2005年04月01日

歯科医師過剰問題(その1)

現在日本の歯科医師は過剰状態です。
簡単に表現すると現在ではコンビニの約1・5倍の歯科診療所があります。
最大の原因は単純な供給過剰。

[全般]

なぜこのような問題が起こったかというと発端は昭和40年代の歯科医師不足にあります。

1970年(昭和45年)の全国の歯科医師数は約38000人、人口10万人対歯科医師数は36.5人でした。
この時、昭和60年までに最小限人口10万人に対し50人の歯科医師の確保が必要であるという目標が作られて次々と歯科大学や歯学部が新設されていきます。
現在の国公立大学12校、私立大学17校(日大と日歯大は2つとした)が揃ったのは1979年です。
これにより歯学部の卒業者数は毎年約3000人にまで膨れ上がり、目標値の10万人対歯科医師数50人を昭和59年にクリアした後も増え続ける一方です。


現在では歯科医師数は14年度の厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査で約93000人で10万人対歯科医師数は72.9人(医療施設に従事している歯科医師に限れば71人)。
すると現在は適正数の約1.4倍の歯科医師がいることになります。

ただし厚生労働省の第4回「歯科医師の需給に関する検討会」議事要旨によると、この調査では届出漏れもあるらしく、これらを加味して過去にさかのぼって歯科医籍等も調査しつつ歯科医師数の推計を出すと平成10年現在で約99000人とありました。


[地域]

歯科医師の分布は地域偏在型です。都市部には人口の集中以上に歯科医師が集中しています。


平成14年度都道府県別人口10万対歯科医師数(降順)

1.東京都(119.9人)
2.福岡県(90.4人)
3.徳島県(89.9人)
4.大阪府(78.6人)
5.新潟県(78.6人)

    :

43.島根県(49.9人)
44.石川県(49.5人)
45.山形県(49.3人)
46.滋賀県(47.9人)
47.福井県(45.8人)

10万対歯科医師数−該当都道府県数

70以上     −10
60以上〜70未満−14
50以上〜60未満−18
      50未満−5

厚生労働省 平成14年医師・歯科医師・薬剤師調査

これを見てもわかるとおり上位は大幅な過剰状態ですが、下位5県に関して言えば昭和60年までの目標値にすら達していません。このような都道府県格差は年々拡大しています。
また上位に新潟県や徳島県のような県があるのは歯科大学や大学歯学部を抱えている為だと思われます。

さらに13政令指定都市と全国の中核市に限って見てみます。

1.新潟市(159.2人)
2.東京区部(144.7人)
3.福岡市(127.1人)
4.岡山市(117.1人)
5.大阪市(112.5人)

10万対歯科医師数−該当都市数
110以上      −6
100以上〜110未満−5
90以上〜100未満−4
80以上〜 90未満−2
70以上〜 80未満−9
      70未満−17

厚生労働省 平成14年医師・歯科医師・薬剤師調査

これを見て驚く方も多いと思います。歯科医師が最も過剰な状態にあるのは東京23区ではなく新潟市です。新潟市には新潟大学歯学部と日本歯科大学新潟歯学部があるのが原因だと思われます。
人口10万対歯科医師数が100以上の都市を見ると11のすべての都市に歯学部をもつ大学が存在しています。

また13大都市のうち京都市(73.1人)や神戸市(71.5人)、さらに川崎市(62.8人)を見てみると、歯科医師過剰になる要素として大都市であるということよりも歯科大学・歯学部があるということの方が大きいと言えそうです。

一位の新潟市を見ると適正数の3倍を越える歯科医師がいることになります。さらに新潟県全体のデータを見ると78.6人です。つまり新潟市にかなり集中しているため、その他の地域は歯科医不足な地域があることが予想されます。
ただ過去のデータを見ると平成10年で171.3人、平成12年で165.5人というように減少傾向にあるようです。170人まで増加してそこからようやく淘汰が始まったのではないかと思います。このあたりはまだ調査していないので予想です。

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人口あたりの歯科医師数の国際比較をお話しましたが、今回は国内のお話。 厚生労働省の厚生統計要覧から、日本国内の歯科医師の偏在ぶりについてお話しましょう。歯科医師が過密なのは第1位が東京都なのは見当がつくと思いますが、第2位が意外な県がランキングされてきたの...
人口あたりの歯科医師数の都道府県別比較【新潟県長岡市の予防歯科・口腔内科】at 2009年06月06日 10:02
この記事へのコメント
面白い分析ですね。
実際に数値で見ると、分かりやすいものです。
実際に私の地元の歯科診療所の数は毎年増えています。
あるエリアを区切ってみてみると、
歯科診療所とコンビニの数は同数でした(笑)
Posted by たけし@訪問人 at 2005年04月02日 04:47
本当に新潟市は歯医者だらけ。
中心部近くに住んでいるのだけれど、家から徒歩10分くらいの範囲にコンビニ2,3軒しかないのに歯医者は多分10軒くらいあるのでは…。
しかも東京と違って私費治療専門とか審美が多いわけでもないし、経営大丈夫なのかなぁ。


