自転車ときどき世界1周

カテゴリ:色々まとめ > 南米

 2017年6月27日~2019年4月24日

 訪問国数    9カ国と1地域

 走行日数    666日間

 累計走行距離  28608km 

 南米各国のまとめはこちらから

 コロンビアエクアドルペルーボリビアチリアルゼンチンウルグアイパラグアイアマゾン川下りブラジル

        

  道路

  交通

  物価

  食事

   宿

  治安

  総合

コロンビア

9

7

9

6

9

3

43

エクアドル

7

6

8

6

7

3

38

ペルー

2

1

10

10

9

2

34

ボリビア

1

2

10

7

8

2

30

チリ

6

6

5

6

7

6

36

アルゼンチン

5

4

7

9

8

5

38

ウルグアイ

8

8

5

5

3

6

30

パラグアイ

7

7

9

7

8

5

43

アマゾン川

1

9

8

7

4

8

38

ブラジル

8

7

9

10

9

2

45

日本

6

9

3

9

2

10

39


 他地域と同じく私が走行してきた各国において、独断と偏見で点数評価してみた。

 ※最低1点、最高10点 物価はコスパが良いほど点数高い

 自転車乗りとしての視点から感じる国の特徴であり、別に国の善し悪しについては全く意識していない。物価が高い国は宿も高くなる傾向があるし、点数が高ければ良い国という意味では勿論ない。あくまで1旅行者が感じた感想である。


<食>
 基本的に肉食文化でアンデス北部では鳥、アルゼンチンまで入ると牛がメインとなる。アンデス牛は厳しい土地でシェイプアップされてる牛ばかりなのか肉が硬く、これが鳥に人気を奪われてる原因ではないかと私は考える。
 標高の高い土地ではやっぱり食のレベルが落ちる傾向にあり、分かりやすいところではボリビアの食事は同じ国でも東部(低地)の方が明らかにレベルが高い。あとアンデス山中だとアルパカとかリャマの肉が食べられるが、味はともかく肉が硬すぎて美味いかというと微妙。
 味付けに塩を振りまくる悪癖が全体的に強く、特にブラジルの料理は何食べてもしょっぱい。それと肉の調理法が「焼く」ということに集約されてる傾向があり、スープ以外で肉のメニューを見ることは滅多にない。要するに肉とは「炒める」「焼いて食べる」「油で揚げる」・・・という3つの調理法があるのみとなる。

 チリ・アルゼンチン・ウルグアイの南部3カ国は物価が高いため毎日気軽に食堂利用してられないが、この3カ国には先進的なスーパーがあるため料金が「見える化」されてるし、自炊やキャンプする環境もかなり整っているためそれほど問題ない。ビール安いし。
 むしろ中米諸国から続く「鳥を揚げただけ」と言った単純料理が、小さな村だと他に選択肢もなく食べ続けることになる他国の方が嫌だった。美味いということは飽きが来ないというワケではないのだ。

 スーパーのない国で食材調達の基本はメルカド(市場)となる。アンデス地域を中心としてジャガイモの種類が豊富であることに驚くとともに、そうした根菜以外の野菜が少ないことにはガッカリする。何かアボカドばっかり食べてたような気がするのだが、安くて栄養化高くてそのまま食べれる美味い食材として大変重宝していたので。
 フルーツはどの種類も驚くほど安く食べることができる。というかちょっと田舎に行けばその辺にたくさん実が生ってたりするレベル。今でもボリビアで食べた50円の山盛りフルーツパフェが忘れられない。

 個人的に食のレベルが高いと感じた国はペルーとブラジル。自炊しかしてないけどアルゼンチンの肉も良かった。他はともかくチリやウルグアイですら食材の値段が控えめなのは間違いなく、種類の豊富さに目を瞑れば食に関してはかなり満足出来る大陸であった。

<宿・キャンプ場>
 これは安かった。人口過疎区域も走行したのでそれなりにテント泊も繰り返したけれど、安宿であればそれほど気兼ねすることなく泊まることができような値段。チリ・アルゼンチンはまぁ値段高い方だけど、観光地や大都市にはホステル関係が充実しており、こうした施設であればかなり良心的な料金で利用することもできる。ただしウルグアイ、てめーは駄目だ。
 このご時世ではあるが、アンデスの山中にあるような寒村だとWi-Fiはおろか電気が点かないレベルの宿もあったりするので設備に過信はしないほうが良い。国でいうとボリビアやペルーでは大都市か観光地でないとWi-Fiの付いてない宿が当たり前だったりする。全体的な傾向として宿のコスパが良いと感じたのはコロンビアとブラジルかな。

 治安的な不安が強い大陸であるため宿の利用に関しては気を使うところと思うが、基本的に「宿がない」規模の町で止む無くテント泊しても襲われる危険は非常に低いと私は思う。そんでもって個室宿においては自転車を部屋や建物内、若しくは鍵のかかるガレージといった安全の確保されてない場所に置き去りされたことは1度もなかった。というか自転車室内に入れさせてくれない宿なら私は宿泊しないのだが、まぁそういった盗難的な心配はそれほどしなかった。
 むしろ個人的にはホステルみたいな「他の旅行者」と滞在してる時の方が、よっぽど荷物を盗まれる危険は高いと私は考える。やっぱり大都市なんて行くもんじゃないってことだ。

 なおキャンプ場はチリ・アルゼンチン・ウルグアイの3カ国でしか利用出来る機会がないくらいに思っておいたほうが良い。少なくともこの3カ国以外においてキャンプという遊びは一部のお金持ちが行う遊びであり、長期の旅行者が安価で安全に宿泊地を得るという意味合いで利用出来る場所ではない。

<気候>
 コロンビア入国したのが6月の終わりというタイミングだったのだが、できるなら5月くらいにこの国入ってると良いタイミングだったと思う。というのも陸地が縦に長く続いており、アンデス山脈とアマゾン原生林によってボリビアまで南下しなくては東部に移動できる陸路が存在しない現状。もちろんベネズエラに抜けるというルートが無いワケでは無いけどそれは置いといて。
 必然的に緯度が高くなり季節による寒暖差が出始めるチリやアルゼンチンの南部に突入するまでは冬の時期に走行しても気候的な問題が少ないのだ。というかむしろこの地域は1月あたりが雨季の真っ最中なので、そういった意味でも自転車走行するには都合が良い。
 もちろんボリビアの宝石の道とか乾季の時期でないと走行できる道が限定されたり等あるものの、基本的にはウシュアイアに到着する時期を逆算して走行を鑑みた場合のベストタイミングが「コロンビア入国時点で4~5月」というタイミングだと思う。すると一般的なペースで走っていれば自ずと乾季のウユニ塩湖を抜けて年末年始のアウストラル街道を渡り、夏のウシュアイアにたどり着くことになる。

 ちなみに乾季のアンデスは気温が低くて太陽光が強く、湿度が非常に低いという環境。気温が低いので水分それほど必要としないが、唇や指先が荒れることが多いため保湿クリーム等の保護対策は重要。なお標高が高い場所では雨に悩まされることはほとんどない。私のルートでは唯一エクアドルからペルーの国境へ通過したポイントが雨が多く降る(しかも未舗装)土地で難儀したくらいか。

 パタゴニア地域に入ると西からの風が吹き付けるようになるが、アウストラル街道を南下してウシュアイアに向かうのであれば、風に逆らって走る状況は全体の1割に満たない程度であり、実はそれほど難儀することがない。じゃあ北上した際のアルゼンチン国道3号線ではどうだったか?と言うなれば、確かに厳しい強風の区間は数回あったが全体的に東海岸沿いの方が風も弱くて凌ぎやすい。むしろ5月のパタゴニアで厳しかったのは寒さだったように思う。

 あとアマゾン地域かな。暑くて湿度高いという日本顔負けの不快指数が高い土地で、ここは本当に厳しい土地だった。しかも熱帯雨林地域ということで基本的に「乾季」というのが存在しないと来たもんだ。比較的雨の少なくなる5~11月なら走行しやすいのかもしれないが、現地の人曰く「その時期はもっと暑くなるから自転車で走るのは危ないぞ」とか言われたこともあり、どっちもどっちの気がしないでもない。
 ちなみに暑い暑いと言ってるが、3~4月のアマゾン地域は最高気温でも30度ちょっとがいいとこ。数字上ではそこまで高くないし、実際夜中になるとTシャツ1枚で寝てるのは肌寒さを覚えるほどである。

<注意点>
 南米を自転車で走るというのはアンデス山脈を抜けるということと一体だと思っている。それほど多くのサイクリストがアンデス走行しているのが現状で、しかし高い場所では5000m超える道があるアンデスはやはり自転車旅行するのに簡単な土地ではない。
 私の感覚としては特に走行するのが厳しいアンデス区域として、ペルー北部・ボリビア南部・アルゼンチン北部が思い浮かぶ。他の区域にも難しい道はあるが、かなりの部分が舗装されてたりするため走破自体はそれほど難しくない。ただチリ・アルゼンチンの国境線に渡るアンデス山脈は冬季通行止めとなる峠が多いため事前の情報収集は必須。というかこのレベルの峠を登るのに無策で突っ込むと冗談抜きに死亡する可能性があるし。
 
 それと他大陸と比較しても全体的に治安的不安のある国が多い。特に1国の首都や最大の都市は治安が悪化するのはどの国でも同じだが、同じ国の国民が「あんな町に行ったら殺されるぞ」とか忠告される辺りで南米の危険さが伺える。特にアルゼンチンでこの傾向が強く割と治安にはナーバスになっていた。
 こうしたこともあり都市部における野営は流石に私も怖くて出来なかった。幸いなことに南米の都市部で物価が馬鹿高かった国は私の訪れたところでウルグアイのみであったし、そのウルグアイも夜を明かすことは首都以外無理なくできる。
 町歩きとかその辺は、もう暗くなる前に宿に戻るということを徹底するしかないと思うのだ。中米ほどではないが、南米の治安不安がある都市の夜は、人の姿がなく静まり返って相当危険な感じだし。

<道>
 全体を通してかなり悪い。比較的路面状況が良いのはコロンビア・チリ・ブラジルといった国となるが、基本こうした国であっても過疎地域だったりアンデス山中やアマゾンジャングルでは未舗装はおろか、まともに道を通過するのすら難しい場所が多々存在する。
 流石に主要道路を選んで走れば「未舗装ばかりが続く道」というのはボリビア除いてまず出てこないが、南米を走るというのは地域に寄らずかなり過酷な道を抜けるのだという意識でいた方が良いと思う。
 標高3000mを超える道を走る道がコロンビアを皮切りとして出始め、4000m超だとエクアドル・アルゼンチン・チリが加わる。更に5000mを超える道がペルー・ボリビアには存在する。特にボリビアは5700mを越える世界最高所の道があるわアンデス側は平均標高が4000mだわと驚きの世界だった。
 逆にアンデスから東に位置する国や地域は全体的に低い標高となっている。とはいえ小規模なアップダウンが連発する地域が多いため、思った以上に走行距離は伸びなかったりするが。

 南下する場合、コロンビアを抜けると自転車ショップのレベルが随分下がる。まだエクアドルはマシな方だが、ペルー・ボリビアといった「自転車で走行する」という点において最高難易度となるであろう2カ国での自転車修理や整備に期待が持てないのは痛い。ブレーキシューみたいな消耗品と共に各種パーツはコロンビア内にて一通りチェック・交換してしまうのが正解であると私は考える。なおチリかアルゼンチンに入ればかなり良質なパーツが期待できるのだが宝石の道を通過してチリに入った場合、最初に訪れることとなるアタカマの町でマトモな自転車ショップがない。実際自転車に問題を抱えながら宝石の道を走破してアタカマまでやってきたが、部品が手に入らずバスで他の町まで移動せざるをえなくなったサイクリストにも出会った。

 南米全体の道路網は南北に延びる道と比較して、東西に移動する道が難易度高かったり難しい道が多いという点がある。大陸南部に向かうほど東西の大陸幅が狭まってくるため楽に移動できるようになるが、北部側だとコロンビアやエクアドルから東進しようとしてもベネズエラを抜けるとかアマゾン地域で道そのものが存在しないといった問題もある。
 そうした国から南下を続け、ようやくボリビア辺りから自転車でも大陸東部に移動できる道が出てくるのだが、ボリビア北部は雨季だと私レベルじゃ走行不可能レベルの悪路だったこともあり、現実的な選択肢としてボリビア南部からチャコ地方を抜けてパラグアイに抜ける道が南米における最北端から自走のみで東部地域に渡れる道だと思う。
 このチャコ地方の道も数年前まで数百kmに渡って未舗装路が続く上に人口過疎地域&猛烈な暑さを誇る難しい道とされていたが、私が通過した2018年の時点で9割は完璧なアスファルトが敷かれ工事が完了していることもあり、今後自転車旅行者が利用する道として大いに注目を集めることになると思う。

<総括>
 旅行前から期待値非常に高くてワクワクしていた地域だが、まさか2年近くも滞在するとは思わなんだ。その期間を走り回ってもなお私はこの大陸をもっと色々走ってみたいと思ったし、それだけの魅力が存分に詰まっている土地である。
 そしてラテンの人の生き方や考え方というモノに大きなショックを受けるとともに、私はそうしたちょっと不真面目で適当だけど、陽気さと見知らぬ人との距離を一瞬で詰めてくるアミーゴ社会が好きになれたなと感じる。
 本当に南米のことを思い返すと次から次へと文句が出てくるのだが、何ていうか本当に腹を立ててるのではなく馬鹿で出来の悪い子供を語る親みたいな感情に近いのではないかと思う。

 圧倒的なスケールの自然、アンデスからアマゾンまである多様な気候、そうした土地に住む親切で明るい人たち。私はこの旅行で南米という大陸を走れたことを心から感謝している。
    mixiチェック

 2019年2月22日~4月24日

 走行日数62日間

 累計走行距離3145km(88780km~91925km)


◎道路

 アマゾン地域にでも行かない限り主要道路においては質の良いアスファルトが続いている。しかし少しでも海岸線から内陸部へと入ると小規模なアップダウンが連続する道となり、これが何時まで経っても終わらなかったりするため体力的に相当厳しくはある。

 結果的にブラジル入国後に標高が500mを越すような山は1度も登ることはなかったのだが、1日の獲得標高が1000mを超えることは幾度もあり、決して自転車で走るのが楽な国というワケではない。

 主要道路は側道広めに作ってあり安心感があるものの、結構路面状態はボコボコで路面のギャップを避けるためにメイン路に入ったりもするのだが、この乗り越え部分に段差作られてることが多くてストレスがある。段差という点では町の出入り口にトーペが設置されて国なので、斜面の途中にあったりする町だと吹っ飛ばされかねないため注意が必要。

 基本的に50km走って全く補給ができないということはまずないし、特にガソスタを始めとした郊外のドライブイン系施設には食堂のみならず無料で冷水・シャワー設備にWi-Fiまで整っているため野営するのも楽。アマゾン地域以外であれば食料一切持たずに走行してもまず大丈夫といえるほど。


◎治安

 これはまぁ良くはない。といってもこれはあくまで州都のような大都市においての話であり、田舎においては南米でも1・2を争うほど多くの人に親切にしてもらった国だし野宿もしたワケだが、危険を感じるようなことはむしろ少なかったと思う。この田舎と都会の治安差が他国以上に極端であるため、ブラジルが余計に治安悪いのだと感じているだけなのかもしれないが。

 大都市に入っても昼間は人通りも多く活気にあふれており、ファーベラ(スラム街)とかに近づかなければそこまで危険な雰囲気はない。まぁ建物の防犯状況とか見ると、非常に厳重なのであり「安全だな」と感じることは無いにしても、観光名所ではパトロールしている警察も多いしいきなり襲われたりする予感は薄い。

 ところがちょっと裏路地とかに入り込んだりすると、一気に別世界というか危険度段違いの場所に豹変したりすることも多く、そういう意味ではアメリカと似ていると感じることが多かった。

 というのもブラジルも貧富の差が非常に激しい国であり、そのマイナス面がモロに出てしまってるというか、町の規模がアメリカほど広がりを持っていないため、裕福層と貧困層の住んでる地域が距離的に離れていないよう思われる。綺麗なスーパーや銀行の出入口でも普通に浮浪者が寝てたり徘徊してるのがブラジルで、こうした人たちを排除して貧民街へと押し込むのがアメリカってイメージ。

 まぁとにかく田舎の道路標識にはしょっちゅう弾痕が残っているほどの銃社会ではある。都市部においては暗くなったら絶対外出しないということを他国以上に徹底して心掛けていた。

 あとどう見てもヤバそうなファーベラ地域だけど、基本的に大都市の町外れに存在してる感じで町を出入りする際にはその近くを通過する傾向があるんだな、これが。まぁ危険な地帯を抜けるまで下手に主要道路から外れて適当に入っていくとかしないほうが正解だと思う。


◎ビザ・出入国

 南米において日本人は唯一ビザの発給が必要である国。とはいえ日本人は2018年より電子ビザ手続きが可能になったこともあり、以前と比べてハードルはずいぶん下がったように思う。

 ただこの電子ビザ、ブラジル国内で滞在延長手続きが出来ない関係で、90日以上の滞在を予定してる場合は以前と同様の領事ビザにおける手続きが必要となる。当初予定で私は90日以上の滞在を見込んでいたので料金約2倍の領事ビザをパラグアイにて取得したのだが、結果的に領事ビザである必要はなかった、まぁ仕方ない。

 肝心の出入国だが、陸(川)路の小規模な国境においてブラジルは警察組織がイミグレーションを兼ねている場合が多い。そのため国境沿いにイミグレが存在せず、自分で町の警察署まで訪問してスタンプを貰わねばならない。だけどそのテのイミグレは日曜・祝日には開いていないし、お昼休みもあれば18時以降はもちろん閉鎖してしまうため注意が必要。なおこのスタイルを取っている国境の町は、必然的に町中においてノービザ入国が認可されている地域でもあるらしい。

 手続き自体は基本的な質問事項に受け答えするのみで非常に緩いとは感じるが、係員はもちろんポルトガル語しか話せない人だったので大変苦労した。

 そして3月も後半に入った頃「2019年9月から日本人はブラジルビザ免除」という報が入ったのであり、なんだよもうちょっと早くやれよ・・・という気持ちが拭いきれなかったりする今日このごろ。


◎交通事情

 クラックションを鳴らしてこない運転モラル高い方の国ではあるが、土地の大部分が人口希薄地帯ということもあって無茶苦茶に飛ばしまくっている大型車がかなり多い。

 交通量少ないからか知らんが、前方の状況が把握できてない状況でも平気で反対車線に出て追い越しをする悪癖があり、相当な回数自転車の真正面から突っ込んでくる車両とはち合わせとなることがあった。しかも2度ほど逆走状態の車の方が「邪魔だ」とクラックション鳴らしてきたことがあり、これは現時点で最低の運転マナーを誇るベトナムと同レベルのことやっているのだと猛省してもらいたい。

 車両とバイクの割合が半々くらいの印象で、バイクは割と側道を走る人も多いため思わぬ位置から追い抜いて行ったりするパターンがあり注意が必要。なおバイクの運転技術もあんまりな印象で、状況が未舗装路や雨上がり直後だったとはいえ私の目の前でバイクが転倒したのを2度も目撃している。路面良くない状態でそんなスピード出すから・・・と思う走行だった末での転倒で、まぁ自分が制御できない速度を出すライダーが多いという印象。余談だが転倒した2人に大きな怪我はなかった。見過ごすわけにもいかないし目の前で事故るの止めて欲しい。


◎特徴

 アマゾン地域では川が主要な交通手段の1つとなっている・・・というかまともに整備されてない未舗装路しか陸路における道がなく、現在においても陸路より水路の方が主要な交通手段として認識されている。それを象徴するかのようなウマイタ~マナウス間の国道319号線はアドベンチャーロードとして一部のオフロードライダー等に人気なのだが、特に雨季でこうした地域を走行すると酷い目に会うのは間違いない。大きな川には大概フェリーの定期航路があるので、この地域を移動するのが難しいと思う場合はフェリーを利用する方が無難。


◎気候

 要するに雨季におけるアマゾン地域しか走ってないのだが、もう無茶苦茶に雨が多い。といっても1日中雨が降り続けることは稀で、短時間に大雨が降る「スコール」というイメージ通りの雨。天気予報を見ると向こう10日「雷雨」ばかりの日が続くのが常であるが、実際の天候は雲量多めの曇り空という日が続くと思ってけばそれhど間違いではない。

 湿度が高い暑さであるため、雨が降ったことによる打ち水的な冷却効果はそれほどではなく、むしろその後に陽光が照りつけたりすると路面の水が蒸発して凄まじい湿気の中を移動する羽目になり困りもの。しかも雲の動きが速い関係で大雨直後に太陽光・・・というパターンは多い。

 しかし気温自体は35度を超えることは滅多になく、夜間も凌ぎやすい温度まで下がるため夜中に寝苦しいほど暑いということはなかった。まぁ雨季だしな。というか日本は何で夜になっても温度下がらないのかね?

