自転車ときどき世界1周

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 2019年11月 7日〜2019年12月 1日 (第1回)
 2023年12月 6日〜2023年12月12日 (第2回)
 2024年 1月18日〜2024年 4月21日 (第3回)
 2025年 1月24日〜2025年 4月 3日 (第4回)

 訪問国数    8カ国
 走行日数    190日間(第1回25日間・第2回7日間・第3回88日間・第4回70日間)
 累計走行距離  11735km (第1回1251km・第2回178km・第3回5278km・第4回5028km)


 ヨーロッパ各国のまとめはこちらから(総括作成順)

 他地域と同じく私が走行してきた各国において、独断と偏見で点数評価してみた。












道 路交 通物 価食 事宿治 安総 合

イスラエル67454127

ヨルダン44878637

トルコ67697641

イラン62919330

サウジアラビア844341033

カタール953341034

UAE65532930

オマーン 736381037

日本893921038










 ※最低1点、最高10点 物価は安いほど点数高い

 自転車乗りとしての視点から感じる国の特徴であり、国の善し悪しについては意識していない。物価が高い国は宿も高くなる傾向があるし、点数が高ければ良い国という意味では勿論ない。あくまで1旅行者が感じた感想である。
 なお各点数は私が訪問した当時の状況を元にするのが信条だが、流石にイスラエルに関して治安1を付けざるを得なかった。訪問当時の印象的には治安3くらいだった気がするけれど。

<中東の分類>
 そも中東という地域は区分が曖昧であり、エジプト等の北東部アフリカなんかも中東として扱われることがあったりする。トルコなんかもアジアやヨーロッパとしての土地な一方で中東というのも間違いではないのが難しいところ。とりあえず私のブログではアラビア半島の国々及びイスタンブールより東に位置するトルコ、イラン、イスラエル、ヨルダンを指して「中東」として取り扱っている。

 地域的にはアラビア半島とそれ以外として特徴が大きく異なる感じで、イスラエルを除く全ての国がイスラム教を主としているのだがアラビア半島の国におけるイスラム教の戒律厳しさはハッキリ一枚上にあったと感じる。

<食>
 トルコは世界3大美食の国に挙げられるし、実際多様な食事を楽しめる国だったが。それでも中東の国全体で評価すると色に関してはかなり残念な地域であると言わざるを得ない。
 イスラム教の関係で酒が飲めないとか豚肉が食べれないというのは別に構わないのだ。そうじゃなくて色に対してのレパートリーが乏しく、また酒の代わりに甘味を欲するためか異様に砂糖を使った激甘お菓子が幅を効かせている。これも激甘なのが悪いんじゃなくて、甘さ控えめとかの多様性が薄いことが問題でして。

 特にイランを筆頭として食堂でのレパートリーが非常に乏しく、首都クラスの大都市でもないと毎日同じようなメニューを食べる羽目になってしまう。彼らに言わせると僅かばかり使う材料が変わっただけで「な、違うだろう?」ということらしいが、正直大差ないと私は思ってたぞ。BBQはBBQなんだってば。

 個人的にキツかったのが朝食で、パンにクリームチーズかバターを塗って甘味と併せて食べるだけの簡易なメニューが多く、エネルギー使う自転車旅行には明らかに塩分もカロリーも足りていない。でも糖分だけはチャイをはじめとしてやたら摂取してる。というか夕食を除いて全体的に砂糖ばかり摂取するパターンとなりがちで、常に運動してる状況じゃなければ「勘弁してくれ・・・」と思ってしまうほど。

 アラビア半島だと米食がメインとなることも多く、カブサと呼ばれる炊き込みご飯を皆で混んで食べる機会に恵まれこれが大変美味しかった。ただしイスラム教の地域では素手(右手のみ)で食事をするのが基本であり、海外のパラパラに崩れる熱々の米を食べるのには多少の慣れが必要だったり。

 ちなみに豚肉が食べれない反面、ヤギとラクダの肉がテーブルに乗ることが多い。ヤギはともかくラクダは砂漠地域でないとなかなか機会に恵まれない食材だと思う。なお肉質は非常にプリプリでゼラチンを食べてるような錯覚に襲われる。普通に焼くだけでは繊維が噛みきれないままとなる場合が多く、中東でラクダ肉を食する場合は圧力鍋で長時間加熱することで食べやすくするのが基本。レバーを始めとした内臓系も食べたがコリコリと歯応えがあって他の肉とは一味違う。

 なお牛の生育が厳しい土地であるためか乳製品にはヤギの乳を使っていることが多い。牛乳よりややクセがあり匂いが強いミルクだが、味が濃厚で慣れると牛乳よりイケる感じ。ヤギチーズなんかも然り、中東でヤギは家畜の食材として鶏肉に次いでメインとなってる印象がある。

<宿・キャンプ場>
 アラビア半島の国々は石油で潤う物価高の国である上、サウジアラビアとカタールには「安宿」という安価な宿泊施設が存在せず宿泊しせつを利用すると非常に高く付く。それ以外の国は都会や観光地にはそれに対応した安価な宿泊施設が存在しているので長期的な旅行をしてても手が伸びる価格で宿泊することが可能。加えて物価の高い国は国土の大部分が砂漠で構成されており、テント泊を実施する難易度が非常に低いためテント泊をメインに据えるタイプのサイクリストならなんだかんだ中東全体で宿泊問題に悩まされることは少ない。むしろイスラエルの方が問題となるような気もする。

 宿の設備的にはどの国も一定以上のサービスを確保している印象で、料金に対してサービス度合いが悪いなと感じたのはサウジアラビア。いやサウジの宿は私がお金払ってないんだけどさ。それに関しても必要なものは揃ってるけど内装がボロかったり動きが悪い(ホットシャワーの出が悪いとか)といったレベルなので、基本的に不足を感じるレベルではない。

 それとアラビア半島のいくつかの国ではLINEに代表されるアプリで通話サービスがシャットアウトされる仕様となっている。このため電話によるやり取りはSIMカードを購入して通話することしか出来ず実質母国への電話連絡は不可能で、外国人が自国の家族等に電話連絡するハードルが高い。

 完全車社会であるため道だけでなくサービス関係の施設も車を対象とした場所が多い。キャンプ場もこれに倣って車での訪問のみを想定しておりキャンピングカーのスペースやコテージは存在しても小さなテントを張るスペースはなく車と同じ料金を支払わなければ利用できないキャンプ場も多かったりと自転車には優しくない。キャンプの需要自体はそこそこあり、それに応える形でキャンプ場も点在しているだけに残念である。

<気候>
 イスラム教は砂漠やサヘル地帯の気候と相性が良い宗教とされており、そうしたことを示すかのように強烈な厚さと日差しが降り注ぐ大変厳しい気候の土地である。
 ユーラシア大陸に位置する国々は結構山がちな土地も多く、猛烈な暑さで有名なのはイラン東部の砂漠くらいなのだが、それでも夏季に走行するのは相当厳しい地域が多い。加えてアラビア半島の国に関しては夏季どころか冬の12〜3月以外のシーズンはマトモに自転車で走ることができないレベルで気温が上がり、熱中症どころか生命の危険となるレベル。なお4月のイラン南部、バンダレアッバースの気温は30度ちょっとだったの対し、3月後半のオマーンで36度まで気温が上昇したのであり、やはりアラビア半島の方が気候的な厳しさが大きい感じ。

 また面積の多くを砂漠に覆われている地域で、このため風による影響が他地域よりも甚大となる。季節によってある程度風の吹く方向が一定ならばルート選定を考慮することで避けられる問題もあるのだが、私の経験では風向きが安定してることは少なく、その強さに関しても突如出鱈目な強さで吹き荒れたりと読めないのがもどかしい。一応ペルシャ湾から陸路に向かって吹いてるイメージは持ってたけれど、こうした点すら定かではない。

 トルコを除いてほぼ全ての地域で晴天が続き雨に降られることはごく僅かしか無かった。一応この地域における雨季というべきか雨が降りやすい時期は1〜2月だそうで、この期間にはアラビア半島の雨量極小な国でも降られる可能性があることを考慮に入れておきたい。サウジアラビアでは数回土砂降りの雨にぶち当たった。

<注意点>
 イスラム教の国における戒律を理解し対応する必要がある。難しいのは同じイスラム教の国でも戒律の厳しさには強弱があるという点で、分かりやすい「アルコールの禁止」という点ではトルコみたく普通のお店で販売されている国がある一方で、サウジアラビアみたく一切販売が禁止されてるどころか国内にアルコール類を持ち込んだだけで犯罪となってしまう国まである。

 基本的にイスラム教の生まれたサウジアラビアを頂点として、アラビア半島の国々は戒律が厳しい傾向にある。意外にもイランは戒律がそこまで厳しい印象ではなく、イスラム教徒の国というよりペルシャ人の国という歴史的な関係が尾を引いているというか影響してるのを感じたり。

 イスラム教の国を他宗教の外国人が旅行するにあたって注意すべき点は
1、アルコール関係
2、衣類関係
3、食事関係
 に大別されると思う。アルコールに関しては先に述べた通りだが、飲酒可能な国でも人前や外で飲むことが法律違反である国がほとんどだし、何ならビール等の商品を周囲から見えるよう剥き身で運んでいることが問題となる。このため購入時には黒いビニール袋で覆われて渡されることがほとんどだが、持ち運び並びに愛飲には充分注意されたい。

 2の衣類関係では女性のアバヤに代表される全身を隠す服装が有名だが、男性であっても膝が見えるような短パンのズボンを履くことは推奨されていない。戒律緩い国だと「まぁ外国人だから」とスルーされることもある一方で、厳しい国では関係なく怒られるのでイランやアラビア半島の国なんかでは長ズボンを着用しておく方が無難。モスクの入場や場合によってはスーパーに関してもハーフパンツでの入場お断りと示していることがある。なお履物に関してはサンダルでもなんら問題はないのが不思議。むしろ現地民は多くがサンダル履きだったな。

 3の食事に関してはムスリムは豚肉を食さないというのが有名だが、イスラム教が主体となってる国ではそもそも豚肉が取り扱われてないので気にする必要がない。他にも幾つか制限があるそうで、他国でイスラム教徒が食事をする際に問題のない食事を指して所謂「ハラル」と呼ばれている。まぁこの辺はイスラム教の国内でわざわざ明文化されておらず(当たり前のことなので)旅行者的に特別注意しておく必要はない。
 それよりは食事時のマナーとして大皿を皆で囲み食器を使わず素手で食べるのがイスラム式だが、この際左手を使って食するのはご法度なので気をつけたい。飲み物を左手使って飲むくらいは皆さんやってたけれど、どの程度まで左手を活用して良いのか曖昧な感じなので極力使用しないよう努めていた。なお左手を使わないのはトイレで用足す際に水洗いしたお尻を拭く等で使うのが左手なので「不浄の手」として扱われているからだとか。

<ラマダン>
 中東では2024年、2025年と2度のラマダン(断食月)を期間いっぱい体験することになった。地味に2015年もラマダンをマレーシアで体験しており、そうした経験からラマダンにおける厳しさの比較をしておきたい。

 なおラマダンというのはイスラム教におけるラマダン月で実施される「日中における断食」を指す期間のこと。イスラム教はカレンダーが太陰暦で表されるため1年は354日となり、我々の感覚からすると毎年10日くらい日にちがズレていく。つまりラマダン月も毎年10日ほど手前にズレていくこととなり「毎年この日からラマダンなので注意!」とはならない。参考までに2025年のラマダンは2月28日〜3月30日だった。なので来年は2月17日くらいがラマダン開始の目安。

 イスラム教における戒律の厳しさは発祥国のサウジアラビアを頂点として、それに次ぐ形でアラビア半島の国々、それ以外のイスラム教国とサウジから距離が遠くなるにつれ段階的に緩くなっていく感じ。もちろんそんな簡単ではない全体的な印象として。
 特にラマダンの場合はアラビア半島国の場合、外国資本のファストフード(マクドナルドとか)ですら関係なく日中の営業は一律シャッター閉めて営業していない。これが海を渡るとイスラム教を国教としているイランでも他宗教や外国人の利用者もいるから・・・といった体で営業しているお店が多い。流石に断食してる人に配慮して期間中の飲食店は日中カーテン等で中が見えないようなっているが。

 ラマダンの日中営業してないお店は16〜17時を目安に営業始める店が多く、遅い営業開始の代わりに深夜3時ごろまでシャッタ開けているパターンとなる。親切なお店なら入口に張り紙とかで「ラマダン期間中の営業時間は○時〜◯時」とか表記されているが、こういうのが無い店だと営業時間は全く読めない。Googleマップとかもラマダンの特別時間には対応しきれていないので本当に人に聞くしか正しい営業時間が分からない。

 日中の飲食が禁止されているが、その時間帯に食料を購入したり日没に合わせて事前に料理をすることは問題ないため食料品を扱うお店やスーパーは普通に営業している。というかラマダン期間中はむしろ「ラマダンセール!」と銘打って食材の特売がされてることも多い。ラマダン期間中モスクでは毎日日没と同時に礼拝者へ食事が振る舞われるし、様々な場所で断食を終えた人たちが宴(酒無し)を楽しむ姿が散見され、むしろ食事量自体は増える傾向にあるのだとか。

 いずれにしてもアラビア半島でのラマダン(ドバイ除く)はカフェ等の休憩に使える施設が軒並み閉まってしまう関係でかなり苦労する。自炊を主体とするサイクリストなら食事自体はあまり影響はない。安宿が存在しないサウジアラビアやカタールでは充電や休憩が出来ないといった影響が大きい。これらの国を訪問する際は事前にラマダンの時期を確認しておき、予備の充電器や食材の携行を心がけて対処する必要があるだろう。

<道>
 全体的には都市部を除けば走りやすく快適な道が多い。特にアラビア半島は側道が広くて安心感があり自転車に優しい道路だったりする。山や坂の割合も少なくて平坦路が多くペースも上がり易いし。
 そういった点ではトルコやイランも結構頑張っている印象なのだが、如何せんイスラエル・ヨルダンを含めてこちらの地域は山が多くアップダウンの連続となり体力的に消耗するのが玉に瑕。特にトルコ東部とイラン西部では3000m級の高さまで迫ることがあり、私が走った時期(1〜3月)もあるが夜中はー20度位に冷え込むこともあって難儀した。このレベルまで寒くなると道路上に残雪だけでなく路面が凍結することによるスリップの可能性が出てくるため非常に危険である。

 なおアップダウンの厳しさではヨルダンが筆頭に上がるのだが、いずれも標高の高さで攻めてくるというより2000mとかその程度の高さ以下の山々が連なってひたすら登り降りを繰り返させる系の大変さだといえる。坂道は標高じゃないということか。

 自転車に対しての理解度はアフリカと並んで世界最低水準であり、何処の国を走ってもドライバーの無茶な運転とマナーに辟易すること必死。ただし道路自体の整備具合が違うため随分マシだという評価になるのだが。
 そもそもイスラム教は男性でも正規の服装がズボンではなくスカートというのかワンピースタイプの両足が分かれていない被り物スタイルが多いため自転車との相性が悪く、それだけが原因じゃない気もするけど自転車における需要も人気も低い傾向にある。暑い国が多いので剥き身の自転車じゃやってられないというのも大きいか。

 こうした点から車両優先の社会が構築されており、道に関しても歩行者はともかく自転車のことを全く想定していない町となってて走りにくいことこの上ないパターンが多い。形だけの自転車道が作られてて「ちゃんと配慮してますよ!」と見せかける感じは日本と似ている気もする。

 なので交通マナーの悪さも相まって都市部における自転車の走りにくさは世界でも随一というレベル。その割に側道がしっかり広く取られている国が多いので、郊外における走りやすさに関してはこれまた世界でも有数の高レベルという両極端な構成してるという印象だ。

<総括>
 ワールドサイクリストの中でも中東というのは宗教の違いからか(世界を走る自転車旅行者は多くがヨーロピアンのキリスト教文化圏)訪問する人が少ない土地だと思う。それは比較的自転車旅行における情報がない地域ということでもあり、特にアラビア半島における日本人の自転車走行レポートは他地域に比べ極端に少ない。サウジアラビアとか2019年まで実質訪問不可能な国だったので仕方ない部分もあるが。

 だが訪れるサイクリストが少ないことは決してマイナスではないと感じさせてくる地域でもあり、多くの日本人が中東という地域から想起される「危険な国」というイメージとは対照的に平和で治安も良く人々は親切で大変よくしてもらったのが印象的だ。

