建築されてた教会は13世紀に造られた物だそうで、その割には造りがしっかりしてたし保全・修復がなされているかと思われる。残念ながら冒険の助けになりそうなキーアイテムは発見できず。

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 見つけたのはトーチカくらい

 実はアルバニアでは国境付近やこうした海岸沿いに多くのトーチカを見つけることができて、その理由が割と近年まで続けられてた鎖国政策に起因するものというのが面白い。カンボジア以外にも近代で鎖国をしてた国があろうとは。

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 同じ道を戻る形で今度こそヴロラの町へ

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 今度こそアドリア海ともお別れかな

 というのもヴロラの町から海を沿うように進もうと思ってないからだ。そもそもベラトを出てから次の目的地と定めていたのはジロカストラという町であり、時間的余裕があるのでヴロラにやって来たというのが正しい。

 つまりここから想定してたルートに戻るため、海沿いの道を走るのはなんだか違うな・・・という気持ちでして。

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 町を東に抜けるSH100という道に入る

 アルバニアの3桁道路なんてどうせ未舗装のダメダメ道だろうなと思っていたが、その予想に違わず峠道に入るなり未舗装へと様変わり。いやいや、こういうのは「予想に反してバッチリな道じゃないか!」とかそういう流れでしょう?

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 現実は無慈悲である

 幸いにして斜度は緩やかだし、山脈の北端を掠ってる位置なので山の標高も低め。場所によって地面が石で敷き詰められおりガタガタなのが気になるが、これくらいなら許容範囲よ。

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 ゆっくり進めば大丈夫

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 山頂到着してから下り坂始まるまでが長かった

 むしろ下り坂の方がスリップ注意して集中しっぱなしだし、ブレーキ握り続けて両手が痛い。稀にこうした「峠の登りよりもむしろ下りの方が大変」というパターンはある。

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 なんとか幹線道路に復帰

 これで後は気軽に走行できるでしょう!とか思っていたが、アスファルト復帰直後にまたしても上り坂。これは完全に想定外の坂であり、気持ちが全然準備できてないままにヒルクライムスタート。

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 この坂終えたら今日は終わりにしちゃる

 上りきったと思ったら、短い平坦路を挟んで2段目がある嫌らしいタイプの坂。体力的にはそんな問題となるほどキツくないが「一仕事終えて余裕綽々」というテンションでこの2段回ヒルクライムはしんどいぞ。

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 最初の峠より標高高かったし

 早くも太陽が沈みかかって来たため下り坂の途中で見つけたガソスタにて水補給、その後出て来た商店でビールだけ購入。なお食材に関してはヴロラの町中で事前購入してた。今日は日曜だし田舎のスーパー開いてない可能性を考慮して。

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 結果的に問題なかったけれども

 まだ空は明るいけれど、無理する状況でもないし道路から農地へと向かう獣道へ突入したところ、良い感じに道路から見えない空き地があったので本日終了。先ほど見つけた水道で足洗った関係で、指先の感覚が無い程度には寒さが厳しい。

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 もう暫くはサンダル履きスタイルでいきたいな

 月の形は三日月だけど、はっきり影が見えるほどに明るい夜。寒さで空気が澄んでるため光が通りやすくなる・・・とかそういう理由だったらロマンティックだと思うんだけど。

 2023年11月19日(日) 走行距離77km  累計143665km
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 アルバニア6日目 ベラトの町〜ティラナから南南西に96km地点 馬舎跡地

 ここの宿は宿泊者全員に朝食サービスが付くタイプであるため、目を覚ました後も時間となる8時まではゴロゴロして過ごす。とりあえず今日から3日間は良い天気が続くようで、時間的な余裕からか気持ちも楽だ。

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 2段ベッドの上だったけど快適に眠れた

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 想像してたよりずっと立派な朝食

 ちゃんとコーヒーもドリップだし文句ないな。ハンガリーで泊まった宿もホステル にしては相当朝食豪華だったと思っているが、ここの宿も相当レベルが高い。そんで値段も安いのが旅行者的には助かるな。

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 11€(約1790円)でした

 のんびり準備し10時過ぎてからの出発。天気が良くなり放射冷却現象発生してるのか、昨日と比べてやたら気温が低いのであり、流石にこれでは厳しいと今シーズン初の7部丈ズボンとフリースを活用した冬スタイルの服装でスタートする。

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 なお足元は素足にサンダル

 さてベラトの町から山々を縫うように南へ道は続いてるのだが、聞いたところでは四輪駆動車でも難儀するほどの酷い未舗装&山岳地帯となるらしい。なのでもうちょい西へと進み、海岸線に近いルートがアップダウンもなく快適に走れる道としてオススメとのこと。

