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そのカングー
1と出会ったのは、たまたま立ち寄ったルノー専門ショップ「サンク」のストックヤードでした。ピカピカに輝く新旧のカングーやルーテシア、メガーヌがぎっしり入っているストックヤードの、奥の一番隅っこに、黄砂と花粉にまみれて佇んでいたブルーのカングー1。「これ動くの?」と尋ねると、旧知の店主は「エンジンのヘッドがダメだから動かない。でも動くようになるよ」と答える。そして、「売るとしたらいくら?」と尋ねてみると「う〜ん、どうしよう……」ときた。観察してみると、ボディの塗装は生きているし、室内もけっこうきれい。で、走行距離は48,114km。ムムム……、これはイケる! それはクルマ好きの感でした。

長期リポート車の増強にあたり、安く買えて、クルマ好きが楽しめるエンスー度の高いクルマを探していた担当者は、「修理しようよ。買うから」とリーチをかけたわけだ。

このルノー・カングーは、20041月登録ですから、いわゆる「カングー11.6」と呼ばれているモデル。ちなみに、このインテンス・ブルーというボディカラーは、当時の日本で2番目に売れたボディカラーだとか。トップはダントツで、レモン・イエローでした。

さて、カングー1は、20038月に実施されたマイナーチェンジで、エンジンを1.4リッター直4から95ps15.1kgmのパワーとトルクを発揮する1.6リッター直4DOHCに換装しています。このクルマはAT仕様ですから、4ATAL4)を介して前輪を駆動します。カングー11.6の「1」は、2009年に登場した現行型と区別するため(現行型はカングー2)、また「1.6」は、1.4リッターエンジンを積んでいた初期型と区別するため業界関係者が呼ぶ愛称なわけです。いっぽうで、フリークたちは、現行型をデカングー、先代型を小カングーと呼ぶようです。

また、2006年にもマイナーチェンジが実施され、メタリック色はフルカラードバンパーになり、フロントのアームレスト、シートバックテーブル、チャイルドミラー、オンボードコンピュータなどが装着されました。でも、基本的な部分はまったく変わっていません。

ところで、このカングー1のエンジントラブルですが、走行中にタイミングベルトのプーリーカバーが割れて、そのプラスチックの欠片がタイミングベルトに挟まり、バルブタイミングにくるいが生じるいわゆるコマ飛びという現象が起きてしまったようです。吸排気のバルブとピストンが当たってしまったわけですから、エンジンはそこで万事休す。こういうトラブルが走行僅か4.8kmで起きる。だから、「カングー1はリスキーなクルマ」という悪評がたつわけですな。店主に予防法や対策法を訊いたところ、「エンジンは、走行距離ではなく23年くらいを目安に必ず点検を行うこと。タイミングベルト周辺は要注意ですよ」と答えてくれました。特に、渋滞が多く、ストップアンドゴーを繰り返す都市部のクルマは早めの点検とパーツ交換を心掛けたほうがいいようです。

世界に誇るメイド・イン・ジャパンの偉大な商用車「ハイエース」みたいなタフさと耐久性はないけれど、カングーも基本的にはフランスを代表する商用車。定期点検さえ怠らなければ、走行15kmを超えても普通に走れると言います。

さて、このエンジンを、低コストを条件にどのような方法で復活させたのか。ルノー・カングー1の長期テストはその作業のリポートから幕を開けます。次回は、サンク・メカニックによる工場での作業と、「懸案事項」になっていた購入代金の話をお届けします。


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担当者の使命はポンコツ・カングー1をバリモノに変身させること。