今のご時世、世界1周をしてやろうという気概を持つ人は存外多い。ちょっと検索すればそんなことをしている人はゴマンと見つかる。5人くらいかもしれない。

 現代のご時世、日本という国、発達した交通設備、ちょっとした時間と金を用意すれば世界中で行くことができない場所なんてあんまりないのだぜワトソン君。

 だがしかし待って欲しい。飛行機に乗って次に目が覚めたら、そこはニューヨークやパリだったりするわけだ。その途中の何万kmにも渡る道中をカットして、いきなり異国の大都市なのである。


 ・・・・・・それ、騙されてないか?


 飛行機に乗ってみて感じたのだが、あの乗り物は外界と完全に遮断されている。外の情報は小さい窓からしか得ることができない。

 これでは移動しているつもりで、別の場所に行ったり同じところをぐるぐる回り続けていても乗客は気づくことはない。

 成田を飛び立った飛行機が亜空間ワープして架空の「海外都市」に到着しているかもしれない。安全ベルトのランプが消えるあたりでカラクリが作動していると私はニラんでいる。


 つまり世界の真の姿を確かめるためには、自らの足で道を進まなくてはいけないのだ。バスや鉄道でもいいじゃんといわれるかもしれないが、移動で寝ている間にキャトルミューティレーションされない保証はどこにもない。

 やはり、自転車がいい。自分で行きたいところを決め、進むも止まるも自分次第である。料金だってかからない、痩せる、健康に良い、頭もよくなる。いい事だらけだ。


 あの道の向こうに広がっている景色を確かめるために、自転車を駆けるのである。上り坂を回避しながら。