自転車ときどき世界1周

カテゴリ: オセアニア

 第3部 俺のオセアニアがこんなに可愛いわけがない

 〜アニキ、世界1周したいんだけど(自転車で)〜


 オーストラリア1日目 デンパサール空港〜ダーウィンの町

 さてオーストラリアに到着する前に、越えなければならない壁がいくつかある。それはワーホリビザの取得だったり、自転車の飛行機輪行だったりするわけだが、そうした面倒事を全てやり遂げいよいよ入国までカウントダウンの気持ちで機内へと乗り込む。

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 飛行機の姿が私をワクワクさせる

 危うく乗り遅れそうになったりもしたが、いざ動き始めてしまえば私は座っているだけなのであり、ぐーたら寝てスゴそうかと思っていたのだが。やたらと細かいアライバルカードが配られるのであり、見たこともない英単語ばかりで何を歌っているのかわかりゃしねぇ。

 しかし私もこの手の問題は何度も乗り越えて来たのだ。勇気と気合いで全て適当に記載してしまおうかとも思ったが、ここは隣のオーストラリア人に助けを求めるのが正解なのであり、文字は分からなくともコミュニケーションならば何とか理解できてしまう不思議。

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 そして機内食をオゴってもらってる不思議

 そのまま色々と話を聞いているうちに、「ダーウィンにはどれくらい滞在する予定なんだい?」と聞かれたので「ノープラン。今日は宿予約してるけど後は何も考えてないですよ。」といったところ(実はビビって2日分予約してたが)、「じゃあ明日はウチに来て泊まりなさい」ありがとうございます。私、オーストラリアでも楽しく旅行できる気がしてきました。

 そうしてるうちに無事にダーウィン空港へと到着。オーストラリアは税関が厳しいみたいな話を聞いてたこともあり、やや緊張しながらイミグレーションへ向かう。そして拍子抜けする。

 というか、イミグレーションに人が配置されてないとか驚きを通り越して唖然としたわ。これが話に聞いていたETASというシステムなのですね。パスポートスキャンするだけでまさかの日本語で全ての指示が出るという完璧な仕様。これはもっとドンドン導入すべきシステムですよ。

 ウキウキ気分で手荷物を回収しようとするものの、何時までたっても私の自転車梱包した段ボールが現れない。アホみたいな大きさしてるので、見落とすハズないのであり一体どうなってるんだ・・・・とか思ったら

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 まさかの別出入り口に

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 おかげ様でほとんど最後になってしまった

 厳しいといわれる税関でも特別何を没収されることもなく通過。ようやくオーストラリアの大地を踏みましたよ!もう21時過ぎですが。

 これが18時くらいだったら多分その場で自転車の組み立て始めるところだが、今からその作業始めると確実に宿への到着は日付を跨いでしまうのであり、むしろ無事にチェックインできるかどうか怪しい。不本意だけど、本当に不本意ながらもタクシーを使って宿まで移動することにした。

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 オーストラリアのユースはYHAと表示されてる

 明日はオーストラリアを走る前に取り揃えておく食材から生活用具まで買い物である。何しろ荷物の重量を減らすためシャンプーから洗剤液の中身まで使い切っている(一部は捨てた)のであり、入念な事前準備が必要となってくるであろう。

 東南アジアの物価に慣れきった今、その価格上昇に私の精神が耐えきれるか微妙なところである。

 2015年9月16日(水) 走行距離0km 累計19625km
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 オーストラリア2日目 ダーウィンの町

 アジアでの走行が終了したことに伴い、適当にブログの情報まとめてたら寝たのは2時だった。ブログ更新作業なんぞを一生懸命やらずさっさと休むのが私の挟持なのだが、1度ハマり込むとなかなかどうして文章書くのは面白いのである。このやる気を学生時代に勉学で生かすことができたなら・・・とか思うのだが、人は好きなことにしか直向きになれない生き物らしい。

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 しかし1泊2000円でこのベッドか

 あまりの物価格差におののきつつも、とりあえず段ボールに梱包したままのロシナンテ号を組み立る作業の始まりである。キミが動かないことには私は何もできないよ。

 先日の分解&梱包作業の逆手順を行うだけの簡単な作業のはずが、やはりというか飛行機輪行における荷物は雑に扱われているようで、自転車が壊されることが多いという情報に偽りなく前輪のスポークがひん曲がっていた。なおチケットを予約する際に確認したのだが、航空会社は自転車輪行における破損に対して無保証なのであり、私は黙ってブログで愚痴をまき散らすことしかできない。