 ほぼ全域がイスラム教を国教とする地域で、日本人的に馴染みがないことから敬遠される向きがあると思うが、異国を旅行していてこれほど親切を受けた「地域」は他にないと言えるほど旅行者に対してのホスピタリティに溢れている。これはイスラム教の「旅行者に対して施しを与えよ」という戒律もあるだろうし、旅行者の訪れる総数が少ないことで現地民が「旅行者擦れ」していないという点もあると思う。そうした意味でも地球上に残された数少ない「自転車で訪れやすいが旅行者の少ない地域」として貴重な存在ではないか。

 ・・・とまぁ理由を並べてみたが、中東を走ることはとても楽しい!というのが唯一にして全てでもあるんだよね。イスラム色の強いこの地域における独特な文化や人たちとの出会いを楽しんでほしいと思わずにはいられない。ただし無茶苦茶暑くて厳しい気候の土地が多いので訪問する季節はよく吟味して。

 個人的にはユーラシア大陸を走行する際に冬季の滞在先として「アラビア半島を走る」という選択肢がもっと増えてくれたらこれほど嬉しいことはないと思ってる。
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 2025年3月21日〜4月3日
 走行日数15日間
 累計走行距離839km(165819km〜166658km)

◎道路
 アラビア半島の国としてはややレベル低いが主要道にはしっかりと広い側道が敷かれており安心して走ることが可能。加えて首都近郊以外は交通量も少なめなので感覚的には走りやすい。そんで国内北部は山岳地帯であるため山を抜けるような道だと結構なアップダウンが待ち構えている。それほど斜度がキツい訳ではなかったが、とにかく暑い中でのヒルクライムとなるのが大変。山自体の標高も1000m程度と夏でも涼を感じるまでは登らないため、上り坂を見ると「水の残量は充分か?」といった点で注意が必要になる。
 嬉しかったのが首都でも比較的自転車での移動が楽なことで、自転車道なんか無くて構わないからこうした「自転車も」走れる道を用意してくれよ・・・という気持ちになる。要するに100%車両のためだけに造られたタイプの町ではなく普通に1国の首都という感じなのだが、都市の規模も小さいし私はマスカットの町なら自転車で色々走ることを厭わないと思えたな。

◎治安
 変わらず非常に良い感じ。夜にテント張ってる側でラマダンの食事会が始まってしまったこととかあったけど「怖いから移動しよう」と感じることなかった程度には安心していた。結構他国からの出稼ぎ移民もいたりするのだけど、オマーンは割合その数も少ない気がしてそういった点でも安心感あったな。
 大きな町はマスカットしか訪れてないけど、別に市内で嫌な雰囲気を感じる場所も無かったし基本的な点に注意してればそんなトラブルに遭遇することないと思われる。

◎ビザ・出入国
 日本人の場合はノービザだと14日間の滞在が可能。山の多い国だし国土面積的にもノービザ入国だと一部しか走行できないためビザを撮る選択肢も多いにあると思う。なお大使館に行かずともeビザが発給されているためネットで取得することが可能。実は当初の予定だと南部にあるサララの町まで移動してフライト・・・という計画を立てていたためeビザを取得するつもりでいた。あまりの暑さと30日間のビザにしては結構値段が高くて変更したのだが。せめて2月だったらなぁ〜

◎交通事情
 やはり悪い。何度か脇スレスレを物凄いスピードで走り抜けてったトラックとか居てすこぶる印象が悪いのだが、オマーンに関しては移民の割合が少ない感じで一般車両も危ない運転してたのを何度も目撃してるため「南アジアの人たちが運転マナー悪い」という感じではなく、オマーン国民も総じて危ない運転するという感想だ。
 別に信号無視するとか逆走といった「法令無視して運転する」といったドライバーはいないのだけど、単純に運転が下手だなとも思ったしマジで自転車の存在が見えておらず運転してんじゃないか?という感じを受けたことが何度かある。冒頭のスレスレを追い抜いていったトラックなんかが正にそれ。
 交通量自体がそこまで多くないためローカルな道を走ってもそれほど危険は少ない反面、側道が無くなることが多い。こうした道が大きな町に隣接しており道路の拡張工事をしていない「道路は狭いけど交通量は多い」というポイントがあると非常に厄介。私の場合はスルの町へアクセスする時がこの条件に合致して非常に怖い思いをした。ちなみに車両は右側走行。
 まぁ危険な車両がいたことは間違いないが、全体としてはそこまで酷くはなかったのも事実。こういうのは実際に怖い思いしたか否かという点が大きく影響してくると思ってるし。

◎特徴
 アラビア半島の国にしては山脈が広がり山がちな地形であり、またその周辺には緑も豊富で砂漠ばかりが続く気候とは異なる国である。このため他と同じように砂漠の平地をひたすら移動するという形にはならず、アップダウンの割合が増えるため暑い時期であるほど負荷の大きさから熱中症等の暑さ対策が求められる。
 内陸部はそこまで山がない(らしい)が、そちらには世界で最も水分が無い地域のエンプティクウォーターにかかっており山岳地以上に過酷な走行となるため、国土全体を通して自転車旅行には割と厳しい土地が多い。いや南部に関してはあまり知らないのだが。

◎気候
 3月後半で相当な暑さだったが、地味に暑さが落ち着いた状態なら日中の気温も30度前後で落ち着いた日もあり日記本文で書いてるほどヤバい気温ではなかった日も多い。まぁオマーンにおいて注意すべきは気温じゃなくて強烈な直射日光の方であり、実際風の無い日向に出てると数字以上に厳しい環境だと感じる。今回滞在中に記録した最高気温は多分36度。
 走行したエリアが山の多い場所ばかりだったので他のアラビア半島における国々ほど風による苦労が少なかったと感じる。野営しててもテント内に砂が入り込んでくるような事態は1度もなく、追い風となる日が多くてオマーン走行では楽できた日が多かったなと思ってる。

◎言語
 変わらずアラビア語が公用語。英語ができる人は都会だと半々といったところかな?UAEよりは英語の通用率落ちるがサウジアラビアよりは若干高いといったところか。看板表記に関しても基本は英語も併せて載せてくれるため文字が読めずに苦労したという記憶はない。
 サウジやUAEほどではないがオマーンも南アジアからの出稼ぎ労働者が多く、なんだかんだ言っても(海外に出てくるような)インド系の人は英語を話せることが多いのでその点でも楽。特にオマーンで働くインド人は英語話せないという人に1人も会ってないんじゃないか?と感じた。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 人口少ない国だからか人気の有無で野宿に苦労することはほぼ無かった。ただオマーンではテント張ってた場所が砂地じゃなくて普通の土の上というパターンだったけど、そうした場所に生えてる植物が鋭い棘を持ってるトゲトゲ植物ばかりなのが大変。この棘がそこかしこに散らばっているためテント敷く場所に気を使うし、自転車のタイヤ貫通してパンクしたことも複数回あった。暗くなってからそういったエリアに突入する場合はこの辺を慎重になる必要がある。
 宿使ったのは首都のマスカットのみだが、1泊1000円しない宿もあったりと結構安くて驚いた。そういうのはドバイと同じく市内中心部におけるアパートの一室を利用したタイプの宿だったため利用しなかったが、マスカットが偉いのは中心部から少し外れた戸建て住宅エリアにもちゃんと一軒家タイプのホステルがあったこと。そうした宿の方が少々値段高かったものの、敷地内に自転車おいておける安心感と共有スペースで気楽に寛げる良さを考えたら1泊2000円以下だし充分だと個人的には思ったな。
 なおWi-Fiに関しては今回ラマダン期間にぶつかったことが最大の問題で、カフェはもちろんチェーン展開してるWi-Fi付きの飲食店関係(マックとか)も全て日中営業しておらず利用すること出来なかった。まぁオマーンのマックは電話番号にパスワード送ってもらうOTP方式なので、どちらにしても電話番号持ってないとWi-Fi利用できないのだが。
 その他のWi-Fiも同様にOTP方式が多く、最初の1週間はほぼネットに接続することが出来なかった。流石に困ってしまいSIMカード購入したのだが、7日間の2Gしか使えない最低料金のプランでSIMカード代含めて3リヤル(約1170円)だった。ラマダンでなければまた違うかもしれないが、マスカット以外の町で安宿見かけなかったしオマーンではSIMカード購入するのは悪くない選択だと思う。

◎動物
 安定のヤギラクダ以外だとオマーンではハエや蚊、虻といった生き物が比較的多く、キャンプで調理してる最中にテント内へ入られ困ることが度々あった。やっぱ砂漠の割合が減ったからかな?なお最初から最後まで犬を見た記憶はない。
 これ以外だとロバを何度か見かけて奇蹄目(要するに蹄のある区分)の動物が砂漠に生活してるのか!と驚いた理したのだが、モロッコとかもそうだが完全な砂地じゃない土地ならラクダ以外にも馬とかロバは結構買われてるんだよな・・・とか思い出したり。私が見たのは飼育されてる雰囲気なかったロバだけど。

◎自転車店
 首都のマスカットには幾つか専門のショップがあったしアラビア半島走行する自転車旅行者はここからフライトする人が多い関係で、ショップ側も梱包用ダンボール欲しいと言えば有料だが売ってくれる。幾つかショップ見学したがギア関係は値段こそ高いがソコソコ品揃えがあったし、安価な部品であればマスカットならデカトロンがある。でも自転車での旅行に使えるようなアイテムはほとんど見なかった。
 首都以外の町では小さな修理店を見かけることはあったものの、スポーツ用自転車を取り扱ってる所は全然見なかったので期待しないほうが吉。それでも海岸線の道で何度かロードバイクの姿を見かけたのでオマーンでそうした自転車の需要が全くないという訳ではない模様。

◎物価・食事
 UAEよりまた少しだけ物価下がった印象。滞在中はほぼラマダン期間だった関係で飲食店は閉まっていたためあまり値段を確認することが出来なかったが、スーパー等の小売店に関しては普通に営業していたため。大きなスーパーなら惣菜コーナーとかお弁当っぽい品も扱われており400円程度でチキン&ポテトのパックが食べられる。
 野菜や肉は他のアラビア諸国とあまり変わらないが、オマーンは鮮魚の値段がかなりお求めやすくなってる印象でちょっと買ってみれば良かったなと思ったり。物によっては肉より安いので検討する価値ある。
 相変わらず酒類は全く姿を見ることがなく、一応許可を得たホテル等で一部取り扱いがあるとされてるが地方の田舎にはそうした場所も見当たらず、結局この国でも最後までノーアルコールで過ごした。アラビア半島で飲酒というのが相当難しいというのは間違いない。
 そんな感じで結局オマーンにおける地元の食事というのはろくに食べていない。強いて挙げると日没直後のモスクにてサウジで何度も食べたカブサを摘んだことがある程度。後は謎にフルーツを食べる機会が多かったかな。ほとんど貰い物だけど、オマーンでは果物ほとんど生産出来ないだろうにやたら値段が安かったので走行中エネルギー補給の選択肢として有りだなと思ってた。

◎総括
 あまりこの国を意識したことがないというか、特にイメージの無かったオマーンだけど砂漠の土地にそびえ立つ山々の世界は走ってみるとダイナミックで迫力があり大変面白いと同時に暑くて脱水を引き起こす「大変だけど楽しい」系の国として強く印象に残った。
 かなりイスラム教の戒律が強く、ラマダン期間中だったこともあって旅行するのに苦労が多かったのは間違いないが、アラビア半島の国では最も物価が安く、車社会に傾倒し過ぎていない自転車が走りやすい構造をしてるので経験豊富な自転車旅行者ならばとても楽しめると思う。
 ただ国土の割にノービザ滞在期限が最大14日間とかなり短いのがネックであり、北の一部分しか走り回ることが出来なかったのは残念といえばそう。南西部に隣接するイエメンは現状入国できる治安ではない関係でアラビア半島を自転車旅行する場合オマーンという国はフライトで到着するか発進するかのどちらかになることが多い。そうした際に北部のマスカットではなく30日間のビザを入手して南部第2の都市であるサララを起点にしてみるのも面白いんじゃないかな。走って移動することが大変魅力を感じた国なので。
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 2025年3月6日〜3月21日
 走行日数16日間
 累計走行距離1046km(164773km〜165819km)オマーン飛び地約10kmを含む

◎道路
 郊外は最高、市内への乗り入れは最低最悪という極端な構成してる。要するに自転車の長距離移動を全く考慮に入れておらず「自転車は近距離の移動かスポーツのための道具」として扱われている。本当に自転車の有名プロチームを多数抱えてる国なのか?と疑いたくなってしまうし程度には。
 具体的に郊外は実質道路が高速道しかなく、これに伴い側道が幅広であるため走りやすい。そんで市内もそこそこ自転車専用レーンが設けられており、突如消えて無くなったりとかあるもののアラビア半島の国ではかなり頑張っている方。なお車両は右側走行。
 問題なのは町へ突入する道が極端に偏っている点で、特にドバイの南から町へ向かうと100%交通量の多い高速道を掻い潜って市内へ突入する必要がある。東京に自転車で向かうと首都高からしか入れないようなもの・・・といえば想像しやすいだろうか?
 そういうイカれた構成なのでドバイへの出入り経験があるだけでこの国の道路事情はすこぶる印象が悪い。他にもちょいちょい文句を言いたくなるようなポイントあったけど、ドバイへの道が突出して怖かったのでそれだけで印象最悪な感じ。一応北東部に山岳地帯があってこのエリアはアップダウンが存在するが、車のことしか考えてないため斜度はキツめで直線的な道の構成をしていたりする。

◎治安
 非常に良い・・・のだがこの治安の良さはUAEという国が非常に厳しい法律を強いているが故の治安であり、ドバイ周辺から離れるほど浮浪者だったり素行に不安を覚える感じの人も見かけたりする。要するにシンガポールととても似ている雰囲気で、私も普通に旅行してるだけなのに警察ですらないセキュリティの人間に何度もパスポート確認受けさせられたりと印象は悪い。
 ルールで縛った治安の良さなので、旅行者に対しての寛容さがある感じではなく居心地の悪さを覚えることが結構あって、そういう意味で面倒だなと感じることが多かった。

◎ビザ・出入国
 日本人ならノービザで90日間の滞在が可能。聞いた話では飛行機で入国すると無料でSIMカードが配布されたりするらしいが陸路国境だとそういうサービスは無い。
 出入国の手続き自体は特に面倒なかったが、入国時に「上司に確認するから」と2時間近く待ちぼうけ食らったのでUAEのイミグレ職員は決定的に信頼していないというのはある。それと出国時に「出国税」として35ディルハム(約1400円)料金徴収されたのだが、これが現金は一切受け付けずカード払いのみと言われた辺り融通効かない国だなと思う。レシート(だと思う多分)もアラビア語しか書かれていない用紙しか貰えず後からカードの支払い請求でやっと料金確認できたのであり不親切感が強かった。

◎交通事情
 他の中東諸国同様に車中心の社会で自転車のことを全く考慮してないドライバーが多い。一応大都市の中心部になると西欧化が進んでいるのか自転車・歩行者優先の意識を持ったドライバーが出てきて横断歩道とかで止まってくれることもある。なお車両は右側通行。
 だがこの国の商業ドライバーは多くが南アジア(主にインド)系の人たちなので、国外出稼ぎに出れる上澄みの人たちとはいえ運転マナーは推して知るべしといったレベル。そういう「ちゃんとしたドライバー」とインド人が混ざり合っているので「このタイミングなら車が止まってくれるだろう」みたいな予測すると裏切られることがあるため要注意。自転車に関しても完全なスポーツバイク(ロードとか)乗ってる人はマナー守ってる印象だったが、普通の自転車や電動スクーターとか乗り回してる人の運転はロクでもないことが多い。そのクセ自転車用ヘルメットは着用してるアンバランスさが際立つというか。
 これは国のルールが厳しいことが関係してるっぽくて、赤信号を守らず突っこむ輩とかも少なかったのが印象的。逆走してくる自転車は多いのにそこはちゃんと守るんだね、と嫌味の1つでも言ってやりたい。

◎特徴
 人口の半分以上が異国からの労働者で占められている極端な人口構成をしてる国。かといって移民制度とも違い出稼ぎ労働者はある一定の年齢を超えるとビザが降りなくなるため自国へ帰国せざるを得ず、常に生産年齢が多数となっている若い人が多い国。
 特にドバイなんか場所にもよるのだろうがパッと見で9割以上が南アジアからの出稼ぎ労働者で溢れており、もうUAEじゃなくてここはインドと言っても過言でないレベル。
 こうした多数の移民による影響か法律による規制が非常に厳しくルールに対して面倒な印象を受けた。普通に旅行してる分には問題ない話じゃんと私も思っていたのだが、ドバイで宿泊する際に自転車は何があっても建物内に入れちゃ駄目と言われて余計な手間とお金を使ったように、思わぬポイントで影響してくる可能性がある。

