自転車”コワい”―自転車と自動車の共生に向けて
■自転車ユーザー、パニック
4月1日からの改正道路交通法施行で、自転車に対するルール適用や取り締まりの強化で、多くの自転車利用者の方が若干パニックに陥っているようにも見える。
確かに、警察の方々は現実を把握していないのではなかろうかと思える様なところもあり、また或いは警察による十分な告知や周知が行われない内の施行で一方的とも感じられるようなところもあり、そうなるのも理解できる。
私は、端くれとは言い一応サイクリストの一人なので、自転車に関わる道交法は気になって時々チェックしたりしているので、今回の改正道路法施行に関し、自転車に関するルール自体には特に驚きは無い(100%ルールを理解しているとは言い切れないが―)。個人的には、歩行者の安全を思えば、車道走行原則など自転車へのルール適用厳格化は必要ではなかろうかとも感じていたので、「青切符」(交通反則制度)導入も左程に違和感はない。
お金(反則金)が関わって来る場合が生じることとなるが、基本は指導・警告が主で悪質な場合(ながらスマホ、遮断踏切立入り、警告無視の違反継続など)を除き即摘発とはならないそうなので、そこも特に動揺はない。
■自転車は車道走行
自転車は車両である、だから車道走行が原則。歩行者の安全確保が、絶対的に優先。この二点を頭に叩き込んでおけば、自転車に関するルールは理解するのも遵守するのも特に難しくは無いと思う。
車道を走るのだから、自動車と同じように走り同じ様に標識や信号に従へばいい。例外的に歩道を走る場合は、車道側を歩行者安全絶対優先で徐行すればいい。
ただ、自転車の車道走行ルールには幾つか自動車とは異なることがある。
一つは、常に車道左側を走ると言う事。道路左端が左折レーンであっても、左折車を待って直進する。また一つは、右折は十字路も丁字路も常に二段階右折(直角右折)であること。自動車の様に、交差点中央を小回り右折はできない。また、右折レーンがあっても入れない。さらに一つは、基本自動車の信号に従うが、稀に「自転車専用」や「歩行者・自転車専用」信号があるのでその場合は其方に従うと言う事。そしてまたもう一つは、これも稀にだけれど「軽車両進入禁止」の標識がある場合は、車道でも文字通り進入できない。
車道を走っていると、時に複雑な交差点があり、初めて通る場合は訳が分らないと言う場面もある。その時は、自転車を降りて押し歩きすると言う選択肢がある。自転車の便利な点は、降りたら歩行者、になると言う点である。ここちょっとコワいな―と思ったら、降りて歩行者になり歩道と横断歩道を利用する事も可能である(勿論他の歩行者の方に気を付けて)。
何れであれ、高速で走る金属塊と同居となる自転車車道走行は、抵抗感を持つ方も多いけれどヘルメット着用とイコールで結ばざるを得ないであろう。
■自転車にばかりキビシイ?
今回の改正道路法、何かチャリにばっか厳しくない?と思われるだろうけれど、一つ自転車乗りには有り難い部分もあるのである。それは、自動車による自転車の追い抜きに関わる部分。
自転車で車道を走っていてコワいことは山ほどあるが、一番コワい思いをする事が多いのが自動車に追い抜かれる場面である。チャリは遅い(特に私は)ので、どうしても自動車に追い抜かれる。それ自体は当然のことで別に構わないのだが、極稀にだけれど、もしかしてわざと?お思いたくなるほどギリギリで且つ猛スピードで追い抜いて行かれる自動車さんがいらっしゃるのである(わざとではないと思うが…)。体感で言えば、5cmくらいの間隔での追い抜きである(偶々かもしれないが、トラックやタクシーなどプロの自動車さんに多い気がするのだが―)。
だが此度の改正道路法では、自動車が自転車を追い抜く際は安全な間隔(少なくとも1m程度)を確保するか安全な速度(20-30km程度)にしなければならない、とはっきり義務として示されているのだ(括弧内は警察の示す目安)。
これは、ウレシイ。効果がいかほどか分からないとは言え、自転車乗りとしては超有難い。自転車側にも、自動車に追い抜かれる際は出来るだけ左側端に寄って徐行しなければならない、と規定されるが、それでもウレシイ。自動車さん側には負担増となってしまうかもしれないが、正直、アリガタイ。
■車道はキケンがいっぱい
全体としては、歩行者安全最優先や事故防止の点から今回の改正道路法施行は、致し方ない部分は多いと思う。自転車が自動車をコワいと思うと同様、自動車も自転車がコワいし、歩行者はもっと自転車がコワいのである。