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 なので昨日走った道を15kmほど逆走する形で戻る

 教えてもらった三叉路まで戻り、改めてスタートした直後に上り坂。まぁベラトから山の隣を走り続けて来たのであり、何処かのタイミングでコイツを超えることになるのは分かってた。いっちょうやっちゃるぜ。

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 割とアッサリ山頂へ

 標高にして200mも登っていないと思うけど、これがベラトから南下するルートだとどんどん高い山となり場所によっては1000m以上の高さまで成長する模様。回り道して楽して峠越えとはね、私にしちゃ珍しく頭使ったルートプランニングだ。

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 ロベルトに感謝だな

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 船のようで家

 そのまま西進してフィエルの町へ突入する。2日前に道を間違えフィエルに向かって爆走していた私だが、結局訪問することになるとはフィエルと縁があったのだろうか?

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 そんでビックリするほど大都会だった

 特に用があるわけでもないのでそのまま町を抜けて南下開始。再び海沿いの道路へと戻って来たことになるが、海から微妙に距離離れているためか海岸線を見ることは出来ず。勢い余って「今回が最後のアドリア海かな」とか書いちゃったので、このまま海見れないのもアリ。

 県を跨いだと同時に一気に景色が様変わりし、平野に沿ってオリーブやオレンジの木々が植えられてる大規模植物園が目立つ感じに。

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 道路も直線的になった

 国立公園だか自然保護区に設定されてる場所らしいが、東欧の国が皆そうであるようにアルバニア人もまたそんな場所でもお構いなくゴミを捨てまくっているのが残念でならない。個人的に西欧と東欧で最も乖離を感じるのがゴミを筆頭とする環境に対する意識だ。

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 目の前で窓からゴミを投げ捨てるドライバーを何度も目撃してきた

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 アルバニア入ってオート三輪がチラホラと 

 文句はともかくフィエルで増えた交通量も落ち着きを取り戻し、地平線へと沈んでいく太陽を横目に自転車走らせるのはなかなか良い気分だ。もしかすると海へと沈んでいく太陽を見れるの本旅行で最後のチャンスかも!?とか思ったので、是非とも海岸線でキャンプしたかったのだが、海辺へたどり着く前に夜となってしまい普通にテント張った。

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 夕日なんざ散々見てきたから良いんだよ!

 良い天気の割に日中の気温も大して上がらず、そんでもって夜の冷え込みは厳しくなる。そんな環境だけど私は基本的にビールが飲める環境下ならどんなに寒くても夕食のお供はビールを基本としております。

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 熱燗とかも好きだけど

 2023年11月18日(土) 走行距離80km  累計143588km
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 アルバニア5日目 ティラナの町〜ティラナから南に約70km ベラトの町

 超絶酔っ払っていたため日記もブログも書かず寝てしまった昨夜。ロベルトも私と同じ量飲んでいた筈なんだけど、彼はあの後も仕事していたのだろうし、普通に今朝もやって来て「モーニングコーヒー飲みに行こうぜ!」と誘ってくれる。元気というか酒強いな。

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 機械音一晩中鳴ってたけど全然余裕で眠れた

 昨日も訪問したカフェは田舎にポツンと1軒あるお店なので、利用客全員が顔見知りらしい。毎朝ここでコーヒー飲んで、仕事終わりにもう1杯、そんで夜中はアルコールを飲むんだとのこと。

 そんなお店なのでロベルトが他のお客に私のことを紹介してるのだが、そうすると爺ちゃんたちが喜んで「アルバニアの煙草だ吸ってみろ」とか「とりあえずこれ飲みな!」と色々出してくれる。

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 イタリア近いからかコーヒーはエスプレッソが普通

 でも私は煙草やらないので無理して吸ってゲホゲホ咳き込むのは良いとして、朝から強烈なラキ(酒)をお出ししないで下さいよ。この後自転車で走れなくってしまうじゃないか。アルバニア人はお酒大好きな国民ばかりか。飲みませんでしたよラキは。

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 しかし貴重な経験だった

 去り際に工場で製造しているオリーブオイルも1本頂いてしまい、何から何までお世話になりました。昨日から他にも飲み物とか果物も頂いたりして自転車荷物満載。

 とりあえず残り20kmの距離走ってベラトの町へ向かう。これが楽勝なのは分かってたのであり、それでもオススメされたラキを断った私は偉い。

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 でも進行方向は山なんだよね

 というのもベラトの町は山の斜面に建てられたオスマン帝国時代の家屋が立ち並ぶ様をして「1000の窓を持つ街」と呼ばれているのだそう。あんまり調べてなくて昨夜ロベルトに聞いたところでは「2000の窓を持つ街だ」と言われたのだが、とにかく沢山窓があるってことは分かった。

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 そんな感じでベラトの町に

 いやいや何だよ普通に似たようなビル群が立ち並ぶ社会主義だった国でよく見る町じゃんか!と私もガッカリしたが、どうやら歴史地区はもうちょい奥まった場所にあるようで。早まってはいけなかった。

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 なるほどこっちか!