◎気候
 まだ季節的には本格的な暑気を迎えていない3月だと思うけど、暑い日には平気で35度を超えてくる気温となる。それでもアブダビより北部は町の間隔が短くなりどうにかなるが、南部砂漠地帯は下手すりゃサウジアラビアより補給できる場所が少なかったりするので要注意。
 特に砂漠の走行時強い風に吹かれることが多かったが、灼熱の暑さに加えて砂粒が常に当たり続ける環境は本当に厳しいものがある。何気に海が近くて湿度もあるので汗ばんだ全身に砂が付着しザラザラになるのも不快指数高い。風はある程度運が絡んでくる要素だと思うが、道中寄ることが可能な町の少なさと宿泊費の高さから風待ちで数日滞在する・・・というのが少々難しいのが難点か。冬ならもっと内陸部を狙って走ることも出来そうだが、もっと暑くなる夏のシーズンは自転車旅行するような環境の国ではないと思う。3月はギリギリ大丈夫ってイメージ。

◎言語
 アラビア語が公用語らしいが特に都会だと英語の通用率が非常に高いのでそれほど言葉で苦労しない。田舎を走ってると結構英語が話せないという人出てくるのだけど、そういう人も顔見るとインド系なことが多いのでアラビア語じゃなくて母国語を喋っているだけという可能性ある。
 アラビア半島の国ではかなり開放的な国だけあって様々な標識とかにも英語表記が併設されてることがほとんど。スーパー等の商品もよっぽど小さな個人商店とかでも無い限りは値段に算用数字が併記されてるのが有難い。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 アブダビとドバイにはホステル系の安宿がある。なおドバイの安宿に関しては極狭で自転車を置かせてもらうことすら出来ず付近の地下有料駐車場に料金払って置かせてもらっていた始末。私が泊まった所は宿というよりアパートの一室で、看板とかも出てないためネットで事前予約してないと普通に辿り着くのはまず無理だし、仮に辿り着けても管理人が居らず手続きできない。要するにネットで事前予約するのが前提の宿なのだけど、自転車的には置き場所問題がついて回るため非常に面倒くさい。それでもアラビア半島の国は極端に安宿が少なかったこともあり疲れ切ってて長逗留したが。管理人もマネージャーも出稼ぎのインド系だったし利用者も大体出稼ぎの人ばかりだったが、その割には常識的なマナーを持ってる人が多くそこまでストレスは感じなかったかな。ドバイのルールが厳しいからかもしれない。
 なお宿を含めてWi-Fiはアクセス可能なポイントが多く優秀なのだが、電話番号にパスコード送るスタイルが多くSIMカード持ってないと結局Wi-Fi使えないということも多い。結局マクドナルドが安定してて優秀だった印象だが、一部のガソスタでFree Wi-Fiを使えたこともあったりして重宝した記憶が。速度はどこでも高速だったのでよっぽど重たい作業をするでもなければ大丈夫でしょう。というか速度は速くても1日に使える容量制限があったりするのでそっちで引っかかってしまい使えなくなるWi-Fiとかあるので注意。

◎動物
 いつものラクダとヤギだけかと思いきや、割と犬猫の姿を見かけることもあって「愛玩動物を飼育するような環境なんだなぁ・・・」と思ったことがある。なお犬は吠えられたことは何度かあるが、追いかけて来られたことはないので問題なし。
 その他に木々のある場所だと鳥の囀りが聞こえてくることが多く、その心地よさに砂漠という土地を忘れそうになったりも。悪い面では蚊が結構飛び回っておりハエと共にキャンプ中に邪魔して来てウザいし痒い。砂漠だとそうした問題はないのだが、環境面の厳しさが高いのでどっちもどっちといったところか。

◎自転車店
 ちゃんとしたプロショップには寄らなかったが町歩きしてて普通に見かけるショップは子供用とかルック車といった粗悪品とまでは言わないが品質の良くない自転車を取り扱ってる店が多く、これを出稼ぎの労働者たちが購入して利用している印象。
 それとは別にドバイでは何人かロードに乗ったサイクリストを見かけたので、この国における自転車は完全に二分して分かれている状態だと思う。行かなかったけどアブダビとかドバイにはデカトロンの店舗があるので安価な部品はそちらで代用することが可能ではある。

◎物価・食事
 サウジアラビアを基準にすると郊外はやや高め、都市部はやや安いという感じ。何となくUAEって無茶苦茶に物価の高いイメージがあったけど、ドバイを始めとして南アジア等の出稼ぎ労働者たちが多くを占めている関係でか食材を始めとした生活必需物資は安い。散髪とか5ディラハム(約200円)で出来る店がたくさんあったし。
 もちろん高い物は無茶苦茶高いお値段になってるし、世界唯一の7つ星ホテルとかも存在する国なのだけど、長期旅行をする人にとって必要となる物の値段は総じて高くないというのが私の結論。
 ただしレストランは「金持ってる人が行く施設」のポジションなので普通に高いし、そうした人たちが利用するのはチェーン店系のファストフードとか中東らしくケバブ店とか。私もネットと充電の関係で複数回マックを利用しているが、注文してたのは毎回2ディラハム(約40円)のアイスクリームだけだった。UAEで働いてる人は基本的に賃貸アパートのキッチンを使って自炊してる印象だ。まぁラマダンの時期だったので日中は多くの飲食店がシャッター閉めており余計にそう見えただけかもしれんが。結局この国で自炊以外に食べた食事ってラマダンで配布されたサウジアラビアでもよく食べたカブサという炊き込みご飯だけ。
 ちなみにイスラム教の国だが一応リカーショップで酒類の販売が行われていたりする。私もビール飲みたかったのだけど、場所も見つけづらいし調べた限りで値段も高いらしく「ムスリムの国でビール飲むのも良くないよな」みたいな良いこと言ったつもりで飲まずに終わった。

◎総括
 ドバイを始めとする都市部は完全に別の国という印象で、文化も宗教も全て投げ捨て「都市の発展」という点に全改造されたという印象。なのでこの国において「UAEらしさ」というのは町から距離を置かないと見えてこないというのが私の感想だ。ターミネーターが誕生するとしたらこういう町からなのだろうな。
 都会じゃなくても全体的に歴史や文化をスポイルして国の存続のために調整された感が強く、それ故無数の移民が入り込んでそれを縛るための法律が強化されて・・・というスパイラルに国という生物が生きていく強さを感じもする一方で、国とはそこに住む国民あってのもではないのか?とも思った。シンガポールに大きな土地を与えるとこういう国になるのだろう。
 面白い場所や出来事がなかったワケではないが、人や自然を求めるのならば他のアラビア半島にある国々で事足りる。自転車旅行で積極的に行くべきな国ではないかとも思う。
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 2025年1月24日〜2月28日 3月4日〜3月6日
 走行日数39日間
 累計走行距離2835km(1回目2688km・2回目147km)(161630km〜164318km・164626km〜164773km)

◎道路
 郊外にあっては95点付けても良いくらいどんな道にも幅広の側道が付いてて自転車的には安心して走ることが可能。マイナス5点分は交差点とかの手前でやたらバンプが多いのと、古い道路に亀裂が多くてガタガタ道となってることがある点。まぁ寒暖差の激しい砂漠という気候でこれを改善するの難しいのは分かる。
 んで問題となるのは都市部の道だ。サウジアラビアは完全なる車社会となっており、道路の造りも自転車のことは一切考慮されていない構造であるため非常に走りにくい。道の向こう側へ行きたくても信号機や十字路を減らして車両が停車しなくても済む構造になっている変わりに回り道をさせるスタイル。車なら1〜2km大回りしても構わないだろうが自転車としてはそんなのが連発してたまったものではない。なので毎回道路を横断するのに中央分離帯の段差を乗り越えるという無駄が入る。町中でも車が極力速度を落としたり停車することが無い方向に全振りされてる道路構造のため、中規模の交差点でも基本ラウンドアバウトだし大きな道同士だと立体交差点となっている。
 形だけ自転車道があっても全く自転車の使い勝手を考えておらず、しょっちゅう段差へ乗り上げが必要だったりレーンの上に車両が駐車してたりお店の荷物が置かれて通過できないとかあるためかえって走りにくい。
 そんな状態に加えて都市内の道が非常に入り組んでいるため目的地まで移動するのに最も支障ないのが幹線道路を使って付近まで移動することなのだが、市内の道路は側道が無い所も多く尚且つ立体交差点を多数乗り越えて進む必要に駆られ、交通量の多い中で内側の車線へ切り込んでいく必要があったりと何に付けてもストレスが多い。郊外に対して市内の道は精々5点というのが私の感想だな。
 なおサウジアラビアという国は国土が広いためか急峻な山が無いのだろうか、斜度の厳しい坂というのがほとんど出てこない。私が走った場所で1200m、国内には2000mを超える道もあるらしいが、緩やかに上り坂が続いていくためヒルクライム的に大変なことはほぼない。

◎治安
 これは素晴らしく良い。首都クラスの町中でも嫌な雰囲気を感じる場所がほとんど出てこないレベルで、国民の格差が少ないことを実感する。一応外国人の出稼ぎ労働者で南アジア諸国やイエメン・エジプトといった国の人には一部粗暴な雰囲気を醸し出す者のがいたものの、それでも何か犯罪に遭遇する・・・という可能性は極めて低いと思う。
 ただ犯罪絡みはともかく厳格なイスラム教の国であり、それに加えて国民が旅行者慣れしてないことから良くも悪くも「普通じゃないな」と感じることがそこそこあった。上手く言えないのだがこちらが想像だにしてない事でトラブルへと発展するような雰囲気を感じたことが何度かあって、久々に「こちら(日本)の常識が通じない何が起きるか分からない理の世界にいるのだ」という怖さを思い出した国でもある。
 まぁ基本的に何処で野宿しようが全然危険を感じることがない程度には安心感があったし、これほど国民から「この国は安全な国だよ」と言われたのも珍しい。実感としては日本よりずっと治安良いなと思っている。

◎ビザ・出入国
 2019年に観光ビザが解禁された国であり、それまではイスラム教徒でない一般旅行者がサウジアラビアを観光するのは不可能に近かった・・・というのは日記でも述べたのでこれ以上は割愛。
 とりあえずサウジアラビア入国には事前にeビザでネットにおける手続きが必要で、内容入力等は他国のeビザと比較しても簡単な部類に入るし、データ送信すれば5分もかからずにビザが発給される爆速っぷり。ただしネックとなるのは他の旅行保険に加入していようが関係なく強制的に保険に加入させられる点で、この料金が結構お高くビザ代と併せて2万円近くになる。今まで訪問した国の中でも断トツでビザ代高い国だったぞ。
 ビザさえ取っておけば出入国の審査自体は簡単で、ほとんど質問を受けることもなくアッサリスタンプ押してくれる。というかビザをプリントする必要すらなかったし、何ならスマホに残されたビザのデータすら確認してないレベル。マルチプルで90日間の滞在が可能のため1度取得すれば周辺国との周遊で使っても十分間に合うのが救いか?
 余談だがイスラム教徒以外にはある種の鎖国政策みたいなことしていた関係で、これだけ海外ツーリズムが盛んな現代においても国民の大半が外国人に対してスレていない。特にアジア系で日本人はやたらと人気で会う人会う人喜んでくれるのだけど、もう何年かして外国人旅行者が増えて定着するとこうした反応も薄れていくかと思われるのでサウジ旅行するなら早い方が楽しめるように思う。

◎交通事情
 この国を先進国として見るならば相当悪い。冬の時期でも暑い場所の多いサウジアラビアは夏季ともなると車両以外の移動手段なんてほぼ考えられないのだろうと想像する。そのため道路は完全なる車社会であり、歩行者や自転車といった存在をそもそも想定していないという感触が強い。
 だから危ない運転したりクラックション鳴らしてくる車両というのも、途上国的な自分勝手な運転の結果というより「そもそも軽車両がいる際の運転の仕方を知らない」というのがしっくりくるかな。自転車的にはどちらにしても危険と感じるのは変わりないのだけれど。なので横断歩道で自転車や歩行者が待っていても基本的に車が止まって道を譲ってくれたりはしない。レアケース過ぎてその場合どうするべきかを分かってないから。ドアを開けたり発信する際にもまず後方確認とかしない(エンジン音がしないで車道の後方から車両が来るということを考慮してないと思われる)ので、そうした車を追い抜く際には充分な安全マージンをとっておく方が良い。
 郊外の幹線道路だと最高140km/h制限という道路があったし、片側1車線のローカル道でも制限速度100km/hとかの道はザラにある。そんでそうした道を120〜130kmでぶっ飛ばすのが当たり前であり、いくら側道が広いとはいえ日が沈んで視界が悪くなったらマトモに走れたものではない。基本変化の少ない単調な道ということもあって、ドライバーは普通に電話しながら運転する上よそ見もわき見運転もなんでもありというのが普通なので。ただし飲酒運転してるアホはサウジアラビアでは完全に存在しない。
 総じて道路状況の良さに助けられてる感じがあり、そうした環境が悪くなる町中だと危ない場面に遭遇する機会も増える。町中でも大きな通りにはしっかり側道が作られてることが多いので、下手に狭い道を走るよりもかえって安全だったりすることもある。道の走りにくさも含めてこの辺の道路選択が重要かなと。

◎特徴
 イスラム教発祥の地であり、それ故非常に厳格なイスラムの教義が敷かれている。なので飲酒は当然できないし国内で売ってもいない。異教徒の服装であっても膝を出すような格好はよろしくないとされており、サウジアラビア滞在中はずっと長ズボンを履いていた。
 ラマダンの時期と一部被ってしまったが、やはり飲食店は日中閉鎖している所が多く自炊しない人には相当厳しい環境だし、自炊するにしても日中人前で食事してる所を見られるのは良くないため気を遣う。
 こうした反面、イスラムの教えにあるらしい旅行者に対し親切にせよという教義があるのを非常に強く感じた。特に砂漠で水の貴重さを分かっているためか、多くの人から水を頂く機会があったし宗教系の施設には冷水機やフリーで持ち出し可能なペットボトルまで常備されていることも多々あった。私は異教徒なので最初遠慮してたのだけど「お前みたいな旅行者が利用すべきだ」って彼らが持ち切れないほど渡してくれるんだよマジで。
 ということでイランと並んで人様による親切を最も強く実感した国の1つでもあり、イスラム教という宗教について色々調べたり考える切っ掛けを与えてくれた国でもある。

◎気候
 真冬のサウジアラビアは想像してたよりも寒い場所が多かった。国土が広い上に標高的にも2000mを超えてくる土地とかあって、同じ1月でも30℃を超える暑い場所がある一方で雪が降ったりする場所もあるらしい。
 アラビア半島を横断すると内陸部の標高高い場所では結構な寒さで、明け方には氷点下まで気温が下がることもあったので注意が必要ではある。夏の時期には平気で45℃を超えてくるような気温となる国ため、旅行的には12〜3月がベストシーズンとされているのだとか。
 そんで国土の大部分が砂漠であり町を抜けると砂が広がる世界が続くため、自転車的にはとにかく風に翻弄される国である。ところがサウジの風は一定方向に吹き続けるような土地ではないのか、日によって風力・風向もバラバラであるため運次第で酷い目に遭う。風力が強い時はパタゴニアに負けないほどの爆風となることもあり、しかし砂漠の道中で食料が限られてる状態だと停滞することも難しい・・・という状況に陥るとかなり悲惨なので、この点の見通しよくするためだけでもサウジでSIMカードを購入する価値はあると思う。私は持ってなかったけど。
 雨の心配は全くしないで良いかと思いきや、地味に降られることがあり聞いたところで「以前は1年で1〜2回程度しか雨降らなかったけど、ここ最近は雨降ることが多くなった」とのことで、気候変動の影響とかあるのかもしれない。