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 予備スポークと交換

 そんなことしてたら準備ができたのは12時半。アジアならば適当な食堂にでも行って昼食にするところであるが、ここはオーストラリアだ。アジアの金銭感覚でいたら遠からず私は破滅する。とりあえずスーパーにて調査活動しときましょう。

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 なんという綺麗に整備された町並み

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 こんなスーパー久しぶりの気がする

 店内は広くて綺麗であり、何よりその商品棚には非常に多くの種類の食材が陳列されている。無意味に同じ商品が何十個も並ぶような光景はオーストラリアにはないのである。嗚呼、素晴らしきかなオーストラリア。でもコーラの値段がインドネシアの10倍なのであり、早くも心が折れそうです。

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 全部牛肉

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 バナナが! 400円って!

 上がったり下がったりと忙しいテンションであるが、とにかく昨日出会ったアリさんの家に向かって移動する。実は迷わないようにと昨日、飛行機内にて住所を書いた紙を頂いていたのだが、荷物整理のゴタゴタで失くしてしまう私はおっちょこちょい。そんな言葉で済まされるとでも思ってるの?

 そんなミスの多い私であるが、それを補う幸運とリカバリ力は人一倍あると思っている。地図アプリにマーク記した地域へ移動し手当り次第に「アリサンのお宅知ってますか?」と聞くのであり、1人目にて家まで案内してもらうことに成功する。

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 苦労?しての再会は格別な気持ちですね

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 別邸を建築中なのだそう

 周辺を走っていた時から感じていたが、超豪邸じゃないですか〜。家の庭にプールが付いてる家は幾つも見たけれど、まさか私がそうしたお家に泊まらせてもらい、そうしたプールで泳ぐ日が来ようとは。さっきまで20セント(約18円)の値段の差に悩んでいたというのに、今はブルジョワ的にプールでスイミング、数奇な運命である。

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 ユースホステルのプールは有料だったし

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 チェリーちゃんと遊びつつ泳いでた

 良い感じに日も暮れてきたので夕食準備を始めたことだし、手持ち無沙汰も嫌なのでお手伝いしようとするのだが「いいのよ、そこに座ってビールでも飲んでて。」・・・って何ソレ?何処の桃源郷ですか。

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 お言葉に甘えて飲みますビール

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 一般家庭にBBQセットが

 無茶苦茶豪華な晩餐を御馳走になり、その後オーストラリアについての話を聞いたりしていたのだが、おかあさんが「明日は近所の友人呼んでパーティするからね。」と教えてくれる。なるほど、さっきから電話していたのはそのためだったのね。

 もはや連泊することに何の疑問も持っていない傍若無人っぷり。まぁオーストラリアでは時間制限あるわけでなし、ゆっくり楽しむことを目標とします。

 2015年9月17日(木) 走行距離5km 累計19631km
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 オーストラリア3日目 ダーウィンの町

 アジアと違って物価高のオーストラリアでは、日々の食生活レベルが下がりテントで寝起きする生活を覚悟していた。雨水を飲んで乾きに耐え、栄養もクソもない食事で飢えをしのぐ。生き延びればそれで良いサバイバル生活に私はどれだけ順応することができるのか?自身を試す修行の世界である。

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 おはようございます

 もうね、ここに住みたい。私は自転車旅行してるのではなくて、オーストラリアでホームステイ体験だったのでは?とか現実が見えなくなるレベル。修行って、オマエはいつの時代の人間だよ、ドラゴンボールでも読んでりゃ良い。

 修行をしない私はせめて荷物を万全の状態に揃えるため買い物へと出発する。なお、移動の足は家主であるアリの車である。泊めてもらうに飽き足らず、買い物まで連れ回すとは我ながら良い根性だ。というか、色々と親切すぎて言葉もねぇ。

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 先進国のアウトドアショップは違うね

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 テントが何種類もある!

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 セルフレジとか

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 何だコレ?ホントにインドネシアの隣国なのか?

