自転車ときどき世界1周

カテゴリ: 北中米

 第4部 天元突破!!北中米
 〜俺の自転車は、世界を駆けるマシンだぁぁぁっ!〜

 アラスカ1日目 アラスカ最大 アンカレッジの町

 機内アナウンスの内容はさっぱり分からなかったが、目覚ましの代わりにはなった。時差がめまぐるしく変わっているので現在何時なのかも曖昧模糊なまま、とりあえず窓から外を見てみればアラスカの山々がそびえ立っていた。

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 そうか、私はアラスカに来たんだ

 現地の時間で朝の5時。無事にアンカレッジ空港へと到着した私の心境は、それはもう筆舌に尽くしがたいレベル。とりあえず映画と小説のせいで睡眠時間が減ってしまい、眠くて頭がボーッとする。

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 とにかく自転車の組み立て作業に

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 眠さとだるさも相まって2時間くらいかかった

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 アンカレッジへようこそ

 ずいぶん久しぶりの右側通行にも戸惑ったが、何より驚いたのは「アラスカが暖かい」ということ。私の勝手なイメージでしかないのだが、北極圏近いということもあるし年中寒いものだと思っていたぞ。

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 日差しが強くてTシャツでも平気

 とりあえずフライト前に食料関係は全て処分(胃袋的に)してきたので、新たな食材を調達しないことには身動きとれやしない。アラスカに到着して最初に向かう目的地なんて、スーパー以外あるわけない。

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 アメリカだけにウォルマート

 政治的なことをブログでどうこう語るつもりは毛頭ないが、数日前にイギリスさんがやらかした関係で、一気に円高が進み旅行者の立場からいえば大助かりである。全ての商品がいきなり1割引きなったようなもんだし。

 続いて向かうはアウトドアショップ。色々とヘタっていた道具があるのだが、オセアニアのアウトドアは品数少ないし多分アメリカならば値段が安い!という腹積りでここまで新調するのを渋っていたのだ。

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 うっひょ〜!ガソリンバーナーがこんなに

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 さすがアラスカ クマ対策用品も充実

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 新しいマットってこんなに綺麗だったんだ

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 日本でも有名アウトドア店「REI」こちらでは「アールイーアイ」って呼んでた

 いや想像してたよりずっと大都会なアラスカだアンカレッジ(州都はジュノー)。アラスカ自体がやや辺境の地だしとタカをくくっていたけれど、そこはアメリカなんでも揃ってるね。もらった地図によればアンカレッジ内の自転車店だけでも20店舗以上あるらしい。

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 ちなみにマラソンタイヤも売ってた

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 高層ビルがあれば私の基準では大都会

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 「良いとこだろう?」

 日本人海外サイクリストの多くはここアンカレッジから出発するのだが、そういう人は運ぶ荷物を最小限にしてアンカレジでキャンプ道具を一揃い安く調達できるため、飛行機における積載量制限に引っかかりにくいというメリットがあることに気づいた。

 でもまあこのメリットって、実際に渡航してみないと分かりづらいと思うんだよね。なんだか癪なのでこの事実は黙っておくことにしようと思う。

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 とりあえず初日なのでホステルに泊まる

 宿代高いし泊まらなくても・・・とは思うのだけど、時刻にして14時過ぎ。すでに眠気が限界頂点なのであり、思い起こせば飛行機内ではほとんで寝ていない私。だって久しぶりに映画や小説が見れる機会だったから・・・

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 昼寝した後に夕食

 いよいよ準備も完了し、明日から本格的なアメリカ大陸の走行開始。楽しみと少しの恐怖が混ざり合ったこの気持ちは、入国したてのこの時期にしか味わえない貴重な瞬間だと思っている。

 2016年6月27日(月) 走行距離18km 累計41188km
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 アラスカ2日目 アンカレッジの町〜アンカレッジから北北東に約50km ワシラの町

 予想してたけど盛大に寝坊した。というか半ば意図的だった気がしないでもない。宿泊費が高い上にそもそも安宿のある町が極めて少ないアラスカにおいて、貴重な時間をチェックアウトギリギリまで堪能していたかったのだ。