だが、冒頭でも若干触れたけれど警察にはもっと自転車利用者の直面する現実を、知って頂きたい或いは考えて頂きたいとも思うのである。
多くの自転車利用者は、自転車が車両であり車道走行が基本であると理解していると思う。が、実際問題車道走行はコワいのである。自動車による追い抜き場面でも、自転車は左端に寄る様にとは言われても、その左端にはペダルが引っかかる縁石があり、すべるマンホール蓋・排水蓋があり、轍による凸凹があり、突如現れるひび割れ・穴があり、ガラス片などの異物が集まっていたりする。荷物の積み下ろしやバスの乗降など致し方ない所もあるが、路上駐停車車両が前方を塞いでいる場面も多々ある。
また、ハンドサイン(手信号)による停止・右左折などの合図についてもより厳格に求められることともなるであろうが、上記の様な荒れがちで障害物も多い道路左端付近を走りつつ短時間とは言え片手運転になるのは、これも現実問題コワいのである。
NPO自転車活用推進研究会会長さんも仰っているが、自転車が走りたくても走れない様なキケンな道路環境が放置されていたゆえに、自転車の歩道走行などが見逃されて来た結果、自転車はルールを守らなくても大丈夫的な空気が醸成され、結果此度のキビシイ改正道路法施行に繋がった、と言う側面もあるのかもしれない。
■自転車専用レーンを
ルール厳格化も適用厳格化も、安全のためと思えば結構な事である、が、警察や国交省含め行政にお願いしたいのは、もっと自転車が安心・安全に走ることができる車道環境の整備である。
具体的には、自転車専用レーン(普通自転車専用通行帯)の設置だ。これが殆ど進められない状況で、ルール及びその適用の厳格化をされても多くの自転車利用者は、もう自転車に乗れない、自転車に乗るのがコワい、とパニックになってしまうのである。
国交省2021年データでは、車道走行基本で見ると自転車が通行する空間は全国で4,686kmだが、自転車専用通行帯は594kmと12.6%しかない。日本の道路総延長約128.5万km(2023年時点)に対して言うと、自転車専用道路や自転車専用通行帯は9,841kmと僅か0.76%程しかない。
こうした現状を見ずムリクリにルール適用して、環境負荷も少なく健康にも良い自転車利用が減ることになってしまっては、元も子もない。

普通自転車専用通行帯
(通称:自転車専用レーン)
NCD株式会社によるアンケート(4月の改正道路法施行前)では、自転車では歩道を走ると言う回答が5.8%、どちらかと言えば歩道を走ると言う回答が39.1%で合わせると44.9%が歩道走行を選択する傾向があり、その理由としては車道の交通量が多いからと言う回答が78.9%、車道が狭いからと言う回答が41.3%となっている。また少し古いが国土交通省アンケート(2015年11月)でも自転車で走るのは歩道と言う回答が50.1%あり、別アンケート(2015年5月)では歩道通行が禁止されても歩道を走ると言う回答が63.6%(男性)・79.9%(女性)もある。後者のアンケートでは歩道走行する理由として車道は危険・怖いが72%にのぼっている。
多くの自転車利用者が、自転車の車道走行環境が整っていない、車道はコワいと感じているのではなかろうか。
一方で、これも少し古いが国土交通省アンケート(2011年3月)で、自転車に対し危険を感じた歩行者が60%前後もいる(すぐそばを通り過ぎた65.9%、危険な速度で通り過ぎた59.7%)。朝日新聞記事によれば、自転車による対歩行者事故は2025年は3269件あり、その内事故発生場所が歩道・横断歩道であったのは56.6%だったと言う。この件に関しては、2013年1月国総研のアンケートで自転車利用者の97.8%が歩行者と交錯せずに通行できる事が重要、と回答している(とても重要76.0%、やや重要21.8%)。
ここで一つ、興味深い事がある。研究や統計では、自転車事故は車道上より歩道上で多いと言う(東海大学鈴木美緒准教授(交通工学・交通計画))。それは当然歩行者との衝突があるからだが、別な理由もあると言う。au損保とCycle Sports(八重洲出版)の検証(au損保トピックス2020年8月18日)によれば、歩道走行の自転車は自動車からは植込みやガードレールなどにより見えにくく、交差点に入る際突然自転車が左手から現れるように見え、衝突・巻き込みとなり易いのだそうだ。逆に自転車がルール通りに車道の左側を走っている場合は自動車から認識されやすく接触・巻き込みなどは起こり難い、つまり歩道走行より車道走行の方が安全なのだそうだ。
