自転車ときどき世界1周

カテゴリ:日本1周 > 中国・四国地域

 テント泊は起床の時に注意するべき点があるのであり、それがテントに付く水滴である。うっかりテントを押してしまうと外側の水滴でびっしょりのフライシートに触れてしまいダブルびしょびしょ、これがシュラフだった日には朝からトリプルびしょびしょなのである。

 今日のテントはいつにも増してずぶ濡れであるため、タオルで水分を拭き取ってしばらく天日干しさせてやることになるのであり、全くもって手間がかかって可愛い奴である。テントにも名前付けようかなと思うのはこんな時だが、考えるのが面倒なのでやめた。

 昨日の夕食を買ったスーパー「主婦の店」がある町の赤穂(これでアコウと読むのに驚き)を越えて、国道250号を今日も私は走り続けるのである。

 私は山の上から遠くを見下ろすのも支配者の気持ちになれて好きであるが、坂を登るのが大変なので基本的には海沿いの道を好んで選択する傾向がある。特に瀬戸内海の海辺の景色は特筆モノであり、よっしゃ海沿いで進むんだぜと意気込んでいたら道を見落としてしまい、特に楽しくもない国道2号線を使って岡山県庁に到着するのである。

R0045386
 県警本部と同じ庁舎なのでエラくでかい建物

 私が出会った自転車で旅をする人達のは、どうやらスマホを使ってナビゲーションをしながら走っているようだが、私は昔ながらの地図を使った走行なのであり、迷いながら悩みながら道行く人に尋ね続けて旅をしている。すでに道を尋ねた人の数は軽く三桁を突破しているのであり、その全ての人達が気持ちよく答えてくれるあたり私が如何に好青年でカッコいいかの証明であることに相違はない。

 そんなことはどうでもいいのだ、大切なのは四国へと歩を進めることなのであり、高松へとフェリーが出ている宇野港へと移動である。

R0045390
 どうやら宇野でサーファーの地位はクラゲやヒトデの下ということらしい

R0045387
 岡山の桃太郎の存在感 犬・猿・雉の縮尺がオカシイ

 1時間に1本の間隔でフェリーが出ているのだが、瀬戸大橋の車の通行料金より安いのはなんだか納得いかねえ気もするな、いいけど。

 いよいよ本州との別離であり、新たな地の四国へと私とロシナンテ号は渡っていくのである。私は今、本州から飛び出している!そうした感動的な瞬間であり、あんまり嬉しい私はサボっていたブログ記事をシコシコ書いているのであり何やってんだ。

R0045395
 実は鯉のぼりは色々な地域で見かけた

 うどん県ならぬ香川県に到着であり、下調べ何もしていなかったのでフラフラと走っていると香川県庁前に出る始末。目的持たずに県庁に出くわすのは始めてである。

R0045407
 内心は日が暮れ始めてて何処で寝ようか焦ってるの図

 さて野宿場所探すかーというところで自転車日本縦断の方と出会う私である。良い野宿ポイントである公園を教えていただき、早速そこへ向かう私なのであり一体自転車旅行者ってのはどんな会話しているのか察してもらえると幸いである。

R0045401
  公園で合流するはずたっだのが以下の事情で申し訳ないことに

 首尾よく公園を発見したので手近なお店で夕食を先に済まそうと入店。結構このパターンは多いのだが、他のお客さん達と一緒になって食事を楽しむ私である。

 「自転車で日本1周中、凄いわねー」
 「いやぁそれほどでもありますがガハハハ」
 「寝る場所なんかはどうしているの?」
 「いやぁ野宿がほとんどですよガハハハ」
 「じゃあ家に来て泊まりなさい」

 ・・・・・ん?

 「それからココの代金は良いからね、家に着いたらビール飲むでしょ?」

 ・・・・・ん?