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 これは面白い光景だ

 下から見上げた時にちょうど全体が見渡せるようなっているのが良い感じ。これってやっぱり見栄えの良いよう計算して町の構成したのだろうか?

 でもオスマン帝国時代に作られたということは15世紀とかその時代のはずで、そんなご時世に見栄えを意識した町造りするのかどうか。現代の視点で見るからそう言った考えになるだけで、当時はこれがスタンダードなのか、むしろ外敵からの攻撃を防ぐのに適した形だったのか。

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 とかまぁ色々考えたり考えなかったり

 とりあえず歴史地区は狭隘&坂だらけの場所なので、自転車移動は困難どころか不可能に近い。宿のチェックインは14時からだが自転車及び荷物を置かせてもらって身軽な状態で観光に繰り出す茶壺さん。

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 とりま山の上にあるベラト城から見ていこうか

 斜度10%を超える石畳の坂をよっこい登って城門潜ると、なんとそこにも小さいながら集落が広がっている。建物や道を見るにどう考えても大昔からほとんど姿を変えずに続いてる雰囲気で、これはなかなか珍しい光景だと思う。

 アクセスも悪いしお城の敷地内にある地区は歴史的に破壊されたりするのが常だから。実際この先に位置してるモスクだとか教会なんかは廃墟になってたり基礎部分のみが残っている程度。

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 こんな感じに

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 説明文がなければそれすら分からないレベル

 そんな集落を通って山の端まで進むと出てくる展望台。ベラトの歴史地区はもちろん町の全景を眺めることができるスポットで、曇り空にも関わらず人が途切れず常に賑わう場所である。

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 かなり落ち込んでて恐怖感あるな

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 向こうの方が商業的な町の中心部っぽい

 山を下ってそのまま歴史地区の中を散策する。久しぶりに一眼レフ取り出し写真撮っているのだが、狭い路地に合わせて建物2階部分が迫り出した櫓の形となっている造りの建物であるため、光が差し込まず全体的に暗いんだよな。

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 こんな生活しづらい場所とは思わなんだ

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 ちょっと離れた場所から眺めるのとは全然違う

 川を挟んで反対側の地区にも行ってみる。後で調べたところではキリスト教とイスラム教とが川を隔てて存在してるとのこと。パッと見どちらがどちらの宗教なのか分からんな。

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 分かんないでしょ?

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 私は分からなかった人(多分こっちがキリスト教)

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 しかし写真撮るのが楽しい町だわ

 じっくり堪能して宿へと戻り、チェックイン後はサクッと買い物出かけたくらいでゆっくりしてた。3〜4時間くらい歩き回ってたと思うのだが、自転車で走り回るより歩く方が疲れるんだよサイクリストという人種は。

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 オーブン使えたので夕食はオーブン料理

 頂いたオリーブオイルが実に良い味していてビールが進む。20時すぎてようやく降り出した雨だけど、まさか明日も降り続けたりしないよね?雨を避けての移動はまだまだ続く模様。

 2023年11月16日(木) 走行距離21km  累計143508km
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 アルバニア4日目 ティラナの町〜ティラナから南に57km地点 オリーブオイル製造工場

 部屋を変えてもらい快眠できた夜。昨日私と同室で文句言ってた韓国人は、今朝も寝不足なのだろうか出発まで起きてこなかったため、スマホ音楽小僧が昨夜も迷惑かけまくっていたのかは不明。

 朝食作ってる途中で断水が発生するというトラブル起こるも、手持ちのボトルでなんとかやりくり済ませ8時過ぎには出発する。ティラナは明日から再び雨の予報なので、今日を逃すとまた雨で動けなくなる日々になりそう。

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 その前に脱出だ

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 意外に自転車道しっかりしてるティラナの中心部

 とりあえずアルバニアを南下するつもりだけど、ティラナから唯一南へ伸びてるルートというが2日前にエルバサンから来た道なんだよね。本旅行で同じ道を走るというのはなるべく避けたいと思っているし、何よりあの峠をもう1度登らされるのは勘弁願いたい。