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 ドミ部屋が1人で使えたのも大きい

 そんな感じで12時過ぎにようやく出発。アラスカはアンカレッジ以西にまともな道路が存在しないため、必然的に東へと進むことになる。ちなみに北方向には北極海へと続く唯一の道路が存在し、そこをアメリカ大陸のゴールにするサイクリストも多いとか何とか。

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 すっごい険しい道だと聞いた

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 大雑把な水やり

 さて昨日の買い物で強く実感したのだが、アメリカは今まで旅行した国々とは全く異なる単位を使用しているため、直感的に距離や重量が分かりにくい。

 ガソリンスタンドの料金は1ガロン単位だし、スーパーの食品もグラム方式を採用していない。極め付けは道路標識に記載されている次の町までの距離がマイル方式ということだ。

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 パッと見近くに感じる

 この表示形式の違いのために、いちいち頭の中で1.6倍の計算をする此方の都合を考えて欲しい。頭が良くなっちゃうじゃないか。

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 しばらくは大きな道路が続く模様

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 ムースなんかと衝突したらこっちがやられるよ

 山々に囲まれたイメージのアラスカであるが、わざわざそんな場所に道路を伸ばしていないので、走ってる分には雪化粧をした美しい山脈を遠目に見つつ・・・という気持ちのいいサイクリングが楽しめる。

 想定外だったのは道路を走る車の多さ。片側2車線の高速道路のような道は、脇を走り抜けられても怖さはないが、とにかくエンジン音がやかましい。大自然を眺めながらゾッとするような静寂の中を走りたいとか思ってたのに!こんなんじゃ駄目ですよ。

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 写真は音が出ないのがいいね

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 この州にある数少ない主要国道の分かれ道

 この地域が北極圏に近いのだなぁと思うのが、日の沈む時間がとにかく遅いこと。昨日の時点で遅い時間でも空が明るいことを確認していたので、朝の出発が遅れてもいいやと思っていたのよ私。

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 夕食作ってる公園の明るさといったら

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 子供達が23時とかでも外の湖で泳いでいる

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 お隣さんからアイス頂いた

 大変重要な問題として、野宿をする筆頭候補であった公園にいつまでたってもテントが張れないことに気づいた。単純に人も帰らないし、明るすぎて目立ちまくりだどうしよう。そんな沈まぬ太陽を眺めつつのアラスカである。

 2016年6月28日(火) 走行距離73km 累計41261km
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 アラスカ3日目 ワシラの町〜アンカレッジから北に約60km ウィローの町

 夜中の0時を過ぎても明るいというのは難しい。上手く人に見えない場所を探すのに難儀して、結局テント張ったのは病院っぽい施設の裏。

 朝になって粛々とテント畳んでいたのだが、職員の人と対面してしまいバツが悪い。まぁ向こうは大喜びで、写真に撮って色々と話をしてくれたりしたのだが。

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 朝食は場所移動して

 ようやくアンカレッジから続いた交通量の多さも落ち着きを見せ始め、道路も片側1車線へと切り替わる。とはいえまだまだ車の数は多くて静かなアラスカの森林地帯を走り抜けるにはもう少し時間がかかりそう。

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 建物とかは少なくなってきた

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 アップダウンも徐々に増えて大変

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 写真が文章と合ってないのは仕様です 

 気温も最高で30度近くにまで上がっているようなのだが、何しろ電光掲示板に表示されるのは「80F」とかそんな数字。いやいや、摂氏で表示してよ!華氏とかどう直せばいいのかも知らないよ。

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 単位変換アプリが大活躍中

 今日は真面目に午前中から走行したのでお昼前に50km弱の地点にあるウィローという町にたどり着く。町というか完全に集落レベルのお店が数件しかない地域なのだがやたらと立派な図書館があったのでお昼休憩のついでにネットして遊ぶことにする。

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 オーバースペックな建物

 んで、ネットをしていると声をかけてくるオッチャンが。

 「外の自転車はオマエのか?今日はどこに泊まるんだ?」
 「特に決めてないよ。どこかでキャンプするつもりだ。」
 「そうか、よかったらうちの敷地を使って良いぞ。以前にも自転車旅行者に同じようなことをしたことがあるんだ。」