 「洗濯物があったら出しといて、あと明日は一緒にさぬきうどんを食べにいくよ」

 えっと、その、あまりの急展開にボケることすらできずにお礼の限りで恐縮な私である。数時間前まで公園のチェックをしていた私は今、豪邸でビールを飲んでいるのであり、人生ってわかんねぇ

 深夜1時までアルコールにまみれた挙げ句就寝。四国は楽しくやっていけると確信した初日である。

 5月2日(金) 走行距離106km 岡山県庁・香川県庁到着 15/47
    mixiチェック

 起きたのは羽毛布団の中。昨日の奇跡的な展開はどうやら夢ではないようであり、私は知らないうちにどんだけ人生の徳を積んでいたのだと恐ろしくなったりする良い朝である。

R0045410
 お世話になりましたん

 朝食も用意してもらった上に有名な讃岐うどんのお店に連れて行ってもらう。なお車での移動であり、車種がジャガーなのは些細なこと、ってそんなわけねぇ

R0045412
 この豪華なうどんをご覧ください

R0045413
 見つけてゲラゲラ笑ってたらプレゼントされました

 こうした食事をするにあたって、遠慮してあまり食べないことの方が失礼にあたることは、ちょっと考えれば分かることであり、礼を逸しない私はありがたくバクバク食べさせてもらった。・・・・うめぇ

 色々良くしてもらった上に「今日も泊まっていきなさいよ」と言われてしまう私であったが、ここで甘えてしまうと骨の随まで吸い尽くしてしまいそうな気がするのであり、丁重にお断りさせていただいた。四国はお遍路でまたこの近辺を走るのであり、その際にまた伺うことを約束して出発。出会いとは素晴らしいですね。

 さて、もう何だか走りたくない気持ちであったりもするのだが、四国最北端の竹居観音岬を目指すのであり、そうだったそういえば今私は自転車で日本1周の最中なのである。

R0045420
 というわけで到着

 この岬に到着するまでに激しいアップダウンを10回近く越えていたりするのだが、文章で書くと一瞬なのであり道中の苦しさや楽しさは走っている者にしか味わえないんだぜ良いだろう。誰か変わってやっても良いんだぜ、むしろ変わって下さいお願いします。

 さて、私は自転車と同様に好きな趣味の1つに登山があり、様々な山を登ってきたアルピニストでもある。そんな私が香川に日本一の山があると聞きつけて望まないわけにはいかないのであり、どんな冒険が待っているのかワクワクするぜ。

R0045426
 というワケで登頂である

 なかなかの山であったが私にかかればこんなもんだ。日本一低い山こと御山をここに落とした瞬間であり、私も大変感慨深い。標高にして3.6mであり、まったくもって良い山であった。

R0045427
 というか探す方が大変だったり 

 それでは明日から私は四国八十八ヶ所お遍路を実施するのであり、1番札所である霊山寺付近のキャンプ場(無料)で宿泊。明日には菅笠と白装束にメタモルフォーゼであり、皆様私へのお接待については、お遍路の最中だけでなく何時でも受付しておりますのでどうぞよろしく。

 5月3日(土) 走行距離 106km 武井観音岬到達 2/18
    mixiチェック

 日の光で目を覚ますのは気持ちがいい茶壺です。今日も5時半には起床してちゃちゃっと準備。準備していて靴下が一組見つからないことに気付く私である。

 すわ、昨日の温泉に置き忘れたと朝6時台にも関わらず強襲・突撃するのであり、幸運なことに従業員の人がいて本当に良かった。事情を話して内部を確認させてもらう。昨日温泉に入りにいった時に靴下は履いているのであり、帰り道はサンダルであったことからこの施設内に落としているのは確実だと確かな筋からの情報が入っているのだよフフフ。

 ・・・ない。え、何で?1日履き潰した良い香りがする靴下を持っていくようなフェチが香川県にはそんなに多いのか。

 どういうことなんだと腰に手を当て悩んでいると、右手に違和感を感じるじゃないですか。何だよまったくと確認してみると綺麗に丸まった靴下がががが。

 あんまり恥ずかしいので従業員の人には、しどろもどろの説明で忘れ物箱の奥から見つかったことにしてようやく出発であり、朝からマヌケなドラマを繰り広げている私である。

 早速今日からお遍路なのだぜと思っちゃいるのだが、地図を眺めていると良さげな斜張橋が先にあるとのことで寄り道。こういうのが時間に縛られない旅の良いところである。

R0045431
 しかし思った程ではなかった

 さてさてお遍路である。お遍路って何?とか思うような日本人は殆どいないと信じているが、私の知り合いのH氏の独断と偏見で語るならば、四国全土を使ったスタンプラリーであり、88カ所のチェックポイントと20カ所のシークレットポイントを廻ってコンプリートを目指す一種のゲームみたいなものだ。