 一般道路ならそれほど雨を気にしなくても問題ないし、レインウェアを使わなくとも雨天走行に支障はないといえるため、時間的な余裕を持って走ればアマゾン地の雨はそれほど気にすることがない。ところが未舗装路を走る場合は勝手が違うというか、定期的に雨で土に水が撒かれるため常に地面がぬかるんでいるというコンディションが形成されるため非常に厄介。

 なおアマゾンというのは熱帯雨林の地域なので、正確には「乾季」というのは存在せず「小雨季」と表現する方が正しいかと思う。何にしても12~3月くらいが最も雨の多い時期となるため、この時期に未舗装区域を走るのはオススメはしない。


◎言語

 南米唯一にして世界最大のポルトガル語使用国であるブラジル。とりあえず他の南米同様に英語の使用率が低いこの国で、それなりに意思疎通するためにはやはりスペイン語が有効だと言える。というのもポルトガル語とスペイン語はかなり近しい言語であるため、普通にスペイン語で話しても半分程度は内容通じたりする。

 ただまぁスペイン語自体もやっつけ程度の能力で、その半分しか通じないというレベルでは会話に関してかなり厳しいと思っといた方がいい。それでもブラジル人自体が英語よりスペイン語の取得率高いため、スペイン語がこの国においても有効であることに変わりはないし、基本的な数字や文法が同じ(似てる)ので最低限の内容を伝えることは可能。


◎宿(野宿)・Wi-Fi

 人口4桁くらいの小さな町でも数件は宿があるイメージで、そのうちの1件くらいは1000円を下回るような安宿がある。なおスペイン領であった南米他国とは町の構造が根本的に違うため、町の中央に位置するパルケ(公園)に行っても周辺に宿があったりはしない。ブラジルの場合はとりあえず長距離バスターミナルの周辺から探索を開始するのが基本戦術だといえる。

 HOTELとPOUSADAS、あとときどきDORMITORIOという宿泊施設もあり、ポウサダスはおそらく民宿寄りの施設と思われるが別に常に安かったりするワケではない。ドルミトリオに関しては見た目からして安宿の雰囲気を存分に醸し出してる施設ばかりで、実際そういう宿だった。どこの宿でも大抵Wi-Fiはしっかり付いてて速度も良好だし、部屋内でも使えるように考えて配置されている。そしてブラジルでは安宿でもかなりの確率で無料の朝食が用意されているのが嬉しい。最も多いスタイルはパンとマーガリンにコーヒー&ミルクというスタイルで、ちょっと良いトコだとパンに挟むためのハムやチーズ、他にバナナ等がセルフで置かれている。特に説明とかはなく、6時~8時くらいの間で用意され各々が勝手に食べるスタイルなので、遅くに行くと何も残ってなかったりする場合も。なお冷水とコーヒーは常にセルフで飲み放題となっていることが普通で、これは宿だけでなく商店やレストランでも同様である。

 ちなみに観光地や大都市といった場所だと全体的に宿の値段が上昇するが、代わりにホステルが登場するため1泊の料金的にはさほど変わらず宿泊することができる。要するに地方なら同じ料金で個室に泊まれるため、治安の悪さも相まってブラジルで大都市に滞在するのは旨味が少ない。単純にコスパが最も良くなるのは地方都市くらいのホテル泊だと思う。私が泊まった町で例えるとポルトヴェーリョやサンタレン、アサイランディアの町とか。

 ちなみに郊外のガソスタやれレストランには長距離ドライバーのためなのか無料のシャワー施設がついてることが多く、何度かテントも張らせてもらったりしたが実に快適だった。町と町との間隔が短いためあんまり野宿しなかったけれど、お金節約してテント泊増やしてもそれほど苦労しないと思われる。ただし(アマゾン地域だけかもしれんが)雨が多い関係で、どこか雨を避けれる場所で設営しないとスコールの勢いが激しいため色々と危険。

 なおWi-Fiは一般のレストラン等でも設置率高いし、郊外のガソスタなんかも使えることが多い。結局ブラジルで長期間ネットに接続できなかったのは、フェリー乗って移動してる最中だけだったんじゃないかな?


◎動物

 アマゾン地域だから仕方ないのかもしれんが無茶苦茶に蚊が多かった。マラリアやデング熱に感染危険のある地域なので、あまり刺されないよう注意したいとか言ってらんない。宿の部屋に入ったらいきなり目視で4~5匹飛び回ってるのが確認できるレベルで蚊が飛んでるのにどうしろと?とりあえず蚊取り線香と虫除けの薬は常備していた私。

 その他のジャングル的な危険生物は道路上を普通に走行してる限りではそれほど出てこないのだが、蛇だけはかなりの頻度で出くわすため気は抜けない。毒持ってる種類なのかは知らんけど、1日で車に轢かれてる奴を含めれば5~6匹見かけたこともあったし。

 犬は可もなく不可もなく。食堂で飯食べてても寄ってくる野良犬の数も少なかったし、走行中に追いかけられた経験も多くない。そっちはあまり気にならなかったかな。


◎自転車店

 人口5万を超えるような町なら先進的で大きなショップが1つくらいはある。それより小さな規模の町でも自転車を専門に扱う修理店なりは点在してるので、まぁトラブルの対応自体は対処しやすいかと思われる。

 品揃えに関しては基本グレードのSHIMANO製品ならば問題なく入手でき、私の場合は次のヨーロッパの物価高さを考慮してブラジル終盤に色々なパーツを交換したりとかしてる。いや、自転車の部品なんて何処の国でも大して値段変わらないかと経験上思うのだが、ヨーロッパ走ったサイクリスト曰く「ヨーロッパはサイクル用品まで全て高い」という話を聞いたので。

 店員の整備レベルは他の南米諸国と変わらないと感じたが、小さな町だったりすると作業に要する部品がなかったりすることも多いので、有り合わせの工具で何とか対応したり古くなって消耗しているベアリングをそのまま使い続けたりとかしていた。まぁ物が無いと工夫でどうにか対応するのはその通りだと思うし、ペルーみたく勝手に分解して「これ無理だわ」とか放り投げたりしないので、とりあえず自転車預けることに抵抗は感じないし。

 自転車で旅行するということに対して非常に親近感を覚えてくれる店員が多く、色々助けてもらったりしても料金受け取らず「良い旅行を!」みたいな感じでサービスしてくれたりと、ここでもブラジルの人の良さを強く感じることが多かった。


◎物価・食事

 ペルーやボリビアより高いけど、エクアドルより安いかなという感じ。宿に泊まって毎食レストランで食べても一応2000円以内で収まる程度だと思う。南米ならコロンビアと同程度というイメージかな。

 なおレストランは大都市でもない限りワンパターンのメニューなのだが、しかしブラジル料理は満足度が非常に高い。自転車乗りには有難いのがセルフ方式でお皿に食材盛り放題だが料金固定という店が多く、ブラジル料理といえば!のシュラスコ店含めてこうしたお店ばかり通っていた。ただし一部の店では同様の方式で重量計って料金を算出する店もあるため事前に要確認した方が無難。

 大体1食200~450円くらいでやや高目だが、どのお店でもガチガチに冷やした冷水とコーヒーは無料で飲めるし、思い切り肉が食べれての料金なのでむしろコスパは良いと感じる。宿で無料の朝食出るからほとんど朝は利用しなかったし。

 なお19時にもならずして多くの食堂はシャッター閉めてしまい、日中から継続して営業してるお店は限られる。小さな町だと平日でも1件もお店開いていないという状況が頻発し、またスーパーも同様の時間帯に終了するためタイミング悪いと食いっぱぐれる危険がある。

 とはいえ中央公園やバスターミナルとかに行けばシュラスコかハンバーガーの屋台があるし、バーを始めとした夜中から営業開始するお店もあるっちゃある。私は屋台は結構利用したけど、バーは割高の軽食しか食べれないので行くことはなかった人。1人でバー行って酒飲むタイプじゃないのです。

 とにかく暑い国のためビールが美味いのであり、1本50~80円というお求め安さもあってガンガン飲みまくっていた。スーパーなどではビンよりも缶が主流で販売されてるので、飲み終えた瓶ビールをお店まで戻しに行かなくても良いのが地味に有難い。なお他国ではあまり見かけない269mlという規格が多く、通常の350ml缶はそれほど多く流通していない。

 全国展開してるビールだけでも5種類以上。私はクリスタルという名前のビールが好きだったけど、クリスタルという名前のビールは中南米でそれぞれ同名別種のビールが広く取り扱われており、なんだかちょっとモヤモヤするな。なお店で瓶ビールを注文すると、外気温でビールが温められないように専用の容器で瓶をカバーしてくれる。


◎総括

 いや楽しかったなブラジル。アマゾンという地域のワクワク感は入ってみれば案外整備されてる場所も多く、原住民が暮らしてる未開の土地ばかりではなかったけれども。それでもこの土地を自転車で走って他の南米とは違う景色と環境を存分に感じることができたと思っている。

 整備されてるとは言ったけど、それでも南米全体で見ても最高難易度クラスの道が連発し、自転車の各部品ぶっ壊れまくったしフェリーや車両に乗せてもらうことも多々あった。何とか無事走破することができたのは、この国で私を助けてくれた多くのブラジル人のおかげである。

 そう、この国もまた最初に思い起こすのは人の優しさで、南米に入った最初の国コロンビアと最後の国となったブラジル。この2カ国で最もそうした印象を受けたというのは何とも不思議な気持ちになる。

 何故か邦人自転車旅行者が訪れることの少ないブラジルだが、この広大な国土の中にまだほとんどサイクリストが走破してない貴重な道がワンサカ眠っているのだと思うとワクワクするじゃないか!これからの南米自転車旅行にアンデスのみでなくアマゾンやブラジル海岸線といった選択肢を入れても決して後悔はしないと思う。ブラジルとはそういう国であった。

    mixiチェック


 2017年11月8日~12月10日 2018年9月12日~9月26日 12月17日~2019年2月22日

 走行日数116日間

 累計走行距離3776km(1回目1383km・2回目604km・3回目1789km)

         (70276km~71659km・86387km~86991km・86991km~88780km)


◎道路

 主要道路だけなら良い。ボリビア自体は東西で大きく標高差のある国なのだが、アンデス地域にある割には西部のコパカバーナ~ラパス~ウユニの主要交通ルートであればそれほどアップダウンは出てこない。西部のアンデス高原地帯では4000m前後の高地を走り続けることになるのだが、この辺の最低標高がラパスの3600mだったりで、いくら標高高くても上り坂自体が小さく大した問題にならないというワケだ。

 しかしこの区間を外れて走ろうとすると、もうどこ走っても未舗装路は当たり前。アンデス区域であれば無茶苦茶なアップダウンの繰り返しを余儀なくされるし、それ以外の土地はアマゾンに属するジャングル地帯で雨と未舗装の絶望的なコースを走らされることとなる。1つの目安として、Googleマップでボリビア全体が画面に入るくらいの大きさで発生する主要道路でも半分くらいは未舗装路だと思っておけば大体正しい。

 舗装されてないような非主要道路を通過する場合、道中の村に1件の食堂もないことも多いためそれなりの準備と覚悟を持って臨まないと泣きを見る。それだけに魅力の高い土地だとも言えるが、フルパッキンの自転車で走り回るのは色々大変すぎる気がしないでもない。

 なお近年ボリビア政府は道路工事に力を入れてると話を聞いたことがあったのだが、これは旅行者レベルでもそれを実感出来るというか、真新しい建設されたばかりの道路を走る機会が非常に多かった。むしろ小さな町では町に通じる道路はアスファルトなのに、町中に入ると土の道となってしまうという逆転現象を見かけることもあり、相当性急に道路を作っていることが伺える。きっと10年後にはこの国の道路状況は現在と大きく異なっていることであろう。

 中南米によく出てくる速度落とすための段差ことトーペだが、ボリビアでは町の出入り口ではなくこれが町中に配置されている。特にラパスのような斜面にある町だとこれが危険で仕方ない。

 ウユニ以南の宝石の道は要するに「そういうのを求めて向かう道」であるため、無理せずに南下したいのであればウユニ以降のルートは考えたほうが吉。それに関しては別項で歌っているので気になる方は参考にどうぞ。


◎治安

 まぁ良いとは言えない。サンタクルスでは「今まで問題があったことは1度もない」と断言された宿に荷物を置かせてもらったにも関わらず盗難にあったのであり、要するにボリビア人(なのか否かは正確には分からないけど)のモラルを安易に信用しないほうが良いかとは思ってる。いや私も信用してなかったからカバーも作ったし、貴重品は鍵付きのバッグ内に入れてたけど、それでも盗られたのだが。どうしろっつーんじゃい。

 けどもそれは規模の大きい都市部での話で、小さな町では雰囲気の悪さを感じることはほぼない。というか正確には人がいないので治安も雰囲気もクソもないという感じ。それの最たる場所が宝石の道だと思っておけば大丈夫。ケテナチコの町なんかホテルに部屋の鍵がありませんでしたよ。


◎ビザ・出入国

 チチカカ湖付近にある2つの国境でデサグアデロ側は不当な料金を請求されたなどの話が頻出する、すこぶる評判の悪い国境である。結果的に後にこの国境へビザクリのために足を運んだ限りでは、係員は親切ではないけどパスポートの他ページを確認することもなく適当にスタンプ押してくれる適当職員だったので、むしろ難癖つけられやすい同日出入国をするにおいて有り難かったと思ってる。では最初に通ったカサニ側の国境はどうかといえば、やはり手続き自体は全く問題なしであっさりスタンプもらうことができる。

 ところがボリビアはビザなしで通常90日まで滞在することが可能なのだが、これは入国時は基本30日分しか滞在日数くれない。カサニでは「自転車旅行者だから30日じゃ無理なんだ!」とゴネたりもしたのだが「大丈夫だ、90日滞在できる」と係員には言われた。

 調べたところ90日滞在の場合、パスポートには30日分のスタンプが3つ押されることになるらしく、やっぱり処理されず仕舞いであった。結果的にラパスの管理局で延長手続きを申請したところ、僅か10秒で3つのスタンプを押され処理は完了したのだが。

 後に聞いた話でボリビア人は職務に対して面倒だと、その場しのぎの適当な対応をする人も多いとのことであり、私の滞在日数は最初30日だったのを適当に嘘つかれたのか「90日まで延長できる」という意味で言われたのかは今となっては分からない。ただ滞在日数オーバーするとイミグレーションその場で罰金支払いとなる上、出国した宝石の道にあるイミグレには周囲にATMはおろか町すら存在しない場所である。

 ということでボリビア1ヶ月以内に走破するのが厳しいと思われる方は、とりあえずラパスか他の主要都市にて延長手続きをする方が余計な不安を抱かなくて良いと思われる。

 この他にも同様の手続きができる移民局が少なくともサンタクルス・オルロ・スクレ・ポトシ・ルレナバケ・グアヤラメリンには存在することを確認している。多分、それなりの中核都市なら同様の施設があるのだと思うが、スクレでは「3日前からじゃないと受け付けできない」と突き返されたこともあるし、ラパスで手続きするのが1番良いとは思う。

 あと日記で散々文句言ったが、ボリビアの延長手続きは年を跨ぐと受付してくれないという罠があるため12月にボリビアinした場合、年を跨ぐと滞在延長の手続きができなくなる。いやでも私は3度目の入国時に12月入国、翌年1月にポトシで滞在延長できたのであり、これは地方都市だと係員が甘くて正規のルールを曲げて手続きしてくれたのか、単に無知だったのかどちらかだと考える。どちらにしても失敗した時のリスクが大きいためオススメはしない。


◎交通事情

 ペルーより大分大人しいとはいえ、クラックション鳴らすし運転マナーも良いとはいえない。ただそもそもの車の数が少ないというか、ちょっと郊外まで出てしまうと走行してる車両というのがかなりの割合をバスとかトラックのような業務用車両が占めるようになる。

 まぁそういったプロの運転手である人たちなのだが結局スピード出しまくりだし、スレスレを抜けていくアホもいるしで良いイメージはない。どころか特に乗り合いバンだとかバスは少しでも速く移動しようと周囲を顧みず危険な追い越しを繰り返したりアクセルベタ踏みにしてるの見てるのであり、極力関わらないようにしたいと思ったが。

 アンデス地方の主要都市であるラパス・スクレ・ポトシの場合、町自体が斜面の上に作られているため自転車での走行に全く適していないという問題が。しかも主要な大きい道路というものが少なく嫌でも狭い路地の急斜面を進まされる羽目になり、そこに前述した無茶な運転するバスとかが平気で飛び出してくるような環境。本当に冗談じゃない。