受験する前からこの話は知ってたけど、本当に新大と日歯の影響は凄いと思うよ。

歯学部がある地域で過剰なのは、地元人以外でも大学に残ったり新潟の開業医に就職したりして残る先生が多いのもあるんだろうね。
(今年卒業した部活の先輩、県内出身者が0なのに、院や研修で大学に残る人は6人中5人!)
でも、うちの大学は、ここ5年の間に歯学科の定員を60→50→40と減らしてる。
それに加えて国試の合格率も下がってるし、これからだんだん減るとは思うけど、どうだろうね。
Posted by みすず@新潟市の歯学生 at 2005年04月03日 02:14
あと、新潟でもやっぱり僻地では実際にかなり足りてないみたいです。
今後何か分かったことや経験したことがあったら、現地レポーターが報告いたします(笑)。
長々と失礼!
Posted by みすず at 2005年04月03日 02:14
>たけしさん
住んでいて肌で感じるほどなんだから相当なんでしょうね。
実家のある高松でも新しい歯科医院が目についてしまいます。

>みすずん
新潟はほんといろいろ調べるとおもしろいと思うよ。
歴史的にも一度水道水フッ素添加に取り組んで結局添加されることはなかった話とか、歯科医不足の地域である歯科医師が学校歯科医になって劇的な効果を挙げた話とか。
現地レポーター頼りにしてます(笑)。
Posted by udnkui at 2005年04月10日 03:50
今新潟大学の定員は前後期合わせて30人です。
私も将来不安で、再受験の準備に日々奮闘しています。
新潟県内はとても苦しいと言われました。
実際そうです。
新潟大学を出て他県、海外での開業が良いでしょうね。
Posted by sero at 2007年03月17日 19:41
部外者ですが歯学部は授業料は尋常ではないぐらい高いし、私学ならアホでも入れます。できてしまった歯科大学を潰すのは難しいと思いますので、歯学部4年次に他学部の大学院(研究職)へ進めるとか道を開けたほうが良いと思います。少し前に助産師が少ないので看護師に職権を移譲することがマスコミで騒がれ、行政側としてその問題に携わったのですが、歯科医師会から歯科医師にも簡単な(風邪ぐらい)診察ができるようにしろという便乗申請がありましたが却下されています。北大の事件もあり、歯科医師の臨床研修も頓挫しています。また、歯科医師でありながら医師だといって陳情にくる先生もいらっしゃいますが、とても迷惑です。医師の大御所であれば日本医師会がついていますのでしっかり対応しないと上司にしかられますが、歯科医師は単なる歯の専門家で暇なら対応してあげますというスタンスです。現状の日本の行政を理解してください。優秀な歯科医師以外、特に老齢な方は引退してください。医療費を食い漁っている売国奴です。他の最新医療に補助金が回りません。再生医療を国で振興していますから、そのうち歯科医師は不要・ゴミとなるでしょう。
Posted by 行政 at 2008年12月18日 01:16
部外者ですが歯学部は授業料は尋常ではないぐらい高いし、私学ならアホでも入れます。
>特に老齢な方は引退してください。医療費を食い漁っている売国奴です。
>他の最新医療に補助金が回りません。再生医療を国で振興していますから、
>そのうち歯科医師は不要・ゴミとなるでしょう。

失礼にもほどがある発言ですね。
部外者ならではの無責任な発言に記述者の知能レベルの低さがうかがえます。

歯科医師過剰問題が生んだ新たな問題も見過ごしてはいけないと思います。
在学生の留年率、浪人率の増加です。近年は歯学部の定員割れなどにより、
新入生が減少し、大学が生き残りをかけて留年させるための進級判定試験を
行い、留年させられる学生が増えています。大学によっては30%以上の留年率を
出している大学もあり、鬱になる学生も増えているようです。
某大学では過去3年に2名の自殺者を出しています。

国家試験が国家試験でなく選抜試験になりつつある現在、それで本当に国家資格といえるのでしょうか?
本当にそれが歯科医師過剰問題の解決策と言えるのでしょうか?

大学に入学する段階での、定員を削減することが大切ではないでしょうか。
その方法が、大学そのものの淘汰ならば、国家は大学に新しい資格大学への進路変更を指導すべきでしょうし、
定員を削減するのであれば、削減分は国家の助成金がひつようになるが、出すべきです。

国家の指導の元で生まれた問題は国家の指導の元で解決してもらいたいです。

高齢者歯科医師の定年制を導入すれば解決するのでしょうか?
彼ら高齢者には生活収入を得る権利はないのですか?
他人が無責任に人の収入を取り上げる事が出来るのですか?
あなたは70を過ぎましたから、「仕事を辞めて年金と貯金で生活しなさい」と強要するのですか?
あなたが歯科医師なら納得できますか?
Posted by 紫芋 at 2010年03月12日 01:18