 ・・・みたいな感じで地図を書いてもらったので、今日の走行はここまでにしてブライアン宅へと向かう。急ぐ必要なんてないんだもの。

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 というわけで到着

 しかしブライアン不在。しばらく待っていても戻ってくる気配がなく、よくよく考えてみれば彼は「キャンプするんだったらウチを使っていいぞ。」といったのであり、別に家にいるだとかそういうことは一言も語ってない。どうりで「焚き火は禁止だぜ」とか地図に書いてあるわけだ。

 そんなワケでテラスを使わしてもらいのんびりと過ごす午後。道路からかなり奥まった場所に位置するこの家は、私が求めていた静寂なアラスカを存分に感じられて素晴らしい。放っておいたら1時間以上も無音の世界だったりして、ちょっとワクワクというか不思議な気持ちになる。

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 多分別荘なのだと

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 周辺もそんな感じだったし

 水道もトイレもあるので悠々自適なのだが1つだけ大問題が。というのもアラスカの蚊が本気を出してきたのであり、こいつらのデカさと数には勘弁して欲しくなる。まだ周囲を10匹程度が飛び回っているだけだから我慢できるが、奥地に行くとこんなもんじゃないレベルで襲われるという話も聞いており、今から戦々恐々。

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 とりあえず夕食

 こうしてのんびりと過ごしたことで、ようやく私はアラスカの入口に立てたような気がする。そんな感覚。

 2016年6月29日(水) 走行距離53km 累計41314km
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 アラスカ4日目 ウィローの町〜アンカレッジから北に186km地点 デナリビューノースキャンプ場

 テント泊だと起床時間が太陽の影響をもろに受ける。つまり今の時期、アラスカの地において素直にやってると、1時過ぎまで眠れないしその2時間後には目を覚ましてしまうことになる。

 嬉しい点として、オーストラリアやニュージーランドで大活躍していた卓上ライトの出番が全くないこと。だって日記書こうにも光源が必要ないのだから。

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 常に明るいのは不思議な気分

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 今日はちょいと距離走るで

 何しろ昨日は半日サボったようなもの。別にサボり上等!何を急ぐことがある?という旅行ではあるが、道中で見えるものがいよいよ木々しかなくなってきたのであり、そんな気持ちはなくとも距離が伸びる。

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 ときどき開ける景色が気持ちいいんだ

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 小さなキャンプ場の商店で休憩

 アメリカの素晴らしい点として、あらゆる場所にFreeWi-Fiがあるということ。マック・KFC・サブウェイの3大ファストフードは当然として、その他の小さなお店やスーパーマーケットなどでもWi-Fi使えることが多い。アンカレッジ出た時に、次の大きな町であるフェアバンクスまで使えないことすら覚悟していたのに毎日ネット使えてる事実。

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 このスーパー以後はしばらく食料補給できなくなる模様

 まぁ暫く補給できないといってもフェアバンクスまでは約400km。別にたいした問題ないな・・・とか思ってしまうのは、オーストラリアが悪いと思う。

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 ニュージーランドにはなかった道路ポスト

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 お昼休憩したモーテルのすぐ近くに

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 怪しさ満点のお店が

 道幅ひろくて走りやすいのだが、徐々に上り坂が増えてきたぜ疲れるなぁ。ふと手元の高度計を確認してみれば400mとかになっており、食料満載の状態での走行は少々堪えますよ。いっそバカ食いして重量減らそうかな。

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 でもそんな道を走ってくればデナリ(マッキンリー山)が

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 ちょっと雲がかってるけど実に雄大

 できることなら登ってみたいが、私の力量じゃ「できること」にならないので脇を通り過ぎるだけ。あの山に植村直己さんが眠っているのか・・・という感慨にふけりつつ雲行き悪くなってきた空を見て急いで先に進む。

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 前方に山を見ながら走るのはいいね

 全然日が沈まないから、イケイケで19時前までしつこく走り続ける。というかそんなに走りたくないけど、キャンプできそうな場所は限られてるので嫌でもたどり着かねばならんのだ。

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 キャンプ場とかなってたけど単なる駐車場だった

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 熊が怖いのでテントから離れた場所で夕食

 偶然だけど昨日の走行距離に丁度100km足した距離でフィニッシュ。昨日の借金を今日で取り戻した・・・みたいな気持ちになったりならなかったり。

 2016年6月30日(木) 走行距離153km 累計41314km
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 アラスカ5日目 デナリビューノースキャンプ場〜フェアバンクスから南南西に約170km キャントウェルの町

