自転車ときどき世界1周

カテゴリ: 駄文コラム

 帰国前に実施する恐らく最後のブログを整理したつもり。一応ここから先は使用道具とかランダムタイトル画面の変更といった諸々の更新をすることはせず、日本に戻るまで日記(と各国のまとめ)が続くかと思います。続かないかもしれないけれど、世界はそんなもんだ。

 ・PCモードに出てくる最近のあらすじを更新
 ・自転車メンテナンス履歴を更新
 


 ブログこぼれ話その15

 各国の総括は私が事前に計画した走行ルート的に「この旅行でもうこの国は再訪しないな!」と感じると作成している。ところが自転車旅行ってのは計画通りに物事進む方が少ない旅行スタイルなので「もっかい入国するからこの国の総括まだ作らないでおこう」と思ったら結局訪れなかった・・・というパターンに陥りがち(逆パターンはドイツで1度あった)なので、記事をアップするタイミングは結構気にしてる。

 ボリビアとかは再訪するまでのタイムラグが1年くらい開いた国だったのだけど、当時の私は南米を南下してる途中で「ウシュアイアまで到着したら今度は北上しよう!」という大まかな構想を抱いており、それが予定通り走れたので1度目の出国時に総括を作らなかった・・・という経緯があったり。

 そんな感じで行き当たりばったりかと思いきや、意外と年単位で計画通りに旅行してることもあるのです茶壺さん。適当さと共に最終的には計画を達成させる胆力が長期自転車旅行には必要なのでは?とか思ったり。
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 ヒマラヤ山系における3大高山道路の1つパミールハイウェイを無事走破したので今回も情報をまとめておくことにする。これでラダックカラコルムハイウェイを含めたこの地域における道路は一通り走ることが出来たのであり感動もひとしお。そのうち世界における自転車人気の道における難易度比較とかで1本記事作ってみたいなと思いつつ。


 ◎パミールハイウェイ

 【基本情報】
 タジキスタン首都のドゥシャンベ(実は諸説有り)から国境を挟んでキルギス西部の都市オシュまでを繋ぐ全長約1300kmの道路。道路名称としてはM41号線とされており、これはソビエト時代の道路番号の名残らしい。旅行者に人気の道として名高いが、そもそもこの道は軍用輸送道路として当時のロシア帝国が建設し、現在ではタジキスタン東部地域におけるゴルノ・バダフシャン自治州という地域を走行するための補給路として活用されている面が強い。

 世界で2番目に高い国際高速道路として知られており(1番はカラコルムハイウェイ)、特にタジキスタン東部の一般的にパミール高原と呼ばれる地域は非常に標高が高く、この地域や道路を指して「世界の屋根」と呼ばれていたりもする。

 ドゥシャンベからオシュまでの間には幾つかルートが存在しており、最も多く使われるルートが大体1300kmなのだが、私の場合はワハーン回廊を経由して遠回りしているので実際の走行距離はもっと長い。

 他のサイクリストではショートカットになるバルタンバレーと呼ばれるルートを走ると言ってたサイクリストに3組出会ったりして、走行期間の長短でルートを選択することができるのもパミールハイウェイの魅力の1つ。他のサイクリストに教えてもらった地図を添付しておくのでルート選択の参考にしてほしい。

 パミールハイウェイ地図
 結構ルート選べるのが分かる 

 【治安】
 体感としては治安の悪さを感じたことは全くないのだが、まず土地的にアフガニスタンとパンジ川を挟んですぐの場所に通っている道があり、2018年にこのエリアで7人組の自転車旅行者が襲われる事件が発生し後にISILから犯行声明が出て界隈が騒然となった。

 これが大きな原因とされているのかタジキスタンのアフガニスタン国境沿いは現在でも外務省の危険レベル3に指定されてる地域である。タジキスタン側もこの点は考慮している様子でパンジ川沿いには多数軍の駐屯地が設営されており、この区間は歩哨が警戒してる姿を幾度となく見ることになる。

 これに加えてタジキスタンとキルギスの国境付近で2022年に紛争が発生しており、両国の国境が閉鎖される事態に発展した。現在(2025年6月)でも国境の通過には制限がかかっている。ただこの紛争自体はキルギスの飛び地が密集してるフェルガナ盆地というのが主要な舞台となっている。一応この紛争の主な原因が国境線問題に起因しているためパミール高原地域も全くの無関係というわけではない。山岳地帯で人口密度が極端に低いことからそんな問題になってると感じないけども。

 ともあれ実際に感じた牧歌的な雰囲気とは裏腹に結構治安的な問題を含んでいる土地でもあるということは肝に銘じておいた方が良いと思ってる。実際のところシーズンのパミールハイウェイは旅行者だらけで、地元の人たちもこうした旅行者が落とすお金が重要な収入源となってるらしく、外国人に対して排他的な感じは一切受けなかったし非常に人懐っこい彼らとの交流はこの土地を訪問する上で大きな魅力の1つだと感じた。

 【入域手続き・国境通行許可証】
 上記の通り幾つか問題を抱えてる土地であることが影響してか、パミールハイウェイを走行するためには現在2種類の許可証が必要と言える状況だ。

 1、GBAOパーミット
 ギャバオパーミット、又はパミールパーミットと呼ばれる主にゴルノ・バダフシャン自治州地域内を走行する際にタジキスタン政府が発給している許可証である。パミールハイウェイを走行してるとタジキスタン国内の各チェックポイントにてこのパーミットの確認を求められることとなる。

 入手方法は2通りあって、首都ドゥシャンベにあるOVIRという施設に赴き手続きして発給してもらう方法と、タジキスタンのビザを取得する際にGBAOパーミットを併せて発給する方法だ。仮にキルギス側からパミールハイウェイに突入する場合はこのGBAOパーミットの関係で必要なくともタジキスタンビザを取得しなくてはならないのだが、こと自転車旅行者に限ればタジキスタンでノービザ滞在できる30日間でパミールを走行するのは期間的にかなり短い。ノービザ入国の場合はドゥシャンベで滞在登録が必要になることもあって、全体的にかかる金銭は大きな開きがなくビザ入国なら最大60日間滞在できるため多くのサイクリストは西からの入国でもビザを取得していた。私も取得すればよかったと悔しく思ってる。

 2、キルギスボーダーパーミット
 先に述べたタジキスタンとキルギスの紛争により2023年以降この両国間にある国境は閉鎖してしまっており、未だに地元住民は行き来ができない状況が続いている。

 ただパミールハイウェイにおける両国間の国境はこのキジル アルトボーダーしか存在しておらず、ここを回避しようとすると大幅に迂回せざるを得ない。というかタジク〜キルギス間の国境はここ以外一般人の利用が出来ない。このため特にタジキスタン側の国境付近にある村で観光産業が死活問題となったことが影響したらしく、それほど時間を置かずしてタジキスタン側のミグレーションは外国人であれば通過できるように。

 そしてキルギス川のイミグレーションだがこちらもある程度対応する形で、キルギスの旅行会社に申請することでボーダーパーミットを発給すればイミグレーション通過することが可能となった。ポイントは「キルギスのイミグレーション事情」なのでキルギス国内の旅行会社にアポ取って手続きしてもらわないとパーミットが発給されない点。なので私みたくウズベキスタンからキルギスを経由しないでパミールハイウェイに突入しようとしてる場合は自力でキルギスの旅行会社を探して発給手続きをお願いすることになる。

 私の場合は(ドゥシャンベにあるホステルの)グリーンハウスホステルオーナーから旅行会社を教えてもらい、そこにWhat’s App経由で連絡してパーミット発給してもらった。申請から発給までは最低でも3営業日が必要になるため早めに実施したいところだが、国境の通過予定日を伝える必要がある関係であまり早くに申請するのも自転車旅行のスタイル的に難しい。まぁ自転車の場合は日程かなり融通聞かせてくれるみたいだが、やはりドゥシャンベ辺りで連絡するのが良いと思う。逆ルートの場合はオシュの町に複数申請手続きをしてくれる旅行代理店があるので直接訪問して対応することが可能。私もオシュの町に到着後、利用したディスティネーションパミールに訪問し料金の支払いをしている(料金15ドル)ので結局は同じことだし。
 

 ◎パミールハイウェイの状況

 【道路】
 名前にハイウェイと着く通り一応は高速道路の扱いなのだが、その大部分は綺麗な路面状況とは言い難い。道路の質自体は非常に良いのだが、所々にボコボコの穴が空いてるわ亀裂や段差が発生しており「スピード出せるけど調子に乗るとギャップ拾って転倒する」という走るのに集中力を要する系の道だ。2025年時点で全体の8〜9割(通常ルート)はアスファルト舗装されており、巷で言われてる「地獄のような道」というのは少なくとも現在において大言壮語が過ぎる。

 ホログ以東のパミール高原では4200mを超える規模の峠で山頂から前後10〜20kmくらいが未舗装となっている程度。むしろ未舗装の割合という意味ではホログより西部に当たるパンジ川沿い道のが多い。このエリアは急峻な渓谷の底にある道のため崖崩れも多くて道路が閉鎖する恐れもあり、私も2回ほど足止めを食った。大体半日〜1日くらい工事して開通するイメージなので、運次第だけどこの区間の通過には日程的な余裕を持たせた方が良い。

 未舗装の質はタジキスタン国内だと圧倒的にコルゲーション(洗濯板状の波打ち現象)によるガタガタ道が多い。これがキルギス側の未舗装でほとんど見られなかったの不思議なくらいで、タジクを走る車両は何か特殊な問題があるんじゃないかと疑ってしまうほど。走りにくいのは勿論だが、自転車にもダメージが大きいし走行続けてるとハンドル力強く握ってる関係で両腕の疲労も大きい。地味にパミールハイウェイで筋肉痛があった箇所は足ではなく腕と肩。

 【宿泊・野営地点】
 山だらけのタジキスタンでも特別山脈に囲まれた僻地という関係でか中央アジア最貧国と言われるタジキスタンなのに宿泊費用がかなり高い。同じパミール上でもキルギスの方が宿泊費安かったことを思うと輸送費とかの関係以上にタジキスタンがパミールハイウェイを観光地として扱っているのが感じられる。

 タジクに関してはホログなどの大都市を除くとほぼ全ての宿泊施設が夕・朝食の2食付きスタイルで運営されており、総額200ソモニ(約2850円)となってるのが平均的。ムルガブくらい大きな町だともうちょい安い宿とかもあったけど、多くの町ではカルテルでも敷かれているのか値段一律していた印象あるな。設備に関しては意外とインフラ整ってるところが多く、最も国境に近く僻地であるカラクルですら夜中は電気が通じていたし、その隣町に当たるムルガブなら宿によってはWi-Fiが設置されていた。

 集落を離れてしまえば家畜の放牧をしてる人以外誰かに出会う可能性はほぼないのでキャンプし放題であるのだが、軍隊が駐屯してるエリアとかだと近くにテント設営することは出来ない。結構良さげな廃墟ポイントとかに軍人が陣取ってたせいで別の場所探すの余儀なくされたりしたので結構困ったポイントだ。それ以外だと風を避けるために遮蔽物を陰にしてテント張りたいところだが、標高が上がっていくほどそうした好条件の設営ポイント減っていくためそれなりに苦労する。日付が変わる頃には完全無風となるのが常なので睡眠自体で苦労することはまず無いのだが。それと渓谷エリアだと単純にテントを張れるスペースがなくてズルズルと走り続ける羽目になってしまう地形が多い。こっちは小さな集落が点々としている場所も多く、1度ハマるとなかなかテント設営が難しいため決断力が試される。

 【補給】
 とりあえず丸2日間に渡って無補給が続いたことは無かったので、最低1日分の食料を持ち運んでおけばどうにかなる。パミール高原エリアでは集落が無くてもポツリと一軒家で宿泊施設や食堂の営業しているところもあるが、地図には表記されてても既に何年も前に潰れた施設があるだけ・・・・というパターンのが多かったくらいなので過信しない方が良い。

 宿泊施設はどうせ夕・朝食が付いてくるので、その手の施設を利用するなら食事問題はそれほど気にする必要ないと思う。メニュー内容も中央アジアでよく見るプロフやラグマンといった種類が主であり、何故かバターが濃厚で美味しかったのが印象深い。やっぱ家畜から直接ミルク搾って加工してるんだろうな。

 幾らかは自炊するため商店も利用したが、ラインナップは悪いし値段も低地と比べて1.5〜2倍くらい上がっている。それ自体は仕方ないかもしれないが、問題なのはパミール高原エリアの商品は割と平気で消費期限ぶっちぎってる食べ物が置かれていることだ。パミール高原を走るサイクリストは多くが体調不良に襲われるという話を聞いたが、個人的にこの原因の多くが傷んだ食べ物を口にした結果ではないかと思ってる。買い物する時はこの辺慎重に吟味したいのだけど、キリル文字で書かれてる商品は正直何書いてるのか意味不明なんだわ。

