January 2009

January 24, 2009

トークイベント「照明力」

新年早々仕事に使っているパソコンのハードディスクがクラッシュするという非常事態に見舞われ、更新が滞っておりました。

そんな事もあって少々テンションが下がり気味だったので、昨日は建築家の友人を誘って、東京デザインセンターで開催された照明楽会主催のトークイベント「照明力」に参加してきました。

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このイベントは照明に関わるメインテーマが設定され、そのメインテーマにそったサブテーマをニュース形式で紹介していくというスタイルです。
照明デザイナーである照明楽会のメンバー(内原さん、富田さん、武石さん、東宮さん)と、ゲストがコメンテーターとして登場し、様々なお題についてコメントしてきます。
ゲストコメンテーターとしてフランス文学者・映画評論家の中条省平さんが参加されていました。メインキャスターは照明楽会の東海林さん(ライトデザイン)です。

照明楽会のメンバーの詳細はコチラ。ABOUT US参照


このイベントは今回で2回目で、昨日のメインテーマは「照明の治癒力」という興味深いテーマでした。

お題は大きく5つ。
1.青色防犯灯について
2.街の灯かりが人間の心に及ぼす景況は? 歌謡曲に見る街の灯かり
3.和洋映画の中に観るタワーライトアップ 光のアイテムとしての描き方の違い
4.白夜の国 北欧ストックホルムにおける日照時間と照明事情の関係
(照明メーカー 大光電機現地駐在スタッフ セガワさんからのオンラインLIVE報告)
5.照明が脳に与える影響


お題もバライティーに富んでいて聞いている人を飽きさせない工夫が随所に見られました。
個人的には最近何かと耳にする青色防犯灯の現状とその起源についてのお話が大変面白かったです。前々からその効果については私も疑問に思っていたのですが・・・・・。青色の街路灯は犯罪抑制効果があるとして全国的に広まりつつある動きですが、その効果の真偽は定かではないようです。

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青色防犯灯の効果を体感すべく会場を青一色に染めます。

照明デザイナーの人なら経験があると思いますが、自治体管轄の道路照明や公園などのランドスケープの照明計画を行う時に、必ずと言って良いほど最低限確保しなければならない明るさ(照度)について具体的な数字が示されます。とくに最近は安心安全という考え方の基に暗い場所を作らないという方針が定着しているため、平均的に明るくするという手法を取らざるを得ないという場合が少なくありません。

そもそも光のデザインは明と暗の抑揚があって成立する場合が多いですから、照明デザイナーにとっては大変厳しい条件です。基準に満たないとか、これまで前例のない試みというのは自治体などではなかなか受け入れられにくい傾向が少なからずあると思います。

それなのに公共の屋外照明で青色が防犯効果があるらしいという根拠で、瞬く間に広がっていくこの現実。昨日も富田さんからコメントがありましたが、通常の白色や電球色の照明にカラーフィルターをかけると、明るさは元の10%くらいになってしまいます。

ですから現状の光源を利用して青色に変更すると、元の照明計画よりもかなり暗くなってしまう訳です。平均的に明るくという考え方を覆すの事が非常に難しい一方で真偽が定かではない青色防犯灯の導入については素早く対応できる訳ですからちょっと不思議ですよね。

もともとはイギリスはグラスゴーでデザイナーが夜間景観の向上を目指して導入された青色照明、当然犯罪抑制が主な目的ではなかったはずです。
だとすれば青色照明に関わらず、外構照明のデザインも商店街の売り上げが上がったとか、交通事故が減っただとか、過疎化に歯止めがかかったとか、そうい事実が後からついてくれば新しい事でも今後は意外とすんなり実現することがあったりするんじゃないか?なんて考えてしまいました。(笑)

青色防犯灯とは少し違いますがエコというキーワードを追い風に省電力・長寿命のLEDの街路灯なんていうものも見かけるようになりました。コチラも従来の光源に比べると明るさは劣るわけですが。
エコの追い風に乗って、少し暗いという現実はちょっと置いておいてって感じで、ソーラーや風力で点灯可能なLED街路灯はこれから急速に増えていくのではないかと思っています。この動きについても今後注目したいと思います。


ともあれ昨日コメンテーターの方々もおっしゃっていましたが、防犯効果があるとはいえ、街が青色一色になっちゃうのは賛成できないですよね。
全部が青になってしまえば犯罪抑制効果もおそらくは一時的なものではないかと思いますし。悪が栄えた試しはありませんが、悪が根絶やしにならないのもまた現実ですからね。

犯罪抑制効果のほかにも飛び込みで有名な駅のホームで青色照明を使ったところピタリと自殺がなくなったなんて報告もありましたから、確かに人間に何かしらの効果をもたらしている事は間違いないようですけども。

なんだか青色防犯灯の話がずいぶん長くなってしまいました・・・。
他にも興味深い楽しいお話がたくさんありまして・・・・。
またの機会に報告します。


最後の〆は東宮さんの照明が脳に与える影響についてのレポートで、色々と医学的な専門用語がたくさん出てくるお話でしたが、まとめると照明は脳を刺激し、ホルモンの分泌を促すと。これは人間の生殖行動にも影響を及ぼしているのではないかというお話でした。「照明は生殖力であるっ!」というユーモアと力強さのあるコメントで締めくくられました。

また、もともと照明が専門ではないゲストコメンテーターの中条さんの独自の視点から繰り出されるコメントは、照明を職業としている自分にとっては鮮烈で印象に残りました。

ほんとに楽しく刺激のあるトークイベントでした。
少し下がり気味のテンションでしたがすばらしいお話と、たくさんの人たちに触れ、元気を頂いた夜でした。

u12205 at 16:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 照明デザイン | 日常アレコレ

January 05, 2009

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。

昨年中は格別のご高配を賜り心より御礼申し上げます。

昨年より暗いニュースばかりを耳にしますが、照明に携わる者として心地よい光で世の中を少しでも明るくできればと思っております。
笑顔を絶やさず2009年も頑張りたいと思います。

皆様のご支援・ご協力無くしてはRipple designは成り立ちません。

本年も変わらぬ御指導の程お願い申し上げます。

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照明デザインのRipple design






u12205 at 16:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日常アレコレ | お知らせ