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 ということで西の海岸線へと向かう

 少々回り道になるが、そこまで走ると内陸の山岳地帯を抜けることになるため平地で楽できると考えればイーブンどころか若干得してると言えなくもない。景色は単調になりそうなので総合的にはやや損してるかもしれない。

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 損得でルートは考えるものじゃないぞ

 ずっと路面状態良かったアルバニアだが、ティラナを抜けてからのSH56号線はガタガタの凸凹道が続いて非常に走りづらい。基本的に平坦か下り坂が混じる構成だから問題ないが、交通量も割と多いし逆方向に走ってたら結構ストレス溜まる道だったかもしれん。

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 とりあえず海見ておく

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 多分今回で最後のアドリア海かな

 海沿いのリゾートエリアはシーズンオフのためか閉鎖している施設も多く、人通りの少ない砂浜に面した道をひた走る。個人的にはこうした時期外れの冬の海は嫌いじゃない。

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 今日は割と暖かいのもあるし

 海沿いの主要道路は車両専用の道なのか判断がつかない微妙なライン。ときどき地元の自転車乗ったオッちゃんとかが走ってるので問題ないのかもしれないが、とりあえず隣にある小さな道路を利用して先へ進む。

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 ときどき油断してると突然未舗装路に化けたりするけど

 平坦路ばかりで珍しく走行ペースが非常に速い。とりあえず次の目的地と定めてるベラトの町が130kmくらいあるのだけど、この調子じゃ今日中に到着してしまう。観光地なので野宿も難しそうだし適度にゆっくり休憩挟んでいこうかなとガソスタ休み。

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 するとお客さんから飲み物や食事をご馳走に

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 どうもありがとうございます!

 ここで会話してて面白かったのが「アルバニアの人はフランクで優しいんだ、(ヨーロッパの )北に住む人たちと違ってな!」と言ってたこと。

 実はこの趣旨の発言はヨーロッパで何度も聞いており、南欧の人々は陽気で人懐っこい気質・・・というのが感覚として根付いているらしい。日本で言うと沖縄の人は陽気で明るい・・・みたいな根拠はないけど割と共有されてる感覚。

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 ヨーロッパ全土を走った者としては

 この意見の通りに南欧の人たちは垣根が低くて気さくに声をかけてくれるし、アルバニアなんかは正にそんな出来事が多数発生する国だと思う。一方で北欧の人たちも非常に親切であり、多くの人が親身になって私のことを応援してくれたり助けてくれたのであり、一言でいえば「地域間における意識の違いというのは何処にでもある」ということか。

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 みたいなこと考えてたら道間違えて10kmくらいロス

 明日の天気予報は北部側ほど早い時間に雨が降り始めるようなので、出来るだけ先まで進んで(でもベラトに着かない場所で)終了したい。そんな我儘な気持ちで日も暮れてきた道を急いで進む。

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 すごく良い形した山が遠目に

 いよいよ暗くなってきたのでテント張る場所探していたが、まだ水補給してないことを忘れており慌ててガソスタ跡地に建ってるカフェで水汲んでも良いかとお願いさせてもらう。

 首尾よく水頂いて、そのままお客のオッちゃん(社長)が勤めてる工場にテント張らせてもらえることに。

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 オリーブオイル作ってる工場だった

 今が繁忙期らしく機械は24時間稼働で作業が続くらしい。そんな中でありながらとても親切にしてもらい、夕食も一緒に頂き地元のやたら強い酒(ラキ)を一緒に飲んだりしてたのだが、この酒本当に強くてあっという間にフラフラに。バルカン半島で散々飲んでたラキアと同じ酒だと言われたけど詳細は不明。

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 本当にありがとうございます

 こうして親切受けてると私も思ってしまう。「アルバニアの人はフランクで優しいんだ!北に住む人たちと同じかそれ以上にな!」

 2023年11月16日(木) 走行距離108km  累計143487km
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 アルバニア3日目 ティラナの町

 深夜に部屋戻ってきたスマホ音楽野郎のせいで何度も起こされ絶賛寝不足。この手の輩が問題なのは、ドミトリーという同室に宿泊している他人の迷惑を想像出来ない点と、何度注意されても30分後には同じことを繰り返すことにあると思う。

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 そういう輩は割といる

 おかげでバッチリ寝坊した11時起床。当のスマホ野郎は現在グッスリ寝ている訳だが、コイツの図々しい点は日中に他の客が入室しライト付けると「寝てるんだから電気消せ!」とかぬかしてくるところ。

 ということでオーナーに相談して部屋を変更させてもらった。これが無理だったら1日分宿泊費無駄にしてでも別の宿へ移っていたと思うくらいには迷惑受けておりますので。

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 愚痴はこのくらいにして

 1日雨の予報だった天気だが、案外空模様は悪くならずに曇り空で留まっている。ゆっくりコーヒーと昼食摂って、少々PC弄った後にティラナ中央広場へと外出す。

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 どうやって洗濯物干したのだろう?