 それ以外だと水の補給という話になるが、非常に水が豊富な地域なので川からの水を補給すること厭わなければこの点に関しては問題にならない。パミール高原に出ると少々水源の数が減って難易度上がるものの、それでも集落内には井戸か手動ポンプがあって水の補給ができる。不安な人は浄水器とかを携行すれば良い。私が直接川から水を汲んでたのは完全に人がいなかったワハーン回廊の終盤くらいで、その他は村内にある共同水道とか宿泊した宿で水もらうとかして対応していた。地味に大きめの村ならアルコール類を扱ってることもあり、何日間も酒を断たれるということが無かった点も有難い。


 ◎パミールハイウェイの環境

 【通信】
 スマホの電波に関してもメガフォンという会社に関してはカラクルでも通信できるそうで、パミール高原で生活してる人たちは大概この会社のSIMを契約しているらしい。私はTーcellという会社だったのでアリチュールの町を最後に通信が復活することは無かった。メガフォンに関してはムルガブの町中に販売店があるのでキルギス側から入国した人の場合はここで契約することが可能。

 正直もっと通信インフラ悪いと思っていたのだが、私が使ったTーcellでもある程度の規模の町なら普通に電波が立ち普通に連絡取れてて拍子抜けしたというのがある。もっと言えば宿泊施設にWi-Fiが設置されてる率も高いので、SIMなど使わなくとも定期的にネット環境にアクセスできる程度にはしっかりしている。

 ただしキルギスとの国境付近にあるカラクルだけは例外で、この村に関しては日中だと電気が通じてないレベルでなかなかの過疎地っぷりを感じさせる。そういえばタジキスタン側のイミグレーションもPCにデータ打ち込むのではなく紙の台帳に個人情報手書き記入してたので、パミールハイウェイ(メインルート)における最後のインフラ未整備地帯がこの辺りなのかもしれない。

 【気温】
 6月のパミール高原は最高標高の4600mを越える地点における夜間でも氷点下まで気温が下がることはまずない程度。4000m以上の土地ということ考えるとかなり暖かいと言って良いと思う。ただし暖かさの主要な要因が「太陽光の強さ」に影響してると感じていて、天気予報等で表記される数字以上に日照状況で体感温度が変わると思われる。なお天気が良くて風も弱ければ4000m越えててもTシャツ1枚でちょうど良いくらい。

 ホログ以西の渓谷エリアや標高3000m以下の土地に関しては1度も「寒くて仕方ない」と思ったことなかったかな。パンジ側沿いに連なるアフガンの山々なんかは真夏にも関わらず山頂付近に雪積もっていたのが印象的だったが、麓の土地では下手すりゃ流れる川の水が「わりと温いな」と思ってしまう程度に温められてたし。

 本気で寒い箇所は峠越えをする山頂付近とかピンポイントで限られるため、全体を通してみると天気が良ければ夏の軽装スタイルでも大丈夫な「やや涼しい」程度の気候という感想だ。ちなみに緯度が上がった関係か、キルギス国内では3000m切ってる場所でもかなり寒さを感じることがあったため、タジキスタンという国が全体的に暖かい傾向にあるということ言えるのかもしれない。

 【風・雨】
 イメージと違ったのはパミールハイウェイは全体的に結構雨が降る土地ということで、3週間の走行中2回ほど半日以上の期間に渡って雨が降り続ける日があった。短時間にザッと降る雨に関してはかなりの回数経験しており、この辺は同じヒマラヤ山系の道であるラダックなんかとは対照的。標高の高いエリアだと雨ではなく雪や雹が降ったりすることもあり(6月)、これに加えて雷雲が恐ろしげな音と光で上空を通過していったりと結構天候の悪さに苦労することが多かった。

 そして1番厄介なのが風である。全体的に西から東へと強い風が吹く地域であり、私を含めパミールハイウェイを自転車旅行する多数派の「西→東」ルートであるサイクリストは風の恩恵を受けることが多い。だがパミール高原地帯はまだしも西部の渓谷エリアに入ってしまうと谷の複雑な地形が風の向きに影響を与えてかなり予測不能な感じとなる。ワハーン回廊なんかは南からの風が吹いてくる割合が多いと思っていたかな。
 
 1日中吹き続けてるワケじゃなく、大体お昼を過ぎた頃から徐々に強風が吹き始める傾向にある。これが19時とか日没くらいの時間帯になるとほぼ止み夜間は無風に近い静かな状態が続くというのがイメージ。運が悪いと朝から吹きまくり・・・くらいの大まかな感覚だけど。この影響を考慮して厳しいと思われるポイントに臨む際は出来るだけ午前中に走行するよう心がける程度のルートプランニングはしていた。

 【標高】
 標高の高い土地として有名なパミールハイウェイだけど、本格的に4000m前後の高原地帯となるのはホログより東のエリアに入ってから。ここが名前の元となってるパミール高原なのだけど、高原の全体的な標高は3500〜4000mに満たないくらい。少なくとも4000mを超える標高に集落は1つも無い。パミール高原のエリアに4000mを超える峠がハイウェイ本線上だと計4本登場する(私はワハーンルートだったので3本)が、最高標高であるアク バイタル峠(4655m)を除き全て4200m代であり、実は他のラダックやカラコルムハイウェイと比べ突出して標高が高いワケではない。というか最高標高に関しては1番低いし、峠は全体的に斜度が緩やかで獲得標高が少ないためヒルクライムに関してはむしろ難易度が低いとすら言える。

 ホログより西だとパンジ側沿いは全体を通して1000〜2000m程度の標高だし、ワハーン回廊も東部パミール本線に合流する100km手前まではずっと2000〜3000mの緩やかな坂が続く道。要するにパンジ川に沿っている道は急激に標高の上がる箇所は少なく全体的に安定している。

 ホログ西部だと唯一高い峠となるのがカブラボット峠で、標高(3252m)それ自体よりも問題となるのが麓からの獲得標高差が大きくフルパッキンの自転車だと1日で山頂まで到達し町まで下山するのがやや困難なことくらいか。まぁこの峠に関しては南側ルートを活用することで迂回が出来るため、自信や余力があるなら選択すれば良いエクストラルート扱いと考えて良い。

 ちなみにパミールハイウェイの起点or終点となるドゥシャンベ及びオシュの町は共に標高1000mくらいに位置している。ここからサクッと1000〜2000mくらい標高上げて渓谷エリアでは2000m代、パミール高原エリアでは3000m代の標高を走ってるというのが全体的な標高のイメージ。


 ◎ワハーン回廊

 【ワハーン回廊】
 パミールハイウェイの本線から外れ、アフガニスタンとの自然国境であるパンジ川沿いをUの字を描くように迂回するルートである。パミール高原ではなく渓谷の道を走り続けるため道中の大半は標高が低く(2000m代)、またパミール本線だと大体200km弱の距離でたどり着く合流地点(ゴール)に320kmくらい必要で、尚且つ全体的に路面状態が悪く特に後半(東部)の110km程は非常に走りづらい未舗装路が続くためやや難易度高めのルートであると言えよう。

 特徴としてはロシア帝国時代の南下政策に対し当時のイギリス領インドがこれを食い止めるための緩衝地帯として設定した最前線のエリアがここに当たる。要するに19世紀には地政学的に最重要となるポイントの1つとして機能していた(だからパミールハイウェイが造られた)土地である一方で、非常に厳しい気候と地形から現地の人たちは外部からの影響をほとんど受けることなく今日まで生活が続いているらしい。

 このためパミール高原で生活する人たちが自身をパミール人と呼ぶ(notタジキスタン人)のに対し、このワハーン回廊の人たちは自身をワハーン人と呼び、独自の生活・伝統が垣間見られる地域とされている。

 【スタート&ゴール地点】
 パミールハイウェイの中間地点であるホログの町から南下するルートがワハーン回廊。ホログの町がそのままスタート(ゴール)地点となっているので問題なし、東部のゴール(スタート)だが、パミール本線からだとホログから190km地点の道路上にある三叉路にぶつかる形となっている。この交差点は周囲20km特に何もない荒野にあるため東部からのワハーン突入は最寄りのアリチュールという町で準備を整えてパミール本線を20km移動してから突入するのが基本。中にはワハーン回廊を走ってからパミール本線の道をホログ方面に向かって進み円を描く形で旅行している人もいたが、これはいずれもエンジン付き乗り物で旅行してる人たちで、自転車乗りではこうした周回ルートを選択してる人には会わなかったな。

 【行程】
 全体の大部分をアフガニスタンとの国境であるパンジ川沿いの道が占めており、町としてはホログから約220kmとなるランガルより先はパミール本線と合流するまで集落は存在しない。要するにワハーン全体の西2/3程度はそれなりの感覚で集落が点在している一方で、東部1/3に関しては人口過疎区域の荒涼とした世界が続く土地と言える。一応ランガルより東部にも軍事施設が存在し、そこから内陸部へ向かわずパンジ川沿いを遡上するルートが存在する(しかもその先には温泉郷がある!)のだが、聞いたところでこのルートは自由な走行が許されていない地域だそうで自転車旅行で向かうのはやや難しい。

 キモとなる東部区間だが、ランガルから軍事施設までで約70kmの1000mアップ、軍事施設からワハーン最高地点である峠(約4300m)まで10km400mアップといったところ。峠を越えた先もパミール本線まで非常に走りづらい未舗装路が継続して続き、間違いなくこのエリアがワハーン回廊を走行する上で最大の難所となる。この区間で要する日数を算出しその分の食材を積載した上で挑戦することになるのだが、参考までに私の場合は丸2日かけてこの区間を走破した。追い風に押される西→東のルートでも時間的にギリギリだったのであり、もう1日くらい余裕を見ておいた方が正解だと感じた。


 ◎まとめ
 大陸横断系サイクリストの中でヒマラヤ山系のルートで圧倒的な人気を誇るのがパミールハイウェイなんだけど、これはヨーロッパから中央アジアを経由してそのまま陸路伝いにこの地域を走れるから・・・というファクターが大きいのだと思われる。他のラダックやカラコルムハイウェイが南アジア地域に属してる関係で、陸路の場合はイランやパキスタン南部を通ってこなくてはならず難易度が高いので。そうした下地があってか「パミールハイウェイだけを走りに来たんだ」という人よりも、もっと長い距離と時間をかけてこの道へやって来たという自転車乗りの割合が他のハイウェイより多かったように思う。

 走り終えた今思うのは、パミールハイウェイは前後半でそれぞれタイプの異なる景観を楽むことができ、1度の訪問で2度美味しい!贅沢な道だったなということ。ラダックが主に森林限界を越えた荒涼とした大地、カラコルムは緑と川沿いの渓谷が多くを占めていたのに対してパミールはその割合が半々という感じで、見事に同じヒマラヤ山系の道でありながら三者三様の特色を見せてくれた。

 私は走らなかったが、距離は短くともより路面状況が厳しくよりチャレンジングな走行を要するバルタンバレーにMTBスタイルのバイクで向かう人なんかも数多く、一口にパミールハイウェイと言ってもルート次第で全く異なる体験をさせてくれる懐の広さがこの道の魅力だったと思っている。だからこそタジキスタンの滞在期限30日という短さはとんでもない罠であり、何度も繰り返すがパミールハイウェイを走るのであればタジキスタンのビザは取得しておきましょう。
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 ユーラシア大陸を横断する旅行者や一般的なルートではない陸路での移動に拘るタイプにとって、カスピ海を貨物船フェリーで横断するというのは独特の魅力があるようで、数は少ないながらも利用する旅行者が後を絶たない。
 ただし「定期就航していない」「港が町から遠い」「現在一方通行の航路しか利用できない」と様々な問題があり利用するのは少々難易度が高い航路でもある。せっかく利用したので私が把握している範囲で情報をまとめておけば、極僅かな人にとって大変嬉しい記事になるやもしれないと思い記事1本作成した。船内で暇していたからでは決してない。


