gooニュース記事より
川島なお美さん死去の衝撃 「有効な検診方法は残念ながらない」 政府、対策を加速
女優の川島なお美さん(54)、アナウンサーの黒木奈々さん(32)など、がんで亡くなる著名人が相次いでいる。日本人の2人に1人ががんにな り、3人に1人ががんで死亡する時代。若い世代では死亡率は減っているが、進行してからがんが見つかることも多く、治療に成功した後の社会復帰も課題だ。 国は予防や研究などを進める「がん対策加速化プラン」の策定を進め、国民病の克服を目指している。
■膵臓や肝臓は予後悪く
厚生労働省などの統計によると、がんが結核や脳卒中を抑えて日本人の死因第1位になったのは昭和56年。高齢化によりがんで死亡する人は増加を続け、国立 がん研究センターの推計によると、日本人男性の60%、女性の45%が死ぬまでにがんにかかるとされる。帝京大医学部の渡辺清高准教授(腫瘍内科)は「身 近にがんで亡くなる人を目にする機会は、団塊世代の高齢化を控えて今後も増えていくだろう」と予測する。
ただ、高齢化の影響を取り除く と、がん死亡率は低下している。75歳未満のがん死亡率は、平成17年には人口10万人当たり92・4人だったが、25年には80・1人に低下。医療の進 歩によりがんになった人の5年後の生存率も、約20年前の53・2%から10年間で58・6%に上がった。厚労省研究班の調査では、がん患者の8割が「が ん医療は数年前と比べて進歩した」と答えている。
とはいえ、がんの部位によって生存率は異なる。前立腺や甲状腺、乳房のがんの5年生存率が約9割なのに対し、膵臓、肝臓、胆嚢(たんのう)、肺などのがんは予後が悪い。
■川島さんは「頻度低い」がん
年齢によっても特徴は異なる。大部分のがんは年齢とともに発症リスクが高くなるが、タレントの北斗晶さん(48)が摘出手術を受けた乳がんや2月に61歳 で亡くなったロックバンド「シーナ&ロケッツ」のシーナさんがかかった子宮頸(けい)がんは働く世代に多い。逆に、川島さんがかかった胆管がんや黒木さん がかかった胃がんは若年での発症頻度は極めて低く、進行した状態で見つかることが多い。渡辺准教授は「これらのがんを早期発見をしようと多くの人を検査し ても患者を見つける効率が悪く、がんがないのに検査で陽性とする可能性が高くなってしまう。現状では、有効な検診方法は残念ながらない」と語る。
もちろん検診が有効ながんも多いが、経済協力開発機構(OECD)のデータによると、そもそも日本はがん検診の受診率が低い。50〜69歳の乳がん検診の 受診率は、米国80・4%、フランス75・4%、韓国74・1%などに対し、日本(22年)は36・4%。20〜69歳の子宮頸がん検診受診率も米国 85%、ドイツ78・7%、フランス71・1%などに比べ、日本(同)は37・7%にとどまっている。
■来年から「がん登録」開始
こうした現状に、国も対策に本腰を入れる。厚労省はがんの予防、治療・研究、共生の3本柱からなる「がん対策加速化プラン」を今年中にも策定。来年からは、全国で新たに「がん」と診断された全患者のデータを登録する「全国がん登録」も始まる。
がん登録を担当する国立がん研究センターの松田智大室長は「たばこが影響する肺がんやピロリ菌が影響する胃がんなど、ある程度発生要因が分かっているがん に対しては対策の指標となる。実態がなかなかつかめなかった希少がんや小児がんの患者数の把握や治療法の解明にもつながることが期待される」と話す。
予防や治療だけでなく、がんを克服した元患者への支援も必要だ。渡辺准教授は「若い世代のがんの頻度は高くないものの、命を脅かす病気であるとともに、仮 に治療がうまくいっても治療の副作用や後遺症、再発の不安、勉学や就職、結婚や子育てなど、さまざまなハンディと向き合いながら生活していくことになる」 と指摘する。
厚労省によると、仕事をしながらがんの治療に通っている人は32万5千人いるとされる。しかし、がん患者や元患者を対象に行った調査では、3割に職場を退職したり解雇されたりした経験があった。
がん患者と家族などからなる愛媛県のNPO法人「おれんじの会」の松本陽子理事長は「医療者が治療の見通しをきちんと説明し、『仕事はあせってやめなくて いいですよ』と声をかけるなど、患者の社会生活を見る目を持ってくれると良い。企業側も、がん患者イコール死ぬ人という発想にならず、患者や家族を支えて ほしい」と訴えている。