 実は昨日X(旧Twitter)でメッセージを受け取っており、向こう様も丁度ティラナに滞在している関係で会うことになった次第。

 私も自転車旅行するにおいて結構様々な人のブログやれSNS見て情報収集したり参考にさせて貰っているのだが、そんな中で会った事はないけど非常にリスペクトしている日本人サイクリストというのが2人ほどいる。

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 偶然自転車ショップ見つけたので物色したり

 その内の1人が岩崎圭一さんという方で、私のSNS見て現在地を知り連絡頂いたという流れ。彼は現在イタリアかそちらの方にいると思ってたので、私にしてみれば青天の霹靂というヤツだ。

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 そのショップで教えて貰った自転車マーケットに行ってみた

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 こういう市場には色々面白いモノあるのが常 

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 何とマラソンプラスが取り扱いしており侮れないアルバニア

 という事で非常に興味深い会談の機会を貰え、ややテンション高めの町歩き。歩いて10分の距離なのに1時間前に出てきており、自転車市場を教えて貰え良い感じに時間使えて良かった。

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 そんな感じで待ち合わせ場所のカフェに向かう

 時間余裕あったクセに、カフェの場所勘違いしてて走りまくった辺りが私らしい。15時丁度に到着した時には既に席で待たせる形となってしまい、割と申し訳ない気持ちでご挨拶。

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 そんな立場で奢って貰ってるとかさ

 自転車旅行者にも様々なタイプがいるが、私が「自転車で知らない世界を走ること」に重きを置いてる旅行者だとすれば、岩崎さんはそれとは少々異なるタイプに感じる。

 それは各々の旅行において「何を大切にしているか」という違いであって、比較するものではない。それでも尚、岩崎さんが走ってきた旅行の話は興味深いし、この人が凄いのはそれ以外の点についても様々な挑戦を続けていることだ。

 標高0mの海からエベレスト山頂までを全て人力で移動した、人類唯一の快挙を成し遂げているし、最近では大西洋を手漕ぎボートで横断したことで日本のテレビでも話題になったとか。

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 そんな経験を持つある種伝説的な旅行者なんだけど

 その物腰の柔らかさや成し遂げた行為に対して謙虚な姿には頭が下がる思いだ。旅行を続けていくことで自身の力を誇るのではなく、人様からの助けで成り立っていると感謝している・・・という感覚には、私も強く共感するところであり嬉しく思う。

 そんな人でもこれから訪れる未知の世界は怖いし、そういう土地を走った話を聞きたかったという言葉を聞いて、やっぱりすごく魅力的な人だなと感じた。私の話が何かの参考になったのであれば、それはとても嬉しい。

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 本当に良い出会いを頂いたことに感謝

 私としても今日聞いた話はとても刺激に満ちており、帰り道では高揚した気持ちでややフワフワしている程だった。奢って貰ったビールで酔っ払ってるからではない。

 ともあれ素晴らしい出会いが出来たティラナの町。夜になって降り出した雨も明日の朝には止むそうで、楽しいアルバニア走行ができそうな予感。

 2023年11月15日(水) 走行距離0km  累計143379km
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 アルバニア2日目 山の中〜アルバニア首都 ティラナの町

 目を覚ますとちょうど東の空が明るくなるタイミングだった朝。そのままウトウトしつつ空の色がゆっくりと変わっていくのを眺めたり気温上がっていくのを肌で感じたりと早朝の時間帯は何ともいえない心地良さがある。

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 出発前にはすっかり暖かく

 昨日の続きでスタートから峠の上り坂。まだ身体が温まってないためか、やたらとペダルが重たい気がするな・・・と思っていたら、本フロントギアを重たい方に入れていたのでそらそうだ。というかよくこんな状態で2kmも走ってたな私は。

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 上の方に見える建物が山頂か?