 ◎カスピ海横断フェリー

 【基本情報】
 世界最大の湖とされるカスピ「海」の西部アゼルバイジャンと東部カザフスタン及びトルクメニスタンを横断している貨物船に、一般人も乗船して利用することが出来る国際フェリー船である。なお基本航路は
 ・アゼルバイジャン(アラト港)〜カザフスタン(クリーク港)
 ・アゼルバイジャン(アラト港)〜トルクメニスタン(トルクメンバシ港)
 の2本でカスピ海を横断するルートとして利用されている。この航路を調べるとよく「バクー〜アクタウ」といった航路で表現されてるが、この2都市はそれぞれ港から50km以上離れており「フェリーを利用する際の拠点となる町」というのが正確なところ。トルクメンバシに関しては知らん。
 私が利用したのはアゼルバイジャン〜カザフスタンのルートで、これはトルクメニスタンという国が観光ビザを非常に取得し辛く入国難しい国であることが影響しており、というかそもそもトルクメニスタンに入国出来るならカスピ海フェリーを使わなくてもユーラシア大陸横断はイランからトルクメニスタンを経由することで陸路伝いに移動できるのだ。このカスピ海フェリーというのはユーラシア陸路横断においてロシア・トルクメニスタン・アフガニスタン及びパキスタン南西部といった「入国や移動が様々な理由で難しい国を航空機を使わず移動できるルート」として活用されているルートと表現することも可能。

 【特徴】
 そもそも貨物船の一部に乗客を乗せて移動している船であり、乗客を第一とした客船フェリーとは一線を画する。これ一般的なフェリーと何が違うのかといえば「貨物の搬送が第一であるため、船舶の航行予定(スケジュール)が存在しない」という点。
 このためカレンダーを確認し出航日に合わせて予約を取るだとか港に向かうといった行為ができず、何時出航するのか分からない船の状況に合わせて出航を待つ必要がある。
 これに加えて2020年のコロナ禍以降、アゼルバイジャンは陸路及び海路における外国人の入国を禁止してしまったため(国の安全を保持するためとかクソみたいな理由)に、2025年現在ではカザフスタンやトルクメニスタンから出航するフェリーには乗船することが出来なくなっている。要するにカスピ海フェリーは西→東ルートの一方通行しか利用できなくなっており、更に言うならアゼルバイジャンへは現状航空機を活用した入国しか出来ないため「陸路におけるユーラシア大陸横断」という面でもカスピ海フェリーは現状その価値を喪失している状態にある。
 なおアゼルバイジャンは「数ヶ月後に国境解放を検討する」と発表しては毎回「やっぱ駄目。もう3ヶ月後にまた検討する」みたいなムーブを3年以上に渡って繰り返しており、もうこれ国の方針とか政局がガラッと変わらない限り状況変化すること無いんじゃ・・・と思ってる。


 ◎フェリーの状況

 【出航のタイミング】
 不定期の就航だがフェリーのチケット自体はネットから予約可能である。実際私はそのサイト利用して手続きしてみたところ「出航日」を記入する欄が存在せず、そのまま金額支払い画面となってしまい不安で取り止めていたり。これ「次回出航日のチケット」としてザックリ予約取ってるのかもしれないが、その次回就航日があやふやな船にチケット代金支払うのはややリスクがあるなと感じたため。
 要するに公開されてるワケでもない船のスケジュールに人間側が合わせて乗船する方式を採用してるため、どうしても待ち時間が長くなる。こうした特徴がある船なので、時間に余裕がある旅行者でないと利用するのは難しい。
 出航タイミングが不明ではあるが、期間が全く読めないというワケではなくある程度一定の間隔で船は就航している。基本的に夏は2〜3日に1度の間隔で船は出航していて、これが港の混雑状況とか強風による着岸の可否といったポイントで延期される可能性を考慮しておけば良い。
 カスピ海は秋口から冬にかけて風が強くなる傾向にあるそうで、そうした時期だと船が接岸できず出航タイミングも遅れがちになるのだそう。言い換えると春や夏の時期なら比較的狙った通りに乗船できる確率が増えることを意味する。
 この出航タイミングに関しては電話で担当先(+994 50 746 2962)に連絡して確認するのが一般的だが、担当者が英語を話せない人であるため私は宿のマネージャーにお願いして状況を伝えてもらっていた。そうして得られた回答が「明日には出航予定らしいよ、多分ね」みたいな感じなので、頼りないとは思っていたが他に頼る術もないし悩ましいところ。
 いざ港に辿り着き就航予定日になっても「◯時に出航するよ」といった情報を教えてもらえるワケではない。とにかく「出航の目処が立った日の14〜15時頃を目安にアラト港のチケット販売所で手続き開始するからそのタイミングで来るように」というスタイルなので、突如運休になってしまい無駄足となる可能性を捨てきれない。
 何しろ自走で移動する自転車の場合は前日のタイミングで「出航すると思うよ」という言葉を信じて約70kmの距離を移動することになるのが普通だからだ。仮に当日担当側の電話が通じる10時に即連絡して回答得ても、15時までにアラト港へ到着するのは難しいので。なお素直にタクシーや交通機関を利用する場合は1時間ほどの移動時間で済むらしい。

 【発着港】
 アラト港:アゼルバイジャンの首都バクーから南南西、距離にして70km強の位置にある貨物船の発着港。都市部から離れているものの、付近にリゾートホテルがあったのは確認してるのでお金を気にしなければ近くに滞在しながら船の就航を待つことも可能ではある。でもとにかく時間のかかるカスピ海横断フェリーを利用するような層がそんな宿を活用するとも思えないので基本的に「周囲で利用できそうな施設はほぼ無い」と表現して大丈夫かな。自転車的には半径5kmの範囲に町や商業施設、テント張らせてくれる敷地やWi-Fiの使えるガソスタもあるため案外滞在しやすい場所だったりする。
 クリーク港:深夜の到着だったためほとんど確認できてないが、イミグレーション自体はフェリーの到着に合わせて係員が準備してくれる方式のため時間に関係なく利用可能。イミグレ施設内にはFreeWi-Fiも飛んでいて多少待たされても問題ない。そもそもイミグレで30分待つくらいそれまでの待ち時間に比べたら屁でもないし。
 港湾敷地内にHOSTELとかかれた宿泊施設があるのは確認しているが、アラト港みたいに無料で利用できる待合室が存在するのかは不明。

 【チケット】
 先に書いた通りネットからの予約購入も可能だが、このチケットには日程を記入する欄がないため素直に考えれば「現地で本物の乗船券と引き換え可能な権利」を購入しただけと思われる。要するに当日出航のフェリーで受付が遅く満員になってしまったら予約してようが関係ないということだ。
 私が乗船したフェリーでは一般利用客が合計10名、トラックドライバーがパッと見5〜60名ほど乗船していたが、4人用客室数23室、2人用客室2室あるのを確認してるので、最低100人弱の乗客を乗せることが可能と考えればハイシーズンとか運休が重なりまくって利用客が集中してる状況でない限り「満員になったから乗船できない」という可能性はそれほど考慮しなくて良いと思う。それでも不安なら出航の可否を決めて営業所が開く14時までにアラト港入口に陣取っておけば間違いない。少なくとも13時の時点で窓口開いてなかったのは翌日に確認している。
 んでその営業所だが以前は首都バクーにも支部があったとされており、私もその場所に訪問して確認してみたところ、件の建物は取り壊されて工事現場となっていた。現在(2025年)ではアラト港に隣接する営業所でしか乗船チケットは購入できないと周辺の人から教えてもらったが、今後同じ場所に新たな支部ができるのかは不明。
 ということでこのカスピ海フェリーは実質「アラト港に到着した人の早い者勝ち」という方式だと言えるのだが、その競争率は高くなく電話で当日の就航状況を確認(これが大体10時から繋がる)してからアラト港まで移動するスタイルで充分余裕がある・・・自転車旅行者でなければ。自走にこだわりない人なら大型タクシーにでも自転車一式併せて運んでもらうのが良いと思う。
 んでチケット代金はカザフスタンまで70米ドルまたは119マナト。トルクメニスタン方面は距離的に近いにも関わらず100ドルちょいだと聞いたので費用的にはややお得か。なお一般車両には追加料金(560ドルらしい)がかかるし、恐らくその他様々な手続き等必要なのだと想像するが、自転車に関しては追加料金なしでそのまま乗船できる。これで4人用のキャビンに船内での3食も付いてくるためなかなか割が良いと思ったな。
 アラト港の営業所でカザフスタンまでの船に乗りたい旨伝えると、手続きした後で「この金額を銀行で支払って」と半券渡されるので30mくらい離れた場所にある銀行の窓口で手続きしてくればOK。そうすると港湾エリアに入場するゲートを通った先の待合室で乗船待機することになるのだが、1度入場するとエリア外に出ることは出来ないので要注意。仮に敷地から出れたとしても周囲数kmに渡って商業施設とかないので意味ないが。
 私は訪問してないが敷地内に小さなカフェがあり係員にお願いすればそこまでは移動させてもらえるらしい。何にしても待合室でかなり待たされることになるため充分な食料を持ち込んでおいた方が良い。なお待合室では飲酒厳禁である。フェリー船内に持ち込むことは問題ない。

 【待合室】
 ここまで来れたら後は係員がやって来るのを待つだけ。ただし「何時になったら乗船許可が出るのか?」というのを教えてもらえず、その割に長時間待たされるのでしんどいところがある。私の場合は14時半に到着してから丸々1日経過した翌日14時半になって乗船許可が降りたのだが、この間ひたすら待ちぼうけ。事前に「かなり待たされる」と情報得ていたから良いものの、何も知らない場合は相当キツいだろうと思う。
 待合室自体はかなり広く寝転がれる幅の3連椅子も大量に設置されてるし、キッチンルームで水の補給も可能だ。暖房も完備されてるしコンセントも有る。何ならバウチャー料金支払うことでWi-Fiだって利用できるため、実は下準備しておけばここで待機すること自体はそれほど大変ではない。
 奥のやや小さな部屋には簡易ベッドも複数あり、私と同じカザフスタン方面に船を待つ乗客はこれを使って就寝していた。私は地面にマットと寝袋で寝たが、他にベッドからあぶれた人は3連椅子を繋げて横になってたな。
 キッチンに設備は何もないので私みたいな調理器具一式持ってる人でもないと調理自体は不可能だと思う。流石にバーナーは外で使ったが、実際のところ室内で火器利用して良いのかは知らん。食事用の長テーブルも用意されておりPC使って作業してる人も複数いた。
 カザフスタン行きのフェリーを利用する乗客は少ないので、トルクメニスタン行きの乗客とかち合わなければこうした設備数が足りなくて困るということはないだろう。


 ◎フェリーの環境

 【船内】
 無事乗船することが出来たらレセプションで名前を告げると割り振られたキャビンを指示される。キャビンは2段ベッド×2にクローゼット及び作業机と椅子が1つずつ。トイレ兼シャワールームが付いた部屋となっている。コンセントは各ベッドの近くに2つずつ配置されているため余裕あり。キャビン内にはエアコン設置されているので快適だった。シャワーもちゃんと暖かいのが出るし。なおWi-Fiは無し。
 人員はトラックドライバーと旅行者とで区分けされているっぽく、私以外の3人も全員待合室で24時間耐久レースを共にした仲であるため気楽だった。
 乗客が移動可能なエリアはレセプションのある階層のみで、ロビー・食堂・後部甲板の一部と実質3箇所しかない。食堂に関しても食事時間以外は閉鎖しているため中に入ることは出来ないが、ロビーエリアに温水も出る飲み水とティーパック、クッキー菓子が置かれているので少なくとも水に関しては何時でも補給することができる。

 【航行時間】
 一般客が乗船後も大型トラックを乗せるスペースがかなり空いており、出航時にはこれが全て埋まっていたことから案外早いタイミングで乗船許可が降りたのだと想像する。
 なお実際乗り込んだ時刻は16時といったところで、ここから船が離岸するまで一切放送等はなし。19時半開始の夕食済ませて部屋でのんびりしてたら他の乗客に「さっき出向したよ」と教えてもらったというね。20時ごろに出航したとして、約400kmの距離を移動し翌日16時にはカザフスタンの護岸近くで船は停泊していた。
 これはカザフスタン側のクリーク港が船舶で埋まっているからとのことで、空きが出るまで待機しているためとのこと。つまり上手いこと港が空いてれば実質20時間程度の航行時間であると予測できる。
 私の場合はクリーク港に他の船が着いてて現在着岸できないという話でカザフスタン近郊の海上にて1日半ほど待機した後、6時間ほどかけて港まで移動したため計2日半くらいかかって深夜1時に放り出された。