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 昼食で日本食屋に連れて行ってもらった

 午後から家に戻ってぶっ壊れる寸前のサンダルを修繕したり、新しく送ってもらった看板の取り付け作業諸々をしたり。まるで一生懸命動いているように見えるかもしれないが、その左手には常にビールが握られていたりして、何本飲んだか分かりゃしない。だって、アリが「もっと飲めよ!」って勧めてくるんだもん。

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 奥さんはサンドイッチ作ってくれるし

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 栓抜きが必要そうに見えてスクリューキャップなビール

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 昨日に引き続いて夕食作りの手伝いは遠慮される

 「今日の夕食は日本人の友人が来るからね。」と伝えられていたのだが、やって来た女性はオーストラリアをバイクで走り回ったというウルトラアクティブな方。おかげ様で知りたかった道路の情報や気候、危険な生き物に注意事項まで無茶苦茶詳しく教えてもらえた。そして私が如何にオーストラリアを軽く考えていたのかが良く分かった。

 でもでも、オーストラリアって先進国だし治安も良い(らしい)し、割と楽に行けるだろうとか思ってたとしても分かる気がするでしょう?

 実際には危険な動物ワンサカ、気温が50℃近くになる灼熱の砂漠地帯、雨季になると増水して数百kmに渡り通行不能となる地域、数百kmに渡り完全に無補給の区間、100km以上で脇を通過してゆくロードトレイン(超長いトラック)等々、単純な危険度は分からないが、こと「生きる死ぬ」のレベルで語れば確実にアジアより危険な土地なのである。実際、結構交通事故や水が補給できなくて死んでる人がいるらしい。

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 ますます出発したくなくなるじゃないか

 とりあえず強烈な日差しに対して長袖を用意してないのは無謀らしい。でも私は物価高のオーストラリアでそんなに散財する余裕はないのだが・・・・とか思い躊躇してたら、「ちょうど明日は教会で市場がある。そこなら1ドル2ドルで色々買えるぜ!」という頼もしいお言葉が。自転車旅行者をよく理解してます。

 いつまでお世話になってるのだ?とか思われるかもしれないが、私も早く走りだしたい気持ちを懸命に抑えてビール片手にステーキ食べたりチキンを頬張ったりと努力してるのだ。そういえば「茶壺は誤解されやすいタイプだよ」と誰かがいってた気がする。多分、昨日の夢の中で。

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 庭にゴミの分解処理機があったのだが。これは普通なの?

 2015年9月18日(金) 走行距離0km 累計19631km
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 オーストラリア4・5日目 まだダーウィンの町

 昨日根絶丁寧にオーストラリアという国の気候の厳しさを伝えられ、どれだけ私がお気楽な気持ちでこの国を走ろうとしていたのかが良く分かった。ニア(アリの奥さん)が会話中に何度も「ダイイング」って単語を使用してたのは、過度に心配性なわけではなく、冗談抜きで行き倒れる危険性が高いから。

 会話の中で「死ぬわよ」という単語が、スラングでなく正しい意味で使われるなんて、以前の仕事している時でもあんまりなかったのに恐らくこの3日で10回以上は耳にした。死亡確立急上昇なんてもんじゃねぇ。

 死ぬのはまっぴらゴメンなので、ニアと一緒に早朝から買い物へ。ここで色々買い揃えるのかと思いきや、土曜日の朝市に付いてきただけなのだが。そんなサタデーマーケットで1週間分の果物買うらしいので荷物持ちのお手伝い。

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 市場も洗練されてて

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 値段が超高い

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 買ってきたフルーツを贅沢に使用した朝食

 その後はアリと死なないためにアウトドアショップでエマージェンシーコールができるという機械を確認しに行く。何でもオーストラリアで本当に危険な状況の時、ボタンを押せばレスキュー隊がGPSを確認して救助に来てくれるという装置があるらしい。まさに緊急避難的な道具である。

 あっさり道具は見つかり値段を聞くも「350$」とか表示されてる。まぁ私の立場的に、できれば消防組織に迷惑かけたくない思いはあることだし、止めときましょう。死ぬかもしれない危険も怖いが、使うか分からない道具に3万以上出すのも同じくらい怖いのだ。自転車旅行は冒険でも何でもないのであり、ヤバい時には周囲に助けを求めることとします。

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 その分食料買います

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 その後はダーウィンの町を観光

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 本当に綺麗な町並み

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 しかもビーチはガラガラ(ワニが出るらしい)

 夕方から近所のお宅でパーティをば。私にいわせると昨日も充分パーティの条件を満たしていたと思うで、2日連続パーティだ。豪邸の庭にテーブルが並び、チーズだ!肉だ!ビールだ!・・・という、ご想像通りの世界が広がってました。こんな世界があるんだなぁ。

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 世界は広い

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 あら可愛い

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 これが彼の有名な生ハムメロン!