 この程度なら思ったよりもアッサリ山頂まで登れそうだな・・・とか思いつつのヒルクライム。徐々に小さくなるエルバサンの町を横目にじわじわと標高を上げていく。

 10kmも走らず到着したと思いきや、そこに見えるは稜線を伝って奥の山々へと続く道。そんな楽な道じゃなかったかー

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 行きますよだって他にルートもないし

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 ここから斜度は緩やかになったな

 ほとんどの車両は下に造られた有料道路を通過するみたいで交通量皆無に近い道。私も自転車通過できれば下の有料道路を選択しようと思ってたけど、これだけ景色が良くて走りやすい道なら峠越えルート走ったことに文句はない。

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 案外ティラナの町は見えないのね

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 そんなに標高高くないけどアルバニアも山だらけの国っぽい

 下り坂に入ってから4〜5台ほどロード乗りとすれ違ったのだけど、なるほど首都近郊でしっかりした上り坂のある(オマケに交通量も少ない)道として、ここは地元サイクリストにおける格好の練習場所という訳だ。

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 峠の後からティラナまでそこそこ距離あったけど

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 もう上り坂ないので気楽なもんですよ

 小高い丘を迂回すると、高層ビルが立ち並ぶ如何にも都会を感じさせる姿が見えてくる。自転車旅行者的にはこの景色を見るあたりがピークであり、以後町中突入するにつれて車両の多さや交通マナーの酷さにテンション下がっていくことが多い。

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 特に途上国ではそう

 でもアルバニアはその点優秀で、少なくとも車両が自転車にクラックションを鳴らしてくることが非常に少ない。コソボ国民に見習わせてやりたいぞ。

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 まだお昼過ぎだけど

 予約していたホステル投宿してしまい、一息ついたら早速市内観光に動き出す。宿は2泊お願いしてるのだけど、明日の天気が雨なので多分気持ちよく観光できるチャンスは今日しかないと思ってたから。

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 やたらカラフルなビルが多いティラナの町

 中央広場に来てみたらテント設営されてサウジアラビアのエキシビジョンが開かれていた。そのままフラフラと吸い寄せられるように見学したが、メッカのカァバ神殿内部をゲームみたいに動かしてみて回れる出し物とかあって面白かったな。

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 むしろサウジの展示会が1番記憶に残ったわ

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 アルバニアもイスラム教徒が1番割合多いと聞く

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 確かにこのモスクは群を抜いて立派だった

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 というか中央広場は人も少ないしだだっ広いだけなんだもん

 どこか途中で適当に昼食にしようと思っていたが、安いと聞いてたアルバニアの物価は全然そんなことないぞ!いやまぁ首都ティラナの中心地だから物価高いのかもしれないが、スーパーの商品にしたってコソボや北マケドニアより遥かにお高い物が多い。

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 昨日の田舎町にあったファストフードは安かったのに

 この辺はもうちょい物価調査してから結論出したいところだが、とりあえずビールの値段が跳ね上がったことは間違い無いのが辛いところ。この先どうすっぺか。

 宿に戻って夕食作り、部屋に戻るも2段ベッド下の輩が深夜になっても音楽流し続ける迷惑客。人の延長コードを勝手に使うし、深夜に平気で電気付けるしどうしようもない奴だな。

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 オムライスに書いた文字は「bicycle」

 他のゲストが「冷蔵庫に入れてたコーラが半分以上減ってる」とか言ってたけれど、アルバニアの宿は何処もこんなレベルなのかとガッカリしている。オフリドの宿が設備も他の宿泊客も良かっただけに余計そう思うな。

 2023年11月14日(火) 走行距離45km  累計143379km
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 北マケドニア
 2023年11月5日〜11月13日
 走行日数9日間
 累計走行距離324km(142937km〜143261km)

◎道路
 バルカン半島南下するほど道路が良くなっていくというのは私の想像と真逆の現象で驚いている。路面状況も良好だし、狭いながらも側道のある道が増えたことで自転車的にはかなり安心できるようになった。いくつか峠も越えたけど、アルバニア国境沿いにあった坂を除いて10%を超えるような厳しい斜度はなく、緩やかに登っていくことができる自転車にも優しいタイプのものばかり。オマケに登坂車線がしっかりあるので車両のオーバーテイクに怯えることもない。なお車両は右側走行。
 強いて挙げるならちょいちょい出てくる自転車道が整備されてなかったり、突然未舗装路へと切り替わる「町の周辺だけしか配置してないよ」系のため、こうした道を利用するより素直に道路を走る方が良い。というか酷い目にあった。
 スコピエ周辺だけは交通量も多いので怖い思いすることあるかもだけど、基本的にそれ以外でストレス感じることは稀で非常に優秀な国でした。