 【飲食】
 乗船してしまえば7時半、11時半、19時半のタイミングで食堂が開き食事が出される。その時間が近くなれば食堂スタッフが「食事の時間だよ〜」的なことを各キャビンの前で大声出して宣伝してくれる(多分アゼルバイジャン語)ため雰囲気で分かる。あと多分15時になるとロビーの飲料水脇にあるクッキーとティーパックが補充される。無料なのもあって大体1時間もすれば無くなるけど。
 なお2日目からはこの「食事出来たよ宣伝」は無くなってしまい、時間に合わせて自分で訪問しないと食いっぱぐれる罠があった。しかも予定時間の30分以上前に食堂開いて時間通りに行ってみたら終了直前だったりと気が抜けない。
 昼・夕食はメインとスープに飲み物を各1つずつ取って各テーブルに置かれているパンとピクルスは食べ放題という形式が基本。乗客全員分を賄えるだけけのテーブルスペースが無いため、先に食べ終えた者は早く退席してねとせかされるためのんびりすることは出来ない。スープの器が少ないのか、下手すりゃ中身が残ってるスープを回収されたりもする。
 なお食堂やレセプションで食べ物は一切販売していない。要するにお金を持ってても船内で使うことは出来ないため食事以外に飲み食いしたいなら事前に購入して船内へ持ち込む必要がある。一応免税店と表記された部屋は存在してたのだけど、航海中1度もその部屋が開いたのを見ていない。


 ◎まとめ
 とにかく予定がハッキリしない船なので状況も分からないまま何時間も待たされる形となるが、それを旅情がある・・・と捉えられるタイプならなかなか楽しい移動スタイルだと思う。少なくとも帰国までの日程やスケジュールが決まっており時間的余裕のない旅行者が使うような乗り物でないことは確か。
 そういう意味である種贅沢なカスピ海フェリー旅行はなかなか楽しかった。事前に情報仕込んで様々な暇つぶしを用意しておいたからこの感想となるのだが、そもそも私は船に乗って移動するのが好きなので。
 飛行機と違ってゆっくりと海上を移動していく様は、同じ海の上を移動するにしても全然異なる感覚を受けるのであり、それは多分自転車旅行に近いものがあると思う。等身大の速度感とでも言えばいいのかな。
 現状ではユーラシア大陸陸路横断のルートとして利用することが(アゼルバイジャンの陸路入国制限の関係で)不可能なため、長期海外旅行してる人にもそれほど需要のない航路となっているが、実際利用してみるとそこまで滅茶苦茶待たされることもなかったし何より楽しい。カスピ海フェリーを利用したいという人が、この記事読んで参考になったと感じてくれたら嬉しく思う。
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 カスピ海フェリー船上

 この2日間ほとんど走っておらず体力的に消耗してる感覚ないのだが、昨夜22時には寝ついて一度も目を覚ますことなく7時までグッスリ。というか夜中に目を覚ますのは当たり前じゃ無いよね。野宿してるとその辺の感覚バグるだけで。

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 さて何するわけでもなく

 7時半の朝食時間より少々前に朝食の掛け声を聞いて食堂へ向かう。アゼルバイジャン語なのかロシア語なのかすら分からないが、こういうのは雰囲気で分かるというものだ。食い意地張ってないと生きていけない。

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 船の食事は基本パン食の模様

 午前中はそのままベッドでウトウトしたりタブレットの漫画読んだりして過ごす。昨日洗濯した衣類もパリッと乾いており、何時でも動き出せる準備は済んでるのだけどな。そう簡単には到着しないのだろうな・・・とこの時点で何となく思ってはいた。

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 お昼は肉もあってやや豪華な内容

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 食後にこのロビーで日記書いたりとかしてた

 午後のタイミングで甲板に出てみたら既に船の右側に陸地が見えておりカスピ海の東側を航行しているのが分かる。このまま進めば夕方前にはカザフスタン到着してそうな雰囲気だけど、16時の時点で到着予定のクリーク港から少々離れた場所に完全停船してしまう。

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 もうカザフスタン側の電波も届く程に近いようでスマホ弄ってる人も

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 泳いで行けなくもない距離か?

 どうも着岸予定のクリーク港護岸が現在埋まっているようで空き待ちをしているらしい。例によって何時になったら上陸できるといった予定は全然流れてこず、陸地を前にしてまたも待機が続く。まぁ今回は食事が出るのでちっともキツくないが。

 でもその夕食は今回19時半になっても全然呼び出しがなく、不安に思って向かってみたら終了直前で危うく食いっぱぐれるトコだった。何が「雰囲気で食事のタイミング分かる!」だよ。何も分かってなかった勘違い野郎でござる。

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 危ない危ない

 暇なのでカスピ海フェリーのまとめ記事1本書いてみたのだが、9割書き切ってしまいブログの方も現状これ以上書けそうなことがない。メンテナンス履歴でも更新するか〜

 結局着岸する雰囲気はないままに夜遅くなってしまい船内2度目の就寝となる。明日にはカザフスタン到着してると良いんだけど。


 翌日。朝になっても状況に変化がない。この船の空間だけ外界と切り離されて虚無空間を漂っているんじゃないかと思うほどである。どうしたもんやら。

 ただまぁ待合室と違って何もしてないのに3食出てくるし15時ごろにクッキーも補充される環境なのでお腹が減って仕方ないとならないのは有難い。人間腹が満たされてればそれほどストレス溜まらないものだ。

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 朝食メニューに変化ないのは残念だが

 同室の旅行者たちは「次カスピ海渡る機会があったら絶対に飛行機使う!」と憤ってたりするが、こういう訳も分からず待たされる経験みたいなものが旅行終えた後に案外印象深く残っていたりするものなのだと知ったようなこと書いておこう。そういや私は海外旅行を終えた経験って1度も無かったわ。

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 コロナでの中断はあれど本旅行が初海外なので

 停船したまま24時間が経過する。こりゃ今日は1日ずっとここで動かず終了かな・・・と思いきや、19時近くのタイミングで船の錨を上げ始めたの目撃し、つまりいよいよ港へ着岸許可が降りたということか。

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 そうであって欲しい

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 ということはこれが最後の夕食か

 順調に移動を始めて私もウッキウキ。ただ停泊していた場所は港から結構距離離れており動き始めたからといって早々に到着するわけではない。結局22時を回ったタイミングで「多分これ深夜の到着になるな」と思い、少しでも睡眠時間確保するため横になることとした。多分船内放送で叩き起こされるのだろうと思ってる。

 2025年4月21日(月) 走行距離0km 累計167646km
 2025年4月22日(火) 走行距離0km 累計167646km
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 エチオピア乗り継ぎ ボレ国際空港

 今回利用している航空会社はエチオピア航空なので、当然乗り換えをする飛行場はエチオピアの首都にあるボレ国際空港となる。とりあえずそこまで6時間ほどのフライトだ。

 各座席にディスプレイがないため映画を見ることも叶わずひたすら時間経過を待つだけで割と退屈な機内。いやまぁ私は値段が安けりゃ何も文句は無いのだけれど、今回は甚大な追加料金取られたこともあって設備について口出しくらいしてやりたいじゃん?

 インド発着便らしく機内食の種類が「ベジ(野菜)」と「ノンベジ(肉)」で分かれていたのが印象的。ここでも自由すぎるインド人が勝手に座りたい座席へ移動してその席の人と揉めてたりしたけれど、もう極力彼らに関わりたく無いので直接的な被害がない限りはスルーしますよ私は。

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 お昼時だったのもあり途中で寝ることもなく

 さて今回ボレ空港では約10時間の乗り継ぎ待ちが発生するのだが、搭乗時にバウチャー用紙を手渡された。それによるとトランジットで長時間待たされる人はアディスアベバ市内のホテルにて無料で休憩ができるサービスがあるとのこと。

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 それは素晴らしい!

 ワクワクしながら空港に到着する。本来エチオピアはビザの手続きをしなくては入国できない国なのだが、このバウチャー渡すことでトランジットビザみたいに短時間の入国が可能となっているらしい。ということでまさかのエチオピア入国。

 他のホテル利用者と共に待合エリアまで15分ほど待たされたが、まさか車両に乗ってホテルまで送迎してくれるとは思わなんだ。いやまぁそうじゃないと「どうやって移動するのさ?」という話なんだけどさ。

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 案内人まで付いて至れり尽くせり 

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 昔訪れた時よりずいぶん綺麗になった気が

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 かなり渋滞に捕まりつつも

 到着したジュピターホテルは私が普通に自転車旅行してるのではまず利用できない高ランクの施設。昼食・夕食も無料で付いてくるとのことで、部屋に入るよりも先にとりあえず食事する茶壺さん。

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 嬉しかったのが

 久々に食べたエチオピア名物インジェラ!・・・じゃなくて、大量に牛肉食べれたこと。そもそもエチオピアってアフリカで最も牛肉生産してる国だったと記憶してるけど、こんなに美味かったっけ?と思ってしまう。

 インドでは全く食べれなかった牛肉だけに、かの国を離れたら必ず食べてやる!・・・とまで思ってた訳ではないにしろ、やっぱりメニューにあったらそら選びますよ牛の肉好きだもん。

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 部屋の中にケトルや無料の水があるのすごい!

 満足して部屋へ戻り気持ちよくシャワー浴びて高速ネット使いつつ少々作業。これまではSIMカード使えたから分からないことササっとネットで調べることが出来てたけれど、ここから先はそうもいかないので事前の情報収集の重要性が増す。

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 とかそんなこと思いつつ夕食頂きまして

 1時間くらい仮眠しようと思っていたが、気が昂っているのか眠ることが出来ないまま21時に電話がなって「30分後に出発するよ」と連絡が。ロビーで他のゲストと一緒に送迎車へ乗り込み再び空港へ戻ります。

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 しかしこんな綺麗な場所もあったんだなアディスアベバ

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 そんで空港到着すると

 中へ入るのに荷物検査があるし、イミグレーションに並んで出国審査を受け直したりと少々面倒。とはいえスタンプも押されていない簡易な出入国だったためか私の審査自体は30秒かからずに終了したけど。

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 行列に並んで待つの時間かかるので

 そこから再度手荷物検査を経てターミナルに着いたの22時半だった。なんだかんだ時間かかるんだなと思いつつ、0時10分のフライト予定だった飛行機は1時間以上前に乗り入れ始まったのであり、ホテル側が指示した時間はバッチリだったんだなと。

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 みなさんそれっぽい服を着てる

 ということで定刻通りにフライトしたみたいだが、私はというと座席に座って一息ついたところで緊張の糸が切れたのか猛烈な眠気に襲われ寝ていた模様。意識はなくとも飛行機は飛びます。

 2025年1月23日(木) 走行距離0km 累計161630km

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 この記事に需要があるのか?という疑問を抱えつつも、とりあえず私の忘備録としては活躍し続けている自転車メンテナンス履歴の2025年版。恐らく本気で自転車世界1周を考えている人にとっては「各種部品がとの頻度で壊れたり交換したりするのか」という意味で良いサンプルになっているのだと信じたい。それと旅行中に何回パンクしたのかは個人的にも興味があるためカウント続けていきたい項目だったり。


 気が向いた時にときどき更新しているペースでもある。


 ◎1月10日(金)  160754km地点
 後輪パンク(81回目) パッチにて処理

 ◎1月12日(日)  161015km地点
 後輪パンク(82回目) パッチにて処理

 ◎1月15日(水)  161307km地点
 後輪パンク(83回目) パッチにて処理

 ◎1月16日(木)  161429km地点
 後輪パンク(84回目) パッチにて処理
 後輪タイヤの交換を実施(18本目)
 ◎1月16日(木)  161507km地点
 前輪パンク(27回目) パッチにて修理

 ◎1月17日(金)  161545km AM5 BICYCLE STUDIO
 クランクねじ穴が馬鹿になってる部分を補強
 ロストしていたクランクのスペーサーを嵌めてもらう

 ◎1月20日(月)  161590km チェンナイ宿
 自転車整備実施

 ◎1月21日(火)  161620km AM5 BICYCLE STUDIO
 チェーンの交換を実施
 リアスプロケット交換を実施

 ◎2月10日(月)  163121km地点
 リアキャリア破損
 更にフロントキャリアも破損を発見
 2日後泊めてもらった農場にて溶接修理してもらう
 併せて自転車整備実施 

 ◎2月15日(土)  163333km ブライダー自転車ショップ
 クランクのネジ穴が馬鹿になっているのを修理依頼
 翌日にネジ穴拡張する形で修理してもらい返却

 ◎3月2日(日)   164490km ドーハ自転車ショップ
 ペダルを新しい物に交換
 購入したチェーンの交換作業を実施

 ◎3月17日(月)  165420km地点 ガソリンスタンド
 後輪スローパンク(85回目) パッチにて修理

 ◎3月22日(土)  165871km地点
 後輪パンク(86回目) パッチにて修理

 ◎3月27日(木)  166405km地点
 後輪パンク(87回目) パッチにて修理

 ◎3月31日(月)  166695km マスカット宿
 自転車整備実施
 フライトに備えて予備ネジ等半分くらい捨てる

 ◎4月12日(土)  167280km地点
 フロントキャリア破損
 翌日工事現場にて溶接修理してもらう

 ◎4月19日(土)  167645km アラト港待合室前
 自転車整備実施

 ◎5月2日(金)    168393km モイナク宿
 チェーンの交換を実施

 ◎5月19日(月)  169541km サマルカンド宿の近く
 自転車整備実施

 ◎5月28日(水)  170065km地点
 後輪パンク(88回目) チューブ交換実施

 ◎6月7日(土)   170634km地点
 フロントキャリア破損
 結束バンドで無理矢理固定処置してそのまま

 ◎6月19日(木)  171330km オシュ宿
 自転車整備実施

 ◎7月6日(日)   172510km さくらゲストハウス
 自転車整備実施
 チェーンの交換を実施
 ボトルケージの交換を実施

 ◎7月7日(月)   172532km さくらゲストハウス
 フロントバッグのハンドル固定ワイヤー断裂
 自転車用ブレーキワイヤーに交換して対処

 ◎7月14日(月)  172934km地点
 後輪リムにクラック
 その場でヒッチハイクしカラコルの町まで移動
 翌日ビシュケクの町までリム持って移動し謎メーカーのリムに交換実施

