文月十一日  車返変電所

 五月のはじめ頃、自転車でぶらぶらと、鉄塔巡りに出掛けた際(境八王子線21-1号22号そして車返跨線橋からの鉄塔列を撮りに行った時だ)、思いがけず、車返変電所に行き当たってしまった。

 私は自転車で鉄塔巡りに出かける場合、地図は持たない。スマホも無いので、基本、事前に目的地とその周辺・近辺の地図を大体頭に入れておき、後は、太陽の位置や住宅の向き(普通家屋は東西に長く南面に大きな窓がある)等から方角を把握し、またポイントとなる公園やお店をチェックしつつ、半ば行き当たりばったりに目的地を目指す。それで何時も、大きくは迷うこと無く目指す鉄塔へ辿り着ける。
 ただ、小さく迷うことは時にある。この時がそうであった。

 気持ち良く晴れた皐月の日、境八王子線22号を目指し住宅街を自転車で走りながら、強い日差しをはね返す、屋根の波越しに、ちょっと特徴的な鉄塔を見付けた時、それをすっかり境八王子線22号と思い込んでしまい(それは車返線5号だったのだ)、入り組んだ生活道路を適当に進んで行ったらば、突然、何時ぞやストヴューで見た景色が目に飛び込んできた。
 府中崖線(はけ)の上から見た、下二つの絵がそれである。

soudentettou_kurumagaeshihendensyo soudentettou_krg1-1
左、変電所
右端小さな門型鉄塔が車返線1号、左二基は1-乙1号・1-乙2号
右、車返線1-1号
ジャングルジムが1-1号、向こうの門型は国分寺線95号

 車返変電所自体は知っていたので、すぐそれと分かったが、詳細については不明と言わざるを得ない。予備知識が殆どない。車返線の始まりで国分寺線の終わり(地上部分)、と言うことだけである、確実に知っているのは。
 なので、どの鉄塔が何で、何を如何撮ればいいのやら、さっぱり解らないまま、これも何かの縁と、撮影とあいなった。

 変電所へは、西武多摩川線の踏切脇の「まむし坂」という細い小さな坂で、崖線中腹の細道からはけを南へ向かい下って行く。途中には、おそらく嘗て流れていた農業用水を跨ぐためであっただろう、小さな可愛らしいアーチがある(羽毛下堀用水函渠)。昔、坂の周辺は水田地帯で、マムシも棲んでいたのであろう。1996年版の道路地図では、この用水部分は水色に塗られているので、少し前までは水も流れていた様だ。そう考えれば、この変わった坂の名も納得だ。
 左画像、まむし坂の車止めの辺りがアーチの場所で、右側は変電所の塀。右画像、アーチの上が西武多摩川線の線路。

fucyuu_mamushizaka fucyuu_hakeshitaboriyousuikankyo
左、まむし坂を下から 右、羽毛下堀用水函渠

 まむし坂に続く小道が平坦になる辺り、道を挟んで右手西側の線路上には、国分寺線の旧63号に少し似た、ジャングルジム様の車返線1-1号が西武部多摩川線を跨ぎ建っている。

soudentettou_krg1-1_a

soudentettou_krg1-1_c soudentettou_krg1-1_d
車返線1-1号(昭和42年12月 26m)

 大プレートにある「-1」は、後から貼付けてある。元は「1」、即ち1号であったという事なのであろうか。それとも1号用プレートを転用しただけなのであろうか。

 1-1号の建つその土手下、門型の国分寺線地上部分最終鉄塔、95号が建つ。

soudentettou_kbj95 soudentettou_kbj95_b
国分寺線95号(手前。奥は車返線1-1号)

 国分寺線の鉄塔はこれでラストだが、送電線の方はここで地下に潜り、もう少し南の北多摩変電所まで続く。何が何やら分からぬまま撮ったので、後ろの1-1号とかぶって分かり辛い絵になってしまった。申し訳ない。

 1-1号と95号の反対側、細道の東側、変電所敷地内には、車返線の1号と1-乙1号・1-乙2号が建つ。

soudentettou_krg1 soudentettou_krg1_b
車返線1号(手前)

 国分寺線とは逆に、北多摩変電所から地下を通ってやって来た送電線はここで地表へと現れる。こちらも95号同様、何処から何を如何撮ればよいか分からぬままだったので、ネットフェンス越しで非常に見難い。ご容赦。

soudentettou_krg1-1-otu
右が1-乙1号、左が1-乙2号

 1-乙の二基は、なんか妖しげな魔法をかけている魔法使いみたいだが、他の鉄塔ファンの方のサイトを拝見させて頂いたところ、車返線の1号線は1号鉄塔から1-1号へ直接繋がるが、2号線は1-乙1号から1-乙2号を介してのち1-1号へ繋がっていると言うことであるらしい。なぜそのような形となったかは私には不明だ。国分寺線63号建替えと同時期に、そうなった模様である。

 偶然の出会いも、また良し。でも一応、予備知識はあった方がベター。帰宅後、彼是調べながらそう思った。

 最後におまけ。西武多摩川線の踏切を挟んで、1-1号(右)と2号(左)を、しっかり安全確認して。

soudentettou_krg2 soudentettou_krg1-1_b 
2号は28号などと同じ横並び型。

2016 7/11

*羽毛下堀用水函渠:羽毛は「はけ」と読む。つまり崖線の事
*ニホンマムシ(Gloydius blomhoffii):クサリヘビ科マムシ属の日本固有種。沖縄を除くほぼ日本全土に生息。卵胎生で卵は母体内で孵化し「子ども」として生まれてくる
*1号線、2号線:送電線は三本一組で「一回線」で、事故防止のため通常二回線設置されているが、各回線を1号線、2号線とし区別している

(車返変電所の最寄駅は京王線武蔵野台駅、西武多摩川線白糸台駅)

#iSwitch

熊本地震ペット救護本部