東日本大震災に際して資源が限られた状況における感染対策
nikkei TRENDYnet 3月22日(火)11時16分配信
| アルコール手指消毒薬やマスクなどの資材も供給が困難な状況では対策は極めて困難であろうと思いますが、ここでは感染対策に関するポイントを掲載します。 |
感染症対策の基本はどこでも同じ。ピークは過ぎたものの完全には鎮静化していないインフルエンザやノロウイルスなどへの対策にも有効となる。誰もが改めて気をつけておきたいところだ。
震災においては上下水道などライフラインの途絶により被災地で衛生状態が急激に悪化するものと考えられます。
ピークは過ぎていたものの完全には鎮静化していなかったインフルエンザやノロウイルスが避難所などで流行してしまうおそれは残念ながら小さくありません。アルコール手指消毒薬やマスクなどの資材も供給が困難な状況では対策は極めて困難であろうと思いますが、以下に感染対策に携わる者として思い付く最低限のポイントを記します。
Q1 咳が出るけど、マスクがありません。何か対策はありますか?
咳症状がある場合は、決して他人に向かって咳を吐きかけないように配慮をお願いします。マスクは十分量が確保できないでしょうから、咳症状や発熱がある方に優先的に着用していただくことをお勧めします。
咳やくしゃみをするときにはティッシュやハンカチで口と鼻を覆い、他人から顔をそむけるようにしましょう。咳やくしゃみを手で受けてしまうと、その後で触ったところにウイルスなどを拡げてしまう可能性があります。
Q2 感染症の方がいます。隔離はどうすれば良いですか?
咳症状や発熱、吐き気・嘔吐・下痢症状がある方は、できれば1m以上の距離を置いてお休みいただきたいところですが、場所に限りもあるでしょうから、少なくとも乳幼児や高齢者、免疫が低下する基礎疾患がある方からは離れるようなヒトの配置をお勧めします。
Q3 水が出ません。手洗いはどうすれば良いですか?
手洗いの励行をお勧めしたいところですが、断水などで難しい場合、ある程度まで汚れを除いた後であればアルコール消毒で十分です。アルコール消毒が可能であれば、食事前と排便後に優先的に使用することをお勧めします。
なお、国立感染症研究所・感染症情報センターからも「東北地方太平洋沖地震関連情報」が提供されています。被災地からではインターネットへのアクセスも困難であるとは考えますが、今後も必要な情報を提供していただけるものと期待されます。
未曾有の国難に際し多くの方々がそれぞれの現場で奮闘されていることに最大限の敬意を表します。
2011年3月17日 「MRIC by 医療ガバナンス学会」より一部改変し、転載しました。
(文/森澤 雄司=自治医科大学附属病院・感染制御部長、栃木地域感染制御コンソーティアム TRIC’K’ 代表世話人)