 昨日、休憩してる際に話しかけてきたおばちゃんが「今日の夜から天気悪くなるわよ」と言っていたのだが、なるほどテントに入ったあたりから雨の音がしていた。

 そして朝になってもまだ雨の音がしているぞ。それもかなりの大雨であり、テントの中で今日はどこまで走ろうかとプランを作成してたら2度寝してしまった。やる気はあったのだと信じたい。

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 でも雨に濡れたくないのです

 9時半まで様子を見ていたが、どうにか雨足も弱まってきたのでテントから這い出して荷物の準備。急ぐ必要もないのでトイレの軒下を使わせてもらって濡れたテントを乾かしつつ朝昼兼用の食事。

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 時間があるとパスタになる

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 出発したのは12時半

 お昼には降り止むかな〜と思っていたわけだが。流石にここに2泊するのは手持ちの水の量から避けたいので、レインウェア着ての走行である。そういえばオーストラリアには雨水タンクとかあったなぁ。

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 昨日にも増して上り坂

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 こういう谷間の川ってなんか好き

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 向こう側は天気いいみたい

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 ナメック星人が住んでそう

 手元の高度計で950mまで上がったわけだが全然寒いとは思わない。そりゃまぁ自転車こいでりゃ体は温かくなるわけだが、雲間から太陽の光が差し込んできたことが大きな要因。

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 やっぱり晴れてないと

 ちなみにアラスカも日差しが非常に強い地域のようで、晴れていれば夏の気候だが曇っていたり雨が降ると一気に肌寒くなる。なお日が沈まないので夜間になっても気温はあまり下がらない。

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 道路も乾いて走るのが楽しい

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 え〜とアラスカから320kmってことか

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 地平線とはまた違う地球の大きさを感じるね

 当初は40km先のキャンプ場で終了しようかと思っていたのだが、天気が回復したことで倍の80kmも走ってやったぜ。どんなもんだい!

 そんな無計画で走行してはいるものの、案外小規模な集落や商店は点在しているアラスカ。首尾よくキャントウェルの町にて郵便局を見つけたので、裏手にテントを張らしてもらう。

 ついでにガソリンスタンドで肉も購入したのであり、なんだかんだで毎日肉にありつけているじゃないか私。

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 ただしビールはなかったけど

 町の中だし熊が出てくることないとは思うけど、一応食料置き場とは離れた場所にテントは設営し、枕元には熊撃退スプレーを並べて眠る日々。

 そういえば今日、走行途中でやたらとケモノ臭い場所があったのだけれど、あれは何だったのか?あまり深く想像したくはない。

 2016年7月1日(金) 走行距離78km 累計41392km
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 アラスカ6日目 キャントウェルの町〜フェアバンクスから南西に96km クリアスカイロッジ裏

 なかなか太陽が沈まない関係で、深夜になっても気温が下がりにくい夏のアラスカ。とはいえ4時とかになると、やはり気温が落ちてくるようで、余裕ブッこいてシュラフも使わず寝ていた私は寒さで震えていた。今夜からはちゃんとシュラフを使おうと思う。

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 一応食料積んだ自転車と距離をとってるよの図

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 昨日のガソスタで水を補給して出発

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 ちょこちょこ空き地でキャンプやってるんだよね

 変化の乏しい道ではあるが、私的には奥に見える山々と裾野に広がる森林地帯、それにときどき川やれ湖が出てくるアラスカの自然の中を走るのは最高に気持ちがいい。欲を言えば車両の交通量がもっと少なければいいと思う。

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 たまんないね

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 坂道も緩いし追い風だし

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 電線の目印か何か?

 午前中走って辿り着くはデナリ国立公園。先日遠目に見たマッキンリー山ことデナリを抱える広大な自然公園であり、ただでさえ物価高のアラスカで、更に値段が上乗せされるおそるべき土地である。

 とはいえそのままスルーしてしまうのも勿体無いので、ちょっとビジターセンターに寄り道してみる。これで興味が湧いて思わずツアーとかに申し込んだりしたら、相手側の思う壺だな私。

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 本当に君だけは勘弁な

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 ムースには是非とも会ってみたいけど

 案の定Wi-Fi+電源コンセントという素晴らしい設備だったので、そのまま昼食がてらネット休憩。この調子ならアメリカ本土でもsimカード要らないかな?