 あと政治的デモがよく発生する国なのだが、何故かこれを道路を封鎖するという行為で行うことが多く、こうした理由から道路が通行不能になるパターンがままある。ただ「自力移動している自転車なら普通に通してくれるよ」と聞いていたし、実際に道路封鎖の現場に立ち会った時も私はアッサリ通してくれた。ただ確実なことは言えないので、ボリビアを走る場合はある程度奏効期間に余裕をもたせておく方が良いと思われる。


◎特徴

 1、東西2つの地域がアンデスによって全く異なる性質を持っている。これは気候だけでなく住んでる人たちの性質というか傾向までも含めた話。イメージとして東京と大阪で「西(東)のヤツらは云々~」といがみ合ってる感じに近い。聞いたところで西部はインテリ系で東部はファッション系らしい。

 2、宝石の道途中に現在一般人が行ける世界で最も高い標高にある道を走ることができる。このウトゥルンク山駐車場へ向かう道だが、シーズンになるといくらか登山客を乗せて車両が山へと向かうのに使用されるものの、年末年始等のオフシーズン(要するに雨季)だと他に向かう人が誰もいない1本道であるため、トラブル発生した場合でも自力でケテナチコの町まで戻ってこなくてはならない。向かうならば十分な事前準備が望まれる。


◎気候

 西高東低・・・というのはこの国の標高のこと。高原地帯は夏でも夜になると肌寒くなるほど冷え込むこともある一方で、低地では平気で40度を超える暑さとなり、両極端というか何というか。

 正規には11月くらいから雨季シーズンへ突入するとされてるが、私的に12月いっぱいまでは雨に悩まされることは少なく本格的に雨が増えるのは1月中旬あたりからの印象だ。主要道路以外は未舗装路ばかりの国であるため、雨季にボリビアを走ろうとするならルートをしっかりプランニングするか、雨ばかりの未舗装路を走るだけの覚悟と下準備をしておく必要がある。私はアンデス地域で雨ばかり降られて泣きを見たクチの人。

 一方でアンデス地帯では乾燥も激しく、特に宝石の道では唇どころか指先の皮膚がパックリ割れることもあり、保湿クリームがいくつあっても足りないほど。

 低緯度なので何月に来てもそれほど気温差はないと言えるが、4000mクラスの町で天気が悪いと0度以下の気温となる場合もあるため冬用装備は携行する必要がある。特に標高の高いアルティプラーノでは西風が強い地域も多く、雨風のダブルパンチを鑑みると防寒対策には力を入れといた方が無難。

 あと宝石の道では強風&砂漠地帯ということでテントや衣類のジッパーに目詰まりが発生しやすい。直接的な防止策はないのだが、ワセリンなりの潤滑剤を使って対処できるようにしとかないと、最悪テントの出入口が閉められないまま夜を越す羽目になるため注意が必要。


◎言語

 小さな集落なんかにはまだ200以上もの地方言語があるとのことだが、基本的にスペイン語だと思ってれば間違いない。ラパスやスクレといった主要都市の外国人向けホステルレベルでも、スペイン語しか喋れないスタッフばかりであり、この国で英語はよっぽどよほどの場所でもないと意味をなさない。

 あと面白いのがサンタクルスとリベラルタの2地域に限って「Vos(2人称単数)」という他の地域では使われていない主語が使用されていた。中南米全体でも使用されることが極めて少ないマイナー主語なのであり、別段覚えてなくても問題ないと言われたのだが。まさかこんな場所で聞くことになるとは。

 しかし中南米におけるスペイン語の普及率はスゴイね全く。流石、無敵艦隊と呼ばれ侵略の限りを尽くしただけのことはありますよ。


◎宿(野宿)・Wi-Fi

 南米の中でも特に宿泊代金安い国であることは間違いない。小さな町だとWi-Fi無しシャワー無しどころかトイレすら無い「野宿した方がマシじゃねーか」という宿にも出くわしたが、支払う金額が500円以下とかザラなのでそれほど文句は出てこない。

 そもそも都市部を除けば過疎区域ばかりのこの国では、小さな集落に宿があればラッキーという感じなので如何ともし難いが。その分テント泊しやすい環境なので、アンデス地帯に限ればそれほど宿に対して困窮はしない。

 なおWi-Fiに関しては隣国ペルーやパラグアイと比較しても設置率が非常に低く、ネット環境見つけるのが大変である。県都クラスの主要都市じゃない町でネットを使いたいのであれば、これはもうsimカード購入した方が早いと思う。しかし中南米を牛耳っている通信会社のクラーロとモビスターだが、ボリビアに進出してないんだなこれが。面倒でも入国後にsimカードの購入と手続きをする必要に駆られるワケでして。なお東部地域の方だと割と中規模都市でもWi-Fi見つけられた。これは走行難度が低いので距離が稼ぎやすく、大きな町まで短時間で移動できるという側面があるからだと思ってる。

 1つ言えるのは、大多数のサイクリストが走るルートであろう「ラパス→ウユニ→宝石の道」であれば、ウユニまでは1週間以上ネットに触れないということはない。どうせ宝石の道には電波ないのだし、割り切ってしまえばsimカードなんて必要ないと思う。


◎動物

 ペルーを超えてきたサイクリストならば犬に関してはボリビア恐るに足らず。稀に自転車乗り見かけて吠えたり追いかけてきた犬もいたが、割合でいえばペルーの1%くらいですよマジで。

 そうはいってもアホ犬いないワケではないが、そもそも人の住んでる集落が少なくなることが原因なのか、いきなり出てきた犬に追い回されるという機会自体が減ることで悪い印象を受けていないのだと思われる。でもまぁ地味に2度ほど犬叩き棒は活躍した。

 あと今回から犬のみでなくその他動物全般に対しての感想としたのだが、北部ジャングル地域に関しては黄熱病とデング熱に感染危険である地域ということで蚊が普段以上に脅威となる。そしてその数は多い。

 アマゾンには他にも猛毒を持つ蛇やワニが普通に生息してるとのことで、その辺で適当に森の中入ってテント張る野宿は絶対するなと言われた。ということでアマゾン地域では、基本人様の家などといったポイントでしかテントを張っていない。


◎自転車店

 これはボリビアに期待してはいけない。そもそも西部地域は標高の高い土地柄故か、スポーツ系の自転車の乗るということ自体が盛んでないと感じたし、ラパスの町は自転車に不向きな急斜度の坂しかないすり鉢状の土地だし。

 かといって東部地域に関しても、それなりの中規模都市ですら先進的なショップは姿を見せない。メルカドに行くと自転車やそのパーツを扱ってる区画があったりするのだが、修理とかトラブル対応を受け付けてくれる感じではない。ボリビア国内で信頼できそうなプロショップを見かけたのはラパスの東部に位置する高級住宅街とサンタクルスの町くらいであり、この国でトラブルがあったらとにかく出国するまで応急処置でやり過ごすというパターンになりがち。


◎物価・食事

 南米でも最貧国の1つに数えられるボリビアは、当然物価も素晴らしく低い・・・と思ってたのだがペルーから来た身としては、ほとんど変化が感じられない程度でもあった。いや無茶苦茶安いのは間違いないけれど。実際パラグアイから2度目の入国をした時には「物価安いと感じたパラグアイより更に1段階値段下がった」と感じたのであり、比較する対象の問題だわな。

 ただまぁ食事に対してはペルーと値段の変化が見られないのに対し、ビールの料金が跳ね上がっているのが不服というか文句の1つも言いたくなる。ボリビアビールは割と地域毎の地元ビールが幅を利かせておりその種類も多く、その割にはあんまり美味しくないのであり、食事情にはそれほど文句ない割にビールに関しては残念な国であったといえる。なお主要なビールはパセーニャとウアリの2種類が幅を利かせてる印象。

 西部の高原地帯ではその標高も相まって米が硬かったりと評判悪いボリビア料理だが、これは気候的な特徴なので仕方ない。現に東部地域でのボリビア料理は美味くて安くて量が多いと、食に関してかなり満足度の高い国であったと思っている。あと主要都市のメルカドへ行けば生クリームたっぷりのフルーツパフェが160円とかで食べれることを知り、いやもうこれは病みつきになる程食べてたな。

 なお他の南米諸国と比較して全体的に味付けが濃いと思う。このため食後に喉渇いたりして結局ジュースとか買ってしまうことが多く、もしかしてそれを狙うために味付け濃くしてるのでは?とかそんなワケないか。


◎総括

 まさかボリビアの感想書くのが3年越しになろうとは思いもよらなんだ。特に道路状況が変革期の真っ只中にあるボリビアという国は、面倒なことも多いしボリビア人は仕事適当で働かないしとストレスを抱えることが多かった。何より南米においても1・2を争う自転車における移動が厳しい国として、ボリビアは自転車旅行的な難易度高いことは間違いない。

 だがアンデスからアマゾンまで様々な顔を見せるボリビアという国は、100日以上をかけてじっくり取り組むに足る魅力あふれる国であったことも確かだ。ウユニだけ見て通り抜けてしまうのはあまりに勿体無い、様々な魅力に溢れているボリビア。長逗留しても財布にも優しい物価の安さもあって、当初の予定より随分長期間の滞在となってしまった。いや、思ってた以上に道路の状態が悪すぎたのと、雨続きだったことが大きな原因ではあるけれど。

 あと5年もすれば今回私が走ったルートも随分と整備されて交通状態も良くなり、きっと自転車の旅行者も増えるのだろう。そうすれば現在のボリビアはまた違った様相を見せることになる筈で、いつかまたボリビアの土地を再訪してみたいと感じさせてくれる。

    mixiチェック

 せっかくアマゾン川は個別にタグ作ったこともあるので、扱いとしては各国まとめのように総括を作りたいと思った。・・・のでこの形で1記事作ることにする。ブログ的にも途中で日付が抜けるの気持ち悪いし。


 なお大前提として「アマゾン川をイカダで下る」ということに対してのまとめであり、普段の自転車用総括より更に限定的な自己満足のために起こした記事である。普通にアマゾン川を下る(上る)のであればフェリーや高速ボートを使えば良いだけの話で、そういう大多数の人にとって毒にも薬にもならないことに私は情熱をかけるタイプである。

 2018年9月26日~12月16日

 航行日数56日間

 累計航行距離約1500km(プカルパ~レティシア)


 ◎イカダについて

【作成と依頼】

 プカルパの町においての話だが、アマゾン川イカダ下りのスタート地点とする人が多いポイントということもあり、自力でイカダ作らなくても職人のオッちゃんに作成を依頼するということも可能であった。その他イカダ下りの有名どころとしてプカルパより上流に位置するアタラヤや、植村直己がイカダ下り出発地としたユリマグアスといった町がある。

 プカルパの場合、町の対岸側へ渡し舟で渡った場所に居住用のイカダハウスが多数並んでおり、そこで聞き込みしていればイカダ作ってくれる人を探し出すことはそれほど難しくないと思われる。

 私の場合は職人のオッちゃん監修の元に自力でイカダを組み上げたワケだが、自己満足という点の他にも自分でイカダを組むことによるメリットはある。

 それは「イカダの強度を気の済むまで強くできる」という点で、イカダが沈没する主要原因が「障害物との衝突」である以上、この利点は非常に大きい。

 1つ言っておくと、イカダを作成した私も久保さんも建築に関して素人であり、日本で遊びで作ったDIYの経験とネットで得た知識をベースにしてイカダは作られている。イカダの小屋部分程度ならばそこは大した問題ではなく、誰でもやる気の問題で作りきることが出来ると私は思う。職人のオッちゃんにお願いしたのは主に材料を調達するための探索と材木屋との交渉による部分。

 問題なのはイカダを高い強度にすると比例して必要資金が上がる関係にあるため、イカダ各部位の相場が分からないからといって製作を丸投げすると、彼らが利益を増やすため強度を犠牲に安く作り上げようとするのが容易に想像できる点。所謂「手抜き工事」というヤツだ。

 土台部分についてはよっぽど適当でもない限り、チャチに作ったところで完全に崩壊するとは考えづらいが、建物部分に対しては費やした手間と資材で明らかに差が出るのであり、ここを如何に心血注いだかがそのままイカダ下りの成功率を左右すると私は考える。


【必要資材】

 5×5mの土台を作成するのに当たってトーパと呼ばれる木を計19本並べることになった。そこから格子状に2段目、3段目と別種の木を敷き詰めている。これらをどの間隔で敷き詰めるかで床の強度が変わってくるが、この部分が崩れてはお話にならないということもあり合計200m分のロープでトーパと一緒にガチガチ固定した。最上段の床板にする木は材木屋で平板100枚を購入して丁度の量であった。

 小屋部分は縦横が4×4mで高さは最高地点が220cm、入口及び左右の端を150cmとした。これに基礎部分と柱、屋根にそれぞれ角材を購入して活用している。この他に壁部分はベニヤ板、屋根部分にはトタンを張ることで作成した。

 イカダを係留するためのロープは右側が余長10m、左側に30m分のロープを取り付けていた。この他に屋根の水をバケツに流すため塩ビパイプを左右にそれぞれ4m。

 更に15mの細い紐、50m分のゴム紐、各種類の釘、ワイヤー、ハンマー、ノコギリ、マチェテ(現地の鉈)、鉄線鋏、防水シート、テープ、なんかは必要資機材として購入した。

 イカダ全体の重量は2~3t程度になったと予想しているが、これに関しては実際計ったわけでないので「そうだと思う」以上のことが言えないけど。


【資金】

 単純にイカダ作成で使った費用を箇条書きで記すと

<イカダの土台>

・トーパ(丸太)12本  100ソル

・床板100枚      100ソル

・角材20本        70ソル

・ボートチャーター合計  348ソル

・釘(各種合計で)     13.5ソル

・ロープ約250m    200ソル

<小屋部分>

・角材          262ソル

・トタン板        222ソル

・ベニヤ板        115ソル

・網戸           68ソル

・塩ビパイプ15m     7.5ソル

・傘釘          10.5ソル   で合計1516.5ソルとなる。


 これにアドバイザーのオッちゃんへ支払いで600ソルを出しており、総額は2116.5ソルであった。日本円に換算すると約7万円だ。これ以外にイカダ作成や修理に活用する必要資機材の他にも、生活用品や調理器具も必要だと言えるがこれは割愛。

 とりあえずイカダを作って漕ぎ出すまでに、我々の作成したイカダで1人頭1000ソル(約33000円)ほどの費用が捻出されている。これを高いと思うか否かは個人の自由だが、2ヶ月近くをこのイカダで生活したのだと考えると、なかなかお安く済ますことができたと言えないかな?

 なおこのデータは毎晩ビール飲みながら収支決算を付けてデータに残していたものであり、事細かに帳簿付けてるとこういうまとめで役に立つということがよくわかる。


【強度】

 イカダはその形態から「土台」と「小屋」との2つに大別することが可能であり、十分な浮力を有しているならば土台に関しては必要以上に強力な補強作業をする必要はない。そうでなくとも木を4層に重ねて敷き詰め、各層ごと十分な固定処置を行っている土台はそう簡単にバラバラになることはない。

 つまりイカダの強度とは小屋の強度こそが重要で、この小屋とは細かく「柱」「壁」「屋根」部分に分けることができる。

 柱に関しては太い角材を使用し各柱毎の間隔を狭めればそれだけ強度が増すので予算と要相談として、壁と屋根においては主に使用する素材が重要になると言える。

 壁に関しては私の場合ベニヤ板を活用してこしらえたのだが、これは耐久力としては非常に低いと言わざるをえない。イカダ下り始めて1ヶ月も経過した頃にはカビる部分ありフヤけてしまう部分ありと、かなりガタが来ていた。それでも単純に壁として使うだけなら問題ないが、ベニヤ板というのは障害物に対する防御力は皆無に近いため、ちょっとした立木などにぶち当たると簡単に突き破られてしまう代物で、これは建物内にいる人間にも危険が及ぶことになるため考えモノではある。

 この壁に対して強度を求めるならば、床板などに使用していた平板を重ね合わせるという方法が考えられるのであり、手間と金銭を度外視するならばこちらの方が良いだろう。実際、アマゾン川に浮かぶ多くのイカダハウスは平板を重ねて壁面としている家屋が一般的であった。

 これとは別に屋根。イカダで下る場合によく使われるのがトタン以外にバナナの葉を敷き詰めたモノである。もちろん単純な強度で言ったらトタンの方が強いし、水を吸うこともないためバケツに水を落としやすく、劣化しないのでメンテナンスに気を使う必要もない。

 だがバナナの葉に関しても通気性の良さと何より修繕が簡単に行えるという利点がある。イカダ航行してるとトラブルでダメージを受ける箇所は、圧倒的に屋根の張り出している部分なのであり、こうしたポイントを気軽に交換できるバナナの葉というのが悪い選択肢とは思わない。個人的には水の消費量が増える多人数ならトタン屋根がいいかと思う。

 何れのパーツも予備を携行して何かトラブルがあった際に修理・交換が可能なよう最初に準備しておいた。最初から「どこか壊れるだろう」くらいの気持ちでいたのだが、小屋部分は冗談でなく修理による修理を繰り返しツギハギだらけで歴戦の戦士みたいな状態でレティシアへと到着したと言える。


【水没対策】

 というわけで最初からイカダが水没する可能性は考慮に入れており、こうした場合における対策として救命胴衣と防水バッグをそれぞれ準備しておき、パスポート等の貴重品や電子機器を入れて入口付近に設置していた。

 これで最悪沈没した場合は「イカダから脱出する際ついでにバッグを持って逃げ出せるように」という話し合いがなされていたのだが、幸か不幸かこの防水バッグや救命胴衣が活躍することはなかった。

 その他にソーラーパネル等の屋外で使用する電子機器には手を滑らした時の保険として落下防止の紐とカラビナを付けたりしてたのだが何のことはない、充電用品のモバイルバッテリーの方を滑らせ落としてしまいロストしたのは私です。その他にはパスタを挟むトングも洗濯中に落としたりしている。なおアマゾン川は水中透明度が完全に0なうえ、流れも水深もそこそこあるため水中で一瞬でも手を離したら見つけることはまず不可能である。

 イカダ小屋の周囲には2重のゴム紐を張り巡らせており、雨避けカバーのバタつき防止に活用したり、衣類を固定することで風に飛ばされないようしていた。このゴム紐は風が強い場合に長モノを固定するとか実に様々な場面で活躍しており、当初予定とは随分違う使い方になった。やっぱりロープ関係というのは予備を持ってて損はない。



 ◎川下りについて

【基本情報】

 世界最大の流量を誇るアマゾン川はプカルパの町から河口まで4000kmを超える距離で伸びており、川沿いにはプカルパから約1000km地点にイキトス、約1500kmでレティシア、約3000kmでマナウス、4000km超を流れた河口にベレンといった都市が点在している。

 ブラジルを流れているイメージが強いが、アマゾン川はコロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビアといった南米の多様な国に広がっており、今回私が川下りをしたポイントもペルーを流れるアマゾン川である。