こう見れば、やはり、歩道と分離された自転車走行の専用レーン整備が求められると思う。歩行者は歩道、自転車は自転車通行帯、自動車は車道と棲み分け出来るのが理想である。
■警察にも努力を
また、これも冒頭若干触れたが、今回の改正道路法施行に関して、メディアでは大きく繰り返し取り上げられているのに、肝心の警察の側からはこれと言った周知が行われていない様に見えるのが気になる。
三井住友海上火災保険の調査(3月31日)では、改正法施行は75.4%が知っているが、内容を理解する人は27.4%で、内容はよく知らない人は48%に達している。自動車による自転車追い抜きに関するルールについては、知っているは49.8%で、内容も理解は17.1%しかない。
警察庁・都道府県警察・警察署等には、こうなったので守ってね、ではなく、インターネット(SNSほか)での発信や、自転車の交通ルールに関するパンフレットのポスティングや、地域・学校単位等での安全講習会開催などなど、もっと積極的に周知のため努力して頂きたいと思うのだ。そしてもっと、自転車を取り巻く現在の道路環境と言う現実に即したルール適用をお願いしたい。
■道路をシェア
此度の改正道路法施行、問題は多々あるが、自転車専用レーンの整備が進む一つの切っ掛けになるかもしれないと、一寸期待している。
のだが、2014年4月の国交省調べによると、「自転車ネットワーク計画」(国交省と警察庁が推進する安全で快適な自転車走行空間を面的に整備する計画)の検討が無い市街地のある654市区町村がその理由として最も多く挙げているのが、自転車走行空間(自転車専用レーン)整備の余地が無い(幅員・用地)、である。詰まり道路が狭いからムリ、と言う事である。
それでも自転車レーン設置を行なう場合は、既存の道路では自動車走行空間が削られる。ので、自動車さん側にとっては、何でチャリの為に―、と言う思いもあるかもしれない。難しい問題である。

自転車は自動車・歩行者の、自動車は自転車・歩行者のそれぞれ立場・状況に思い巡らし、互いに敵視することなく、道路をシェアし合い、共生を目指すしかないであろう。
・・・・・・・・・・・・
彼是書いたが、結局のところ、これである。

交通安全
歩行者・自転車・自動車そして動物もみな安全であります様に。
2026年卯月11日
――――――――――――――――
・自転車専用レーン画像出典:FreeBackPhotoによるものを写真ACからお借りしました
・参照:くるまのニュース(4月3日記事)、まいどなニュース(4月3日記事)、警察庁HP、国土交通省HP、サイクルタイム(3月23日コラム)、朝日新聞3月28日記事、毎日新聞4月1日記事、TBS NEWS DIG(3月29日記事)、他
*追い抜き:警察庁HPでは「自動車等が自転車等の右側を通過する場合(追い越す場合を除く)において」云々とある
*追い抜き、追い越し:前者は進路を変えずに行う、後者は進路を変え車線変更して行う
*自転車の歩道走行:何でもかんでもNGではなく、自転車運転者が13歳未満または70歳以上、自転車運転者が一定の障害をもつ場合、車道左側を通行するのが工事や駐停車車両が多い時や道幅が狭いなど困難な場合、及び「自転車歩道通行可」の標識がある場合は、OKである
*ハンドサイン:マナーや推奨ではなく道交法で定められた義務。ハンドサインは出す際片手運転になるし、サインを出したまま停止・右左折をしなければならないなど、規定通りに行うのは非現実的ともされる
*自転車専用レーン:正式には「普通自転車専用通行帯」(普通自転車はママチャリやロードバイクなどの一般的な自転車)。道交法に基づく自転車が通行しなければいけない通行帯。法定外表示で自転車の走る場所と向きを示すだけの、自転車ナビマーク・ナビラインとは異なる
*NCDの調査:運営する月極駐車場会員対象
*三井住友海上火災保険調査:自転車事故率上位10の都道府県の20-60代対象
(スマートフォン版は通信の最適化により画像の画質低下・サイズ縮小となっている場合があります。ご了承下さい)
■自転車ユーザー、パニック
4月1日からの改正道路交通法施行で、自転車に対するルール適用や取り締まりの強化で、多くの自転車利用者の方が若干パニックに陥っているようにも見える。