◎言語
 アラビア語。だけど看板だったり商品の情報には英語に算用数字も併記してくれることが多く、他のアラビア語を使う地域よりは楽だった印象。田舎に入るとそうも言ってられない場合も多いが。
 イランと同じくとりあえずアラビア語の数字で0〜9までは覚えておいた方が賢明。これが分からないと道路標識で次の町までの距離すら把握できないことも多い。
 英語の通用率は3〜4割といったところか。話しかけられる機会が多い国なので意思疎通に苦労することは多いけど、サウジアラビア人はちゃんと「相手が理解できるよう考えてコミュニケーションを取る」人たちなのでそこまでストレスは無い。インドよりよっぽど英語話者少ない筈だけど、インドよりよっぽどコミュニケーション取りやすくて最初の頃は驚いてた。
 先進的な国なので大型スーパーで買い物するとレシート発給されるのだけど、これが全てアラビア語での表記であるため後になって物の値段を確認しようとしても何が何だか全く分からず、値段と個数で「恐らくこの商品はコレ」・・・みたいな確認してたことがある。アルファベットじゃない言語は推理の取っ掛かりすらないため難しい。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 非常に野宿がしやすい国である。土地のほぼ全てが砂漠なので町を離れてしまえば何処でもテント張り放題!・・・かと思いきや、砂漠は遮蔽物が無い環境故に風が強くなりやすい。そうすると細かい砂粒がどんどんテント内に堆積するためメッシュテントの方が不利になる土地である。私はフルメッシュのテントだったけど。
 ということでテント設営には最低でも砂丘みたいな防風できそうな場所か人工物の風下を利用してテント張っていた。サウジアラビアはそうしたテントの張りやすい人工物や廃墟が非常に多く、そういう意味で野宿のやりやすい国といえる。ちなみにサウジには基本「安宿」という宿泊施設が存在せず、観光地や首都だろうが普通のホテルしかないためテント泊ができないと非常に苦労する。
 ちなみにWi-Fiも見つけるのに苦労した国で、先進的な国だと思って甘く見ていたと後に反省した。チェーン店の施設的にはマックとコスタコーヒー、スタバには100%Wi-Fiが付いてたが、マックだとコンセントが併設されておらずPC作業的なことをやり辛いのが難点。他の2店舗は数が少なくて州都クラスの大都会でないと見つけるのが難しい。サウジアラビアを走行するならsimカード購入してこの辺の問題を潰しておく価値は大いにあると思う。何気に町と町の距離がそこまで離れていないため、電波の通じるエリアもかなり広いとのこと。

◎動物
 危険な生物では砂漠らしく蛇や蠍がいる。私も走行中に蛇を見かけたことがあったので、あまり安易に砂の中を駆け回るのはオススメしない。まぁ現地の人が車停めて駆け回ってたりしてるの何度も見てるので気にし過ぎかもしれないが。
 大型動物ではラクダの他に羊とヤギの姿も目立つ。いずれも家畜として運用されてることが多いが、ラクダに関しては野良としか思えない個体をかなりの頻度で見かけたし、そこら中に「ラクダ注意」の看板がある通り道路を平気で闊歩してたりする。なお自転車が近づくと全力で逃げていくので接近して写真撮るのは難しい。
 乾燥地帯特有の都市部じゃない人が住むエリアにはハエが飛び回っているが、田舎でも衛生的にしっかりしてる国だからか本気でウザいと感じるほどの数に晒されたことはなかった。加えて海沿いの町でもないとほとんど蚊が出てこないのが嬉しい感じで、珍しくその手の生物で困ることの無かった国である。昆虫というならフンコロガシを見かけることは実に多かったな。
 それと犬は結構アグレッシブな奴が多くて何度か追いかけられた。怒りの鉄槌でしばき棒をぶっ叩いてやろうかとも思ったけど、自転車の間際まで走ってきて戦闘モードの個体は見なかったので敷地に入ると反応して吠えまくるタイプばかりだった印象かな。

◎自転車店
 州都クラスの大きな町ならプロショップが幾つかある。私もボロボロのバーテープを新調したくて訪れようとしてたのだけど、見事にサウジアラビアではショップが潰れていたり閉まってたりして入店することは叶わなかった。これには運もあるけどサウジの個人系店舗だと日中13時ごろから16時まで営業してないという形態の影響が大きかったところもある。
 なので外から覗いた印象でしかないが、全体的に専門店というより一般シティサイクル等の販売割合が大きい店が多い。日本でいうとサイクルベースあさひみたいなタイプの店。
 働いてる店員も南アジアやエジプト・イエメンといった周辺諸国からの出稼ぎ労働者がほとんどで、特段自転車の知識や技術を持ってる人でない(そのくせ彼らは自信満々に「知ってる・できる」と答える)のでトラブル対応に関しては慎重に対応した方が良い。
 あとジェッダの町にはデカトロンの店舗があり結構品揃えも良かったので最低限交換部品を揃えるだけならこちらを利用するのも有り。確認してないけどリヤドの町にも同店舗あるだろうし。

◎物価・食事
 かなり高い。一般的に先進国は食材関係に限れば自社ブランドの展開とか国内企業の商品に関してはお手頃だったりと「高い中にもお買い得の商品がある」というパターンが多いのだが、国土が砂漠でるためかそうした自国産の商品というのがデーツくらいしか見当たらず「普通に高い」商品と「輸入品で無茶苦茶高い」商品とで区分されてる感じ。
 ただ西欧ほどガチガチの物価高では無く日本とどっこい程度のイメージだし、肉に関してはサウジの方が確実に安い。なので自炊を続けてる限りはそこまで金額的に厳しく苦労することは案外少なかったりする。なお石油産出国だけあってガソリンは1ℓで80円ちょっとと非常に安い。
 むしろこの国では宿泊施設関係とかレストランが値段高いこともあり、自転車旅行でテント泊を繋げていくと実際に使用する金額は驚くほど少なかったりも。私は初日に1500リヤル(約6万円)を降ろしたのだが、約40日間の滞在で400リヤル残った状態でサウジを終了した。つまり1日あたり1000円ちょっとの金額だったと換算できる。これはこの国で滅茶苦茶たくさんの人から食事を共にしたり助けてもらった故の結果ではあるが、案外安く旅行できる国だったなというのが私の感想だ。むしろビザの代金で2万近く取られたこと石油産出国で裕福なイメージが強かったこと、初日で調味料からコーヒー豆や日本食材の購入に8000円くらい使ったことで想像以上に物価高という感覚が抜けず、後になってみたら「あれ?意外と物価高くない・・・」と感じたというのが正直なところか。
 結構な回数地元の人たちと一緒に食事をする機会があったのも嬉しい点で、伝統的なサウジスタイルの場合は大皿を囲み素手で食するのが基本。米料理のカブサは熱々の状態で運ばれてくるため指を火傷しそうになったりもしつつ食べていた。
 特にラクダやヤギの肉を食する機会が多かったが、どちらも肉が繊維質で噛み切るのに難儀するため圧力鍋使って何時間も煮込みトロトロの状態にして提供していたのが印象的。骨まで食べられるほどである。それとラクダのレバーなんかも頂いたが、コリコリ歯応えが良く臭みもないので大変美味しく内臓系が苦手な私も大変満足できた。総じて煮込み料理が多かったのと肉料理ばかりでレパートリーは少ないものの、サウジアラビアの料理は満足いくものばかりだったな。

◎総括
 元々は2024年にイランからフェリーでホルムズ海峡渡ってUAE経由で訪れようと思っていた国なのだけど、当時色々トラブルあって訪問延期したため「ようやく訪れることができた国」でもある。今にして思うと4月や5月にサウジアラビア走るのは気候的に厳しすぎる環境だったので、むしろベストシーズンである1・2月に訪問できたことは幸運だったと思っているが。
 この自転車旅行を始めた頃にはまだ外国人旅行者が入国できなかった国であり、そのため私自身も興味薄かったのだけど2019年のルール変更と幾つかイスラム教国を訪れたことで「是非とも行ってみたい」という国に変わったワケだが、本当にサウジアラビアを走ることが出来て良かったと思っている。
 酒は飲めないし砂漠が続いて正しく「ドライカントリー」なのだけど、いつだって沢山の人たちが助け力を貸してくれるこの国は全然ドライなんかじゃない。こんなにも人に対して感謝ばかりが思い起こされる国というのは流石に少なくて、どれだけこの国の人たちによくしてもらったかを噛みしめながらこの文章を書いている。本当にお世話になりました。
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 2025年2月28日〜3月4日
 走行日数5日間
 累計走行距離308km(164318km〜164626km)

◎道路
 非常に良い。サウジアラビアと似ているようで都市部における走りやすさが全然違う。ドーハの町中でも自転車道が様々な場所に設置されており自転車に対しての配慮が(サウジと比べて)大分感じられる。とはいえ車両のために造られた計画都市であるためドーハ市内中心部へ向かうにはA〜Gまでのリングロード(環状線)を越えなくてはならずこれが非常に大変だった。ある意味地図では向かえるのに実際走ってみるとマトモに通れない道というのが多くて慣れてないと迷うこと必死。
 そもそも国全体の面積が小さい上にドーハ都市圏以外は規模の小さな町しか存在しておらず、砂漠に関してはほとんど高速道路上を走行することになるため広い側道と滑らかな路面で問題となるようなことはない。この国で苦労するのはもっと別の点だ。

◎治安
 良いのは間違いないが、サウジアラビアと比較すると出稼ぎ労働者の雰囲気や態度が悪いのが気になった。サウジアラビアが非常に保守的な国なのに対して、カタールは猛烈な勢いで経済成長している上にサウジより開放的な面があるのでより多様な人間が集まる故だと思っていた。サウジアラビアでは一切見なかった路上で寝ている浮浪者も見かけたりしたので、ドーハの場所によっては治安の悪いスラムみたいなエリアがあるのかもしれない。

◎ビザ・出入国
 日本人ならノービザで90日までの滞在が可能。国土を鑑みるに時間的な問題となるようなことは全くない。それよりサウジアラビアとの陸路国境は2ヶ所あるように見えるが、実際は西部に位置するサルワ国境しか開いてないため注意が必要だし、ドーハから空路入国でない場合はかなりの距離同じ道を往復する必要がある。
 なおイミグレーションでは自転車の存在が珍しいのか警察車両が入国管理室、荷物検査場、出口と先導してくれる。審査自体はほとんど質問もなく簡単に終わったが、多くの人が車両で出入国する際に車両の情報が書かれた用紙を提出するようでそれを出せと言われて驚いたりした一幕がある。

◎交通事情
 非常に悪い。ときどき「目が見えてないんじゃないか?」と思うような運転するドライバーがいるし、クラックション鳴らすことも数多い。こちらが横断歩道を渡っているにも関わらずクラックション鳴らしまくって「どけ!」と威嚇してくるのはドライバーのレベルが低いと思わざるを得ない。
 特にトラック等の貨物車両は周辺国からの移民労働者がドライバーである場合が多く、カタールにおける移民の多くは南アジア諸国やエジプトやイエメン、イランといったアラブ系の国の人たちであり、自国を出て職を手にすることおが出来るという意味では上澄の人たちなのだが、それでも国民性なのかクソみたいなドライバーが多い。
 ドーハでは極力自転車道から外れないよう走行していたが、それを徹底するといつまで経っても目的地に辿り着けず仕方なく車道に出ることがままあったが、脇スレスレをぶっ飛ばしてくイカれポンチと遭遇して肝を冷やした場面も。
 基本的に自転車や歩行者に対しての配慮という考え方は存在してないので、優先道だろうが何だろうが常に気を張って集中してないと危険。とはいえ都会がドーハしかない国なのでドーハの中心部から半径30km超えてしまえば特別気にするようなことは起きないが。

◎特徴
 アラビア半島に幾つかある首長国の1つ。首長というのはイスラム社会における君主(アミール)のことを指しており、カタール以外にもクウェートやアフガニスタンといった国も首長国。アミール(Amir)を英語表記にするとEmirからEmirateとなり、UAEは7つの首長国が連合しているからUnited Arab Emirates(アラブ首長国連合)となる。
 首長が絶対的な権力を持つタイプの国だけど、バーレーンとかオマーンみたいに首長国から王国へと変更した国もあるように、地域を治める部族の長(とその家族)で首長国、と国を収める家族の長とで王国と考えると国としては大して違いないような気もする。現にサウジアラビアは元首が王と名乗っているので王国だし、オマーンは元首がスルタンと名乗ってるのでオマーンスルタン国が正式名称。というかこれ別にカタールの特徴じゃないな。

◎気候
 3月初旬なら晴れててもまだ気温は20度代前半で過ごしやすい気候だといえる。国土の大半が砂漠の国なのでとにかく風の影響が大きく常に風向きに気を配って走行していた感じ。全体的に冬の時期は北からの風が吹く傾向にあると思うし、私がカタール滞在中は8割そんな感じだったけど最終日は東風が吹いたりと常に安定して吹くわけでもなさそう。
 やはり夏の時期は気温が高すぎてマトモに外で活動できない暑さになるらしく、自転車で走るのなら冬の時期を選んで訪れるのがセオリーの国である。

◎言語
 アラビア語。英語の使用者はかなり多く、地味にカタール人と話した場合はほぼ全員が英語で会話してくれたような気がするレベル。もっと地方の田舎行けば違うのかもしれないが、そもそもカタールにそこまで地方や田舎といった存在があるのか怪しいほど小さな国だし。
 英語を話せない人で多かったのは出稼ぎ労働者の人で、かといって彼らアラビア語で会話してるのかと思ったら母国語使ってるという人も多かったな。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 ドーハに安宿ないのかネットで調べてみたけど表示された最低価格が1泊7〜8000円とかだったので、カタール国内に安宿は存在しないということで結論付けても良いと思う。ということで全泊野宿のつもりでいたが、地味にこの国野宿が難しくこの点が自転車旅行者にとって難易度高かったように感じる。
 これは主に道路周辺に柵が張られており道から離れることが難しい点と、サウジアラビアと比べて風除けに利用できそうな廃墟だったり人工物が乏しく、あってもちゃんと人が近づけないようフェンスで囲われていたりするから。ということでカタールでテント泊するなら事前に目星となるポイントを見繕っておいた方が良い。私もi-overranderみたいなサイトで記されたテント泊エリアを事前に調べておいたクチだが、何が原因か1度も記された場所でテント張ることは無かったのだけど。基本的には国土狭いので2〜3箇所も調べておけば全て利用する頃には出国してると考える。
 なおWi-Fiに関してはかなり優秀でネット利用で困ることは少ない。ただ今回ラマダンの最中に訪問したこともあり、チェーン店系のファストフード店でも「今は持ち帰りしか利用できないよ」と店内で充電&ネット作業をしたくても断られることがあったりしたため注意が必要か。運も悪かったといえる。

◎動物
 ラクダとヤギしか見てねー。砂漠なのにハエが出なかったのは驚きだなそういえば。短い滞在だとこんなもんになりやすい。なお犬は1度も姿を見せず。

◎自転車店
 ドーハ市内には複数スポーツ系のショップがある。品揃えもなかなか良く、私が訪れたショップはとてもフレンドリーに接してくれたのもあって非常に印象が良い。物価の高いカタールだけど、自転車部品に関しては大体許容範囲の価格帯だったし。
 ただ全体の半分近くはスポーツバイクというよりはシティサイクル系の用途に使われるお店であり、品揃えも大したことなかったな。計3店しか覗いてないからあまりはっきりとしたことは言えないけれど。
 確認したわけじゃないけど恐らくドーハ以外に自転車を扱うような専門のお店はない。そもそもドーハから最も遠い場所で100km程度しか距離がない国なので、カタール国民は何か必要に迫られた買い物があればドーハに行くのだろう。

◎物価・食事
 非常に物価高と聞いていたが正直サウジアラビアとほぼ変わらん。むしろ物によってはカタールの方が安いくらいだし、カタールのお店では必ず値段表記が成されているので「買ってみたら異様に値段高い商品だった」という罠にかからない分サウジアラビアより買い物しやすい。
 少なくとも私が訪れた全てのお店でカードによる支払いが可能だったこともあり、カタールではこの国の現金を1度も拝むことのないまま出国した。短期滞在ならこれで十分やっていける。
 ただ旅行者が買うような食料品なんかは安かった反面、嗜好品に当たるコーヒー豆は250gで65リヤル(約2700円)という恐ろしい価格を出されたのであり、1番安い豆でこれかよ!と仰天した。100gで約1100円ってなかなかお目にかかれない高級豆だぞ。
 ということで単純にスーパーで食材のみを買って過ごすのであれば案外安くイケるが、一般的なツアーだとか買い物といった旅行をするのであればバカ高くつくのは避けられないんだろうなと思ってる。自転車旅行はお得な旅行スタイルだ。