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 ここら辺一帯のみ宿泊施設だらけ

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 有名観光地があると、どんな僻地でも街が形成される例

 午後になってから道と同じく天気も下り坂。というかネット使えたので天気予報もチェックしてみたのだが、今日を含めて向こう4日間くらい雨が降り続くそうだ。その割には午前中が良い天気だったりして、アラスカも天気予報はあまり当てにならない気がする。というかそうであってほしい。

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 雨の中なんて走りたくないぞ

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 ガソリン高い気がするけど1ガロン(約3.78ℓ)計算なんだよね

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 こんなちゃんとしたレストエリア初めてかも?

 こういうレストエリアでゆっくり休みたいところなのだが、止まると周囲にはものすごい数の蚊が飛び回る。どの国でも蚊の存在には悩まされたけれども、アラスカの蚊は他国を圧倒するウザさ。虫除けスプレー必須ですよ。

 デナリを超えてからポツポツと人家やお店も姿を見せはじめ、とりあえず見つけたレストランを覗いてみればビールが売っているではないか!それもスーパーと変わらぬ値段。その良心的な商いに感激して気付いたら3本も買っていたのはご愛嬌。

 そのお店でテント張れる場所を聞いてみたら、「ウチの草地に張っていいわよ」と言ってもらえたので、その場でビール飲みつつテント設営。やっぱりビールは冷えてるうちに飲むのが正義だよ。

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 どうもありがとうです

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 ちょっと夕食作りすぎたか

 ちょっと嫌なのが、テントとフライシートの間に何十匹もの蚊が挟まれて蠢いてるのを見ること。多分オーストラリアやニュージーランドでも似たようなことは多々あったのだろうけど、アラスカの場合はいつまでたっても暗くならないないので、ハッキリとその姿を見せつけられるのである。

 良くも悪くも白日の元に晒されてしまうということで。

 2016年7月2日(土) 走行距離120km 累計41512km
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 アラスカ7日目 クリアスカイロッジ裏〜フェアバンクスから西南西に約70km ニナナの町

 多分イメージにないと思うがアラスカは雨の多い土地である。もちろん私にそんなイメージなかったのだが、こうも連日雨に降られたり降られなかったりすると、その事実を実感するというものだ。

 目を覚ました6時は大雨。ここで無理して走行するのは事故の原因になるし、健康にもよろしくない。様子を見ようとゴロゴロして2時間後。

 まだまだ雨が降り続いているので、君子危うきに近寄らず。ここはじっくりと好機を待つのだと言い聞かせてテントの中で待機する。というかゴロゴロ寝ているわけですが。

 時刻も12時前となり、テント内で横になり続けるのも疲れてきたので活動を開始しようじゃないか。偶然にも雨脚も弱まってきたのであり、私の本気を出しちゃうよ・・・ってやつである。

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 雨降ってるとテントの写真を忘れやすい

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 テントは屋根の下で収納

 さらにここから出発までは数時間を要するのだが、それは些細なことに過ぎない。たかだか1日の数時間を遅らせたくらいで慌てるようではダメなのである。もっと大木のようにどっしりと構え、小さなことに流されずダラダラフラフラするという自分の道を邁進するようでなければアラスカではやっていけない。

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 でも食料が心許ないので出発しますが

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 あの明るい空、こっちに来ないかねぇ

 本当ならば今日中にフェアバンクスへとたどり着く予定だったのだが、そんな予定はクソ食らえ。私の自由な走行を止めることはできないのであり、その割に天気に翻弄されまくりの私は40km程の距離にあるニナナの町で切り上げることにする。

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 なお町で唯一のスーパーは日曜休業

 しつこく雨も降り続けるしで、ちょっと頑張りきれずにキャンプ場へと避難することにした。頑張りどころが違う?基本的に頑張るポイントってのは「野宿」することと「ビール」我慢することくらいでしょう?