確かに、警察の方々は現実を把握していないのではなかろうかと思える様なところもあり、また或いは警察による十分な告知や周知が行われない内の施行で一方的とも感じられるようなところもあり、そうなるのも理解できる。
私は、端くれとは言い一応サイクリストの一人なので、自転車に関わる道交法は気になって時々チェックしたりしているので、今回の改正道路法施行に関し、自転車に関するルール自体には特に驚きは無い(100%ルールを理解しているとは言い切れないが―)。個人的には、歩行者の安全を思えば、車道走行原則など自転車へのルール適用厳格化は必要ではなかろうかとも感じていたので、「青切符」(交通反則制度)導入も左程に違和感はない。
お金(反則金)が関わって来る場合が生じることとなるが、基本は指導・警告が主で悪質な場合(ながらスマホ、遮断踏切立入り、警告無視の違反継続など)を除き即摘発とはならないそうなので、そこも特に動揺はない。
■自転車は車道走行
自転車は車両である、だから車道走行が原則。歩行者の安全確保が、絶対的に優先。この二点を頭に叩き込んでおけば、自転車に関するルールは理解するのも遵守するのも特に難しくは無いと思う。
車道を走るのだから、自動車と同じように走り同じ様に標識や信号に従へばいい。例外的に歩道を走る場合は、車道側を歩行者安全絶対優先で徐行すればいい。
ただ、自転車の車道走行ルールには幾つか自動車とは異なることがある。
一つは、常に車道左側を走ると言う事。道路左端が左折レーンであっても、左折車を待って直進する。また一つは、右折は十字路も丁字路も常に二段階右折(直角右折)であること。自動車の様に、交差点中央を小回り右折はできない。また、右折レーンがあっても入れない。さらに一つは、基本自動車の信号に従うが、稀に「自転車専用」や「歩行者・自転車専用」信号があるのでその場合は其方に従うと言う事。そしてまたもう一つは、これも稀にだけれど「軽車両進入禁止」の標識がある場合は、車道でも文字通り進入できない。
車道を走っていると、時に複雑な交差点があり、初めて通る場合は訳が分らないと言う場面もある。その時は、自転車を降りて押し歩きすると言う選択肢がある。自転車の便利な点は、降りたら歩行者、になると言う点である。ここちょっとコワいな―と思ったら、降りて歩行者になり歩道と横断歩道を利用する事も可能である(勿論他の歩行者の方に気を付けて)。
何れであれ、高速で走る金属塊と同居となる自転車車道走行は、抵抗感を持つ方も多いけれどヘルメット着用とイコールで結ばざるを得ないであろう。
■自転車にばかりキビシイ?
今回の改正道路法、何かチャリにばっか厳しくない?と思われるだろうけれど、一つ自転車乗りには有り難い部分もあるのである。それは、自動車による自転車の追い抜きに関わる部分。
自転車で車道を走っていてコワいことは山ほどあるが、一番コワい思いをする事が多いのが自動車に追い抜かれる場面である。チャリは遅い(特に私は)ので、どうしても自動車に追い抜かれる。それ自体は当然のことで別に構わないのだが、極稀にだけれど、もしかしてわざと?お思いたくなるほどギリギリで且つ猛スピードで追い抜いて行かれる自動車さんがいらっしゃるのである(わざとではないと思うが…)。体感で言えば、5cmくらいの間隔での追い抜きである(偶々かもしれないが、トラックやタクシーなどプロの自動車さんに多い気がするのだが―)。
だが此度の改正道路法では、自動車が自転車を追い抜く際は安全な間隔(少なくとも1m程度)を確保するか安全な速度(20-30km程度)にしなければならない、とはっきり義務として示されているのだ(括弧内は警察の示す目安)。
これは、ウレシイ。効果がいかほどか分からないとは言え、自転車乗りとしては超有難い。自転車側にも、自動車に追い抜かれる際は出来るだけ左側端に寄って徐行しなければならない、と規定されるが、それでもウレシイ。自動車さん側には負担増となってしまうかもしれないが、正直、アリガタイ。
■車道はキケンがいっぱい
全体としては、歩行者安全最優先や事故防止の点から今回の改正道路法施行は、致し方ない部分は多いと思う。自転車が自動車をコワいと思うと同様、自動車も自転車がコワいし、歩行者はもっと自転車がコワいのである。
だが、冒頭でも若干触れたけれど警察にはもっと自転車利用者の直面する現実を、知って頂きたい或いは考えて頂きたいとも思うのである。