◎治安
 基本的には問題ないが、スコピエの周辺は貧困を感じさせる場所が多くそうした人が住むスラムっぽい地区だったり不法投棄されたゴミの山があったりと治安的に不安を感じさせる場所もチラホラと。
 町中の落書きはともかく放置されたゴミの量は一気に増えた感じで、あまり良い感じはしないというのが正直なところ。
 大きな町の周辺には似たような感じでボロボロの家屋だったりプレハブ小屋みたいな家が立ち並ぶ地区があるみたいなので、あんまり町の近くでテント張るのは躊躇われる感じがある。ビトラでの野宿も完全に日が暮れてしまったので止むを得ず・・・というところがあり、あんまり気軽にテント張りたくはないかな。

◎ビザ・出入国
 パスポート渡して特に質問があるワケでもない簡単なタイプの国境でした。その割に北マケドニアのイミグレーションには車両が長蛇の列をなしており、コソボ側のイミグレーションとあまりの違いに「北マケドニアって審査厳しい国なのか?」とか不安になったし。アッサリ通過できたのは日本人だからかもしれないが真偽の程は不明。

◎交通事情
 これがすごく良くなった。無理な追い越しも無くなったし、アホみたいにクラックションを鳴らしてくるクソドライバーの割合も劇的に減り、側道が配備されてる道が多い事もあって非常に安心して走れることが多く自転車旅行に向いてる国だったなと感じる。
 ただ全く問題が無いわけじゃなくて、スコピエを中心として一般自転車が道路の左側(車両は右側通行)を逆走してる割合がとんでもなく高いと思う。ここまで逆走多いのザンビア以来だぞ。
 あとマナーは向上したけど運転技術に難あるドライバーも多い感じで、自転車をオーバーテイクした直後に急ブレーキかますとか、右折してあわや巻き込み事故になりそうな場面があって、要するに自転車に対する危険予測なんざちっとも出来て無いのが現状であるため、こちらが集中して危険回避しないとならず、安心できる環境とはいえ気は抜けない。

◎特徴
 元々は「マケドニア共和国」という国名だったのだが、歴史的にマケドニアという土地はギリシャとの国境に跨って存在するエリアであり、むしろ面積的な点ではギリシャの国内にマケドニアと呼ばれた土地は多くを占めていたりする。正確にはマケドニアが約4割、ギリシャが約5割、ブルガリアが約1割と言った塩梅。
 そもそも古代マケドニア王国はギリシャ系の言語を使っていたとされる人々で、北マケドニアの多数を占める南スラブ系とはそもそも直径の子孫か怪しいとされている。
 そんなワケで旧ユーゴスラビアから独立後にマケドニアと国名を名乗った際にギリシャから「なに勝手にマケドニアを名乗っているんだ!」と物言いが付き、紆余曲折あった末2019年に北マケドニアという国名に変更することで決着がついた。
 国際的には一応の解決がついたものの、この国の人は自国のことを「マケドニア」と呼ぶし、ギリシャの人は北マケドニアのことを「スコピエ」とか別の名称で呼ぶらしい。

◎気候
 スコピエ周辺は年間通して晴天に恵まれている土地とのことだったけど、私が訪れる前日は雨だったし数日後の天気予報も雨となってた関係で早々に移動している。なので個人的には天気の良いスコピエという評判には懐疑的。
 ちなみに他の場所でも散々雨に悩まされた北マケドニアで、特にオフリド周辺では度重なる雨によってなかなか移動ができず難儀した。バルカン半島入ってから雨の割合が増えて難儀すること多かったけど、ここまで足止めを食ったのは北マケドニアが始めてである。でもこれは地形的なものというよりこの季節が比較的雨の多い時期で、私はそのタイミングに嵌ってしまったのだと予想する。この時期周辺諸国の天気も軒並み悪かったので。
 ちなみに天気が良ければ平地を走る分にはまだTシャツ1枚でも走行可能なギリギリの気温。私は比較的寒さに強いタイプなのでそんな服装だったけど、多くの人はそれでは厳しい気温だと思うし、実際地元民の服装はコート羽織っている人までいたので参考程度に。