 イカダ下りは一部の旅行者に人気があり、プカルパからも年に数組のイカダーが似たようなルートを川下りしてるらしい。イカダ下りそれ自体ではアタラヤ~プカルパのコースが有名だが、こちらは僅か数日で川下り終了してしまうため私的に「イカダ体験コース」みたいなイメージが強い。

 ブラジル領に入ると間もなく軍隊の検問があり、2018年現在でイカダがそこを通過できるのかは不明。なお私がネットで調べた限りでは、近年そのポイントを通過したレポートを出してるイカダーは見当たらない。


【川の特徴】

 大まかに分けるとプカルパからイキトスの町まで川は北北西へと伸びており、イキトスを超えると東へ向きを変えることになる。

 イキトスまでは無数のUターンカーブを繰り返しながら進む関係で、カーブの内側・外側に2本の水路が通じているパターンが多い。こうしたカーブは内側の方が水流安定しており、またショートカットにもなるため積極的に狙って入ろうとしていた。もっとも水の流れ的にイカダは外へ外へと流されるので侵入するのは簡単ではない。

 このテの180度カーブは外側の水流が非常に緩やかであるため、放っておくと外岸に寄せられ全く前進しないどころか渦巻いて後退してしまう場合もあり、まぁどうやっても最後は外側に膨れるのだが何とかカーブの内側にイカダを寄せてスムーズに航行したい・・・というのが常に頭の中にあった。3人でオールを漕ぐ程度じゃイカダの推進力は川の流れに負けてしまうので。

 イキトス以後は川幅が広がり鋭角なカーブが減ることもあって、一度川の中央に入ってしまえば長時間安定したまま流すことが易しくなる。ただし反対の岸まで1kmとかザラにあるため、余裕持った着岸を計画してないと日が暮れても着岸の目処が立たずに川中央で途方に暮れてしまいかねない。特に中州へ着岸しようとしたものの、地図の情報と異なり中州の位置がズレている、若しくは中州そのものが無い・・・という可能性があるため、常に着岸失敗した時のリカバリ案を考えておくのが良いと思う。

 なおアマゾン川は基本的に護岸からもう足がつかない水深となるポイントが多く、着岸させるにしても水中に杭を打って係留するというのは難しい。とはいえ遠浅の草地だったりするとイカダを係留できそうな支持物が存在しないため、杭は無くてはならない重要アイテムだが。

 イカダが流れる平均的な速度は5~8km/h程度で人が歩いてるよりやや速いくらいだが、急流ポイントではこの倍くらいの速度になることもある。だが、イカダを寄せられるか否かは水面の荒れ具合や風によるところの影響が大きく、こうした条件が良いと速い流れであってもイカダの着岸移動は案外アッサリできることもある。当然だがその逆のパターンもあるけれど。


【気候】

 熱帯雨林気候であるアマゾンは、高温多湿で短時間に大量の雨が降るスコールが多いのが特徴といえる。しかし夜中は気温も下がり寝苦しいというようなことはないし、下手すると肌寒さ覚えるくらい気温も下がる。

 季節についてだが、私の場合は雨季の始まりという時期からスタートしたのだが、アマゾン川の水量は雨季・乾季によって大きく変動するとのことで、乾季だと川幅が狭くなり全体的に進行スピードが遅くなるといったことを聞かされた。これが雨季の場合、川の水量が増えたことで地上部分の木が水中に浸かり水面から飛び出してしまう。このためイカダが壊れる原因となる障害物との衝突危険が増える。どちらの季節が航行に適しているのかは判断つかない。

 とりあえず暑さに関してはそれほど心配しなくとも常に周囲の川に飛び込むことで涼を得ることが可能なため心配することはない。それより注意すべきはスコールに伴う強風で、場合によっては白波が立ちオールでは全く動かすことが不可能な状況となってしまうため、強風の危険を感じた場合は着岸させるなどして安全を確保させるか、いっそ障害物に衝突する危険のない川の中央にいる方が良い。


【危険】

 最終的にイカダにおける危険な点とは「人」と「沈没」の2大要素に区分できる。前者に関しては動力を持たないイカダで悪意のある人間がボートに乗ってやってきた時点でどうしようもないことが言えるのだが、それでもまぁ多少なりともスペイン語をできるか否かでずいぶん違ってくるとは思う。少なくとも好奇心満載でイカダにやって来るペルー人は大勢いるため、何かしら最低限コミュニケーションが取れる方が良いのは間違いない。これはイカダを目標地点に着岸させたいけど岸まで寄せきれず流されてしまった際、ボートに助けを求めるということが割と発生するためという面もある。

 もう1つの沈没案件だが、基本的に夜間航行というリスクの大きいことをせず、イカダ内部からでも常に外の様子を確認できる体制が整っていれば危険な状況に陥る可能性はグッと少なくなる。実は水面の状況だけを言うなら夜の方が安定している印象なのだが、夜でも結構な数の貨物船等が航行しているアマゾン川では船に衝突する危険性もそこそこ高いと思われる。イカダやる人ならば時間的な切迫は無視して良いと思われるので、距離を稼ぎたいという理由で夜間航行はやめておく方が無難。ライトや見張りを付けて対策しても、船の方がイカダを見つけ避けてくれないと意味ないところがあるし。

 その他に流れが速くて強い風が吹いてる時は無理して流すことをせず係留しておく、スコールが寄ってきそうな場合は着岸させてやり過ごす・・・と言った事前の回避策を確立させておくことが重要で、危険な立木の多い急流護岸地帯に入り込んでしまったら人の力で危機を乗り越えられるかは「運次第」と言えるほどオールパワーではイカダをコントロールできない。

 個人的にはペルー人が普通に使ってるボートパワーを「100」とするなら、私たちのイカダにおける3人体制でオールを漕いだパワーは精々「5」程度であったと思っている。

 やはり経験により危険を事前に察知し回避できるようになるというのは間違いないところで、合計3度の大衝突の他にも2回ほどベニヤ板を破られるような衝突をしている我々だが、これらはいずれも前半戦で発生しており、徐々に危険な状況を感知して事前回避ができるようになってきたのだと思われる。


【補給】

 荷物の搬送量ということなら1ヶ月分の食料を積み込んでもなんら問題にはならないイカダだが、上記の通り高温多湿の環境であるため生鮮食品の足が速い。ジャガイモですら10日を超えると痛み始めたし、私がお腹を下した原因は長期保存していたレモンを絞ったことだと思われる。柑橘類が腐るってヤバくない?

 スタート地点からは塩漬け肉も持って行ったのだが、僅か5日目にはヤバそうな臭いを放っていたりと食料を保存するのに最も不向きな土地であると思う。釣った魚を干物にしようと吊り下げ用のネットも活用したが、あまり良い実績を上げたとは言い難い。特にエイの干物は1日でシャレにならないアンモニア臭を放つようになってしまい、釣りエサにすることすらできず処分してたりする。

 しかし現代のアマゾン川においては、小さな村でも流通がしっかり機能しているため、野菜を含む大抵の食材は簡単に確保することが可能だ。イカダですら丸1日航行すれば最低でも3つや4つ位は村を通過するのであり、自炊が可能な環境で現金を確保しておけば、飢えるという可能性はほぼ考えなくて良い。言い換えるとその程度すらきちんと準備できないような人はイカダ下りをすべきではない。

 その他にたんぱく質の確保として釣りをするという方法がある。私は釣りに関して完全素人だがそんな私でも竿も使わずライン(糸)と小麦粉を練り合わせたエサで簡単に釣り上げることが可能なアマゾン川は、とりあえず釣り用品を準備しといて損はない。ただしナマズ以外の魚を釣るならばそれなりに下調べや経験・知識を有している方が良い。

 余談だがアマゾン川で釣れるナマズは頭部にやたら硬い骨があり、その特徴的な形も相まって一般的な魚を捌くのとはやや手順等が異なる。ソテーや揚げ物で食すことが多かったが、臭みもなくて美味である。

 なお水に関してはスコールで屋根から落ちる水を雨どい通してバケツに貯める方式を採用し、小屋内のバケツと合わせて120ℓ(40ℓバケツ×3)分の水と、これとは別に予備として購入した20ℓで総計140ℓを確保していた。毎朝のコーヒーから始まり午前午後に麻雀で毎回紅茶淹れるわ筋トレ後にはプロテイン飲んでるわで消費量激しかったと思われるが、水が枯渇して困るということはほぼなかった。1週間ほど雨が降らないと困窮する計算だが、この時期のアマゾンでそういった心配は必要ない。


【病気等】

 前提としてデング熱やマラリアの感染危険がある地域であるため、極力蚊に刺されないようにしたい。そうは言っても刺されまくるのは避けられないのだが、こうした病気を事前に調べて似たような症状が発生した場合にどうのように対処するか、といったことをある程度決めておくことは大切だと思う。我々の場合は最悪、病院へ行かなくては危険な状態だった場合、イカダを捨てて近くのボートに助けを求める打ち合わせはしていた。

 その他とりあえず各種の内服薬から傷薬まで、まぁ一通りは購入して最低限の対処はできるように備えていた。特に蚊に刺されたことを考えかゆみ止めやアルコール液は途中で買い足したりするほど大量に使用した。あと重要だったところで経口補水液。南米の薬局ではこれが粉末で販売されており、食あたりになった際の脱水状態で大変役に立った。通常の旅行でも1つあると安心アイテムだなこれ。

 あと普通に泳いでいると問題ないアマゾン川だが、川底の泥に足をつけて活動してると何故か足の皮が剥ける。最初は水虫か!?と驚いたが、指の股だけでなく足の裏とかも皮がめくれて別物だと気付いた。菌でも入るのだろうか?最初はかなりの痛みを伴うので軟膏を準備しておく方が良い。

 存外ピラニアは出てこないアマゾン川だが、それでも切り傷作った場合はきちんと処理していた。これは単純にアマゾン川の水が綺麗に見えないから雑菌とか入ってくるのでないかと心配したため。町の生活排水とか全く処理しないで垂れ流しであるため、まぁどう考えても綺麗な水ではないのだがアマゾン川はその水量の豊富さから、多少の汚れは薄まってしまう関係で存外平気なのだと聞くが・・・そんなの分かったもんじゃないし。そういや川の水を飲むことは1度もしなかった。最初に川の水でラーメン食べたけど。


【生き物】

 アマゾン川にはピラニアを始めとした肉食の水中生物が棲んでいるわけだが、こうした生き物はそれほど危険ではない。ナマズの仲間でアンモニアの臭いを嗅ぎ付け直腸などの穴から体内に侵入し内側から食い破る奴がいるらしく、川の中で用を足すことはしないよう努めていたが、普通に川の中で泳ぎまくっていたもんね。

 なおピラニアは流れのない場所に生息するらしく、本流を流されていると出てくることは滅多にない。すなわちピラニア釣りたいのならば大きなエディ(水の淀み)や流れのない支流などに入り込む必要があるのだが、イカダでそうした場所に入り込むにはオール使って多大な労力を要することとなる。

 そうした魚類よりもいつの間にかイカダに入り込む蟻や蜘蛛といった昆虫の方が困りもので、特に蜘蛛は危険な毒を持ってそうなタランチュラを何度も見かけており、土台の隙間とか見えない場所に手を突っ込んだりするのは躊躇われる。蟻に関してはとにかく数が多いのが大問題で、いろいろな種類がいるが、人の肌を噛むと猛烈に腫れる種がいたりと厄介。しかもペルーにはスプレー式の殺虫剤しか取り扱いがないため奴らの殲滅を図ることは非常に難しい。というか諦めてどうにか同居していた。

 その他に日中だと虻、日が沈み始めると蚊が大量に出てくる。特に虻は外でオールを漕いでると、コチラから見えない場所に張り付いて血を吸うという悪行甚だしく、黄昏時さえ避ければそれほど猛威を振るわない蚊よりも厄介な存在として最初から最後まで嫌らしく邪魔してきた。なお、網戸に張り付くと何故か逃げ足が極端に鈍る傾向があり、ハエ叩きなんぞ使わなくても指で摘んで殺してた。

 あと夜の草地では小さな虫が光源に寄り集まってくるのだが、これはイカダの隙間から幾らでも侵入してくるという状態なので、対処のしようがない。まぁウザい以上の問題はないけども、ウザいというのは時に他の何よりも深刻な問題となるし。とにかく蚊帳を使って早々に逃げ込んでしまえば流石にそれ以上悪さはしない。そして翌朝になるとひどい時で数千匹単位の死骸を掃き掃除することになるため、こうした掃除用具をちゃんと準備しておかないと泣きを見る。

 あまりに生物の文句ばかり繰り返したので1つくらいアマゾンの生き物で良かったこと言っておくと、アマゾン川に生息する2種類のイルカは簡単に見ることができますよ。イルカと出会うアマゾンツアーなんてイカダやってりゃ必要ないね。


【まとめ】

 他に例を見ない特殊な旅行形態であるイカダ下り。面白いのは体力的な側面をほとんど必要としないという点で、イカダ下りに必要な能力は自転車旅行以上に精神力であるといえよう。もっとも個人的にはアマゾン川を移動する主要手段であるハンモック船なんぞより、気心知れた仲間と気楽に移動できるイカダの方がよほど気楽であるという気もする。

 1からイカダを完全手作りするかはプカルパ到着するまでハッキリしていなかったが、より「楽しさ」を求めるのであれば間違いなく自分で作る方が良い。何より自らの作ったイカダで流れるというのはその責任を全て自分自身で負うこととなるため、川下りするのにグンと張り合いができて気持ちが違う。

 とにかく長い期間を他人と全く離れずに過ごすことになるため、ストレス耐性こそが重要だと私は思う。色々と違う考え方や行動スタイルをどこまで譲歩してどこまで突き通すのか。普段1人で自由に旅行している身だからこそ気にしたことのない点が、イカダという閉鎖空間では常に考える必要に迫られる。じゃあ1人でイカダ下りすればいいじゃないか!といえば確かにそうなのだが、それはそれで防犯上の問題を始めとして全く異なった旅行形態であるといえよう。少なくとも有り余る時間を1人で過ごすというのは別の意味でキツい。なんか宇宙飛行士の適正みたいな話になってきたな。

 ともあれ歩くのと変わらない速度でアマゾンの自然の中を移動していくというのは、遅ければ遅いほど楽しさが増す旅行において最高に贅沢な手段の乗り物であるといえる。アマゾン川をイカダで下る旅行者が増えることを望みつつ。

    mixiチェック


 2018年7月25日~9月12日
 走行日数50日間
 累計走行距離1666km(84721km~86387km)

◎道路
 チャコ地方を除く主要道は自転車でも安心できるレベルの側道が作られているのだが、定期的に速度殺しの段差があるのが玉にキズ。木々の影で道路の凸凹が見えにくくなってる場所も多く、下手に速度出してると転倒しかけることもあるため注意が必要。
 全体的に標高の低い国だが東部を中心に斜度の厳しいアップダウンが多いので走行自体はなかなか大変。シウダーデルエステ~アスンシオン間の場合、ちょうど東西の中間地点あたりから坂道がなくなり平坦基調になる。
 チャコ地方を含めてもかなりの場所で路面状況は整備が行き届いている印象で、むしろアスンシオンの町中など交通量が多い場所の方がよっぽどズタボロ。
 チャコ地方は散々脅かされて覚悟持って臨んだのだが、主要道路に関してはほとんど舗装されており現在も精力的に道路工事がなされていることから全面舗装になるのもそう遠くない時期だと思われる。もはや現状この地域における敵は路面状況などではなく暑さだ。

◎治安
 大変よろしい。南米の首都は大抵治安が悪いのだが、パラグアイはアスンシオンでも1人で歩き回って危険を感じたりしない程。もちろん夜中に歩き回ったりとかは別だろうけど。
 個人的にはアスンシオンより東部シウダーデルエステの方が嫌な雰囲気を感じた。この電気店街は16時に営業終了するといきなり人通りが途絶えて危険度を増すので、買い物行く場合は午前中から訪れるのが吉。
 他の町に関しては通常程度の防犯意識を持ってればまず大丈夫だと思う。南米の治安優等生って感じ。

◎ビザ・出入国
 基本的にザル。国土面積的に90日あればほぼ全ての場所を回っても十分時間足りるし、イグアスの滝を見に数日間で出入りとかしたけど(新しいスタンプなしのパスポートで)何も言われなかった。
 あと日本人はある程度料金支払えばパラグアイの永住権が取得できる。海外における最も簡単に永住権取得して移住できる国であり、私もこの国旅行してる最中に永住権取得して移住してきたばかりの人に会った。

◎交通事情
 パラグアイのドライバーは基本クラクション鳴らしません。アスンシオンだと時たまあるかな・・・という程度。もちろんこれが運転マナーそれ自体の質とは関係ないワケだが、それだけでもなんか印象良い気がする不思議。
 町中における危険車両である3輪タクシーとかほとんどおらず、信号もキッチリ守るので首都のアスンシオンでも自転車を使って頻繁に出かけていた。思い出してみてもパラグアイで車両に対して腹を立てたことはほとんど記憶にないのであり、道路事情も相まって自転車で走りやすい国だと思う。

◎特徴
 1、日本人居住区が合計7か所ある。全て東部のパラグアイ主要地域に存在しており、ブラジルやボリビアといった国より訪問するのが容易。私が訪れたところではピラポ・イグアス・コルメナの3か所には資料館等があるため色々と当時の活動を見聞きすることが可能である。
 またイグアス・コルメナの居住地には日系人の方が営業している宿もあるし、大抵の場所には農協があるため日本食材店よりも安価で日本食材を買い揃えることが可能。納豆が普通に購入できることに感動した。
 2、シウダー デル エステの町が免税の町として有名。だがこれは正規の免税街ではなく、パラグアイの人たちが勝手にやってるアングラな売買なので何かと問題も多い。私がそうだったワケだが、こうした下地があるため小さな個人商店などで商品を購入する場合、領収書の金額確認から中身の確認までキッチリ確認することが大切。何処で騙されるか分からないのであり、こうしたフェイクに対して自己解決できる気合いがないのであれば大型店舗に行った方が無難。

◎気候
 大陸性気候というのを存分に感じたパラグアイ。8~9月とまだ冬を過ぎたばかりの時期だが、晴天が続くと35度を超えてくる気温になる一方で、悪天候では最高気温が10度を下回る日もあった。
 1度雨が降り始めると2~3日天気悪い日が継続することが多く、宿に長逗留することになった原因の1つがコレ。ただしスコールというよりは弱い雨が長時間降り続ける事の方が多かったので、短距離ならばタイミング見計らって走るのもアリだとは思う。
 基本的に日光が強いことでの暑さであるため、日陰に入ると驚くほど過ごしやすかったりする。なので夜中は思ってるより冷え込むことが多い。チャコ地方では流石に寝袋使うほど寒くはならなかったけど。