R0045441
 基本的に周回数が多い廃人プレイヤーほど尊ばれる傾向があり、規定の周回数を越えると特別なご褒美を身につけて廻れるなど、ネットゲームの根幹は大体お遍路から学んだものと思われる。

 初心者である私は基本の88カ所を打つのが目標であり、結願(けちがんと読む)達成に向けて大いに修行をする気満々な敬虔な殉教者であるといえる。

R0045434
 しかし車で遍路する人が多いのにはビックリ

R0045435
 1番札所霊山寺で遍路用具を取り揃えて、いくぜお遍路に出発だ!

 ちなみにお遍路は寺が固まっている地域と離れている地域があり、1kmも移動しない場所もあれば80km以上の距離を進むところもある。標高900m以上の山の上に立つ寺とか嫌がらせ以外の何者でもないのであり、人生と同じで楽なところもあれば苦しいところもあると含蓄のある言葉を吐いたりする私である。

 私らしいことをいわせてもらえば、Mの人間は本当に羨ましいと思ったのである。辛い坂も楽しく感じられるし、楽な場所も楽に進むことができる。苦もあり楽もありの人生で楽しい瞬間ばかりなのであり、なんていうか最強っていうのはこういう人間のことをいうのかもしれないと思った次第である。あー羨ましい

R0045456
 休憩小屋が道々に立っていて本当に優しい

 というわけで2番から11番札所までを一気に打つのである。10番札所ではうどんの無料配布というお接待を実施していたりして、大変に美味であり私はやっぱり楽だけを体験していたいと思った。

 12番の焼山寺が最初の「へんころがし」と呼ばれる苦行となる行程であり、是非とも地図で確認してほしいのだが山の上じゃないですかー。何なの、馬鹿なの?何でこんな山を荷物満載の自転車で登らなきゃいけないの?と大変ワクワクしており、明日のメインイベントに戦々恐々の私である。

 11番札所、藤井寺の側にある善根宿(お遍路の人が無料で宿泊出来る施設)で同宿の人達と話す。私が思っていたよりも若い人が多くてちょっと意外である。

 しかし良い施設であり、これが無料とは素晴らしい文化だ

R0045462
 同宿の人達と

 5月4日(日) 走行距離94km 1番〜11番札所 11/88←new
    mixiチェック

 畳の上での起床は気持ちが良いものであり、やる気に満ちあふれた朝を迎えられるというものだ。雨でなければ。

 つまり朝から雨が降っているのであって私はそんな中を走りたくない。雨が降っている日は仕事だってしたくなかった私であり、むしろ晴れている日は外に出て遊びたくなるのでやっぱり仕事はしたくなかったのだが。

 まぁ仕方がない。人は天候には勝てないのであり、こういう日に出て行くことなどないではないか。雨がやむまでは勇気ある停滞を決め込むことにするぞ。そうしてなけなしの気力を振り絞ってダラダラしていたのであるが、どういうわけか同宿の人達はこの雨の中1人、また1人と出発していくのであり、私としては自然に逆らってはロクなことがないと思うのだが全く歩き遍路をするような人はやる気が違う。

 私としては1日中ここで戦略的停滞を決め込みたかったところではあるが、そもそも善根宿とは移動を繰り返すお遍路さんに対して作られている宿であり、連泊を基本的に認めていないのである。しかも雨まで止んできてしまったではないか。これではダラダラする理由がないのであって、背中を押されるように出発に踏み切ったころには13時をとうに過ぎていたりする。

 よっしゃ、それでは今日も頑張って走っちゃうぞ、なのであり気合いに満ちあふれた私はオススメとされる県道20号線なんぞ使わずに梨ノ峠という山越えルートを選択してしまうのだぜ。自転車乗りたるもの常に上を目指して生きていく気概である。

R0045463
 まだ半分

 ゴメン、無理無理。誰だよこんなアホみたいな峠を通るとかいった奴。わざわざ坂があるキツい道を選ぶとかオカシイんじゃないですか?