◎総括
 滞在期間は短かったが面白い国だったなと感じる。アラビア半島の大部分を占めるサウジアラビアとはまた違った雰囲気があり、しかしUAEほど開放的ではなくとはいえ石油に大きく依存している産業的にはサウジ寄りの国。やっぱり大部分が砂漠なので風次第で大きく左右される国だけど、国土が小さい関係でサウジほど走行難易度が高くなく、アラビア半島において自転車旅行をするなら最初に訪れやすい国の1つだったと思う。
 その上でアラブの雰囲気とイスラム教の人たちによる文化や親切心を多々感じることも出来たので、小さな国土に魅力がギュッと詰まったという意味で旅行しやすい国だった。物価も一般食材に限ればそこまで高額ではないため値段表記が徹底されてる分サウジよりも安定して活動できる。
 日本人ならみんなが知ってるドーハの悲劇の舞台でもあり現地に赴き思いを馳せるのも一興だが、それだけではない国でした。
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 2024年3月5日〜4月21日
 走行日数48日間
 累計走行距離2533km(147297km〜149830km)

◎道路
 トルコよりは1枚落ちるが主要道路は広い側道が確保されてる場所が多く走りやすい国だといえる。割と小さな道路走ってもアスファルト敷かれているのが好印象で、その上山岳地帯でも斜度が緩やかで登りやすい道が多い。いろんな意味で自転車が走りやすい国だと思う。なお車両は右側通行。
 路面はそこそこギャップや穴が空いてたりするうえ、ちょっとでも郊外に出ると外灯は全く存在しないため日が落ちた後の走行はリスクが高い。町中でも郊外でも車両の速度を落とさせるためのバンプが所々に設置されており自転車的には邪魔で仕方なかった。
 車両のタイヤ片が散らばっている系の国なため、マラソンプラス履いてようがパンクするときは容赦無くパンクする。それが不思議と側道狭くて避けにくい場所だったりするのが性質悪い。
 西部の山岳地帯では普通に3000m超えてくる道路も頻発するが、そんな道でも主要道路は完全に舗装されてるし、町と町との距離も大して離れてないのが一般的で割とチャレンジングなルートを選んでもエスケープが用意なことからか、ガチガチの未舗装路を走るという自転車旅行者にも会った。国内で様々な気候が分布してるので、地味にどの時期でも快適に走れる場所があるのは嬉しいところ。むしろ滞在期限が短くて色々走ってみたい場所があっても走りきれないことの方が問題かもしれん。

◎治安
 国としてはアメリカを始め敵対している国家が多く、特に現在イスラエルとは非常に緊張感が高い状況にあるとされている。そんな背景もあって「悪の枢軸国」なんて名指しで呼ばれることもあるイランだが、旅行者的な実感からするとこの国の治安はかなり良いと思う。少なくとも治安の面でアメリカがどうこう言える立場ではない程度には。
 ただし隣国のアフガニスタン・イラク・パキスタン近郊、特にパキスタンの近くは治安が悪いからそっちへ行かないようにと複数のイラン人から注意を受けたので、地域によっては相当危険度高い場所があるのは間違いなさそう。
 私が走った一般的な町では夜中になっても女性が1人で町歩きしている光景を見かけるし、割と人通りの多い公園やガソスタといった場所でも地元民が「野宿?大丈夫問題ないよ!」と言ってくれる程度には安心感がある。
 一方で貧困の問題から都市部での窃盗にはかなり慎重になっている人を見かけたし、町中で車から離れる時はハンドルを固定させるロックを噛ませて盗難防止対策してる車両が多かった。車上荒らしじゃなくて車両本体を盗むのだろうか?私もカメラ盗まれたし。
 町の規模をそれほど気にする必要もなく、全体的に出会う人は朗らかで親切なのだが軍事施設や警察関係の施設、その他大きなモスク等における写真撮影とかは相当厳しく対応しているようで間違ってもカメラを向けたりしちゃ駄目。滞在延長の手続きで利用した入国管理局でも入場時に全ての電子機器を預けさせられたし、荷物に関しても全てチェックが入った。これは素直に考えるならテロ等の対策だと思われるので、そうした対処を厳格にやっている国という意味では治安的な不安はあるっちゃある。
 そして4月14日にイランがイスラエルに向けてミサイルを発射してしまった関係で一気に緊張感が高まったのは間違いない。町の雰囲気は至って平和そのものだったが、イランを発着する航空便は軒並み欠航というか空港そのものが非常事態となり便が無かったと聞いた。イランに滞在している多くの旅行者も様子を見る組と早々に出国する組とに分かれていた印象。出国に動き出したのが6〜7割って感じだったかな。今後どうなるかは分からないが、滞在してる最中に治安状況が急激に変わってしまった国ということになるか。

◎ビザ・出入国
 私が入国する直前の2024年2月より日本人はノービザで15日間まで入国が許可されることとなったのだが、自転車旅行的にはイランの広大な国土を15日間、しかもノービザ入国では滞在延長手続きが不可能という縛りがあるため自転車旅行車は実質ビザ取得が必要なことに変わりはない。
 ということでイランのビザ取得したのだが、近年の流れを受けてイランもeビザでのオンライン対応を受け付けているかと思いきや、ネットで対応してるのは各種データの入力までで、その後に直接イラン大使館へ赴き手続きをしなければならないため個人的には手間が増えたと思う。ネットでは滞在日数入力する項目があり、私は45日間と記入したのだが実際に発給されたビザの期限は30日間であった。このためイランの滞在期間が足りず、テヘランにて滞在延長手続きを実施している。なおイランにおける滞在延長手続きは割とよくある手続きで、私が調べた限りでテヘラン以外にもタブリーズ・イスファハーン・シーラーズ・マシュハド・バンダレアッバースの各都市に加えてヤズドでも手続きができるっぽい。私は23日目と滞在期限が7日残っている状況だったが問題なく処理してもらえたし、パスポートも即日返却されたのだけど、これはペルシャ語話せる友人が手伝ってくれたからだと思われる。
 なお入国に関してだが、運悪くイミグレーションでシステムがダウンしており3〜4時間ほど誰も国境を通過できない状況が続き、システム復旧後の大混乱時に入国審査受けたので恐らく通常時とは色々勝手が違ったであろうと想像できる。荷物の検査とか全てスルーだったし。出国の際には普通に荷物検査があったので偶然なんだろな。
 なお近隣国以外の外国人は普通のゲートではなく別室にて審査となる国境もあるようで、普通に列で待機してると2度手間となる可能性があるため事前に確認したほうが無難。ちなみに審査中に聞かれた質問は特になかった。

◎交通事情
 どう取り繕っても交通マナー良くないのだが、かといって「酷い」と断ずるのも憚られる不思議な国。というのもイラン人ドライバーはちゃんと人や自転車といった存在に対して配慮した運転をしているからだ。その上で交通ルールを守らなかったり自分勝手に逆走やれ後方確認もせずにバックしてきたりとやりたい放題なのだが、こうした大切なポイントがしっかりしてるためかこの国では本気でドライバーに腹を立てるということは少なかったように思う。ちなみにクラックションもそれほど鳴らしてこない。
 かなり車社会でバイクの割合は少ないのだが、町中で交通渋滞が酷い場所だとバイクが歩道上を爆走してることが多く、オマケにこいつら歩行者がいようとお構いなしの無茶っぷり。結構しっかり道路と歩道が分かれていたり、町中には所々に速度落とさせるためのバンプが設置されているが、そうしたインフラ側が頑張って境界線を作ってもどうにもなってないのが現状か。そういえば主要道路のほとんどが反対車線との道路をガードレールで区切ったり物理的に距離を離して構成されていたのだが、これも普通に道路造ったら平気で逆走する車両が多過ぎることへの対策なのかもしれない。そういうアホな運転が横行してる環境なのに、ボロクソにこき下ろすまではしないの私自身も何故だろうと思ってしまう節があるな。

◎特徴
 1、色々あるのだが、ネット規制関連は「宿(野宿)・Wi-Fi」の項に、カード現金関連は「物価・食事」の項で残しているため、ここではアメリカと敵対国家である点について触れておきたい。
 そもそも70年代においてはイランは非常に親アメリカの国であり、欧米文化の影響を受けてイスラム色も薄い時期があった。これに対し警鐘を唱えイスラム教の教義をしっかり守るよう方針を大転換し反米主義となったのが1978年のイラン革命だ。当然アメリカは大激怒、隣国イラクを誘導しイラン・イラク戦争のきっかけを作ったとされているのだが、その辺は各々調べてください。
 ともあれこのイラン革命における一連の流れでアメリカ大使館をイラン人が占拠した事件で2カ国は現在に至るまで国交断絶している。要するにスーダンと同じくアメリカが敵対認定している国であるためアメリカ系のサービスが使用できないという問題が。
 旅行者的に最も困るのがクレジットカードや国際キャッシュカードをイランで使用すると即座にロックが掛かり使用不能になるということか。他にイランの入国歴があると以後アメリカへ渡航する際にはノービザ(ESTA)での入国が出来なくなり、ビザ取得のためにアメリカ大使館で面接を受けてビザを発給する必要があったりする。
 なおイラン国内ではマックやKFC、スタバといったアメリカ企業のチェーン店は一切見かけないが、コーラやペプシは普通に販売されてるし、ホステルのマネージャーが使っていたPCはmacだった。国民感情としては革命前の自由で裕福な時代の方が好きだったという人も割と多く、現イラン政府に対して批判的な感情を持ってる人も多い印象。
 2、イスラム教における2大宗派はスンニ派とシーア派なのだが、人数比ではスンニ派が9割近くを占めており多くのイスラム教国はイスラム教スンニ派が多数派だ。それに対してイランは国民の大多数がシーア派であるイスラム教シーア派の総本山とも言える国。
 2つの宗派の違いは指導者における能力主義と血統主義の違いとか色々あるようだが、旅行者的にはモスクの形が異なっていたり、シーア派の方が割と偶像崇拝に関して緩やかな対応を取っているように感じる点が大きいか。アザーンの流れる内容(歌詞)とかも違うっぽい。このためイランでは革命の立役者であるホメイニー氏の写真や各町における名士の銅像といった物を様々な場所で見ることができる。過去のペルシャ文化として残る遺跡のレリーフ等が割と形を残しているのもこういったところが遠因にあったら面白いんだけどな。

◎ラマダン
 イスラム教におけるラマダン月で実施される「日中における断食」を指す期間のこと。イスラム教はカレンダーが太陰暦で表されるため1年は354日となり、我々の感覚からすると毎年10日くらい日にちがズレていく。つまりラマダン月も毎年10日ほど手前にズレていくこととなり「毎年この日からラマダンなので注意!」とならないのが難しい。
 実はマレーシアでもラマダンに重なってたりするのだが、その際は特に意識することもなくスルーできた。だがそれは比較的戒律の緩いマレーシアだったことがあると私は考えており、ガチガチのイスラム教国であるイランでのラマダン月は相当厳しいこととなるかと想像していた。
 結果としてはラマダンはそれほど問題となることもなく丸々30日間を過ごすことができた。そもそも異教徒なので断食行為を行う必要がないこと、そうした人がいることに対応して都会だとレストラン等の施設も営業してる店が多い(一部閉店してたり垂れ幕で内部が見えないよう配慮してる場所も有)し、田舎にあっては通常通りの営業といった雰囲気であった。大量に準備していた予備食料も邪魔になるからと早々に片付けてしまった程度にゃレストランもスーパーも営業中です。
 そもそもイラン人でもラマダンに対するスタンスは様々で、ラマダン期間中でも平気でシートを広げてピクニックしてる人もいたりする一方でしっかりと断食を行っているっぽい人も見た。
 特に今年はイランの新年休暇期間とラマダンが重なり「レストランどこも開いてないのでは?」問題を気にしていたが、結局食事が出来ずに困窮するといったことはなくラマダン終了を迎えることができた。もっと戒律厳しいイメージのサウジアラビアはともかく、イランよりラマダンを厳しく行う国はちょっと想像できないため、基本的に自転車旅行するにあたりラマダン走行はそこまで気を揉む事柄ではないということだ。

◎気候
 中東だし砂漠のイメージが強い国だった私だが、実際のところ国土が広くて様々な地形を含むイランは非常に気候差が激しい国である。南東部には「世界で最も暑い地域」と評されるルート砂漠があったりする一方で、西武の山岳地帯は4000mを超える標高の高い山々が並ぶ土地だったりする。私は3月にトルコから国境越えて入国したワケだが、その頃は周囲で多々残雪を見かけたし気温も氷点下まで落ちる夜は珍しくなかった。
 この砂漠と山岳の間に位置してるのがイラン高原であり、標高的には1000〜1500mくらいで湿度も低く過ごしやすい土地となっている。イランの主要都市であるテヘラン・イスファハーン・シーラーズといった大都市ラインがこのイラン高原に沿う形で存在してるのは地理的に納得しやすい。土地的には高原といっても緑が溢れる感じではなく完全な砂漠の1歩手前、気候区分で言うならステップ気候のエリアらしい。町の近くでもないと基本畑すら存在せず、砂と岩石が広がる景色が続く。
 南下して海に近づくと標高が下がった上に低緯度地域となるため気温・湿度共に上昇してかなり厳しい暑さとなる。イランは国内で四季が分かれてるよ・・・などと言われたが、確かに場所によって気候は全く異なることを実感しつつ走っていたな。
 風は全体的に西から吹いてることが多く、走行ルート的に追い風となって楽できることが多かったのは嬉しいところ。特に砂漠エリアに入ると遮蔽物がなくなるためか風力も強くなる傾向にあり、ルートを考える際に風邪の影響を考慮した方が良いレベル。そういや久しぶりに乾燥で唇がカサカサになった国でした。

◎言語
 イラン語というのは存在せずペルシャ語が使われている。まぁペルシャってイランの旧称なので意味はほぼ同じ。使用文字がアラビア文字だけあってアラビア語とは言語的に一部通じているところがあるらしい。多民族国家なので地域によってはペルシャ語を使わない人も多いと聞いたな。
 文字が読解不能なのは仕方ないとして、数字に関しても独自のペルシャ数字が使われており多くの場合はこれが使われている。つまりペルシャ数字が読めないと単純な買い物すらおぼつかないので最低でも0〜9までの数字は理解しておく必要がある。なおアラビア語の数字と表記は大体同じだが、一部の数で文字が異なるという意地悪な仕様。
 ローカルな道路とかだと道路看板もペルシャ語オンリーだったり、イミグレーションみたいな多国籍の人間が訪れる場所でも英語表記がされていないことは多い。しかも後者はスマホの持ち込みが禁止されており、翻訳ソフトも使えないという罠があるので手続き関係ではペルシャ語知らない外国人は相当苦労することになる。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 宿代が非常に安い国であるため定期的に利用してはいた。大都市や観光地のホステルでは米ドルやユーロ払いができる宿も一部あるが、この手の外国人をターゲットにした宿は一般的に値段が高い(7〜10ドルちょい)傾向にある。中規模都市程度の宿なら個室で500〜1000円程度で宿泊することも可能。ただしそういう宿にWi-Fiがついてることは滅多にない。設備はしっかりしておりネット以外の点では非常にコストパフォーマンスの高い宿泊施設が多い国だけど、そもそもイランでは現地の方の家にお泊まりする機会が多かったので、それほど宿は利用してなかったりする。なお標高下がったバンダレアッバースでは利用したどちらの宿にも全室クーラーが付いており24時間回しっぱなしでフル稼働していた。野宿もちょいちょいやってはいるが、レストランが安い関係で夕食は自炊する気になれず、夕食をレストランで食べてから野営地を探すスタイルだったため、人のいない場所は多々あれど町の近くとかSAみたいな場所でしかテント張ってない。なお割とイラン人はそういった場所にテント張る人が多く、SAとかでも私のようにテント張って夜を明かしてる家族連れとか見た。都市部の公園とかでもテント張ってる人は多いのだが、こちらは浮浪者っぽい感じであまりキャンプはよくなさそう。実際、出会った自転車旅行者は公園野宿で金をせびられ、断ったら深夜に荷物固定用のロープを切られたと怒っていた。
 さてイランは厳しくネットを規制している国であり、これの弊害なのかWi-Fiの速度は遅いし安定もしていない。SIMカードが15Gで4〜500円とか非常に安価であり、オマケにWi-Fiより速度が速く安定してるため普通に考えるならイランはSIMカードを利用した方が良い国だと言える。ただし旅行者用のSIMは何故か1ヶ月ほど経つと利用出来なくなるトラップがあり、私の場合はSIMのスロットを1→2へと入れ替えて、SIM会社から送られて来たデータをインストールしたら以後使用することができた。パケットは追加購入してないので本当に謎のロックだったな。
 イランが規制しているネット関連は個人ブログ系の他に各種SNSは大体駄目。数年前までインスタグラムは規制の対象から外れていたそうで、イラン人はみんなインスタやっているのだが現在ではこれも規制の対象となっている。地味にGoogle系のサービスは規制の対象外でGoogleマップもGメールも普通に使用可能だったりと何が使えるのか分からんな。SNSも例えばLINEは完全に使えないが、messengerなら送信はできないがメッセージの受信だけは可能だったりと、時期とサービスによって状況が変わっていくため結局自分の目で確かめてみるしかなさそう。
 ということでこうした規制を掻い潜るためにVPNを利用する必要がある。私は細かい理屈まで分かってるわけではないが、これを起動することでイラン外の第3国からネットを発信していると誤認できるシステムで、規制を気にせずネットの利用が可能。ただしデータの通信料と電池の減りが速くなってる感があるため私はVPNつけっぱなしにせず、毎回利用時のみ起動してVPNを扱っていた。
 PCをメインに扱いたい人はイラン入国前に充分な下準備が必要だし、イラン政府も色々対策してるみたいで「このVPNなら大丈夫!」というのはハッキリしないらしい。というか対策されて使えなくなったり、かと思うと復帰したり色々あるとのこと。安心したいなら複数のVPNを事前にインストールしておくべきだが、今は信頼性の高いVPNは大抵月額有料支払いのシステムなので使えるかどうかも分からないVPNを複数入れておくのは金銭的な無駄が多いとは思う。イラン入ってしまうとVPNのインストール自体がネットに接続できず難しいし。
 これに対してスマホのみなら対策は割と楽であり、仲良くなったイラン人に「どのVPN使えば良いの?」とか聞けば親切に色々教えてくれると思う。アプリならBluetooth通信とかでネットを利用せずデータの受け取りが可能なためイラン入国後でも問題ない。ある程度スマホに明るいイラン人ならほぼVPNのサービスを利用しているので気軽に聞いてみるのが良いんじゃないかな。

