警告色

 多摩地域にお住いの、運転免許保有者の方々にはお馴染みの、府中運転免許試験場。もう何回行ったか思い出せないくらいの回数行っている、と言う方も多いと思う。でもそのような方でも、試験場構内に鉄塔が建っていることには気づいていない、或いは気づいてはいるが特に気にも留めない、と言う方が殆どではなかろうか(想像です)。
 その、試験場内鉄塔は、以前にも紹介した、国分寺線58号。試験場とはいっても、敷地内南東の隅っこ、然も駐車場の中である(この部分は小金井市だ)。前回は「施設内撮影禁止」の表示が気になったが、試験コースを写す訳でもないので、問題は無いと、今回は自己の責任において判断させて頂きました。

 東八道路(都道14号)に面する駐車場内に58号はあるが、その58号の奥に更に駐車場がある。自動車は、58号下を潜る形で奥の駐車場に出入する。よって嵩上げのために、下駄を履き、安全のため黒・黄ストライプの警告色に塗装されている(のだと思う)。

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58号の下駄

 阪神タイガース・ファンの方も、思わずスマフォで撮りたくなるのではなかろうか。
 元からこの下駄を履いていたのか、或いは駐車場拡張の結果、後々履かされたのかは、不明である。あくまでも私の印象だが、奥の駐車場が、後から間に合わせで造りました、感が可也あるので、若しかしたら、後々、なのかもしれない。でも、他サイトさんのデータを拝見すると、鉄塔は結構最近の平成12年(6月)建設となっているので、建設時に履かせた事も充分考えられる。あと、先代の下駄の上に新たに現鉄塔を建てた、という可能性もある。
 私自身、十代での原付免許受験以来、何度となく当試験場を訪れているのだが、建設前後の58号に関しての記憶が無い(鉄塔を意識するようになったのは最近なのだ)。よって、恥ずかしながら、何時下駄を履いたのか、何とも言えない。
 斯様に、下駄履き、が何時なのかあれこれ考えるうち、ふと思った。仮に後々履かせるパターンだったとして、一体どうやって履かせるのであろう。塔高50mを越える巨大な鉄塔を持ち上げて、よいしょ、と履かせるのであろうか。まさかそんな事が可能なのであろうか、と。
 早速、「鉄塔 嵩上げ 工法」等のワードでネット検索してみた(便利な世の中だ)。したらば、あらビックリ。複数の企業さんの「嵩上げ装置」や「嵩上げ工法」がヒットするではないか。企業さんによって細部は異なるが、大雑把に言って、活線状態(通電している状態)のまま鉄塔を丸ごと(建ったまま)巨大なジャッキ様の装置で持ち上げ下部に部材を継ぎ足す、というものである。
 人間、危険極まりない玩具を作ったり使ったり、時に可也アホなこともやらかすが、やっぱすごいわ。

 そうだった、本来、サクラと鉄塔のコラボをやろうと思って寄ったのだ、この鉄塔。

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国分寺線58号
下段は久我山線

 満開ではなかったが、水蒸気の多い大気が生む水色の空と、サクラの花弁とのコントラストが、春らしい。

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58号

2017年皐月3日
(取材は4月初め)

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・撮影に関しましては、十分配慮しておりますが、もしご近隣の皆様にご心配及びご迷惑をおかけしておりましたら、お詫び致します

・この鉄塔の最寄り駅は、西武多摩川線新小金井駅or多磨駅です

*警告色:警戒色とも。有毒性や悪臭などをアピールし捕食者などに警告を与え警戒心を起こさせるような派手な色や模様。例はハチやテントウムシ。危険や注意を連想させるため人間も多々利用している(信号、踏切、カラーコーンなどなど)