 そんな泣き言を言いつつも梨ノ峠をどうにか攻略。やってやったんだぜ。私にかかればこんなもんなんだぜ。

R0045464
 お遍路さんかと思いきや案山子

 どっこい今日の本番は12番札所の焼山寺であり、出発が遅いこともあり納経所が開いている17時に間に合うか微妙な感じになってしまったじゃないですか。ちゃんと先のことを考えて行動しないと痛い目をみるのである。あっはっは

 そんなわけで厳しいと有名な焼山寺の坂を制限時間付きのヒルクライム開始である。しかも自転車は荷物満載。この焼山寺へと登る坂、どう考えても平均斜度が10%を越えているような坂であり、しかも平坦地がほとんどない。要するに無茶苦茶キツいじゃないですかー

 あんまりキツすぎてマトモに登ることができないのに刻々と制限時間は迫ってくる。流石に無理だと判断して荷物を道沿いの掘建て小屋にデポ。これで約50kgの減量なのであり、よっしゃやったるでーと再び登るがそれでもキツいって何なのん?

 どうにか15分前に駐車場に到着。さすが、やれば出来る子、私。しかし足が限界過ぎて本堂までの移動に走ることすらできない生まれたての子鹿状態なのである。

R0045473
 よくこんな坂登ってきたな

R0045472
 納経した時点で終了時刻2分前とか劇的すぎてもう2度とやりたくない

 楽しい登りの後は楽しい下りと思いきや、斜度が急すぎて荷物を積載した後の自転車ではブレーキ掛けても止まれない。ドキドキしながらやっとの思いで道の駅に到着し野宿。へんころがし恐るべし。

 5月5日 走行距離60km 12番札所 12/88
    mixiチェック

 昨日宿泊した歩き遍路の人とまさかの再会を翌日の道の駅(寝床)でする。個々が思い思いの旅をする中で繋がり合うこうした出会いは素晴らしいものであり、自転車と歩きで何度もニアミスすることから、私の旅を寄り道ばかりだとか休んでばかりなどと評してはいけない。無理して急ぐことが正解ではないことを私は理解しているのである。

 昨日の焼山寺以降は距離が離れてはいるものの大変な坂があるわけでもなし、楽しいサイクリングの時間である。

 そんなことを思っていたら大変なヤツを発見してしまう私であり、危うくキャトルミューティレーションされてしまう危機を脱したのである。

R0045478
 どう見たってUMAである

R0045480
 全くもって侮れない四国であり、こちらではまだ幼い子供が強制労働に駆られている

 そうした光景を背にして13番札所の大日寺から17番札所、井戸寺までを一騎に打つ。その後に忘れちゃならない徳島県庁での到達証明と、ああ忙しい、忙しい。仕事がない割に日々のスケジュールに全く暇がないとはどういうことなのだろうか?

R0045489
 看板を見つけるのに苦労した徳島県庁

 さて、なんだかデジャヴを感じるが私はサイクリストでもありつつアルピニストでもある。そこに山が存在するのであれば望まないわけにはいかないのであり、ましてやそれが「日本一」と名のつく山を制覇しないわけにはいかない。これは山屋の業みたいなものであり、私としても新たな山を制覇してやろうという強い気概が溢れて止まない。

R0045495
 というわけで登頂

 これが「自然に出来た日本一低い山」であり、数日前の日本一の低山と一体何が違うんだよ!と問われれば、むしろ私が知りたいわ。ふと隣を見ると2階建ての家より低い標高6.1m。

R0045496
 こうして弁天山も落とした私であり、今年は既に2つの日本一と呼ばれる山を制覇して大変気持ちがいい。

R0045499
 気持ちがいいので更に寄り道をすることタヌキである。

 このタヌキ、ただのオブジェではなく本気になると周囲から水を沸き起こす能力を持っており、もうちょっと大きくなるのであれば私の巨大建築物ランキングでもかなりの上位を狙えるなかなかのマヌケっぷりが素敵である。
R0045502
 
 おっと、そういえば私はお遍路の最中であり、何で四国はこんなに面白スポットが多いんだ。全然お遍路が捗らないではないかと大喜びしていたのであるが、18番札所の恩山寺でお遍路サイクリストと遭遇。どうせ行き先は一緒なのでしばらくペアランといいつつ前を引いていただく。

 自転車で前を走ってもらうと空気抵抗の関係で、後ろについたサイクリストは普段の6〜7割程度の力で走行することができるためとても楽なのであり、よっしゃ私が後方は全力で確保する!