◎動物
 北西部の山岳地帯には野生の狼が生息してるそうで、現地民から「危ないから野宿は辞めとけ」と諭されることがあったけど実際に姿を見たことはない。それ以外で特に気になった動物は居なかったが、砂漠に近いエリアで足首を毒虫に刺されて2日くらい腫れが引かなかったことはある。
 豚はほぼ姿を見ることなく、牛は山岳地帯ならごく稀に見かけたような気がする程度。基本的には羊とヤギばかりが目に付く感じで、稀にロバ、市場の肉もマトンを見かけることが多い。
 それ以外だと町中で猫の姿を見かけることは比較的多く、犬は非常に緩やかでほぼ追いかけてくることはない。それでも1回犬叩き棒が活躍したような覚えがあるけど。そんな水が豊富な国だと思えないけど、家屋や宿だと蚊が出てきて対処に苦慮した覚えがある。標高1000mとか超えてても関係なく出没するので事前に対策グッズを用意しておくと便利だと思う。イランで蚊取り線香とか見た記憶ないし。

◎自転車店
 想像してたよりは自転車を見かけるしショップもあるのだが、残念なことにそのほとんどが完成車を並べているだけで細かい部品だとかを取り扱っている店ではない。聞いたところでは首都テヘランにはしっかりしたプロショップがあるらしいが、テヘランの町中を自転車で走り回る機会がなかったので特に調べたりはしていない。一応カーシャーンで会ったイラン人サイクリストがオルトリーブのバッグを使っていたり自転車旅行用のギアを持っていたのでイラン国内でもこうした道具が流通していることになるし、その後ショップでバッグが取り扱買われてるのも見た。シーラーズには自転車店街もあって玉石混合ではあったがしっかりしたショップもあった。
 割とアウトドアの需要が高い国で結構しっかりしたアウトドア用品を取り扱うお店は見かけるため、米国の製品はともかくかなりしっかりしたアウトドア用品を一揃えゲットすることが可能。もしかしたらその延長線上で自転車に関連する用品とか取り扱ってるショップがあるかもしれないけれど、私が見つけたアウトドア系のお店は全て個人商店系の割合小さなお店で専門系だったが。
 チェーンやチューブ、ブレーキシューといった消耗品関係ならどうにかなるが、スプロケとかの規格が細かい部品は他国・隣国で探した方が無難だと思う。トルコもそうだがUAEにもしっかりした自転車ショップは多数あるので。何より持ち込んだ現金を消費して旅行続けるタイプの国なので、下手に自転車関連でお金を使うことが躊躇われることもあり悩ましい。ただし物価の安さが自転車用品にも影響してるので、現金が余っているようなら新しく消耗品を買い揃えるとコストを抑えることができるという点でお得ではある。

◎物価・食事
 物価自体は非常に安い・・・のだが、問題となるのは国内においてクレジットカードが使用できない点で、これが買い物及びキャッシングといったATMにおけるイラン国内で全ての行動に影響する。要するにイランでは入国前に予め用意した現金を両替し、それでやりくりするのが一般的な旅行者のスタイルとなる。このためイラン入国前に充分なUSドル又はユーロを準備しておかないと詰む。
 さて問題となるのだが「どれくらいの金額が必要なの?」という点だが、私の場合は結果的に1月半のイラン滞在で両替をしたのは3回、合計260ドルだった。これとは別に新年のキャンプ旅行と観光及びイランの滞在手続き延長処理で120ドル。これと大都市でのホステル泊は米ドル払いが一般的だったのでタブリーズ・ヤズド・シーラーズで合計50ドルちょっとくらい支払っているかな。なので合計すると約430ドルということになる。私は現地のイラン人宅にお泊まりさせてもらう機会がかなり多く、オマケに食事も頂く機会が大変多かったため一般的にはもう少し値段がかかると思われる。ちなみに持ち込んだ米ドルは700ドル弱。
 物価安かったので朝食を除く食事は基本的にレストランを活用していたが、1食の値段は100万〜200万リアル(約260〜520円)くらいと思っておけば良いかな。コーラの1.5リットルが30万リアルとかで80円しないくらい。観光地の入場料も大体100万とかで、人気の場所だと350万リアルといったところ。1日の使用金額は宿を利用しなければ1000円切ることが多い。
 なおイランは公定のレートが実際のレートと剥離している国であり、こういうの一般的に闇レートとか呼ばれる国が多いのだが、イランの場合は余りにもレートがかけ離れ過ぎてて公定レートの存在感が0に近い。だから名前も「実勢」レート。でもネットやアプリで表示される為替レートは公定レートであるため最初の頃は物の値段が判断しづらい問題が。多くの人はbonbast.comという実勢レートが表されるサイトを使って確認してるのだが、このサイトも政府のネット規制対象となっているためイラン国内では閲覧することができないという罠。しかもイランは通貨価格の変動もインフレも激しい国であるため割と短いタイミングでレートの数字が変わっていくというね。VPNのありがたみを感じる。
 問題はこれだけでなく現地イラン人は通貨を昔使われてた「トマン」という単位で表すことが多い。1トマン=10リアルで換算は難しくないのだが、これを理解してないと料金「25(万)ね!」とか言われ(書かれ)て、数字通りに支払った結果モメるということがあるので要注意。しかも上3桁のみを表記する「新トマン」なんて表し方まである。なお当のイラン人はカード払いが普及しており現金で支払うといったこと自体がほとんどないのが現状。これの弊害としてお店にお釣りが用意されてないということがあったり、小さな両替所だと交換する分だけの現金が無くて用意するまで待たされるといったパターンが発生することも。
 一応外国人でも20ユーロほどでイラン国内で使えるカードを作ってもらえるらしく、外国人が多く宿泊する系のホステルやそういった情報に強いイラン人にお願いすることでカードの利用をすることも可能といえば可能。後はイスファハーンのヘリテージホステルという宿なんかはスタッフにお願いすることでカードから現金の引き出しをしてくれるとか話を聞いたような気がするが。そういった抜け道はまぁ色々ある模様。
 んで食事についてだけど、基本的にレストランのメニューはケバブかチキン定食のみで、他の選択肢としてファストフードのハンバーガーやピザがあるくらい。全然種類が選べない上に割と都会に行っても他国の料理があまり普及しておらず、イラン料理以外を選べない状況は多い。正直いってかなりゲンナリしていたというのが本音。
 だがイランの料理が全て残念という訳ではなく、特に家庭におけるローカルフードは非常に美味しく食を楽しむことができた。何でこれを食堂のメニューに乗せないのかと文句を言いたくなる気持ち。恐らくイランにおける食の感想は家庭料理を食べる機会があったかどうかで大きく異なるのではないかと思っている。
 なおアルコールの販売が完全に禁止されており、持ち込みですら厳しく罰せられる国のためイラン国内での飲酒は絶望的・・・かと思いきや、何故か10回近くに渡って酒を楽しむ機会があった。種類もワインにビール、ウイスキーまで多様に飲むことができたしとても素晴らしいお味でした。もちろん全て自家製の言ってしまえば密造酒という扱いなのだが、その割に初対面のドライバーのオッちゃんが私を見かけるなり「ウイスキー好きか?飲むか?」とか聞いてくることがある不思議な国。流石に日記やSNSで飲酒をアップロードとかしてないが、プレゼントだ!とビール(容器は別)を丸1本受け取って1日持ち運んでいたことはある。

◎総括
 イランというだけで危険な国というイメージをあげる人も多いと想像するが、実際に滞在してみてこれほどまでに大勢の人に親切にされた国というのは同じレベルだとちょっと思いつかない。確かにイラン政府は敵も多いし現在進行形で他国と揉めたりする上、国民のみならず外国人にまで色々強いてくる褒められた存在ではないのだが。単純に旅行する国としては相当難易度の高い国であることは間違いない。
 ただそこに住む市井の人たちとの交流や、独特な文化に人類でも最も古くから続く歴史ある土地。中東を旅行するにおいてイランという国を訪れないのははっきり「勿体無い」と断じることができる。それほどまでに楽しく素晴らしい体験をさせてもらえた国だった。
 終盤にイスラエルとの緊張感が高まったことから慌てて出国する事態となってしまい、その際にはトラブルも重なり相当しんどい思いもしたけどそれでも私のイラン評が落ちるといったことはなかった。国というのが「政府」を指すのであればイランは割とクソだと思うが、個人的に国とは「人・民」を指すものだと思ってて、そういう意味ではイランは間違いなく素晴らしい場所でした。
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 2019年11月1日〜2019年11月6日 2023年12月6日〜12月12日 2024年1月18日〜3月5日
 走行日数61日間
 累計走行距離3216km(1回目293km・2回目178km・3回目2745km)(103464km〜103757km・144374km〜144552km・144552km〜147297km)

◎道路
 主要道路には基本大きな側道あるのが素晴らしい。私の走行したルートがそうだっただけの可能性もあるが、割と海側の道でも平坦路が続くということはなく、むしろ急峻なアップダウンが連続して大変な行程となることが多い。反面内陸部は標高1000m前後で割と安定している場所も多く、案外坂道で大変な思いをすることは少なかったのが面白い。流石に東アナトリア地域に入ると厳しい山岳地帯となるが、それでも2000mを越える峠は最後の最後まで出てこなかったので、2月の時期でも何とかなった感がある。
 メイン道路を外れると相当な急斜度の坂をお出まししてくる国であり、しかもそういうローカル道には側道が無いためやや怖い。というかトルコはドライバーの運転荒いので側道のない道は大体怖い。
 そんで町中の道も側道ないのが普通だけど、ある程度規模の大きな町なら自転車道があるのが救い。海沿いに位置してる町なら海岸線に沿う形で自転車道が造られているため分かりやすいが、そうでない場合は自転車道を見つけることが都市部走行の第一歩と言えるかも。なお車両は右側走行。
 ヨーロッパ諸国と比べれば路面の質は落ちたと感じるが、むしろこれだけ広大な国土で道路の数もかなり多い国としてはかなり頑張っているというのが個人的な印象か。完全に消えたワケじゃないけど旧市街でも石畳み出てこなくなったことも自転車的にはありがたい。
 総じて道路はかなり高いレベルで纏まっていると思うのだ。というか道路レベルが高いからトルコ人ドライバーの運転に我慢が出来ていたというべきか。

◎治安
 総じて治安的な危険は少ないように思われる。ただときどき出てくる小さな村とかの雰囲気がゴーストタウン一歩手前だったり排他的な雰囲気を感じたことはある。綺麗で先進的な町の中でも幼い子供が物乞いしてたりということもあり、あまり治安の良さを過信しすぎるのは良くないかな・・・とは思っていた。
 それと東部のシリア国境付近とディヤルバクルの町周辺は危険度が高いと外務省も注意喚起を促してる地域。実際に訪れたわけでないので危険云々をいえる立場ではないが、他に無数のルートがある中でわざわざ危険と評されてる場所へ向かう理由もないかと思った次第。

◎ビザ・出入国
 日本人なら90日までノービザでの入国が可能。陸・海・空とそれぞれ別の方法でイミグレーション利用したけど、基本的にどこも面倒なことはなくスムーズに出入国できたと思ってる。
 ただイランとの国境は逆方向で長蛇の列が形成されており、イラン→トルコの国境越えは割と面倒そうな印象を受けた。いや、キャプキョイの国境が基本混んでるだけかもしれんが。

◎交通事情
 悪い。これはヨーロッパの後だからそう感じただけで、実際にはよくある途上国の交通マナーとさほど違いはないのかもしれないが、相当自分勝手な運転してる車両に相対して腹立てることは多かった。
 まぁよくよく考えればクラックション鳴らしまくったり、反対車線を確認せずに追い越しを行う車両や後方確認せず突然ドア開ける運転手といった輩は途上国だと当たり前の存在であり、むしろトルコはクラックションを鳴らす車両の割合が少ないだけお行儀が良い国だと言えなくもない。少なくともこの国のドライバーは信号を守るし、横断歩道を通過中の歩行者に対しては停車して道を譲る良識がある。
 むしろトルコは歩行者の意識が相当に低い国であり、運転マナーの悪い国だと歩行者は危険を配慮した通行をしているものだがトルコ歩行者はそこら辺の意識が低く、平気でスマホ見ながら道路を横断したりする。すぐ隣に広い歩道があるのにわざわざ自転車レーンを横一列に広がって歩いてる人が大勢いたりとインフラを整備しても利用者の意識が追いついてない印象があるな。
 東部地域へ入ると片側2車線で側道も広い大型道路に対して交通量が非常に少ないため怖い思いをすることはほとんどない。最初ヨーロッパ側から入国したのでマナーの落差と交通量の多さにイライラしたが、先へ進めば進むほど印象が尻上がりにイメージ上がっていった国ではある。

◎特徴
 国内の東西で大分雰囲気が異なる国。その理由は幾つかあるのだろうが、東トルコはクルド人が多く住んでいるエリアだから・・・という点は間違いなくあると思う。基本的に西部の方が人口が多く町と町との感覚も短い。主要な観光地もそちら側に固まっており、全体的に裕福な印象を受ける。
 カッパドキアより東に入るとそうした光景に変化が生じ始め、特に警察の検問や軍隊の監視所などの数が一気に増える他、トイレも様式からアラビア式が主流になるとか色々。走ってる限りでそんな物々しい雰囲気は感じなかったが、ちょいちょい小さな町で商店が軒並み閉まっており人気が無いゴーストタウン1歩手前といった場所に出くわすことが複数回あった。
 なお日記本文でも触れたがクルド人とはトルコ東部、イラン西部、シリア北部等の通称クルディスタン地方に広く居住する「国を持たない世界最大の民族」と称される人たちのこと。言語もクルド語というのがあるそうだが、実際私があった人たちはトルコ語を使って意思疎通というか翻訳していた。彼らに言わせるとトルコ人はクルド人のことを嫌っており、悪く言う輩が多いとのこと。