 なおパーティの最中、英語が速すぎて何いってるのかほとんど分からないので、ひたすら飲み食いしてた。9ケ月経っても私のリスニング力なんてそんなもんです。


 翌日。結局昨日はなんちゃって買い物で何1つとして物品購入してないことに気付く。あぁ、修理完了したタブレットを受け取ったりはしたけども。ということで今日もニアに車を運転してもらい、町中のスーパーで食材から調味料まで一通り買い揃える。

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 家の前に捨ててある粗大ゴミ・・・・ってゴミかよ! 

 フライト前に余計な物を捨てまくって軽量化したはずのロシナンテ号は、ここに来て一挙に10kg以上ものリバウンドを帰すのであり、ここ2週間ほどほとんど走ってない状態の私には負荷が大きすぎて体を壊してしまわないか心配である。

 せめて少しでも体への不可を下げる・・・というか、ニアから「絶対に必要よ」といわれた、首までガードするタイプの帽子を購入し日光対策に努めることとする。

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 砂漠を走る人っぽい?

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 ボックス内は食料だらけに

 明日からようやく、ようやくオーストラリアの走行が始まる。まるで今か今かと待っていたかのようであるが、アリのお家が居心地良すぎたこともあり、割と出発するの億劫だなぁ・・・という精神状態です。そんなんで良いのか自転車旅行者!?

 2015年9月19日(土) 走行距離0km
      9月20日(日) 走行距離0km 累計19631km
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 オーストラリア6日目 ダーウィンの町〜ダイーウィンから南南東に69km地点 レストエリア

 無茶苦茶お世話になったアリ夫婦の家だが、流石に出発することにした。本日も朝食を作ってもらうわ、お弁当も作ってもらうわと、私は受け取ってばかりで何も返せていない。せめて「無事に走りきれたよ」という報告を送り、心配性のニアを安心させたいものだ。

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 本当に楽しい日々でした

 別れを惜しんでいたこともあり、出発したのは9時。実質オーストラリア初走行みたいなものだが、すでにこの時間帯で暑い。いや、本当は暑さは感じないのだが日差しの強さが凄まじい。初っ端から昨日買った帽子は大活躍である。

 恐らく湿度が低いので、汗はあまり出てこないし不快な感覚は少ないのだが、かなりのペースで水分補給を徹底する。それでも喉が渇くあたり、自身が分からないレベルでかなり消耗していることが伺える。

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 最初だけ自転車道有り 

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 町を離れると何もない景色が

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 でもキャンプサイトはちょいちょい見かける

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 いや、途中の町はないのかよ?

 アジアのごちゃごちゃした様相とは全く異なる景色に、今までの経験なんてものは大して役に立たないことがよく分かる。というか、アジアの国々は物価安くて商店が沢山あって、本当に自転車旅行者に優しい国だったのだなぁ。

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 ロードハウス まぁ郊外のコンビニみたいなもんですね

 嫌らしいことに郊外に出ると只でさえ馬鹿高いオーストラリアの物価は1ランク上昇する。でも周囲には水分補給できる場所など皆無なのであり、不本意だが1本5ドル(約450円)のペットボトルを買ってしまう私のバカバカ。でも飲まなきゃ割とマジで死にかねん日差しなのだ。

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 新しく買った温度計は壊れたのか、この地が異常なのか?

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 最悪、この水道管ぶっ壊してでも水確保しなくては

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 こんな感じのレストエリアは割と多い

 地味に海外自転車旅行で始めて足がツってしまった辺り、相当厳しい環境を走っていると思うのだが体感的にはあまりキツさを感じないのだ。ジワジワと首を絞めてゆくタイプと見た。

 久しぶりに100km以上の距離を走り、寝場所を考え始めたところで前方に見えるは大量のバッグを付けてノロノロと走る二輪車。自転車旅行者だ!

