むかし、母にこんな事をきいたことがあります。

お祖父ちゃんの一日は
「きょうも、家族が 健康で 安全に 楽しく過ごせ ますように」
とお天道様に向かって手を合わせ感謝することから始まった
ということです。

昭和の初めごろは、科学が発展していない分、
大自然と上手につきあっていかないと生活が成り立っていかなかったのでしょうね。

でも、これって
素晴らしいことだと思いませんか?
原発も中国の大気汚染も大自然を甘くみた結果ですものね。

さて、ピアノとは関係ない方へいきそうなので引きもどします。


お祖父ちゃんが毎朝、生まれたばかりの新しいお日様に向かって
ありがたや〜 ありがたや〜
と唸っていたように

私も毎日、聞いたことも見たこともない楽譜をサッと開き
ピアノの鍵盤からどんな音楽が新しく生まれてくるかをワクワクしながら
楽しむのです。

毎日新しい曲を一曲、何十年も日課にしています。

これは、難しくいうと、初見視奏 といい、
ピアニストの大切な訓練なのです。

この訓練を積むと、鍵盤を押さなくても、メロディーや音の綾、
ハーモニーまでが、頭のなかで鳴るようになります。
音感がつくわけです。

そうすると、譜読みが格段に早くなり、練習時間の
超節約になります。

むかし1週間かかっていた曲が
1時間で弾けるようになりました。


もう少し高度になると、曲の構成であったり、
音から引き出される曲想までもが、頭のなかで
想像できるようになります。

楽譜を見てどのくらい短い時間でその音楽の全体像をつかめるか・・
すると、練習の手順やどこをどのように練習すれば効果的か・・までが、予測できるわけです。


何よりも大切なことは、
朝に生まれ夕方には沈みゆく
今日だけのお天道様に
頭を垂れたお祖父ちゃんのように


毎日、新鮮な気持ちで、新しい音楽を迎え入れ
ありがたく、こんにちは そして さようなら
することです。