gooニュース記事より
ワクチン接種で盲導犬同伴拒否 視覚障害者困惑 支援団体調査
2022/04/13 06:00
待合室で待機の様子を実演する盲導犬のPR犬=茨城県内の医療機関で2019年9月2日(日本盲導犬協会提供)
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ワクチン接種に盲導犬は同伴できません――。長引く新型コロナウイルス禍は盲導犬と行動を共にする視覚障害者にも影響を及ぼしている。日本盲導犬協会の調査(2021年度)では、「衛生上の理由」など誤った認識から、医療機関に同伴での受け入れを拒否される事例が目立った。感染対策で周囲に気兼ねし、孤立感を深めている盲導犬ユーザーも多い。当事者の声から、周りの人ができることも見えてきた。
◇「衛生上の理由」で認めらず
21年6月、青森県に住む盲導犬ユーザーの梅沢愛子さん(67)は、4歳の雄のゴールデンレトリバー「アルタ」と共に新型コロナワクチンの接種会場となっているコミュニティーセンターに向かっていた。前日には自治体の担当課に立ち寄ってアルタ同伴での接種について相談。担当者からは「会場の医師にも連絡しておく」と回答をもらい、何の不安もなかった。
ところが、受け付けを済ませて待機スペースで順番を待っていると、会場の担当者から「盲導犬は接種スペースまで入れません」と意外な説明を受けた。事前に連絡していたことを伝えたが、同伴は認められず、担当者に手を引かれて接種を受けた。梅沢さんは「これまで病院や飲食店で同伴を拒否されたことはなかったのに」と振り返る。コロナ禍で衛生意識が高まり、変化が起きたようだ。
後日、日本盲導犬協会が自治体に問い合わせたところ、会場の医師が「衛生上の理由」で盲導犬を待機させるよう指示していたことなどがわかった。
◇補助犬法で義務づけ
今年5月に成立から20年を迎える身体障害者補助犬法は、公共施設や飲食店で盲導犬など補助犬を受け入れるよう義務づけており、医療機関も対象だ。厚生労働省も一般の来院者や面会者が利用できる場所では同伴を受け入れることが原則だと通知している。協会の担当者が受け入れ拒否は法律違反の可能性があることや、衛生管理を義務づけられているユーザーが毎日ブラッシングをしていることなどを説明。2回目はアルタ同伴で接種を受けることができた。
◇医療機関の拒否が最多
協会によると全国の盲導犬の実働頭数は861頭(21年3月時点)。そのうち、21年4月1日〜22年3月20日、協会がユーザーからの相談を受けて対応した受け入れ拒否事例は37件あった。場所別にみると、医療機関13件、飲食店9件、宿泊施設6件などで、05年の調査開始以降、初めて医療機関が最多となった。ルールや設備が整っていないことを理由に「受け入れ経験のある病院で受診してほしい」と言われたり、「犬は土足だからコロナを持ち込むリスクが高い」などと誤った認識で同伴を断られたりしていた。
コロナの感染拡大以降、外出を控えている人も多く、拒否の件数自体は例年の半数程度まで減っているものの、いまだに全国で受け入れ拒否の実態があることが明らかになっている。協会が21年1〜12月に実施したユーザー向け調査(回答数215)でも、35%(75人)が受け入れ拒否の経験があったと回答している。施設側に理由を聞き取ったところ、法律を知らなかった(41%)▽受け入れ方を誤解していた(24%)▽従業員への教育不足(19%)――などの回答が上位を占めた。
◇「お手伝いしましょうか」と声をかけて
また、盲導犬ユーザーに複数回答可で外出時の不安・困りごとを聞いたところ、「ソーシャルディスタンスがわかりづらい」が最多の42%を占め、「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」が19%となるなど、周囲に気兼ねしている姿が浮かんできた。ただ、昨年の東京パラリンピックなどの影響で「声を掛けられる機会が増えた」という意見も多かった。
協会の担当者は「盲導犬を同伴していることで視覚障害のある方が社会での活動を制限されることがあってはならない」と話す。困っている様子を見かけたら、「何かお手伝いしましょうか」と声を掛けると助けになるという。【秋丸生帆】
◇身体障害者補助犬法
2002年5月成立。身体障害者の社会参加を促すことを目的に、公共施設や飲食店、商業施設など不特定多数の人が利用する施設に補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の受け入れを義務づけた。受け入れ拒否への罰則はない。医療機関でも補助犬の同伴を受け入れるよう求めており、厚生労働省は一般の来院者や面会者が利用できる場所では同伴を受け入れることを原則としている。