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 この気候でアホですな

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 何と良い笑顔

 話してみたら何と日本人チャリダーではないか!正に私がこれから走行する予定のルートを走ってきたとのことで、もう山のように聞きたいことがありまくり。折角なので一緒にキャンプしようということになり、5kmほど戻ったレストエリアでテント張って夕食作りつつ話し込む。

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 今日からテント泊の夕食は基本自炊です

 もうね、楽しくて仕方ない。同じ自転車乗りだからこそ分かち合える大変さとか楽しさとか、まぁ話が尽きることがあるワケない。そして自転車乗りは基本楽観的であり、この先に控えている長距離の無補給ポイントやら、厳しい気候に対しても「平気平気!問題ないッスよ。」とか答えちゃうのであり、そういうことならもうちょっとだけオーストラリア頑張ってみようかな?

 新しいテントとエアーマットに包まれながら、夜は過ごしやすいオーストラリアで満天の星空の下就寝。これは楽しくなってきた。

 2015年9月21日(月) 走行距離110km 累計19741km
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 オーストラリア7日目 ダーウィン南南東69km地点〜ダーウィンから南南東に156km地点 ロードハウス

 自転車旅行者におけるオーストラリアの朝は早いらしい。何故なら日中の日差しと気温が危険すぎて走行に支障を来すレベルであるため、朝・夕方をメインに据えて走行するのだそうだ。確かに昨日の日中走ってる間は、あまりの辛さにそのまま日本へと返りたくなるほどだった。

 大いに納得したのであり、そういうことなら早起きしましょう!・・・・とかいってたのに2人揃って寝坊する。つまり私は納得していたフリして何にも分かっていなかった。

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 それでもまだ暗い時間なのだが

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 楽しい出会いと有益な情報をありがとう

 やや遅い出発となってしまったものの、それでも7時代のオーストラリアは素晴らしい。相変わらず湿度が低くて喉が渇くものの、走っていることで爽快な気分に!そんな充実感を味わえる。

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 ただし9時までの短い期間

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 シートベルトはありません

 10時にもなるとあの強烈な環境が返ってくる。オーストラリアの怖いところは「あんまりキツいと感じないキツい気候」であるところだ。

 日本の夏は高温多湿なので汗をガンガン出すし、その暑さを実感もしやすい。それに対してオーストラリアは湿度がほとんどないため、汗をかいてるのかも分からない上、帽子を着用してれば直射日光の厳しさも実感しにくい。思いのほか、走ってても楽な気がするのだ。

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 疲れてる・・・と思う

 とはいえ気温は40℃に迫る灼熱地獄である。なまじ苦しさが分かりづらいため、気付いた時には体フラフラで力が出ない・・・などという状況になりかねない。気付かぬうちにジワジワと弱らせる・・・・オーストラリアはそんな気候なのだ。

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 だから日中の休憩は大切

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 補給も大切

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 日が落ちてくるとまた気持ちいい走行ができる

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 影法師

 流石に昨日ほどヘロヘロにはならなかったものの、この炎天下では100km走るのはシンドイのも事実。「もう今日はさっさとレストエリア入ってオシマイにしよう!」とか思ってたのに、普通に場所を見落とす私。余りにも同じような道が続くからなのか、見落としてしもうたよ・・・・。

 引き返すのは嫌なので、10kmほど先のロードハウスまで走りきる。どうやらこのロードハウスには大抵キャンプ場が併設しているようなのだが、このロードハウスでは1泊するのに10ドル(約900円)ほど必要とのこと。たかがテント泊にそんな大金支払うのはアホらしいので、ビールだけ飲んで近くの森の中にテント設営して就寝。

 近くで野生動物がワサワサ動いてるのが聞こえる中、あっという間に眠りにつけるのは良いことなのか悪いことなのか。

 2015年9月22日(火) 走行距離107km 累計19848km
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 オーストラリア8日目 ダーウィン南南東156km地点〜ダーウィンから南南東に271km キャサリンの町

 ちゃんと目覚まし使って5時前に起床。朝食でお湯を沸かしてる間にテントを畳むという行動を取るのは日本1周のとき以来。そう考えると如何にアジアでの走行が楽だったかということが分かる。

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 金さえ払えばもっと優雅な旅行もできますが

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 オーストラリアの道路ポストは10km毎にしか出てこない

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 パインクリークの町・・・・って、町なのか?