多くの自転車利用者は、自転車が車両であり車道走行が基本であると理解していると思う。が、実際問題車道走行はコワいのである。自動車による追い抜き場面でも、自転車は左端に寄る様にとは言われても、その左端にはペダルが引っかかる縁石があり、すべるマンホール蓋・排水蓋があり、轍による凸凹があり、突如現れるひび割れ・穴があり、ガラス片などの異物が集まっていたりする。荷物の積み下ろしやバスの乗降など致し方ない所もあるが、路上駐停車車両が前方を塞いでいる場面も多々ある。
また、ハンドサイン(手信号)による停止・右左折などの合図についてもより厳格に求められることともなるであろうが、上記の様な荒れがちで障害物も多い道路左端付近を走りつつ短時間とは言え片手運転になるのは、これも現実問題コワいのである。
NPO自転車活用推進研究会会長さんも仰っているが、自転車が走りたくても走れない様なキケンな道路環境が放置されていたゆえに、自転車の歩道走行などが見逃されて来た結果、自転車はルールを守らなくても大丈夫的な空気が醸成され、結果此度のキビシイ改正道路法施行に繋がった、と言う側面もあるのかもしれない。
■自転車専用レーンを
ルール厳格化も適用厳格化も、安全のためと思えば結構な事である、が、警察や国交省含め行政にお願いしたいのは、もっと自転車が安心・安全に走ることができる車道環境の整備である。
具体的には、自転車専用レーン(普通自転車専用通行帯)の設置だ。これが殆ど進められない状況で、ルール及びその適用の厳格化をされても多くの自転車利用者は、もう自転車に乗れない、自転車に乗るのがコワい、とパニックになってしまうのである。
国交省2021年データでは、車道走行基本で見ると自転車が通行する空間は全国で4,686kmだが、自転車専用通行帯は594kmと12.6%しかない。日本の道路総延長約128.5万km(2023年時点)に対して言うと、自転車専用道路や自転車専用通行帯は9,841kmと僅か0.76%程しかない。
こうした現状を見ずムリクリにルール適用して、環境負荷も少なく健康にも良い自転車利用が減ることになってしまっては、元も子もない。

普通自転車専用通行帯
(通称:自転車専用レーン)
NCD株式会社によるアンケート(4月の改正道路法施行前)では、自転車では歩道を走ると言う回答が5.8%、どちらかと言えば歩道を走ると言う回答が39.1%で合わせると44.9%が歩道走行を選択する傾向があり、その理由としては車道の交通量が多いからと言う回答が78.9%、車道が狭いからと言う回答が41.3%となっている。また少し古いが国土交通省アンケート(2015年11月)でも自転車で走るのは歩道と言う回答が50.1%あり、別アンケート(2015年5月)では歩道通行が禁止されても歩道を走ると言う回答が63.6%(男性)・79.9%(女性)もある。後者のアンケートでは歩道走行する理由として車道は危険・怖いが72%にのぼっている。
多くの自転車利用者が、自転車の車道走行環境が整っていない、車道はコワいと感じているのではなかろうか。
一方で、これも少し古いが国土交通省アンケート(2011年3月)で、自転車に対し危険を感じた歩行者が60%前後もいる(すぐそばを通り過ぎた65.9%、危険な速度で通り過ぎた59.7%)。朝日新聞記事によれば、自転車による対歩行者事故は2025年は3269件あり、その内事故発生場所が歩道・横断歩道であったのは56.6%だったと言う。この件に関しては、2013年1月国総研のアンケートで自転車利用者の97.8%が歩行者と交錯せずに通行できる事が重要、と回答している(とても重要76.0%、やや重要21.8%)。
ここで一つ、興味深い事がある。研究や統計では、自転車事故は車道上より歩道上で多いと言う(東海大学鈴木美緒准教授(交通工学・交通計画))。それは当然歩行者との衝突があるからだが、別な理由もあると言う。au損保とCycle Sports(八重洲出版)の検証(au損保トピックス2020年8月18日)によれば、歩道走行の自転車は自動車からは植込みやガードレールなどにより見えにくく、交差点に入る際突然自転車が左手から現れるように見え、衝突・巻き込みとなり易いのだそうだ。逆に自転車がルール通りに車道の左側を走っている場合は自動車から認識されやすく接触・巻き込みなどは起こり難い、つまり歩道走行より車道走行の方が安全なのだそうだ。