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 要するに今日は頑張ってない

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 こんな僻地のキャンプ場に来るの、きっとサイクリストなんだろうなぁと言う偏見

 ちょっと悔しいのがキャンプ場にチェックインしてから晴れ間が覗いてきたりすること。まぁ時刻にして18時とかなので、走るのに影響あったわけではないのだが何というか悔しい気持ちになる。その日差しを日中に!

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 今日は屋根の下だから安心

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 本当にアラスカって州東部にしか道がないんだね

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 思いの外キャンパーは多い模様

 スーパー開いてなかったので、手持ちの米とラーメンに缶詰という保存食オンリーでの夕食。これはこれで悪くないのだが、自転車旅行者たるもの食事の量(not内容)には気を配っていきたいところ。

 幸いにして本日はビール6本でカロリー補給できたから良かったものの、なかったらどうなっていたことか分かったもんじゃない。恐るべしアラスカの大地である。

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 いわゆる「ねこまんま」での夕食

 2016年7月3日(日) 走行距離42km 累計41554km
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 アラスカ8日目 ニナナの町〜アラスカ第2の都市 フェアバンクスの町

 さてさて手持ちの食料の関係で、そろそろフェアバンクスに到着したい。常に食料によって行程が左右されている気がするが、即ち最も原始的な旅行をしているということやもしれない。ちょっと昔は食料に従って生活スタイルを変えていたわけだし、原点回帰だ。

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 本当に小さな町なんだよねニナナ

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 走り出してすぐに上り坂になる

 アラスカの山道なんて大した斜度じゃないので苦労はないのだけれど、怖いのは地面じゃなくてその上にそびえる嫌な色した雲でござる。

 朝こそ晴れ間も見せていた気がするが、今にも泣き出しそうな灰色した雲が空一面を覆っている。泣きたいのはこっちだっての。

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 ほ〜ら降り出した

 それもいきなり全開フルスロットルでの土砂降り。普通雨ってのはポツポツと兆候があって、やがて激しく降り始めるものであろうにスタートから全力疾走しやがります。そんなんじゃ最後まで保たないぞ?

 あまりにも激しく降るので、結果的に道中唯一のお店であった、バー兼ギフトショップに避難。これがなかったら全身ビショビショだったと思うと感謝に堪えない。まぁずぶ濡れだけど。

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 ところでこのお店

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 店内に名前の書かれた1ドル札が

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 おばちゃんが気の毒がってジャンパー貸してくれるわストーブ付けてもらったり

 結局2時間ほどの休憩ですっかり体も乾かして再出発。びしょびしょでテンション最悪だっただけに、こういう出会いはより一層嬉しく思えます。

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 ほーら息切れして雨も降り止んだ

 これで怖いものなしだ!と調子よく自転車こぎ始めて1時間後・・・息を吹き返したヤツが再び襲ってくることになろうとは。

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 まさかのセカンド豪雨

 午前中の教訓を全く生かしていない私。せっかく乾かした服も全てびしょびしょに逆戻り。レインウェアってのは下の服が乾いているからこそ意味があるんだよね・・・・とか悲しい気持ちで考えながらフェアバンクスまでの山を越えるこの苦行。何やってんだろうね私は。

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 むしろ途中からテンション上がってきたわ

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 こんなに大変な思いしたの久しぶりだよ

 とりあえずスーパーにて食材を買い込み、流石にシャワー浴びないとオカシクなりそうなほど全身泥だらけなので安宿に向かう。私の洗浄も大事だが、ロシナンテ号も洗浄してやらないと大問題になりそうなほど汚れてるし。

 そんなワケでビリーズバックパッカーホステルへチェックインしたのだが。この宿、古き良き情報ノートが残っているんですよ。私はこういうの大好きなので、ネットの片手間にチョロチョロ読んでいたのだが。そこで気になる言葉を見つけてしまう。

 「北極海に通じる唯一の道 ダルトンハイウェイ」

 どうやらフェアバンクスの町から北に800kmほど伸びている道があり、その主要道路がダルトンハイウェイというらしい。全体の7割が未舗装路、道中に補給できる場所は3ヶ所のみという辺境を絵に描いたような道。