 ◎7月20日(日)  173017km アーバンモンキーゲストハウス
 後輪のフレと内部に水の流入
 分解して排水しスポークテンションの調節を実施

 ◎7月24日(木)  173213km ボコンバエボショップ
 後輪のフレ
 ショップにてスポークテンション調整を実施

 ◎8月3日(日)   173825km さくらゲストハウス
 自転車整備実施
 後輪のスポークが4本破損
 宿にあったリムを頂き、2日後に自転車ショップで新しくリム組んでもらい対応
 このタイミングで前回のハブとスポークを返却してもらい結果的にリムのみ更新

 ◎8月4日(月)   173825km さくらゲストハウス
 後輪タイヤの交換を実施(19本目)
 ハンドルブラケットの交換を実施

 ◎8月11日(月)  174098km地点
 後輪スポーク折れ
 宿まで押して移動し予備スポークと交換を実施

 ◎8月12日(火)  174101km地点
 後輪パンク(89回目) 宿に戻ってチューブ交換実施

 
 最終更新8月18日(月)
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 新年あけまして2025年となりました。おめでとうございます。

 さて私の自転車旅行は2014年の12月13日に日本をフェリーで出立しており、先月をもって10周年を迎えることとなりました。当初の予定では「長くても6年程度」としてたのに、旅行って何が起きるか分からない。

 とはいえ私は同じ場所で長逗留することが好きではないし、1度走った国や地域も極力被る事のないようルートを組んで走り続けてきたと思ってまして、そうすると世界は広くとも有限である以上「走っていない土地」というのが徐々に減っていくのです。

 2020年にパンデミックが蔓延した時は「まだまだ走っていない・走りたい土地がある!」という思いと私自身が納得できていないことを原動力に自転車旅行を再開しましたが、その「走りたい土地」というのも残り僅か。これに加えて私の旅行資金にも限りがある。

 個人的に旅行というのは何時までもダラダラ続けるものではなく、明確に終わりの区切りを付けるものだと思ってまして。少なくとも私は「自転車ときどき世界1周」とブログタイトルにも歌っている以上、キチンと世界1周しケリをつけて本旅行の幕引きをしたいと思っている。それが今まで大勢の人に良くしてもらった私が出来る礼儀じゃないかと。

 ということで宣言

 私の海外自転車旅行はこの2025年を最終年とし本年中に日本へと帰国します。2年間の旅行できない日々を挟みつつも足掛け8年。初めてのクライマックスだ。

 こういう宣言は最後まで怪我なく事故なく無事に帰国できて初めて意味を持つと思うので、そうした決意を示しておきたく思いまして。私の旅行に今ハッキリと「無事日本へ帰る」という目的が追加された。

 そんなわけで自転車ときどき世界1周はもうちょっとだけ続きます。よければ私の旅行が完結するまでブログ見てお付き合いいただければ幸いです。今年もよろしくお願いします。
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 ネパールには様々なトレッキング道がある中で、私は主にアンナプルナ山の周囲を1周する「アンナプルナサーキット」と世界最高標高を誇るエベレスト山のベースキャンプまでを往復する「エベレスト街道」の2種類を体験した。
 本当はアンナプルナサーキット終えた時点で各種別々にまとめ記事を作るつもりだったのだが、その辺でPCの不具合が発生したりで作業どころではなくなり、ようやく修理完了して落ち着いたのがエベレスト街道を終了した後だったため「いっそまとめてしまおうか!」という経緯があった。
 なお最初に言っておくと、アンナプルナサーキット1周に関しては自転車を活用しての踏破であるため、トレッキングという意味では情報として適していない点があることを明言しておく。

 【基本情報】
 アンナプルナサーキット:ネパールの北部中央に位置する標高8091m(世界第10位)の山を中心として周囲を1周できるよう建設されたトレッキング道である。総距離は約405kmだが、このうち半分強は一般道路となっておりアスファルト路面、4割程度が未舗装ながらも車両が移動できる道となっており、車両が通行できない区間はマナン〜ムクティナード間32kmのみである。
 日本人的にはそれほど馴染みがないが、ネパールでも屈指の人気トレッキング道としてエベレスト街道に次ぐ人気を誇っている。また周回道であることや奥地まで車両によるアクセスが手軽なことから体力や時間が厳しくても柔軟にルートを作れる反面、アンナプルナベースキャンプやアンナプルナ内院といったポイントをルートに加えることで1ヶ月近くを要する骨太の山行をすることも可能である。

 エベレスト街道:ネパール北東部、中国との国境に位置する標高8848m(ネパール名サガルマータ・中国名チョモランマ)の世界1高い山として有名なエベレスト。そのネパール側におけるベースキャンプやゴーキョ リと言ったポイントまでの道を総称してエベレスト街道とされる。
 山系でいうとクーンブ山群と呼ばれるエリアで、ここにはエベレストの他にもローツエ(8516m)、マカルー(8463m)、チョー・オユー(8201m)といった8000m峰が存在する。
 首都のカトマンズから移動してくる人が大多数だが、その際に使われるスタート地点は主に3箇所存在し近い方からルクラ・サレリ・ジリとなっている。ルクラはフライトアクセスする際の飛行場がある町で、サレリはバスで移動できる最寄りの町、ジリはそうしたエリアに車道がなかった時代に最寄りの町として使われてたクラシックルートの代表格として残されている町である。どのルートを利用しても街道最大の町であるナムチェ バザールを経由することとなるが、一般的にナムチェまで要する日数がそれぞれ
 ルクラ→2日
 サレリ→3〜5日
 ジリ →7〜10日
 程度とされている。

 【登山とトレッキング】
 ネパールという国は「登山」と「トレッキング」というのをハッキリと区別している国であり、この国では標高6000mを超える山を登ることを称して登山とし、それ以下の山に登ることは扱いとしてトレッキングの範疇に収まることとなる。
 何故こうした区分けをするのかといえば、ネパール国内で登山をする場合は入山料の支払いが必要になるためで、つまり6000m以上の山へ向かうには予めネパール登山協会に登山許可証を申請し受理される必要があるということ。余談だがエベレストの入山料は約11000USドルである。その他諸々の諸経費で登頂するには日本円で1000万くらい必要になるとされている。
 つまりネパール側としては外国人トレッカーの大多数である6000m以下の山域しか歩かない人からは登山料を徴収せず、高山に登るガチ登山家からのみ入山料を頂くというシステムになっており、一般的な旅行者からするとなかなか優しい構造となっている。
 言い換えるとどんなに元気であろうがベースキャンプより奥(どの8000m峰もベースキャンプは大体5000m代)の山へ登ってしまうと色々問題となるし、最悪の場合は捕まってしまうため注意が必要。


 ◎アンナプルナサーキット(自転車)

 【気候】
 10月のモンスーンが明けた直後のベストシーズンということで天気が崩れることもなく、日中の気温はTシャツ1枚でも快適なことが多く非常に快適な山行となった。個人差あるだろうがマナン(3500m)くらいの標高だと日中は上着が必要ないくらい程度の20度以上になるし、太陽光の影響が強いため体感的にはそれ以上に暑くすら感じる。なので曇ったり日が傾き始めると一気に冷え込むため小まめなウェアリングがとても大切。
 夜間の冷え込みではトロンハイキャンプの早朝でー10度くらいまで下がったものの、服を着込んでしまえば宿にベッドに置かれてる布団1枚で事足りる程度。わざわざ寝袋を持ってくる必要はないと言える。
 運もあるだろうが風に吹かれて寒い思いをした記憶がほとんどなく、全体を通してとても緩やかだったことが印象深い。
 標高5000mを超えるとチラホラ雪が出てくるが、10月時点ではトレッキング道上に積雪が残っている場所はなく安全に移動することが可能である。これがもう1つのトレッキングシーズンである春(3〜4月)だと冬の残雪が残っており、特に自転車での移動は困難をきたす可能性が高いため、10月というこの時期が1年を通してベストシーズンであることは間違いない。

 【標高(最高地点)】
 最高標高は円の北側に位置する峠「トロンパス」の5416mである。トロンパスより東に位置するマナンの町で約3500m、西に位置するムクティナートの町で約3800mとなっており、サーキットを回るだけならこの2つの町より外側では注意するほど標高が上がることはない。

 【道・総距離】
 1周が405kmと表記したがこれは私が自転車での走行で走った際の総距離であり、アンナプルナサーキットを正しい意味で1周する人というのは全体の0.1%にも満たないと思われる。そもそも歩くのならば、想定される道の距離は約360km程度。
 ということで多くの人は拠点となるポカラの町からバス(飛行機)を使って移動し、主にサーキットの上半分を歩くことになる。この場合に想定される最も長いルートとして「ベジサハール〜ジョムソン空港」を引き出すと総距離は146kmとなる。ジープを活用することでこの距離をもっと短く短縮することが可能であり、最短の場合は先にも述べた通り「マナン〜ムクティナート」間の32kmとすることが可能な上、この区間にあっても馬の乗馬サービスを利用することで実は自分で全く歩くことがなくともこのエリアを通過することはできたりする。

 【宿泊・食事】
 ほとんどの施設がレストランと宿泊施設を兼ねる形で経営している。そして宿泊先の食堂にて夕食・朝食を頂くことで宿泊料金を大幅に値下げしてくれる・・・というサービスがこの国の山小屋では一般的なサービスとして定着しており、これを利用することでアンナプルナサーキット内での宿泊料は無料〜300ルピー(約340円)と強烈な安さで利用することが可能となる。
 山小屋の設備なんて何処も「眠るだけの部屋」として、せいぜい違いが室内にコンセントが有るかどうかといった程度。標高が上がっていくほど簡素で無機質な部屋となっていき、どうせほとんどの時間をダイニングで過ごすことになるので気にしていなかった。かなりの場所でホットシャワー無料で利用することができたのが驚きで、このためアンナプルナサーキットでは何日間もシャワーを浴びれず不快な思いをする・・・ということがない。道中3つの村で温泉が沸いてることもあり内1つは無料で入浴が可能。
 標高と比例するように食事の値段は上がっていき、しかしレベルが下がっていくというのは山なので仕方ない。ネパールの国民食でもあり米と豆とがお代わり無料で楽しめる「ダルバート」ばかり食べていたが、栄養バランスとか無視してとりあえずこれさえ食べてれば満腹になれるという点でネパールトレッキングにおける最強食として私の中で君臨していた。
 なお下界でダルバートは1食200ルピー位から食べることが可能だが、最高所のトロンハイキャンプでは1100ルピーまで料金が値上がりした。他のメニューも大体似たようなものなので金額の参考までに。

 【通信・充電】
 どんな宿にでもWi-Fiが設置されており全体的に良好な通信ができる。といっても標高が上がるほどに通信速度は低下していくのは避けられないので、4000m超の場所では動画を見るとかのレベルは期待できない感じ。私の場合は最高標高であるトロンハイキャンプの宿までは全て無料でWi-Fiを利用することができ、正直もっと過酷な環境を想像していて拍子抜けしてしまった程である。せっかく持ってきたモバイルバッテリーは全く活躍することがなかった。マナンまでは電線を通じて電気が供給されてる感じだが、それより高い場所になると電線は繋がっていても電気の供給があるのか怪しい感じでソーラーパネルを活用しての給電が主となっていたように思う。そんな状況にも関わらず無料でできたのは運が良かっただけで、その辺までいくと有料なのが普通なのかもしれない。
 スマホの電波に関しては各種宿のネット環境が良好なことでほとんど利用しなかったものの、ベジサハールの町を過ぎた辺りで電波が途絶えて以降、ムクティナートまでほとんど電波が復活することはなかったように思う。全体的に電波が山の陰に入ってしまう場所だったりすると通信事情が悪くなる傾向にあるが、そもそもトレッカーが歩き回るエリアのほとんどで電波が入らないのであまり意味がない。なお私が使っているネパール通信のNcellという会社は田舎や過疎地域に関して弱いと聞いたので、もう1つのNTCという会社ならばまた違った状況となる可能性はある。
 