こう見れば、やはり、歩道と分離された自転車走行の専用レーン整備が求められると思う。歩行者は歩道、自転車は自転車通行帯、自動車は車道と棲み分け出来るのが理想である。
■警察にも努力を
また、これも冒頭若干触れたが、今回の改正道路法施行に関して、メディアでは大きく繰り返し取り上げられているのに、肝心の警察の側からはこれと言った周知が行われていない様に見えるのが気になる。
三井住友海上火災保険の調査(3月31日)では、改正法施行は75.4%が知っているが、内容を理解する人は27.4%で、内容はよく知らない人は48%に達している。自動車による自転車追い抜きに関するルールについては、知っているは49.8%で、内容も理解は17.1%しかない。
警察庁・都道府県警察・警察署等には、こうなったので守ってね、ではなく、インターネット(SNSほか)での発信や、自転車の交通ルールに関するパンフレットのポスティングや、地域・学校単位等での安全講習会開催などなど、もっと積極的に周知のため努力して頂きたいと思うのだ。そしてもっと、自転車を取り巻く現在の道路環境と言う現実に即したルール適用をお願いしたい。
■道路をシェア
此度の改正道路法施行、問題は多々あるが、自転車専用レーンの整備が進む一つの切っ掛けになるかもしれないと、一寸期待している。
のだが、2014年4月の国交省調べによると、「自転車ネットワーク計画」(国交省と警察庁が推進する安全で快適な自転車走行空間を面的に整備する計画)の検討が無い市街地のある654市区町村がその理由として最も多く挙げているのが、自転車走行空間(自転車専用レーン)整備の余地が無い(幅員・用地)、である。詰まり道路が狭いからムリ、と言う事である。
それでも自転車レーン設置を行なう場合は、既存の道路では自動車走行空間が削られる。ので、自動車さん側にとっては、何でチャリの為に―、と言う思いもあるかもしれない。難しい問題である。

自転車は自動車・歩行者の、自動車は自転車・歩行者のそれぞれ立場・状況に思い巡らし、互いに敵視することなく、道路をシェアし合い、共生を目指すしかないであろう。
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彼是書いたが、結局のところ、これである。

交通安全
歩行者・自転車・自動車そして動物もみな安全であります様に。
2026年卯月11日
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・自転車専用レーン画像出典:FreeBackPhotoによるものを写真ACからお借りしました
・参照:くるまのニュース(4月3日記事)、まいどなニュース(4月3日記事)、警察庁HP、国土交通省HP、サイクルタイム(3月23日コラム)、朝日新聞3月28日記事、毎日新聞4月1日記事、TBS NEWS DIG(3月29日記事)、他
*追い抜き:警察庁HPでは「自動車等が自転車等の右側を通過する場合(追い越す場合を除く)において」云々とある
*追い抜き、追い越し:前者は進路を変えずに行う、後者は進路を変え車線変更して行う
*自転車の歩道走行:何でもかんでもNGではなく、自転車運転者が13歳未満または70歳以上、自転車運転者が一定の障害をもつ場合、車道左側を通行するのが工事や駐停車車両が多い時や道幅が狭いなど困難な場合、及び「自転車歩道通行可」の標識がある場合は、OKである
*ハンドサイン:マナーや推奨ではなく道交法で定められた義務。ハンドサインは出す際片手運転になるし、サインを出したまま停止・右左折をしなければならないなど、規定通りに行うのは非現実的ともされる
*自転車専用レーン:正式には「普通自転車専用通行帯」(普通自転車はママチャリやロードバイクなどの一般的な自転車)。道交法に基づく自転車が通行しなければいけない通行帯。法定外表示で自転車の走る場所と向きを示すだけの、自転車ナビマーク・ナビラインとは異なる
*NCDの調査:運営する月極駐車場会員対象
*三井住友海上火災保険調査:自転車事故率上位10の都道府県の20-60代対象
(スマートフォン版は通信の最適化により画像の画質低下・サイズ縮小となっている場合があります。ご了承下さい)
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