R0045510
 前方は任せたー

 というわけで急激にペースアップし19番立江寺をあっさり通過。このまま一気に20番札所の鶴林寺をやっつけるぜ!とか思ってたらウルトラ激坂。後で聞いたのだが、坂の角度がスキージャンプの角度と同じくらいらしくて、そんなもん登れるか!なのである。

 2人して限界なのでトボトボと自転車を押して進む。BGMで流れているアニソンが哀愁を誘う今日のハイライト。

R0045513
 どうにか17時前ギリギリに到着して記念写真

 道の駅まで移動して野宿するサイクリスト2人。そういえば四国に入ってからというもの毎日誰かと酒盛りしている私である。

 5月6日(火) 走行距離94km 13番〜20番札所 20/88 徳島県庁到着 16/47
    mixiチェック

 誰であろうと朝というのは忙しいものであり、大概の場合は時間に追われて準備をしているのである。私も例外ではなく朝は寝具の収納から始まってめまぐるしい作業をこなしている。それもこれも時間に余裕が無いからであり、しかし今日は7時に動き始めるロープウェーが動くまで出発することがない。これこそ余裕で優雅な朝というやつであり、ゆったりと準備をしている私である。

R0045520
 ゆったりしすぎて1本逃したロープウェー内

 21番札所太龍寺の山頂から少々異常ともいえる斜度の坂を下って22番札所の平等寺を打つ。平地での走行は本当に楽なのであり、こうした日々がずっと続けば世界から戦争がなくなる日も近いと思わずにはいられない。

 ペアランしていた石川君はお遍路の札所を回るので、四国最東端を目指す私は一度ココでお別れである。それなら宍喰の道の駅でまた会いましょう、と約束をして別々の道を進む←フラグ

 四国最東端への道は多少のアップダウンはあれども快調に進んでゆき、11時前には到着。これが蒲生田岬であり、丸っこい山の頂上に立っている灯台はなかなかの風情がある良い岬だ。
R0045528


R0045534
 四国最東端へ到着の図

R0045531
 ただ海岸線が広がるのみ

 さて思っていたより早く到着したことに気を良くした私は、「同じ道を通って帰るのは面白くないではないか」という至極当たり前の気持ちから半島の南部を通る峠越えの海岸線に目をつけたのであり、何となく想像していたがこれが滅茶苦茶キツい坂で早くも恨みつらみのヒルクライムとなるのである。

R0045539
 でも昼ご飯は超豪華

R0045540
 線路を歩いて死体を探しに行ったんだ

R0045541
 坂はキツいけど景色は美しい

 どうにか23番札所、薬王寺を打った時点で走行距離は90km越え。もう今日は隣の道の駅でテント張って休みたい私であり、もうゴールしても良いよね?20kmも先の道の駅まで走らないでも良いよね?

 しかし立てたフラグは回収しないとイベントが進まないのであり、重たいペダルを踏みながら宍喰の道の駅を目指す律儀な私はなんと素晴らしい人格者でしょうか。私、今無茶苦茶カッコいい。

 宍喰で別れた石川君と感動の再会を果たし、温泉を楽しみビールで乾杯。今日の寝床はお遍路の休憩小屋である。テントを張らずに寝られる場所がたくさんある四国は旅人に本当に優しい場所だよなぁ。

 5月7日(水) 走行距離124km 21番〜23番札所 23/88 蒲生田岬到達 3/18
    mixiチェック

 へんろ休憩小屋での就寝のため、テントを収納しなくても良い事実。これによって水滴の掃除やらの作業もなくなるワケで、朝の作業はグッと楽になる。おかげで今日も7時過ぎの出発であり、何時もと全然変わってねぇ!