 【日数】
 私の場合はポカラから全自走で合計12日間。途中マナンの町にて1日高度順応日を設けている。期せずして一般的なトレッカーが必要とする日数とほぼ同じくらいで走破となった。
 

 ◎エベレスト街道

 【気候】
 11月の前半に歩いたが、アンナプルナサーキットと違ってかなり寒さが厳しかった印象で、1ヶ月間の季節的な影響が如実に現れていることを実感した。自転車ではなかったことから強い負荷をかける場面が少なく身体の発熱量も抑えられた・・・という点で考慮する必要があるものの、道中で1度もハーフパンツに履き替えることなく全日程を過ごしているのは大きな違いだ。
 風に関してもエベレスト街道では標高の高い地域で主に南から定期的に吹き続けており、強風ではないため歩行に支障となることはなかったものの体感温度を下げるのに影響が出ていたように思う。
 日中の最高気温は場所次第でまだ20度に届くほど暖かくなったりもしたが、ゴラクシェブで宿泊した際には翌朝ペットボトルの水がガチガチに凍っていたので相当気温が下がったことが想像できる。ー10度以下だったんじゃないかな?
 ルートにも寄るのだろうが、まだこの時期なら街道上に積雪はほとんど出てこない。私が通ったルートの場合はチョ峠東部周辺だけ要注意だが、注意して歩けばアイゼンは必要ない程度。もちろん天候等の状態で毎年同じコンディションとは限らないが。

 【標高(最高地点)】
 ゴーキョルートではゴーキョ リが5360m、エベレストベースキャンプルートだとカラパタールの丘が5644mとなっている。その他のポイントとしてエベレストベースキャンプは5310m、2つのコースを繋ぐルートにあるチョ峠が5417mとなっている。
 基本的に中国との国境に連なる山脈に近づく北側へ向かうほど標高が上がる。ゴーキョの山小屋が4790m、ゴラクシェブにあっては5170mの高さがあり、ほとんどのトレッカーがこうした宿泊施設に泊まることとなるため、高度障害への対応という意味ではこの2箇所へ滞在することの是非が重要かもしれない。

 【道・総距離】
 今回はスタート地点からの歩行距離を出しており、サレリ→ゴーキョ→ベースキャンプ→パイヤというルートで合計191kmとなった。一般的なトレッカーが活用するルクラの飛行場からエベレストベースキャンプまでをピストン移動すると往復100km強になるらしい。ルクラ〜ナムチェ間だと片道14kmほど。
 体力のある人なら1日の移動距離も増えると思うが、私の場合は全体を通して1日平均15kmくらいだったかと思う。当然標高の高い場所に行くほど酸素が薄くなるし歩きにく急峻な地形を進む割合も増えるため距離は減る傾向にあるのだが、何故だかどんどん元気になって距離が増えてた疑惑あり。
 仮にナムチェまでで終了する人でもルクラの空港までは最低30km近い距離を歩かねばならないという面からエベレスト街道は結構敷居が高い道であると思う。トラブルやどうにもならなくなった場合はヘリを呼んで運んでもらうことも可能だが、事前に保険加入してないと料金100万円コースなので。海外旅行保険でヘリ搬送に対応しているか確認しておくのは重要事項。

 【宿泊・食事】
 宿泊施設のスタイルはアンナプルナサーキットと同じで併設レストランを利用することで宿泊は格安料金で利用できる。ただしその料金は全体的にアンナプルナサーキットと比べて高く、エベレスト街道では1泊で無料〜500ルピーくらいが相場だったかな。その割にWi-Fiや充電のサービス有料の場所が多い。
 特にシャワー関連は厳しい感じで、まだ標高3000mにも満たないナムチェ手前からシャワーは有料になるしその値段も1000ルピーとか馬鹿高い。これにも時間制限があったりとか、別パターンでバケツ1杯のお湯で幾らとか色々。まぁ私は利用してないのでどうこう言えるようなこともないのだが。
 アンナプルナサーキットと違って此方ではよく食事メニューに「シェルパシチュー」と呼ばれる品があり好んで食べていた。肉と野菜をぶち込んだすいとんみたいな食べ物で安くて美味しい。
 なお物価の上昇具合はアンナプルナサーキットより激しく、ゴラクシェブで食べたダルバートは1250ルピー(約1430円)、朝食のシリアルで700ルピー(約800円)とかした。仕方ないとはいえ凄まじい値段だよなぁ。

 【通信・充電】
 これに関しては結構優秀で、山の陰に入ってたり谷底とかの地形的に電波が届きにくい村や集落でなければナムチェ以南の町だと割と電波が立っていた。ナムチェ以北になると流石に厳しいが、それでもエベレストベースキャンプルートに沿うルートの村だと途中まで電波が拾える村が多く、ナムチェからパンボチェの間なら割とどうにかなる。それより北になると通信不可能だったが。
 Wi-Fiに関しては一般的な宿泊施設ならどこも設置されているが、基本的に有料となるため私は一切活用していない。なので速度に関しても不明。これに加えてナムチェ以北では充電にも高額な料金を求める状況にあり、こんなの利用してたらお金が幾らあっても足りないわい!というのが私の気持ちなのだが、思ったよりも宿内でWi-Fi利用しているトレッカーの姿を見かけており現代では山の上でもネットと無縁の世界ではいられないのだな・・・とか余計なこと考えてたな。
 参考までにゴラクシェブだとスマホ1台フル充電に1000ルピー (約1100円)とか。ネットは接続後にバウチャー打ち込んで制限時間だけ使える方式であり、多分お金払いたくない人がパスワード盗み見て接続という問題が横行したため対策されたのだと想像する。

 【日数】
 私の場合はサレリの町まで車両で移動しそこからスタート。ゴーキョピークとエベレストベースキャンプの2カ所を経由し下山。パイヤの町からジープを利用してサレリ、サレリから車両でカトマンズに戻るまでに合計14日間を要した。なお往路のナムチェで1日間の休息日を挟んでいる。


 ◎2つのトレッキング道の比較

 【スタート地点までのアクセス】
 エベレスト街道はスタート地点までカトマンズから車での移動に片道10時間以上を要する上にかなりの悪路である。飛行機を活用すればルクラまで1時間かからずに到着できるが、料金が2〜300ドルと非常に高額なことに加え、辺鄙な場所にある飛行場のためちょっとした天気の変化ですぐ欠航してしまうことで有名だ。ほとんどのトレッカーが飛行機を利用するが、私のようにバスorジープで移動するトレッカーも一定数いるが、このジープの値段は2000ルピーから。バスだともうちょい安くて1500ルピーでチケット買えたが乗車時間15時間の長丁場でなかなかハード。
 これに対してアンナプルナサーキットの場合はほとんどの人がバスでの移動を選択する。これは単純にサーキットは反時計回りの方が人気があり、無理のない行程が組めるルートで人気も高い。しかし拠点となるベジサハールの町やその周辺に空港がないので実質選択肢がないからだ。
 このベジサハールまではポカラからのバスで1000ルピー弱で7〜8時間くらいするとされており、値段・所要時間とどちらにしてもアンナプルナサーキットの方が若干楽であると言える。なおジョムソンの町には空港があるためトレッキングを終えた人がここからポカラまでフライトするパターンはかなり多いと聞いたが、やはりエベレスト街道より陸路移動のハードルが低いためか(帰り道の途中に温泉があるからか)ジョムソンで飛行機は使わずバスを乗り継いでポカラに戻る人の割合はかなり高い。

 【使用金額】
 やはり世界1の山という知名度と人気の関係で全体的にエベレスト街道の方が物価高いし細かな出費も嵩む傾向にある。特に国立公園の入場料に関してはエベレスト街道が合計6000ルピーを支払うのに対してアンナプルナサーキットでは3000ルピーと半額だ。
 多くの場所に車道が通っていることが関係してるのかアンナプルナサーキットでは最大都市マナンでも物価上昇率が控えめだったのに対し、エベレスト街道のナムチェではむしろ周辺の町より物価が高くなってすらいた。要するにエベレスト街道はあまりにも人が多過ぎて一部観光地化された状態になっており、ツーリスト相手に特化した状況となってしまってる印象だ。アンナプルナサーキットはまだそこまで振り切れてなく牧歌的な雰囲気を残している感じ。
 参考までにアンナプルナサーキットとエベレスト街道で使った総金額を出しておく(国立公園の入場料含む)

 アンナプルナサーキット 21965ルピー 12日間 1日平均 1830ルピー
 エベレスト街道     37520ルピー 14日間 1日平均 2680ルピー

 エベレスト街道は往復のバス移動料金で合計7500ルピー使ってるので実質3万ルピー。それだと1日平均も2140ルピーとなるので実感していたほどの物価差ではなかったという感じ。でもエベレスト街道は物価の高い場所だと分かっていたため昼食削って節約をしていた事実があるので、実際には数字以上に開きが存在する。というか自転車で移動するとそれだけで節約効果がすごいのな。

 【難易度】
 以上の道・物価・標高等々の要素を加味すると
『エベレスト街道(自転車)>アンナプルナサーキット(自転車)>エベレスト街道>アンナプルナサーキット』
 という結論になった。要するにエベレスト街道の方が色々な意味でアンナプルナサーキットより大変だったということだ。というかアンナプルナサーキットが様々な点で手厚くサービスが整っており、日数や体力に合わせてラインを大きく下げることにも対応しやすい構成となっているのが素晴らしい。
 これに対してエベレスト街道はトラブル時のエスケープがヘリ利用するしか方法が無かったりと、道の状態とかそういった点より「山中の1番奥地へピストン移動する」というルート上の制約で難易度が上がっている印象。
 個人的なことを言えばアンナプルナサーキットもエベレスト街道も「難しい道」だと思った箇所は1つもなく、せいぜいチョ峠を超える時に「大変だな」と感じたくらい。標高こそ5000mを超える場所が出現するが、特殊な登坂技術が必要になる場面は存在せずあくまで「楽しく歩くトレッキング道」と表現するに相違ない道である。高度順応さえしっかり対応できれば特に問題となるようなことはないだろう。

 【エベレスト街道を自転車で登ることは可能なのか?】
 アンナプルナサーキット1周が一部の自転車乗り界隈で人気ルートである一方、エベレストベースキャンプへの自転車における到達は全くと言っていいほど話を聞かない。そこには単純に往復路となるためルート的な面白みに欠けるとか、そもそもカトマンズからスタート地点までに距離があり過ぎて挑戦する気概を失いやすいといった面があると思う。自転車旅行の場合はデポする荷物問題も色々考えなくちゃだし。
 ・・・がその辺は一旦置いといて、単純に「エベレストベースキャンプまで自転車で行けるのか?」という点において、私は「ある程度実力と経験を兼ね備えたサイクリストであれば十分に可能だと思う」と言っておきたい。

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 実際に1人サイクリスト見たし

 個人的にエベレスト街道を自転車走破するにおいて問題となるのは、むしろルクラ空港以降の本格的に標高上がっていく道ではなく、それより手前の道だと思う。町でいうとサレリ〜ルクラの間だ。
 この間の道は利用者が少ない関係か道の状況が悪いままとなってるエリアが多く、また乗車したまま進めないような凸凹の路面に多数の階段や段差、ぬかるみに渡河といったギミックが多くて苦労する。現在ではパイヤの町まで車道が伸びてることからこの道を活用することで7割くらいは自転車担ぎをしなくても移動できるのが助かる点かと思われる。
 ルクラ以降の道はナムチェまで急登はありつつも移動不可能ということはないし、ナムチェ以降は素直にエベレストベースキャンプルートを進んでいけば、乗車できるのは僅かな割合であっても自転車を抱えたままではこれ以上先に進むの不可能・・・という場所は出てこない。私の通ったルートだとチョ峠を通過さえしなければなんだかんだ9割押したり担いだりすることになるかもだがエベレストベースキャンプまで到着することは可能かと思われる。それが楽しいか?と言われると「あまりに乗れない区間が多過ぎて微妙」と私は思ってしまうが。
 参考までにメモしていたアンナプルナサーキットにおける私の体感乗車率を日付ごとに記載しておく。

 ・アンナプルナサーキット乗車率(体感)     乗車:押し
  2日目 ボデオダール〜ジャガット       60:40
  3日目 ジャガット〜チャーメ         70:30
  4日目 チャーメ〜ローワーピサン       80:20
  5日目 ローワーピサン〜マナン        90:10
  7日目 マナン〜ヤク・カルカ         80:20
  8日目 ヤク・カルカ〜トロンハイキャンプ   35:65
  9日目 トロンハイキャンプ〜ムクティナート  15:85
                ※他の日は乗車率100%(又は自転車乗っていない)である