 基本、景色の変化がほとんどない国である。それでもダーウィン〜キャサリン間にあっては山道というか、アップダウンが多いらしくやってられるか!只でさえ向かい風でノロノロ運転が続くのに、斜度が緩いとはいえ上り坂とかエゲツねぇことしないでほしい。

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 小川は勿論、大きな川も干上がってる

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 レストエリアが出てこないので僅かな木陰で昼食

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 30両くらい繋がってた

 キャンプが盛んな国なので、平日にも関わらずキャンピングカーがたくさんいる。既にアジア10カ国で見かけたキャンピングカー総数の50倍くらいは見かけており、そういう意味では「キャンプを続ける旅行」というレジャーが地元の人間にとって「当たり前」とされているのが嬉しい。「キャンプ」って単語で意味が通じるんだぜ!?

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 次のレストエリア190km先ですか

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 ここで親切な夫婦にコーラ頂く

 今までの国々と何が違うかって、自転車で運ぶ水の量が違う。水分の大量消費&補給できる場所が極めて限られているオーストラリアにおいて、自転車旅行者は水がなくなることは命が無くなることに等しい。私も比較的水分補給が容易らしいダーウィン〜キャサリン間でも最大10ℓの水を持ち運んでいる。

 しかしながら、この暑さで暖められている水は水とはいえない。何が悲しくて40℃近いぬるま湯を飲まなきゃイカンのだ。食のレベルが下がることは仕方ないにしても、まさか飲み物まで我慢を強いられるとは思わなんだ。

 ・・・という状況における、キンキンに冷えたコーラである。今まで私がガバガバ飲んでいたコーラは何だったのか?喉に流し込んだ瞬間から全身に電流が流れたかと思うほどの刺激と快感である。枯れていた田畑へ一気に水を流し込んだというか何というか。コーラってここまで美味い飲み物でしたっけ?

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 気付いたら飲み終えてた

 コーラ飲んだ感動だけで400字詰め原稿用紙2〜3枚使える自信があるぞ。暑い国の乾いた体で飲むコーラは下手すりゃ正気を失わせかねん。実に危険な飲料水である。

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 とかやってるうちにキャサリンに到着

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 350kmぶりに町の風景が

 ここで先日出会った日本人チャリダーの巧真君から教えてもらったバックパッカー宿へと投宿する。自転車旅行者割引きで11ドル(約1000円)と、どう考えても安くない料金設定なのだが、この宿は自転車旅行者であれば確実に宿泊すべき宿だといえる。そこら辺長くなりそうなのでまた明日。

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 こんなの作ってるから時間なくなるのよ

 2015年9月23日(水) 走行距離129km 累計19977km
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 オーストラリア9日目 キャサリンの町

 よっぽどオーストラリアが好きな人とか、縁あってこの町にでも来たことでもないと、キャサリンという町を知るようなことはないと思われる。そんな人口1万人ちょっとの町であるが、このキャサリンのバックパッカー宿「COCO'S BP」は自転車旅行者ならば是非とも抑えておきたいところ。何故なら「自転車乗りのための情報ノート」が存在するからである。

 ネット全盛の時代でか、多くの宿に置かれていたらしい情報ノートの存在はすっかり下火となり、私が訪れた東南アジアでも情報ノートが無くなっている宿が幾つか存在した。まぁ基本的に観光地の情報等がメインなので、私としては重用したことなかったのだが。

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 まさかの自転車乗りによる自転車乗りのためのノート

 オーストラリアにおける水分補給できるポイントとか無料で宿泊できるレストエリアの情報。どう間違っても「雨水溜めた水タンクの味を誤摩化すための対処」について書かれた情報を、バックパッカーが活用することはないだろう。まさに「自転車旅行者」というニッチな人のみに向けた素晴らしきノートなのだ。あと徒歩旅行者。

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 日本人チャリダーが半数くらい

 このノートを読みたいがために私は11ドルも支払って宿に泊まったのであり、こうしてオーストラリア序盤で現地の人・実走行中の自転車旅行者・オーストラリアを走った先人達と様々な角度から情報を仕入れることができたことは、幸運といわざるをえない。

