Yahooニュース記事より
医師が警鐘「1クラスに最低1人いる」認知症が心配で脳ドックを受け「脳動脈瘤を幸い発見」した人を待つ"不幸"
■「この動脈瘤はいつ破裂するのだろうか?」 診断を受けた人が最も不安になるのは、「この動脈瘤はいつか破裂するのか?」という点です。前述したように未破裂動脈瘤が破裂する可能性は非常に低いことがわかっています。ただし、下記のようなケースは破裂リスクが高いとされています。 ---------- ・「7ミリ以上」の動脈瘤 ・後交通動脈や脳底動脈など「脳の後方」の特定の部位にある動脈瘤 ・「いびつな形」をした動脈瘤 ---------- などです。また、以前に動脈瘤が破裂したことがある人、喫煙者、高血圧が管理されていない人、家族歴がある人も要注意です。これらが重なると、破裂の確率は高まります。たとえば、喫煙歴があり高血圧の女性では、非喫煙・正常血圧の女性と比べて破裂リスクが最大7倍にもなると報告されています。 医師は、これらの要因を総合的に判断して、個人ごとに破裂リスクを推定します。 例えば、7ミリ未満の小さな動脈瘤で、非喫煙者、血圧が正常な人の場合、5年間で破裂する確率は1%未満とされています。こうした数値は治療方針を決める際の参考になりますが、最終的な判断は個人ごとの状況や希望を総合的に考慮して行われます。 ■未破裂脳動脈瘤の治療選択肢 未破裂脳動脈瘤と診断された場合、実際の治療方針は、動脈瘤の大きさや形、できた場所、患者の年齢や持病の有無、生活スタイル、さらには破裂への不安の度合いなど、非常に多くの要素を総合的に判断して決められます。 動脈瘤が小さく、形状も安定しており、破裂リスクが比較的低いと判断される場合、まず選択されるのが「経過観察」という方法です。積極的な治療を行わず、定期的な画像検査で動脈瘤の変化を見守りながら、生活習慣の改善を中心に破裂リスクを下げる考え方です。 経過観察する際、もし喫煙者なら禁煙が筆頭の予防になります。喫煙をやめることで動脈瘤の成長や破裂のリスクを大きく下げられます。また、血圧をしっかりと管理し、必要であれば降圧薬を使用することも推奨されます。さらに、アルコールの過剰摂取を控え、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めすぎないことも日々のケアとして大切です。 6〜12カ月ごとにMRAやCTAなどで画像を撮り、動脈瘤が拡大したり、形が変化したりしていないか確認し、0.5ミリ以上大きくなった場合は治療方針の再検討が必要です。
■リスク除去するなら血管内治療や開頭手術 一方、経過観察ではなく、動脈瘤そのものに対する治療法もあります。 その一つが「血管内治療」と呼ばれる、体に負担が少ないカテーテル治療です。これは足の付け根などから細い管を血管内に挿入し、動脈瘤まで誘導して中にプラチナ製のコイルを詰め、血流を遮断するという方法です。最近では、動脈瘤の入口にステントを置いて血流を調整したり、特殊なデバイスを使って内側から動脈瘤を閉塞したりする技術も発達しています。血管内治療は術後の回復も比較的早いという利点がありますが、動脈瘤が再開通することもあり、治療後も定期的な画像検査で経過を見守る必要があります。 治療法としてもう一つ挙げられるのが「開頭手術(クリッピング)」です。これは頭蓋骨を開け、動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟んで血流を遮断する方法で、治療効果が確実な手術です。若くて体力があり、長期的な再発予防を重視する場合や、血管内治療が難しい形状や位置の動脈瘤に対して選ばれることが多くあります。ただし、手術には2週間程度の入院が必要であり、神経障害などのリスクも伴うため、慎重な判断が求められます。 どの治療が最適かは、一人ひとり異なります。医学的なデータや専門的な意見に加えて、「どう生きたいか」という思いや、生活の質(QOL)を大切にした上で決めることになります。自分の体と心の声に耳を傾けながら、信頼できる医療チームとともに納得のいく選択をしていくことが何より大切です。 ■脳動脈瘤の心理的影響 脳動脈瘤は、破裂リスクが低い場合が多いのですが、厄介なのは「頭の中にいつ破裂するかわからないものがある」と思うだけで、不安や恐れに苛まれるケースが多いということ。未破裂脳動脈瘤の患者のうち、約3割が不安障害を、2割が抑うつ状態を経験するとされています。 こうした心理的影響に対処するためには、まず自分の感情を否定せず受け入れることが出発点になります。「怖い」「不安だ」という感情は自然なことです。家族や友人に気持ちを打ち明けたり、医療者に率直に話したりすることで、心の重荷が少しずつ軽くなることもあります。医療機関によっては、臨床心理士やカウンセラーによる相談体制を整えているところもあり、必要であれば遠慮なく利用されるとよいでしょう。 何より、医師と相談の上で生活制限を明確にすれば、「何はOKか、NGか」がわからない状態を回避できます。多くの医師が推奨しているのは、適度な運動。血圧管理やストレス軽減に役立ちます。急激な運動、激しい運動は避けるべきでしょう。入浴や旅行、飛行機の利用、仕事や妊娠などについても、アドバイスを受けておくと安心です。正しい知識と適切なサポート、そして信頼できる医療とのつながりがあれば、多くの方が穏やかな日常を取り戻し、安心して人生を歩んでいくことができます。
内科医 谷本 哲也




勝俣範之