 もうこれは旅人として自分のリズムが完成しているということであり、朝から食パン合計6枚分も食べまくっているからとかそんなことは些細な理由に過ぎない。今日もいい天気である。

 さて、お遍路前半戦の山場とされるのがここ、24番札所の最御崎寺へ向かう室戸岬の無補給地帯である。この寺の間の距離は実に80kmにもなり、途中には1件の民家もない地域があるため下手に夏場歩いていると冗談じゃなく行き倒れる危険性があるデンジャラスゾーンである。

 しかしそれは歩き遍路のこと。自転車乗りにとって残り50km弱の信号すらない道は、に楽しいわい。実際走ってみて最高の気分な私である。

R0045549
 この時に高知県に突入

R0045550
 こんな道が永遠と20kmほど続く

 あんまり気持ちよく走り続けた結果、10時前には室戸岬に到着。この時点で走行距離が45kmを越えているのであり、どう考えても日本1周するようなペースではないことだけは確か。前を引いてくれる石川君を褒めて使わすばかりで自分は頑張らない酷い男である。

R0045557
 四国の尖りスポットこと室戸岬

R0045560
 お遍路的な話をすると、空海はこの景色を見てその名前を付けたらしい室戸岬の洞穴

R0045569
 足大きいですねぇ

R0045571
 同行している石川君も装束を購入。はためいてカッコいいのである

 こんな感じで余裕ができると次々と寄り道をするのは、私らしい性格であり治す気はない。というか今更治せないのであり、「直す」と表記しないあたりが優しさである。

 今日の野宿予定地である道の駅に到着して、良い空き地や軒先はないかと探すのが正しい自転車旅行者であり、私がそうした行動を取っているとオバちゃんが声をかけてくるのである。

 「あんた達お遍路さんでしょ。今日は何処まで行くつもりなの?」
 「ははは、今日はここで終了です。道の駅で野宿ですかね。」
 「そうかい。じゃあ家に泊まって行きなさい。大丈夫、オバちゃんから声をかけたからお金は要らないから。」
 「ははは、ありがとうございえええぇぇええぇえ!?」

 歴史は繰り返すというか何というか、四国に入って1週間も経っていないのに2度目の展開に私はそんなに好青年だったかと驚かずにはいられない。いやぁ、自分でも良い男だとは思っていたが、全くもってビックリであり、有難くお言葉に甘えてホイホイとついて行く。

 結局同宿したのは一緒に走った石川君とドイツ人のクリスと私の3人。これは日本人としてなめられてはいけないと思い、慌てて霧島を買ってクリスをぶっ潰してやるぜと意気込む私はいい性格である。

 山ほどの夕食を楽しみながら国際交流。私も日本人代表として大笑いしながら霧島をグビグビ堪能する。クリスは芋からの酒は苦手だとかのたもうてあんまり飲まないのであり、これは私が率いる日本代表の勝利といえるのではないだろうか?

 ご機嫌な時間を過ごして飲み過ぎた私は倒れるように就寝。毎日が色々な意味でドラマティックである。

 5月8日(木) 走行距離100km 24番〜27番札所 27/88
    mixiチェック

 朝起きるの、だっるい。どう考えても昨日飲み過ぎているのであり、誰だよ霧島ボトルで買ったアホは。小1時間説教してやりたい気持ちを抑えて必死に起きる健気な私である。そういえば旅に出てから6時前に起きれなかったのは今日が始めてであり、いかに昨日が楽しい夜であったかが伺える今日の辛さといえる。

 オバちゃんは朝御飯も大量に用意してくれていて、冗談抜きでこれは民宿ならば7〜8千円コースの贅沢な宿泊なのであり、有難すぎて涙が出そうだ。私は感動屋なのである。

R0045578
 石川君、クリス、オバちゃんと一緒に

 感謝、感謝の思いを伝えて出発。どんなに良くしてもらっても次の日の朝には別れる一機一会。こうした出会いと別れを繰り返すのが旅の醍醐味であり、喜びなのだと私は思う。いくら私が好青年であっても、こうして良くしてくれる人達がいるから素晴らしい出会いがあるのであり、それは本当にありがたいことなのだと実感する次第である。

 昨日のうちに27番札所の神峯寺という辛い辛い坂の上の寺を打っているため、今日は楽しいゆるふわライドである。そうであってほしいと信じて止まない。

R0045587
 崖の下にある喫茶店

R0045595
 C3POやR2ーD2のパチモンがいい味出してる

 ところでこの数日一緒に走ってきた石川君であるが、私はお遍路に加えて全国の都道府県庁を回る旅をしているため30番札所で別れることとなった。ありがとう、ずっとひいてもらったおかげで私は凄い楽することが出来たよ。