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 なんと有難い存在であろうか

 特に情報を持ってるわけでもないけど私も一筆記載したりしつつ、情報を取りまとめる。何だかんだでネットには歌われていない(若しくは書かない)情報って多いものです。情報ノートも良いもんだ。

 んで午後からキャサリン温泉へと疲れた体を癒しに行く。川沿いにある無料の温泉なんて期待するなという方が難しいものであるが、案の定というか大きすぎる期待は粉々に打ち砕かれる。

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 温泉じゃなくてぬるい川

 真夏のプールのような温度の温泉にてスイミング。まぁ川遊びに来たと思えばこれはこれで悪くない。むしろ新しいカメラは防水カメラなのであり、このタイミングで水中撮影の実験ができるのであれば素晴らしいタイミングではないか!

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 本当に川ですな

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 「半水中写真」というマイナーなジャンルがあるとかないとか

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 1枚の写真で2つの世界が楽しめます

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 結構お客はたくさんいた

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 洒落になりません

 遊び終えた後は近くのスーパーで食料の買い込みである。町と田舎で物価が大きく変わるオーストラリアでは、こうした拠点毎に安いスーパーで食材を購入して行くことは非常に重要だ。何しろ郊外のロードハウスでは1,25ℓのコーラが6ドルもするのに、スーパーのホームブランドコーラであれば2ℓが1ドルで買える。今のうちに飲み溜めしとくこと必死である。

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 セールで売ってたトマト缶には中身入ってた

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 おかげ様で良く分からない夕食になる

 また明日からしばらく厳しい走行の日々が続くのか。そう思うとゲンナリする気持ちと、ちょっとだけワクワクする不思議な高揚感に包まれつつ気付けば23時過ぎ。明日、早起きできる気がしない。

 2015年9月24日(木) 走行距離10km 累計19987km
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 オーストラリア10日目 キャサリンの町〜W.A州境から東北東に303km地点 レストエリア

 とてつもなく大きな国であるオーストラリアだが、この国を自転車で走る際には特に厳しいポイントが幾つか存在し、そこを如何に乗り切るかが重要だといえる。そうした中で「無補給区間」という道中100km・200km、場合によっては300km近くも食料はおろか水すら入手することができない荒野の区間がある。

 普通に大変そうなので、できればオーストラリアに慣れた頃、ちょっとだけ体験してすぐさま引き返した挙げ句に「オーストラリアの無補給区間を走ったんだぜ!」とか豪語しようと思っていた私なのだが、何を間違えたのかこの先200kmを越える無補給区間が待ち構えているらしい。

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 ビクトリアハイウェイ、行きたくなくなってきた

 というかダーウィンを出発地点とした場合、西に向かうも地獄・南は大陸中央部で砂漠地獄・東もやっぱり無補給地帯地獄と全ての道が塞がれている始末である。レベル1の勇者が最終ダンジョンから始めるような鬼畜難易度ですよ。

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 昨日の温泉で終わりにしたい気持ちを抑えて

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 ほとんど貨物専用の駅なのかねぇ

 とはいえ私もそれなり程度には自転車旅行を続けてきた人なのだ。レベルは(多分)1じゃない。何故なら

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 走行距離20000km突破

 するくらいはあちこち海外を走り回っているでござる。いやはや、最初に作った計画書では年間の走行距離目安を18000kmとしたのだが、この段階で20000km。もっとゆっくり走っても良いんですよ?

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 速くても遅くてもこんな道が続くけど

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 水タンクは空だった

 50km強という丁度良い場所に出てくるレストエリア。このレストエリアにも善し悪しが存在しており、前述の水タンク1つとっても「水タンクが空/壊れてる」「水はあるけど飲めないよ・・・という注意書き有」「飲める水がある」とパターンが分かれる。まぁ飲めないといわれてもガブガブ飲んでるので、実質2パターンといえなくもない。

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 ここは良いレストエリアなのだけど

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 そんなにゴミ箱要らないと思うの

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 エリアを出ると大抵次のレストエリアまでの情報有り

 走行初日とか余りにもキツくてオーストラリアは走りきれないかも・・・・とか思うほどだったが、日を追うごとに楽になってきた。考えてみればボルネオ島を走り終えて以後、20日以上に渡ってまともに走行してなかったのであり、ようやく鈍っていた体が元に戻ったのかもしれない。

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 ガンガンはしっちゃるで!