◎気候
 緯度が日本と同じくらいなので日本と同じくらいの寒さだろう・・・というのはある意味間違っていない。これは実際にイズミールからメルスィンまでの南西部海岸線沿いなら、1月中の最も寒い時期にもかかわらず無理なく走ることができたし野宿も気楽なものだったし最高気温も20℃近くまで上がったりする日もあった一方で、山岳地帯に入ると気温も氷点下どころか地域によってはー10℃を下回ることもあったことから。日本だって暖かな土地と寒い土地で全然違うでしょ?という意味で。
 単純に国内東部の平均標高が高いので、東部に向かうほど寒さは厳しくなっていった感じであり、最後は3月に突入してたものの季節の巡りによる気温上昇よりも標高による寒さの影響が強かったと思っている。
 大陸横断系のサイクリストにとってトルコは割とベストシーズンに訪れにくい国であり、というのも東西のヨーロッパ・中央アジアの両地域は冬季走行が非常に厳しい環境であるため。これらの土地を夏の走行に合わせようとすると必然的にトルコ辺りで無理が生じて寒い時期での走行を余儀なくされやすい。そういう意味でトルコは寒さの厳しい東部地域であっても何とかギリギリ(1月前半とかを避ければ)凌げる環境でした・・・と言っておこうか。個人差あると思うので参考までに。
 なおこの時期の風は多くの場所で追い風か無風であったため割と楽して走行できることが多かった。全体的には北から南へと風が吹く日が多かったような気がする。

◎言語
 公用語はトルコ語だが、東部地域になるとクルド人の割合が増える関係でクルド語もよく使用されているらしい。なんか歴史的にはアラビア文字だった時代もあるそうだが、現在では一部読めない文字があるもののラテン文字が採用されており、何とか発音が分かる・・・こともあるという感じ。実際に東部地域を走った感覚としては、基本的に意思疎通はクルド人相手でもトルコ語を介して行ってたので全体的にはトルコ語が使われていると言い切ってしまっても構わないのかもしれない。
 英語の通用率はガクッと下がり、都市部や観光地はともかく田舎で英語話者がいたら相当ラッキーと思える程度の通用率。確率でいうと都市部や観光地以外では英語話者は精々5%といったところか。その割に外国人旅行者を見かけた際に話しかけられる確率は大きく上がったため、何言ってるのか分からないので身振り手振りで意思疎通をすること結構多かった。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 探せばそれなりに安い宿があるし、設備に関しては不満を感じるようなことはまずなかったトルコの宿。地方都市のホテルと都市部や観光地におけるホステルが大体同じくらいの料金なので、どちらかといえば個室で気楽にできる地方宿を利用することが多かった。具体的な値段は300リラ(約1430円)を目安にしていて、カッパドキアみたいな町ではこれより高め、メルスィンやヴァンではもうちょい安い宿に泊まっていた。
 ホステルを歌っていてもキッチンが無かったり、ドミトリースタイルかと思いきや複数のベッドがある1室で部屋を借りる料金形態になってたりとフェイントが多いため、チェックイン前にその辺しっかり確認した方が良い。
 なお利用した宿は全てWi-Fiが使えたし、速度も速くて安定しており宿でなくともWi-Fiの普及率は高いため普通にトルコ自転車旅行するのなら、simカードを購入してまでネット環境整える必要は薄い気もする。とはいえヨーロッパみたく町中でFreeWi-Fiが飛んでる場所は多くないし、あっても電話番号の送信が必要なタイプだったりして結局sim契約してないとネットが利用できないパターンは多い。素直にカフェ入るのが無難だが、所謂都会のコーヒー屋とかにはWi-Fiあるものの、田舎のチャイ屋みたいな施設ではWi-Fi設備ないのが基本なので注意が必要。
 今回私は以前のスマホが死亡し幾つかのアカウント引き継ぎに電話番号必要だったからsim購入したが、普段ならトルコはWi-Fiのみで走りきってしまう国だったように思う。simカードは大手3社が存在し、料金の高いメーカーほど広範囲に電波エリアが広がっている傾向にあるとのこと。私は値段が中間に当たるボーダフォンを契約したが、野営中に電波が届かなかったのは1度のみ。なお初期契約の料金は5000円以上してクソ高いと思ったが、以後のデータ追加は1月7Gというプランで750円ほどと安くなる。

◎動物
 特に東部は相当数の牛が放牧されていると聞いてたが、時期が真冬だったことが影響してかそうした動物の姿を見ることは滅多になかった。家畜としては牛とヤギを見かけることが多かった他、どう見ても鶏とは違うデカい鳥が彷徨いてるのを何度かみたけどアイツは何だったのだろう?
 そしてトルコを自転車旅行すると「犬が無茶苦茶危険な国だから気を付けろ!」と方々から聞かされていたので覚悟してたが、結論から言えば全然問題なかった。東部に入るとカンガルー犬と呼ばれるデカくて凶悪な犬種がいるらしく、しかもコイツらが徒党を組んで追いかけてくるという話。実際仲間を呼ぶのは真実だったが、そんな吠えまくりながら追いかけてくる凶暴性はそんなにない。むしろ西武で見かけた小型犬の方がよほどギャンギャン吠えてやって来た印象であり、デカくて強い犬はそんな吠えたりしないのだ・・・と諺通りのことを思ったり。
 こんなこと言ってるが地味に1度犬叩き棒が炸裂してたりするので、場所や時期次第でもっと犬の危険があるともいえる。

◎自転車店
 県都レベルの町ならかなりしっかりしたショップがあると思って大丈夫。下手な東欧諸国よりマラソンプラスが入手しやすい環境にあるのが嬉しい点で、西部の2大都市ことイスタンブール・イズミールのどちらもマラプラの在庫を確認している。聞いたところではトルコ国内にマラソンプラスの製造工場があるらしく、それが入手しやすさに一役買っているのかもしれない。
 ややマクロな視点で見ると、トルコより東部の中央アジア諸国は自転車ショップのレベルが下がるどころかまともにお店が出てこないと言われており、事実か否かはともかく東進を考えているサイクリストはトルコ国内で十分な消耗品を調達したり、交換すべき部品は取り替えておくに越したことはない。
 ショップの分布に関しても東部に向かうほど数が減る傾向にあるが、少なくともイラン手前に位置するヴァンの町ではしっかりしたショップがあったのでここで準備することは可能。

◎物価・食事
 インフレが凄まじいとされるトルコだが、実際2019年に訪問した際のビールが1本170円とかだったのに対し、2024年時は240円が最安だったので確かに相当値上がりしてるな。
 とはいえ食材自体はそれほどでもなく、自炊の場合は肉類さえ気をつけてれば1日の食費は500円を切るのも難しくない程度。むしろスーパーでの不満は食材の種類が少ない点にあり、トルコで食事作る場合は大体同じメニューになってしまったのが残念。
 それに対して外食は種類が幅広く揃っており、ファストフード系のケバブならば200円そこそこで食べれることも多い。個人的には大量の玉子を閉じて作るメネマンというオムレツっぽいメニューが好きだった。
 ヨーグルト文化も強く様々な物に使用されてるし、アイランというヨーグルトに潮見が加わった感じの飲み物はトルコでチャイの次に飲まれてる飲み物だと思う。甘味も様々な種類があるしナッツ類の専門店も豊富、かなり山の中でも魚介類が安く売られていたりと全方位隙がない印象。ただしトルココーヒーは基本的に粉末状態で売られているし、ローカルなお店で購入したコーヒー豆は大しておいしくない。そもそもドリップで淹れるタイプの豆じゃないのだと思う。あと有名なトルコの伸びるアイスだけど、あれを見たのは辛うじて観光地だけ。まぁ1・2月の寒い時期に走ってたので需要もなかったのかもしれないが、食べる機会すらなかったなという感じ。
 一般的にパン食が基本でスープや主菜系のメニューを頼むとパンは好きなだけ取り放題の形で付いてくる。米はピラウのがあるが、油をかけて炊いたり炒めたりしてるため日本のそれとは大分違う味。それと大抵の場合は食後にチャイを飲むか聞かれるのだけど、恐らくこれもメニューの中に組み込まれてるというかサービスしてくれてるみたい。少なくとも私は食堂で1度もチャイが料金に含まれていたことはない。というかトルコで100杯以上チャイ飲んだけど、チャイにお金を払った記憶がない。トルコにおいてチャイは人と相対した時最初に勧めるコミュニケーションツールみたいなものだと思ってた。
 食べ物や宿の物価の割に観光地へ入場料が尋常じゃないほど高い傾向にある。地味なところでATMの手数料も非常に高額な国であり、クレジットカード等においても同様らしい。要するに外国人から取れるところはどんどん取ってやれ!の強気なスタイルを取っており、観光立国として人気なことに国が胡座をかいているイメージがありよろしくない。その証拠に有名でない観光ポイントは料金も安いし何なら入場料など存在しない所もあった。
 とりあえず今現在もどんどんトルコリラの通貨価値は下がっており、それに伴う形で値段のインフレが発生し続けている状況なため、トルコは訪問直前に物価確認しておくのが正解だと思う。

◎総括
 程よく物価が安くて治安も良い、食事も美味けりゃ観光地も豊富で道路状況まですこぶるよろしい全方向に隙のない国。でもトルコの本当の魅力はそんなとこではなくて、そこに住む人たちの素晴らしい優しさとホスピタリティにあると思う。それは4年の時を経て遥かに物価が上がった2024年になっても変わらずあり続けてくれたこの国が誇るべきポイントだろう。
 英語の通用度合いが低いだとか観光地の価格が物価と比べてぼったくりすぎるみたいに決して文句がないとは思わないが、腹を立てることがあっても多くの人から頂いたチャイと共につまらない感情は飲み込んでしまい、そこにはトルコに対する感謝と喜びが残った気がする。
 恐らく自転車でない旅行でも充分楽しめる国であるが、自転車で走ると都会から田舎まで様々な人から声かけられてはチャイを飲み、お互い言葉分からないにも関わらずとても気持ちよくコミュニケーションが取れて別種の楽しさがあると思うのだ。そうした異国で自分と言う異分子が受け入れられてる喜びを存分に感じさせてくれるトルコは、また訪れたいと思わせるに足る良い国でした。
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 2019年11月18日〜12月1日
 走行日数14日間
 累計走行距離657km(104351km〜105008km)

◎道路
 これは非常に良いしレベルも高い。多くの道路で広い側道が作られてるのも好印象だし、路面の質自体も良かったり新しいキメの細かなアスファルトだったり。キングスハイウェイは割と側道のない場所が多かったけども、町を抜けてしまえば交通量自体が少ない国なので記念を感じることはほとんどない。なお右側通行。
 死海の沿岸部がー400mに迫る土地でありながら、東隣を山脈が連なっている土地のためこの区間で必ず1000m以上の坂を走ることになる。この区間の坂はかなり斜度が厳しく一気に標高を上げる道なのでかなり大変。ここをどうしてもスルーしたくば南端のアカバから徐々に山へと入っていくしか方法がないと思う。
 キングスハイウェイはその山岳地帯ど真ん中を通過するルートなので激しいアップダウンの連続で、体力的にはかなり大変。絶景が見たいとかならオススメするが単に楽して走りたいなら死海沿いを進むのが吉。
 私が走行した限りではそれほど大きくない小さめの道路でもしっかりしたアスファルトの道が続いてたりと無茶しなければヨルダン国内では何処を走っても問題がない印象を受けた。自転車で走るという1点においては素晴らしい国だと思う。この国の大変だったり面倒な点はもっと他にあるし。

◎治安
 かなり良い。都市部はイスラエルより安心感ある感じで、アンマンの夜でも外を出歩くことに恐怖感を感じないほど緩やかな雰囲気。というかイスラム教の国は夜になると活気を帯びるところがあり、人通りも多くなるため中東でも治安の良いヨルダンで夜に出歩き雰囲気を味わうのはリスク管理的にも良いのでないかとすら思う。
 アンマンの旧市街とか近場に廃墟が立ち並んだりしていて雰囲気悪そうだなと思ったし、そもそも私が利用したホテルがそうした場所の一角だったにも関わらずこの感想である。
 それに対して田舎はあんまり良い雰囲気を感じなかったというか、単純に貧困の度合いが強くてヨルダン人がアグレッシブに外国人へ関わってくることもあり、彼らが夜中にテントを見つけたりしたら割と平気で盗みを働くのではないかという不安が拭えなかった。外国人を財布としか思ってないぼったくり商売をする輩が田舎でやたら多かったのも要因の1つ。

◎ビザ・出入国
 一応入国にはビザが必要な国であり、日本人の場合は国境のイミグレーションでアライバルビザを取得することが可能。とか聞いてたのだが、実際には「そんなの良いから、はよ入国審査やってしまいな」と言われそれで普通にスタンプ押してもらえた謎。あとで調べたところでは日本人の場合ビザ発給はスタンプを押すことでビザも合わせて出ているという扱いになるため手続きは必要ないのだそう。でもビザがないと入国認められないというのは間違いないらしく、イスラエルとの国境であるキングフセイン橋国境ではアライバルビザが発給されない国境であるため事前にヨルダンビザを入手しておかないと入国やっぱり入国は拒否されるとかなんとか。なお出入国時荷物全てX線検査をされたのであり、かなりチェックに関しては真面目な印象。
 その他ヨルダンは出国時に10ディナール(約1540円)の出国税が必要となる。

◎交通事情
 少しでも前で動かない車両があると直ぐにクラックション鳴らしまくるが、運転自体は割と紳士的だった。流石に歩行者優先の意識は持ち合わせていないものの、歩道を歩いてる人や自転車に対しては煽ったりクラックション鳴らすようなことはしない。
 でもヨルダン人ドライバーは単純に運転がヘタクソというか、周囲が見えてないと感じることが多くて気が気でならない。アンマンでは眼前で交通事故起こしたのを見ているが、私の目から見ても明らかに注意不足の追突事故だった。速度も10km/h以下の低速だったし。
 何でか知らんが後方をほとんど確認せず車をバックさせるアホが多い。実は1度駐車エリアで立ち止まってる時バックしてきた車両に接触されたりしてる。幸いサイドバッグが掠れたくらいで済んだけども。片側2車線、制限速度80kmとかの高速道で道を間違えたからと平気でバックして分岐点まで逆走するような行動起こすので、やっぱり緊張感ある運転にならざるを得ない。

◎特徴
 外国人に対して商売の仕方が官民問わず酷い。個人レベルのぼったくりに関しては他項に記載してるので割愛するが、国レベルでも料金の設定やりたい放題。ヨルダン最大の目玉であるペトラ遺跡の入場料が外国人だと50倍というのはどう考えてもやり過ぎだと思うし、あこぎなことしてる印象は否めない。
 主要産業が少ないためどうしても観光業からの収入を多く取りたいのが透けて見えるというか、生活に伴わない関係の値段はどう考えても高すぎる。一例としてアカバからエジプトへのフェリー航路とかも54ディナール(約8300円)とエジプト側の逆ルートと比較して料金3倍以上する。

◎気候
 アンマン周辺は標高1000m近くあるため11月だとかなり冷え込む。日中は太陽光が強いのでそれほど寒さを感じないが、それでもアンマンの町で見かけた人でTシャツスタイルだったのは私の他だと白人系の旅行者のみ。ただし死海沿岸部は標高の低さが影響してかかなり暑い。あと南部のアカバまで移動すればおそらく冬でも過ごしやすい程度の暖かさが継続してると思われる。日中はTシャツでも平気だし、走っててもそれほど水分補給をすることがなく走れるのだがとはいえ湿度は非常に低い。洗濯物がよく乾く。そういうことを鑑みるとヨルダンのサイクリングにおけるベストシーズンは初春と晩秋の今の時期ではないかと思っている。
 雨・風に関してはそれほど気にすることがなかったというのが正直な感想で、毎日変わらぬ良い天気が続くため天気予報を確認することもなかった。

◎言語
 アラビア語である。文字からして紀元が全く異なってるのがよく分かるというか、日本人にとっては縁も薄いしもはや何にもわからない言語であったりする。ちなみに文字は右から左へ向かって読むらしい。
 とはいえヨルダンは英語教育が盛んらしく、私も実感としてかなりの人が英語での会話が可能だと感じた。これは割と小さな集落レベルでもそうだったので、ヨルダンの英語レベルは少なくとも日本なんぞより随分レベル高いのではなかろうか。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 都市部や観光地なら料金安くて設備もしっかりしたホステルも数多くある。アンマンでは1泊約600円、ワディムーサは750円とかの料金だったが、どちらも2段ベットじゃなかったし設備を鑑みると非常にコスパ良かったと思ってる。宿のネット速度が速いこともあって滞在するの快適だった。
 ただし都市部や観光地を除くとそもそもホテルの数が少ないし値段も上がるので利用はしていない。人の多い地域と過疎地域がハッキリ分かれてる国なので野宿は場所を選べば楽勝なのだが、私が走ったキングスハイウェイ周辺は集落が続くポイントが多く野営場所見つけるのはやや大変。
 なお小さな町ではネット環境ほぼ存在してない状況で、やたら沢山カフェがあろうと関係ない。むしろステッカーとかにデカデカとWi-Fiとか記されても実際にはネットできないなんてザラ。でも向こうは「Wi-Fiあるよ!」と悪びれもなく嘘付いてくるので自分で確認しないと騙される注意。マックにはFreeWi-Fiが飛んでいるのだが、そもそもこの国でマックはアンマンとアカバの2都市でしか見ることがなかったし。