R0045600
 またどこかで会いましょう

 というワケで久しぶりの1人での走行である。個人走行は自分のペースで走れる良さもあるが、弊害として全然先に進むことが出来ないという恐ろしい罠があるのが困りものといえる。

R0045601
 33度の碑(北緯33度33分33秒 東経133度33分33秒)とか凄い私好みのスポット

R0045604
 はりまやばし

R0045606
 ちゃんと高知県庁にも行きましたよ

 一応お遍路も真面目に打っていたのだが、納経のオバちゃんに「今日の宿泊はどうするの?」と最近の定番会話に。野宿の胸を伝えたところで、お寺で行っている通夜堂という無料の宿泊所を紹介してもらうどころか電話までしてもらう贅沢っぷりに驚くぜ、私。

 結局33番札所の通夜堂で宿泊することになり移動する。途中で無料の渡し船に乗るあたり、私は本当に船での移動が好きなのだと実感しているところである。

 通夜堂で荷物を降ろしていると、見たことある自転車が。数時間前に感動的な別れをした石川君と再び再会するのであって、よく考えてみれば多少のスピード差はあっても各お寺で再会する可能性は非常に高いのであり、さっきの感動の別れを返せとばかりにビールで乾杯する夜なのであった。

 5月9日(金)走行距離92km 28番〜32番札所 32/88 高知県庁到着 17/47
    mixiチェック

 通夜堂とは何か?四国のお遍路ルート上に多数存在する「善根宿」はお遍路の人達を地元民が応援するために作られた無料/格安で宿泊が可能な施設である。対して通夜堂とは、お寺に併設されているお遍路用の宿泊施設なのであり、宿泊者はあくまでも修行の一環としての宿泊であるため通夜堂内での飲食等は禁止されているのが普通だ。

 私のお遍路も1週間を越えて顔つきも凛々しくなり、同行二人の精神の元、背中に弘法大師様が常に感じられるような気がしないこともない気持ちで日々修行している。決してスーパーの前で座り込んでビール飲んで馬鹿話に花が咲き、睡眠不足で朝起きるのが辛いなどということはないので安心されたし。

 同宿していた人達が全員出発しても慌てず騒がずに落ち着いて準備をするあたり、いかなる時でも冷静沈着な行動がとれる精神に達してきている証拠であり、自分の成長っぷりに驚くばかりだ。

R0045617
 宿泊した善根宿

R0045618
 施設は素晴らしいのだが、蚊が多いのが難点か。これも修行?

 33番札所の雪渓寺に泊まっていたので朝一で打った後、34番札所種間寺で先に出発していた歩き遍路のおじさんと再会。
「ずいぶんゆっくりなんだねぇ。」
 嗚呼、オジさんはまだ私の意気まで達していないなどと笑ったりしないあたりが私の徳の高さを表している。
「急ぐばかりじゃ楽しくないですからねぇ」←意訳(早く私のレベルに到達するように精進しなさいな)
 と会話して悦に浸る私である。

 この後も思いっきり道を間違えて総計10kmくらい回り道をしたりしているのだが、あわてないあわてない。35番札所清龍寺へ辿る坂が激坂過ぎて登れなくてもあわてない。36番札所が同じ名前じゃんかよ!清瀧寺で実は読み方が違うとかあっても落ち着いて対処するぞ。

R0045624
 35番札所からの景色

 そこから地獄のアップダウンが続くのだが、私は峠道よりこうしたアップダウンの方が精神的に来るものがあると思う。峠は上り坂が続く分、体力的にはキツいのだが山頂を越えるという目標と終了ポイントがはっきりしているため気持ちは前向きなのである。

 ところが山の稜線上を進むようなアップダウンの道は、登り終えて下り坂へ変わったと思いきや、再び現れる登り坂ー。どこまで登り返すのか分からないという道は精神的にとてもよろしくないこと請け合いである。なめてんのか!

