児童養護施設などで暮らす子供のうち、両親と死別するなどの理由から親権者がいなかったり不明の子が08年時点で約5000人いる一方、そうした子のための「未成年後見人」が89年度からの20年間で134人しか選任されていないことが分かった。未成年後見人の引き受け手不足は長年指摘されており、制度が機能していない実態が浮かんだ。【野倉恵】

 親を失った子など親権者がいない未成年者について民法は、親族らの申し立てにより家庭裁判所が、法定代理人となる未成年後見人を選任すると規定。施設などで生活するケースでは施設長らが親権を代行することが児童福祉法で定められている。同法では、必要な場合に児童相談所長が未成年後見人の選任を家裁に請求しなければならないとしている。

 厚生労働省によると08年2月現在、虐待や親の病気などから児童養護施設や里親家庭で暮らす約4万人中、約3万人は実親らの親権者や保護者がいる。親が「いない」か「不明」の子は4833人、「不詳」が2400人。これに対し毎日新聞が集計したところ、89~08年度、児相所長が後見人を請求したのは計179件、承認は計134件にとどまっていた。

 ◇子どもに不利益重く

 父母と死別した場合、多くは親族が引き取り未成年後見人にもなる。一方、00年度までの厚労省統計で毎年100~300人台いた「棄児」(いわゆる「捨て子」)は親も親族もたどれないまま施設入所となる子も相当数いる。このため、施設入所児や里子で親権者がない子の後見人は「ほとんどいないのが現状」(日本子ども虐待防止学会制度検討委員長の津崎哲郎・花園大教授)という。

 各地の施設長らは親権の代行で対応しているが「代行では限界がある」と指摘する。

 首都圏の施設長は、施設長の同意でできる子の預金通帳の作成を金融機関で断られた。都内の里親男性は、子が手術する際の同意について「本当は親権者でないと法的効力がない」と医師に言われた。里子が携帯電話料金を滞納したまま家出し電話会社に「親権者以外は契約解除できない」と言われたうえ、20万円を立て替えた里親もいる。近畿地方の児童養護施設長は、私的に保険加入して後見人になった。

 施設を出た子らの中には、本来なら未成年後見人が対応する保証人が見つからず転職や転居でつまずき、路上生活に陥る人もいる。

 未成年後見人は、社会福祉法人などが登録でなれる成年後見人と違い、個人が選ばれる。子の戸籍に氏名が載るため負担感が大きい。津崎教授は「全員に未成年後見人をつけるのが本来だ。法人や職名で後見人になれるなど法整備が不可欠」と指摘している。

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