◎動物
 砂漠地帯だとかなりラクダを見かけることが多かった。野生なのか放牧されてるだけなのかは不明だが、アラブ国の砂漠地帯でラクダの群れを観れるというのはある種の憧れる情景でもあり私は非常に嬉しかった。
 都市部に近い場所では犬も大人しかったり鎖に繋がれてるのが多いのだが、渓谷なんかでは放牧された山羊とかを追いかける牧羊犬が徒党を成して襲ってくる。しかもこのポイントが斜度のきつい上り坂なのでどうあがいても逃げ切ることは不可能なポイントであり要注意。
 それ以外だとこの時期でもそこそこ蚊が多かったかな。蚊取り線香買うこと無かったことからしてもそれほど大した数じゃなかったといえるが。

◎自転車店
 首都のアンマンですら先進的なショップはほぼ存在しない。私は旧市街を歩き回り数店自転車を扱う店を見かけたが、おもちゃ屋やスポーツ店が商品の一部として自転車を取り扱ってる店ばかりで、1つだけ自転車専門のショップも見かけたが商品ラインナップは古い型落ち品ばかりだった。
 そもそもヨルダン人で自転車に乗ってる人を全然見ない国なので、ヨルダンで自転車の部品交換やれトラブル対応するというのは相当厳しいことが伺える。できるならばイスラエル、そっちに向かうのが難しいならエジプトのカイロまで移動して対処するというのが現実的ではないだろうか。

◎物価・食事
 物価という点ではそりゃ間違いなく安い。イスラエルから来たら感動できるレベルでもある。地元の食堂とかなら1食100〜300円とかで食事できるのが嬉しいところ。ただこの国は物に値段が表記されてないことが多く、運よく書いてあってもアラビア文字だったりするためアラビア数字覚えてないと意味がない。
 競争激しく多様な人間が入り混じる首都のアンマンでは商品適正価格で販売してる場所が多いし、法外な料金請求されたら別の店を選ぶという手段が取れるので割安で生活が可能。これに対して小規模の村だったりワディムーサみたいな観光地ではとにかくぼったくりが横行してるのでタチが悪い。
 村とかだとお店が1件しか無いのでボラれても「じゃあ他で買うよ」とできないのを向こうも分かってるため外国人だと見るや平気で料金3倍くらい請求してくる。ワディムーサに関しては商店が結託している様子で文句が出にくいようレジに通したりレシート出したりする反面、商品値段は手打ちで設定し料金を釣り上げるという手段でぼったくりしてる始末。
 この他にも観光客向けのレストランでは勝手に水やジュース、ヨーグルトとか出してきて追加料金を請求するとい手法が横行してるため注意が必要。全体的にヨルダンは外国人旅行者をカモとしか思っていない節があると感じる。
 トルコ料理の影響が強いのかここでもケバブ系のファストフード店は多い。イスラム教の関係で豚・牛肉はあまり流通しておらず、マクドナルドにも鶏肉っぽいハンバーガーが販売されていた。その他コーヒーがやたら人気でトルコ方式のお店もあればヨーロッパ風のコーヒー店もよく見かける。これに加えスイーツ店がやたら多いため「甘い物とコーヒー」という黄金パターンがそこかしこで見られてもオカシクないだろうに、そんな光景全然記憶にない。
 イスラム教の国なのでアルコール類は一般のお店で販売されておらず、ある程度の規模の町ならリカーショップがあってそこで購入可能。ただし税率無茶苦茶高くてビールロング缶1本で600円くらい。このためヨルダンでアルコール飲むのは対費用的に得策ではない。どうしてもヨルダンでアルコール安く飲みたい場合、アカバの町が免税特区なのでこの町ならば同ビールも1本150円くらいまで値下がりする。

◎総括
 かなり田舎でも外国人スレしてる酷い対応を受ける一方で、多くの人から驚くほどの親切を受けたのも間違いない。喜びと怒りの振れ幅が大きく疲れる国ではあったけど、こうした良くも悪くも特徴的な国というのはなかなか先進国では味わうことのできない出来事が多くポジティブに考えれば旅行するにおいて非常に新鮮な出来事に相対できる面白い国であったといえる。外国人として絶対に住みたくない国だとも思ったけど。
 国土が小さくまた北・東部の隣国がシリアやイラク・サウジアラビアといった入国に難ある国のためルート的にバリエーションも少なかったが、サウジアラビアビザが解禁されたこともあるしもうちょい南東部へ走ってみるのも面白かったかなとは思う。
 とりあえず私が今まで訪れた国の中でかなり面倒臭い系だったことは間違いなく、そういう意味で割と上級者向けの国だったと思っている。これで大変とか言ってたらアフリカ諸国大丈夫なのか?とも思いつつ。
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 2019年11月7日〜11月18日
 走行日数12日間
 累計走行距離594km(103757km〜104351km)

◎道路
 素晴らしい。主要道路には広くてしっかりした路面の側道が作られており、走行する分には全く危険を感じることがないレベル。どっちかと言えばその主要道路がどれも高速道路チックで景色的な変化に乏しいとか道路じゃないところに文句が出てしまうほど郊外の道ではノンストレスでの走行が可能。
 よく分からなかったのが、高速道路って世界共通で緑地の看板で一般道路は青地看板だと思ってたのだが、イスラエルではこれが混在していたと思われる。明らかに一般道路なのに緑地の看板が出てくると「ここって高速道路なんか!?」と不安になるのでよろしくない。あと高速道だったとしてもイスラエルは側道を自転車で走ることは問題ない国らしい。ネズミ捕りしてる警察車両の前を普通に走ってて何も言われないどころか手を振られたくらいだし。
 大きな町になると側道が消えて歩道を走らなくてはならない道が増えるのだが、ときどきスロープ状になっておらず歩道への乗り降りが大変だったりする。あとイスラエルの信号機は中央分離帯を挟んで手前と奥の信号が別のタイミングで切り替わるため、信号を一気に通過できないことがある。
 死海の標高が低いのもそうだが、それ以外にも割と山あり谷ありの国で地中海沿岸部から離れると結構な山岳地帯が多い。私が登ったところではエルサレム周辺で標高800m程度だったが死海からのアップとなると−400mスタートなので数字以上に登らされるので注意。

◎治安
 単純な暴漢に襲われるといった点に関する治安はそれほど問題ないと思う。ただエルサレムを筆頭にやたら緊張感が高い雰囲気を感じる国で、やたらと沢山ある検問所だったりエルサレム旧市街の住宅街では1階部分に窓が存在してないとか町中が監視カメラだらけ等々警戒心が異様に高い。市民が自らに危険が降りかかる可能性を現実的に直視してるのだと思わせる意味では「治安は悪い」というべきなのかもしれない。エルサレム旧市街の何かが崩れたら一気に危険なことになりそうな独特な緊張感は確かにあると思う。
 あとはパレスチナ区域だけど、ガザ地区はともかく死海に向かうとヨルダン川西岸地区の一部区域に突入することとなるので気になってたけどさ。少なくとも死海沿岸部と国道1号線に関しては他の場所と違いはないように思った。

◎ビザ・出入国
 これは面倒臭い。入国時に聞かれたのは通り一遍のことだったけど、係員の態度がやたら横柄で「マジで入国拒否されるんじゃ?」と一瞬とはいえ思わせる雰囲気があった。あと現在ではイスラエル入国に関してパスポートにスタンプは押されず、代わりに顔写真が印刷された証明書みたいな用紙を渡される。これを出国時に返すというシステムである。
 これは有名な話だが、イスラエルの入国履歴があると敵対してるアラブ諸国に入国できなくなるという問題があるためで、これを回避するため一昔前まで「パスポートにイスラエルのスタンプ押さないで」とお願いするのが世界周遊旅行者の常套手段だった。この問題を解決するための措置ではないかと私は考える。
 なお日本人の場合ノービザで30日間の滞在が可能だが、国を抜ける際に出国税として合計107シェケル徴収された。なんか出国する国境によって料金が違うという話もあるらしいが詳しいことは知らん。
 他の国境は知らんがシェイクフセイン橋の場合は国境を自力で越えることが出来ず、イミグレーションに付随してるバス停で待つ必要がある。300mとかその程度の距離で5シェケルか1ディナール(約150円)とアコギな商売してやがると思うし、バスがどのタイミングで来るのか時刻表もないし私の場合は1時間以上待たされたことからそれほど頻繁に行き来してないことが伺える。何から何まで面倒臭い出国となったが、これでも中央のキングフセイン橋国境より随分とお値段安くて審査も簡単らしい。

◎交通事情
 アラブ系の人たちは遠慮なくクラックション鳴らしまくり。狭い隙間に突っ込んでくるし無茶な運転なんのその。それに対してユダヤ系の人たちは多少クラックション鳴らすクセがあるものの、歩行者優先だし安全な運転をしてくれる。
 つまり運転マナーの良い人たちと悪い人たちが混在している国のため、テルアビブのマナーが良いからとそんな気分で気軽な運転を続けてると危ないということでもある。普通1つの国でここまで運転マナーが異なることって無いと思うだけに、油断しやすい環境で普段以上に注意が必要だよなコレ。
 あとテルアビブの町だと電動バイク系が平気で歩道爆走したり信号無視や狭い隙間をすり抜ける危険運転してるため、車両よりもコイツらへの危険が高い。電動なのでエンジン音しなくて近づいてきてるのかも分からないのであり、こんな厄介な乗り物普及させるなよ・・・ってのは自転車乗りの意見なんだろな。

◎特徴
 キリスト・ユダヤ・イスラム3つの宗教における聖地を内包しており、特にエルサレムの町にそれが集約されている。これに先住民であったパレスチナ人の問題もあったりと、国として様々な問題を孕んでいるのは間違いない。それを体現してか警察や軍隊の人間を異様に多く見かけるし、イスラエル人は男女問わず国民全員兵役の義務がある(除くアラブ系)。パレスチナ地域では小さな村の出入口でも検問所があったりと警戒してる様子が様々な点から伝わってくる。
 なお基本的にユダヤ人の国なので、祝日が金曜の午後から土曜の日没までとやや珍しいタイミングで行われる。土曜日の夜になるとそれまで閉まってた商店が営業始めるのはちょっと面白い。 

◎気候
 基本砂漠の国なので11月の乾季で雨が降る心配は要らない。ちょっと内陸部に入ると一気に乾燥した低湿度となるため気温が高くても割と凌ぎやすくある反面、水分の消費量が跳ね上がったな。
 かなり強い風に吹かれていたが地中海の沿岸では地中海側から、それ以外は東からや北からの風が多かった。死海の地形的な影響とかもあるのかもしれん。
 標高高い場所では日が落ちるとかなり冷え込むため、夏スタイルの服装で呑気に過ごしていると驚くほど寒くなり慌てることになる。やっぱりね、標高による気温の違いってのは如実に出るものなんだって思ったよ。死海の標高で野宿した時には寝袋使わずに寝てたくらいだもの。

◎言語
 公用語がヘブライ語とアラビア語。テルアビブ及びユダヤ人が住んでる地域なら多くの人が英語も話せる。逆にアラブ系の人が住んでる地域だと英語通用度はガクッと落ちる。
 道路看板等には公用語2種類の他に英語表記もされてるので何とかなるが、一般商店とかだとヘブライ語のみというのが多いため何書かれてるのか全く理解できない。基本的に大都市や観光地ほど英語表記率が上がるため、僻地だったり小さな町に行くほど難易度が上がる。
 そうはいっても国土小さな国だしある程度移動すれば大きな町がある感じで、よっぽど僻地にでも行かない限りは英語1本で平気だと思う。何だかんだアラブ系の町でもユダヤ人見かけたし。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 主要観光地にはホステルが散見されるけどまぁ値段的に安くはない。テルアビブのホステルなんか最安値で1800円オーバーだったし、完全に先進国でも高い方の料金だよな。サービスも良いのでコスパ的に悪いということはないと思うけど、周辺諸国と比べてイスラエルだけが異色であることは間違いない。
 そんなワケでインフラにしても設備にしても無茶苦茶整っているためネットも速かったし、主要な町では町のサービスでFreeWi-Fiが飛んでたりもした。アメリカと密な国なのでハイウェイ沿いによくマックがあり、こちらでもネット利用できるし。一般的なカフェやれレストラン系の施設にはWi-Fiサービスあるようだが、とにかく物価高くてそういった店に入ることなかったため、この点についてはよく分からん。
 そうそう野宿についてだが、やっぱり危険なイメージつきまとう国ということもあって不安を覚えていた側面があったものの、テルアビブとエルサレム以外の就寝を全て野宿で済ます程度には平気だった。墓地の脇で野営した時なんかは朝に管理人が来て見つかったけど「全然問題ないぞ、良い旅行をな!」とか言われたのであり、割と旅行すること自体に寛容なイメージを持った。無料のキャンプ施設もあったし。

◎動物
 砂漠地帯ということもあってかハエが多い。ザ・大都会という感じのテルアビブでも普通に周辺をハエが飛び回って来る。それ以外に郊外だと蚊と蟻が結構な数いるため、特に野宿する場合はテント張る場所と食料の置き場を注意してないと蟻にたかられることとなる。
 あとイスラエルの人はやたら猫が好きで、それだけなら別に構わないのだがホステルなんかでも普通に猫を飼っていたりする。そういう境遇の猫なので宿泊者たちからおこぼれ貰いまくっており、食事してるとせがんでくるし剥き身で食事を放置してると取られてしまう可能性がある。可愛いからって何しても許されると思うなよ?

◎自転車店
 ユダヤ人が多数を占める町なら先進的なショップが数多くある。テルアビブで足回りのパーツを一通り交換したけどスタッフ親切だったし腕も良かったと思う。なおシェワルべのタイヤもちょいちょい見かけたけどトルコでマラソンプラス揃えてしまったので細かいタイヤの種類までは確認していない。シュワルベ直営店もあるみたいなんだけどね。
 なおイスラエルの大都市では電動キックボードや電動式自転車の需要が高く、そうしたバイクに強い傾向のショップも多数見かけた。この手のお店はスポーツバイクへの対応全然できない感じのため、全体的にショップレベルの差が激しいと思う。ちゃんと住み分けができているとも言えるか。

◎物価・食事
 高すぎる。物価安い国の周辺で1カ国だけ高い国というのは幾つかあるが、この国は「周辺諸国と仲が悪い」という特徴からかなり色んな面で割を食ってると思う。周りが産油国だらけなのにガソリン回してくれないのだろうことが想像できる料金とかさ。
 恐らく物流に関してもアメリカ頼みになってる部分が強いのではという気がする。というのも技術力が高かろうと国土の大くが砂漠であるイスラエルでは自国で生産できる農作物がそれほど多くないだろうし、物価高い先進国で頼みの綱となるスーパーのホームブランド商品という物がほぼ存在していない。輸入に頼るしかないのかな〜と思っちゃうよね。まぁ北欧ほどではないにしても、西欧よりよっぽど物価高の国であった。
 なおビールは最安値で1本150円強から見かけたが、アラブ系の商店では当然扱っていないしあんまり飲む機会に恵まれなかった。ということでイスラエルではコーラばっかり飲んでた印象が強い。
 ちなみに自転車ショップで交換したクランクセットは値札表示699シェケルだったのを299シェケルにまけてもらったので購入したのだが、クランクセットの値段ってDeoreで1万円ちょっとくらいのイメージであり、大幅値引きしてもらって約15000円というのは何とも恐ろしい。

◎総括
 日本からすると国際ニュースでしょっちゅう騒ぎを放送している危険な国という印象を持ってたが、多様な民族が混在しつつも危ういバランスで成り立ってるという、他の国ではなかなか味わうことが難しい独特な国であった。
 そうした背景もあって出入国を始めとした面倒な点も多い国ではあるが、小さな国土の割に観光も宗教も人の良さもギュッと詰め込まれてるイスラエルは非常に印象深い国となった。物価の高さ故に急ぎ足での旅行となってしまったが、それでも有名どころを一通り回れる程度のコンパクトな国というのは自転車的にも相性良いと思うのですよ。
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