 いや、こんな所を走る自転車乗りがいるんだーすげぇなぁ〜・・・とか思っていたのだが。ダメですね、自分に嘘はつけない。

 こんな道知ってしまったら、そりゃあ走ってみたいじゃないか!陳腐な言葉だが「やってみたいことをやらなかったら絶対後悔する」と思い、気づけばネットでダルトンハイウェイの情報を探しまくり、走行計画を立てている。

 苦労とか成否とかお金とか、そんなのどうでもいい(誇張表現有)んですよ。私はこの道を走ってみたいと思ってしまったのであり、もう胸に去来するドキドキは抑えられない。

 そんなわけでダルトンチャレンジしてみます。とりあえず明日はビジターセンターで情報収集だなこりゃ。

 2016年7月4日(月) 走行距離89km 累計41643km
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 アラスカ9日目 フェアバンクスの町

 ダルトンハイウェイにチャレンジしようと思ったはいいが、すごい大変な変態的道路らしいので事前準備と情報収集に取り掛かる。とりあえず800kmの道を往復するとか「楽しくない」ので片道だけで十分。

 一応北極海に抜けられる(現在では)アメリカ大陸唯一の道なので、ツアーなども存在するらしくそこら辺をうまく活用して自転車ピックアップができないかを検討する。というかコレができなかったら流石に挑戦そのものを断念したほうが良いレベルだし。

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 とりあえずフェアバンクス大学の図書館へ

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 行ってみたのだが夏休みで閉まってた

 幸先悪いな。まぁ大学は近いからついでに寄ってみただけで、本命のビジターセンターがあるから良いのですよ。私は旅行者なワケだし、ビジターセンターで情報を得るのは実に理にかなう行動だ。

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 やたら前傾姿勢だと思ったら

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 すごい立派なビジターセンターだ

 道の少ないアラスカには大抵の主要道路の情報地図があり、道路周辺のキャンプサイトや観光地の情報をひとまとめにしていて便利なんですよこれが。さてさてダルトンハイウェイマップは何処かな〜と探してみるが、見つからない。つーか北極海に面する町であるプラドーベイの情報すら全くない。

 というのもプラドーベイで油田が発見されたことで作られた道路が「ダルトンハイウェイ(1977年竣工)」なのであり、それまでは単なる厳冬の土地だったような場所。

 必然そこを走るのは業務用のトラックがほとんどで、プラドーベイの町も工場とそこで働く人達が必要である最低限の施設があるのみなのだ。調べるほどアホしか行かないような場所であることが分かってきて楽しいな。

 それでも頭のオカシイ先人というのはいるもので、職員に「ダルトンハイウェイを自転車で走りたいけど情報ない?」と聞いてみたら奥の部屋から冊子を出してきてくれた。

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 まさかこれほどピンポイントな情報があろうとは

 ここに書かれていた「ノーザンアラスカツアー」という会社がプルドーベイまでのシャトルバスを運行している唯一の会社とのこと。他の手段として飛行機を使う方法もあるが、高い上に飛行機嫌いな私がこちらを使う理由はないので却下。

 電話やネットでも予約できるらしいが、自信ないので直接対話すべくオフィスへと向かう。どうせフェアバンクス市内にあると思っていたわけだが、実際その通りだったし。楽勝ですよ!・・・と、他人に電話させて住所聞き出させた茶壺さんが申しております。

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 空港のすぐ脇だった

 片道のピックアップで310ドルという、暴利としか思えない料金だが仕方ない。片道8日かかるとして、もう8日分の食料を持ちつつ同じ道を戻るなんて勘弁してほしいし。

 そのまま近くのキャンプ場にチェックイン。というのもこの「セブンズベースキャンプホステル」にはライダーや自転車旅行者が多数滞在するようで、有益な情報が聞けるかもしれないと期待を込めてわざわざ宿泊地を移動してきたのだ。

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 バイクもいっぱい

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 こっちの方が値段も安いし

 目論見どおり他のサイクリストと遭遇。話を聞けば、昨日も1人ダルトンチャレンジした変態サイクリストが泊まっていたらしい。そうか〜、そいつも高いお金出してバス予約とかしたんだねぇ。