◎言語
 スペイン語だけでなく先住民族が使っていたグアラニー語も幅広く使われている。特に田舎の方に行くとグアラニー語の方が使用頻度高くなる傾向があり、実際パラグアイの公用語はこのスペイン語とグアラニー語の2つが指定されている。
 あとチャコ地方にはドイツ移民が多い関係でドイツ語も使われてた。もちろん私は何言ってるのか分からないためドイツ語を(多分)使っていた・・・という表現が正しいのだが。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 ペルー・ボリビアと同程度に安いだろうと思い込んでると痛い目を見る。都市部のホステルはお安いが、小規模都市における一般的なホテルは結構良い料金なので気軽に使えるほどではない。
 とはいえパラグアイの主要ルートであるアスンシオン~シウダーデルエステ間には有名日本人宿がたくさんあるため特にこだわりなければこうした宿を使えば良いと思う。設備良くて料金も周辺宿より安いですよ。
 都市部ではストレスない速度でWi-Fi使えたが、田舎地域ではそれなり程度しか速度出ないため人によってはやきもきするかも。あと南米の南部3カ国で非常によく利用していたガソスタWi-Fiだが、パラグアイではこれがほぼ全滅しており宿以外のWi-Fiを見つけることが非常に難しくなってしまったと思う。
 私が町中で使ったWi-Fiは公園内のFreeWi-Fiやカフェくらいで、野宿を主体とすると結構大変かもしれない。まぁチャコ地方ですらネット使えたことを思うと、週1~2回使う程度ならそれほど困窮しない。そうでなければSIMカードをどうぞ。広告見たら100Mで約20円とか無茶苦茶安くて驚いた記憶がある。

◎犬
 現地の人からは「パラグアイの犬は凶暴だから十分気をつけて」とか言われたが、個人的には南米の中でもかなり大人しい方だと感じる。そういえばパラグアイでは最後まで犬叩き棒を使ってぶん殴るということがなかったのであり、運もあるかもだがやはり襲われる回数自体が少なかったことが一因としてあるかと。

◎自転車店
 エンカルナシオン・シウダーデルエステ・アスンシオンの3都市周辺には先進的なショップがあった。アスンシオンでは色々とパーツ交換もお願いしたが、見学してる私に対し説明をしてくれながら作業してくれたりと非常に親切だった。店員の腕も良かったと思われる。
 ただし自国生産のパーツとかは無いため基本的に値段割高と思っておいた方が良い。それでもアルゼンチンやチリより関税低いことを考えると安いと思うけど、基本的に南米諸国でSHIMANO製品はコロンビアを除いてどこも似たり寄ったりの料金だと思う。

◎物価・食事
 これは安くなった。特に食関連の値段が下がり、普通に食堂使っても「まぁいいか」と思えるレベルまで物価下がったのは嬉しい。パラグアイも畜産が盛んなためか肉関連が非常に安く購入可能。お店と部位によってかなり値段にバラつきあるため一概には言えないが、100グラム20~30円の肉とかゴロゴロある。
 また国全体的に電化製品の値段が安い。無理してシウダー デル エステ行かなくともエンカルナシオンやアスンシオンでも南米他国と比較すると良心的な値段でそうした商品を購入することが可能。
 そしてビールの値段安いのが非常に嬉しい。自国製ビールだと350ml缶で60円弱。他国産ビールはバラつきがあるのだが、ときどきパラグアイ産ビールよりお安いタイプもあったりする。暑い国なので平気で1ダースとか購入してたけど500円しないとか素晴らしい国でした。
 レストランは安い場所で1食250円くらい。ただし大抵の場合は飲み物別で注文する必要がある。
 割とスーパーの文化圏であり市場は大きな町にしか存在せず、そちらの物価はイマイチ把握していない。それよりもチェーン店ではない一般スーパーには運が良いと「だしの素」が販売されてたりする。日経食材店も多い国だが、個人的にこれがパラグアイの販売商品で最も印象に残ってる。次点はアスンシオンのスーパーでコーヒー豆が量り売りされてたことかな。

◎総括
 位置的に南米の心臓と(主にパラグアイ人が)評するパラグアイだが、西部からのアクセスが悪かったり目立つ観光業が無いためイマイチ訪れにくい国でもあり、自転車のみならず旅行者の少なかったパラグアイ。
 だが私はこの国に来て本当に楽しかったと思っている。特に入国当初に縁あってお世話になった日系の方とお会いすることができ、それがキッカケで幾つかの日本人入植地も回ったりしたのだが、何処も非常に興味深い話を聞かせてもらえることができた。
 んで日本人じゃなくてパラグアイに住む現地の人たちなワケだが、特にパラグアイでは彼らの良さを感じることが多かった。私が南米のノリに慣れてしまってチョットのことじゃ腹立たなくなっただけかと思ったけれど、おそらくパラグアイの人たちは緩やかで親切な傾向があるのだと思う。
 そんな感じなので滞在していることが実に楽しかった国だ。自転車で走る分にも良い国だと思うのだが、山なし国でありながら東部はキツい斜度のアップダウンが連続するためやや大変だったけど。暑い中走って夕日を眺めつつ冷えたビールを飲むというのがこの国における正しい自転車旅行スタイルだというのは間違い無いと思う。
    mixiチェック

 2017年12月16日~2018年1月28日  2月16日~3月1日  4月1日~4月12日  4月20日~5月3日  5月6日~6月26日 7月14日~7月25日
 走行日数147日間
 累計走行距離7890km(1回目1506km・2回目1018km・3回目641km・4回目517km・5回目3456km・6回目752km)
 (71925km~73421km・74698km~75716km・77165km~77806km・78316km~79018km・79268km~82724km・83969km~84721km)


◎道路
 この国には側道がない・・・というのは言い過ぎだが、アルゼンチンの道路で側道を走れるような場所は町中のみと言えるほど。普通逆だろうと文句の1つも言いたくなる。なお道路に側道が存在しないということではなく、側道部分は舗装されていない砂利道が広がっているという場合がほとんど。何に使ってるのかと思ったら、重機なんかが走る時にこのスペース使っていた。稀に側道が作られてても車両がそこを走らないようにか100mくらいの間隔でトーペみたいな突起が作られており、毎回それを避けるのが大変。
 路面自体はチリより若干落ちるがかなりの僻地でも目の細かい走りやすいアスファルトで舗装されており、フエゴ島ですら主要道路は完全舗装されているという力の入れようである。
 パタゴニア地域では町と町との距離が長くなるのだが、ガードレールが設置されてる場所の下には大抵用水路なのかトンネルが設置されており、昼食休憩や場合によっては野営地としても使いやすい。
 やたらと検問が多い印象で、州境やある程度の規模の町の入口付近ではよく警察が陣取っている。取り調べる車両は適当に決めてるようで、自転車でも2回ほどパスポートチェックや行き先を聞かれたことがある。

◎治安
 ブエノスアイレスの悪評でやたら治安の悪いイメージがあるアルゼンチンだが。大きな町はともかくとして、この国全体の治安は大都市でなければ悪くないと思う。何というか空気感が緩やかだといえば良いのか、夜の公園とかでも子供が普通に遊びまわってたりランニングしてるおねーさんがいたり。ただし人口10万人を超えるような町になると防犯レベルも上がり1人では歩きたくないような路地も増えるし、明らかにスラムっぽい地区が見受けられたりする。ロサリオの町とかも「夜中1人では出歩くな」と再三注意を受けた。
 なお私は首都であるところのブエノスアイレスを避けるように走行したのだが、これも一重に「ブエノスなんかに行ったら殺されるぞ!」と最終的に30人以上のアルゼンチン人から忠告を受けたためである。彼らは例外なく「あそこは危ないぞ、行かないほうが良い」と言うのだが、自分の国の首都をそこまで危険視するってどうなのよ?と思わないワケではない。
 あとブエノス以外だとメンドーサの町北部が複数の人から「あそこはすげー危険だぞ」と再三注意を受けた。実際メンドーサの町北部郊外で暴行を受けた邦人自転車旅行者の事案がここ5年でも2~3例あり、かなり危険度が高いことを思わせる。

◎ビザ・出入国
 ザルの一言。隣国チリからの出入りすると、チリがやったらめったら厳しかったことばかりが思い出されるほどアルゼンチンの出入国は気軽にできる。でもまぁアルゼンチン自体はチリとは領土問題で敵対関係にあり、決して緩やかな間柄ではないのだそうだ。実際、チリ国境に隣接したキャンプ場では宿泊の際に「ここは国境付近で危険な地区だから十分注意するように」と言った話をされた。個人的には同一建物内に2カ国のイミグレーションが入ってたりと仲良さそうな印象を受けたが。
 あろウルグアイへ出国する時には出国スタンプを押されなかった。不安なので確認したが「これで大丈夫だ」と言われたので、コロン~パイサンドゥの国境はそういうスタイルなのかもしれない。
 ちなみに滞在期間は90日まで。何度出入国しても全然問題としないあたり、この国ではビザランによる長期滞在ということを気にかけていないのだと思われる。

◎交通事情
 クラクションを鳴らす国ではないのだが、私はアルゼンチンドライバーの印象は良くない。というのもこの国ではひたすら地平線へと続く道を走り続けることになるのだが、自転車を追い越す時に対向車がいようが全く関係なしで減速しないアホドライバーが多いから。
 性格悪いヤツだと自転車をはじき飛ばすつもりなのかスレスレを100km/hとかで爆走するわ、完全に「邪魔だからどけ」の意味でクラクション連発してくる気がフレてるとしか思えない輩も多い。これが問題なのはアルゼンチンには側道がないということ。下手すりゃ大クラッシュしても不思議はない。とりあえずアルゼンチンは町中はともかく郊外において完全な車優先社会であるため慎重な走行が求められる。
 本当に町中だと自転車用道路が作られてたり広い側道が整備されたりと安全だし、何より交差点でも車両が止まって「先に通りなよ」と譲ってくれることが非常に多い。何故これが郊外に出るとクレイジードライバーへと急変してしまうのか理解できん。

◎特徴
 1、チリとは比較にならないシエスタ(昼寝)の制度が強い国である。超大都市を除いてそれなりの規模の町でも午後になるとお店が一斉に閉まってしまい、17時、場合によっては19時とかまでシャッター開けない店もあった。
 これに加えて日曜日を完全休養日としているキリスト教圏の国なので、かなりの確率で土曜の午後から月曜日までは一切営業しない店がある。このため西部の人口希薄地帯やパタゴニアを走る場合は曜日を計算して走行しないと泣きを見る可能性が強い。
 ちょっとした規模の町でも大型スーパーが普通にシエスタで休んでいたりするのであり、この制度が現代に合わないとして廃止の方向に進んでいるとかそういうのは、人口5万を超える都市だけの話と思ってもらいたい。田舎じゃ昼過ぎに外を出歩く人が全くいなくなるレベルで徹底されておりますよ。
 かろうじて営業しているのが観光客向けのカフェだとかアイスクリーム屋、あとガソリンスタンドに一部のパン屋とかかな。なお日曜日は個人商店のほとんどが営業してないが、代わりというかエンパナーダというパンを個人販売している家が多いので、手持ち食材がなくてもとりあえず飢えることはないと思う。

 2、アルゼンチン通貨であるアルゼンチンペソの価値が安定していない他、色々と問題がある。数年前まで闇両替が正規レートの数倍の料金で取引されておりウハウハだったのも今は昔。とはいえATMの手数料が下手すると1000円超えてくるこの国では米ドルを両替する利点は未だ大きい。
 しかしそれ以上に驚くのがアルゼンチンペソの為替レートの動きの激しさ。私が最初に入国した時には1ペソ=6.5円だったが、出国前の最終的なレートは1ペソ=4.0円まで落ち込んでいた。これは旅行者的には有り難い話であるが、アルゼンチン国民にしてみれば自国通貨の価値がどんどん下がっていることを示しており、物価のインフレがすごいらしい・・・というかすごかった。入国時には40ペソで購入できたビールは最終的に52ペソと、半年強の期間で3割も物価上がってるじゃねーか。
 一昔前の紙幣は最高額100ペソだったのだが、つい最近になって500ペソや1000ペソ札が作られたとのことで、経済破綻した国々と同じような経路をたどっているのでは・・・と感じる。
 なお貨幣価値は下がっているものの、アルゼンチン政府は今までに2度借入金を踏み倒すという暴挙を行っており「現金は手元にあってこそ」という考えがあるらしい。そのため銀行のATMは現金引き出す人で長蛇の列になっているのが常であり、私が現金引き出そうとしてもATMに「お金が残っていなくて動きません・・・」といった症状が起こりやすい。こうした面倒事を回避するためにも米ドルを持ち込んでおくとお得ではある。闇両替もちょっとだけレートも良いし。

◎気候
 チリと同じく縦に長い国であるため地域によって全然気候が違う。ただ寒いとされるパタゴニアの冬の時期でも何とか自転車走行することはできたため、北半球ほど冬季走行の難易度は高くないことが伺える。フエゴ島も雪が積もるのはウシュアイア近辺の山岳地帯が主で、他はそれほど平坦&強風区域で雪に悩まされる地形でないし。
 夏の時期における北部の暑さは相当なもので、サルタの町では気温計が38℃を指してるのを見て頭クラクラしそうになったことが。というのもそれまで走行していたルートがボリビアの高所4000m地帯のため、夏でも涼しい状況が継続しているのだが、サルタの標高は1000m弱となりそれまでのギャップで相当暑さに苦しめられることとなる。
 ブエノスアイレス州辺りから真冬の時期に突入したが、本格的に寒い時期はかなり短い感じ。少なくともエントレリオス州の7月は全然寒くなかった。まぁこの辺りの緯度は北半球で沖縄とかに該当するので、さもありなんという感じだが。

◎言語
 スペイン語はそうなのだが、結構な割合の人が英語を使うことができる。これは大都市や観光地ではなく普通の田舎町においての実感。割合でいえば2割近くの人が上手い下手は置いといて英語での会話が可能なのでないかとすら思った。要するにこの国では英語オンリーでも他の中南米ほど困る割合は少ない。
 なおボリビアより南部に入ってまた使われてる単語が大きく変化したと感じた。というか重要単語の「お金」くらいはスペイン語圏の国で統一しといてほしいと思わずにはいられない。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 南米全体で考えると割高だが、設備の整い具合云々といった方向で考えるとむしろコスパには優れていると思う。都市部や観光地域のホステルなら1000円以下で朝食付きのホステルを見つけることも可能なレベルで、ネットはかなり満足できる程度に活用できる。動画見るのも余裕程度には。
 それでも基本的にはキャンプ泊を繰り返しており、キャンプ場は大体ホステルの半額程度で宿泊できるし設備の充実っぷりは宿に引けを取らない。というか静かなのでホステルより快適だとすら思ってた。市営の無料や格安のキャンプ場も多いのだが、こういう場所は深夜の4時とかまで大音量の音楽鳴らして大騒ぎする輩がいる傾向強いので要注意。1回何か問題起こして警官と喧嘩しているのを見たこともあり、下手なトラブルに巻き込まれたらたまったもんじゃないと思っていた。一応申しておくと設備が整ってるのは個人経営の方で、市営キャンプ場は「トイレがあれば良し」程度の設備だと思ってもらいたい。
 なおパタゴニア地域だと宿の値段は大体1.5倍程度を見ておけば大丈夫だと思う。
 ガソスタのWi-Fi設置率が優秀なおかげでアルゼンチンではネット環境で困ることは稀である。人口1000人以下っぽい小さな町のガソスタだとWi-Fi無いこともあったけど、全体的な設置率は7割超えてたんじゃないかな。それ以外でも町の中央公園に行けば公共のFreeWi-Fiが飛んでることも多く、かなり充実したネット生活ができた。

◎犬
 もうペルーなんかとは別種の生き物ですよ。お国柄か、飼ってる犬には大型犬が多かったりして「襲ってきたら洒落にならんぞ」とか思ったりもしたけれど、そんな心配する必要がない。
 割と野良犬も多いのだが、どちらの犬からもあまり吠えられた記憶がない。飼い犬には自分のテリトリーに入ったことでかやたらと吠えてくるヤツもいるのだが、そういう犬を飼ってるアルゼンチンのお家はちゃんと庭を柵で囲って犬が出れないような作りをしてる家が半数くらいかな。
 つまり残りの半数は追いかけてはくるのだが、何というかペルーの時みたいな「狂ってる犬感」がないので割と余裕の対処をしていた。なお犬叩き棒の活躍回数は2回ほどである。

◎自転車店
 それなりに立派だしスポーツ自転車人口も一定数いる国ではあるが、ショップのレベルはかなり開きがある。西部はかなりの大都市に行かないと自転車店がないことの方が多い。東部においては割と何処でも見つけられる。サルタでは出発前にチェーンリンクという部品を探してショップを回りに回ったが、5~6店探しても見つからないどころか予約発注することすら断られた。これが隣国チリではどの店にも在庫あったりこともあり、アルゼンチンの自転車ショップはここでかなりイメージが悪化した。ロサリオのショップ店員が非常に親切で色々教えてくれたし、各パーツの消耗度合いなんかも説明して交換時期を示してくれたりと助けられたこともあり、後半このイメージは回復したが。
 なお恐らくはアルゼンチンで普及してるメーカーの部品は非常に安価なので、品質にこだわってないパーツはここで色々買い換えると南米南部では安く済ますことが可能。とりあえずSHIMANOのパーツはどの店でも扱ってるので、基本的な消耗品を見つけるのはそれほど苦労しない。ああ、でもブレーキシュー単品での取り扱いは最後まで見つけられなかったな。
 何度か整備をお願いしたけど親切な店員さんで腕も確かな人もいれば、私の目から見ても「これは酷い」と思える人までいた。まぁそれはどの国でも同じようなモノだと思うけど。とりあえずアルゼンチンでもプロショップでない自転車店に行くことは経験上オススメしない。

◎物価・食事
 アルゼンチンといったら牛肉とワインのイメージだった私。それは間違いではないのだが、この国は全般的に肉が安く、そうした中で牛肉が他国と比較して特に割安感がある・・・というのが正しい。
 南米における牛肉って基本的に「固い」というのが最初に来るのだが、アルゼンチンビーフは日本人好みの牛脂が多くて柔らかい肉を楽しむことができるのであり、いや本当に肉ばっか食べてたなこの国では。
 なおスーパーなどにおいて肉がパック詰めされて販売されてるのは一部の大型スーパーのみで、基本は精肉店(またはスーパー内の精肉コーナー)で欲しい肉の部位と量を伝えると展示されてる牛肉をカットして量り売りしてくれる。このスタイルのおかげでやたらと牛の部位におけるスペイン語を覚えた。
 その他の物価に関してはそれなりに・・・という印象。隣国チリやウルグアイと比べると可愛いモノとは思うけど、やっと探し当てたコーヒー豆が125gで1500円とか言われた日にゃあ本気で購入するのを悩んだぞ私。そんなに良い豆とは思えないんですが。
 基本的に宿泊費は安めの印象で、食関連に関しては外国産品が特に高いというのが私のアルゼンチン評。でも後半の時期は貨幣価値がどんどん下落していき物のインフレが追いつかない状態だったため、どんどん物価が安くなっていくのが有難かった。旅行者的には良いけど、住んでる国民からしたら溜まったものじゃないだろな。
 なおビールは瓶タイプが主流であり、他の国ではあまり見かけない1ℓ瓶をよく見かけた印象。ただこの大瓶さ、お店に瓶を返すことで発生するキックバックの値段がやたらと高くて面倒だったなと思う。場所にもよるけど瓶1本の返金が200円を超えてくるとかどう考えてもオカシくないか?
 