 こうしてみると核心部を除けば常に半分以上は乗車して走れてたアンナプルナサーキットだが、エベレスト街道は私の感覚的に乗車率10〜20%という印象で「自転車という存在が邪魔な荷物にしかなっていない」と思ってしまうレベルだ。
 ということでエベレスト街道自体は自転車でベースキャンプまで到着することは時間とお金を費やせば可能だと思う。ネパール側もそれに対して特別禁止だとか罰則を設けてはいないようだけど、そもそもそんなこと実施する輩がいないので誰も何も知らないだけという可能性は捨て切れませぬが。
 ただし全行程のほとんどが自転車に乗ること難しい道なので、特に旅行用のサスとか付いてないタイプの自転車だとひたすら押す/担ぐ作業に終始することとなり道中の道が楽しいかは保証できかねます。MTBを持ち込んだりすれば割と楽しめるかとは思う。

 【事前準備等】
 アンナプルナサーキットに関してはポカラかカトマンズといった町でACAPと呼ばれる入域許可証を事前取得する必要がある。一応現地のチェックポストで罰金を支払うといった方式で対処が出来ないわけではらしいが実際に実行してないので何とも。
 荷物やギアに関してはカトマンズ・ポカラ共にトレッキング関連のショップが豊富にあるためどうにでもなる。ただし販売されてる商品はウェアとかザックといったジャンルに関して言うとほぼ全て偽物。その代わり値段は非常に安いし、交渉することで更に値下げもしてくれる。
 その他携行食や高山病対策の薬(有名所でダイアモックスとか)とかも全てここで入手できるし、薬に関しては10錠で100円とか格安販売されているため、他の場所で用意する理由が薄い。またトレッキングを終えて戻ってきたら使用済みの製品を買い取ってくれるショップも多いしギアをレンタルサービスしているショップもある。ただしレンタル品は状態が悪いことが多く、事前にしっかりと品質チェックしないと後々揉めることになりやすい。
 余談だがトレッキングの範囲であればウェアを着込んで宿の布団被れば保温的には充分であり、マットや寝袋といったアイテムは必要ない。バーナーや調理器具といったアイテムも宿内での調理は禁止されている関係で、道中テント泊山行を予定してないなら無用の長物となる。宿泊施設を活用してのトレッキングならは、ギアに関しては最低限ウェア・シューズ・雨合羽・ザックがあれば事足りる。
 旅行会社も無数にあるため、わざわざバスターミナルまで行かずともバスやジープのチケットを予約することは簡単にできる。不安なら現地ツアーを申し込めばガイドも付けて快適なトレッキングを実施することも可能だ。というか単独でガイドもポーターも付けずにトレッキングしている人の方が少数派ではある。
 なお2023年にネパール政府が「ガイドを付けずにヒマラヤ山系をトレッキングすることを禁止する」というルールを発表し界隈が一時騒然となったのだが、2024年現在でアンナプルナサーキット及びエベレスト街道ではこのルールを全く気にしなくて良い。形骸化しているだけなのか、ルールの対象外なのかは不明。
 1つ言えるのは、とにかく現地の町にさえ来てしまえば仮に手ぶらだったとしてもトレッキングに必要な準備は全て現地で可能だということだ。

 ◎まとめ
 ということで2つのトレッキング道を通った私の感想とまとめである。もっと細かい点まで注視すると色々注意事項もあるけれど、基本的に気づいた点というのはその都度日記で書き起こしてるので興味ある人はそちらを確認してもらえればと思う。
 特にモンスーンが明けてからのネパールは気持ちの良い天気が続き、毎日最高の景色を見せてくれる素晴らしい道を歩くことができたと思ってる。アコンカグアやキリマンジャロといった他大陸の最高峰登山と比較しヒマラヤトレッキングは到達する標高はそれほど差がないのに金銭的に1桁少ないというレベルで安価な山歩きが可能であるためそういった意味でも非常に助けられた。ただし私が通過したルートはどちらも日程的な余裕が必要となる傾向にあり、長期旅行者でないと時間を捻出するのがなかなか難しい面がある。
 結局どちらのトレッキング道が良いの?という質問があるかもしれないが、もちろん私はこう答えたい「どっちの道も最高に楽しく気持ちいい道だから、両方歩きなさい」と。
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 現在エベレスト街道へトレッキング行っておりブログの更新が出来ない状況です。

 戻ってきしだいブログは再開する(パソコンが直っていれば)予定なのでお待ちいただければ幸いです。

 今年はこのパターン多い気がするのだけど、基本的にネット環境も無い(又はパソコンを持ち運ぶ余裕もない)ほどの僻地に向かってるのが原因なので、得てしてそういう土地は非常に面白いものなので。

 再開したら楽しんでいただける景色をお見せ出来ると思います。多分ね。
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 カラコルムハイウェイは全行程を走破したわけではないのだが、それでもパキスタン側における走行可能地域は大体走りきったので情報をまとめてみた。ヒマラヤ山脈周辺には自転車旅行者が憧れる3大道路というのが存在しており、その一角を担う道だし記録を残しておきたかったというのもある。なお残りの2つはラダック及びパミール高原というのが一般的な指標。
 なおこのまとめでは主に私が走行したパキスタン側における情報を取りまとめているので悪しからず。


 ◎カラコルムハイウェイ

 【基本情報】
 パキスタンの首都イスラマバード若しくはその北部に位置するアボッターバードの町から中国新彊ウイグル自治区のカシュガルまでを繋ぐ総計約1300kmの国際道路。国際道路として世界最高所にあることが有名な道だが日記にも書いたとおり真偽のほどは不明。

 名前の通りカラコルム山脈に属するエリアを抜けていく場面が多く、そのカラコルム山脈は7000mを超える高山を誇る世界でも屈指の高山エリア。ヒマラヤ山系ともぶつかっている関係で周辺道を通ってK2やナンガ・パルバットといった8000m峰の姿を望んだり拠点とされる町までアクセスできる。

 またインドとの領土問題を抱えている地域であり、数年前まではインドのようにNOCと呼ばれる入域許可証を取得しないと走行不可能な地域が存在した。現在では自転車においてこのNOC制度は廃止されているものの、依然として警察による護衛と称した車両での貼り付き、若しくはトラック等に乗せられてのピックアップを余儀なくされる区間があるし、そうでない地域においても道路上に多数の検問が設置されており事細かなチェックを実施されるといった点がある。パスポートとビザのコピーが大量に必要だという話を聞いてたので各5枚ほど準備して行ったが、実際にはパスポートを見せるだけの検問が多く、私が提出したのはビザのコピー用紙1枚のみであった。ただしこれは自転車で通行した場合の話で、復路の移動ではバス乗車前にパスポートのコピーを計5枚提出させられた上に道中でビザのコピーも1枚提出した。ビザに関しては事前連絡もなく突然の請求だったので運良く予備を保持してたから良かったものの、持ってなかったらどうなることかと肝を冷やす出来事だった。

 【治安・警察車両のピックアップ】
 パキスタン全土はともかくフンザを中心とした北部地域における治安は問題ないように感じられるのだが、チラスから西・南に延びる道路には道中で山賊が現れるらしく強盗の被害が報告されているらしい。警察はこの情報を教えてくれなかったものの、自転車による走行禁止区域がまさに同じエリアであることからトラックによるピックアップは山賊対策である可能性が高い。
 具体的な警察が介入を示してくる区間としては

 1、アボッターバード〜チラス カラコルムハイウェイ
 2、ナラン〜チラス      カガン渓谷及びバブサール峠
 3、チラス〜ギルギット    カラコルムハイウェイ
 
 といった場所が挙げられる。警察の介入にも強弱があり、2のエリアに関しては有無を言わさず車両にピックアップされてしまったが、1に関しては走行可能区間もあればピックアップを余儀なくされた区間もあるとのこと。3のエリアでも再三「車に乗っていけ」と言われたが、自走したいと突っぱねたら許可された。しかしこの区間で出会った他のサイクリストはずっと警察のバイクに張り付かれいたのを目撃しており運次第で状況が変わると思っていた方が良い。

 一応帰り道でアボッターバード〜チラス間の道も通過しているが、車内から見た限りでも「確かにここの道は個人で通してくれなさそう・・・」と感じる程に検問の数が多く厳重な雰囲気を感じたのであり、実走された方がいたら是非その辺の話を聞いてみたい。


 ◎カラコルムハイウェイの状況

 【道路】
 世界の最も高い場所を通る「舗装道路」というのが謳い文句なだけあって、一応は全線完全舗装のアスファルト道である。私はイスラマバードから正規のカラコルムハイウェイじゃない東部山越えのショートカットルートを走ったため、この区間は結構な未舗装路や路面の悪さに苦労することがあった。

 なお路面状態にあってはそれほど良好ではない。これはカラコルムハイウェイの大部分が急峻な崖下等にへばりつく形で造られているため致し方ないのだが、落石や土砂崩れによる崩落でダメージを受けてる箇所が無数に存在している。こうした崩落でガードレールや電柱も巻き込まれて鉄屑となったまま放置されている感じであり、路面の整備にまで手が回らないのも「まぁそうだよね・・・」と思ってしまうところ。

 恐ろしいのが現在でも頻繁に落石や土砂崩れによって道路が塞がれてしまう事態にある点で、私がこの地域を訪問している間だけでも最低3回、カラコルムハイウェイ上で土砂崩れにより道路が通行不能となってしまった情報を受け取った。相当規模が大きなものでない限りは半日〜1日程度の期間で開通工事完了していたが、日程的な余裕がなかった後半はこうした状況に一喜一憂していた。

 なお単純に道の特徴としては標高1000m程度のエリアをアップダウン繰り返しながら進んでいくことが多い。そして標高低いエリアの方が坂の斜度もキツくて走るの大変だったりと間違いなくカラコルムハイウェイにおいて大変なのは前半戦。私の場合はパキスタンの滞在期間が30日間しかなかったこともあって前半戦では休息日を入れずに走り続けたのだけど、後半は疲れすぎて限界ギリギリまで追い込まれる程だった。

 何となく全体的に標高の高い土地を貫くイメージがある道だけど、実際カラコルムハイウェイ正規ルートを走ると標高3000mを超えるのは最北ソストの町を抜けてクンジュラブ峠に先かかるエリアからだ。パキスタンの夏場は1000m前後の標高だと簡単に30度超える暑さとなるため真夏の走行に適した地域とは言いづらかったというのが私の感想。

 【宿泊・野営地点】
 宿泊施設の値段が非常に安い国であり、尚且つパキスタン他の地域と違って宿で外国人の宿泊拒否が(1箇所除いて)発生しなかったのでほとんどキャンプをしていない。なお宿泊拒否事案が発生したのは前述の警察によってピックアップ余儀なくされたエリア。詳しくは日記で書いたが、この時は夜中にトラックでピックアップされてチラスの町まで強制移動させられた。

 基本的に2〜30kmも移動すれば何かしら宿泊施設が出てくるため、1日の走行距離をしっかり決めずに見切り発車しても宿が見つからずに困窮するという可能性は低い。宿のグレードで全然違うが私は1泊2000ルピー(約1000円)以下の宿で全行程を走り切っている。特徴としてチラスやカリマバードといった町は全体的に宿の値段が高い傾向にある。

 値段の割に綺麗で広々とした部屋を備えたコストパフォーマンスに優れた宿が多い反面、この地域全体的に電気設備や通信設備は非常に貧弱。特にフンザ地域まで入り込むと町全体が停電することも多々あり、施設の電気給電状況はその宿が発電機を持っているか?持っていたとして何時間動かしてくれるのか?といった点に左右される。特に対策してない安宿の場合、運次第だが1日の半分近くは停電してると考えた方が良い。

 【補給】
 これに関しては全く問題ない。そもそもカラコルムハイウェイがパキスタン〜中国における物流道路として造られた背景もあるし、歴史的にもシルクロードとして(一部)使われていた道である。定期的に集落が出てくるし、そうでなくとも大型トラック等の車両が休憩しやすい広い駐車場を備えた食堂とかが沢山ある。唯一ソストの町から北上するとクンジュラブ峠までの80km間には補給できるような場所が存在しない。

 なかなかの僻地にある土地だが大きな町だと物価は都市部と変わらないし、小さな集落とかでも物の値段は10%くらい上乗せされる程度。この道を走ってきた者からすれば随分良心的な値上げ幅に感じられはした。そもそもパキスタンの物価は現在世界全体で見ても最安値レベルであり、多少の値上げがあったところで「そもそも無茶苦茶安いしなぁ」という感じではある。値段よりも田舎すぎると食事の種類が限られてしまうことや早々に店仕舞いされてしまいタイミング逃すと食いっぱぐれることの方がよっぽど厄介。

