譜読みは自分で

ずいぶん昔、ピアノを始めたばかりの6歳の女の子で ちょっと困ったことがありました。 

レッスンのとき練習はしてくるのですが、 まちがった音で弾いたのを指摘すると、ソファに座って待っている母親のほうを向いて、ものすごい表情でにらみかえすのです。
だって、ママがこう弾けといったから・・・とは言いませんでしたが、私の耳にはそう聞こえました。

たまに、そういうお母さんがいらっしゃいます。どのお母さんも大変熱心で愛情深い方ばかりです。

しかし、音符もママが読んであげて、鍵盤も指コピ、音はママが弾いたのを耳コピして 弾いてしまうと、
ママがいないと何もできなくなってしまいます。

耳コピは悪くないのですが、音符を読むのと、どの鍵盤で弾くのかは、お子さんの力でさせてあげてください。
さいしょは、ものすごーくゆっくりでかまわないのです。

わが子が初めて歩いたあの一歩を、思い出してください。

何度も転んだりフラフラしながら、上手に歩けるようになっていきますよね。

すべて、自分の足で一歩一歩練習しているのです。

歩くのはかわいいわが子です。

ママは代わりに歩いてあげられないんです。危なくないようにときどき手を差しのべるぐらいです。 



譜読みも似たようなところがあって、ていねいに正しく読もうとすると、どうしてもゆっくりになります。

メロディーが聞こえてこなくて じれったいかもしれませんが、見守ってあげてください。

どうしても読めないときは、ランドマークの(指標になる)ドの音、ソの音ぐらいをそっと教えてあげて、
あとは、お子さんに任せてください。

わが子のヨチヨチ歩きに目を細め、日々進歩していくお子様の姿をいっしょに楽しみましょう!

 
なんでよめないのー
またまちがえたぁー 
なんかいいったらわかるのよー


なんて言わないで、


あれっ、なんかちがうんじゃない?
そうだっけ?
よーくみてっ、ひとつずれてない? 
すごーい!いっぱいよめるようなったじゃない!! 


と、注意を喚起する方向にもっていったり、いっしょに喜んであげたりしてお子さん自身に学ばせましょう。


指先に気をつけて


1週間に一回のレッスンでは とうてい教えきれないものがありますが、なかでも、指の形は要注意です。

鍵盤にふれる指先に一番近い関節=第一関節が折れ曲がることなく しっかりささえて音を出しているか?
これは大切です。
 
なんにも言わなくても最初からできる子が半数以上ですが、

ときどき言わないと、指先が立たずペタペタ弾いてしまう子もいます。

何度言ってもできない子は、もともと関節がやわらかくマカロニのような指なので、あまり無理強いはしません。


このなかで、ほっとくと ペタペタ指の腹で弾いてしまう子には、

バレリーナのように弾こうね

と教えてあげてください。

このペタ指は癖になりやすく、一度身についたら直すのに一苦労します。

1時間弱のレッスンのなかで直すのは とうてい無理ですので、

おうちでときどきチェックしてあげて下さい。