2008年10月31日

より『先に』ではなく、より『奥に』







ある作家のある一つの作品の背後には、

さらに途方もなく広大な言葉の世界が広がっている

という事実。









そう言葉を綴る、
平野敬一郎さん(著)の書籍『本の読み方』
スロー・リーディングの実践

読書量が一定量を超えた頃より
傍線と印の読書をするようになっていった。

いつ頃からだろうか・・・
そう、思い返してしまう。



傍線と印の読書の理由は、
もちろん、そのほうが内容がよく頭に入るからだ。

単に読む、内容を知る・プロット(筋)を読む
だけではなく、『考えて読む』ように習慣づいてから、
本との接し方がとても深くなったように思う。
プロットを追うだけでは見出せない、
『日常の些細な刹那』、それは小説の持つ
様々なノイズとして存在している。







一つの作品を支えているのは、

それまでの文学や哲学、宗教、歴史などの

膨大な言葉の積み重ねである。

そう考えるとき、

私たちは、本を「先へ」と早足に読み進めていく

というのではなく、「奥へ」とより深く読み込んでいく

というふうに発想を転換できるのではないだろうか?











僕自身、読書方法には2つの方法を用いている。
参考書などの、実用書の要点読みに効果的な方法に
フォトリーディングという方法で必要箇所を
都合に応じ見出してゆく読み方。

そして。
小説など、楽読にあたる書籍に対しては
やはり、日常の様々な場で遭遇する、些細な刹那が影響し合う為、
『考えながら』読んでゆく、遅読(チドク)となる。










「遅読」こそ「知読」



小説家が本を読むのが遅い理由は明らかだ。

それは、彼らが考えながら読むからである。

重要な一節に出くわす度に、本を置いて考える。

ときにはそのまま、読書を中断して、

翌日までずっとものを考えていることもある。

そんなことを繰り返していて、

速読などできるはずがない。



言うまでもなく、

この「考える」という行為こそが、

読者にとっては最も重要なことである。

速読とは、要するにアタマを使わない読書のことだ。

「遅読(チドク)」は、すなわち

「知読(チドク)」だと言えよう。



仮に、ノルマを決めて、

一日三冊読もうと決めたとする。

そのためには、とても考える時間など

悠長にとってはいられない。

「読まなければいけない」という焦りは、

読書を貧しくするだけである。



単に情報処理の速度を上げることが目的なら、

読書は無意味だろう。



『主体的に考える力を伸ばすこと』

これこそが、読書本来の目的である。







____
注:上記は、平野敬一郎さん(著)
書籍『本の読み方』スロー・リーディングの実践からの
引用記録文章・アフォリズムです。
アフォリズムとは、物事の真実を簡潔に鋭く表現した語句。
自身で解釈・理解する為の記録・引用です。
上記文章には前後の文脈があり初めて本来の意味をなしえます。
ぜひ、実際に書籍を手に取り文脈を辿られ理解されることを推薦いたします。
>小説家が本を読むのが遅い
という部分は、本人同様、同じ職業人である、
小説家に聴いて回った経緯も上記の言葉理にはある。





傍線や印の読書や小説のノイズ的部分の存在
それから、『考えながら読む』ということにも接点が多く。

個人的に、平野さんの『本の読み方』
スロー・リーディングの実践
とても共感できた書籍でした。













本当の読書は、

単に表面的な知識で人を飾り立てるのではなく、

内面から人を変え思慮深さと賢明さとをもたらし、

人間性に深みを与えるものである。

そしてなによりも、ゆっくり時間をかけさえすれば、

読書は楽しい。私が伝えたいことは、

これに尽きると言ってもいい。



闇雲に活字を追うだけの、貧しい読書から

味わい、考え、深く感じる豊かな読書へ。

本書が、その一助となれば幸いである。













あまりこのような書き添え方はしませんが
この書籍お薦めです。(本が好きな方へ)

只、
人が本を選ぶように、
この本も読む人を選びますよ(笑)



本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)
本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)








ここまで、読んでくださった方。
本の(活字の)好きな方と思います。

ありがとうございます。


最近、好きな作家さんは、重松清さん。
とても上品で大人的な『お話の手離し方』をされる。
すごく、この小説に存在するノイズが好きです。

全ての書籍を読みたい。
そう楽しく企んでいる。



その日のまえに (文春文庫 (し38-7))
その日のまえに (文春文庫 (し38-7))




みぞれ (角川文庫 し 29-6)
みぞれ (角川文庫 し 29-6)








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今年は、映画も書籍も、目標は
200本(10/31 現在229本)
200冊(10/31 現在196冊)【去年は143冊読了】




yuuu



この記事へのコメント
いつも深い!ですね。
パパと娘の7日間、最高でした!
ありがとう!
Posted by 得 at 2008年10月31日 17:45
得さん、コメントありがとうございます!
『パパと娘の七日間』いいですよね。僕も好きです。
先日サーフキャンプ行ってきました
こちらも最高でした。

五十嵐さんの『相棒』もいいですよ!
Posted by tybox at 2008年11月06日 09:40