前回、実行されない事業計画について、失敗しがちな事業計画作成の背景をお伝えしました。そして、事業計画には、顧客視点の発想が重要で、さらに最も大切なことは、計画した事項の実行であることをお伝えしました。今回はその続きで、顧客視点の発想について掘り下げたいと思います。

 まず、顧客視点の発想をするためには、お客様の声を知ることが第一歩になります。つまり、お客様とのコミュニケーションが重要です。お客様の望むものは大概は「安くて良いものやサービス」ということになるでしょう。それは当然の要望で、ここから掘り下げる必要があります。「安く」も「良い」も具体的ではありません。今ある商品やサービスに付加価値をつけることで、価格が上がっても「安い」と感じていただけることを考える必要があります。

 例えば、自動車の修理工場の場合。依頼した修理をだた行うだけでなく、
 ・修理の内容を詳しく説明してくれる。
 ・修理方法について複数の提案をしてもらえる。相談できる。
 ・対応が親切・丁寧。工場内や事務所がキレイ。
 ・もうすぐ交換時期が到来する部品の情報や気づいていない故障や傷を教えてくれる。
 ・突然電話をかけても、車の状況をよく把握してくれている。

などのサービスがあると、私は多少高くてもこの工場に自分の車を任せようと思います。みなさんも特別なお店や行きつけのお店、信頼している取引先には何らかの理由があるのではないでしょうか。

 しかし、こうしたこちらのニーズを満たしてくれる商品やサービスをお客様自ら言うことはほとんどありません。だから、お客様とのコミュニケーションが重要になります。この時、上記例で言えば、故障の内容を聞いているだけではお客様のニーズにたどり着くことは難しいでしょう。お客様の入店時の様子や修理内容説明時のお客様の納得の様子、修理完了後の満足の様子、電話応対時の声のトーンなど、その話している内容だけでなく、その時の表情などからお客様の気持を察しし、それに対応していくことで初めて現れてるニーズだと思います。

 また、製造業や建設業などで元請企業からの設計書や作業指示書に従って仕事を遂行する場合でも、必ずコミュニケーションが必要な場面があるはずです。細かな製品仕様の確認、見積・納期、現場の打ち合わせなどにおていはもちろんのこと、その元請企業の受注状況や今後の営業展開などを伺うことで、提案できることを見つけて積極的に提案していくことが必要です。

 ところで、もしかするとこういった、比較的当たり前の取り組みが、事業拡大の要素となるのか?という疑問に感じていらっしゃるかもしれません。

 しかし、これらの取り組みをすることで、まずお客様のリピート率が高まるはずです。また、他社の安売り単価よりも高い単価でも納得されやすくなるはずです。さらに、具体的なサービスとして命名すれば、新規のお客様にも認識されやすくなり、訴求効果が増します。前述の自動車の修理工場の例で言えば、「マイカーピット」とか「マイカードック」とかどうでしょうか(笑)

 ポイントは、お客様に深く入り込むことにあります。そして、お客様が痒くても手が届かないところまでサービスできるようになれば、お客様ら大きな信頼をいただくことができ、そこには大きな負荷価値が生まれます。

 私が知っているいる限りですが、業績の伸びている企業の多くは、下請企業であっても、元請企業から相談される立場にあります。これは、元請企業から高度な要望を受けるだけの信頼を頂いている証とも言えます。

 こうした一つ一つの積み上げが、既存の取引先一つ一つからの受注増と単価アップ、そして新たな取引先の開拓に繋がり、主たる事業が確実に収益を上げる盤石なものとなります。勝手な感覚ですが、景気に大きな変動がなければ前年比5~10%増の売上が期待できると思います。お客様の声にできることからコツコツと応えていく。当たり前だけど難しい。だからこそ計画が必要とも言えます。この取組は実現可能性が高く、確実に収益向上が図れます。もし事業計画作成で何から初めて良いかわからない場合は、まずは、お客様の声を拾うことから初めてみてはいかがでしょうか。