◎言語
 マケドニア語が公用語らしい。旧ユーゴスラビアの国らしくセルビア・ボスニア語と似ているらしいので、つまりクロアチア語やモンテネグロ語とも近しい言語なのだろうと推測できる。
 でも言語的に近いのはブルガリア語だそうで、この2つに関しては方言程度の違いしかないとのこと。ここら辺は北マケドニアが歴史的にブルガリアの領土だったりとかが影響してるのだろうな。さっきから不確定な言い方ばかりで申し訳ない。
 とりあえず英語の通用度はそれほど高くない。スコピエとかオフリドではほとんどの人が英語話せた感じだけど、田舎町だと基本的に英語は通じないと考えておくのが無難。使用文字もキリル文字なので読むことができず、食堂のメニューが読めないけど質問しようにも英語が通じず適当に勘で注文!・・・というパターンを久しぶりに体験した。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 安宿なら10€前後で宿泊ができる印象。スコピエの町には多くのホステルあったので色々回ってみたが結構な割合で潰れている施設が多く、コロナ以前の宿情報は当てにならないと思った方が良い。
 設備もしっかりしてたし利用した2つの宿には両方とも寝室にエアコンが配備されていたのは好印象。時期が時期だから使ってないけど夏は相当厳しい環境だろうし。
 宿のWi-Fiは速度も速くて問題となることはなかったが、スコピエ・ビトラ・オフリドの3都市以外でFreeWi-Fiを掴むことは最後まで出来なかったため、田舎におけるWi-Fi普及率は決してよくない。ガソスタによく「FreeWi-Fi」といった表記が出ていたが、1度も本当の意味で自由に利用できるWi-Fiは出てこなかったし。なおあくまでFreeWi-Fiでの話であり、普通にカフェとかレストランといった施設を活用してネット利用するのなら全く問題ではない。

◎動物
 そんな大型動物見なかったな。いつもの家畜で牛・馬・羊にヤギあたりはちょいちょい出てくるものの、野生動物を見た記憶がない。多分というかコソボのベアサンクチュアリでは北マケドニアとの境界線上で捕獲した熊も云々とかあったので、間違いなく熊はいるのだろうけど。
 ボスニア以南は完全に犬が襲ってくる国のエリアとなったようで、ここでも多数の犬がテリトリーに入ると狂ったように吠えて追いかけてくる場合がある。特に北マケドニアでは犬の数を多く見かけたし、今回ヨーロッパに入って犬叩き棒が火を吹いた初の事例がここ北マケドニアだ。

◎自転車店
 コソボからやって来るとスポーツ自転車の利用者割合が一気に増えたことに驚く。その需要を反映してか、スコピエには先進的なショップもあると聞いたのだが、実際訪れたワケではないのでレベルとかラインナップは分からない。
 オフリドの町でも市場の近くで2店舗ほど自転車ショップを見かけたが、こちらはお世辞にもしっかりしたショップではなく取り扱ってるパーツもほとんど種類がなくグレードも低かった。レンタサイクルの商売を主としてるタイプのショップだったので仕方ないかもしれないが。
 とりあえず地方都市にはそれほどしっかりしたショップがある雰囲気ではないため、基本的にはスコピエのショップでアレコレ対応するのが正解だと考える。国土の小さい国だしそれで問題ないんじゃないかな。

◎物価・食事
 コソボとほぼ変わらず物価は安い。普通にスーパーや市場を活用してれば食費は1日1000円もしないレベル。私はこの国で初日に50€(約8100円)を両替してるが、これで食費に関しては丸7日間イケた。あんだけビール飲みまくってだ。
 そのビールにおいてもコソボよりは値段も下がり、お求めやすくなってはいる。東欧全体で見るとやや料金高めという印象ではあるが。
 食堂に関してはケバブ屋みたいなファストフードは何度か利用した。値段は最低300円から・・・というイメージで大体合ってると思うけど、店員が割り引いてくれたり奢ってくれたりが多くて正確な料金が日記に残ってないんだよね。本当にありがたい限りです。
 食事の内容に関しては相変わらず変化の薄い感じになってるけれど、北マケドニアではまだ酒と言ったらラキアの国らしく、ここでもラキアを頂けたのが嬉しかった。

◎総括
 歴史を調べてみた結果、旧ユーゴスラビアを構成していた国は全て訪問してみたい・・・と思っていたので、この北マケドニアを無事に走り切れたことは私の中で一区切り感がある。
 個人的な感想としてこれらの国々は近しいところもある一方で、どの国も独自の特色があり違いを感じさせることが多かったため、ユーゴという国が7つの国へ別れてしまったのは仕方ないと思えてならない。紛争を肯定してるワケではないのであしからず。
 そんな国々の中でも特に独自色の強かった北マケドニアだが、人は優しく親切だったし自転車で走るのに適した平地と山岳の割合に加え、適度な距離に置かれる安宿を配した観光地。物価も安く地理的な要因も相まって、自転車旅行してて非常に楽しかった国である。
 陸路旅行者は最初に旧ユーゴスラビアを構成していた国として訪れる人も多いと想像するが、北マケドニアでの滞在経験でその後のユーゴ諸国も良い意味で期待を持たせてくれる国になると思う。
 なお最後なのでユーゴスラビアという国を表す有名な言葉を残しておく。

「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を持つ、1つの国家」
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