◎総括
 振り返ってみると楽しかったことばかりだったアルゼンチン。その広大な国土の上から下まで相当走り回ったつもりだが、気候や環境が変わってもこの国の陽気で親切な人たちは変わらなかった。自転車を見かけるとぐいぐい声をかけてくるラテンな気質と先進的な気遣いを併せ持つ、南米におけるいいとこ取りをしたようなアルゼンチンは食も充実していたし、走り甲斐がある高い山々や広い世界を感じさせるパンパ、そしてパタゴニアの風と黄金色の土地。なんと魅力的な国だったろうと思わずにはいられない。流石に終盤はもっと他の安全な道を走りたいと思ったけど。
 自転車で走ることにかなりストレスを与えてくる道ではあるが、それでもアルゼンチンは自転車で走ってこその国だった。特にパタゴニアは必死に走り続けても風で煽られ走るの大変、町もないし物価も高い、挙句にクソ寒い冬は日照時間まで短いしさ。そんな厳しい環境で変化の少ない地平線ばかりが続く道を、何処までも自転車で走り続けること。それがこんなにも楽しく素晴らしいものだったと胸を張って言える理由は、この国を自転車で走ってみれば分かる。
 北米から南下してきたサイクリストの多くが南米のゴール地点として迎える国であるが、国の東西で全く様相が異なるアルゼンチンはウシュアイアで飛行機使ってしまうの勿体無いですよ。是非とも北上してみるべきだと私は主張するね、肉がもう食べたくないと思うその日まで。
    mixiチェック

 2018年6月26日~7月14日
 走行日数19日間
 累計走行距離1245km(82724km~83969km)

◎道路
 非常に広い側道があるため自転車で走るにおいてストレスが極めて少ない。車道と比べて路面が粗かったりとかする場所も多いがこれだけキチンと整備されてるなら文句は出ない。
 峠と呼べるような上り坂はまず出てこない反面、実は30m以下の緩やかで小規模なアップダウンで構成されてる道が多く、完全フラットな道はそれほど出てこない。どのくらいの緩さかといえば、ギアを1枚落とせば登れるくらいの斜度。そりゃときどき急斜面もあるけどさ。
 町中においても信号機は少ないし、交通量もそれほど多くないため走ってて危険を感じるようなことは少ない。流石にモンテビデオではそうも言ってられないが、それでも他の南米の首都と比べたら雲泥の差。南米で私が走った国の中では最も走りやすい国である。

◎治安
 南米の中では治安が良い国とか言われてるけど、別段そんなことはない。というかこの国は基本的に「人がいない」ので治安が良いと言える側面が強く、首都のモンテビデオは普通に雰囲気悪かった。なので首都近郊や各州の州都においてはそれなりの対策というか意識で臨んだ方が良い。
 それ以外の場所は要するに放牧地なのであり、パタゴニアや宝石の道で犯罪危険はないでしょう?というのと同じことだと思う。ウルグアイはその放牧地が9割強を占めてる国なので、確かに安全っちゃ安全かもしれないが。人が滞在する場所は残りの1割弱だと思うので何とも。そう考えると自転車旅行者にとっては気楽な国だった。

◎ビザ・出入国
 アルゼンチンへの陸路国境が合計3つあるのだが、自転車が走行して通過できるのは「コロン~パイサンドゥ」間の橋のみである。ただし北部の「コンコルディア~サルト」間には渡し舟があるため、無理してヒッチハイクをしなくても通行することは可能。いやまぁお陰様で酷い目にあったけど。
 肝心の入国自体は手続きに建物の中まで入ることなく、車両のゲートみたいな場所で簡単にスタンプ押してくれる簡単っぷり。しかし生鮮食品の持ち込みには厳しいようで荷物の中身を確認されたが。実は物価高と聞いてたので、この時点で肉を所持しており「没収か・・・」とか思ってたら普通にスルーされた経緯がある。見逃してくれたのか、袋に包んでいる食材は関係ないと思ったのかは分からない。とりあえず検査と言えるレベルではない適当なチェックだったことは間違いない。おっと滞在期間は90日間。仮にゆっくり国内1周しても1ヶ月を必要としない規模なのでその点は問題ない。

◎交通事情
 基本的にモンテビデオを除けば交通量が少ないので危険を感じるようなことがほぼない。クラックションを鳴らしてくるような人はおらず、わりかし交差点でも自転車や歩行者に対して道を譲ってくれたりもする。
 郊外は何もない道が続くため100km/hとかでぶっ飛ばしてる車が多いのだが、しっかり側道が作られてる関係で危険な思いをすることがないし。側道がないようなマイナー道路もあったけど、そんな道では10分に1台とかしか車両とすれ違わないため、やはり問題とはならない。アルゼンチンから来た身としては走行中のストレス度合いは段違いだったと言える。

◎特徴
 チリ・アルゼンチンと並んでATMにおける引き出し手数料がバカ高い。安い場合でも500円以上するし、ひどいATMでは1000円以上を取ってくる。そのクセ引き出し可能な金額の上限が2万円に届かないクソ仕様となっており、特に物価の高いウルグアイではこの手数料は洒落にならない。かといってカードを使っても大抵10%ほど料金上乗せさせられるため、あまりクレジット利用での料金的なメリットはない。
 しかしウルグアイのATMでは米ドルを引き出すことが可能であり、1回の上限金額も300USドルと現地通貨に比べて割が良い。特にUSドルだと両替レートを良くしてくれるアルゼンチンが隣接していることもあり、ウルグアイでUSドルを入手していく人は多い。
 私が確認した限りでパイサンドゥの町と首都のモンテビデオやタクアレンボ、サルトの町ではATMからUSドルを引き出す選択肢があった。

◎気候
 真冬の時期でもそれほど寒くないどころか北部にあっては日中汗ばむほどの気温となった。ということは夏の暑さは相当なものであることが伺える。あと湿度高い。
 雨季なのかもしれないが、それなり程度に雨が降るしガスってしまう日も多く、晴天の中を走れた割合は半々程度ではないかと思う。とにかく天気の良し悪しで走行の楽しさが激変する国なので、天気予報の確認は重要事項だと思っていた。

◎言語
 スペイン語。それほど南米の他国と比べて違いがあるとは思わなかったかな。チリ・アルゼンチンと同様に南米における先進的なポジションの国であり、しかしながら英語を解する人の割合は脾臓に少ない。モンテビデオのホステル受付ですら全く英語喋れなかった。1つのホステルだけで判断するのは無茶な気もするが、まぁ英語一本じゃかなり苦労するのだろうなとは思う。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 宿泊したのがモンテビデオとサルトのみなので大したことは言えないのだが、そもそもこの国ではホステル系の安宿がある町が少ない。世界遺産認定のコロニアと首都モンテビデオを除くと私が通ったルートではドミトリー形式のホステルを有する町は見なかった。見落としてるだけかもしれないけども。でも第2の都市であるサルトにすらドミは存在しないあたり、まぁそういうことだろう。
 値段は高いが、高いだけの設備が整ってはいる。というかホステル内でエレベーターを見たのはこの旅行始まって以来かもしれない。ネットは高速なんだけど不安定でよく回線が落ちた。私が泊まったホステルだけが悪いのか、ウルグアイ全般的にインフラが整ってないのかは分からない。ガソスタとかのWi-Fiが安定してたことを鑑みるに恐らく前者だとは思う。
 とりあえずある程度の規模の町だと町外れのパルケにキャンプエリアが併設されてる可能性が高いので、気にしなければそうした場所を利用することで宿泊費はほとんど使うことなく旅行することが可能。ただまぁ週末はマフラー外した爆音バイクで走り回ってる輩が多かったりするため安眠は難しそうだし安全面でもオススメはしない。私は州都クラスの大きな町では避けるようにしていた。
 ちなみにWi-Fiに関してはチリ・アルゼンチンと同様にガソスタが優秀。速度も申し分ないし、充電と合わせてつかわせてもらうことが多かった。特にウルグアイ国有スタンドのアンカップを好んで利用していたな。なお主要道路ではない国道6号線沿いでは1度もWi-Fi使えるガソスタが出てこなかった。主要道路でないと設備レベルは落ちるのかもしれない。

◎犬
 1度ぶっ叩いたかな、そういえば。それほど凶悪な雰囲気ではなかった気もするが、だからといって手加減するような気持ちはペルーに置いてきた。向かってくるならやり合いますよ私は。
 あと野営してるとおこぼれを求めてすり寄ってくる犬がやたら多いと感じたウルグアイ。それは別にいいのだが、そのままテント脇で眠ってしまい、明け方になってから鶏だかの声に反応して吠えまくられたことがあり、安易に餌あげてはいけないなとか思ったり。

◎自転車店
 そういえばほとんど見なかった。首都のモンテビデオにはスタジアムの近くにプロショップが数件あるよとサイクリスト仲間から教えてもらったが、わりかし大きい町でも自転車が販売されてるのはおもちゃ屋とかで「自転車も合わせて売ってるよ」という方式が多かった。まぁサルトの町では先進的なショップがあったし、扱われるパーツもハイグレードから庶民派まで一揃えされていた。
 割とこの国ロードやMTBで郊外を走ってる人は一定数いるので、もっと探せば色々とショップもあるのだろうな。

◎物価・食事
 これはハッキリ高い。アルゼンチンなぞ敵ではないし、チリと比較してどっこいなレベル。ビール大瓶1本で350~400円というのはアルコール類が高い日本と比較しても大差ない価格ではなかろうか?ちょっと日本のビール代金忘れかけてるので自信ないが。ああ、でも安ワインがビールとほぼ同値段で販売されてるのは嬉しかったな。
 これだけ牧場だらけの国の割に、牛も鶏肉も安いという程ではない。ただ国土が小さいことがあるためか、小さな町の小売店等でも物価はさほど変化しなかった。1割くらい上乗せされるイメージ。キャンプ場の売店でも似たような値段で野菜以外の食品は購入できたので、この国ではそれほど食材を持ち運ぶという行為のメリットが少なく、あまりそこに気を使う必要はない。
 唯一アルゼンチンより安かったのが袋タイプのインスタントラーメンなのだが、これがチェーン店スーパーじゃないと扱ってないのであり、欲しくてもなかなか買えない思いをしたことがある。
 そんな感じなので結局100%近く自炊で賄った。試しに売店のサンドイッチとか食べたこともあるが、値段の割に少ないし美味いとも思えない。
 そういえばチリとウルグアイの1番安いホームブランドスパゲティだが、一般的なスパだと500gのところ容量400gに削減されている。地味なところでセコい。最近の日本も似たようなことやってると聞いたが。

◎総括
 ウルグアイという国は、町から離れて広がる牧草地帯を走ってこそ真価を発揮する国である。町なんぞ行っても物が無い、あっても高い、割と雰囲気も悪い、見所も無いと散々な印象。そこから郊外へと抜けると世界は一変、緑色した大地が広がる景色の中を気分良く走れる自転車乗りにとってのある種の理想郷へと姿を変える。日本で例えると夏の北海道のスケールを大きくした感じ。
 ということでウルグアイは自転車で旅行しましょう。最低でもバイク。キャンプ場で月明かりに照らされながら、満天の星空を眺めつつ静かにビールを飲み、始めてウルグアイという国の魅力に気付くのだと思う。
    mixiチェック


 2017年12月10日~12月16日  2018年1月28日~2月16日  3月1日~4月1日  4月12日~4月20日  5月3日~5月6日
 走行日数72日間
 累計走行距離3752km(1回目266km・2回目1277km・3回目1449km・4回目510km・5回目250km)
         (71659km~71925km・73421km~74698km・75716km~77165・77806km~78316km・79018km~79268km)


◎道路
 路面状態で言えば非常によろしいチリの道。側道もしっかり広いし交通量多い場所は車線が増えるので怖さもない。そんなこの国において道路の問題となるのは坂の斜度である。
 チリも非合理的というかむしろ合理性を追求しすぎてこうなったのか。急な斜面に対して迂回路を作るということを考えない直情型道路ばかりの国である。結果、ギア最軽でも登るのに全力出したり、むしろ登れなかったりするレベルの坂道がゴロゴロ出てくる。
 プエルトモント以南のアウストラル街道入ってからは未舗装路の道が多くなるのだが、こうした道でもその特徴がそのまま続いている関係で、未舗装&急斜面という厳しいコンボを食らわせてくるため要注意。
 サンティアゴ周辺になると高速道路に自転車進入禁止の看板が出てくるが、これ以外の郊外地域では基本的に自転車走行が可能。というか南北に通る道路が高速道路1本しかない場所もあったりするので、高速道路を走るしか先へ進む余地がなかったり。

◎治安
 少なくとも南米では特筆するレベルで治安の良い国である。首都のサンティアゴですら一部地域を除いて危険を感じるような場面はない。まぁ住所不定でダンボールハウスに住んでるような人はたくさんいるけども。
 とはいえあくまで「南米では」という注釈が付くのだが。普通に大都市の防犯レベルは高いし夜中に1人で出歩きたくはない。そういう意味で暗くなるのが21時とかである夏のチリは安全に一役買っていると思う。
 とりあえずガンガン野宿しても大丈夫だなと思った程度には緩やかな雰囲気であった。アウストラル街道入ってしまえば現地人との変な対人トラブルに巻き込まれたりすることはまずない感じであるが、案外アウストラル街道での盗難報告は多いんだよね。私も箸とか謎のアイテム盗まれたし。とはいえチリにおける注意区間はサンティアゴを中心とする中央地域が主となっている。

◎ビザ・出入国
 かなり真面目というか入国時のチェックが長くて遅くて何より生鮮食品の持ち込みが禁止されている。このため荷物を全て外して検査させられるのが面倒臭い。この手のチェックって自転車旅行者には甘いというか割とお目こぼししてくれることが多いのだが、チリは5回の入国でキッチリ5度とも荷物検査させられたもんね。流石に南部地域のマイナー国境では緩かったけど。あと下手に隠して持ち込みして、それがチェックで発覚した場合には結構な額の罰金を取られるらしく、実際イミグレーションではその旨の書類にサインを求められるのであり、南部の食糧事情厳しい場所でもリスクのある行為は辞めたほうがいいと思う。
 ちなみに1回の入国で90日まで滞在可能なので、アタカマからそのまま南下しても普通はこの国縦断できるくらいの日数的な余裕はある。私はアンデスの山を走りたかったりとか色々あって国境越えたが、この国で国境越えるということは=アンデス山脈越えるということになるため、それなり程度には覚悟しておかないと泣きを見る。なるべく楽して国境越えたいならば、南下すればするほど山の高さが低くなるためとりあえず楽にはなる。

◎交通事情
 マナー良いですね~。交通量は少なくないのだが、道路状況の良さとチリドライバーの運転マナーの良さでかなりストレスなく走れたと感じる。といっても北部地域はほとんど高速道路だったし、アウストラル街道は交通量が少ないのでチリの一般道路がどうなのか?と問われると余り自信を持って答えられないが。
 ちなみにチリでも危ないなと思う運転してたのはバスである。あと一部のトラックかな。要するに一般道路でデカい車に追い越される時が1番怖かった。
 クラックションを鳴らされた記憶がほとんどないのは好印象で、むしろ挨拶だとか応援で鳴らしていた光景ばかりが思い出される。
 車種として大型2輪バイクが南米にしては非常に割合が高い。要するに長期ツーリングで走っている層なのだが、彼らは多人数ツーリングしていることが多いため、1台に抜かれた場合下手すればその後10台くらい後続が続くと思っておいたほうが良い。
 見通しの良い直線的な道路が多いので、どの車両も平気で100km/hとか出してるのには注意が必要。排気音が遠くから聞こえたと思っても一瞬ですぐ側まで迫ってくる感じで、厳しい登り坂でフラつきそうになったりするリスクを鑑みると、郊外における走行は割と危険度合が高い国だと感じた。

◎特徴
 1、緩やかではあるがシエスタの制度が存在する国である。シエスタこと昼寝の時間は正確に決まってないようだが、おおよそ午後1時から3時くらいを目安に個人商店系の店が一旦シャッターを閉めてしまう。
 大きな町であればチェーン店系のスーパーがあり、この手の店はシエスタ休憩入ることがないため安心して訪問できるが、ちょっとメイン道路から外れた小さな町ではシエスタは非常に厄介な制度として走行を邪魔してくることになる。
 幸いというかアウストラル街道の町は観光に特化している関係なのか、それほどシエスタ休暇をしている店は少なかった。数日無補給で走行続けてようやくたどり着いた町でお店が閉まっているとそれはもうガッカリこの上ないため要注意である。
 2、タイムゾーンを勘違いしてるんじゃないかと思うほど日照時間が他国と異なる。南部の高緯度地域で日照時間が長いのは当然としても、北部地域でも夏だと21時以降の日没が普通だったりする。
 日が落ちる時間が遅いだけならそれほど問題ないのだが、問題は日が昇る時刻もやたらと遅いこと。4月5月とかなんて8時になってもまだ周辺真っ暗だったりするため、時計を指針にしていると毎朝夜明け間からの活動を余儀なくされる。かといって一般的な商店とかそういう施設はチリ時間を基準に活動してるため、時計を一切気にしないでいると前述のシエスタ制度もそうだが色々と面倒なことも多い。なおチリでは何年か前にサマータイム制度は廃止になったらしく、年間通じて朝も夜も遅いサマータイム側の時刻に統一したらしい。

◎気候
 砂漠から高地に雪山、パタゴニアまで各種揃っております。南北で4000kmに渡る国というのはもう完全に別種の気候となることを意味しており、各地域の特色を把握する必要がある。
 大まかに分けると北部はほとんど雨が降らない砂漠地帯で、標高や気温、日光の強さ全てが高い数字を叩き出す地域。サンティアゴの北あたりから徐々に緑が増え始めるが、依然として陽射しの強さは変わらない印象。この周辺は海霧がすごく、午前中はガスっているが午後になると晴れ間が広がる印象が強い。
 プエルトモン以南のアウストラル街道になると雨の割合がかなり増え、南部に進むにしたがって西風が強くなる。なお緯度も40度を超えてくるため夏場でもかなり冷え込むようになってくる。ちなみに40度って北半球だと東北とかそれくらい。あと雨が多いといっても日本の梅雨なんかとは比較にならない程度の降雨量ですよ。日本の雨多い時期に自転車旅行した人ならば、雨の多さに辟易するようなことはないと思われる。なおアウストラルを越えてしまうとそれほど雨は降らない。
 東へ向かうと大体アンデス山脈になるため、気候的な特徴はその標高次第とも言える。北部ではまだ4000後半の山が頻発するが、南下するに従って徐々にその標高を下げていき、パタゴニア地域まで入ればほとんどの山が1000m以下の低山となる。