 フンザ地域まで入ると中国文化の影響が強くなり、所々で中華レストランが出てきたのがパキスタン料理に飽きていた私みたいな人にはとてもありがたい。なおフンザではその辺を流れる水が白濁し濁った色合いをしており通称「フンザウォーター」などと呼ばれたりするが、これの原因は氷河からの雪解け水が川に混ざり合うことで起きるものらしい。地元民が利用するような食堂とかいくと普通に飲み水でこのフンザウォーターが出てくるが私は平気でガブガブ飲んでたな。

 余談だがイスラム教の戒律が緩いフンザ地域では地元民がワイン等のアルコールを作って飲んでいるらしく、これの名前も「フンザウォーター」というらしい。私もぜひ体験してみたくカリマバードで探し回ったのだが、一介の旅行者が見て回る程度で簡単に見つけられる代物ではないらしい。高級なホテルで裏注文をするとか自家栽培してる人を教えてもらい相談するとかしないと難しいとのこと。


 ◎カラコルムハイウェイの環境

 【通信】
 パキスタン国内では複数の会社が通信事業を運営しているが、北部の特にフンザ地方となると山中でインフラ設置するコストに対して人口が少なすぎるのがネックとなるのか使える会社が非常に少ないと聞いた。実際にはある程度の規模の町なら「町中に限れば」ネットが通じるという状況であり、ある程度郊外まで離れても通信環境が残るという意味での通信会社は確かに少ないというのが実情。

 そんでフンザ地域にも強いとされるTelenorという会社のsimカードを購入しようと目論んでいたのだが、2024年8月時点で「2ヶ月前にルールが変わって外国人にはsimカードの販売をしなくなった」と店員から言われた。この話が真かどうか怪しいと私は思っているのだが実際にsimカードは買えなかったのであり、それなら何処の会社使ってもそんな違いはないのかな・・・?というのが正直なところ。他のサイクリストでZongという最大手のsimを使っている人がいたし、それで問題ない気もする。

 というかパキスタンはガチ山中の集落とかでもなければ結構Wi-Fiが設置されてる宿が多い国であり、速度と不安定さに目を瞑れば定期的にネット接続できるため問題となることは少なかったりする。

 【気温】
 8月・9月前半の下ラコルムハイウェイは全体としてかなり暑い。これは思ったよりも全体的な標高が低く、標高による気温低下の恩恵を受けられないことが影響しているからと思われる。
 内陸の奥地でありながら湿度も割と高い場所が多く、5月をピークとするパキスタンの気候は暑さも和らぎ始める8月であっても尚しんどい30℃超えてくる日も多発したため、この道を自転車で走るシーズンはもう少し涼しい時期である春秋が適していると思う。

 本格的に山奥に入ってしまうと涼しいどころか天気次第で寒いとすら感じる気温となるのが厄介な土地だが、カラコルムハイウェイ以南のルートはもっと灼熱の気温であったことを鑑みると「道中ほとんど暑いが山奥が快適な気温」か「道中大体快適だが山奥では非常に寒い」といった二者択一となるのがカラコルムハイウェイを走る者の宿命となるのかもしれない。ちなみに私は選べるのならば断然後者の環境で走りたいタイプ。

 【風・雨】
 インドのラダックと隣接した土地であるため7・8月のモンスーン時期でも雨は少なく年間雨量も大したことないだろう・・・と思っていたのだが。この地域ではそこそこ雨降るのが常だそうで、何より怖いのが雨量が少なくてもそれが土砂崩れを引き起こすきっかけとなり道が寸断されてしまう可能性が高い点。なんだかんだパキスタンでは雨停滞することも多かった気がする。

 これに対し風にあっては夏場だと常に南か西から風が吹くカラコルムハイウェイ。イスラマバードからのスタートだとほとんどの区間で追い風を受けることになるため楽ができる。基本的にカラコルムハイウェイは唯一の峠であるクンジュラブ峠を目指して登っていく道とも表現できるため、北上ルートなら登り+追い風に、逆の南下ルートでは下り坂+向かい風と図式になりやすくバランスが良い。なお標高3000mを超えてくる土地だと夜間は強烈な風が吹き付けるためテント泊だと注意を要するが、そもそもこの道で3000m以上の場所にステイすることが滅多にない。

 【標高】
 ヒマラヤ山系に属する標高が高い道という話からさぞや高所を走るものだと思っていたが、実はカラコルムハイウェイは全体的にみると標高2500m以下の場所がほとんどで、半分以上は1000m前後の高さにある。

 亜流ルートのバンジャブ峠を使った場合は別にして、本道であるカラコルムハイウェイは全体としてクンジュラブ峠をピークとした1つの大きな山をアップダウンを繰り返しながら登っていくタイプの道であり、高原地帯を走るというより「裾野がデカい1本の山を遠くから登っていく」といったイメージが近いといえる。

 気温の項でも書いたがこうした点が原因で、標高による温度低下の恩恵を受けられるのはギルギットの町くらいからであり、それ以前のエリアは南部地域ほどではないにしても全体的に暑く真夏の時期に走行するとアップダウンの多さもあって熱中症の危険も大きい。そういう意味で寒くなってくる4000m超えの一部エリアの方を「冬用の対策をしておくポイント」と捉えて、むしろ他の部分に照準を合わせカラコルムハイウェイを走る場合は春や秋といったシーズンの方が全体的に快適な気候を楽しめる。

 一応クンジュラブ峠の標高は4692m、バンジャブ峠は4177mの高さがあるのだが、バンジャブ峠は途中で自走ができなくなるエリアのため割愛。クンジュラブ峠に関しては流石に冬用のウェアを着て臨んだが9月前半の時期では天気よければ山頂でも10℃近い気温であり割と過ごしやすい程度。真冬になるとー40℃とかの猛烈な寒さになるとのことだが、そもそもこの道を冬季に自転車通してくれるのかは分からない。一応ソストの町までは真冬でも行けるらしいが。


 ◎クンジュラブ峠への道

 【クンジュラブ峠】
 カラコルムハイウェイにおける最高所となるポイントに位置する山であり、パキスタンと中国との国境にもなっている場所。一応世界の国際道路において世界最高標高の道とのことだが、日記内でも書いた通り私はこの言葉に懐疑的である。なお道路における最高標高は国境地点の4692m。

 パキスタン側しか走ってないので中国側は伝聞となるが、急峻な山々が連なるパキスタン領と違って中国領では高原地帯といった土地が緩やかに続いている全く景色の異なる様相らしい。

 【スタート地点までのアクセス】
 最寄りの町は山頂から約80km強位置にあるソストだが、ソストから30kmちょっとの場所にクンジュラブ国立公園の入場ゲート及び事務所があり、自転車における実質的なヒルクライムスタートポイントはここであると言って良い。

 というのもこの国立公園内ではキャンプ行為が禁止されており厳しく取り締まりが行われているため。なので山頂から中国側に(自転車でそのまま中国入国できるのかは怪しいが)入国するという人でない限り同日中に国立公園ゲート入口まで往復する必要があり、その距離・獲得標高を考えるとソストの町からの往復は相当厳しいことが伺える。

 この国立公園における一般人の入場料は2024年現在40ドル又は相当するパキスタンルピーなのだが、どうやら自転車においては特別料金が適応されているようで半額の20ドルであった。看板とかの表記にも40ドルと書かれており、あくまで人力旅行者に対する配慮らしいので40ドルが正規なのだがこの辺を勘違いした旅行者が入場料金が違うとレビューでボコボコに書いてあったので悪しからず。

 入場料ゲートの奥にある警察検問エリアでキャンプしても構わないらしく、私は前日にここまで移動し翌日の朝7時から走行開始している。本来国立公園の開園時間は8時かららしいが自転車の移動速度では同日中に戻ってくるの大変なことは向こうも承知してるようで、お願いすれば時間前でも手続きを受け付けてくれる(こともある)。

 なおソストの町の標高は約2780mで公園ゲートが約3350mほどである。

 【行程】
 山頂までは公園ゲートから片道52kmで多少の下り返しを加味すると合計約1500mの上りとなる。要するに1500mアップする104kmの道を戻ってこなくてはならない。一応閉園時間は17時らしいが16時までに戻ってこいとか18時までにゲート戻れば大丈夫とか色々聞いたので、この辺は流動的というか「日が落ちるまでに出ればOK」という緩さなのかもしれない。

 前半の30kmは全体的に緩やかな斜度の坂が続く道で、それまでの谷底を登っていく道と同じような雰囲気だ。道中に検問のための小さな小屋が点在しているが、これは時間が遅くなると「これ以上先に進んじゃ駄目」とゲートを下ろすタイムリミットラインみたいなもので関係ない。フンザ川が二股に別れてる35kmちょいの北へカーブするポイントからつづら折れの道が出てきて斜度も厳しくなる。大体ここの10km区間が全体的に斜度の厳しいエリアが続き、そこを越えると谷の脇を通っていた道が山の上へと抜けて空が広がり別の景色が見られるようになる。

 国境となっている山頂には当然両国のイミグレーションがあるのだが、パキスタン側のイミグレはソストの町に正規事務所があるらしく、ここのイミグレは警察や軍隊の詰所といった方が正しい感じ。なので特に手続きとかをしなくても建物を通過して中国との国境線上に立つことが可能。というかその脇に駐車場があってパキスタン側の人がこぞってやって来る観光地となっている。なお中国側のイミグレは有刺鉄線と物々しい鉄格子で区画されており、写真を撮ることは可能だがとても気軽に声かけるような雰囲気ではなかった。

 一応山頂にはカフェやATMといった施設も存在するが下界とくらベて5倍くらいする物価であまり利用する気にはなれない。ここまでフルパッキンで登る自信がなく空身でヒルクライムだったので食料持っておらず、とにかくエネルギー補給したい!・・・みたいな要望には応えてくれることでしょう。

 ◎まとめ
 ラダックやパミールと異なりカラコルムハイウェイは物流道路として造られた道であるため、広大な土地を自分の好きなようにルート組んで走り回るタイプではなくスタートとゴール地点がハッキリ決められているため「踏破する」ことを目標にしやすい道だといえる。実際寄り道となるような大きな他のルートがスカルドゥへと向かうルート以外、小粒であるか完全にカラコルムハイウェイを外れた別の道に大別されてしまうため「カラコルムハイウェイを走りたい」という動機でこの道に訪れるとバンジャブ峠を通るか素直にアボッターバードの町からスタートするかの実質2通りになるワケだ。

 ここまでは全然悪いことで無いのだが、これに加えて中国のビザが非常に取得しづらい(2020年以降、中国では日本人のノービザ入国ができなくなっている)ためクンジュラブ峠以降のルートで実質同じ道を逆走するしかない点が弱点か。もうちょいパキスタン側が個人で自由に走行させてくれたり宿を絵らべるよう譲歩してくれれば嬉しいのだけど、ここに関しては今年(2024年8月)パキスタン政府はビザの発給条件を容易にしたり滞在可能期間も90日へと増やしたりとルール改定し歩み寄る姿勢を見せているため今後に注目したいところ。少なくとも90日間の滞在が可能であれば、私はこの道とその周辺にある土地をもっと色々回ってみたいと思っていたしそれだけの魅力がある土地であった。

 他の2大ヒマラヤロードと違って1国に留まらず国境を越えてガラッと景色が変わってもなお続く道というのが最大の特徴だと思っているのであり、中国側さんの入国・入域条件の緩和及び走行不可とされる土地の解消を頑張って頂きたいけれど、正直こちらは望み薄いかなぁと思ってる。新疆ウイグル自治区だし。

 カラコルムハイウェイを走る外国人サイクリストは最終的に20人近く出会ったけれど、その中で中国方面へ抜ける(抜けてきた)の人は半分以下で、それも全員中国ノービザが解禁された西欧国籍の人ばかり。多くの人がパキスタン領のみを走って終わりとしていたのは勿体ないと感じるし、私自身が「行けるのならば行ってみたいけど・・・」という気持ちだ。ここを抜ければそのままタジキスタンへと自走することで「一夏の間に3大ヒマラヤロード全走破」という楽しみ方もできるので。

 ともかくパキスタン側のみなら1000kmに満たない距離であり、割と短期間で走破できる点から長期旅行者だけでなく短期でチャレンジングな走行をしたい人にも魅力的な道だと考える。体力に自信がなければクンジュラブ側から、ヒルクライム好きな坂バカ系はイスラマバードから。いずれもフンザの美しい景色と親切な人々に囲まれて素晴らしい走行経験になると思う。ただし土砂崩れ等で道路閉鎖の可能性があるため旅行予定には常に余裕を持ってお楽しみください。
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