 「いや、予約してないよ。ヒッチハイクで帰ってくるってさ。」

 まてまてまて、そんなことできるの?なにそれ私の310ドルは一体なんなのか。しかも割と簡単にヒッチできるとか言われてしまい、自転車に飛び乗った私が向かう先は、ほんの1時間前に訪れたノーザンアラスカツアーのオフィスであった。

 予約をキャンセルさせてもらい、私が自分でやったアレコレはなんだったのか?とか思ったりもしたが仕方ない。まぁ確実性に欠けるという意味でそんな方法に頼るのは良くないし、比較すればリスクも大きい。

 私としたってニュージーランドとアラスカで、十数回単位でヒッチハイクしてる人たちを見てなければ、そんな方法を取ろうとしたかは分からない。基本、慎重派なんですよ。

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 コンロを使うと米炊きに失敗するとは

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 夜はひたすら資料の翻訳作業に勤しむことに

 しかし町から出てもいないのによく走ったな。フェアバンクスはダウンタウンこそ中心部の一角のみだが、スーパーを始めとする私が使いそうな施設は大体町外れにあるのですよ。

 アンカレッジもそうだったが、やたらと町の規模がデカい割にスーパーなどの施設が中心にない町の造りは、この国が車社会であることを思い起こさせるな。

 2016年7月5日(火) 走行距離34km 累計41677km
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 アラスカ10日目 フェアバンクスの町

 日本との時差が17時間もあると、日本が何時であるかは一旦計算をする必要が出てくる。そんな計算必要ないという方もいるかもだが、私は計算しないとなんか分からないのだ悪いかこのぅ。

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 お隣のテントもサイクリスト

 一昨日の雨の中走り続けたのが悪かったのか、鼻水出まくりで風邪かもしれないという予感から、かなり暖かくして床に着いた夜。おかげさまで寝汗びっしょりなのであり、そうだった今の季節は夏だった。

 ダルトンハイウェイを走るサイクリストは必ずフェアバンクスに戻ってくるので、キャンプ場のオーナーにお願いして、不必要な荷物をここに置かせてもらっているとのこと。私もやたら必要だけど無駄な荷物が多い人なので、すぐに使わない道具をまとめて軽量化の作業を行う。

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 これだけで7〜8kgは軽くなった

 お昼前に近くのスーパーへに行き、予備日を含めて約10日分の食料を購入する。オーストラリアのナラボー平原で12日間に渡って食料補給できなかった経験がここに来て生きてくる。具体的には今回も箱ワイン5ℓを準備したりと抜かりはない。

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 あと新しい試みとして肉を塩漬けにして持っていこうと思う

 一通り準備を整えてポチポチパソコン弄っていると、声をかけてくるオッチャンが。やたらと陽気な彼の名はマイクといい、何と私がこれから向かうプラドーベイの工場で仕事をしているらしい。

 私のこと色々気遣ってくれて、何故か一緒にアウトドアショップに行くことになっていた。というか、昨日必要なアウトドア用品は大体揃えたよと言いきれなかった私が悪い。

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 ちなみにアメリカでタクシー始めて

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 サーリーはアメリカの会社だからか自転車店でよく見かける

 結果的に新しいスイムタオルを買ったから良かったものの、これ見つけなかったら同行しているマイクに申し訳なくって仕方なかったぜ。

 そのまま午前中にも訪れたスーパーにてマイクの夕食材料の買い出しに付き合う。というのも彼はキャンプ場の客に片っ端から「今夜の夕食、俺が作るからみんなで食べようぜ!」と言っており、必然的に大量の食材を準備しなくてはならなかったのだ。

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 なお無茶苦茶美味かった

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 今日は大体このキッチンで作業してた私

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 夜になってから焚き火始めたようで

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 もちろん私も寄っていく

 情報は揃えたつもりだけど、それでもどうなるかわからんダルトンハイウェイ。明日の日記が更新されていなければ、それはむしろ順調に走行を続けているということなのかもしれないが。

 このご時世だし、中間地点の村にWi-Fiくらいあっても不思議じゃないとも思うので、やっぱりハッキリしたことは言えないのである。この「全然わからない感」っていうのを体験したいから、私はわざわざこんな道を走るのかもしれない。

 2016年7月6日(水) 走行距離5km 累計41682km
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