◎言語
 もちろんチリもスペイン語。だがまぁ南米の他国に比べればかなり英語の通用度合いが高いため、それほど苦労はないかと思われる。やっぱりね、年齢層の高い方たちでも割と普通に英語喋れる人がいるのは凄いというか教育水準の高さが関係しているのではないかと思うのですよ。
 ああ、でもパタゴニア地域に入ってからは多少苦労したかな。そもそもの人の数が少ないのとが関係あるのかもしれん。観光に特化した地域だから割と英語通じると思ってたんだけどな。小さな村では全然だったこともあり。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 郊外ガソリンスタンドでの野宿が多かった。チリガソスタ2大巨頭のコペックとシェルには無料のWi-Fiや800ペソで利用出来るシャワーがあったりと設備が非常に整っており快適。普通に水道水を飲んでたけど、こうしたガソスタには飲料用の水道があったりもして有り難い。
 その他主要道路には適当な間隔でレストエリアがあったりもする。こちらもトイレに併設してシャワーがあったりと便利に利用させてもらっていた。
 大きな町ではホステルも利用したが、1泊の値段がかなり高くて連日使い続けるのはちとしんどい。安くても1泊1500円くらいする。安宿系ならまずキッチンがあり、その他Wi-Fiやホットシャワーといった設備に不満を覚えるようなことはほとんどない。これはアウストラル道中においても同様である。この地域はキャンプやりたい放題なので自転車的にはホステルに宿泊するメリット少ないのだが。
 こうした設備の充実があるため、ホステルに関しても敷地内にテントを張らせてもらうタイプの宿兼キャンプ場みたいなホステルをなるべく利用するようにしていた。チリのキャンプ場にはホットシャワーのみならずキッチンやWi-Fiがある確率が非常に高いため、テント1つ持ってることでかなり宿泊に関する費用を抑えることが可能である。

◎犬
 基本は可愛いもんですよチリの犬。ただ全く吠えてこないかというとそうでもなくて、割と本気で追いかけてくるアホ犬もそれなりの数存在する。ほとんどの場合は敷地の柵から外に出られなかったり、自分のテリトリー外に出ると諦めるのだが、恐らくどの世界もそうであるように棒でぶっ叩かれるまで分からないような奴もいる。地味にチリでは複数回に渡って犬叩き棒が火を吹いた。

◎自転車店
 よっぽどマニアックな部品でもないならチリの自転車ショップで揃えるのが困難な用品はないと思う。サンティアゴにはオルトリーブのバッグですらモールスポーツに売っていた。とはいえあくまで自転車部品関連でということで、自転車旅行として使うような専門のバッグだとかタイヤなんかは入手するのかなり難しいと思う。
 サンティアゴには自転車街が存在したが、そんな幾つもお店を回らなくてもほとんどの店でSHIMANOのパーツ類が取り揃えていたし。ただし空気入れとかそういう物の種類は決して多くはない。
 物価の割に自転車の整備代金はそれほど高くなく、店員の腕も確かだったと思われる。まぁ選んだお店が良かっただけかもしれないが、アウストラル街道入ってしまうと未舗装が続き自転車への負荷も大きいことを考えるとサンティアゴの町でそうした整備を考えるのは理にかなっているのではと思う。ということでCARDENAS BIKEのショップはオススメですよ。ここで組んだホイールのスポークは2000km走らないで10本折れたけど。

◎物価・食事
 クソ高い。物価安いボリビアからの入国ということもあり、余りの物価の違いに頭がクラクラしてくる。というかそのファクターが無くてもチリの国は物価高と断言できるが。大型スーパーに行けばホームブランド商品が扱っており、それに準じた米とかパスタとかは安価で入手できるものの、ちょっと肉なんかに手を出そうとすると日本の倍近い値段だったりもする恐怖。そりゃ鶏肉ばかりになりますよ。ちなみに日本のコメに似たタイプの米が扱っており、米袋に「GRADE1」と表記されているタイプがこれに当たる。
 一応メルカド等の市場系ならばかなり値段抑えて果物・野菜は購入することが可能だが、そのメルカドをチリでは滅多に見かけなくなってしまい、南米の中でもかなり異彩を放つ国だという印象が。
 宝石の道を抜けてくると最初にアタカマの町へと辿り着く形になるのだが、この町なんか観光に特化している上に大型スーパーが存在しないので更に値段が上昇する。もうここで「チリは物価高い」と刷り込まれるのは間違いない。ただまぁアルゼンチンと比較するとチリは全体的に僻地での値段上昇幅が低い方だとは思うけどさ。
 そんなワケで結局1度もレストランに入ることなく完全自炊で最後まで通した珍しい国。ファストフード系の「安くてとりあえずお腹が脹れる」店というのも都市部にしか存在せず、しかも安くないため利用価値が著しく低いので。
 どの国でもそうだが果物・野菜は比較的お安いため、チリでの食事はこうした商品に頼りきっていた。その他だとツナ缶は安くて美味いのでお昼パスタの主力具材として君臨していた。
 そんでもってチリワイン。まぁ安ワインしか飲んでいないが紙パックタイプなら1ℓで300円しない安さ。それでいて美味いのだから恐れ入る。チリのビールはメインの2種類が個人的にそれほどだったこともあり、恐らくワインの消費量がビールを超えた唯一の国になると思う。

◎総括
 南米の優等生とか評されるチリだが、北部の砂漠地帯はまぁそれなり。中央部に近づくとレベルの高さを感じるようになり、それが再びアウストラル街道で自然ばかりの景色へと戻っていく。そう考えると1つの国で一通り経験できる国ということでもあるな。
 ただまぁレベルが高いのに比例してとにかく物価高なのは間違いないところで、南米他国と同じような気分でいると猛烈な勢いでお金が減っていく。物によっては日本より遥かに高いぞチリ。
 自転車旅行者的にはアウストラル街道とパタゴニアがこの国の楽しみになるだろうし私も同様の気持ちであったが、個人的にはアルゼンチンとの国境に連なるアンデス山脈を押したい。チリの海岸線から2~300kmも移動せずに4000mもの高さまで駆け上る道は気候も景色もダイナミックに変化していく様を心底楽しめる。かなり厳しい峠が多いので余裕ある日程と体力が必要だけど、南下するにつれて徐々にその高さを減らしていくアンデスの終わりを感じられて良いルートだと思うのです。そうすると私みたく5回も入国したりすることになるけど。
    mixiチェック


 2017年8月29日~11月8日
 走行日数72日間
 累計走行距離3555km(66721km~70276km)

◎道路
 山岳部では普通に町を繋ぐ主要道でも未舗装路が頻発する。ショートカットできるじゃん!とちょっと小さめの道とかに入り込むのであれば、そこは全く整備されてないダートが待ち構えている・・・くらいの覚悟を持っておいた方が良い。
 ペルーの坂は斜度が緩やかだと多くのサイクリストに言われたし、まぁそれは事実に反してないけども、その実態はあくまで「主要道路」に限定されると言って良い。ちょっとマイナーな道に入ってしまうと未舗装とのコンボで普通に困窮するレベルの坂道ゴロゴロ存在してるため、坂が緩いというのを信頼しすぎないほうが吉。なお地図で見てひたすら九十九折りが続く「無茶苦茶キツそう」な道の方が斜度を緩やかにしているため楽であることが多い。割と直線的な小さな道の方にこそ、洒落にならないのキツい坂が待ち構えていることが多いのであり「人生と一緒で行ってみなけりゃ分からないことだらけ」とまぁ、分かったようなことを言っておく。
 側道は小さくなったし、自転車道路はほとんど見かけなくなった。そういう意味でもペルーの道は、走行にかなり難あると言わざるをえない。まぁこれは山岳地帯の話であり、この地域が嫌になったら坂を下って超快適(で面白くない)海沿い道路にエスケープできるという利点がある。町の出入り口には漏れなく速度殺しのトーペ(段差)が設置されており、下り坂の途中だったりすると下手すりゃ転倒しかねない危険あるため注意が必要。
 なお標高に関しては高い場所で4000後半、場所によっては5000m越えを体験することもある。まぁ5000オーバーは狙わないと普通のルートプランニングでは訪れないため問題とならないが、一般的な主要道路を走っていても簡単に4000mを越えてくるのは流石ペルーアンデスだと感嘆する。これより高い道を恒常的に走る国はもうボリビアくらいでなかろうか。

◎治安
 全体的に悪いと思う。小さな集落でも家々の防犯レベルが上がったのが分かるし、所得格差が開いたのかスラム街に代表される低所得者層の住宅様相がかなり酷い。格差が大きいほど犯罪が発生しやすくなることから鑑みても、何かしらの軽犯罪に遭遇する確率はかなり高いと感じさせる。そう思わせる町の雰囲気は、どことなく中米の国々に近い気が。
 首都のリマでは日中でも出歩きたくない明らかに雰囲気悪そうな地域もあったし、宜しくない噂は方々から耳に入ってきたペルー。たとえ一大観光地であってもカメラ等の貴重品を出して歩くのは憚られる雰囲気。クスコだけは別世界だったけど。
 全体的な点で語ると沿岸部ほど雰囲気悪く、山岳部に行くほど治安良くなる傾向にある。沿岸部はその大多数が砂漠地帯で姿を隠せるような場所も少ないため野宿という点でも適さない。日記でも書いたが「ピウラ~チクラヨ~トルヒーヨ」間の道は、治安の悪さに加え道中で自転車旅行者を狙った強盗が出没する地域として有名なので、回避ルートを取るなりバスワープするなりの対処を考えたほうが良いかと。実際道中で会ったサイクリストの多くはこのルートを避けるようにして旅行していた。

◎ビザ・出入国
 マイナー国境だったこともあり、並ぶどころか外で休憩していた職員を呼んで手続きしてもらう程の緩さ。目の前でツーリストカードの書き方教えてくれたり、こちらの滞在日数伝えたらその期間に設定してくれたりと融通効いて有難かった。一応正規には滞在期間183日まで許されてるらしいが、職員がそこまでの滞在期限をくれないと情報取ってたので、その中で「これくらいならOK貰えるんじゃないか?」と狙っていたのが4ヶ月という期間だったりする。実際にはそんなに滞在しませんでしたが。
 出国に関しては3人も係員がいるイミグレーションで、私以外1人も利用者がいないような国境だったからか、あっという間の手続きである。出国で面倒ごとがあったことは1度もないけども。

◎交通事情
 ハッキリ悪いと言える。首都のリマは人口850万の大都市だからある程度仕方ないとしても、ペルーではドライバーの無茶な運転に辟易させられることが明らかに増えた。特にコロンビアやエクアドルと比較してクラックションを平気で鳴らしまくるようになったのがいただけない。
 しかも騒音に対して全く躊躇がない人たちなので、深夜時間帯でも平気でピーピーとウザすぎる。前のバスが人を降ろすために停車してるのが明らかに分かるのに、ただ煽るためだけにクラックション連発してるのを見るとペルー人の民度の低さを感じさせる。
 運転マナーに関して上げるとキリがないのだが、やはりこの国で最も酷い運転をするのはバスである。前の車両が動かないからと、自車のフロントミラー軽くぶつけてプレッシャー与えてるのを見た時は、呆れるを超えて「運転技術ダメな方向に高いな」とか感心してしまった。
 基本的に山岳地帯の田舎へと行くほど交通量が減ることになるため、ペルーでストレスのない自転車旅行を楽しみたいのであれば、必然的にアンデスを走ることとなると思う。まぁ海沿いは200kmくらいしか走ってないので、あんまり大したこと言えないけども。

◎特徴
 1、中南米ではどの国もお釣りを用意してない向きがあるが、ペルーはその傾向が特に激しい。更に巨大スーパーが大都市にしかないため高額紙幣の使い勝手が無茶苦茶悪い。ペルーで最大額である200ソル紙幣と2番目の100ソル紙幣だが、この2種類の紙幣は田舎で使用する場合、9割方お釣りを用意してもらえないと思っておいたほうが良い。というか50や20ソル札ですら「お釣りないよ」と言われるのが茶飯事である。
 しかしATMからお金を引き出すと100ソル紙幣が出てくるんだな、コレが。なので私の場合は銀行でお金引き出したらそのまま窓口へ行って「全額20ソル紙幣に交換してくれ」とお願いしていた。
 一応書いておくと、ペルーのお金単位は単数系が「ソル」で複数形は「ソレス」となる。面倒なのでソルで統一してるけども。
 2、沿岸部と標高4000m以上の山が隣接してるため、ルートを選んで登らないと高度障害の苦しさを味わう可能性が強い。ワスカラン国立公園では4700mでも全く問題とならなかったが、一旦海岸沿いのリマへと降りた後に向かったノール・ヤウヨス・コチャス・景観保護地区では同じくらいの標高で物凄い息苦しさだった。斜度とか色々な要素があるため単純比較はできないが、海沿いで1週間も滞在すれば高度順応は1からやり直しだと思っておいたほうが良い。

◎気候
 暑いというより太陽光が強いというのが適当。このため晴れている場合はエクアドルとの比較で、標高差分1000m程度低い場所にいると考えるとベター。ペルーの3000mはエクアドルの2000mくらいの暑さだ!って感覚。
 太陽による影響が強いということは、天気や朝夕における温度差の影響が大きいということでもある。朝起きた時には寒くて上着とウインドブレーカーまで羽織ったのに、時間が経つにつれてどんどん暑くなり結局Tシャツ1枚で走っていた・・・というパターンが往々にしてある。これ、上衣は素早く着脱できるから良いのだが、靴を含む下衣だと面倒くささが勝ってなかなか着替えしない。4000mオーバーでもサンダルで走ってたのは、こうした理由が強い。ここまで書いておいて何だが、それでも全体的に気温も高い。2000mで寝袋使わずに寝るとか普通にあったし。
 なお海沿いに関してだが、少なくともリマ周辺は低緯度地域と思えないほどに涼しい。その気候的特徴の要因で、空は大体ガスっているような天気が続くため、気持ちのいい快晴の空は滅多に拝めないけれど。あとペルーを南下するサイクリストにとって、海岸線走ってると南方からの海風がウザい感じで吹き続けてしまう。遮蔽物がほとんどない砂漠において、向かい風が吹き続けるのは本当楽しくない。
 私がペルー入ったのは8月の終わりからだが、諸説あれども基本は11月からが雨季のシーズンであるとのこと。とりあえず10月中ならば午前中は問題なく晴れていることが多い。午後になると天気が崩れだし、夜には雨止んで次の朝に再び晴れる・・・というパターンが続く。ちなみに海沿いでは1度も雨に降られなかったのであり、やはり山岳地帯の方が天気は安定してないのだと思われる。

◎言語
 スペイン語ですね。個人的には使いまくりの便利食材であるアボカドが「アグアカテ」から「パルタ」という名称に変更になったのが最大の注目点。同じスペイン語でも国によって割と使用語彙が変わるとは聞いていたが、南米の中ではエクアドル~ペルー間においてその違いがやや大きく出てくる印象。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 これが安かった。値段を鑑みれば設備も悪くない宿が多く、かなり小さな町でも宿のあることがほとんどであり、たとえ田舎山岳地域であろうと連日に渡って野宿を続ける必要に駆られることは少ない。
 ただし部屋の鍵がないとか、ベッドメイクされておらず前回使用した時のままだとか、夜中断水するのにそれを教えてくれずシャワーが浴びれないだとか、ホットシャワーと歌っておきながら水しか出ないだとか、文句を上げると枚挙にいとまがない。こんなに宿で問題噴出したのは今のところペルーのみである。
 なおアンデスのド田舎では3000m越えてても水シャワーがほとんど。電熱式のシャワーにおいて湯量豊富でも暖かいと感じる温度であったことは1度しかないし、絶縁弱くて所々感電したりすることも多かった。ペルーの電圧は220Vなので、かなり痺れて危ないんだけど。
 1泊が350~850円くらいのリーズナブルさで、値段よりも宿泊する町の規模に応じて宿の設備レベルが上下する。具体的には田舎の山岳地帯ほどボロっちい宿になり、都市や観光地では安くても綺麗で設備も良くなる傾向にあり。というか田舎の宿は安くてボロい物件しかないというのが正しい表現。
 Wi-Fiがその典型例で、ある程度の規模の町へ行かないと宿にWi-Fi併設される確率がガクッと落ちる。そうした町でもネット屋はあったし、もうどうしてもネットしたけりゃsimカード買えば大抵の町で電波は通じているようだが。基本的にWi-Fiのみでやりくりしようとするならば、山岳地帯を走る場合なら4~5日程度使えなくなる期間を見ておけば良いかと。
 カフェを筆頭としたお店でのWi-Fiも非常に厳しい。県都クラスの町でも観光地でない場合は全然見つからないこともしばしば。むしろ小さな田舎町ではパルケの側にある庁舎関係の建物とかにFreeWi-Fiが飛んでおり、お世話になったことがチラホラとある。アメリカ系ファストフード店がないことで、こんな弊害が出てこようとは。

◎犬
 ペルーの犬は頭がオカシイ。これはこの国を走ったサイクリストの共通認識であり、私もまたペルー犬の酷さに散々な思いをした1人である。とにかく自転車を見かけるなり狂ったように吠えまくり追いかけまくる犬の割合が他国と比較して非常に高い。しかも徒党を組んで多数で追いかけてくるわ、他の犬の鳴き声に反応したのか別の場所からも湧き出てくるわと始末に負えない。
 あんまり犬叩き棒使いすぎて、箒の柄を使っていた2代目犬叩き棒は途中で折れてしまい、3代目にはアルミパイプ製の棒が就任した。しかしペルー出国時の時点で既にボッコボコになっている始末。
 とにかく犬が来たら「停車する」ことが最大の防衛策で、止まって睨み付ければ大方向こうがビビったりして退散していく。それでも興奮冷めないアホ犬には牽制で棒を振り回してやると、危険を察知して距離を取ってくる。間合いを取ったら後は噛まれないよう注意して石投げるなり水かけるなりして追い払えばいい。
 牽制してもバッグ等に噛みつこうとするどうしようもないバカ犬というのが一定数おり、こういうのに対してはもう遠慮せず攻撃ぶちかますしかない。ただし足で蹴ると反撃で噛まれてしまう可能性があるため要注意。狂犬病の危険が付いて回るペルー犬は本当に厄介極まりない存在である。