R0045630
 どっこい景色は素晴らしい

 這々の体で土佐久礼まで辿り着き、田舎町だし温泉に行く前に先に食事した方が正解かな、と街中をフラフラしていると「おっ、日本1周中かい。コッチきな」と呼ばれるのである。

 知らない人に声をかけられたらホイホイついて行く私は1時間のうちにビール4本に鰹のタタキ、グレの刺身、カツオ御飯に天ぷらをバカバカ食いながら大笑いしているのであり、これも修行のなせる業とかそういうのいいからとにかく鰹が美味すぎる!

 東京で食べていた鰹は何だったのかと思う程のたたきのジューシーさ。一瞬肉を食べてるのではないかと錯覚する程で、曰く「高知でもこの地域でしか本当の鰹の美味さは味わえない」とのこと。いやぁたまらない味でした、御馳走様ですっ!

 良い(奢りの)食事の後は良い温泉に入って気分よく就寝するのである。なんだか両腕が良い感じに張っているので早めに休もうと駅前のバス停へ移動して就寝。田舎のバス停は仮眠休憩所として本当に優秀で驚く。

 5月10日(土) 走行距離92km 33〜36番札所 36/88
    mixiチェック

 夜の間休んでも腕の痛みは取れていない。そういえば京都で休息日を取ったのは4月のことだったなぁとか思いつつ、晴れているのに休むのがもったいなくて自転車に乗ってしまう私である。明日は雨らしいし、今日までは走ろうではないですか!と考えて腕が痛いのは気のせいということにして出発。

R0045635
 結局テントを張った

 土佐久礼といえば土佐の一本釣りであり、今日も鰹が食べたいなということで教えてもらった朝市へ。流石に7時では開いてないよなぁと思っていたのだが、わざわざ遠くから来てくれた旅行者をタダで帰すわけにはいかんと、鰹の刺身定食を特別に作ってくれるのであり、土佐の人達優しすぎで泣きそうである。

 
R0045638
 市場にはサメとかも

 気合いも入ったので一気に南下して一路、四国最南端の足摺岬を目指す私は途中の37番札所岩本寺で大ブレーキとなってしまう。しかたがない。お菓子だの素麺や羊羹までお接待が沢山出ていては食べないわけにはいかないじゃないか。

 自転車は腹が減る乗り物なのであり、腹一杯でも2時間後には飯のことを考えて走っているのは仕方がない。だから私がいくつも小夏みかんを食べ続けて、苦手だったハズの羊羹が甘さ控えめでもの凄く美味くて気付いたら6〜7個も食べてしまっているのも仕方がないのである。不可抗力、だ。

 いつの間にかお土産分まで包んでもらって増々元気に走り始めるぞ。今日もいい1日だ。

R0045642
 「食いねぇ食いねぇ」と、どんどん渡してくれるオバちゃん達

R0045644
 それだけ食べてもしっかりと昼食は名物「鰹のタタキバーガー」を『デザートで』食べる私

 ところでお遍路における寺と寺の最長区間こそがこの37〜38番札所であるらしく、実に80km以上の距離がある上に道中はアップダウンの連続である。こうした大変な道のりを制するために、私だって無理してエネルギーを補給している側面があるのは否めないところであり、本当に御馳走様であります。

R0045647
 まだあと40km以上あるよ〜

 さて、今日の宿泊先である津呂の善根宿に到着してみると先客はイギリス人なのである。あれ?他に人、いないのん。とかいってる間にすぐに挨拶してくるヘレミッシュ君。英語の授業、もっと真面目にやっておくんだった〜

 たどたどしくもどうにか会話するところでは、彼はベジタリアンであり肉が食べられないとこと。近所5kmに渡って食堂はおろか、商店すら存在しないこの地域。まずいんじゃね?とか思ったりしたのだが、そこはお遍路に優しい四国である。

 何処からともなく現れた現地村人Aがカステラを持ってきてくれてムシャムシャ。村人Bがインドカレーをお裾分けとのことでヘレミッシュモグモグ。何故か私も今日の夕食を持ってきてもらってブリの照り焼き定食をガツガツ食っているのであり、四国って不思議なところである。

 感謝の気持ちを心に残して明日は雨なので休息日。

 5月11日(日) 走行距離109km 37番札所 37/88
    mixiチェック

↑このページのトップヘ