平沢美樹被告の裁判員裁判の東京地裁判決は、平成20年4月の「精神鑑定の結果は公正さを欠くなどの理由がない限り、十分に尊重すべきだ」とする最高裁の判断に沿ったといえる。ただ、裁判員からは鑑定医による鑑定結果の説明に「専門用語が多い」「理解しがたかった」などの声が相次ぎ、専門家でさえ判断が分かれる責任能力の有無を、素人の裁判員が判断する難しさが浮き彫りになった。

 公判では鑑定医が「犯行当時、感情や行動に偏りがあったが、善悪の判断能力が著しく欠けてはいなかった」と証言。女性裁判員は「分からない」と再度の説明を求め、再び被告の精神状態や犯行との因果関係の可能性などが説明された。ところが、「全然分からないな」と首をかしげ、押し黙った男性裁判員もいた。

 責任能力の有無はプロの裁判官でも意見が分かれる。20年4月、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた女性被告の東京地裁判決は、鑑定医2人が「犯行時は心神喪失状態だった」と診断したが、「動機や犯行前後の行動などを総合的に検討し、裁判所が判断する」として、被告の完全責任能力を認めた。

 同年5月、殺人と死体損壊の罪に問われた男性被告の判決では、鑑定医は犯行時のどの時点でも「責任能力に問題がある」と指摘したが、死体損壊時のみ「責任能力なし」とする判断が出た。

 今後も責任能力が争点となる事例が数多く出てくる中、裁判員が判断するのは相当な負担といえる。明確な一定の判断基準を設けることも必要ではないか。(福田涼太郎)

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