◎自転車店
 よく考えてみれば、砂漠・アンデス山脈・アマゾン森林地帯で構成されてるペルーにおいて、この国の自転車需要が高まるわけないんだよね。そんなペルーでは自転車ショップを探すのも大変だし、中規模程度の町ではショップがあってもスポーツ用のパーツを見つけるのは非常に難しい。というか古い型式のMTB用品ばかり取り扱っていたりで、選択肢が皆無に近いというべきか。
 首都のリマやクスコには自転車街や先進的なショップもあったのだが、基本的にペルーで何かしら自転車パーツを取り揃えるのは容易ではない。素直にコロンビアで購入なり整備なりするのが正攻法で、私みたいにペルー国内で予期せぬトラブルが発生し、他に方法がないからという理由でもなければペルーで自転車ショップの扉を叩くのはオススメしない。

◎物価・食事
 全般的に安い。特に食に関してはコロンビア・エクアドルより明らかに値段下がったにも関わらず、料理のレベルが向上するという離れ業を行っている。ビバ、ペルー料理。
 多くの食堂で料理の種類が玄関前の看板に表示されており、親切な店だと料金表示までされている。地域による料金の変動幅がやや大きく、最も安かった北部・南部山岳地帯では1食100円程度がある一方で、観光地とかだと安食堂でもその3倍以上する店が多い。
 普通の店でもかなり料理の種類を選べるため、旅行の最中にペルー料理に辟易するという人は少ないだろうし、ペルーは味の素に代表される「味の~」シリーズが一大勢力を持っているためか、調味料やベースとなる出汁が日本人好みの味だと思う。同じ味の素からの提供で、完全に日本の醤油と同じ味がする「AJINOSILLAO」には値段の安さも含めてお世話になりました。
 あとじゃがいも。アンデス地域が原産とされるこの食材は、何というか他の国で食べるじゃがいもとはレベルが違う。普通に油で揚げただけのポテトが屋台でよく売られてるのだが、無茶苦茶美味くてよく食べていた。
 市場に行くとよく分かるのだが、同じじゃがいもでもペルーでは無数の種類があり、お店の一面が全てじゃがいもで占められているという光景をよく目にする。なお違いは全然分からない。
 ビールは基本的に3種類。北部トルヒーヨ近郊ではその名もズバリ、トルヒーヨビールも扱っている。大ビン比較で1ソルだけ高いクスケーニャというビールと安目の2種類に大別され、どんな場所でも必ず扱われてるのがクリスタルという種類。でも私はもう1種類のピルセンというのを好んで飲んでいた。なお料金は大ビンで180円くらい。350缶だとこの半額で購入可能。
 小売店では場合によってデポジット制度があり、飲み終えたビンをお店に持っていくことで1ソルと交換してくれる。これは有難い!といえばそんなことはなくて、大抵通常の料金に1ソル上乗せして販売してくるため、デポジットない店で買う方が手間かからない分得である。なお外国人相手だと、この制度を知らないフリしてコチラが要求するまでお金を返さないセコいお店が結構ある。
 結局アンデスの山中走ることがほとんどで、水を購入することは1度もなく終わった。飲み物で言えばペルー特有のインカコーラがよく挙げられたりするけれど、あれ普通にエクアドルやボリビアでも買えるからね。値段もコーラ系の輸入飲料と同じで若干高いし、そもそもコカコーラ社の提供だし。そんなに特別感はありません。
 しかしまぁ本当、食に関して楽しい国であった。私が好きな料理でロモ・サルタードとミラネーサが個人的な2大巨頭であり、セビッチェなんぞよりこれらの料理ばかり食べてたな。
 そうそう、お米で一般的な外国産米と違って日本的なモチっとした食感のタイプがある。ただしペルーでは系統の違うお米を使い分けているため、レストランによって日本系のお米が出るかパサパサ米が出るか別れる。傾向として高山地帯であるほどモチ米の確率は下がり、パサパサ米が出されるように思う。でも3500m越えの小さな集落でもモチ米出たりしたので、単に店主の好みによる違いかもしれない。結局最後までペルーモチ米の種類が何という名前なのか分からずじまいであった。

◎総括
 いやまぁ自転車で走るの大変な国だった。同じ南米でもコロンビアやエクアドルは道や人、治安といった様々な点で高いレベルを維持してるのに対し、同じようなイメージを持ってペルーに入ると様々なストレスやトラブルに晒されることに。
 ではペルーの国に魅力がないのかというと、そんなことはない。むしろ私は今まで走ってきた国の中で、もう1度自転車旅行をしてみたい国を尋ねられたなら、真っ先にペルーを挙げたいと思うほどこの国が好きである。
 厳しくも美しいアンデスの山、何時間登り続けても頂上が見えないスケール感、目にするだけで圧倒されてしまいそうな九十九折りの坂道・・・ってアンデス山脈ばかりだな。
 まぁ私にとってペルーというのは、ナスカでもマチュピチュでもなくアンデスの国だった。そしてこの国はアンデスを走ろうとする者に対し、無限の喜びと感動を与えてくれる懐の深さを備えている。結局2ヶ月以上ほとんどの期間をアンデスばかり走っていたが、まだまだ行ってみたい地域や挑戦してみたい場所が幾らでも残っており、その魅力は尽きることがない。
 もしいつか再びペルーを走る機会があったとすれば、きっと私はペルーの罵詈雑言を並べ立てながら、それでもアンデスの山を登るのだろう。
    mixiチェック


 2017年8月7日~8月29日
 走行日数23日間
 累計走行距離1181km(65540km~66721km)

◎道路
 かなりしっかり作られている。エクアドル山岳地帯を縦に貫くE35号線は車線も多いし側道も広い。町中では少々走りづらいこともあるが、体力を度外視すれば全体的に自転車で走りやすい国だと言える。
 とはいえ路面状態はまちまちで、南部に行くほど道路上にひび割れやギャップが増えてくる。下り坂だからとスピードを出しすぎると足元すくわれる可能性があるためダウンヒルには十分な注意が必要だ。
 でもエクアドルに関しての道でそんなことは大して重要ではない。この国ではひたすらにアップダウンが続くアンデス山脈を如何にして走りきるかということが大切。山岳部での平均標高は2500m程度で、一般道なら1500~3500mくらいの幅を上り下りさせられる。ロハの町より北でそれほど困窮する斜度は出てこないが、それでも100km前後の走行距離で獲得標高が2000m超えてくることがザラにある。
 更にロハの町より南に延びるE682号線に入ると舗装状況・斜度共に1段階厳しくなる。パランダの町から20kmで完全に未舗装の道となり、その状況はペルー側国境まで約50km続く。E682号線には道中に町が点在してるので補給・宿の心配は要らないが、ここら辺が雨の多い地域ということもあり、雨でぬかるんだ地面に加えて凄まじい山道・・・という自転車におけるおよそ最悪のコンディションでの走行を余儀なくされる可能性有。
 なおここから個人的な感想なのだが、エクアドルほど「道」を楽しめる国というのは少ないと思う。走るのキツくて大変であることは確かだが、こんなに何処走っててもワクワクした道を抱える国はちょっと記憶にない。エクアドルは自転車で訪れてこそ真価を発揮する国だと思っている。

◎治安
 場所にもよるけど全体的にコロンビアより良くなったかな。標高高い場所に住んでるのはほとんどインディヘナの人たちなのだが、彼らが牧歌的で実に愛想良かったのがそのイメージを後押ししてるのかもしれない。
 大都市ではキトの旧市街が飛び抜けて印象悪い。私は自転車でサッと通過しただけだが、この付近を歩き回るのであれば人通りの多い路地に限定しておかないとトラブルに合いそうな雰囲気ムンムンの道がたくさんあった。
 対して同じ大都市でもクエンカの町はイメージ悪くないんだよね。まぁ夜中に出歩くようなことはしないけれど、纏っている空気がキトとは違うと思ったり思わなかったり。
 意外だったのが他のサイクリストから「グアモテの町はすげー治安悪いぞ」と言われたこと。2日滞在してそんな気配すら感じなかった身としては、その情報の出処について聞いてみたく思うよマジで。

◎ビザ・出入国
 無茶苦茶並ばされたけど入国審査自体は全く問題ない。中米諸国みたいにちょこちょこ入国税とか取ってこないし、窓口たくさんあるので以外と列が進むのは早かった。それでも1時間以上並ばされたので、むしろ置いてある自転車がイタズラや盗難にあわないかが怖かった。なお滞在日数は90日もらえる。
 出国に関しては過疎国境というか他の旅行者とバッティングすることがまずない国境だったので、実にストレスフリーでの手続きとなった。

◎交通事情
 エクアドル人は交通マナー・運転技術共に足りていないと思う。クラックションこそ少ないが、彼らは状況予測というのが出来ないのだろうか、ブラインドコーナーの曲がり道でも平気で反対車線から追い抜きをかます悪癖がある。このためダウンヒルで道路を下っていると、前方からいきなり対向車が飛び出てくることがままあり、無茶苦茶恐ろしい。
 自転車の存在が見えてないのでは?と思わせる左車線からの右折だとか、反対車線に車がいても通り過ぎるまで数秒待つということをせずに自転車の脇ギリギリを抜けていく輩が多かったと感じる。
 簡単に言えばエクアドル人の運転は危ないしムカつく運転手が多かった。もちろんマナー良いドライバーとか交差点でも「先に通りな」とサイン出して譲ってくれる人もいるのだが。
 あ、でもこの国ではバスが危険運転をしてると思ったことは少ない。これはある意味凄いことではなかろうか?

◎特徴
 1、南米では扱いの少ない専門的な高品質アウトドア用品がキトで入手できる。少なくともメキシコ以南で見たアウトドアショップのレベルでは群を抜いており、ここでかなりのギアを入手することが可能。自転車旅行的には関係ないが、クランポンやザイルといった登山系の品が充実していたのはエクアドルの登山需要がそこそこあるからだと思っている。自転車旅行的にはテント・バーナー・シュラフ・マット・ライト・ザック(スタッフサック)・各種ウェアといった辺りのメーカー用品は扱っている。MSRの販売品目なら一通りあった印象で、浄水器とかもあったし他にソーラーパネルなんかも売っていた。中米から南下してきた人にとって貴重な物資確保地点だと思われる。
 2、使用通貨がアメリカドルである。エルサルバドルやパナマと同じく1ドルはアメリカ本国で流通してない硬貨が使われており、エルサルバドルで余って使いどころに困っていた1ドル硬貨をこの国で消費できて地味に嬉しかった。
 つまりこの国ではATMから米ドルの現金が入手できるワケだが、地方都市だとATMが現金を吐き出してくれないことが非常に多いため注意が必要である。実際、私がこの国で現金ゲットできたのは首都のキトと第3の都市であるクエンカでのみであり、他の町で何度か試してみたが上手く現金を入手できずに往生したことがある。

◎気候
 赤道直下の国なのに涼しいどころか下手すりゃ寒い。まぁこれはひたすら山岳地帯を走り続けた結果なので、グアヤキルに代表される海岸沿いの町を走ればこの限りではないかもしれないが。
 標高的に過ごしやすいと感じるのは2000m前後で3000mまで登ると日差しがないとやや寒い。4000mでは晴れててもTシャツ1枚じゃとても過ごせないほど寒い・・・ってそりゃそうだ。2500mくらいで気温15度前後といった感じか。太陽光が強いので、晴れてると数字以上に暑さを感じるが。
 乾季の走行ではあったが、1日中晴れ続けることは少なく空に雲が覆われてることが多い反面、雨自体はそれほど降らないし、降っても小雨程度が多かった。
 あとエクアドルは非常に乾燥していると思う。久しぶりに唇がカサカサになったりとか肌荒れが気になる程度には湿度が低いようであり、気温が低い割に喉が渇いて水分補給をする回数は増える傾向にある。

◎言語
 エスタ、スペイン語。英語で現地人と会話したの、キトとクエンカの外国人旅行者が大量に宿泊するホステル係員くらいじゃないかな?ジェスチャー以上の意思疎通がしたいのであれば、最低限のスペイン語が必要なのは間違いないでしょう。ちなみに私が出会ったインディヘナの人たちは普通にスペイン語で話をしてたけど、現地民族の言語もあるのだそう。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 非常にコストパフォーマンスの高い宿が多い。料金は5~10ドル位が相場だが、高い場所で12とか15ドル支払わされた場所もある。コロンビアより全体的に温水シャワー関連が整っているのが好印象。水シャワーだったのは低地にだったパランダの町のみで、シャワーヘッドに取り付ける電熱式タイプでなくガスによる湯沸かし式も多かった。また、安宿も含めて私が泊まった全ての宿にWi-Fiが設置されていたのは驚いた。部屋まで電波届かなかったり速度がイマイチな宿もありはしたが、エクアドルでネット関連で困ることは少ない。
 またコロンビアに比べて野宿の頻度がやや増えたが、ちゃんと場所を選んでテントを張ればエクアドルで深刻な被害を被る危険性は低いと感じたことが背景にある。
 他の中南米と同じく一定規模の町におけるパルケ(中央広場)ではFreeWi-Fiが使えるのだが、エクアドルではこれが使えない代物で、まともに接続できたことは1度あったかどうか。素直に宿でネットするのが利口な選択である。そういう状況にないときは、アメリカ系ファストフード店へ行くなりそこらのカフェに入る方が良い。
 ちょっと面白かったのが、エクアドルの宿では多くの部屋内に避難経路図が掲げられていたこと。煙感知器を取り付けていた宿も中南米で始めて見たのであり、この国は消防法的なルールがしっかりしている印象を受けた。実際、消防署も予算が多いのか資機材立派でしっかりしてる署が多かった。

◎犬
 かなり好戦的。やはり危険なのはテリトリーを持っている飼い犬の方で、野良においては問題はない。かといってエクアドル国民に犬をリードで繋いでおくとか敷地内から出てこないような対策を期待してはいけないため、必然的に追い回される羽目になる。
 アホだなと思ったのが、自転車だけでなく普通の車やバイクにも喧嘩ふっかけている犬を見たのであり、道路脇で肉塊となってる犬の何割かは無謀な勝負した結果の成れの果てであることが想像できる。
 なおエクアドル犬は犬叩き棒をぶち込んで、なおしつこく追いかけてきた悪い意味で根性ある犬がいたのであり、ちょっとやそっとでは止まらない相手であることを肝に銘じていた。

◎自転車店
 これはコロンビアと比較すると明らかにレベル落ちた。まずお店の絶対数が少なくなったことで、小規模な町では自転車ショップ自体が見当たらない。中規模程度の町ならお店もあるにはあるが、完成車を展示してるばかりで各種パーツの品揃えが非常に悪い。場合によっては細かな部品は全く取り扱ってない店もある。
 首都のキトですらオシャンティな外見とは裏腹に内装はガッカリ系のお店を2~3店舗見ているため、定員の力量は定かでないが、私はエクアドルではなるたけ自転車ショップにお世話になりたくないと思っていた。だって割と大き目のショップにチェーンの1つも売ってないんだぜ!?特に終盤ビルカバンバの町以降は未舗装路の厳しいアップダウンが連発する関係でブレーキシューの予備を持っておいた方が良いのだが、これをエクアドルで見つけるのは割と大変なので注意されたし。手前のロハの町にはレベル高いショップがあった。
 でもその割にロードに乗ったサイクリストは一定数いるんだよね。道路の造りも自転車に優しいし、自転車道路も結構ある。

◎物価・食事
 中米から続くワンパターン料理が基本。1食は1.5~3ドルくらいで食べれるのだが、割と序盤に量が多いワケでも美味くもない食事で5ドルとか取られたことがあり、それ以後はかなり警戒して食事の値段を確認するようになった。個人的には「セコ・デ・ポジョ」というエクアドル初出の料理が好き。
 特徴として中華食堂の数が非常に多く、かなり規模の小さな町でも1軒くらいは「CHIFA」と書かれた中華レストランがある。値段が普通の食堂の倍くらいするのだが、特にチャーハンは非常に量が多いためコスパ的には悪くない。あと中華料理は当たり外れが少ないのも良い。
 ビールは国産のが3種類あるのだが、ピルセナーという主要ビール以外は大きめの町に行かないと販売されていないため、結果的にこの国ではピルセナーばかり飲んでいた。ロング缶だと1~1.25ドル、大ビンだと1.5ドルくらいが相場。他のビールは僅かに値段が高い。
 標高高い町ではインディヘナ料理も何度か食べたが、総じて塩辛いことが多くあまり好んで食べようとはしなかった。飲み物もお店によって無料で付いてきたり有料だったりとまちまちで、全て食べ終わったタイミングでジュース出されたりとイマイチ把握ができないというか。
 全体的には北部より南部の方が物価安い傾向にあるものの、それほど大きな差ではない。食事に関してはコロンビアより値段が上がったが、ジュースに関してはエクアドルの方が安い。インカコーラも結構好きだ。
 あとカメラ壊した関係で一眼レフ探してみたのだが、日本の同製品と比較して1.5~2倍くらいの価格表示となっており非常にお高く手が出なかった。

◎総括
 ガラパゴスと赤道以外にイメージの薄いエクアドルだったが、こんなにも走り甲斐のある国だとは思いもよらなかった。エクアドルで思い出すのは1にも2にもアンデスの山々を走っていたこと。私が思い浮かべていた南米の雄大な自然をはるかに凌駕する、ただただ広くて雄大な山々を見ながらの自転車走行は何者にも代えがたい魅力があった。
 私が自転車旅行で最も面白いと思うのは「自転車で走っているその瞬間」であり、エクアドルという国はそうしたタイプの自転車で走る人にとって最高に楽しめる舞台を用意してくれてる国だと感じた。
 赤道博物館とかそんなモニュメントに行くよりも、アンデスの山々をひたすら走る。それだけで途方もない達成感を得られるし、何処ぞのナショナルパークよりも素晴らしい景色を味わえる。すごいポテンシャルですよ、この国は。
 ただし体ができてない人で、いきなりエクアドルの山岳地帯走ろうとすると間違いなく潰れます。毎日1000mとか2000mくらい坂登るのが当たり前の国なので。それでもこの国を走りたいというのならば、荷物持たない自転車で来るか素直に海岸線を走りましょう。
 そんな風に考えると、エクアドル山岳地帯は選ばれた自転車乗りしか走れない特別な場所みたいで良いじゃないか。現実的には町と町との距離が近いため、走行距離を調節していけばそこまで難しくはないと思えるけれど、ある程度の体力と精神力持ち合わせてないと、楽しさを感じられず苦しさのあまり「やってられるか!」と思ってしまう国だということは想像できる。
 余談だが終盤戦の未舗装路で猛烈な斜度での坂道を登りきった時、私はこれまでの人生で自転車乗りとして最も強くなったと確信した。
    mixiチェック

↑このページのトップヘ