 ということで、かなり大きめのレストエリアにて本日は終了。まだ無補給区間エリアに入ってないけど、今日1日の走行で遂に商店等の物品販売店を1つも見ることはなかった。

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 お隣のキャンパーさんが水をくれました

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 オーストラリアに入ってから毎日星が綺麗

 2015年9月25日(金) 走行距離102km 累計20089km
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 オーストラリア11日目 W.A州境東北東303km地点〜W.A州境から東に232km ビクトリア川ロードハウス

 まだ砂漠地帯というわけでもないのに、1日の気温の変化が激しすぎて体が壊れやしないか心配になるレベル。本日も朝の気温は15〜16℃まで下がっていて、何というか肌寒さを覚えるレベルだ。

 それがあら不思議。朝食済まして走り始めた辺りまでは快適な気温が続くのに、10時にもなると熱地獄で洒落にならない温度の上昇をみせるのがオーストラリアの気候だ。剥き身で活動を続ける自転車乗りにとって、オーストラリアの気候は常に意識し続ける重要事項の1つである。

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 朝早いと日陰もあるし

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 野良牛も元気な気がする

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 いつ木々が無くなって日陰すら消えるのかな?

 余りにも土地が大きすぎるので、手元の地図アプリで現在位置を確認したりすると、その移動してなさっぷりに驚いてしまう。今日でダーウィンから500km位は走行してるはずなのに、何というか全然進んだような気がしない。

 そんな錯覚を起こすほどの面積を誇っているのに、人口が2000万人しかいないから都市部を抜けてしまえばもはや誰1人として姿を見ることはない。道路から3km外れたならば、方向感覚なくなって生きて戻って来れないだろうなぁ・・・という想像を膨らませながら走る。

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 何のモニュメント?

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 町の間隔がオカシクなりそう

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 珍しく水の流れている川が(流れてるんだって)

 ビクトリアハイウェイの名を冠する道路だけあって、脇をビクトリア川が流れるポイントがあるらしい。昨日から換算して150kmほど走り、ようやくその流域を示す看板が出てくる始末。今まで走ってたのは何なのさ!

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 ここから川が出てくるのかと思いきや

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 渓谷の風景

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 ゆる〜い下り坂

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 オッチャンがコーラと水をくれる ありがとう!

 コーラ貰った場所がレストエリアだったので、そのまま昼食を食べることにしたのだが、そろそろ周囲を飛んでいるハエがウザいと思い始めてきた。ハエに関しては、「とにかくウザいなんてもんじゃなく、発狂する程に周辺を飛び交いまくる」といわれて脅かされており、常に顔や体に10匹程度がまとわりついている今の状況はそう大したことはないらしい。

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 ようやくビクトリア川に

 実に190kmぶりに飲み物を売ってるロードハウスが登場して私も嬉しい限りである。まだ時間は15時前なのだけど、クーラー効いててハエが飛んでない店内の環境が余りにも居心地良いので本日は走行終了である。さすればビールを飲むこともできようぞ。

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 1本6ドル(約550円)とかしますが

 綺麗好きの私は水場があるならと、昨日の服も合わせて洗濯に勤しむ。トイレの脇に洗濯物干場もあって、この日差しの強さなら夜までには乾くでしょう・・・とその場を離れる。

 隣のキャンパーさんと話してるうちにビールを御馳走になったりして、ウキウキの気分で夕食を作り始めふと洗濯物を見てみると・・・・スプリンクラーでめっちゃ放水されていた。洗濯物、びしょ濡れである。

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 美味しかったなぁとか写真撮ってる場合ちがう

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 わしゃしゃしゃしゃ 

 何でそんな場所に洗濯干場をつくるかなぁ。全身濡らされるわ、余計な手間はかかるわで酷い目にあったよ。ちなみにオーストラリアのスプリンクラーは埋設式とでもいうのか、時間になると埋め込まれたスプリンクラーが飛び出して水を撒く方式のようであり、パッと見で発見することは難しいのだ。 

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 色々あったけどご飯食べれたから良しとしましょう

 2015年9月26日(土) 走行距離92km 累計20181km
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